特集
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02/26 09:30
【銘柄ランキング】3月に権利が確定する主要銘柄を配当利回り順で紹介! (2024年2月作成)
損保株などが上位にランクイン 配当金は企業の価値(株価)を決める重要な指標であり、株式投資の魅力の一つです。配当利回りは、投資した金額に対する予想配当金の割合を示し、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)と同様に、株価が割安か割高かを判断する指標となっています。 今回、東証上場の中でも特に時価総額の高い銘柄から成る「TOPIX100」を母集団にして、決算月が3月かつ今期経常増益予想の銘柄を配当利回り順にランキングしました。上位20銘柄を紹介します。 トップ20には、損害保険の大手3グループが上位にランクインしています。損保株では、金融庁が損害保険大手4社に政策保有株の売却を加速するよう求めたとの報道が話題となりました。今後、各社の資本効率の改善を促す要因となる可能性があります。 3メガバンクもすべてトップ20内にランクインしました。主要銀行株の2023年10-12月期(3Q)決算は、顧客部門収益を中心に増益基調が継続されました。来期にかけては、マイナス金利解除の行方などに注目が集まっています。 (野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2024年2月20日時点。 ご投資にあたっての注意点
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02/25 19:00
【テーマ銘柄】米国の連続増配企業10社をご紹介
連続増配企業への投資を考える 株式市場は、時として様々な理由により大きな変動を余儀なくされます。2008年のリーマンショックをはじめ、近年では2020年の新型コロナ感染拡大、2022年のウクライナ紛争による株価の大幅調整が挙げられます。 こうした中、長期的な視点で安定的な配当を得ることを目指す連続増配企業への投資が注目されます。 連続増配企業の強みと企業例 連続増配企業は新興テクノロジー企業のように、利益の急拡大を期待することは難しい側面があります。しかし社歴を重ねる中で、大幅な景気変動や各種のショックを乗り越え、ブランド力や技術力等を武器に、安定的な利益を創出しうる独自の経営スタイルや販売手法を培ってきた点に強みを持っています。そのため、単年度では減益に陥ることがあっても継続的な配当が可能で、これまで数々の危機を乗り越え市場で評価され続けています。 米国の連続増配企業の代表格として、強いブランド力を持つ清涼飲料世界最大手の米国コカ・コーラが挙げられます。同社はサプライチェーンの上位に位置する原液の生産を受け持ち、世界200以上の国と地域で、強いネットワークを通じて販売しています。 連続増配企業のパフォーマンス (注)S&P500指数、S&P500配当貴族指数ともに課税後配当込み。直近値は2024年2月15日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 長期的な視点でみれば、米国の連続増配企業で構成されるS&P500配当貴族指数(課税後配当込み)のパフォーマンスはS&P500指数を上回る傾向がみられています。 世界経済や社会構造が大きく変化している時代だからこそ、長期的な視点で、連続増配企業が持つ本源的強みを重視した投資が注目されます。 (注)2024年1月31日時点。産業グループは、GICSによる。(出所)S&P Dow Jones Indices LLCより野村證券投資情報部作成 ご参考:米国連続増配企業の一例 ・キャタピラー(A0102/CAT US) 1925年に創業した。重機や発電用ソリューション、機関車などを手掛ける米国を代表するメーカーであり、建設機械の生産で世界トップ規模を誇る。 ・コカ・コーラ(A0115/KO US) 世界最大の清涼飲料メーカーであり、炭酸飲料やミネラルウォーター、スポーツ飲料、エナジードリンクなどの主要カテゴリーで約200のブランドを展開している。世界の200以上の国と地域で、小売店やフードサービス店を通じてコカ・コーラブランドやライセンスブランドの製品を販売している。 ・ターゲット(A0172/TGT US) 米国の小売事業者である。2023年11月時点で、米国に1,900を超える数の店舗を構える。売上高は1,000億米ドルを超え、年間に20億件超の注文を処理している。店舗の多くは都市部とその近郊に集中している。 ・シェブロン(A0264/CVX US) 石油メジャーの一角で石油や天然ガスの探査・開発などから、精製・販売まで総合的に手掛けている。