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昨日 18:00
【新春特集】2025年相場大展望 – 世界経済・為替編 (解説:尾畑)
2024年の為替市場では歴史的な円安が進展したことから本邦政策当局は大規模な円買い介入を実施、日本銀行は利上げに踏み切りました。米大統領選挙ではトランプ氏が勝利し、上下両院とも共和党が過半数を制する「トリプルレッド」となったことから、トランプ2.0の景気・金融市場への影響が2025年を見通す上で最大の焦点となっています。 こうした背景の中、2025年はどのような展開を迎えるのでしょうか?わかりやすく、明瞭な解説に定評のある尾畑が解説します。(約39分)。 ※ 動画の終盤に言及している、「アンケート」について、当記事ではご回答いただけません。ご了承ください 。 ~ 講師紹介~ 尾畑 秀一 投資情報部 シニア・ストラテジスト 1997年に野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。入社後、一貫してエコノミストとして日本、米国、欧州のマクロ経済や国際資本フローの調査・分析に従事、6年間にわたり為替市場分析にも携わった。これらの経験を活かし、国内外の景気動向や政策分析、国際資本フローの動向を踏まえ、グローバルな投資戦略に関する情報を発信している。分かりやすく、明瞭な解説には定評がある。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ Q.2025年にチャレンジしてみたいことは? A.ギターの弾き語り。 Q.2024年で一番うれしかったことは?A. 勤続26年目で初めて甲子園とPayPayドームの特別観戦ルームで観戦したこと Q.2024年に新しくチャレンジしたことは?2025年にチャレンジしてみたいことは? A.(2024年)音楽理論の勉強 A.(2025年)ギターの弾き語り Q.最近読んだ本や影響を受けた映画やドラマは?A. Marty Friedmanのアルバム Q. 1日の仕事の中で「これだけは譲れない」と思う自分だけの時間やルーティンは?A.朝は市況のチェックをしてから、1日をスタートさせること。 Q.今の仕事を目指したきっかけは?A.文系大学に進学したものの、専門職になることを模索する中で経済学に出会い、研究者の道を志し、 エコノミストと言う職業に出会いました。 Q.小さい頃の自分に話しかけるなら、伝えたいことは?A. 誠実にタフに生きていれば、少々失敗しても何とでもなる。やりたいことはやれるうちにやっておけよ。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 12:00
【新春特集】円債市場への回帰は?(内外債券市場)
24年に本邦投資家は積極的に米債投資の一方、一部は円債投資に様子見25年に本邦投資家は円債回帰の公算市場の一部には、日本10年国債利回り約1.2%で前向きに購入との見方 2024年における本邦投資家の債券投資を振り返ると、2023年に続き、積極的な米国債券(国債、モーゲージ債、社債含む)への投資が見られました。24年を通じて円安ドル高が進展、一部の投資家は為替リスクを取って米国債券を購入した模様です。筆者が面談した投資家からは、高いクーポンの米ドル建ての債券を為替リスクを負って購入すれば、今後数年の間に円高ドル安が進み日本円に換算した元本の価値が減少しても、クーポン収入がそれを相殺、損失を回避することができるのでは、との見方が聞かれました。このような考えも、一部投資家による米国債券への投資を促した可能性があります。 図表1: 本邦対外債券投資額 (14年1月以降の累計ベース、月次) (注)データは月次で14年1月以降の累積ベース。プラスがネット購入、マイナスがネット売却。直近値は2024年10月。(出所)日本銀行より野村證券市場戦略リサーチ部作成 一方、24年における日本国債への投資については、例年に比べ慎重な姿勢を示した本邦投資家もいました。例えば、超長期国債の主たる投資家である本邦保険会社による超長期国債純購入額は、例年を下回りました。日本銀行が24年3月以降、政策金利を引き上げる中、今後どの程度、利上げが進むのか、日本国債利回りが上昇(日本国債価格が下落)するのかを様子見したいとの考えも、慎重な姿勢につながったと考えられます。 図表2: 各国国債のイールドカーブ (外債については為替ヘッジ付) (注)ヘッジコストは3ヵ月物為替フォワードレートから算出。2024年12月11日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 もっとも、25年には本邦投資家が円債投資に前向きになる可能性があります。