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2022/06/22 08:06
【モーニングFINTOS!】野村は米国の緩やかな景気後退局面入りを予想(6/22)
海外市場の動向 目立った材料がない中、米国株は大幅高 休場明け21日の米国株式市場で、NYダウは前日比+641.47ドル(+2.14%)の30,530.25ドルと3営業日ぶりに3万ドル台を回復しました。その他、S&P500が同+2.44%、ナスダック総合指数が同+2.50%となりました。特に目立った材料はありませんでしたが、主要3指数は前週までに大きく下落しており、自律反発狙いの買いが先行した可能性があります。エネルギーや一般消費財を中心に全11セクターが上昇するなど、堅調な展開でした。 相場の注目点 ドル円相場は136円台に突入 米休場明けの為替市場では再び円安が加速しています。ドル円相場は直近高値を上抜けて136円台に突入、一時136円70銭台まで円安ドル高が進みました。特に目立った材料がない中、米国株と米金利がともに上昇し、円安圧力を強めたと見られます。円安が再加速したことを受け、本邦当局の口先介入への注目が再び高まりそうですが、口先介入レベルに目立った変化が見られなければ、目先は円安の勢いが維持される可能性があります。 野村證券は米国経済の景気後退局面入りを予想 野村證券は米国経済見通しを改定し、2022年10-12月期以降に5四半期連続の緩やかな景気後退(2四半期連続で前期比マイナス成長)局面に入ると予想します。背景には、金融環境の引き締まりや消費者信頼感の低下、エネルギーと食料供給を巡る混乱が悪化し、米国以外の成長見通しも厳しくなっていることなどが挙げられます。過去の景気悪化時と比較すると消費者は大幅な貯蓄超過を有することから、当初の景気収縮のペースは抑えられると見ますが、持続的な高インフレのため、当面、政策当局の対応余地も限られると考えます。2022年の実質GDP成長率の野村予想を前年比+2.5%から同+1.8%に下方修正しました。また、2023年の実質GDP成長率も前年比+1.3%から同-1.0%に下方修正しています。利上げについては、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が23年2月に3.50~3.75%に達した時点で終了すると見ます。一方、2023年後半には複数回の利下げが実施され、FF金利誘導目標中央値は23年末に2.875%、24年末に0.875%に低下すると予想します。 「米国スペシャルレポート:経済見通しの改定 – 景気後退入りの可能性が高まる」より パウエル議長議会証言が予定 米国ではパウエル議長の半期議会証言が予定されています。FRB(米連邦準備理事会)はインフレを中心としたデータ重視の姿勢を強めているため、6月FOMCからの政策姿勢の変化は限定的だと考えられます。 FINTOS!編集部オリジナル記事 ・前日の特集:資本効率改善に果敢に取り組む損害保険業界(業界展望) ・厳選レポート:リセッション懸念とインバウンド期待/人件費と日本株/インフレと投資戦略【編集部厳選レポート3本】 ・配信スケジュール:【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2022/06/21 20:00
資本効率改善に果敢に取り組む損害保険業界(業界展望)
2021年度は最高益を更新 2021年度の損害保険業界は国内外で増益要因が重なり、各社の修正利益(親会社株主利益に責任準備金の繰入などを調整した経営指標)は過去最高益となった。国内損害保険事業では、第一に、自動車保険の損害率が低位を維持した。20年度がコロナ禍での外出減少により自動車保険の損害率が低位であったため、21年度は損失の反転増加が危惧されたが、実際には損害率は上昇したもののコロナ前の19年の水準を下回り、依然として行動制限による事故の発生頻度低下が見られた。第二に、自然災害影響が過去に比べて低位であった。火災保険の保険引受収支は損失の状態が継続したが、18~20年の水準に比べて低位である。 海外では、欧州での洪水や米国のハリケーンなど自然災害による保険金支払いが増加したが、世界的に進む保険料率の引き上げによる増収効果が損失を上回った。自然災害は各地で増加傾向にあり、保険会社の損失吸収力を圧迫する懸念がある。保険料率の引上げ幅は鈍化しつつあるが、22年も保険料率の引き上げの流れは続くとみる。 