特集
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2023/10/21 07:00
【来週の予定】市場の関心は中東情勢と決算発表へ
来週の注目点:主要国のサービス業PMI、米国のインフレ指標に注目 10月31日-11月1日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて、FRB(米連邦準備理事会)は今週から公式に金融政策に関する発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。このため市場の関心は、緊迫化する中東情勢に加えて、本格化している米国の2023年7-9月期決算発表に向かうと見られます。 経済指標では、24日(火)に主要国で10月のPMI速報値が発表されます。これまでは世界的に製造業の低迷とサービス業の好調が併存してきましたが、欧州主要各国のサービス業指数は軒並み景気判断の分岐点である50ポイントを割り込んでいます。米国でもサービス業指数が50ポイントを割り込むような事態になれば、政策金利見通しの下方修正、長期金利の低下につながり、米国株にとってはむしろ押し上げ要因となる展開が予想されます。 米国では、26日(木)の7-9月期実質GDP(速報値)、27日(金)の9月個人消費支出・所得統計が注目されます。9月小売売上が、8月分の上方修正も含めて予想以上に強い結果であったことから、実質GDP、個人消費支出ともに強めの結果になる可能性が高まっています。一方、コアPCE(個人消費支出)デフレーターが前月比+0.2%程度の穏当な上昇にとどまれば、市場の安心感につながりそうです。 26日(木)には、ECB(欧州中央銀行)の金融政策理事会が開催されます。直近のECB高官の発言を確認する限り、今会合では金融政策の据え置きが予想されます。コロナ禍で拡充された量的緩和策の一つであるPEPP(パンデミック緊急資産購入プログラム)で購入した債券の償還再投資方針変更に向けた議論が開始されるか否かが注目点です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年10月20日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/21 07:00
【マーケット解説動画】日経平均、不安定な値動き続く(10月20日引け後収録)
テクニカル展望(10月20日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の山内シニア・ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、不安定な値動き続く」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足3.日経平均株価と東証プライム騰落レシオ4.米国10年債利回り:月足5.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部シニア・ストラテジスト 山内 正一郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/20 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (10月第3週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2023年10月第3週(2023年10月13日~10月19日) 2023年10月月間(2023年9月29日~10月19日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年10月19日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年10月19日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2023年10月第3週(2023年10月13日~10月19日) 2023年10月月間(2023年9月29日~10月19日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年10月19日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年10月19日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX︓東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2023年10月20日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/20 12:00