そのように考える理由として、1)今後も、日本国債利回りは為替ヘッジ付きの米国国債利回りを上回る、2)円高米ドル安が進む、3)日本銀行による利上げ打ち止め期待から日本国債利回りの大幅上昇懸念が後退する、などの可能性があるからです。 このうち2)については、FRBは25年3月にも利下げを決定する一方、日本銀行は25年に追加利上げを実施と当社は見込んでいます。日米金利差縮小期待から円高ドル安が進めば、本邦投資家による為替リスクを取った米国債投資は、24年に比べ慎重になると予想されます。その分、余剰となった資金が円債市場に向かう可能性があります。 3)に関しては、25年中に日本の利上げ打ち止め時期が近いとの見方が高まれば、市場では、日銀に対する追加利上げ期待が後退、本邦投資家の国債利回り上昇(国債価格下落)懸念を後退させ、日本国債への投資に前向きになると予想されます。日本の政策金利が、名目中立金利(インフレ率を押し上げも押し下げもしない金利)の下限と目されている1%に近づくにつれて、日本10年国債利回りの上昇は緩やかになり、日本10年国債への需要が高まる可能性があります。 図表3: 2年先翌日物フォワード金利と日本10年債利回りとの関係 (注)2年先翌日物フォワード金利は筆者算出。2023年6月以降の日次データで直近値は2024年12月12日。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 一部の本邦投資家から、日本10年国債利回りが約1.2%となれば日本10年国債を買いたいとの考えも聞かれます。背景には、先行きの利上げ期待がさほど高まらないとの見方が根強いこともあります。 日本10年国債利回りは、日本のOIS(翌日物金利スワップ)市場から計算される2年先翌日物フォワード金利、すなわち、市場が織り込む2年後の日本の翌日物金利(≒政策金利)への期待と高い相関関係にあります。最近の傾向を踏まえると、例えば、日本10年国債利回りの約1.4%への上昇には、同フォワード金利が約1%、すなわち、約2年後に政策金利が約1%へ上昇との織り込みが必要です。 図表4: 日本のOIS市場から導出される翌日物フォワード金利(%) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部算出 しかし、最近の市場は、日本銀行が約1%へ政策金利を引き上げる時期を、今から5年以上先と織り込んでいます。この期待が、今から約2年後に前倒しされるには、日本の賃金上昇率の大幅な上振れ、急激な円安ドル高などが必要であり、そのような事象が発生するのか、懐疑的な見方も存在します。2年先翌日物フォワード金利が約0.9%への上昇に留まれば、日本10年国債利回りの上昇余地は約1.2%までとの見方も可能です。一部の投資家は、日本10年国債利回りが約1.2%となれば、投資に前向きになる可能性があると言えます。 尚、25年に本邦の一部機関投資家は、ユーロ圏諸国の債券投資に前向きになると予想されます。24年6月に利下げを開始したECBは、雇用、インフレの下振れを懸念し、当面利下げを継続すると見られます。債券価格の下落リスクを抑えながら一定の純金利収入を確保する上で、為替ヘッジ付き欧州債投資は選択肢となる可能性があります。 (野村證券市場戦略リサーチ部 岸田 英樹) ※野村週報 2025年新春特別号「内外債券市場」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 07:00
【新春特集】2025年の日本経済は景気と物価の「国産化」に期待(内外経済展望)
経済の安定化に貢献すべき政治が国内外でむしろ経済の不安定性を高めかねない米国トランプ新政権による高関税の適用、減税の継続、移民送還、脱・脱炭素に注目日本経済では賃上げとソフトウェア投資を背景に、景気と物価の「国産化」に期待 2024年の日本経済は文字通り「激震」とともに始まりました。同年1月1日の「令和6年能登半島地震」です。このような甚大な災害とともに始まった24年においても、日本経済は多くの面で進展・改善を見ました。(1)値上げの継続、(2)賃上げの継続、(3)利上げの着手、(4)ソフトウェア投資の増加、(5)労働移動の増加、などはその一例でしょう。 一方、日本経済が新たな難局に直面しているのも事実です。(1)国内外の不安定な政治、(2)トランプ米国次期大統領の政策運営、(3)中国経済と政策対応、(4)地政学的な緊張の先鋭化、広範化、多極化の恐れ、などが例として挙げられます。本来、経済の安定化に貢献すべき政治が、むしろ経済の不安定性を高めかねない。