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09/20 12:00
【野村の投資判断】レーティング引き下げリスクに備える52銘柄
中位なレーティングでありながら目標リターンが高い銘柄を推奨 足もとの株価上昇を受け、来期予想E/P(株式益利回り、PERの逆数)と平均的なアナリストのレーティングとの間に乖離が生じています(IFISコンセンサスベースを参照)。過去において、レーティングの大きな上方乖離は、コロナショックのように「近い期の業績低迷」と「遠い将来の業績回復」が予想される際に見られる傾向がありました。しかし、現在の状況は大きく異なります。アナリストの目標株価と現在の株価との乖離率(目標リターン)も低下しているため、アナリストのレーティングが高すぎる可能性が考えられます。 多くの場合、アナリストによるレーティングの修正は決算発表後に行われます。今年のQ2決算時には、会社業績予想の下方修正が増えると予想しています。これをきっかけにレーティングが引き下げられると、株価も下落するリスクがあるため、注意が必要です。 レーティングの引き下げリスクに備えるために、足元では「目標リターン」に注目します。これは以下の3つの理由からです。(1) 目標リターンの高い銘柄はレーティングが引き上げられやすい。(2) 過去、目標リターンの高低に基づいた投資は安定したリターンが得られた。(3) 特に9月~10月の決算発表端境期には、レーティングや目標株価の修正が少ないため、この期間の目標リターンはレーティングに反映されていない情報が含まれている可能性がある。 目標リターンが高い銘柄に投資する際のリスクは、目標株価の下方修正です。しかし、目標リターンが高い銘柄は、目標株価の下方修正による株価への影響が限定的であることが多いです。目標株価が下方修正されることもある程度織り込み済みなのでしょう。 目標リターンに基づいた投資は、特にレーティングが中間的な銘柄に対して、有効な傾向があります。これは、レーティング引き上げと引き下げのどちらの余地も大きいことや、投資家間の意見が分かれる銘柄ほど株価水準が重視されるためと考えられます。現在の市況を考慮すると、レーティングが中位でありながら目標リターンが高い銘柄を推奨します。最適な投資タイミングは、レーティング変更の「凪」が終わるQ2決算発表の直前とみます。 レーティング中位かつ高目標リターンの52銘柄 アナリストレポート「日本株クオンツストラテジー – Q2決算でのレーティング引き下げリスクを警戒」(FINTOS!プレミアムプラン限定公開)では、「レーティング中位かつ高目標リターン銘柄」のリストを掲載しています。 (FINTOS!編集部) (注)画像はイメージ。 要約編集元アナリストレポートについて ご投資にあたっての注意点
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09/20 09:30
【野村の投資判断】日銀会合迫る!過去の利上げ開始局面と日本株
前回の利上げ局面では直観に反する結果に 9月21日から22日にかけて、日銀は金融政策決定会合を開催します。最大のポイントは、植田和男総裁のマイナス金利解除に対するスタンスでしょう。9月9日付の読売新聞インタビューは、この点について植田総裁が前向きという見方を急速に強めました。ただし、実際には、財務省による口先介入の強化との連携で、円安を抑制するためのけん制効果が主な狙いだった可能性も考えられます。 一方、日銀が金融政策の正常化をすすめる方向にあることも確かです。野村證券のエコノミストは、今回の会合において、イールドカーブ・コントロールやマイナス金利などの金融政策は維持されると見ていますが、フォワードガイダンス(FG, 先行き指針)については部分的に修正され、ハト派(金融緩和に積極的)の色合いが除去されると予想しています。 植田総裁の会合後の記者会見で、声明文のFG修正以上にタカ派的(金融引締めに積極的)なコメントが出された場合、不動産や円安恩恵を受けるセクター、およびグロース株に一時的な調整をもたらすかもしれません。 しかし、現状と似ている点の多い、2006年の日銀による利上げ開始時を振り返ると、銀行株のパフォーマンスが悪化し、不動産株のパフォーマンスが向上するという、直感に反する動きが見られました。理論的には、金利の上昇は銀行株にとって追い風となり、不動産株にとっては逆風となるはずです。しかし、実際には、銀行株に対しては好材料が出尽くしたとの反応が見られた一方で、不動産株に関しては多少の利上げでは見通しに大きな影響を与えないという楽観的な見方が続きました。 (FINTOS!編集部) (注)画像はイメージ。 要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年9月14日配信)」(プレミアムプラン限定) 要約編集元アナリストレポートについて ご投資にあたっての注意点
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09/20 08:09
【モーニングFINTOS!】FOMC結果発表を前に米国株は反落 (9/20)