会社別の海外事業戦略では東京海上ホールディングス(HD)ならびにSOMPO ホールディングス(HD)の事業拡大がMS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&AD)よりも先行している。東京海上HDでは米国のソーシャルインフレ(弁護士の活動などにより賠償金額が高騰する事象)の影響により19年には米国子会社で損害率の悪化が見られた。同社はボトムライン重視の経営を徹底し、契約条件の見直しや収益性の悪い契約の引受停止・縮小を行った。その結果、前述の世界的な料率引上げもあり21年に大幅な利益回復を果たした。また、資産運用に強みのある海外子会社を持つため、保険料収入の拡大が資産運用規模の拡大と利息配当収入の増加につながっている。SOMPO HD は海外事業を集約するなか、21年は農業保険の会社を買収し、特に増収率が高くなった。 MS&AD は収益改善段階にあるため、他2社に比べると海外事業の利益貢献が遅れている。20年はコロナ関連の支払いが、21年は収益性の悪い保険契約の処理に関する費用や自然災害が業績を下押しし、中核子会社のMS Amlin では赤字が継続した。 資本効率の改善が進む 損害保険業界では資本効率の改善への挑戦が続いている。損害保険各社は継続的な自己株式取得や海外企業の買収等により他の金融業態と比べても資本効率改善のために積極的に取り組んでおり、その成果が経営の変化にもつながっている。東京海上HD ではかねてから中長期目標として修正利益5,000億円、修正ROE(自己資本利益率)12%を掲げていた。中期経営計画(21年度~23年度)の1年目である21年度は2度にわたる会社計画の上方修正を経て、修正利益は約5,700億円となった。会社は今後も修正利益5,000億円を達成することに対して自信を深めており、中計期間の途中であるが配当性向の40%から50%への引き上げを表明した。また、22年度は21年度に続き1,000億円の自己株式取得の予算を設定した。 SOMPO HD では中期経営計画(21年度~23年度)において総還元性向50%のうち、配当が占める割合を高めることを目指している。22年度の配当予想は前期比50円増配となる260円とした。5月開催の経営説明会では、堅調な業績を背景に23年度についても50円増配を目指すと説明された。また、資本効率改善の観点から買収だけでなく、事業の売却も検討しており、ブラジルのリテール事業の売却を公表した。 損害保険各社が株主還元や事業買収、事業売却を積極的に行う事が出来る背景には母国市場だけでなく、収益の柱となりうる事業を海外市場にも有することがあろう。キャッシュ創出が期待できる事業を有しているため資本蓄積の不確実性が低下し、戦略的な資本投下が可能になる好循環が始まっている。SOMPO HD では現中計期間中でのROE 2桁の達成を、東京海上HDでは新たな方針を打ち出せてはいないが、さらなるROEの向上を目指す考えである。 MS&AD に関しても中期経営計画(22年度~25年度)においてROE 2桁の達成を目指す考えであるが、株主還元については他の2社対比で物足りないという声が投資家からは聞かれる。同社に関しては海外事業がまだ収益改善段階にあり、事業基盤が小さい北米市場を含めて海外市場での投資を進める考えである。MS&AD の株主還元が一層拡大するには、海外事業の収益貢献が高まり、資本の蓄積の安定性が高まることが必要と野村では考える。出遅れていた海外事業の収益改善は進んでおり、22年度からの収益貢献の加速を野村では予想している。今後の巻き返しに注目したい。 (エクイティ・リサーチ部 坂巻 成彦) ※ 野村週報2022年6月20日号「産業界」より 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2022/06/21 16:28
