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2024/07/13 19:00
【来週の米国株】「バイデン降ろし」は”降りる”理由になるか?(7/13)
※執筆時点 日本時間12日(金)12:00 今週:CPI減速でリバーサル ※7月5日(金)-7月11日(木)4営業日の騰落 今週の米国株式市場は、週前半にS&P500やナスダック総合が連日史上最高値を更新していましたが、11日(木)の6月CPI(消費者物価指数)の発表をきっかけにリバーサル的な動き(S&P500やナスダック総合は反落、NYダウや中小型指数であるラッセル2000が反発、本邦政策当局の円買い為替介入が加わった模様で円高ドル安)となりました。6月CPIは前月比-0.1%と市場予想(同+0.1%)や5月実績(前月比横ばい)を下回りました。ガソリン価格が同3.8%下落したほか、航空運賃や中古車価格も下落しました。 「バイデン降ろし」の声、高まる 米国では6月27日の大統領候補者討論会以降、民主党内でバイデン大統領に対して大統領候補から辞退することを求める声が高まっています。PedeictItの調査では当選確率はトランプ氏59%、ハリス氏29%、バイデン氏17%となっています(日本時間12日(金)7:51)。同調査で民主党の大統領候補となる確率はハリス氏が55%、バイデン氏が32%と既に逆転しています。バイデン大統領自身は撤退する意思がないことを繰り返し表明していますが、民主党の重鎮がバイデン大統領支持を明示しなかったこと等が報じられ、市場の憶測を呼んでいます。 猶予はあと3週間か 民主党の全国大会は、8月19~22日に予定され、1ヶ月先に近づいています。本来は、民主党予備選挙で選ばれた各州の代議員(どの候補に投票するか事前に誓約している)が、全国大会で投票を行い、正副大統領を選出する仕組みです。しかし、オハイオ州では、投票用紙に記載するために、8月7日までに各党の大統領候補を申請する必要があるため、全国大会の前、オハイオ州の申請期限前にオンラインで投票を行い、正副大統領を選出することが民主党内で検討されています。このため、バイデン大統領が戦い続けるのか、あるいは撤退して他の候補を選出するのかを決める時間的猶予は3週間程度と考えられます。 「もしトラ」リスクとの向き合い方は 市場ではバイデン大統領が撤退すると共和党(トランプ氏)が勝利する確率が上がると考えられており、「もしトラ(もしもトランプ氏が大統領になったら)」リスクが注目されます。トランプ氏が大統領となる場合のリスクを考えると、景気好調となっても減税や移民規制の強化などの政策を採用してインフレが再燃するのではとの懸念があります。金利が再上昇し株価全体の重石になるほか、政策の影響を受けやすい業種・企業にとっては意思決定や設備投資の一部が後ずれしうることも懸念材料です。 一方で、過去2回の大統領選挙に限ってみれば、株式投資のパフォーマンスを上げるチャンスでした。 過去はどちらの党の大統領誕生でも選挙後に争点の業種が上昇 (注)棒グラフの色は、当選した大統領の政党のイメージカラー(共和党は赤、民主党は青)。すべての業種・指数を網羅しているわけではない。大統領選挙日は、2016年11月8日と2020年11月3日。(出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 S&P500は、大統領選挙から年末までに、共和党のトランプ氏が勝利した2016年は5%、民主党のバイデン大統領が勝利した2020年は11%上昇しました(S&P500の2016年/2020年の年初から大統領選挙前日までの騰落率はそれぞれ+4%、+2%)。 業種別では、エネルギーと金融は規制強化を主張する民主党と、規制緩和を主張する共和党で政策が分かれますが、2016年と2020年の大統領選挙後は、勝利した政党と関係なく、 S&P500を上回る上昇率となりました。さらに、米国の中小型株指数のラッセル2000や、日経平均も両年とも大統領選挙後に上昇しました。 民主党政権になった際に規制が強化される、また、トランプ氏が当選した際に政策の不確実性が高い、と考えて選挙前に投資を手控えた投資家が、選挙後に投資を復活させたためと考えられます。 今回の大統領選挙の前後で、株価の動向がどうなるか不透明感は強いですが、継続して投資することが中長期的な投資の観点では重要と考えられます。 来週①:FOMC前の高官発言に注目 今週も15日(月)のパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長のインタビューを始め、多くのFRB高官の講演等が予定されています。