海外市場の振り返り 19日の米国株式市場は、主要3指数が揃って反落しました。カナダのCPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことや、堅調な米住宅指標、米中古車価格の上昇などを受け米長期金利が上昇したことが理由と推察されます。 米国の経済指標では、8月住宅着工件数は市場予想を下回ったものの、先行指標である建設許可件数のうち建設業の基調を示す最も安定した指標である一戸建て許可件数は堅調でした。 また、民間調査による米国卸売中古車価格は、8月の前月比0.2%上昇に続き、9月前半は同1.5%上昇しました。UAW(全米自動車労働組合)によるストライキの影響で新車の供給減少を一部織り込んだと推察されます。中古車価格は、CPIの主要な構成要素の一つで、高インフレの長期化の観点から注目されます。 相場の注目点 米国の金利動向が注目点です。米国では昨日から開催中のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が日本時間今夜発表されます。野村は、FRB(連邦準備制度理事会)が今回の会合では政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%に据え置くと予想しています。また、FOMC参加者のFF金利予想(ドットチャート)の中央値は、2023年末は年内にさらに1回の利上げが行われた場合の水準である5.625%に据え置かれる一方、2024年末と2025年末の政策金利予想については、FRBの「より高い水準により長く維持する」方針を反映して、前回よりも引き上げられ、より緩やかなペースで利下げが進められるとの見通しが示されると、野村は予想しています。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2023年9月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【野村の投資判断】早期解散総選挙の確率上昇なら株高材料に 【市場展望】2023年6月株主総会と変化する株主の役割 ご投資にあたっての注意点
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09/19 19:00
【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(9/19)
植田総裁発言を受け金融セクターに注目が集まる 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が前週の3位から順位を上げて1位となりました。9月9日付の読売新聞のインタビューで日本銀行の植田和男総裁は「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば、(解除を)やる」と述べました。植田総裁の発言は、マイナス金利解除への株式市場における期待を高め、銀行セクター株価のサポート材料となりました。三菱UFJの時価総額は、9月15日終値時点で16.4兆円とトヨタ自動車に次ぐ日本2位となっています。 また、金融セクターからはそのほか、7位に三菱HCキャピタル(8593)、9位にゆうちょ銀行(7182)、10位に三井住友フィナンシャルグループ(8316)がトップ10にランクインしています。 IHI(7013)は前週のランキング圏外から6位に浮上しました。米航空防衛大手RTXは9月11日、傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が製造した航空エンジン「PW1100G」の不具合に関して、補償金なども含めて今後数年間で30億~35億ドルの費用負担が生じるとの見通しを示しました。発表を受けて共同開発に参画したIHIの株価は大きく下落しました。IHIはこの件に関して業績への影響があるとの認識を示しましたが、具体的な影響額については公表していません。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年9月18日時点。 ご投資にあたっての注意点
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09/19 16:11
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、ハイテク株下落が重石となり290円安(9/19)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前週末比236円安の33,296円と反落して取引を開始しました。15日の引け後、半導体受託生産で世界最大手の台湾TSMCが、最先端半導体向け製造装置の納入延期を取引メーカーに要請したとの観測が報じられました。この報道を受け、東京エレクトロンなどの半導体関連株が下落しました。ソフトバンクグループも、傘下の英半導体設計アーム・ホールディングスが2営業日続落となったことが嫌気され、下落しました。これらのハイテク株の下落が重石となり、日経平均株価は、前週末比404円安まで下げ幅を広げて前場の取引を終えました。ハイテク株下落の一方で、バリュー(割安)株では上昇する銘柄も多く、株主還元強化が期待される海運業や鉄鋼は上昇し、下値を支えました。