特集
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2023/10/08 09:00
【オピニオン】日銀短観が示す「ソフトウェア投資」の重要度の増加
日銀短観・9月調査が発表されました。業況判断DIの「最近」は大企業・製造業が+9(6月調査実績+5)、大企業・非製造業が+27(同+23)となり、非製造業のDIの高さが目立つ一方、製造業のDIも3月調査から好転が続いています。概ね非製造業が主導する形での回復となっています。 一方、最近の交易条件(販売価格判断DIと仕入価格判断DIの差)を見ると、大企業・製造業は改善し、大企業・非製造業ではほぼ横ばいとなっています。交易条件の改善が業種全般にわたっていることが、今次景気回復の特徴であり、年初来の株価上昇のけん引役となってきました。ただ、先行きの交易条件は製造業・非製造業ともにほぼ横ばいが見込まれています。 こうした環境の中で注目されるのは企業の投資計画が堅調であることです。直近ではコロナ禍により2020年度は落ち込みましたが、その後は急回復しています(下図)。特にソフトウェア投資は2023年度は2022年度に続き、前年度比10%以上の高い伸びが計画されています。近年、いわゆる工場のような箱物投資よりもむしろソフトウェアのような無形資産投資の重要度が増しています。特にソフトウェア開発をリードする米国では、ソフトウェアを含めた知財投資額が工場や機械などの実物投資額を上回っています(GDPベース)。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ある意味で、世界最先端の財、サービスを開発・提供するうえで、ソフトウェアの巧拙が優劣を決めると言っても過言ではないでしょう。日本においても、ソフトウェア投資が活性化しています。 従来、企業の投資については、「米国は金利、日本はキャッシュフロー次第」と言われてきました。もちろん、様々な要因が投資を誘発しますが、2023年度の日本企業の経常利益が3期連続で最高益を更新する見込み(ラッセル野村Large Cap)であることも追い風となります。 足元で日経平均株価は30,000円台へ下落しています(10月4日現在)。原油価格(WTI)が90ドル/バレル台へ上昇し、財政赤字の拡大を受けて米国債が大幅に増発されていることなどを背景に米国長期金利(10年国債利回り)が4%台後半へ上昇していることが主な要因です。それを受けて日本の長期金利も上昇していますが、やがては日本の緩和的金融政策も出口を迎えます。しかし、こうした環境下でも企業が積極的な設備投資・研究開発投資を続けてゆくことは企業の国際競争力の源泉となります。AIについても漸く実用化段階に入ってきました。益々ソフトウェアの重要度が増します。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/07 19:00
【野村の動画】新NISA リタイアメント層はどう活用する?~前編~
2024年からのNISA(少額投資非課税制度)は、非課税で投資できる額が従来より大幅に増え、非課税の保有期間が無期限となるなど、より使いやすい制度になります。このNISA制度を使って資産形成すべきなのは若い人だけなのでしょうか。リタイアメントが迫る世代は、どう考えていけばよいのでしょうか。動画で解説します。 ※後編はこちら NISA口座のご利用にあたっての留意事項 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/07 13:00
【投資と税金】相続が争族にならないために
順調に増やした大切な資産、その資産が相続の際に家族のもめごととなってしまっては、心残りとなります。また、相続人にとっては相続の手続き・税の申告は大仕事です。ましてや、「争族」となってしまった場合には、費用も時間もかかります。残された家族が争族争いに巻き込まれないために、事前に対策できることがないか大手町トラストの税理士に伺いました。 はじめに 人が亡くなると、亡くなった方の財産上の権利義務をその配偶者や子などが承継する「相続」手続きがあります。 昨今は、相続人間でこの遺産の分割を巡って争う事例が増加しており、令和2年の全国の家庭裁判所の遺産分割に関する調停・審判の新規受付件数は、14,617件で、20年前と比較するとおよそ1.3倍となっています。 令和2年の国税庁の調査によると、被相続人一人当たりの遺産額の全国平均は1億3,619万円、相続税額は1,737万円でした。 令和2年の家庭裁判所の遺産分割に関するデータを見ると、調停・審判で扱う遺産分割の遺産額は5,000万円以下が最多となっています。遺産分割におけるトラブルは誰にでも起こりうる問題ともいえます。 一方、遺産額と審理期間で見ると、遺産額が多いほど審理期間もかかる傾向にあります。 今回は、この遺産分割で問題となりやすい典型的な状況とその対策について、説明します。 遺産分割の問題とその対策 相続が開始すると、故人の財産は、ひとまず相続人全員の共有財産となり、その後、相続人全員で具体的にその財産を分けることになりますが、次のような状況にあると、その遺産分割が困難になる場合があります。 (1) 財産が相続人間で均等に分割しにくいもの(不動産など)で構成されている場合 ≪問題点≫ 主な財産が自宅。 財産が自宅のみで、同居の子(相続開始後も継続して居住を希望)と別居の子とで分割の意向が異なる場合。 解決策 ≫ 代償分割(※)により、自宅を取得した同居の子を死亡保険金の受取人とした生命保険を活用し、別居の子への代償金に充てる。 (※)代償分割とは、現物を取得した相続人が他の相続人に金銭(代償金)を支払う方法。 ≪問題点≫ 財産に不動産が多い(現金があまりない)。 不動産の時価は物件によって異なるため、現物では均等に分けることができない。不動産は修繕・管理が必要で、コストもかかるため、取得を望まない相続人もいる。 解決策 ≫ 財産の構成を早めに再考し、一部不動産を売却する等して現金化しておく。 (2) 特定の相続人に生前贈与をした又は特定の相続人が特別の貢献をした場合 ≪問題点≫ 特定の相続人に生前贈与をしていた場合、他の相続人が不公平感を抱き、対立する。故人の家業を手伝っていた又は療養看護を行っていた相続人が寄与分(※)を主張する。 (※)寄与分とは、被相続人に対し、無償もしくはそれに近い状態で事業の手伝いや療養介護等の行いに対し、遺産分割で財産を相続できる制度。 解決策 ≫ 遺言書を作成しておく。 (3) 子どものいない夫婦又は家族関係が複雑な場合 ≪問題点≫ 子どものいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、配偶者に加えて故人の両親も相続人になる。直系尊属がすべていなければ配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人になる。養子がいる、離婚したもとの配偶者との間に子どもがいる、認知した婚外子がいる。 相続人同士が疎遠の場合や関係が良好でない場合、トラブルに発展することもあります。 解決策 ≫ 誰が相続人になるか確認した上で、遺言書を作成しておく。 遺言書の作成 遺言とは、自分が死亡したときに財産をどのように分配するか等について、自己の最終意思を明らかにするものです。遺言がある場合には、原則として、遺言者の意思に従った遺産の分配がされるので、遺産の分割を巡る争いを事前に防止することができます。 遺言の方式には、主に、自書能力が備わっていればいつでも作成でき、手軽かつ自由度の高い自筆証書遺言と、公証人の関与の下で、2人以上の証人が立ち会うなど厳格な方式に従って作成され、公証人がその原本を厳重に保管する公正証書遺言があります。自筆証書遺言は、法務局における保管制度があり、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するか否か外形的なチェックは受けられますが、内容の有効性を保証するものではありません。各方式の長所・短所を理解して選択する必要があります。 遺産分割が成立しない場合の相続税申告 相続税の申告期限までに遺産分割が成立しない場合でも申告期限までに、「法定相続人が法定相続分どおりに財産を取得したものとして」相続開始後10ヶ月以内に相続税の申告・納付を行わなければなりません。 遺産分割が成立した段階で、その分割に基づき、再度相続人ごとの相続税を計算し、納めた税金が少ないときは修正申告で不足分を追加納税します。税金を納めすぎている場合は、更正の請求をすることにより還付を受けられます。 むすびに 家族の在り方や価値観が多様化する現代において、「相続」が「争族」にならないためにも、残される家族への最後のメッセージとして遺言が果たす役割は重要になってきています。また、遺言書がある場合にも、相続人間の同意の下、遺言と異なった遺産分割も可能です。 ※遺言書の作成については、「【投資と税金】紛糾する遺産分割、対策には遺言書?」をご覧ください。 本解説について:令和5年4月に施行されている法律等に基づき作成しております。情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。個別の税務の詳細については、所轄税務署や税理士等にご相談ください。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/07 07:00
【来週の予定】「良いニュースは悪いニュース」を脱却できるか