7月30-31日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を前にFRB高官は20日(土)から沈黙期間に入ることから、発言内容への関心は高いとみられます。6月FOMC(米連邦公開市場委員会)では24年中は1回の利下げ見通しがFOMCメンバーの中央値となりましたが、議長、副議長やNY連銀総裁など執行部メンバーの多くは年内2回の利下げを予想していると見られることから、1回以下の利下げを予想したと想定されるFOMC委員の発言に変化がないかが注目されます。 今週発表される米国の経済指標では15日(月)の7月NY連銀製造業景気指数、16日(火)の6月小売売上高、17日(水)の6月住宅着工・建設許可件数、6月鉱工業生産、18日(木)の7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が注目度の高い統計です。 来週②:4-6月期決算発表が本格化 米主要企業の2024年4-6月期の決算発表が本格化します。決算実績に加え、会社業績予想や経営陣コメントなどから、米国を始めとしたグローバル経済への示唆を確認していきたいと考えます。各業界を見るうえで注目される企業として、16日(火)のユナイテッドヘルス、17日(水)のジョンソン・エンド・ジョンソン、18日(木)のネットフリックスが挙げられます。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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2024/07/13 09:00
【マーケット解説動画】日経平均、7月12日の大幅安を受けて(7月12日引け後収録)
テクニカル展望(7月12日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の岩本ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、7月12日の大幅安を受けて」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足3.ドル円相場:日足・週足4.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部ストラテジスト 岩本 竜太郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、NOMURAアプリではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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2024/07/13 07:00
【来週の予定】バイデン氏撤退論の行方は?共和党は副大統領候補に注目
来週の注目点:FRB高官発言、中国の重要統計とECBの政策理事会 米国では6月27日の大統領候補者討論会以降、民主党内でバイデン大統領に対して大統領候補から辞退することを求める声が高まっています。一方、共和党は7月15日(月)~18日(木)にミルウォーキーで全国大会を開催し、トランプ氏を正式に同党の大統領候補に指名します。市場の関心は副大統領候補に集まっています。 今週も15日(月)のパウエルFRB議長のインタビューを始め、多くのFRB高官の講演等が予定されています。6月FOMC(米連邦公開市場委員会)では24年中は1回の利下げ見通しが中央値となりましたが、議長、副議長やNY連銀総裁など執行部メンバーの多くは年内2回の利下げを予想していると見られることから、1回以下の利下げを予想したと想定されるFOMC委員の発言に変化がないかが注目されます。 今週発表される米国の経済指標では15日(月)の7月NY連銀製造業景気指数、16日(火)の6月小売売上高、17日(水)の6月住宅着工・建設許可件数、6月鉱工業生産、18日(木)の7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が注目度の高い統計です。 中国では15日(月)~18日(木)に中長期の政策を議論する三中全会が開催されます。また、同15日には4-6月期実質GDP成長率を筆頭に、6月小売売上高、鉱工業生産、1-6月固定資産投資と重要度の高い統計が発表されます。消費の行方に加え、不動産市況に好転の兆しが確認できるかが注目点です。 ECB(欧州中央銀行)は18日(木)に政策理事会を開催します。金融政策は据え置きが予想されます。ラガルド総裁は追加利下げに慎重な姿勢を示しており、データ次第との見解を強調することが予想されます。 日本では17日(水)の6月訪日外国人客数、19日(金)の6月全国消費者物価指数が注目度の高い統計です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年7月12日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2024/07/12 19:00