午後に入ると、日経平均株価は33,200円近辺での推移を続け、結局前週末比290円安の33,242円で取引を終えました。 TOPIXは、東証プライム市場全体の58%に当たる1,079銘柄の上昇に押し上げられ、前週末比+0.08%と3営業日続伸し、年初来高値を更新して取引を終えました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・8月住宅着工・建設許可件数 (着工)前月:145.2万件 予想:143.9万件 (許可)前月:144.3万件 予想:144.0万件 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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09/19 12:00
【野村の投資判断】早期解散総選挙の確率上昇なら株高材料に
過去11回の解散総選挙期間中の日経平均株価は11戦全勝 9月9日付の読売新聞のインタビューで、日銀の植田和男総裁がマイナス金利解除の選択肢に言及したことを受け、足元の日本株は一時的に調整しましたが、その後大きく反発しました。金融政策の本格的な正常化に向けては、まだ時間的猶予があるという見方が市場で広がっています。 また、9月13日の内閣改造・自民党役員人事を受けて、早期の衆院解散・総選挙の可能性への関心も高まっていると考えられます。この点では、岸田内閣の支持率の動向がカギとなります。支持率が上昇すれば、早期解散への期待も高まり、株価を押し上げる要因となるでしょう。ただし、今回はいわゆる「目玉人事」はないため、早期解散の可能性を高めるには経済対策や外交上の成果が必要だと言えます。なお、1990年以降の解散総選挙を振り返ると、過去11回の選挙期間中の日経平均株価は11戦全勝となっています。 外需環境においては、中国のマクロ経済指標が最悪期を脱しているように見えます。しかし、日本株にとってより大きな問題は、中国政府の外国企業に対する姿勢に不透明感が拭えない点です。このため、投資推奨セクターは引き続き内需寄りとします。外需セクターに関しては中国のエクスポージャーを考慮しながら選別が必要です。 (FINTOS!編集部) (注)画像はイメージ。 要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年9月14日配信)」(プレミアムプラン限定) 要約編集元アナリストレポートについて ご投資にあたっての注意点
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09/19 09:30
【銘柄紹介】山陽特殊製鋼/デンソー/関西電力
山陽特殊製鋼(5481) 鉄鋼 軸受鋼が回復基調に転じる 兵庫県姫路市に拠点を持つ大手特殊鋼電炉会社。軸受鋼の国内シェア約4割と首位。欧州、インドでも事業展開している。 2024.3期の営業利益は前期比18%減益の235億円と予想する。23.3期に欧州の子会社のオバコでの一過性の利益計上が多かったため、前期比では減益になるが、会社計画の200億円は上回ると予想する。 当社の主力製品である軸受鋼の日本の受注は22年1月以来、前年同月を下回る状況が続いてきたが、23年6月に前年同月比で2%増となり、18カ月ぶりに前年同月を上回った。国内の自動車生産の回復とともに、低迷していた数量も回復基調に転じると予想する。 脱炭素の取り組み進展も評価 野村では、欧州子会社のオバコは鉄鋼会社として、粗鋼生産1トン当たりのCO2排出量が世界で最も少ないと評価している。 オバコの主力工場でカーボンフリーの水素プラントが完成し、9月5日に、スウェーデンの首相の列席の下で、開所式が行われた。自社工場内で生産されたカーボンフリー水素を燃料として活用する取り組みで、一層のCO2排出量の削減につながる。 インドの子会社が現地企業と再エネ由来電力の購入契約を締結したことも9月6日に発表した。同子会社のCO2 排出量の25%を削減できる見込みである。脱炭素への取り組みに積極的な鉄鋼会社として評価向上の余地は大きい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 松本 裕司) デンソー(6902) 輸送用機器 多様な製品を持つ自動車部品国内首位 日本最大の自動車部品メーカー。トヨタ自動車向け売上比率は2023.3期で47%だが、その他の日系・米系・欧州系と幅広い顧客納入先を持つ。エアコン、エレクトロニクス・半導体関連、エンジン関連など製品群が広範で、先進分野にも強みがある。 中国BEV(バッテリー式電気自動車)メーカーの台頭で、中国の日系車販売が低迷している。トヨタの7月販売台数も前年同月比15%減となり、当社の中国需要減を注視したい。一方、北米は生産回復により収益が改善した。下期は新型Lexusやクラウンの販売開始で製品構成の改善を見込む。インフレ影響の価格転嫁も進むと見て、24.3期営業利益は6,160億円と予想する。 インバータ販売と企業価値向上戦略に注目 当社インバータ販売台数は、トヨタの電動車販売増と電気式4WD 設定増を追い風に、4~6月期は117万台と前四半期比20万台増加した。拡販により25.3期には前期比43%増の770万台を見込む。インバータ販売増で力強い利益成長へ回帰しよう。 