これが25年の世界経済が直面する大きな課題といえるでしょう。 日本経済にも強く影響する米国経済は、大方の予想を裏切る形で堅調に推移しましたが、物価や雇用に一定の鈍化がみられます。こうした中、FRBは24年に約5年ぶりの利下げに転じました。野村では25年に1回(26年には2回)の追加利下げを見込んでいます。 利下げ局面に移行する中、米国経済の先行きは不確実性に満ちています。25年1月20日に発足するトランプ新政権の政策運営はその最たる例でしょう。 経済・通商政策の観点からは、トランプ氏の掲げる〔i〕高関税率の適用、〔ii〕減税策の継続、〔iii〕移民の強制送還、〔iv〕脱・脱炭素が特に注目されます。1点目の高関税率の適用は、輸入物価の上昇という経路で米国の物価に押し上げ圧力をかけ、同時に、物価上昇が経済主体の購買力を弱めることで米国の景気に下押し圧力をかける恐れがあります。2点目の減税策の継続は、米国景気を下支えする一方、物価には押し上げ圧力をかけると目されます。3点目の移民の強制送還は米国側に多額の財政コストが生じます。仮に実行されれば人権問題であり、なおかつ実行しようとすれば、米国側に多額の財政コストが生じます。仮に実行されれば、労働供給の減少によるインフレ圧力の強まりと、消費の減少による景気の下押しが警戒されます。4点目の脱・脱炭素は、トランプ氏が24年の大統領選中に使った「(化石燃料を)掘って、掘って、掘りまくれ!」 (Drill, baby, drill !) (ただし、この言い回しが最初に使われたのは2008年の共和党の選挙キャンペーン)という表現に表れています。同氏は、これによって化石燃料の生産量が増えるためインフレは抑えられると考えているようですが、実効性は不透明です。このように25年の米国経済は視界良好とはとても言えませんが、減税策の継続もあり、景気後退に陥る可能性は低いと見ています。 図表1: 米・ユーロ圏・英国は利下げ、日本は利上げ (注1)米国はFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導レンジの上限。 (注2)日本は2016年2月15日までは無担保コールオーバーナイトレート、2016年2月16日以降は日銀当座預金の一部である政策金利残高の付利を図示(ただし2013年4月~2016年1月までは政策金利は存在せず、日銀当座預金残高という量的指標のみで金融政策が行われていた)。 (注3)ユーロ圏は預金ファシリティ金利。 (注4)英国はバンクレート。 (注5)データは日次で直近値は2024年12月18日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券経済調査部作成 一方、25年の日本経済については、一つ期待できることがあります。それは、景気の「国産化」とインフレの「国産化」です。しばしば日本の景気は輸出依存、インフレは輸入依存と評されますが、25年は両者の「国産化」が進む可能性があります。 第1に、賃上げに「同調性」が生じつつあります。ライバル会社が賃上げするなら、自社も賃上げするという機運が自社、ライバル会社いずれにおいても醸成され始めています。しかも25年はいよいよ賃金増のペースがインフレを上回る、つまり実質賃金の増加が見込まれます。第2に、ソフトウェア投資の増加です。設備投資が単なる輸出の派生物ではなく、人手不足という国内の課題へのソリューションとしての省力化、更には戦略上不可欠となるデジタル化によって誘発される局面となっています。ソフトウェア投資が22年頃から明らかな上昇トレンドを形成している姿にも、その一端を見ることができます。 図表2: じわじわと高まる賃上げの同調性 (注)2024年度の調査期間は2024年1月18日~31日。調査対象企業は全国2万7308社(有効回答は1万1431社)。(出所)帝国データバンク「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」より野村證券経済調査部作成 図表3: 増加トレンドを形成するソフトウェア投資 (注1)実質系列はSPPI(企業向けサービス価格指数)の「受託開発ソフトウェア(除く組込み)」の価格に基づく。 (注2)リンク係数による調整済み。 (注3)データは月次で、直近値は2024年9月。(出所)経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」、日本銀行「企業向けサービス価格指数」より野村證券経済調査部作成 日銀も経済と物価が見通しに沿って推移(オントラック)していると評価しています。ただし、24年12月の金融政策決定会合後の会見における植田日銀総裁は、不確実性に対してより配慮する姿勢を示しました。とりわけ25年の春闘に関わる情報や賃金関連データを集めつつ、賃金増の確度を見極めたいとの姿勢が強く示されました。 植田総裁のこうした慎重姿勢を踏まえて、野村では日銀による次の利上げ時期を25年3月に遅らせました。25年10月、26年3月の追加利上げを経て、政策金利は現行の0.25%から1.0%に引き上げられると予想しています。 (野村證券経済調査部 森田 京平) ※野村週報 2025年新春特別号「内外経済展望」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/01 18:00
