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08/31 12:00
【9月の投資戦略】史上最高値圏の株式市場、悪材料一巡後はさらなる評価が進むか
(注)画像はイメージです。 企業業績の成長が株価上昇の中核 トランプ政権の関税が強化され、その影響はこれから出てくるものもあるとみられます。一方、2025年8月に、日経平均株価は1年1ヶ月ぶりに史上最高値を更新しました。米国S&P500指数は、史上最高値の更新を続けています。我々は、リスクの所在が明確化し、主要国・地域の経済や企業活動などへの悪影響は克服可能/限定的となれば、企業業績の復調や拡大と共に株式市場への信頼感は回復してゆくとみており、この見方は現在も不変です。 FRBの利下げ期待が高まる 米国ではトランプ政権による相互関税の追加の課税が発動し、8月7日の船積み、10月5日以降の通関以降の適用が開始されました。インドやブラジルなどの主要新興国に対して高関税が課され、半導体など重要品目に対しては自国産業の保護に向け、更なる関税実施が宣言されています。一方、貿易や小売り、物価などの統計に大きな変調は見られず、企業が負担を一部肩代わりしている可能性があります。雇用に減速がみられ、市場では利下げ観測が高まっています。2026年5月で任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事の議論が進みますが、FRBの独立性や信認が揺らぐ場合、市場では金利上昇や米ドル安に進む可能性があります。 テクノロジー分野は米国の成長の中核 米国企業業績は、関税政策の影響を受けるセクターは厳しい状況にありますが、その影響を受けにくく、政権が成長を支援するテクノロジーセクターは業績の拡大が続いています。AIサービスや関連するデータセンターなどの分野に対する投資が加速しています。今後も、AIを中心とするテクノロジー分野は、米国経済や企業業績の中核であり続けるとみられます。 中国の景気対策への期待 ユーロ圏は米国との関税交渉も大筋決着し、インフレ率や景況感も落ち着き始めており、利下げ局面は終了したとみられます。中国は米国との事実上の関税交渉の期限が11月10日まで延長されましたが、具体的な交渉の進捗は聞こえていません。不動産市況を中心に国内経済が弱含む中、有効な景気対策が打ち出されるかどうか、今後の政治日程が注目されます。 日本の企業業績は2026年度に再拡大へ 日本は米国との関税合意後、実務上不利な措置が採られたままで、米国に対して早期の是正を求めています。修正は早くて9月中旬までかかるとの見方があります。一方、主要企業を中心に関税への対応は進められており、在庫水準は抑制されています。国内経済は、実質賃金上昇率が低迷しており、生活に密着した食料などの体感物価は厳しい状況です。日本銀行は、米国との関税合意などで局面が変化したことから、経済・物価情勢の改善に応じて追加の利上げを行う姿勢を見せ始めています。物価高への配慮から、経済対策の実現に向け、与野党間の議論が進められています。このようなインフレや国債増発への思惑から、国債利回りは償還期限の長い超長期債を中心に上昇が続いています。2025年度の企業業績は減益が予想されています。ただし、為替は現状の水準であれば、企業業績への影響は大きくありません。足元の企業業績の方向感には底打ちの兆しがみられ、2026年度は2桁増益が見込まれています。野村證券は2025年末の日経平均株価の予想レンジ上限を45,000円とみます。 投資戦略については、トランプ政権の関税政策や日米政治情勢の不透明さから、株式市場のボラティリティー(変動率)が高まる場面はあるとみます。しかし、関税の影響を受けにくく、成長が続くテクノロジーやサービスなどの業種を基軸とする見方は変えません。悪材料の一巡と共に企業業績が復調に向かうならば、株式市場の評価は進むとみます。 ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 9月号」(発行日:2025年8月25日)「投資戦略の概要」より 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト 小髙 貴久 1999年野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。日本の経済・財政・金融動向、内外資本フローなどの経済・為替に関する調査を経て、2009年より投資情報部で各国経済や為替、金利などをオール・ラウンドに調査。現在は日本株に軸足を置いた分析を行う。2013年よりNomura21Global編集長を務める。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点
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08/30 09:00
【オピニオン】FRBの金融政策とパウエル議長の後任人事