【特集】野村證券・池田雄之輔「日経平均株価一時42,000円超えの背景にある3つの理由」
文/斎藤 健二(金融・Fintechジャーナリスト) 2024年7月初旬、日本株は大きく上昇し、連日のように最高値を更新する相場となりました。7月4日にはTOPIX(東証株価指数)が史上最高値を更新し、7月11日には日経平均株価が終値で42,224円となり、初めて42,000円台を突破しました。ただし、7月12日には反落し、日経平均株価が1,000円超の値下がりになるなど、上下動が激しくなっています。 日経平均株価は2024年2月に34年ぶりの最高値を更新したものの、4月から6月にかけて足踏みしてきました。再び上昇した背景には何があるのでしょうか。野村證券市場戦略リサーチ部長の池田雄之輔が解説します。 2024年に入ってから、日本株の動きはダイナミックでした。年初に日経平均株価は33,000円からスタートし、41,000円まで一気に上がりました。その後は上がった分の半分ほど下げて37,000円台まで下落しましたが、また上昇し、7月11日終値では42,000円を超えるまでに回復しました。 このような急激な上昇を見ると、「高すぎる、今のうちに売却したほうがいいんじゃないか」「株価が高くて今さら投資を始められない」という“高所恐怖症”になる方もいるかもしれません。しかしこれは一過性の強さではなく、日本経済の構造的な変化の反映だと考えています。 日経平均上昇の背景にある3つの要素 日本株の急上昇の背景には、3つの重要な要素があると考えます。1つ目はデフレ脱却、2つ目は脱中国の動き、そして3つ目がコーポレートガバナンスの改革です。 1つ目のデフレ脱却は、日本株が昨年来これだけ強くなってきている最大の理由だと考えています。日本経済は90年代以降、長くデフレに苦しんできました。バブル崩壊後、経済は縮小均衡にあり、企業が値上げに踏み切れない世界を長く経験してきたのです。それが今、30年ぶりにデフレ脱却に向かっています。 2つ目は、グローバルな投資家が中国からお金を逃がそうとしている、「脱中国」とも呼べる出来事です。世界の投資家の間で、中国がデフレに突入するのではないかという警戒感が特に昨年から強まっています。中国がかつての日本のように不動産バブル崩壊を機に、長期停滞に陥るのではないかという不安から、中国株に投資していたお金の逃げ場所として日本が選ばれやすくなっているのです。 3つ目は、コーポレートガバナンスの改革です。2023年3月、東京証券取引所から上場企業に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応をするようにという要請がありました。これが予想以上に実のある改革につながっています。 この3つの要素が同時に進行していることが、日本株の強さを支えているという見方をしています。 6月にかけてなぜ株価の調整が起きたのか では、6月にかけてなぜ株価の調整が起きたのでしょうか。 まず、デフレ脱却に関しては、良いニュースがいったん出尽くしたという状況だったと思います。3月中旬に春闘の第1回集計が出て、5%を超える賃上げがされたことがわかりました。さらに、日銀が3月の決定会合でマイナス金利を解除するという歴史的な決定をしました。これらのイベントが、デフレ脱却の象徴的なターニングポイントとなり、ある意味で「良いところは出尽くした」という捉え方をされ、利益確定も進んだと見ています。 次に、中国に関しては、3月から4月にかけて、意外にも中国経済が回復するのではないかという見方が出てきました。春先に経済指標が一時的に上向いたこともあり、中国株が買われる時期がありました。そのため、それまで日本に逃げ込んでいたお金の一部が中国に戻るという動きが見られました。 最後に、コーポレートガバナンスについても、一旦の出尽くし感が出ていました。5月の連休前後に企業の決算発表がありましたが、自社株買いの発表など良いニュースがある一方で、2024年度の業績見通しについては増益を見込まない企業が多く、やや保守的な印象が強まりました。 さらに、日銀の金融政策に関する不透明感も株価の重石となりました。6月14日の金融政策決定会合で、国債買い入れの減額を検討すると発表があり、これも市場に不透明感をもたらしました。 懸念払拭し再上昇始めた日本株 では、ここに来てなぜ日経平均は再び上昇に転じたのでしょうか。実は、先ほど述べた3つの要素自体は変わっていません。