【新春特集】2025年相場大展望 – 日本株編 (解説:池田)
日銀の大規模緩和の終了、岸田首相の辞任、バイデン大統領の撤退など、2024年は「出口」が相次いだなかでも、日本株の打たれ強さが目立った1年でした。2025年の日本株展望を、野村のマクロ調査部門を統括する池田が徹底解説します。 (約44分)。 ※ 動画の終盤に言及している、「アンケート」について、当記事ではご回答いただけません。 ご了承ください。 ~ 講師紹介~ 池田 雄之輔 経済調査部長/市場戦略リサーチ部長 1995年野村総合研究所入社、2008年に野村證券転籍。日本のマクロ調査(経済および市場戦略)を統括するマネージング・ディレクター。野村総研入社以来、一貫してマクロ調査を担当。シニアエコノミストを経て、為替、株式のチーフ・ストラテジストを歴任した。ロンドン駐在時代に築いた海外投資家とのネットワークを活かし、データに現れない「次の動き」を読み取っている。2015・17年の日経ヴェリタス人気アナリスト調査(為替部門)で1位を獲得。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ Q. 2024年で一番うれしかったことは?A. レポートの〆切に追われる毎日から卒業(?)できたこと。 Q. 2025年にチャレンジしてみたいことは?A. 最近サボっていたマラソン大会への出場。 Q. 最近読んだ本や影響を受けた映画やドラマは?A. NHKで再放送されたドラマ「正直不動産」が毎回素晴らしい。前回放映時に大評判だったのに見なかったことを反省。 Q. 1日の仕事の中で「これだけは譲れない」と思う自分だけの時間やルーティンは?A. 朝・昼・夕の3杯のコーヒー。 Q. 今の仕事を目指したきっかけは?A. 大学3年時に(単位が危なくなり)猛勉強したことが、「経済学を活かせる仕事」を目指すきっかけになった。 Q. 小さい頃の自分に話しかけるなら、伝えたいことは?A. 色んなことに挑戦するのが大事。3日坊主でもいい。 ご投資にあたっての注意点
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01/01 12:00
【新春特集】2025年主要政治・経済予定(年間カレンダー)
2025年主要政治・経済予定 (注1)日付は現地時間。全てを網羅している訳ではない。(注2)今後の予定は変更もあり得る。(出所)野村證券経済調査部「国内外の政治・経済日程(2024年12月2日)」、各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 澤田 麻希) ※野村週報 2025年新春特別号「年間カレンダー」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/01 07:00
【新春特集】令和7年、「乙巳(きのと・み)」
十二支に割り当てられた漢字が実際の動物とは似ても似つかない形であるのに対し、「巳」の字はどこか蛇を思わせます。実際、これは冬眠から目覚めた蛇が地上へ這い出してくる姿を表した象形文字という説があります。 足を持たずニョロニョロと這う姿や毒を持っている種が多いことなどから、蛇に恐怖心を抱く人は少なくないでしょう。「鬼が出るか蛇が出るか」「藪から蛇」といった慣用句は、そうした人の心理を反映したものと言えます。 人は怖いと感じるからこそ蛇に並々ならぬものを感じ、さまざまな物語に登場させました。『旧約聖書』では、蛇は主なる神が造られた動物の中でもっとも賢いとされ、エデンの園でイヴに禁断の果実を食べるよう言葉巧みに誘った存在として描かれています。日本では、『古事記』や『日本書紀』に登場する八つの頭と尾を持つヤマタノオロチという大蛇が有名です。 畏怖の念から信仰の対象にもなりました。強い生命力を持っていることや何度も脱皮を繰り返す様子から、蛇は「不老不死」や「死と再生」の象徴とされます。自身の尾を噛み環状になった蛇のウロボロスがその典型です。