【イブニングFINTOS!】日経平均株価475円高、3営業日ぶり反発(6/21)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比299円高の26,072円で取引を開始しました。前日の欧州株式市場で、ドイツなど主要国の株価指数は総じて上昇しました。同日の米国市場は休場でしたが、米国株価指数先物は時間外で上昇しており世界的な株高の流れが投資家心理を和らげました。前週末と前日の2営業日で日経平均株価は650円超下落しており、自律反発の動きも加わり次第に上げ幅を広げました。午後に入り、米国株価指数先物が一段高すると東京市場でも幅広い銘柄が一段と上昇しました。なかでも、このところ大きく下げていた半導体関連株の上昇が目立ちました。午後の日経平均株価は、一時前日比647円高の26,418円と直近2営業日の下落分をほぼ埋める局面もありました。引けにかけては上げ幅は縮小しましたが、前日比475円高の26,246円と3営業日ぶりに反発して本日の取引を終了しました。 東京プライム市場では、値上がり1,719銘柄に対して値下がり92銘柄とほぼ全面高でしたが、売買代金概算は2兆6千億円に留まりました。 本日発表予定の海外経済指標等 米国:5月中古住宅販売件数(年率、万件) 前月:561 予想:540 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2022/06/21 08:30
【モーニングFINTOS!】 仏議会選挙のイベントを通過し、欧州株は上昇 (6/21)
海外市場の動向 欧州株式市場は上昇 20日の米国株式市場は、ジューンティーンス(奴隷解放記念日)の振替休日のため休場でした。 20日の欧州株式市場ではストックス欧州600指数は、前週末比+0.96%となりました。この日は19日に行われたフランス国民議会(下院)決戦投開票で、マクロン大統領率いる与党連合が過半数を割れたものの、第1勢力は維持したことを受け、注目されたイベントの通過から欧州圏の主要株式指数は前週末比上昇となりました。欧州株式市場では、英国などを中心にエネルギー関連株や金融株などが上昇しました。 相場の注目点 日経平均先物大証夜間終値は日経平均の前営業日終値を上回る 日経平均先物大証夜間終値は25,990円となりました。日経平均株価の6~8月の配当落ち約48円を考慮した場合、実質的なCME終値は26,038円と試算され、日経平均株価の前営業日終値(25,771円)を上回る水準です。20日の欧州株が堅調となったことを受け、日経平均株価が3営業日ぶりに反発となるか注目です。北海ブレンド原油は米国バイデン大統領が景気後退は不可避ではないと発言したと報道されたことから、景気に対する懸念がやや後退し、前日比で上昇しました。前日、東京市場で大きく下落していたエネルギー関連株の動向にも注目が集まりそうです。 米国で経済指標などが発表予定 クリーブランド連銀メスター総裁とリッチモンド連銀バーキン総裁の講演が行われます。7月のFOMCでも0.5%ポイントもしくは0.75%ポイントの利上げの決定が一定程度織り込まれていますが、金融政策やインフレなどの見通しに関して発言されるか注目されます。また、米国5月中古住宅販売件数が発表されます。住宅ローンの金利上昇等を背景に、販売件数の伸び悩みが予想されています。 野村證券では2022年10-12月期以降小幅な景気後退入りになると予想 野村證券では、「グローバル・エコノミック・ウィークリー – 焦点はインフレ懸念から景気懸念へ」のレポートで、米国のインフレは高止まりし、インフレ期待不安定化が増す中で、FRBの積極的な金融引き締めが経済活動を抑制し、2022年10-12月期以降小幅な景気後退入りになると言及しています。金融政策では、2022年の利上げは7月に0.75%ポイント、9月に0.5%ポイント、11月と12月にそれぞれ0.25%ポイントの追加利上げを予想しています。その後、2023年2月に0.25%ポイントの追加利上げが行われ、政策金利3.50~3.75%で利上げ局面が終了すると見ています。あわせて、2023年9月以降には複数回の利下げを見込んでいます。引き続き、米国のインフレの動向、金融政策のパスは最大の注目ポイントですので、主要経済統計を含めて丹念にフォローしてゆく必要があります。 FINTOS!編集部オリジナル記事 ・前日の特集:【特集】近年の株主総会、3つの変化 ・前日の特集:ロート/インフロニアHD/ローム(銘柄紹介) ・厳選レポート:素材・エネルギーマンスリー/通信セクター投資戦略/欧米金融政策と株式市場 【編集部厳選レポート3本】 ・配信スケジュール:【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2022/06/20 18:30
【特集】近年の株主総会、3つの変化