それぞれの要素について、市場の見方が再び前向きになったことが大きいと見ています。 まず、デフレ脱却に関しては、日本のインフレの持続性や賃金の強さが改めて認識されました。今回のインフレが始まった当初は、輸入物価の上昇によるコストプッシュ型のインフレだという見方もありましたが、人手不足と相まって賃金上昇が起こり、より持続的なインフレに変化しつつあります。象徴的なのは、輸入物価が22年9月にピークアウトし、今年6月にかけて8.8%低下しているのですが、同じ間に国内企業物価は5.9%上昇しています。このような「ワニ口現象」は日本が今まで経験しなかった姿です。7月1日に公表された日銀短観でも、全規模・全産業の販売価格見通し(1年後)が2.8%と、2四半期連続で上昇し、値上げカルチャーの浸透を示唆しました。アナリストが追っている個別企業の動向を見ても、値下げを再開するところは少なく、インフレの定着が進んでいることが分かってきました。 次に中国については、米国大統領選におけるトランプ元大統領の再選の可能性が再び意識され始めました。日本時間の6月28日に行われたテレビ討論会の「直接対決」でバイデン大統領の健康不安が高まったことが一つの転機になっています。トランプ氏は対中国で厳しい政策を取ることが予想されるため、再び投資マネーの「脱中国」が注目され始めました。加えて、中国経済の弱さも顕在化し、結果として日本市場の相対的な安定性が再評価されることにつながっています。 コーポレートガバナンスについては、企業業績の保守的な見通しは日本企業の特徴であり、それほど悲観する必要はないという見方に落ち着いてきました。むしろ、今年の自社株買い設定額は6月までで9兆円というレベルになっており、2023年までの水準から約5割増という異次元の増加をみせています。これまでと異なり、株価上昇局面でも自社株買いが積極化しているということは、企業がガバナンス改革に真摯に取り組んでいることの表れと言えます。この点は海外の長期投資家からも高く評価されています。 円安は株価を押し上げた 円高の心配は? 為替市場の動向も株価を後押ししました。円安が進行したことで、日本企業全体としては業績にプラスの影響がありました。ただし、以前のように極端な円安依存ではなく、為替に対する耐性が高まっているのも特徴です。例えば、10円の円安で利益が3%程度押し上げられる効果があります。現在の企業の為替前提は143円程度ですが、そこまで円高が進むと想定した上でも、今年度と来年度は8%台の増益が確保できると試算しています。多少の円高には十分耐えられる体質になっています。 野村では、今後為替は米国の緩やかな金利低下とともに円高ドル安傾向に動くと予想しています。24年12月は148円、25年12月は140円という見立てです。逆に、円安がそろそろ天井に近づいているとみる日本側の理由もあります。例えば1ドル170円を超えるような水準まで円安が進むと、インフレ期待が2%を超える可能性が出てきます。そうなると、日銀も追加利上げを急ぐ必要が出てくるため、「日銀が放置してくれる円安」には限界が訪れると見ています。 為替レートが円高方向に進んだとしても、必ずしも株価の下落に直結しないと考えられます。過去、円高は、世界経済の減速が原因であることが通例でしたが、今回予想する円高は、米国のインフレが明確に沈静化することによる、利下げ転換が主因となりそうです。世界景気の基調は崩れないまま緩やかな円高へと移行するシナリオが考えられます。ドルベースで運用している海外投資家にとってはベストの「円高・株高シナリオ」が実現する可能性は高いと見ています。 2026年3月末の日経平均株価予想レンジの上限は48,000円 以上の理由から、現在の42,000円台という水準は、決して違和感のあるものではないと考えています。ただし、今後のリスクについても考慮する必要があります。主なリスク要因としては、米国の大統領選挙や世界経済の減速などが挙げられます。 まず、米国大統領選挙について、一時的に市場が荒れる可能性があります。特に、トランプ氏の政策は減税期待など株式市場にとってプラスの面もありますが、対中政策に関する不透明性が最大の問題です。 世界経済、特に米国経済の動向も重要です。現在のメインシナリオは景気後退(リセッション)に陥らずソフトランディングすることですが、リセッションのリスクも完全には否定できません。特に注意すべきは米国の消費動向です。これまでコロナ禍で蓄積された貯蓄による消費の下支えがありましたが、その効果も徐々に薄れつつあります。米国の消費が予想以上に弱くなれば、日本の輸出企業にも影響が出る可能性があります。 こうしたリスクにも十分注意しながらも、先に挙げた3つの要素に関する前提が大きく崩れない限りは、株価は上下動を繰り返しながら、基調としては上がる方向を見ています。