【今週のチャート分析】25・75日線を再度割り込む、二番底形成なるか注目(10/20)
※2023年10月19日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 今週(10月16日〜)の日経平均株価は下落基調となりました。中東での地政学リスクの高まりや日米の長期金利上昇が日経平均株価の重石となりました。 「二番底」固めの展開へ チャート面として、まずは日経平均株価の日足チャート(図1)をみてみましょう。 (注1)直近値は2023年10月19日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 日経平均株価は、10月4日安値(30,487円)にかけての急落で短期的な売られすぎ感が強まっていたこともあり、その後大幅反発となりました。ただ、10月13日高値(32,533円)形成後は再度調整となり、一時上抜けた75日移動平均線(10月19日:32,364円)や25日線(同:32,120円)を割り込みました。この先、10月4日安値(30,487円)に対する二番底固めの展開へ移行すると考えられます。一方で調整一巡後に、25・75日線を完全に上放れとなれば、まずは、9月15日高値(33,634円)や6月19日高値(33,772円)などがある今年6月以降の中段保ち合い上限水準を目指す動きとなると考えられます(図1)。 中長期では「中段持ち合い」継続へ 次に中長期的な相場の流れについて確認してみましょう(図2・図3)。 (注1)直近値は2023年10月19日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 (注1)直近値は2023年10月19日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 今夏以降の日経平均株価は、大きな上昇局面内の一旦の調整である「中段保ち合い」をこなしていると考えられます。10月にかけての調整によって下落率は9%を超え、初夏に上値を抑えられてからの日柄調整も進展しています。調整一巡後は、中段保ち合い上抜けに向けた動きとなることが期待されます(図2・3)。 (注1)直近値は2023年10月11日。 (注2)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成 NYダウ、8月高値形成後の調整をどう捉えるか NYダウは、今年8月高値(終値ベース:35,630ドル)形成後に調整相場入りとなり、10月には一時33,002ドル(終値ベース)まで下落しました(図4) 。これら大幅下落を受けて、昨年9月以降の中長期上昇トレンドが終了したと言えるのでしょうか。それとも継続中なのでしょうか。 (注1)直近値は2023年10月18日。(注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成 チャート面からは中長期上昇トレンド自体は継続中であり、今回の調整は一時的である可能性が高いと考えられます。昨年9月安値から今年8月高値までの上昇率は24%ですが、波動構成上参考となる過去の中長期上昇局面(図5:図中①-⑤)はコロナショックで中断となった局面(同:図中④)を除いて70%を超える上昇となっています。 (注1)直近値は2023年10月18日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。 (出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成 そのため、今年8月以降の調整は中長期上昇局面内の一旦の押しである可能性が高いと考えられます。 また、今年8月高値から10月安値にかけての下落率は7%を超えましたが、過去の中長期上昇局面においても、10%弱の調整相場を挟むケースが複数回みられました(図4)。今回も過去の調整局面と同様に一時的な調整に留まり、先行きは本格上昇局面に復帰することが期待されます。 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/20 09:30
【業界展望】商社:堅調な業績や積極的な株主還元に注目