※画像はイメージです。 注目されたジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演は、次回9月16-17日のFOMC会合での利下げの可能性を示唆する内容でした。 パウエル議長は、雇用下振れリスクが高まっているとの見解を示したうえで、政策が景気抑制的な領域にある現状では、「政策スタンスの調整を正当化する可能性がある」との考えを明らかにしました。 市場ではこの発言をハト派的(利下げに積極的)と受け止め、FF(フェデラル・ファンド)金利先物は25年中に2回の利下げを完全に織り込みました(1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントと想定)。また、26年末までに累計5回の利下げが実施され、政策金利の誘導目標は3.00-3.25%へ低下するとの見方を織り込んでいます。 米国の政策金利見通し (注)データは日次で、直近値は長期均衡金利は2025年6月18日、それ以外は2025年8月25日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利翌日物のレンジの中央値。FF金先はFF金利先物。長期均衡金利は25年6月19日以降は横ばいとして延長。(出所)FRB、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 一方、野村證券では、FRBは25年9月、12月、26年3月と3回の利下げを行い、政策金利を3.50-3.75%へ引き下げると予想しています。25年中に2回、26年に1回の利下げとの見通しは、25年6月FOMC時点のFRBの見通しと一致しています。 26年以降の利下げペースや政策金利の着地点を予想する上で、市場ではパウエル議長の後任候補を含む、FRB理事の人事が注目を集めています。特に、市場が織り込む3.0%の政策金利水準は、FRBが想定する長期均衡金利であるだけではなく、ベッセント財務長官がありうべき政策金利水準として言及した水準でもあります。 FRBの政策決定では、議長、副議長を含む7名の理事とニューヨーク連銀総裁に加え、輪番制で4名の地区連銀総裁が投票権を有しており、多数決によって議決されます。パウエル氏の任期は議長としては26年5月ですが、理事としては28年1月まであります。近年は議長としての任期満了とともに、理事も辞任することが慣例となっていますが、パウエル氏は進退を明らかにしていません。また、25年8月8日にクグラー理事が辞任、8月25日にはトランプ大統領がクック理事を解任する意向を示しました。 直近7月FOMCで利下げを主張した参加者は、トランプ政権下で任命されたボウマン副議長とウォラー理事の2名だけでしたが、仮にパウエル議長が理事を辞任した場合、トランプ大統領の意を汲んだ政策判断を行う可能性がある理事は、議長を含み最大5名となる可能性があります。 市場ではFRBの独立性が脅かされれば、米国への信認低下から株安・債券安・米ドル安のトリプル安を招くとの警戒感もあります。トランプ大統領は具体的な手法は不明ながら、理事会だけではなく地区連銀総裁人事にも関与する意向を示しており、これらの点には注意が必要です。 ご投資にあたっての注意点
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08/30 07:00
【来週の予定】米国の経済指標、中国の景況感
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演(8月22日)では2025年9月FOMCでの利下げの可能性を示唆したものの、関税によりインフレには上振れのリスクがあるとして警戒感を示しました。また、今後の利下げの道筋はデータ次第であるとの従来からの姿勢を維持したことから、改めて経済指標に注目が集まります。米国では9月2日(火)に8月ISM製造業景気指数、3日(水)に地区連銀経済報告(ベージュブック)、4日(木)に8月ADP全米雇用レポート、7月貿易統計、8月ISMサービス業景気指数、5日(金)に8月雇用統計と重要統計の発表が続きます。 日本では、9月2日(火)に氷見野日銀副総裁の発言機会が予定されています。また、5日(金)に7月毎月勤労統計が発表されます。野村證券では、7月の現金給与総額(1人当たり名目賃金)は前年比+3.0%と、6月(同+3.1%)から減速したと予想します。また、CPI(消費者物価指数)の減速を受けて、実質賃金は同-0.6%と、前月(同-0.8%)からマイナス幅が縮小したと予想します。 中国では、8月31日(日)に8月政府版PMI、9月1日(月)に8月RatingDog製造業PMI、3日(水)に8月RatingDogサービス業PMIなどの景気指数が発表されます。野村證券では、公務員等に対して5月から実施している豪華な宴会等を禁止する「倹約令」が、飲食店の売上や酒類販売などの消費を下押ししたと予想します。また、7月から政府が実施している低価格競争や過剰生産を抑制する規制強化が生産を下押しした可能性があります。さらに、消費財下取り制度による需要の反動減なども見込まれ、年後半の中国景気には下押し圧力が強まると野村證券では予想します。 欧州では、9月2日(火)にユーロ圏の8月HICP(消費者物価指数)が発表されます。25年後半にはユーロ圏の実質GDP成長率が加速する中でもインフレ率が政策目標の2%程度で留まり、ECBの利下げ局面は終了したと野村證券では予想します。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月29日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/29 16:28