今の状況で、「株価が高すぎる」と過度に恐れる必要はないでしょう。 野村證券では2025年3月末の日経平均株価の予想レンジを36,000円から44,000円とみています。今の株価水準から考えると、このレンジの上限に達する可能性があると見ていいでしょう。2026年3月末の予想レンジの上限は48,000円としています。日本企業の構造的な変化と、それに伴う持続的な成長への期待が、今後の株式市場を支える大きな要因となりそうです。 野村證券 市場戦略リサーチ部長 池田 雄之輔 1995年野村総合研究所入社、2008年に野村證券転籍。一貫してマクロ経済調査を担当し、為替、株式のチーフストラテジストを歴任、2024年より現職。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。現在、テレビ東京「モーニングサテライト」に定期的に出演中。 ご投資にあたっての注意点
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2024/07/12 16:04
【野村の夕解説】米国ハイテク株安を受け、日経平均株価1,033円安(7/12)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米国で発表された6月CPI(消費者物価指数)は市場予想を上回るインフレ鈍化を示しました。これを受けてFRB(米連邦準備理事会)の9月利下げ観測が強まり、米国債券相場は上昇(利回りは低下)しました。金利低下の追い風を受けながらも、株式市場ではハイテク株や半導体株は高値警戒感から下落し、ナスダック総合指数は前日比ー1.95%と8営業日ぶりに反落しました。また、為替市場では政府・日銀が円買い・米ドル売りの為替介入に踏み切ったとの見方が広がり、一時1米ドル=157円台と急速に円高米ドル安が進行しました。米国ハイテク株下落の流れを引き継ぎ、本日の日経平均株価は前日比555円安の41,668円で始まりました。主力ハイテク株に加えて前日好決算を発表したファーストリテイリングも下落し、日経平均株価を押し下げました。一方で、円高でも好調な企業業績への期待は維持され、東証プライム市場の約6割強の銘柄は上昇し相場を下支えしました。寄り付き後も主力株は下げ幅を拡大し続け、日経平均株価は前日比ー1,033円の41,190円と大幅に反落して本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では6月PPI(生産者物価指数)が発表されます。他にはJPモルガン・チェースやシティグループなどが2024年4-6月期の決算発表を予定しています。15日(月)日本は祝日で休場となります。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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2024/07/12 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、7月に入り大幅上昇し、史上初の42,000円台に
※2024年7月11日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 一部テクニカル指標に過熱感みられるも、長期的には上昇余地あり 今週の日経平均株価は、米国株が堅調に推移したことや円安進行を受けて大幅上昇し、11日まで3日連続の史上最高値更新となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、6月26日に5月20日高値(39,437円)を超え、チャートの好転が鮮明となりました。 7月に入り株価は史上最高値を更新し、11日には史上初の42,000円台にのせました。急騰した反動をこなしつつ、この先、今年3月以降の押し幅の倍返し水準(44,708円)や心理的フシの45,000円などを目指す動きが期待されます(図1)。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1直近値は2024年7月11日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、これまでの大幅上昇で一部テクニカル指標は短期的な過熱感を示唆する水準にあります。目先の上値が重く、3月高値(ザラバベース:41,087円)を割り込んで押しを入れる場合は、心理的フシの4万円の水準が下支えとなるか注目されます(図2)。 (注1)直近値は2024年7月11日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 次に月足チャートで中長期的な動きを確認してみましょう。新値累積数値という新高値(安値)の更新回数をカウントした数値をみると、今年7月高値は、起点から9回の高値更新となっています。過去の長期上昇トレンド(図3:①~③)では11~21回の高値更新となっており、同局面と比較した場合、この先も上昇余地があると考えられます。 (注1)直近値は2024年7月11日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)2023年12月22日から新値累積数値の起点を天井形成時の高値・底値形成時の安値とした。(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成 米国株、年前半大幅上昇なら年後半も堅調 2024年、早くも半年が過ぎ、既に年後半に突入しています。年前半の米国主要指数の上昇率は、NYダウこそ3.8%に留まったものの、S&P500指数は14.5%、ナスダック総合指数は18.1%の大幅上昇となりました。 1950年以降の米国株(S&P500指数)について、年前半大幅上昇だったケースをみると、年後半も堅調な動きとなるケースが多く見られました(図4)。特に1990年以降において、年前半に10%以上上昇した10回のケースについては、年後半もすべてのケースで上昇し、上昇率は平均で10%を超えています。尚、S&P500指数が大幅上昇した年においては、ナスダック総合指数も年後半に大幅上昇となっています。これらアノマリーを参考とすれば、2024年後半にも期待できそうです。 (注1)左図の直近値は2024年6月末。1950年~2023年のデータに基づく。ケース別月間騰落率の平均値を基に算出。右図の年前半は昨年末~6月末、年後半は6月末~12月末。(出所)S&Pダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 さて、ナスダック総合指数は、これまで大幅上昇となり、7月に入ってからも史上最高値の更新が続いていますが、さらなる上昇余地はあるのでしょうか。チャート面で見れば、上昇余地が残っていると考えられます(図5)。リーマンショック以降の過去5回の中長期上昇局面(図5中:①~⑤)のうち、コロナショックで高値形成となった局面(同:④)を除けば、株価は安値から1.9~2.3倍となっていましたが、今回はまだ1.8倍の上昇に留まっています。この先、急騰の反動はみられる可能性がありますが、上昇基調自体は続くと考えられます。 ((注1)直近値は2024年7月10日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2024/07/12 08:23
【野村の朝解説】米CPI発表後、ドル円は一時157円台(7/12)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 11日の米国市場は、米6月CPI(消費者物価指数)の発表をきっかけにリバーサル的な動きとなりました。ドル円は年初の1ドル=141円台の水準から円安基調が継続しましたが、CPI発表直後に161円台半ばから、一時157円台後半まで急速に円高が進みました(執筆時点では158円台後半)。為替介入について神田財務官は、慣例通りコメントしない、と述べました。 米6月CPIは、前月比-0.1%と、市場予想(同+0.1%)や5月実績(前月比横ばい)を下回りました。ガソリン価格が同3.8%下落したほか、航空運賃や中古車価格も下落しました。CPIを受け米10年国債利回りは4.30%から一時4.18%程度まで低下しました。米国株式市場では、年初来で大型株に対して出遅れていた中小型株指数のラッセル2000が3.57%高、ダウが小幅続伸した一方で、大型テクノロジー株の反落などによりS&P500とナスダック総合は反落しました。 相場の注目点 12日のJPモルガン・チェースを皮切りに、2024年4-6月期の米国企業決算発表が本格化します。米大手銀行については、2024年1-3月期の決算は、純金利収益がやや市場予想を下回り、より変動の大きい投資銀行部門の手数料や市場部門の収益が市場予想をやや上回るケースがみられ、今回もそれらの状況が注目されます。また、経済がコロナ禍から正常化する過程で上昇してきた、クレジットカードなどの消費者ローンの貸倒率の水準についても景気循環の点から注目されます。 23日のビザの決算からはEコマースや旅行消費の状況が、また、7月後半以降のマイクロソフトやアルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、アップルなどのテクノロジー企業の決算ではAI関連事業の収益化の進捗が注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2024年7月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/07/11 16:01
