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42分前

【オピニオン】米国株:正常化の後ずれは好景気の証

※画像はイメージです。 2024年4月16日、IMF(国際通貨基金)は世界経済見通しを発表しました。米国の2024年実質GDP成長率見通しは前年比+2.7%と、2024年1月時点の見通しから0.6%ポイント、2023年10月時点から1.2%ポイント上方修正されました。IMFは、米国のコロナ禍中の財政支援に加え、好調な雇用とそれによる堅調な個人消費を理由として挙げました。インフレを含む名目ベースでのGDP成長率の2024年見通しは前年比+5.2%と、コロナ禍中を除けば2018年や2006年に次ぐ高さです。 米国株式市場は、堅調な経済やそれによるインフレの高止まりにより、FRB(米連邦準備理事会)が利下げや量的引き締め(QT)縮小といったコロナ禍対策からの「正常化」を後ずれさせることを警戒しています。2024年の利下げ回数の市場予想は、1回あたり0.25%ポイントとして、2024年初時点では6回強でしたが、2024年4月18日現在では約2回まで減少し、開始時期の予想も後ずれしました。 2024年3月11日にFRBは、2023年3月に地銀破綻と銀行からの預金流出を受け創設した銀行に対するローンプログラムであるBTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)の新規受付を終了しました。米大型株指数であるS&P500とBTFPの残高には、過去においては相関があるように見えます。FRBは、金融引き締めにより経済全体にブレーキをかけてインフレを抑制する一方で、BTFPにより脆弱な銀行部門にセーフティネットを掛けました。株式市場にとっては、「いいとこ取り」の状況でした。その後のBTFP残高の推移からは、4割強のローンが借り換えられたとみられます。BTFPのローン期間は最長1年間ですので、流出した預金が戻らない地銀は、借り換えにより2025年3月までの資金繰りが担保できたとみられます。 米国の金融政策のフェーズは、銀行部門に特化した金融緩和から、経済全体に関わる利下げやQT縮小などコロナ禍対策からの「正常化」に、本来はバトンタッチするはずでした。しかしながら、現在はBTFPの6割弱が無くなり、政策金利が高止まりし、QTが継続する、金融政策が引き締め的なフェーズといえます。金融緩和というセーフティネットの不在が、市場の変動を増幅するリスクには注意が必要です。 一方で、個人消費や設備投資が主導する経済成長は、株式市場にとっては、「金融相場」から「業績相場」への移行を意味します。S&P500の1株当たり純利益は右肩上がりに増加する見込みです(注)。金融政策正常化の後ずれは好景気の証と考え、企業業績の成長に目を向けることも重要と考えます。 (注)LSEG(旧リフィニティブ)集計による2024年4月19日時点のS&P500の1株当たり純利益成長率予想は、2024年は前年比+6%、2025年は同+14%、2026年は同+12%。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)BTFPはバンク・ターム・ファンディング・プログラムの略で、FRB(米連邦準備理事会)による金融機関に対する期間最長1年の緊急融資プログラム。データは週次で、直近値は2024年4月17日時点。QTは量的引き締め(Quantitative Tightening)の略。(出所)FRB、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点

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