【野村の夕解説】AI関連株は上昇も日経平均株価は反落 110円安(8/29)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 29日の日経平均株価は、主要な値がさ株の利益確定の動きにより終日軟調な動きとなりました。寄り付き前には8月の東京都区部の消費者物価指数が公表され、生鮮食品を除くコアCPIが前年比+2.5%となりました。結果は市場予想と一致し、株式市場への影響は限定的でした。また7月鉱工業生産も公表され、前月比-1.6%となりました。自動車工業や生産用機械工業が振るわず、2ヶ月ぶり低下となりました。日経平均株価は前日比54円安で寄り付き、一時前日比217円安となりました。業種別では、不動産や保険が下落したほか、鉱工業生産の結果を受け輸送用機器も下落しました。一方、米大手ハイテク企業エヌビディアの決算内容を受け、米国を中心にAI向け半導体需要の拡大が続くとの見方から、業種別では非鉄・金属が上昇し、個別株ではソフトバンクグループやアドバンテスト、フジクラなどが上昇し相場を下支えしました。もっとも、今晩公表される米国PCE(個人消費支出)を控え、利益確定の動きもみられ、結局日経平均株価は前日比110円安の42,718円となり取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、7月のPCE(個人消費支出)が発表されます。FRBは食品・エネルギーを除いたコアPCEデフレーターをインフレ指標に位置付けているため、関税の影響がどの程度及んでいるのか注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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08/29 12:00
【今週のチャート分析】8月の日経平均75・200日線 ゴールデン・クロスで5万円超え視野
※画像はイメージです。※2025年8月28日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 これまで通り25日移動平均線が下支えとなるか 今週の日経平均株価は、高値圏で一進一退の展開となりました。前週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演(8月22日)を受け、米国株は大幅に上昇しましたが、週明けの日本株への影響は限定的でした。その後、トランプ大統領の米FRB理事解任報道や米半導体大手の決算発表といったニュースを消化し、日経平均は横ばい圏での動きとなりました。 では、チャート分析面からみてみましょう。8月19日に史上最高値(ザラバベース:43,876円)をつけましたが、短期的な過熱感から押しが入りました。今年6月以降何度も下支えとなっている上向きの25日移動平均線(図1-①:8月28日:41,998円)が、今回も下値サポートとなるか注目されます。仮に同線を割り込み、さらなる調整となった場合は、心理的フシの40,000円(図1-②)や、75日線(図1-③:8月28日:39,789円)の水準がさらなる下値メドとして挙げられます。 (注1)直近値は2025年8月28日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方、今年4月安値を大底とする中長期的な上昇トレンド自体は今後も継続すると考えられます。調整一巡後に反発となる場合は、8月19日高値(図2-④:43,876円)を突破できるかどうかがポイントです。 (注1)直近値は2025年8月28日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 75・200日線ゴールデン・クロスは中期的強気シグナル 日経平均株価は、2025年8月4日に、75日移動平均線が200日移動平均線を上抜くゴールデン・クロス(中期的な強気シグナル、G.C.)が示現しました。2000年以降、75日線と200日線のゴールデン・クロスは合計19回示現(今回が20回目)しています。1年に1回あるかないかの頻度です。 (注)株価は日次終値ベース。直近値は2025年8月22日。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 G.C.後の株価パフォーマンスを検証すると、平均で18.2%、6ヶ月程度上昇しています(表下部:A)。