世界各地に鉱区を保有しており、M&Aで業容を拡大してきた。 ・ゼネラル・ダイナミクス(A0277/GD US) 戦車や原子力潜水艦、通信システムなどの防衛関連事業と、ビジネスジェット(ガルフストリーム)製造など幅広い製品・サービスを製造・提供している。主要顧客は米国防総省である。 ・IBM(A0353/IBM US) 主にソフトウエアやIT サービス、コンサルティング、並びにハードウエアを提供している。175の国と地域に進出しており、パートナー企業は8万社に上る。顧客企業に提供している製品やサービスを通じて世界のクレジットカード決済の9割に、世界の無線通信の5割に携わっている。 ・マクドナルド(A0460/MCD US) ファストフードチェーン「マクドナルド」を展開しており、直営店、フランチャイズ店、及びライセンス供与が収益の柱である。最新デジタル技術の導入や、デリバリープラットフォームの活用などを押し進めている。 ・プロクター・アンド・ギャンブル(A0588/PG US) 1837年に創業した。有名ブランドを数多く抱える世界最大級の日用品メーカーである。主なブランドには、乳幼児用紙おむつ「パンパース」や衣料用洗剤「アリエール」、エアケア製品「ファブリーズ」などがある。 ・メドトロニック(A6637/MDT US) 医療機器の最大手の一角を占める。心臓ペースメーカーや除細動器、心臓弁など慢性疾患のための医療機器の開発・製造を手掛けている。世界150ヶ国に9.5万人以上の従業員を擁する。 ・リンデ(A7250/LIN US) 世界最大の産業ガスメーカーであり、100以上の国・地域で事業を展開している。主力製品はエアセパレートガス(空気から分離・製造される酸素、窒素、アルゴンなど)と精製ガス(水素、二酸化炭素、ヘリウムなど)、並びに産業ガス生産に用いる装置である。最終市場は化学や製造業、ヘルスケア、製鉄など多岐にわたる。 (注1)全てを網羅しているわけではない。 (注2)外国株式のコードは、野村コード/ブルームバーグコード。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 寺田 絢子) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/25 12:00
【野村の視点】好調の日本株、「インフレ鈍化」がリスク?
Q:インフレ鈍化は日本株にとってリスク? 今年の日本株の一番のリスクは「日本のインフレが鈍化すること」と考えています。 ① CPI(消費者物価指数)もやや鈍化傾向にあり、インフレが前年比で2%を切るようなことがあれば、今の相場が逆回転してもおかしくないとの考えは妥当でしょうか。 ②仮にインフレが鈍化するならばどのようなシナリオ・戦略があるでしょうか。 ③インフレを予見する上で、注目している数字を教えてください。 A:上昇抑制ならず、企業の物価見通しに注目 インフレ鈍化が日本株上昇抑制に直結するとは必ずしも考えられません。(コア)CPI上昇率は、野村はもとより日銀においてもいったん減速を予想しており、かつ、そのほうが実質賃金をプラスに転じさせることで「賃金物価の好循環」を後押しする面もあります。 株式市場が評価するのは、輸入インフレの長期化などを背景として形式的に高い(2%を超えるような)インフレが続くことよりも、小幅であっても企業がコンスタントに値上げを継続できるような環境の醸成であるはずで、そのためには一旦インフレが鈍化し実質賃金や所得がプラスになったほうが消費需要に持続性を生み出す点でプラスです。 ②について:インフレ鈍化で市場が過度に織り込んだ日銀政策の正常化期待、特に利上げ予想が後退するのであれば、円金利の低位安定長期化が期待できますので、不動産を中心とする金利敏感業種に対しプラス効果が大きいと考えられます。 ③については、春闘ないし個社での賃上げ加速は十分に確認されつつありますので、マクロ的な賃金にしっかり波及しているかを確認する点で毎月勤労統計の現金給与総額には注目すべきであり、また、それが企業の継続的な値上げを促しているかを見る点で、日銀短観の企業の物価見通しに注目する必要もあると考えます。 (注)画像はイメージです。(出所)野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/25 09:00
【3月の投資戦略】業績拡大を追い風に2024年末の日経平均を40,000円と予想