【野村の夕解説】日経平均株価は初めて42,000円を突破 米株高が追い風(7/11)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日の米国株式市場では、パウエルFRB議長が米下院で「インフレ鈍化については幾分自信がある」と証言したことで、米国の早期利下げ期待の後押しとなり、主要3指数は揃って上昇しました。米株高が追い風となり、日経平均株価は、前日比511円高の42,343円で本日の取引を開始しました。個別では、半導体関連銘柄で構成される米国のSOX指数が前日比+2.42%と大きく上昇したことを受けて、東京エレクトロンやレーザーテックなどの半導体関連銘柄が上昇したほか、ファーストリテイリングやソフトバンクグループといった高PERな成長株も上昇し、日経平均株価を押し上げました。 ただし、本日、米国で6月消費者物価指数(CPI)が発表されるため、この結果を見極めたいとする投資家心理から寄り付き後の上値は重く、その後は42,250円を挟んだレンジでの推移となりましたが、前日比392円高の42,224円と初めて節目の42,000円を突破し、本日の取引を終了しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、11日、6月米消費者物価指数(CPI)の発表が控えます。米国の金融政策を見通すうえで、食品・エネルギーを除くコアCPIの伸び率が鈍化するのか、注目されます。経済統計以外では、アトランタ連銀のボスティック総裁やセントルイス連銀のムサレム総裁といったFRB高官の講演等が予定されています。 (野村證券投資情報部 金井 一宜) ご投資にあたっての注意点
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2024/07/11 08:18
【野村の朝解説】9月利下げ期待が継続し、米国株は上昇(7/11)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場では、主要3指数が揃って上昇しました。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が寄り前に発表した24年4~6月期の売上高が前年同期比40%増と市場予想を上回ったことを受けて、半導体関連を中心とした情報技術セクターが相場を牽引し、小確りで寄り付きました。米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長による米下院の議会証言は、前日の米上院の議会証言と概ね同様の内容で、サプライズはありませんでしたが、質疑応答で「インフレ鈍化については幾分か自信がある」と発言したことが好感されました。9月利下げへの期待が継続し、相場全体を押し上げました。 相場の注目点 引き続き米国の金融政策に注目が集まります。9日及び10日に行われたパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言では、インフレだけでなく、景気の失速にも目を配る必要性を強調しました。利下げ時期に関する具体的な言及を避け、データを確認したいとのこれまでの姿勢を継続しましたが、9月利下げも視野に入っているように見受けられました。議会証言を終えて、市場の目線は11日発表の6月米消費者物価指数(CPI)に移ると見ています。コア(食品・エネルギーを除く)CPIの伸びに鈍化傾向が確認されれば、年内の利下げ開始に向けた後押し材料になると見られます。また、11日にはアトランタ連銀ボスティック総裁の質疑応答、セントルイス連銀ムサレム総裁の講演が予定されています。FOMC(米連邦公開市場委員会)内でも年内の利下げ回数の想定は0~2回の間で分かれていると見られます。パウエル議長などFOMC執行部の利下げ回数は2回が優勢となる中、両総裁は1回以下の利下げを予想するタカ派(景気より物価を重視)と目されています。早期利下げに向かうには、タカ派委員の意見が傾くことが必要と見られるため、発言に変化がないかが注目されます。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年7月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点