閉じる
閉じる

31分前

【今週のチャート分析】日経平均25日線を回復 / 特集:2025年のマーケットを振り返る

※画像はイメージです。※2025年12月4日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均12月4日に25日線を回復、戻りの到達点で強さを見極める 今週の日経平均株価は、日銀の追加利上げ観測が重しとなり12月1日に下落しましたが、その後は金融株やAI関連株を中心に買い戻され、4日には前日比で1,000円を超える大幅高となりました。4日に日本の10年国債利回りは1.91%まで上昇し、2007年7月以来、約18年半ぶりの高水準を記録しました。 チャートを振り返ると、日経平均は11月19日の安値(48,235円)をつけた後に反発しました。その後、12月4日に出現した大陽線(始値から終値まで大きく上昇したローソク足)によって、これまでチャート上のフシとして機能してきた25日移動平均線(図1-①:12月4日時点 50,261円)を上抜けました。今後の焦点は、11月4日の史上最高値に次ぐ「二番天井」に相当する11月11日高値(51,513円、図1-②)を上抜けられるかどうかです。この水準を突破すれば、11月4日に付けた史上最高値(図1-③:52,636円)が次の上値メドとなります。 図1:日経平均株価:日足 主な上値メド (注1)直近値は2025年12月4日。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、回復したとはいえ、25日移動平均線を一時的に大きく下回った点は事実であり、ここ数か月続いてきた上昇トレンドに変化の兆しが見えます。上昇が一巡して再調整に転じ、再び25日線を割り込むようだと、11月19日安値(図2-⑤:48,235円)や75日移動平均線(図2-⑥:12月4日時点 47,004円)が下値メドとして意識されるでしょう(12月4日時点のデータに基づき執筆)。 図2:日経平均株価:日足 主な下値メド (注1)直近値は2025年12月4日。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【特集】市況概況:関税の嵐を超え、AIブームと政局で大幅上昇 [特記事項] ●米相互関税●生成AI期待に広がり●史上初の5万円台 (1)米国の関税問題がもたらした不確実性:2025年1月に米国でトランプ大統領が就任し、その後矢継ぎ早に追加関税措置が打ち出されたことにより、世界景気への懸念やサプライチェーンへの影響が強く意識され、1月以降、株価は下落傾向となりました。トランプ大統領は、世界各国からの輸入品に対して幅広く追加関税を課す「相互関税」を4月に発表し、日米の株式市場はともに大幅安となり2025年の最安値をつけました。ただ、その後は関税発動猶予の発表や各国との関税交渉の進展を通じて上昇基調に転じました。 (2)生成AIを巡る相場変動:年前半には、中国の新興企業による低コストの生成AIに関する報道で米ハイテク株の上値が抑えられる場面がありましたが、年後半には生成AIの成長性への期待が再び高まりました。世界的に大型AIデータセンターの建設計画が進み、部材メーカーや電力インフラ関連への注目が高まりました。これに加え、7月に米国で成立した大規模な減税・歳出法や、夏以降に高まったFRBの利下げ再開期待が、米国株上昇の追い風となりました。米FRBは、雇用の伸びが失速する中で9月に利下げを再開し、10月にも追加の利下げを実施しました。米国株の上昇と連動して、日本株も大幅に上昇しました。日経平均株価は夏場以降、史上最高値の更新が続き、10月27日には史上初めて5万円台に到達しました。 (3)高市トレード:日本株の大幅上昇のもう一つの要因として、政局が挙げられます。10月4日の自民党総裁選で高市氏が新総裁に選出され、高市氏が掲げる財政拡張的な政策への期待が広がったことから、株価は大幅に上昇しました。公明党の連立離脱表明を受けて一時下落したものの、自民党と日本維新の会の連立合意により、その後、株価は一段高となりました。その間、為替市場では円安・ドル高が進行し、一時157円台に乗せる場面も見られました。 (4)総括:2025年、米トランプ政権の関税発表で揺れた序盤から、年央以降は米生成AIへの期待に加え、さらに高市政権への期待が追い風となり、日経平均株価は5万円台到達を果たしました。こうした株式市場の高い期待を超える未来が見えるのか、今後慎重に見極める必要がありそうです。 <2025年の投資環境と株式市場> (注)直近値は2025年11月末時点。 ドル円相場は日銀公表値。株価の高値・安値の表記は、日経平均、NYダウは終値ベース、ドル円はザラ場ベース。(出所)各種データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ご投資にあたっての注意点