日本では弁財天の使いとされ、金運や商売繁盛に関係するとされます。脱皮して成長していく姿が、繁栄や再生を象徴すると考えられたのでしょう。 それでは恒例の「乙巳(きのと・み)」縁起談。二回り前の乙巳は明治38年(1905年)です。前年から続く日露戦争で、日本はロシアに勝利します。日清戦争を上回る大規模な戦争で、約8万4,000人の戦死者と約20億円(現在に換算すると約2兆6,000億円)の支出となりました。アジアの国であっても欧州の大国に勝てることを示し、日本は国際社会での影響力を強めていきます。 一回り前の乙巳は昭和40年(1965年)。3月には人類初の宇宙遊泳が実現。旧ソ連の宇宙飛行士が宇宙船から外に出て、約12分間の宇宙遊泳を行いました。国際関係では日本が6月に日韓基本条約に調印、韓国との国交正常化が行われました。 また、5年後の昭和45年(1970年)に日本万国博覧会(大阪万博)の開催が決定したのもこの年。アジアで最初の国際博覧会となりました。 11月にはいざなぎ景気が始まります。昭和29年(1954年)からの神武景気、昭和33年(1958年)からの岩戸景気を上回るものになるよう期待を込めて名付けられ、57ヶ月におよぶ戦後最長の好景気となりました。この時期には、「新・三種の神器」と呼ばれた「カラーテレビ(color TV)」、「自家用車(car)」、「クーラー(cooler)」のいわゆる「3C」が急速に普及し、人々の生活が豊かになっていきました。 市民の間でベトナム戦争への反戦の機運が高まっていったのもこの年です。きっかけは、米軍によるベトナム北部への空爆で、多くの一般市民が亡くなったと報道されたことです。4月には哲学者の鶴見俊輔氏らによって「ベトナムに平和を!市民連合」、通称「ベ平連」が結成。反戦運動が盛り上がっていきます。 日本の快挙も相次ぎました。野球では、野村克也氏が三冠王に輝きます。戦後初であったことに加え、捕手としては世界初でした。また、物理学者の朝永振一郎氏が日本人として2番目のノーベル物理学賞を受賞したのもこの年です。 「乙(きのと)」は十干の2番目で、草木の幼い芽がやわらかく屈曲しながら伸びていく状態を指します。「巳」の字義は「已(やむ)」に通じ、万物がすでに盛りを極め、実を結ぶ時期が到来することを表します。これから発展していく「乙」と、最大限に繁栄した「巳」の組み合わせから、令和7年(2025年)の乙巳はこれまでの努力が実を結び、成果が現れる年になると読み解くことができるでしょう。 米国では大統領が交代、隣国韓国では大統領の弾劾が成立、ウクライナや中東では緊張が続きます。さまざまな変化が起こりそうですが、強い生命力を持ち金運を司る蛇にあやかって、私たちも「脱皮」し大きく成長していく吉年となりますよう。 (紙結屋小沼亭) ※野村週報 2025年新春特別号「乙巳」縁起より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/31 18:00
【新春特集】米国市場の一人勝ちは続くのか?(投資の視点)
米国一強の要因は、1)シェール・オイル生産、2)対外強硬策、3)テック株への資金集中2025年はインフレ下げ止まりが3要因を劣化させ、米国一強が揺らぐ可能性が高いAIブームのインフレ抑制効果で米一人勝ちが長期化する一方、テック株バブル化のリスク 2025年の投資環境を考える上で、「米国一強」と称される状態が続くか、もし修正されるならば、いつ何がきっかけとなるか、が重要です。近年それをもたらした要因は、1)シェール・オイル生産の本格化、2)自国優先の通商政策、3)IT産業での支配的地位確立、でしょう。米国一強を象徴するのは、米国株の他国株対比の優勢とドル高ですが、それぞれ14年(シェール・ショックによる原油急落)、18年(対中制裁関税導入)、21年(米テック株急伸)に、それらが進行したのは決して偶然ではないでしょう。 図表1: 米国株と他国株の相対株価指数とドル (注)データは日次で、直近値は2024年12月18日。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 対照的に米国一強が揺らぎ、米国株が対世界株で劣勢に回った時期には、ドルが大きく下落しています。これは米国が巨額の財政赤字・経常赤字を抱えながらも、他市場対比の金利高や株価優勢によって外資を惹きつけ、結果ドルが過大評価され易いために起こる現象と言えます。17年は第1次トランプ政権において景気対策が先行実施され、グローバル景気同時回復が起こった時期です。景気敏感な日本など他国株が米国株の上昇ペースを凌駕しました。20年はコロナ禍を受け、米国が先行して大幅利下げしました。