※こちらは「FINTOS!」登録ユーザーの皆様に、6月18日に「メールマガジン」としてお送りした内容です。 集中日は29日も、集中率は過去最低 いよいよ6月下旬、3月期決算の会社が株主総会を行う時期です。東京証券取引所の調査によると、今年は6月29日(水)に開催が最も集中する見込みで、集中率は25.7%と1983年の集計開始以来の最低水準です。 暦の影響で、24日(金)や28日(火)に分散したのも低集中の要因の一つですが、「株主総会が株主との重要な対話の場である」との認識が浸透してきたことが、近年の分散化につながっていると考えられています。 ネット議決行使やバーチャル総会が増加 同じく東証の調査によると、ネット議決行使や、バーチャル総会の開催が増加傾向にあります。インターネットによる個人投資家の議決行使を可能とする会社は、今年は全上場会社のうち76.5%(昨年+10.7%pt)、バーチャル総会を予定している会社は18.7%(同+4.1%pt)です。 バーチャル総会については、大半の会社が実出席とのハイブリッド開催となっています。 来年から招集通知のスマート化進む 株主の手元には、総会開催日の3週間前頃に企業から招集通知が送られます。厚みのある封筒がポストに山盛りになって届くのが6月の風物詩の一つという方もいらっしゃると思いますが、今後は変わるかもしれません。 今年9月に施行される改正会社法により、来年3月以降に開催される株主総会からは、株主総会資料の電子提供制度が開始され、資料を自社のホームページに掲載するなどのデジタル化が進みます。 もっともURLなどが記された招集通知は必ず書面で郵送されるほか、書面での資料提供を希望する場合は当該資料の書面交付請求ができる措置も執られます。また発行会社の意向により、資料の書面交付が続くケースもあります。 ご投資にあたっての注意点
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2022/06/20 16:30
【イブニングFINTOS!】日経平均株価続落、景気後退懸念広がり下落へと転じる(6/20)
本日の株式市場 前週末の米国株式市場では、原油価格の下落が景気敏感株の重石になった一方で、米国債利回りの上昇が小幅だったことからハイテク株は前日比上昇となりました。 原油価格の下落は、国内市場でも資源関連株の下押し圧力になりました。一方で前週末に比べ円安ドル高に推移したことが自動車関連株の押し上げ要因となり、日経平均株価は前週末比193円高の26,156円で寄り付きました。寄り付き以降は、米国を中心とした金融引き締めによる景気後退を警戒する見方が広がったことや、寄り付きに比べ円高ドル安での推移となったことが相場の重石となりました。指数寄与度の高い半導体関連銘柄が下落したことから、日経平均株価も次第に下げ幅を広げる展開となりました。前引け前には本日の安値となる前週末比442円安の25,520円を付ける場面もありました。 ただ、午後以降は、米国株価指数先物が小幅高で推移したことなどが投資家心理を支え、引けにかけて下げ幅を縮小し、前週末比191円安の25,771円で本日の取引を終了しました。 本日発表予定の海外経済指標等 特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2022/06/20 13:00
ロート/インフロニアHD/ローム(銘柄紹介)
ロート製薬(4527) 医薬品 スキンケア市場でプレゼンスを確立 一般用目薬で国内市場シェア4割を誇り、2001年以降に投入した「オバジ」「肌ラボ」が急拡大、現在はスキンケア製品を主力とする。製薬会社の知見を活かした商品開発力と消費者ニーズのマッチング力が強みで、SNSマーケティングやキャラクターコラボが商品認知向上に奏功している。 22.3期は2度の上方修正を経て、営業利益は前期比28%増加し293億円となった。ウィズコロナ環境に適した商材(肌ラボや高機能目薬)、新機軸商材(目薬サプリ)の強みが活きたこと、会社が推進する構造改革の成果等が表れ、利益水準が引き上がったと言えよう。天藤製薬の子会社化など、更なる業容拡大へ向けた施策も進んだ。 再生医療と医療用眼科材へ事業領域拡大 既存事業の強化に加え、「健康寿命の延伸」を目指して13年から新領域(食・再生医療)に進出、目に見えた成果はまだだが開発は前進している。再生医療では、脂肪由来間葉系幹細胞による肝硬変治療薬を塩野義製薬に導出、フェーズ2試験が行われている。再生医療技術をスキンケアへ活用(エピステーム)するなどユニークな商品開発につなげている。 眼科用薬では、製品導入や子会社ロートニッテンが持つ販路や製造設備を活かした開発が進められている。