目次・日経平均株価は史上最高値更新に迫る・米国は年央以降に利下げ・米国企業業績の拡大が続く・中国政府当局の政策対応が続く・日本で賃上げによる経済と物価の好循環が実現するか・企業業績の拡大が株式市場を支援 日経平均株価は史上最高値更新に迫る 日経平均株価は、34年ぶりとなる3万8000円台を記録しました。NYダウやS&P500などの米国主要株価指数は、史上最高値の更新が続きます。我々は、米国株式市場が金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと進み、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみています。中国不動産市場の問題や日米金融政策の転換など、様々な市場リスクはありますが、日米企業業績は上方修正が続いています。 ▲TOPに戻る 米国は年央以降に利下げ 主要国・地域における製造業の調整は一巡し、景況感は徐々に好転に向かうとみられます。米国では商業用不動産市況の下落によって、融資を行っている地域金融機関の経営悪化懸念が高まっていますが、金融システム全般へのリスクの波及は見られません。インフレの減速は続きますが、雇用環境が堅調なことから、FRBは早期の利下げに慎重です。利下げ開始は年央以降、緩やかなペースで行われると予想します。3月のFOMCでFRBのバランスシート縮小の議論も始まるとみられ、これらによる金利低下圧力は、株式市場の下支えになるとみられます。 ▲TOPに戻る 米国企業業績の拡大が続く 米国大統領選挙の行方は不確かですが、好調な景気は現職大統領に優位となります。足元で、米国大手テクノロジー企業を中心に、AI(人工知能)に関連する半導体やサービスに関係する事業が好調で、業績は拡大しています。利益成長は、今後、幅広い産業へと広がってゆくでしょう。金融相場から業績相場へと移行し、米国株式相場は上昇を続けるとみられます。 ▲TOPに戻る 中国政府当局の政策対応が続く ユーロ圏ではインフレと景気の減速が進んでおり、米国同様、年央以降に利下げ局面に入るとみられます。中国は不動産開発投資の急減や株価下落など、景気や市場環境は厳しい状況にあります。ただし、中国政府当局は対応を矢継ぎ早に実施し、市場の混乱を抑えようとする強固な意志を示しています。 ▲TOPに戻る 日本で賃上げによる経済と物価の好循環が実現するか 主要国で製造業の在庫調整が進む中、日本からは輸出が増えています。資本財や生産財の調整は進展しており、日本企業の事業環境の改善や効率化に向けた設備投資が期待されます。インフレによって実質賃金が低下していることから、賃上げ圧力が強まります。賃上げによる経済と物価の好循環が続くかどうか、春闘の結果は大事なポイントとなります。 ▲TOPに戻る 企業業績の拡大が株式市場を支援 日本銀行は大規模な金融緩和の修正に向け、市場との対話を進めています。内田副総裁は具体的な修正方法の概要を講演で示しました。不連続な金融政策や急激な利上げのようなリスキーな手段は採らないとの方針が市場に浸透すれば、一時的な変動は有るにせよ、政策修正を問題なく進めることは可能でしょう。為替市場は、足元で円安が進むものの、米日金利差の縮小により、米ドル高・円安は修正されるとみられます。2024年2月の日経平均株価の急上昇は、半導体関連が主要なけん引役となっています。ただし、主要企業の業績は価格転嫁の進展などにより増収率が落ち着く中で高い増益率を達成しています。野村證券は業績拡大の継続を基本観に、2024年末の日経平均株価見通しを40,000円へと引き上げました。 ▲TOPに戻る (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 3月号」(発行日:2024年2月19日)「投資戦略の概要」より Nomura21Global参考銘柄について ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/24 19:00
【注目トピック】日本株上昇の一因に「エレクトロニクス」の回復あり
日本:2023年10-12月期決算レビュー 2023年10-12月期決算まとまる 2023年10-12月期決算がほぼ出そろいました。ラッセル野村Large Cap(除く金融)の、2023年10-12月期決算は、2024年2月16日時点で、3.6%増収(前年同期比)、同20.1%営業増益となっています。売上高はほぼ事前の市場コンセンサス通り、営業利益は上振れての着地となった模様です。また、個別レベルでは、56%の企業で事前の市場コンセンサスを上回る実績で着地しています。これは、ほぼ過去平均に等しい割合です。 通常、日本企業では、1%売上高が増加すると、営業利益は4%前後増加するので、今回は売上高の伸びに比較して、営業利益の伸び率が大きめになっていることが特徴と言えるでしょう。