収益・経営理念に貢献する領域にリソースを集中すべく、直近もエンジン関連事業(燃料ポンプやスパークプラグ)を譲渡するなど事業構造変革が進行中である。政策保有株式の縮減や株主還元強化などROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)向上に前向きな姿勢も評価する。半導体分野や非車載分野(FA や農業等)への投資により成長が加速するかも注目。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 石本 渉) 関西電力(9503) 電気・ガス 法人向け電気料金値上げは順調に進捗 関西電力が7月28日に発表した2024.3期4~6月期決算は、経常利益が2,683億円と前年同期の171億円の赤字から改善した。経常利益が改善した要因は、法人向け電気料金値上げおよび燃料費調整制度のスライドタイムラグのプラス効果、電気卸取引所を活用した電源調達の工夫などによるものである。特に、法人向け電気料金値上げは同業他社のように標準メニューの見直しを行わず、従来のメニューの割引率を引き下げることで値上げを実現させた。また、新電力など競合他社が採算重視の価格設定を行ったことにより、当社の電気料金の競争力が確保されたことで、想定以上に電気料金の値上げが実現したとみられる。 原発7基体制構築により収支改善 野村では24.3期経常利益を5,359億円と予想する。原発7基体制の確立による原子力利用率の上昇や法人向け電気料金値上げなどで黒字回復を見込んでいる。24.3期の原子力利用率は75.4%を想定する。前期(48.5%)比での改善は従来から稼働していた5基(美浜3号、高浜3、4号、大飯3、4号)に加えて、高浜1、2号が24.3期に新たに再稼働することによるものである。原発7基体制構築により、24.3期は23.3期比で1,506億円の燃料費削減効果があると試算する。燃料費削減効果は25.3期も継続するとみており、23.3期比で2,044億円の効果があると試算する。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山﨑 慎一) ※野村週報 2023年9月18日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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09/19 08:30
【モーニングFINTOS!】14日比で米国主要3指数は全て下落 (9/19)
海外市場の振り返り 15日、18日の2日間の米国株式市場は、NYダウが14日比-0.81%、S&P500が同-1.14%、ナスダックが同-1.55%となりました。S&P500のセクター別では11セクターすべてが下落となり、とりわけ一般消費財サービスや素材、情報技術などの下落幅が大きくなっています。FOMCを控える中、NY連銀製造業景気指数の結果を受けた米金利の上昇が嫌気されました。また、半導体受託製造世界最大手のTSMC(台湾セミコンダクター)が、複数の取引先に対し高性能半導体の製造装置の出荷を遅らせるよう要請したと報じられ、半導体関連銘柄が下落しました。 相場の注目点 読売新聞インタビュー(9日)における植田日銀総裁のタカ派的な発言を受け、市場では日銀の金融政策正常化への期待が高まりました。15日にはブルームバーグが、9日の植田総裁の発言に対して、市場の解釈とのギャップを指摘する日銀内の声を報じており、正常化への期待はやや落ち着きましたが、ブルームバーグの報道においても日銀がインフレ上振れへの警戒を強めている可能性が指摘されています。22日の日銀金融政策決定会合では、政策変更は見送られると野村では予想していますが、植田総裁の記者会見では足元の報道に対する真意が問われるとみられ注目されます。 本日のイベント 本日は、米国の住宅着工件数が発表されます。18日に発表された9月NAHB住宅市場指数は45と、5ヶ月ぶりの低水準を記録しました。金利上昇の影響を反映したとみられます。住宅市場の回復は、米国経済のソフトランディングを実現するうえで重要な指標となるため注目されます。 (投資情報部 大坂 隼矢) (注)データは日本時間2023年9月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【業界展望】米国の労働コスト上昇と自動車業界 【オピニオン】180度異なる日米株物色の深層 【特集】アームは売り出し価格比25%上昇!上場で話題の「半導体設計業界」とは? ご投資にあたっての注意点
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09/18 19:00
40代向けのNISA活用法 – 「投資が怖い」Cさんはリスク許容度を選べる投信で