医薬品製造受託子会社クオリテックファーマでのCDMO(医薬品の受託開発生産)ラボ開設など、新たな成長源育成に注目する。 (エクイティ・リサーチ部 繁村 京一郎) インフロニア・ホールディングス(5076) 建設 インフラ運営と採算管理が強み 準大手ゼネコンの一角である前田建設工業と道路舗装大手の前田道路、建設機械の製造・販売を行う前田製作所が経営統合を行い2021年10月に設立。前田建設工業は建築、土木の建設請負がメイン事業だが、中長期での展開を目指して「脱請負」をかかげ、再生可能エネルギー関連や有料道路などのコンセッション事業を展開する。 当社は準大手、大手の中で、受注時採算の改善が継続している唯一のゼネコンと言える。インフラ運営事業を手がけ、同事業に関連した好採算案件を獲得するとともに、受注時利益率を厳格に管理し受注時採算を公表する特徴があり、建築での採算管理を徹底する上で他社との違いであろう。 23.3期は増益確度が高い 23.3期は建築での増収による増益に加えて、インフラ運営での売却益70億円程度(第1四半期に売却予定)が見込まれることから、野村では営業利益を前期比12%増と予想する。建築では採算管理が徹底され受注時利益率の改善が続いており、23.3期の建築粗利率は資材価格の高騰が続く中でも維持されよう。 道路舗装事業における製造・販売では、原材料価格の上昇が続く中、値上げが進まず減益傾向である。政府は公共工事の単価の適切な引上げを今後進める方針で、工事代金が適切に設定されれば、工事を行う中小の道路舗装会社も合材メーカーの値上げを受け入れやすくなろう。 (エクイティ・リサーチ部 濱川 友吾) ローム(6963) 電気機器 車載と産機向けが牽引し業績拡大 2022.3期は前期比25.6%増収、営業利益は同85.7%増益の714億円と期初計画の490億円を大きく上回り、3月時点の計画690億円も上回った。市況好転を受けて各用途向けに半導体需要が旺盛で、車載情報娯楽システムや動力機構中心に車載向けが同29.1%増収、産業機械向けが同47.0%増収であった。車載・産機合計の売上構成比は52%と目標の50%以上を達成した。 23.3期会社計画は前期比12.8%増収、同6.3%営業増益と、為替前提等保守的な印象で、野村では同11.9%営業増益を予想する。減価償却費負担増により利益率は前期比小幅低下を見込むが、市場拡大ペースの加速に伴う先行投資負担増が要因である。 中期計画を大幅上方修正 26.3期が最終年度の中期計画は売上高が4,700億円から6,000億円以上へ、営業利益率は17%以上から20%以上へ上方修正され、野村では新計画を達成可能と見る。 最大の成長牽引役は次世代パワー半導体のSiC(炭化珪素)で、電動自動車向け中心に26.3期の売上高目標は1,000億円超、5年間累積設備投資計画は1,200~1,700億円である。低オン抵抗化技術に優れ、材料のウェハを内製している強みがある。 既存のSi(シリコン)パワー半導体も順調な拡大が見込まれ、課題であったLSI 部門でも車載向けに絶縁ゲートドライバ、電源LSI、LED ドライバ等、多くの製品が海外向けに採用が進んでいる。 (エクイティ・リサーチ部 山崎 雅也) ※ 野村週報2022年6月20日号「銘柄研究」より 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2022/06/20 08:22
【モーニングFINTOS!】NYダウ続落もナスダックは反発、原油価格下落を好感(6/20)
海外市場の動向 米国では要人のインフレ関連発言相次ぐ 17日の米国株式市場で、NYダウは前日比-38.29ドル(-0.12%)の29,888.78ドルと続落し、年初来安値を更新しました。一方、S&P500指数は同+0.22%、ナスダック総合指数は同+1.43%と反発しています。この日は、市場予想を下回る経済指標やFRBによる利上げ加速への懸念が押し下げ要因となった一方、急速な調整からの自律反発の動きに加え、原油価格の下落などが株価を下支えしました。 この日は、IEA(国際エネルギー機関)が2022年後半の原油市場は供給過剰になるとの予想を発表したほか、米国エネルギー省のグランホルム長官が来週大手石油精製企業とガソリン精製増加に向けた協議を行う予定であると報じられたことなどを受け、原油価格(WTI原油先物)が急速に下落しました。 また米国時間18日、FRBのウォラー理事は、7月のFOMCで0.75%ポイントの利上げを支持する姿勢を示しました。