来週の注目点:米国・ユーロ圏の9月金融政策会合議事要旨に注目 金融市場では米国景気軟着陸の可能性を示唆する堅調な経済指標が政策金利高止まり観測を喚起し、長期金利上昇を経由して株安材料視される、「良いニュースは悪いニュース」といった状況が続いています。このような状況を脱却するためにはインフレの鎮静化が待たれるため、米国の物価関連統計が市場の注目を集めることが予想されます。 米国では10月11日(水)に9月のPPI(生産者物価)、翌12日(木)に9月のCPI(消費者物価)が発表されます。コアCPI(除く食品・エネルギー)が前月比+0.3%を下回る上昇率に落ち着けば市場の安心感に繋がりそうです。 同様に、11日(水)発表の9月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨も注目されます。FRB(米連邦準備理事会)は9月会合で政策金利を据え置いた一方で、24年末の政策金利見通しを上方修正しました。今後の政策運営に対するFRB内でのバランスを確認できる材料として市場の関心を集めそうです。 ユーロ圏では、12日(木)にECB(欧州中央銀行)の9月政策理事会議事要旨が公表されます。ECBは9月会合で0.25%ポイントの利上げを決定した一方で、声明文では利上げ打ち止めの可能性を示唆しました。ラガルド総裁も会合後の記者会見で、全会一致の決定ではなかったことを認めています。これらのことから、利上げ決定は微妙なバランスの上での結論だったと見受けられます。ECB内の政策スタンスのバランスを改めて確認し得る材料として、議事要旨が市場の注目を集めそうです。 日本では政府が今月中に経済対策を取りまとめ、臨時国会を開催する予定です。野村證券では対策規模は20~30兆円程度と予想しています。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年10月6日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/06 17:10
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (10月第1週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2023年10月第1週(2023年9月29日~10月5日) 2023年9月月間(2023年8月31日~9月29日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年10月5日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年10月5日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2023年10月第1週(2023年9月29日~10月5日) 2023年9月月間(2023年8月31日~9月29日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年10月5日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年10月5日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX︓東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2023年10月6日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/06 09:30
【銘柄紹介】9月IPO銘柄のパフォーマンスと10月IPO銘柄の紹介
2023年9月のIPO銘柄のパフォーマンスと、今後のIPOの予定を紹介します。 9月IPO銘柄のパフォーマンス 9月12日 上場 ライズ・コンサルティング・グループ(9168)事業内容: 総合コンサルティング事業 9月20日 上場インテグラル(5842)事業内容:1.エクイティ投資/2.エクイティ投資に付随する経営及び財務に関するコンサルティング 9月21日 上場揚羽(9330)事業内容: Web サイト・映像・グラフィックの制作を中心に顧客のリクルーティングやコーポレートブランディング領域でのブランド浸透・構築を支援 9月22日 上場ファーストアカウンティング(5588)事業内容: 会計分野に特化したAIソリューション事業(経理AI事業) 9月22日 上場笹徳印刷(3958)事業内容: 紙類及び包装資材の製版、印刷、加工並びに販売。出版物並びに宣伝広告媒体等の企画、編集、製作、販売。情報サービス事業並びにソフトウェアの企画、開発、製作、編集及び販売 9月25日 上場ジェイ・イー・ティ(6228)事業内容: 半導体洗浄装置の開発・設計、製造、販売及びこれらに付帯する保守・サービス等 9月26日 上場オートサーバー(5589)事業内容: 中古車取扱事業者を対象とする中古車のオークション代行サービス及び業者間売買の仲介サービスの提供等 9月26日 上場ネットスターズ(5590)事業内容: マルチ QR コード決済サービス「StarPay」の提供等 9月27日 上場AVILEN(5591)事業内容: AI ソフトウエア及びビルドアップパッケージの提供をはじめとする AIソリューション事業 9月27日 上場オカムラ食品工業(2938)事業内容:サーモンの養殖、水産品の加工・販売 (注)初値及び直近月末終値が公開価格に対して上回っているものは赤、下回っているものは青で表示(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報を基に野村證券作成 10月以降のIPO銘柄 10月3日 上場 ニッポンインシュア(5843)事業内容: 家賃債務保証サービスを主とした保証事業等 