老後資金の話題が増え…よぎる不安 大阪府在住のCさん(47歳、男性)は、大阪市に本社がある大手機械メーカーの技術系の部署のマネージャーです。中間管理職という立場もあって忙しい日々を送っています。3人いる子どものうち、長女はすでに社会人として働いており、次女は大学生、一番下の長男は高校生です。 技術には詳しいものの「お金に無頓着」と自覚しているので、しっかり者の妻に家計管理は任せています。長男の教育資金のめどがついたと妻に言われ「ほっと一息」となったのもつかの間。同期入社の同僚や友人たちとの会話で、老後資金の話題が頻繁に上がるようになりました。 友人や同僚は少額投資非課税制度(NISA)や会社の確定拠出年金(DC)使って、上手に資金を増やしていると言います。同僚の1人は「会社にDCが導入された15年前から積極的に運用し、すでに1,200万円近くになっている」と話していました。さらに、つみたてNISAで積み立てた投資信託がすでに数百万円になっているという友人もいました。 Cさんの会社は65歳定年制のため、リタイアまであと20年足らずと差し迫っています。「今後は人手が不足するので、退職年齢は上がるし、退職一時金も出るからお金のことは大丈夫だろう」と高をくくっていたCさんも、 「そういえば、数年前に『老後2000万円問題』という言葉が話題になったよな…自分もなんとかしないといけない…」 「さらには子どもたちの結婚資金も援助してあげたいが、3人で数百万円必要か…」 「いずれ生まれる孫の出産祝いや教育資金も少しばかりは出してあげたい…」 などと、さまざまな思いが頭をよぎるようになりました。家計管理を任せていた妻に聞いてみたところ、「うちには3人も子どもがいて、そもそも今、余っているお金なんてほとんどないの。それに、少しばかりのお金は全額預金で残してあるわ」とのことでした。 焦りは増すばかりです… 「投資は怖い」と長年資産形成できず 生真面目な性格のCさんは、多くの日本人が抱える「なんとなく投資は怖い」という潜在意識から逃れられず、資産形成から目を背けていたのです。 DCには会社が毎月拠出してくれる約3万円のみ、全額をほとんど利回りがない「定期預金」で積み立てていました。このため、数百万円程度のお金にはなっていましたが、このペースで続けても、老後の生活にはとても足りなそうです。さらに、これまでNISAという言葉は知っていたものの、興味を持ったことさえありませんでした。 お金に無頓着だったことに後悔の念を抱き始めたCさん。ウェブの記事を読んでいて、偶然2024年にNISAの制度が大きく変わることを知り、この機会に資産形成したいと考えるようになりました。 「投資が怖い」人向けのNISA活用法は? Cさんは、NISAや企業型DCなどについて調べ始めました。Cさんのような方が新NISAを活用する場合、どういった商品への投資が考えられるのでしょうか。 リスク許容度別で選べるバランス型投資信託を積み立てる 本人のリスク許容度によって資産配分を変えられるバランス型投信があります。自分の投資スタイルやリスク許容度に合わせ、リスクをとる「積極的運用」や、リスクを抑える「保守的運用」などを選ぶことができます。 例えば、積極的な運用を希望すれば、資産の半分以上を外国株式で運用でき、保守的な運用を希望すれば、半分近くを円建ての国債や社債で運用するといった形です。この条件のもと、景気動向などに合わせてファンドマネージャー(運用責任者)が株式や債券などの組み入れ比率を変更してくれるため、あまり景気などを意識する必要がないのが利点といえます。 さまざまな商品の中から、自分のリスク許容度やお金に対する考え方に合ったものを選びましょう。 友人らのアドバイスを受け、初めの一歩 Cさんの場合、退職時に退職一時金などを受け取り、本格的により大きなお金の運用を考えなければなりません。また、両親が健在であれば相続で大きな資産を手にする場合もあるでしょう。 NISAでは、外国株式のみなど1種類の資産で運用をしていくこともできますが、退職一時金などの運用なども視野に入れるのなら、バランスの取れた運用に慣れておくのもよいでしょう。 すでにNISAなどを始めている友人らのアドバイスを受けたCさんは、まず企業型DCで、企業が負担する掛金に上乗せして従業員が掛金を負担する「マッチング拠出」により、毎月上限額(22,000円)を国内外の株式や債券、不動産投資信託(REIT)などに分散投資できる投信へ積立投資することで、資産形成へと一歩踏み出すことにしました。 そして、2024年の新NISA開始と同時に運用を始めるべく商品の検討も始めました。「まずは投資の基礎を学び、不安を自信に変えていこう」と前向きです。 より確実に資産形成するためには、さまざまな情報や意見に触れ、自身のリスク許容度を踏まえながら、最適な投資法を見つけていくことが肝要です。 (注1)掲載されている内容は2023年9月時点のものです。(注2)2024年からNISAは、口座開設期間・非課税保有期間の恒久化、年間投資枠・非課税保有限度額の大幅な拡大など、制度が抜本的に改正されることとなりました。これに伴い、現行の「一般NISA」および「つみたてNISA」(以下、「現行のNISA」といいます。)での投資は2024年以降できなくなります。なお、現行のNISAで投資されたものは、2024年以降のNISAの非課税保有限度額(総枠)とは別枠で、当初の非課税保有期間終了まで非課税のまま保有することができます。ただし、当該非課税保有期間終了時に2024年以降のNISAに移管することはできません。 (文責・野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室) NISAについての注意点 ご投資にあたっての注意点