同19日、クリーブラント連銀のメスター総裁は米国経済がリセッションに陥るリスクが高まりつつあると指摘しています。また、インフレ率がFRBの目標である2%に戻るには数年を要するとの見解を示しました。 一方、イエレン米財務長官はABCの番組で同日、物価は「容認し難いほど高い」とした上で、この状態は今年一杯続くと予想するものの、家計の力強さによりリセッションは回避するとの見解を示しています。 同19日、ディース米国家経済会議(NEC)委員長はCBSの番組で、バイデン政権がインフレとの闘いで取り組む新たな経済対策について、数週間以内に議会が可決することを望んでいると発言しました。現在の物価は容認できないほど高いと指摘し、「だからこそ大統領はこれを経済の最重要課題とし、物価を下げるためにできる限りのことをする必要があると言っているのだ」としました。また、40年ぶりの高インフレに家計が対処するのを助ける方法として、処方薬価格の引き下げ、エネルギーを巡る税制優遇措置、「長年の懸案である税制改革」を挙げています。 仏国民議会選挙は与党連合が大幅過半数割れの見通し 現地時間19日投開票のフランス国民議会選挙の決選投票で、マクロン大統領を支える中道の与党連合が過半数議席を失う見通しとなりました。極右連合への支持が予想外に伸びた模様です。 日経平均先物CME終値は、前営業日終値とほぼ横ばい 日経平均先物CME終値は25,930円となりました。日経平均株価の6~8月の配当落ち約48円を考慮した場合、実質的なCME終値は25,978円と試算され、日経平均株価の前営業日終値(25,963円)とほぼ同水準です。 為替市場では再びドル円が1ドル=135円台を付けるなど、円安ドル高が進行しており、自動車などの輸出関連株にとっては追い風となりそうです。一方、原油価格が大きく下落していることから、エネルギー関連株は軟調なスタートとなりそうです。 本日の米国市場は、ジューンティーンス(奴隷解放記念日)の振替休日のため休場です。 日銀の緩和政策維持は、日本株の下支え要因に 17日の日限政策決定会合では、金融観緩和姿勢が維持されています。声明文では「金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」との文言が追加され、円安警戒を強める政府に歩調を合わせた変更が行われていますが、フォワードガイダンスの利下げバイアスや景気判断は維持され、ハト派色は弱まっていません。黒田総裁は、急速な円安は経済にマイナスとの姿勢を見せ、これまでよりは慎重な姿勢を示しましたが、早期の政策修正につながる発言は見られていません。週末には岸田首相も中小企業の金利負担への影響も考慮する必要があり、日銀の緩和政策は現状においては変えるべきではないと決定を支持する姿勢を示しています。金融緩和が維持されたことは、日本株にとって下支え要因となりそうです。 今週の注目点 米国では、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による半期に一度の議会証言が22日(水)に上院、23日(木)に下院にて予定されています。インフレ高進への対応が求められる中、同議長による先行きの金融政策運営についての見解が注目されます。 経済指標としては、23日(木)に発表される日本、米国、ユーロ圏の6月マークイットPMI速報値は、各国・地域の景況感の方向性や格差を見る上で重要です。世界的な物価高が続く中、欧米の金融引き締め強化による景気への影響が懸念されています。 FINTOS!編集部オリジナル記事 ・週末の特集:【2分動画】これからも成長企業は世界のどこかで ・週末の特集:ESG投資は「資源高・S・開示」で新たなフェーズへ (野村のオピニオン) ・週末の特集:5月小売売上高から見た米国の個人消費動向 (週末トピック) ・週末の特集:【特集】「推し」が尊い / 二次元&ゲーム優待 ・週末の特集:【3分チャート塾】チャート分析 実践編:天井形成パターン ・レポート紹介:医薬品・医療機器業界/銀行株投資戦略/鉄鋼・非鉄・電線と円安【編集部厳選レポート3本】 ・配信スケジュール:【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2022/06/19 20:00
【2分動画】これからも成長企業は世界のどこかで
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