10月3日 上場 西部技研(6223)事業内容:デシカント除湿機やVOC 濃縮装置等の製造、販売、据付・保守等のサービス 10月4日 上場 くすりの窓口(5592)事業内容: 薬局・医療・介護向けソリューションの提供 10月4日 上場 キャスター(9331)事業内容:リモートアシスタントをはじめとした人材事業運営 10月13日 上場予定 成友興業(9170)事業内容: 汚染土壌処理業、建設系産業廃棄物の収集運搬及び中間処理、建設業 10月17日 上場予定 ケイファーマ(4896)事業内容: 医薬品の研究・開発・製造・販売再生医療等製品の研究・開発・製造・販売 10月23日 上場予定 売れるネット広告社(9235)事業内容: D2C(ネット通販)事業者のインターネット広告の費用対効果を改善することを目的とした、クラウドサービスおよびマーケティング支援サービスの提供 10月24日 上場予定 ジャパンM&Aソリューション(9236)事業内容: M&Aアドバイザリーサービス 10月25日 上場予定 全保連(5845)事業内容: 家賃債務保証事業 10月25日 上場予定 KOKUSAI ELECTRIC(6525)事業内容:半導体製造装置の開発・製造・販売・保守サービス及びそれに附帯関連する事業 10月26日 上場予定笑美面(9237)事業内容:高齢者等に対するシニアホームの紹介サービス 10月27日 上場予定ドリーム・アーツ(4811)事業内容:大企業に特化した業務デジタル化SaaS プロダクト(ノーコード開発ツール「SmartDBョ」等)及びコンサルティング・サービスの提供 (注1)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注2)全てを網羅しているわけではない。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報をもとに野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/05 19:00
【月間ランキング】投資家が新たにウォッチリストに登録した個別銘柄は?トップ10を紹介(10/5)
神戸製鋼やホンダがトップ10に浮上 先月1ヶ月間で新たにFINTOS!ウォッチリストに登録されたトップ10の銘柄をランキング形式でご紹介します。 前月に続き日本電信電話(9432)が1位となりました。自民党が防衛財源の確保策としてNTT株の売却を提起し、それに伴いNTT法の改正議論が始まっています。政府保有のNTT株売却に関しては、自民党からは20年かけて売却するとの意見が表明されました。一方、NTTは株価への悪影響を防ぐ方針を示しており、野村證券では、株式需給に対するネガティブな懸念は沈静化したとみています。 神戸製鋼所(5406)が前月の15位から6位に順位を上げました。9月上旬にトヨタ自動車(7203)が集中購買制度をベースに、系列部品会社に支給する際の鋼材価格について、2024年3月期下期は上期から据え置かれると報じられました。トヨタ以外の完成車メーカーや自動車以外の「ひも付き」取引も同様の価格交渉結果に至った場合、神戸製鋼の利益に貢献する可能性があるため、株式市場ではポジティブに受け止められました。 ENEOSホールディングス(5020)が前月の10位から8位に上昇しました。米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は、今年6月には70ドル台で推移していましたが、7月以降上昇して、9月中旬には一時90ドル台を突破する場面もありました。ENEOS株も同時期に年初来高値を更新しています。原油価格の上昇は、石油元売セクターの業績にプラスに働きます。具体的には、石油・天然ガス開発事業でプラスになるうえ、在庫評価益の拡大も見込まれます。 本田技研工業(7267)も前月の45位から10位へと大きくランクアップしました。全米自動車労働組合(UAW)が米国ゼネラル・モーターズ(GM)など、「ビッグ3」と称される自動車大手企業へのストライキを実施中です。野村證券では、米国の労働関連コストが上昇すると、ホンダの北米事業の利益率が今後4年間にわたって大幅に低下する可能性があると分析しています。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月3日時点。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/05 12:00
【#アパレル】AI抽出15銘柄/ZOZO、アダストリア、AOKI…