インフレ圧力の高まりに対応して、多くの業種で価格転嫁が進展したことにより、増収率が落ち着いた推移の中で、高い営業増益率となったようです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 交易条件の改善が顕在化 日本企業の利益増減は、一般的には鉱工業生産と、為替(米ドル円レート)により多くの部分が説明可能です。 ところが2023年10-12月期は、期待されていた挽回生産が自動車関連にとどまり、半導体関連を中心とした生産財や、資本財など幅広いセクターで不発に終わりました。その結果、生産要因はむしろ企業業績を減益方向に押し下げる要因として作用しました。為替要因も、前四半期(2023年7-9月期)に比べ円安になったものの、前年同期も円安であったことから増益寄与は限定的でした。 代わって業績を牽引したのは、原材料や人件費などのコストアップ分を、財やサービスの価格に転嫁することによる交易条件の改善でした。こうした交易条件の改善は、過去においてはもっぱら(輸出型)製造業に顕在化しやすい傾向が強かったものが、今回はソフトウエアなど内需・非製造業でも幅広く観測されました。 エレクトロニクスが増益転換 2023年10-12月期の業種グループレベルでの業績の方向性をみると、挽回生産が順調に進んだ機械・自動車(主に自動車)の増益寄与額が圧倒的に大きくなっています。次いで、公益・インフラ(電力、電鉄)の寄与が大きくなっており、価格転嫁や、経済活動の正常化が追い風となりました。 また、ここ数四半期のあいだ業績のブレーキ役であった、エレクトロニクスがごく僅かながら増益に寄与しています。これは、鉱工業統計などで半導体・電子部品、電子材料といった生産財の在庫調整の進展が確認され始めたことと整合的です。 蛇足ながら、エレクトロニクスは、日本企業の中でも成長期待が強く、株式市場でも評価の高い企業が数多く存在します。2月に入ってからの日経平均株価の急激な上昇の一因として、期待感の強いエレクトロニクスで回復感が出始めたことも指摘できるでしょう。 会社側見通しの上方修正が進む 2023年10-12月期決算の発表に併せて、多くの企業が通期見通しの修正を行いました。2024年2月16日時点で、(期初からの累積で)89.4%の企業が通期見通しを修正しています。この修正ペースは、過去10年間平均を若干上回っています。 また、見通しを修正した企業のうち、3社に2社が上方修正となっており、企業側も2023年度業績への自信を深めていることがうかがえます。業種別では中国経済の影響を受けやすい化学、機械など一部の業種を除く、多くの業種で上方修正の比率が高くなっており、企業側の景況感の回復が幅広い範囲に及んでいることが明らかになりました。 過去10年間の実績に基づけば、3月以降もさらに会社側からの見通し修正が見込まれます。現在の企業を取り巻く外部環境からは、引き続き上方修正が優勢となることが期待されます。 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/24 12:00
【野村の視点】FRB、2024年は3回の利下げを想定
FRBは4会合連続で政策金利を据え置き FRB(米連邦準備理事会)は1月30-31日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、大方の予想通り政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決定しました。政策金利の据え置きは4会合連続です。声明では「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとはみていない」と記され、当局者らが利下げを急いでいないことを改めて示唆、会合後の記者会見でもパウエル議長は、3月FOMCで利下げを実施する可能性は高くないことを示唆しました。 23年12月FOMCで発表した政策金利見通し(中央値)では、1回あたりの政策金利の変更幅を0.25%ポイントとした場合、2024年中に3回、25年中に4回の利下げ見通しが示されました。市場では一時24年末までに6回程度の利下げを織り込んでいましたが、足元では3~4回程度とFRBの見通しに収斂しつつあります。 FRBは2022年3月以降、急速なペースで利上げを続けてきましたが想定以上に景気は堅調に推移してきたことから、景気にとって緩和的でも引き締め的でもない中立金利が上昇しており、利上げによる引き締めが効果を発揮し難くなっているのではないか、との見方も高まっています。その場合には、これまでの想定以上に長期間にわたって政策金利が据え置かれる、あるいは利下げ幅が限定的となることが予想されます。12月FOMC時点では、FRBが想定している中立金利の代理変数である長期政策金利見通し(Longer run)が2.5%で据え置かれましたが、今後の議論の行方には注意が必要です。 FRBが利上げから利下げへと転換した後は、景気や金融市場動向を睨みながら、一定のペースで利下げを行うと予想されます。野村證券では1回当たり0.25%ポイントの利下げを、24年は6月以降3ヶ月毎に3回、25年は3月以降4回の利下げを予想しています。25年末のFF金利の誘導目標は3.50-3.75%、着地点は3.00-3.25%となる見通しです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注)画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/24 09:00
