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2023/11/06 17:00
【決算銘柄】日本郵船、通期の経常利益予想を上方修正 自動車船が堅調
日本郵船(9101)/ 2024年3月期 第2四半期 2023年4-9月期の営業利益は988億円で前年同期比39.5%減益となりました。QUICKコンセンサス予想の1,002億円をやや下回る水準でした。なお、同期の経常利益は1,593億円で同79.2%減益となりました。定期船セグメントは、コンテナ船(国内海運大手3社が共同出資するオーシャン・ネットワーク・エクスプレス)が貨物需要の低迷や新造船の竣工による船腹供給量の増加などで苦戦し、経常減益となりました。一方で、不定期船セグメントも経常減益となりましたが、自動車船は需給がひっ迫している中でも船舶の稼働率を向上させたことで、輸送台数が前年同期比で増加するなど堅調な結果となりました。 会社は、2024年3月期通期の営業利益見通しを1,460億円から1,650億円に上方修正しました。QUICKコンセンサス予想の1,632億円をやや上回る水準でした。また、同期の経常利益見通しは2,220億円から2,350億円に上方修正されました。セグメント別の経常利益では、定期船や航空輸送を含むライナー&ロジスティクス事業が下方修正されましたが、自動車船を含む不定期専用船事業は上方修正されました。 2024年3月期の年間1株当たり配当予想は130円と従来予想から据え置かれました。 (注)本日15:00までに決算を発表した企業の内、2023年7月1日~2023年9月30日の期間で、野村證券の個人口座で買い付けられた上位1銘柄(約定件数ベース)を掲載している。(出所)会社資料、日本経済新聞社、xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ※本記事は、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 15:57
【イブニングFINTOS!】日経平均株価は4営業日続伸 日米長期金利低下が支え(11/6)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前週末比500円高の32,450円で取引を開始しました。日本が連休中の米国で、複数の経済統計からインフレ圧力が弱まったことが示唆され、米長期金利が低下し、米主要株価指数が上昇したことが好感されました。寄付き後は、買い気配で始まった銘柄の値が付くにつれ、日経平均株価は上げ幅を拡大する展開となりました。国内長期金利が低下したことで、日経平均株価はじわじわと上げ幅を拡大し、上げ幅は一時816円高となる場面がありました。もっとも、前営業日までの3日間で1,250円超上昇していることへの、短期的な過熱感もあり、その後は伸び悩み、後場は高値圏で一進一退となりました。結局、この日の日経平均株価は、今年一番の上げ幅となる前週末比758円高の、32,708円と4営業日続伸して、取引を終えました。 個別では、住友電工が前週末比+11.41%、ミネベアミツミが同+9.82%となった一方で、川崎汽船が同-11.37%、ニッスイが同-7.65%となるなど、先週末および、場中に決算発表をした企業の値動きが目立ちました。 本日発表予定の海外経済指標等 特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 09:30
【銘柄紹介】ショーボンド/ラサールロジポート/THK
ショーボンドホールディングス(1414) 建設 修繕工事を展開、高速道路向けで拡大 道路、鉄道、電力、港湾、建物等の社会インフラ分野を中心にコンクリート構造物の補修・補強等の事業を展開する。修繕工事に加えて、構造物の補修・補強で使う製品や部材の販売も行っている。工事では、公共向けの売上比率は90%以上を占め、近年は高速道路向け比率が拡大傾向である。 政府は高速道路の有料期間を2115年まで延長可能とする法案を2月に閣議決定した。NEXCO は有料期間延長により財源を確保し、1兆円の追加の老朽化対策計画を検討している。追加の更新計画を考慮し、野村ではNEXCO による修繕工事の発注高は28.3期に1兆円(23.3期は7,100億円と推定)程度まで拡大すると予想する。 10~12月期以降の受注回復を予想 10月上旬に発表された最新のNEXCOの発注見通しを考慮すると7~9月期をボトムに10~12月期以降にて発注量は回復に向かうだろう。7~9月期までの発注減は交通量の多い都市部での難易度の高い案件も増える中、設計が遅れていたことによる一時的な要因と考えており、今後設計を終えた案件の発注が徐々に進もう。 橋梁の劣化ペースを考慮すると、修繕工事のペースを加速させる必要があり、案件の大型化など効率的な発注も模索されながら発注量は増加に向かおう。また、難工事の増加は幅広い施工方法を有し、ノウハウが豊富な当社にとって追い風となると野村では考えている。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 濱川 友吾) ラサールロジポート投資法人(3466) 不動産投資信託 物件売却により売却益34億円を計上 スポンサーは米国、欧州及びアジア太平洋地域において不動産資産運用ビジネスを展開するラサール・グループ。2023.8期に増資を実施し、「ロジポート京都」等3物件(取得価格合計231億円)を取得、ポートフォリオ全体の取得価格合計は3,800億円超に。