逆に22年はインフレ懸念が台頭、米国が先行して大幅利上げ、地銀業態で経営不安が発生しました。このうち最後だけが株安局面です。つまり米国株高・金利高でも米国一強が揺らぎ、ドル安となる局面があり、25年、特に後半はそうなり易いでしょう。 25年に米国一強が揺らぐと見る理由は、米インフレの下げ止まりです。景気が再加速に向かう中、米国では労働需給の緩和が止まり、賃金インフレが再燃すると見られます。そうなればFRBは利下げを止めるだけでなく、利上げも視野に入れた政策スタンスにシフトせざるを得ないでしょう。金利高により米国株が劣勢に回るでしょう。 もちろんトランプ米次期大統領は様々な手段を使い、自らの公約でもある米国一強の継続を試みるでしょう。ですがそれは可能でしょうか?上述の3要因に沿って考えてみましょう。まず原油価格です。トランプ氏は原油増産を公約に掲げ、国内シェール企業もそれに応じる姿勢です。しかしそれを読んで原油価格は70ドル/バレル付近にすでに下げており、生産コスト平均の65ドル/バレル程度に接近しています。補助金を与えて人為的に生産コストを下げることなどをしなければ、原油安によるインフレ抑制余地は小さいでしょう。加えて米国のインフレ期待は原油価格に対し上放れつつあり、トランプ氏の政策全体のインフレ的要素を重視している様に見えます。 図表2: 米国10年BEIと原油価格 (注)米国10年BEIとは、ブレークイーブンインフレ率(Breakeven Inflation Rate)の略称。米国の10年国債の名目利回りと、同期間のインフレ連動国債の利回りの差を示す指標。データは日次で、直近値は2024年12月18日。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 次に通商政策です。関税引き上げはトランプ氏の公約の1つです。ところが選挙後のSNSでは、対中国で10%の引き上げと、選挙前からするとかなりトーンダウンしました。関税引き上げは米国にとってインフレ押し上げ要因です。第1次トランプ政権(16年)時のようにデフレ的な経済環境であればそれも正当化されたのでしょうが、今局面では、すでに燻っているインフレ懸念の火に油を注ぐ結果になりかねません。 最後に米テック株の優勢です。確かにAIブームが25年に、にわかに萎んだり、それにおける米国企業の支配的な位置付けが揺らいだりするとは思えません。一方、その分米テック株のバリュエーションはかなり割高感が強まっており、22-23年の同株価急落の例を見ても予想外の金利高には脆弱です。米国の関税引き上げ懸念が一巡した後、グローバル景気同時回復の様相が強まれば第1次トランプ政権下の17年の様に、景気敏感な他国株が優勢に立つと見られます。 ただし率直に言えば最後の点が最も不透明であり、予想に反して25年も米国一強が続き得るリスクになり得ます。つまり金利がさほど上がらないか、もしくは金利高に米テック株が想定以上の耐性を見せる場合です。その観点で足元浮上している「AI活用による企業生産性上昇・インフレ抑制」の議論は注視が必要です。なぜならこのテーマは90年代後半のインターネット・ブームでも台頭し、米テック株のバブル化を演出したためです。 確かに当時、労働需給ひっ迫、賃金高止まりの割にインフレは抑制され(図表3上)、その乖離はIT活用による生産性上昇によると理解されました。しかし後から振り返れば、アジアからの安価な輸入品拡大と、IT製品・サービスの需要急拡大に伴う「直接的」な物価押し下げ効果が相当程度影響していたとも見られます。「直接的」とは、IT製品・サービスは技術進歩が速く、統計算出上それを調整するとあたかも価格が下落した様になり、更に消費に占めるそのシェアが拡大し物価指数全体の押し下げ効果も高まるためです。当時のFRBは株式市場のバブル化を察知し、利上げでそれを抑制しようとしましたが(図表3下)、IT以外のより脆弱な産業(金融・不動産など)が先に崩れてしまい、結果的には消費が過熱し、名実ともにインフレ圧力が強まるまで、十分な利上げができずITバブルが膨張し続けたことは、今局面を考える上でも示唆に富んでいます。 図表3: 90年代後半のインフレ・政策金利とITバブルの形成 (注)水色シャドーは景気後退期。データは月次で、直近値は2024年11月。(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成 もちろん当時との違いも念頭に置くべきでしょう。ITバブル膨張・崩壊の経験知が当局者や市場参加者にあることに加え、現在の方が西側サプライチェーンからの中国切り離しや、地政学リスクによるエネルギー供給の不安定化など、構造的なインフレ圧力が強いように思えます。またAI関連産業の広がりがインターネット関連産業に比べて小規模に留まる可能性もあります。これらを踏まえると、仮にAIバブルが発生しても、より小規模、短期間であるかも知れません。 (野村證券市場戦略リサーチ部 松沢 中) ※野村週報 2025年新春特別号「投資の視点」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/31 12:00