【基礎から学べる「行動ファイナンス」】 第9回 自分の未来にも約束させる
野村證券金融工学研究センターの大庭昭彦が投資や資産運用の際に人が陥りがちな「バイアス」に関して解説する「基礎から学べる行動ファイナンス」シリーズ。第9回は自分の将来に制約をかける「コミットメント」について解説します。 将来の行動に制約をかける「コミットメント」 一般に「コミットメント」という言葉には「委託」や「関与」「公約」「責任」「参加」など多くの意味があります。この「コミットメント」、心理的な行動コントロールに関する用語としては「自分の将来の行動に制約をかけること」を指します。 熟慮して決めたはずの目標を、途中で変えたり先延ばししたりすることは、自然に任せると起こりがちな問題行動ですが、「コミットメント」はこれを防ぐために有効な場合が多い手法です。 米国の行動ファイナンスや投資アドバイザーのテキストで、よく「コミットメント」の説明の例として持ち出されるのが、ギリシャ神話の英雄オデュッセウスです。彼は歌声で人を誘う海の怪物・セイレーンから身を守るために、船のマストに自分を縛り付けたといわれています。 投資とは直接関係はありませんが、ダイエットや禁酒・禁煙のために、自分の近くに菓子や酒、たばこなど制限の対象となるものを置かないだけでなく、もし約束を破ったら自分に罰を与えるルールを作り、家族や親しい友人に証人になってもらうよう決めておくのも一種の「コミットメント」といえます。 「投資方針書」や「自動化」 コミットメントで使われる仕組み、ツールのことを「コミットメントデバイス」といいますが、投資におけるコミットメントでその典型といえるのが「投資方針書」です(※)。 投資方針書とは、投資の目的・目標や基本の資産配分、銘柄選択、モニタリング・リバランスの方法などを、あらかじめ文書にして投資アドバイザーと共有するためのものです。 この投資方針書に、相場が大きく動いた時の合理的な行動に取るべき行動について(例えば「ウエートが基本の資産配分から10%以上乖離するまでは何もしない、超えた時には基本の資産配分まで戻す」など)を事前に取り決めておけば、実際に株式市場が急落した際に、株式の「投げ売り」など、バイアスのかかった極端な行動を防ぐのに役立ちます。 もっとシンプルなコミットの方法に「自動化」があります。例えば、積立投資は「毎月決まった商品を決まった金額だけ買い続ける」ということを事前に決めておく、つまり投資を自動化する仕組みです。 購入のたびに買うかどうかを判断する必要がないため、バイアスが入ることもありません。実質的に積立投資と同じ仕組みで投資信託などを積み立てる確定拠出年金(DC)も自動化された仕組みといえます。 (※)2022年7月「投資教育と投資推進に関する研究の新展開」(大庭昭彦、証券アナリストジャーナル) バイアス排除を期待する商品も 「自動化」によるコミットの別の例としては、典型的な積立投資で使われる「同じ金額だけ定期的に買い続ける」というドルコスト平均法は「下がった時にたくさん買える」という特殊な「フレーミング」(第8回参照)と併用され、多くの人に好まれています。 米国でDC向けの商品としてオーソドックスなターゲットデートファンドは、あらかじめ決められたタイミングで目標リスク資産比率を自動的に変更する投資信託ですが、ある意味、自動化によるバイアスの排除も期待している商品ともいえるでしょう。 (KINZAI Financial Plan 2023年9月号掲載の記事を再編集したものです) 大庭 昭彦 野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 本稿は、野村證券株式会社社員の研究結果をまとめたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではございません。2023年9月掲載時点での情報に基づいております。 ご投資にあたっての注意点
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02/23 19:00
【オピニオン】34年ぶり高値の日本株、立役者はどの業種?