全くのダマシおよび、ほぼダマシに終わったとみなせる上昇率5%未満のケース9回を除いた残り10回の平均値では、それぞれ33.6%、11ヶ月上昇しています(表下部:B)。 表:75日・200日移動平均線のゴールデン・クロス (注)直近値は2025年8月22日。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 今回のケースに当てはめると、8月4日終値(40,290円)から18.2%上昇で47,622円(A)、33.6%上昇で53,827円(B)との試算結果が得られます。8月22日現在、8月4日G.C.後の上昇率は5%を超えてパターン(B)の条件を満たしています。日経平均株価は5万円超えを視野に入れた中期上昇トレンド入りした可能性が高まったと言えそうです。 (野村證券投資情報部 山内 正一郎) ご投資にあたっての注意点
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08/29 08:28
【野村の朝解説】様子見姿勢が強い中、S&P500が最高値(8/29)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 28日の米国株式市場では、景気の堅調推移を示唆する経済指標を好感して主要3指数が揃って上昇、S&P500、NYダウは過去最高値を更新しました。2025年4-6月期の実質GDP(改定値)は前期比年率+3.3%と、速報の同+3.0%から上方修正されました。新規失業保険申請件数もやや減少し、人手不足を背景に企業は従業員の解雇に慎重になっているとの見方が高まりました。米国債市場では短期国債利回りが上昇した一方で、為替市場では米ドルが主要通貨に対して小幅安となっています。 相場の注目点 米国では9月16-17日にFOMCを控えて、月初の重要統計が注目されます。最も注目度が高いのは5日発表の8月雇用統計です。7月の雇用統計が雇用増加ペースの大幅鈍化を示唆する結果であったことを契機に、市場では早期利下げ観測が急速に高まり、株高材料視されました。FRBを巡ってはパウエル議長の後任人事を巡るトランプ政権の関与も併せて注目されます。仮にパウエル議長が理事を辞任した場合、トランプ大統領の意を汲んだ政策判断を行う可能性がある理事は、トランプ大統領が解任の意向を示したクック理事を含めて、12名の理事のうち最大5名となる可能性があります。市場ではFRBの独立性が脅かされれば、米国への信認低下から株安・債券安・米ドル安のトリプル安を招くとの警戒感もあります。 本日のイベント 米国で7月のコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターが発表されます。市場では前年比+2.9%と予想されています。予想を上回る結果となれば市場の利下げ観測が低下する可能性があります。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年8月29日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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08/28 16:15
【野村の夕解説】日経平均308円高 AIデータセンター関連企業がけん引(8/28)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 28日の日本株市場は、27日の米国株市場引け後に発表されたエヌビディアの決算を受けて、データセンター関連の企業がけん引役となり、上昇しました。エヌビディアが発表した2025年5-7月期決算で、当社製品への旺盛な需要から、AIサービスの普及・拡大に向けたデータセンター投資が引き続き活発に行われていることが確認されました。エヌビディアが時間外取引で急落していたことを受けて、28日の日経平均株価は前日比212円安の42,308円で取引を開始しましたが、エヌビディアの決算について時間の経過とともに詳細が明らかになるに連れて、寄り付きは下落していたアドバンテストが上昇に転じたほか、ソフトバンクグループやフジクラといったAIデータセンター関連銘柄に加え、東京エレクトロンも徐々に上げ幅を広げる展開となりました。この4銘柄で日経平均株価を208円押し上げました。日経平均株価は引けにかけて堅調に推移し、終値は前日比308円高の42,828円で高値引けとなりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 28日、米国でウォラーFRB理事が講演を行います。ウォラー氏は早期利下げを指示する姿勢を明確にしています。9月FOMCを控え、利下げに関するヒントを得られるか注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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08/28 09:39
【米国株決算速報】エヌビディア(NVDA):対中輸出規制の悪影響継続・新製品需要堅調、株価は-3.20%(時間外取引)