底堅い業績動向が続いている 商社の事業環境を振り返りたい。資源分野ではウクライナ紛争を背景とした供給逼迫懸念から2023.3期は原油やガス、鉄鉱石や石炭など幅広い資源の価格が大きく上昇したが、24.3期に入ると米国の金融引き締めによる需要鈍化懸念もあり資源価格は調整局面となっていた。一方で、7月以降はOPEC(石油輸出国機構)の減産で原油に底打ち感が出ている他、原料炭市況もインドの需要の強さを背景に上昇基調となるなど、事業環境は改善傾向にある。 非資源分野については、野村では当初、新型コロナ影響を背景とした供給抑制で幅広い分野のトレード事業でマージンが拡大した状況が落ち着いていくと想定していた。しかし、24.3期4~6月期決算では、一過性の損益を除くと、機械や自動車、小売事業など幅広い分野が好調な推移となるなど減速感が予想以上に出ていないことが確認された。中国の不動産需要の低迷など、鉄鋼製品の需要減退リスクはあるが、資源価格の堅調さもあって、商社セクターの業況は底堅く推移すると考えている。また、各社の4~6月期の親会社株主利益は通期計画に対する進捗率が高めとなったこともあり、今後は業績計画の上方修正や追加の株主還元に対する期待が高まりやすい状況にあると言える。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 業績モメンタムや株主還元に注目 野村では24.3期の大手7商社合計の親会社株主利益を前期比14%減益と予想している。各社の4~6月期決算は好調だったが、資源価格が前期対比で調整すると見込むためである。セクター全体で減益傾向となる中では、相対的な業績動向の差が注目点になると考えている。特に、豊田通商については24.3期の親会社株主利益を同10%増益と予想しており、同業他社比で見通しが良好だと判断している。資源分野の利益構成比の低さもあるが、半導体不足の解消による自動車の生産回復で、鋼板や自動車部品のトレード事業といった生産関連分野の業績が改善していることが背景にある。さらに、アフリカなど新興国では経済成長を背景に自動車需要が伸長しており、同社が新興諸国で展開するディーラー事業が好調な推移となっている。 また、株主還元余力の面からは、三菱商事の業況に注目している。4~6月期の調整後FCF(営業収益CF-投資CF)が4,074億円の黒字と同業他社比で高い水準となった。さらに、同社が財務レバレッジとして注目している投融資レバレッジは6月末で26.9%と、同社が適正値と定める40~50%を大きく下回っている。現在の中期経営計画では投融資レバレッジを適正水準まで戻すことを目標として掲げており、株主還元余力は相対的に大きいと言える。中期的な注目点としては、将来の成長に向けた新規投資がテーマとなろう。既に伊藤忠商事や三井物産などが24.3期は大型の投資案件の発表を行っているが、新規投資案件の積み上げで利益成長期待を高められるかには注目したい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 成田 康浩) ※野村週報 2023年10月16日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 19:00
【野村の動画】投資家に買われた「配当利回り3%以上」銘柄ランキング(2023年7-9月分)
2023年7月1日~2023年9月30日の期間で、野村證券の個人口座で買い付けられた銘柄の中から、今期予想配当利回りが2023年10月2日時点で3%以上だった銘柄を抽出しました。約定件数順に上位20銘柄を紹介いたします。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 12:00
【米国野村證券エコノミストが語る】米国の景気後退を予想するポイント “持てる層”と“持たざる層”の綱引き
野村では、2023年10月6日時点で米国の景気後退を予測している。その理由と来年の大統領選挙に向けてのポイントについて、米国野村證券の雨宮愛知エコノミストに詳しく聞いた。 ※インタビューは2023年10月6日に実施しています。本記事の情報は2023年10月6日時点のものであり、その後変更されている可能性があります。 不況入りとは、雇用を失う人が出てくること ――米国景気、インフレ動向をふまえて、金融政策の見通しについて教えてください。 野村では、米国経済が近いうちに不況入りすると考えています。具体的には、今年の第4四半期の終わりから不況色が強くなり、2四半期連続のマイナス成長となることを見込んでいます。 ――市場のコンセンサスは、「米国経済はマイナス成長を免れる」という見方が多いです。「ソフトランディングまたはノーランディングとなる」と見越している金融機関も多い中で、マイナス成長を見越すのは野村證券の特徴ともいえます。そのポイントはどこにあるのでしょうか。 まず、不況入りとは何を指すか、定義を明確にしておきましょう。一言でいうと、雇用を失う人が出てくるということです。雇用者数の伸びがマイナスになり、失業率が上がるという状態が起きると予想しています。GDPがマイナスになることは不況でなくても一時的にはありますが、そうではなく、雇用がポイントなのです。 なぜそのような予想をしているのか。理由を語るには、なぜこれまで米国の金融政策が効かなかったのか、という理由から話を始めたほうがいいですね。 