2024年2月、日経平均株価は38,000円台に達し、1989年12月に記録した史上最高値をうかがう展開となっています(追記:本稿は2月16日時点のデータを元に執筆しています)。本稿では、38,000円台奪還に業績面で寄与した業種を明らかにし、それらにはどのような共通項があるのかを見てみることにしましょう。 【民営化/規制緩和】‥1989年度以降の経常利益増加率の高い業種のうち(下図)、鉱業(INPEXなど)、通信、陸運(JR各社)、不動産、小売などは、(広義の)民営化や規制緩和の恩恵を受けて利益を増やしたと考えられます。1980年代半ば以降、日本では旧・三公社五現業(注1)の多くが民営化され、その一部では株式が公開され、新たにTOPIXに組み入れられています。また1990年代以降は、日米構造協議を通じた米国からの要請もあり、土地利用や小売店舗設置などに関する規制が大幅に緩和されました。 (注1)日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社の3つの公共企業体(公社)、および、郵便、国有林野、紙幣等印刷、造幣、アルコール専売の5つの国の事業(現業)のこと。 【市場拡大】‥民営化や規制緩和の結果、市場が活性化し、新規参入企業が増加、利益拡大が加速した業種も複数存在します。通信では、1989年度時点で東証1部上場企業は10社にすぎませんでしたが、現在では181社に達しています。不動産は18社から52社、サービスも22社から161社へとそれぞれ上場企業数が増加しています。 【業界再編】‥業種内企業の破綻や退出、業界再編によるプレイヤー数の削減により、収益性を向上させた業種グループも存在します。海運は上場企業数が1989年度の13社から5社、石油・石炭製品も9社から6社に減少した結果、近年では安定して高い利益水準を維持することが可能になっています。 【海外展開/業態転換】‥卸売は、かつての口銭(注2)ビジネスが限界を迎え、現在では投資会社となっています。海外展開で最も成功したのは輸送用機械(自動車)でしょう。1989年当時、自動車は輸出製品の筆頭でしたが、現在主要国・地域では現地生産が一般的になり、為替の影響をほとんど受けない強靭な収益構造を手にしています。また、食品、医薬品といった内需系の色彩が強い業種でも海外展開を進め、海外の高い成長率の取り込みに成功しています。 (注2)売買の仲介をした場合の手数料のこと。 どうやら大きく利益を伸ばした業種のうち、34年前と同じ事業を今も変わらず行っている業種はほとんどないようです。東証は、昨年3月より企業に対して間断なく事業ポートフォリオを見直すことを求めています。この要請に従って企業が事業ポートフォリオ改革を加速させれば、日経平均株価の史上最高値38,915円(終値ベース)は単なる通過点になるのかもしれません。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/23 09:00
【マーケット解説動画】日経平均、史上最高値更新(2月22日引け後収録)
テクニカル展望(2月22日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の岩本ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、史上最高値更新」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足月足3.日経平均株価:月足①②4.日経平均株価:長期月足・戦後からの月足5.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部ストラテジスト 岩本 竜太郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点