決算概要:2025年5-7月期(2026.1期第2四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間8月27日引け後に、グラフィックスや、AI、データセンター向けなどの半導体の設計・販売を行うエヌビディア(NVDA US)が2025年5-7月期(2026.1期第2四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.5%上回り、EPSは市場予想を4.2%上回りました。 対中輸出規制の悪影響継続、AI用新製品の需要堅調 会社はデータセンター売上高実績のうちコンピュート(演算用製品)売上高が、中国向け製品「H20」の中国売上高が40億ドル減少したことにより、前期比(2025年2-4月期比)で1%減少したとコメントしました。一方で、データセンター売上高実績のうちネットワーキング(通信製品)売上高については、サーバー内やサーバー間の通信機器の販売が好調で前期比46%増となりました。 会社は、AI用新製品「ブラックウェル・ウルトラ」の需要好調と増産により、売掛金と在庫金額が増加したと説明しました。また、AI・クラウド企業や事業会社、政府のAI向け設備投資に強気な見通しを示しました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で下落 エヌビディアの株価は、前日比0.09%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比3.20%安の175.79ドルで推移しています(NY時間18:30)。実績や会社見通しは概ね市場予想を上回りましたが、株価が年初来で27日終値までに35%上昇していたことで利益確定の売りが出たと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2025年8月27日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2025年5-7月期(2025/7)。2025年8-10月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG集計による市場予想平均。2025年8-10月期以降の予想は2025年8月26日時点。中国向け半導体製品「H20」の対中輸出規制に関連し、EPS実績は費用や税金への影響を含み、2025年5-7月期見通しは「H20」の中国向け売上高を含まない。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) ご投資にあたっての注意点
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08/28 08:13
【野村の朝解説】様子見姿勢が強い中、S&P500が最高値(8/28)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 27日の米国株式市場で主要3指数は揃って続伸しました。主要な経済指標の発表がなく、多くの投資家が引け後のエヌビディアの決算を控えて様子見姿勢を強める中、S&P500指数は過去最高値を更新しました。米エネルギー情報局が発表した週間原油在庫統計で原油の需給ひっ迫が示されたことを受け、エネルギー株が上昇しました。NY連銀のウィリアムズ総裁は、米国の失業率が低位に推移していることを理由に、雇用情勢は「底堅い」とし、利下げは慎重に進めるべきとの考えを示しました。しかし、9月FOMCでの利下げシナリオを変更するような内容ではなく、市場への影響は限られました。 相場の注目点 米国市場27日引け後にエヌビディアが発表した2025年5-7月期の売上高、調整後EPS(1株当たり利益)は、いずれも市場予想を上回りました。さらに、25年8-10月期の売上高見通し(中間値)も市場予想を上回る内容となりました。現在は規制の対象から外れているものの、25年4月に米政府が同社の中国向けAI半導体「H20」を対中輸出規制の対象に加えた影響から中国ビジネスへの懸念が強まっていましたが、同社は中国市場の減収分を米国向けの需要が補い、高成長が続くとの見通しを示しました。今週最大のイベントであるエヌビディアの決算を受け、日本市場における半導体関連銘柄の動向が注目されます。 本日は日銀の中川審議委員が山口県金融経済懇談会に出席する予定で、今後の金融政策に関する見解に言及するかが注目されます。一方、米国では7月FOMCで利下げを求めたウォラーFRB理事の講演が予定されています。改めて9月FOMCでの利下げの必要性を主張する可能性があります。そのほか、米国で25年4-6月期実質GDP(改定値)、7月中古住宅販売仮契約、8月23日の週の週間新規失業保険申請件数が発表されます。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年8月28日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点