しまむらの純利益が過去最高に アパレル大手のしまむら(8227)が10月2日に発表した2023年3-8月期決算は、純利益が前年同期比2%増の209億円となり同期間で過去最高になりました。背景には、高気温を追い風に夏物の販売が好調だったことに加えて、値下げも抑制されたことがあります。仮に今後、アパレルの需要が増加した場合、日本企業にどのような影響を与えるのでしょうか。AI「xenoBrain」は、「アパレル需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ニューストピック:アパレル需要増加 「xenoBrain」はアパレル大手などを中心に15銘柄をリストアップしました。 ・ZOZO・アダストリア・AOKIホールディングス・東急・良品計画・エイチ・ツー・オー リテイリング・京浜急行電鉄・しまむら・ファーストリテイリング・上村工業・日本瓦斯・伊藤忠エネクス・岩谷産業・ミツウロコグループホールディングス・花王 ※xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)時価総額500億円以上の銘柄を表示している。xenoBrainのデータは2023年10月4日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/05 09:30
【市場展望】23年度業績予想は自動車を中心に上方修正
23年度予想は1.7%増収、9.9%経常増益 ラッセル野村大型株指数の構成企業を対象に、野村のアナリストによる2023~24年度業績予想を集計した(売上高と営業利益については金融を除くベース、以後同様)。 23年度予想は、前年度比で1.7%増収、同12.3%営業増益、同9.9%経常増益、同8.9%税引利益増である。前回の集計と比較して、増収率は1.4%ポイント、営業増益率は1.2%ポイント、経常増益率は2.9%ポイント、税引利益増加率は3.1%ポイント、いずれも上方修正となった。 上方修正企業と下方修正企業の比率の差を示すリビジョン・インデックス(経常利益ベース、対象年度は23年度予想、対象期間は23年6月2日から9月1日)は+10.4%と、上方修正が優位となった。業種別では素材産業の下方修正超過が続いたが、生産が順調に回復している自動車や、行動制限緩和の恩恵を受けた内需業種で上方修正が下方修正を上回った。 業種別の動きを見ると、前回予想と比べて上方修正の金額が大きかったのは、自動車、金融、公益、商社、ソフトウェアなどであった。特に、自動車の上方修正額は他業種に比べて突出した。 自動車は、半導体不足が解消された増産効果、車種構成の改善、値上げ効果などが従来想定を上回ると判断した。また、為替前提を従来から円安方向に見直したことも要因である。金融では、大手銀行の内外大企業部門など、本業収益の好転等を業績予想に反映させた。公益では、電気料金の値上げや、原発再稼働による燃料費削減効果などを織り込んだ。商社では、自動車事業など複数の部門が好調であるほか、鉄鉱石など一部の資源価格が従来想定に比べて堅調に推移していることなどを踏まえて予想を見直した。ソフトウェアでは、映画効果などによって任天堂のハード、ソフト販売が共に想定を上回った。 前回予想と比べて下方修正の金額が大きかったのは、化学、運輸などであった。化学は、石油化学事業の需要の鈍化、ヘルスケア(医薬品)事業における独占販売期間の終了、研究開発費の増加などの影響が大きい。運輸では、海運市況の回復が進んでいないことを考慮した。 24年度は電機・精密、化学の回復を予想 24年度予想は、前年度比2.3%増収、同8.8%営業増益、同6.8%経常増益、5.6%税引利益増である。前回の集計からは、増収率は0.2%ポイント、営業増益率は0.3%ポイント、経常増益率は1.7%ポイント、税引利益増加率は2.3%ポイント、いずれも下方修正となった。 ただし、24年度の伸び率の下方修正は、前述の通り23年度予想が上方修正されたことによるものである。金額ベースでは、売上高、営業利益、経常利益、税引利益のすべてが増額修正されている。なお、業種別の業績予想の修正要因は、おおむね23年度と同様である。 24年度は19業種中16業種で経常増益、3業種で経常減益を予想している。欧米の景気が回復に向かい、製造業を中心に幅広い業種がその恩恵を享受しよう。電機・精密、化学などで23年度の経常減益予想から24年度に経常増益予想に転じる企業が散見される。 増益寄与が大きいと予想するのは、電機・精密、化学、金融、通信、機械、運輸などである。電機・精密では、生成AI(人工知能)向けの半導体需要増加などによる半導体製造装置市場の回復・拡大、車載向け電子部品の出荷回復など、幅広い分野での需要回復を見込む。化学では、半導体市場の回復に伴う電子材料の需要改善、石油化学事業の持ち直し等に加えて、原油在庫評価損の剥落も増益予想に貢献する。 金融では、市場部門関連収益や大企業取引などの増加、子会社利益の復調、経費コントロールの継続など、増益要因が多岐にわたる。通信では、携帯電話事業の改善を見込んでいる。機械では、半導体向けなどFA(生産工程自動化システム)の回復を予想する。運輸では、鉄道や空運で旅客需要の回復を見込むほか、海運市況の持ち直しを想定している。 一方、減益寄与が大きいと予想するのは、公益、商社などである。公益は、燃料費調整制度上の利益が剥落する。商社は、原油など資源価格が23年度比で下落する前提に沿った予想である。 (野村證券市場戦略リサーチ部 元村 正樹) ※野村週報 2023年10月2日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点