2019年末から始まった新型コロナウイルスの流行を機に、米国はじめ多くの主要国で大胆な金融緩和を行いました。その結果、米国ではインフレが深刻な問題となり、これをいかに抑制するかが課題となっています。 こうした状況のなか、インフレを抑制する目的で、米国の金利は大幅に引き上げられています。またバイデン政権は2022年8月、米国内の半導体産業を支援する「CHIPSおよび科学法」と、大企業への課税を強化して気候変動や医療費負担軽減に資金を投じる「インフレ抑制法」を成立させました。 しかしこうした政策によるインフレ抑制の成果は芳しくありません。その理由は、「持てる層」と「持たざる層」の綱引きにあると考えています。 富裕層は金利が高止まりしても困らない 「持てる層」、つまり金融資産を十分に持っている富裕層は、2021~2022年の金融緩和の際に、住宅ローンなどの長期債務を、低金利なものに借り換えが終わっています。また、設備投資をする大企業も、この時期に償還までの期間が長い社債を発行するなどして、資金調達が済んでいます。 彼らはいくら利上げしても、困らないわけです。それどころか、金利が高止まりしていると預金収入が増え、更に株高によってもますます資産が増えていくという循環があり、彼らが景気を下支えする強い層となっています。 一方、「持たざる層」はどうでしょうか。彼らは金融資産がないため金利上昇や株高の恩恵を受け難い一方で、高金利のローンを組まなければならず苦しんでいます。その証左として、クレジットカードの延滞率や自動車ローンの延滞率などはじわじわと上がっているのです。 コロナ禍の特例で約3年半の間猶予されてきた学生ローンの支払いも始まります。マクロでみると300億ドルから400億ドルと大きな額ではないのですが、学生ローンを抱えるのは「持たざる層」に多く、彼らの経済的な苦しさを表す象徴的なイベントとなる可能性があります。 そうはいっても、「持てる層」もどこかではローンの借り換えが行われるわけで、高金利によって資金力が削られるタイミングが来るはずです。問題はそれがいつなのか、ということなのです。 ――つまり景気の冷え込みがじわじわと起きているものの、利上げの効果は、セオリー通りに出ていないということですね。これから利上げの効果が出てくるとしたら、まずどこから顕在化してきますか。 過去を振り返ると、実は消費から始まる不況はあまり存在しないのです。やはり金利に敏感なセクターから経済がスローダウンすることが多い。まず企業の設備投資に影響し、次に自動車や住宅などの耐久財に影響が及んできます。それが企業収益の悪化を招き、雇用へと波及していきます。そして、人々の所得が落ち込むことによって、その後消費全体に景気悪化の波がくるという経路を想定しています。 雇用は不況入りの直前まで変わらない ――よく不況に至る経路として、過剰貯蓄など消費が落ち込む経路が議論されることがあると思いますが、雨宮さんの指摘はそうではなくて、企業の設備投資から出てくるという点が面白いです。雇用に不況が影響するのは遅いという理解で正しいですか。 はい。雇用は景気に関しては遅行指数なんですね。よく、「これだけ労働市場が強いのだから不況にならないのでは?」と質問を受けるのですが、労働市場は、不況入りする直前まで良い状態に見えるというのが通例です。今も毎月発表されている雇用統計では、非農業分野の雇用者数に15万人以上の伸びがありますし、失業率も上がっていませんよね。 ところが、労働市場を細かく見ていくと、一人当たりの労働時間のトレンド、人材派遣業の雇用者数、転職を目的とした自己退職数、企業の総採用数などの指標でいずれも悪化のサインがあり、雇用だけが変わっていないという状況です。 つまり労働市場のクールダウンは確実に起きている。あとは時間の問題です。レイオフ(解雇)がどこかのタイミングで増えていき、それが不況入りとなると考えています。 もともと野村では2023年7~9月にもマイナス成長が始まると予想していましたが、それは起きませんでした。「持てる層」が景気を下支えする力が、野村が予想していたよりも強かったため不況入りが遅れているのですが、どこかのタイミングでいずれ不況入りすると見ています。 ――そもそも、不況入りを免れることはできないと考えるべきでしょうか。 FRB(連邦準備理事会・米国の中央銀行を意味する)の立場でみると、好景気が続くということはインフレ再燃リスクがなくならないことを意味しています。今、FRBは長期金利の上昇は許容していますよね。株価のバリュエーションが圧力を受け、株価が下がって富裕層の消費力が減ることにつながることを期待しているのでしょう。 それで十分効果があればいいですが、効果がない場合、次は量的引き締め(QT)が議論の俎上にのるかもしれません。なんとかして富裕層の体力を奪わないと、インフレ再燃リスクがなくならない。そのために、不況をもたらさなければならないとも解釈できます。 ――来年は、大統領選挙を控えています。