【新春特集】史上最高値更新と夏の大波乱(市況概況<2024年>)
日経平均株価、約34年ぶり史上最高値更新、大波乱を乗り越え2桁の上昇率を記録日銀、マイナス金利解除を決定、10年国債利回りは約11年ぶり1%台に米国大統領選挙、共和党のトランプ氏が勝利し、減税や規制緩和への期待高まる 2024年の日経平均株価は、円安や米国株の上昇を受けて年初から上昇基調となり、2月22日には約34年ぶりに史上最高値を更新しました。このような動きは、脱デフレや企業改革の進展、新NISA制度のスタートといった大きなうねりの中での歴史的な瞬間と言えるでしょう。 もう一つの大きな転換点は、3月19日に日銀が発表したマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除決定です。長期金利(日本10年国債利回り)は5月に約11年ぶりに1%台となりました。これらの金利上昇は日本株の重荷となりましたが、米国株の上昇もあり、日経平均株価は7月11日に42,224円(終値ベース)へ上昇しました。 24年夏、うだるような暑さが続く日本列島でしたが、金融市場は冷や水を浴びせられるような厳しい状況に見舞われました。7月31日に日銀が追加利上げを行い、円キャリートレード(円で資金調達し、外貨などで運用する取引)の解消が円高を加速させました。さらに、米国で発表された弱い雇用統計から景気減速の懸念が広がり、米国株が下落しました。そして、8月5日に日経平均が前営業日比4,451円安という歴史的急落を記録したのです。翌日には大幅反発となる等、しばらくは振れ幅の大きい動きが続きました。その後、徐々に落ち着きを取り戻し、10月中旬には一時4万円台を回復する場面もありました。 秋は政治面で大きな変化がみられました。10月27日の衆議院選挙で連立与党の自民・公明両党が議席を大幅に減らし、少数与党となりました。また11月の米大統領選挙では、共和党のトランプ氏が勝利しました。減税や規制緩和への期待で米国株は上昇基調となりましたが、日本株は関税強化の懸念から上値を抑えられ、11月末を迎えました。 24年の日経平均株価の上昇率は11月末時点で14.2%となり、2年連続で二桁の上昇率となりました。 テーマ面では、「生成AI」利用が一般企業に広がる中、半導体関連企業に加えて、海外では世界的なソフトウェア企業やクラウドサービス企業にも注目が集まりました。日本では、日銀のマイナス金利解除を受けて、長期金利上昇期待が高まり、「金融」に関心が集まりました。そして10月には石破首相が誕生し、「防災」や「防衛」への注目が寄せられています。2024年、物言う株主(アクティビスト)の活動が活発化する中、企業は株主や投資家目線での経営にさらに注力することが求められています。2025年、日本株や日本経済が次の段階へと進化できるかが注目されることでしょう。 図表1: 2024年 主要アセット年間騰落率(11月末時点) (注)騰落率は昨年末からの年間パフォーマンス、直近値は2024年11月末時点。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 図表2: 市況概況 日米株価・ドル円相場と主な出来事 (注)直近値は2024年11月末時点。 ドル円相場は日銀公表値。株価の高値・安値の表記は、日経平均、NYダウは終値ベース、ドル円はザラ場ベース。為替介入の日付は報道ベース。(出所)各種データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ※野村週報 2025年新春特別号「市況概況<2024年>」より ※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/31 07:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅢ:第3回 大きな反動に備えよ V計算値
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、上値・下値メドの探り方の一つ、「V計算値」について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点