他方、23.8期決算発表と同時に、「ロジポート流山B棟(準共有持分37.5%)」を売却する一方、ブリッジファンドから「犬山物流センター」等を取得する物件入替取引を公表。過熱化する実物不動産市場を活用し「ロジポート流山B棟」の売却では売却益34億円を計上(投資主に還元)する予定。これにより24.2期の会社予想1口当たり配当金は前期比21%増の3,750円。 CPI連動条項の導入等によりインフレ耐性 23.8期末時点のポートフォリオ全体(倉庫区画)の期中平均稼働率は99.0%となり高位安定を維持。他方、堅調なテナント需要とスポンサーの強固なリーシング力を背景に、当社では、過去3年(21.2期~23.8期)の平均賃料増額率は+5.5%(定借物件)である。足元、日本でもインフレの兆候が垣間見られる環境下、保有物件の「ロジポート大阪ベイ」では、賃貸借契約更改時に期間20年の長期契約を締結する一方、将来の物価上昇に備え、5年毎にCPI(消費者物価指数)に連動した賃料増額改定の条項を導入。当社では、賃貸借契約期間の短期化やCPI 連動条項の導入等によりインフレ環境に備える方針。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 大村 恒平) THK(6481) 機械 2024.12期は産業機器が回復局面入りへ 当社は産業機器と輸送機器の2つの事業を持つ。産業機器では世界で初めて直線運動の転がり化を実現したリニアガイド(直動軸受)が主力製品で、世界シェア5割と推定される。輸送機器では自動車の足回り部品を中心に製造する。売上構成比は産業機器が72%、輸送機器が28%だが、産業機器が全社の営業利益を稼ぐ(22.12期)。 23.12期は設備投資需要の減少および顧客の在庫調整により、産業機器の受注が低水準で推移し、大幅減益が予想される。一方、下期の受注が大底圏で、24.12期からは半導体製造装置をはじめとした設備投資需要が回復し、当社収益も回復局面入りすると予想する。 産機は需要回復、輸送機器は損益改善へ 産業機器の顧客業種比率は半導体製造装置を含む電機が35%、工作機械が25%、多種の産業機械などが40%と推定される。相対的に需要の回復が早いと予想される電機向けの売上構成比が高い。また、限界利益率が4~5割程度と高く、需要回復局面では増収が増益へ繋がろう。 輸送機器事業では自動車の生産正常化に加え、損益の改善が進んでいる。当社は収益構造の改革としてコストの削減、新製品の開発に取り組む。特に、自動ブレーキ(EV 向け部品)は直動部品(ボールねじ)の技術を転用するため強みが生かされており、利益率が従来の自動車部品より高いと見られる。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 小笠原 れい) ※野村週報 2023年11月6日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 08:33
【モーニングFINTOS!】米金利低下を受け米株連騰(11/6)
海外市場の振り返り 2日、3日に米国株式市場は連騰しました。雇用インフレの鈍化が示唆されたことなどで、米10年債利回りが低下したことが好感され、2日間でNYダウは2.36%、ナスダック総合は3.19%、S&P500は2.84%、それぞれ上昇しました。2日に発表された7-9月期の単位労働コストは予想に反し前年同期比マイナスとなり、週間新規失業保険申請件数は予想を上回りました。3日に発表された10月雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加が市場予想を下回るとともに過去2ヶ月分も下方修正され、平均受給上昇率も市場予想を下回りました。市場は雇用の鈍化と労働コストの低下をインフレ緩和の兆しと受け止め、米10年国債利回りは2日続けて低下しました。 相場の注目点 景気がソフトランディングできるかが注目されます。3日発表された米10月雇用統計では失業率が3.9%と、4月の3.4%から0.5%ポイント、3ヶ月平均では0.33%ポイント上昇しました。歴史的には、失業率が過去12ヶ月の最低値から3ヶ月平均で0.5%ポイント上昇すると景気後退の始まりと一致する「サームの法則」 として知られています。 一方、先週FRB(米連邦準備理事会)は、2022年3月の利上げ開始後初めて2会合連続で利上げの見送りを決定しました。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で追加利上げの可能性を否定せず、今後の政策判断は経済データ次第との姿勢を重ねて強調しました。インフレの低下が継続し、FRBによる金融引き締め姿勢が変化することで景気後退を回避できるかが焦点です。今週は9日のパウエル議長講演のほか、複数のFRB高官の講演が予定されており、注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2023年11月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【野村の動画】インフレが続くと、将来の1000万円の価値はどうなる? 【野村の解説】中東情勢の緊迫化で高騰した金・原油、今後の投資判断基準は何か? ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 08:03