もし不況入りしたら現職にとっては向かい風となりませんか。 過去の大統領選挙では、夏場の失業率と株価で、11月の大統領選挙の行方がわかると言われてきました。ところが、インフレがその状況を変えてきていると思います。 2022年11月の中間選挙では、景気が強いにもかかわらず、民主党は連邦議会下院の議席を失いました。インフレがある以上、好景気の恩恵を感じられない有権者が多かったということでしょう。 つまり来年の選挙に向けては、これまでのように景気減速を防ぐための拡張的な財政政策が打たれるという法則は成り立ちません。「ちょっとやそっとの景気の減速が起きても、助け船を出すのを我慢する年になる」と考えています。 もしトランプ氏が当選したらどうなるか ――米国民の所得格差をついて下馬評を覆し大統領に就任したトランプ元大統領が、共和党候補として出てくるだろうと言われています。 前回、トランプ氏が大統領に当選したときは、上下両院で共和党が過半数議席を取ったため、財政対策を打ちやすかったんですね。議会の選挙がどうなるかによっても市場の反応は大きく変わるでしょう。 トランプ氏が大統領となり共和党が上下両院で過半数議席を取り返すと仮定すると、トランプ減税の第2弾が始まると思います。今回は財政赤字やインフレが問題となっていますので、減税のために社会保障を削るなどの政策が出ると予想されます。 一方、上下両院での過半数議席が取れずにねじれ議会になると仮定すると、ホワイトハウスだけでできる外交、安全保障、規制改革などでトランプ色が出てくることになります。 例えば、バイデン政権が進めている電気自動車へのシフトなどのエネルギー対策についても規制緩和をし、シェールオイル(地下深くの地層に含まれる原油)の増産を認めるなど、自国でのエネルギー生産を増やし、OPEC(石油輸出国機構)への依存を減らすでしょう。 また、バイデン政権では、大企業に対して独占禁止法違反の訴えを起こすなどの動きがありますが、これも取り下げになるでしょう。移民政策も停滞し、労働市場がタイト化すると予想できます。トランプ氏が、ロシアのプーチン大統領と個人的に懇意にしていたことも踏まえると、対ロシア・ウクライナとの関係がどうなるかも不透明です。 バイデン政権がはらむ矛盾 一方、バイデン政権が継続となる場合も、問題含みです。今のバイデン政権は政策と支持層の矛盾があちこちにあり、身動きが取れない状態となっています。 自動車業界のストライキをとってもそうです。バイデン政権はグリーンエネルギーの普及を推進していますが、自動車業界の労働組合を支持母体としています。組合から見ると、自動車のエンジンがモーターに置き換わると雇用が減ってしまうという矛盾をはらんでいるのです。 また、環境団体が支持母体にいるので、原油生産を進めたくてもできず、OPECに増産をお願いすることになるというジレンマもあります。 移民政策についても、バイデン政権は有色人種の支持層が厚いので、移民に厳しい政策は取れません。しかし、不法移民が大量に入ってきており、ニューヨークなどの都市では不法移民のシェルターが財政を圧迫しています。 いずれにせよ、来年の大統領選挙から金融市場をみると、不確実性が高まるのは確かです。来年は選挙に向けて市場のボラティリティが上がることに注意が必要です。そのときに利下げがあると安心材料にはなりそうです。 ――2023年10月、米国史上初めて、米連邦議会下院議長が解任されるという騒動が起きました。今は政府閉鎖こそ免れているものの、正式な予算案は成立していません。格付け会社大手3社のうち2社が米国債券をAAAからAAプラスへと格下げしており、今後も格下げが進むのではないかという見方もありますが、どう考えますか。 格付け会社大手3社が、米国債をAAAからAAプラスに格下げした場合に、売らざるを得ない投資家がいるのか、というところから考えましょう。結論から言うと、私の考えでは「いない」です。 今回議論になっているのは、米国債の長期債の格付けのため、短期債の運用をしている人には影響がありません。長期債で運用している年金基金や保険会社の機関投資家からすると、気にしなくてはならないのは格付けではなくインベストメントグレードです。投資適格か不適格かが投資対象から外す見分けどころであり、格付けがAAプラスになったからといって機械的に売る投資家は出てこないでしょう。 しかし格下げのインパクトは、心理的なものとして出てきます。 米国の好景気が長期で保たれる場合、長期金利も高止まりする公算が大きいです。連邦政府の利払い負担はどんどん膨らんでいき財政赤字は深刻化します。そのため、長期債に投資する投資家が利回りの上乗せを要求する「財政プレミアム」の議論になります。格付けの件が加わり、やはり米国の信用力がおかしいのではないか、財政の持続性がないのではないかと議論になるわけです。 そしてまた長期金利が上がる、利払い負担が増えるという悪循環に陥ってしまいます。この循環が、不況入りするまでは続いてしまうのです。 不況入りはこの状況を変えるためには必要であり、不況入りまでの期間が長ければ長いほど、反動が大きくなるのです。 ――不況入りというとネガティブなイメージがある人も多いと思いますが、今の米国にとっては単純に悪い現象ではない、ということですね。ありがとうございました。 無登録格付けに関する説明書 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 09:30
【米国株決算速報】テスラ(TSLA):サイバートラックの出荷や年間生産台数の目標を維持、株価は-2.13%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を下回った 米国時間10月18日引け後に、EVの製造販売や太陽光発電事業を行うテスラ(TSLA US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を3.1%下回り、EPSは市場予想を9.0%下回りました。 会社は、設備の刷新で一部の生産ラインが停止したことや、部品の供給拡大が間に合わず米テキサス州工場での電動SUVの「モデルY」の生産拡大のペースが緩やかになっているとコメントしました。 サイバートラックの出荷時期と年間生産目標を維持 会社は、電動ピックアップトラックの「サイバートラック」の出荷を2023年10-12月期に開始することや、EVの生産台数を年間50%増加させる長期目標に沿って2023年12月期通期に180万台を生産する見通しを改めて示しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 テスラの株価は、前日比4.78%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比2.13%安の237.52ドルで推移しています(NY時間18:00)。 株価は決算発表当初上昇したものの、決算説明会でサイバートラックの黒字化には1年半程度かかるとコメントしたことなどに反応して下落に転じたと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】テスラ(TSLA):自動運転技術を他社へ提供へ、株価は-4.11%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/18 19:00
【銘柄ランキング】NISA口座で買われた個別銘柄は?トップ20を紹介(2023年9月分)
中間配当の権利取りや急落銘柄の押し目狙いとみられる買いが目立つ 一般的に、9月は3月期決算企業の中間配当の権利取りを狙った買いが発生します。そのため、配当利回りが高いとされる銘柄が複数ランクインしています。例として、前月の11位から4位に順位を上げたソフトバンク(9434)は、高配当株として有名です。また、前月と同じく7位だった三菱HCキャピタル(8593)は、連続増配株として知られています。 直近、原油価格が乱高下しています。前月の13位から6位に上昇した石油元売りのENEOSホールディングス(5020)の業績は、原油価格の影響を強く受けるため、株価も連動して大きく変動しています。 本田技研工業(7267)は、前月はランキング圏外でしたが、10位に急上昇しました。ホンダは、2023年10月1日付で1株を3株に分割しています。株式分割は、個人投資家からの新規資金流入への期待を高め、多くの場合ポジティブに評価されますが、権利落ち日が材料出尽くしのタイミングとなりやすい点には、注意が必要です。 鉄鋼セクターの2社が前月から順位を上げています。日本製鉄(5401)が9位(前月:28位)、神戸製鋼所(5406)が12位(前月23位)にランクインしました。鉄鋼セクターは、9月末から10月初めにかけての日本株の調整局面で下落率が相対的に高くなりました。年初来のパフォーマンスが非常に良好だったことから、利益確定売りが先行した可能性があります。 IHI(7013)が、前月のランキング圏外から15位にランクインしました。米航空防衛大手RTXは9月中旬に、傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が製造した航空エンジン「PW1100G」の不具合に関して、補償金などを含め、今後数年で30億~35億ドルの費用負担が発生すると発表しました。この発表を受けて、共同開発に参画した重工大手3社の株価は大きく下落しました。「PW1100G」の開発参加比率は、IHIが15%と3社中で最も高く、株式市場の注目を集めました。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月10日時点。 NISA口座のご利用にあたっての留意事項 ご投資にあたっての注意点