【米国株決算】アップル(AAPL):中国でのiPhone販売は堅調・見通しは比較対象期間と新製品のタイミングが重石、株価は-0.52%
決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間11月2日引け後に、モバイル端末の製造販売とクラウドサービス事業を行うアップル(AAPL US)が2023年7-9月期(2023.9期第4四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.2%上回り、EPSは市場予想を4.9%上回りました。サブスクリプションが増加したサービスなどが堅調でした。 中国でのiPhone販売は堅調、見通しは比較対象期間と新製品のタイミングが重石 中国が9月に政府機関職員の外国製通信端末の使用を禁じたことから当社への影響が市場では懸念されていましたが、中国本土でのiPhone販売実績は7-9月期として過去最高となり、また、新店舗をオープンさせるなど引き続き中国事業を重要視するとともに、見通しに楽観的と会社はコメントしました。 2023年10-12月期売上高見通しについて会社は、前年同期と同水準なものの、対象期間が13週間と昨年より1週間(売上高で約7%分)短いため、同じ日数換算ではプラス成長であると説明しました。一方で、iPadとウェアラブルは前年同期に新製品の販売が好調だったことから、前年同期比での成長率が7-9月期より低下し、iPhone15 Pro/Pro Maxの供給制約が12月まで残ることを反映しているとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は小幅安 アップルの株価は、翌3日の取引で前日比0.52%安となりました。株価は、決算発表直後の2日の時間外取引では売上高見通しが市場予想を下回ったことなどで一時3%を超えて下落しましたが、内容が再評価されたことで翌日に小幅安まで回復したと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年11月3日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。2023年10-12月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年11月1日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】アップル(AAPL):iPhone売上高が市場予想をやや下回る、株価は-2.25%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/05 19:00
【野村の動画】インフレが続くと、将来の1000万円の価値はどうなる?
日本の、2022年の消費者物価指数は、前年比で2.5%に達しました。今後、長く続いたデフレが終焉し、物価上昇の時代にはいるかどうかに注目が集まっています。物価が上昇すると、現金の持つ「モノやサービスを購入する力」である、購買力が下がります。つまり、現金の実質的価値が下がることを理解しておきましょう。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/05 13:00
【野村の解説】100年続くノーベル財団の資産運用
世界で最も権威ある賞のひとつと言われるノーベル賞は、スウェーデンの発明家アルフレッド・ノーベルの遺言により1901年から続いている賞で、既に100年以上の歴史があります。そのノーベルの遺産の管理と、ノーベル賞の運営を行っているのがノーベル財団です。 ノーベル財団の資産は、2022年末で約58億スウェーデンクローナ、日本円に換算すると、1スウェーデンクローナ12.5円計算で約725億円になります。ノーベル財団は、この資産を管理・運用しながら毎年のノーベル賞の運営費を捻出しているのです。 下のグラフは、2012年から2022年までのノーベル財団の運用結果を棒グラフで示しています。2022年の運用は、残念ながらマイナスとなっていますが、ノーベル賞の運営費から求められる事業費率を概ね上回る運用結果となっていて、財団の資産も増加傾向を続けています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 そのノーベル財団は、インフレ調整後で少なくとも年率3%のリターンを目指すという運用上の目標を掲げています。リターンがこのレベルであれば、将来の費用を賄うことができるとの見立てです。 運用の目標達成のための基本ポートフォリオは、株式が55%、債券が10%、不動産が10%、そしてオルタナティブが25%です。実際の運用においては、各資産の配分比率をずらしてもよい許容範囲が設けられていて、2022年末の実際のポートフォリオは、株式が53%、債券が17%、不動産が9%、オルタナティブとしてのヘッジファンドが22%となっています。 人類に最も貢献した人々を称える、というノーベルの遺志を継承していくためのノーベル財団の資産運用を真似ることは難しいかもしれませんが、その基本的な考え方は、長生きによる資産寿命の延命がテーマになりつつある個人の資産運用においても、大いに参考になるものではないでしょうか。 (野村證券投資情報部 井上 政則) ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/05 09:00
【経済データの読み方】処理水放出による中国人訪日客減少は限定的か
2022年10月に日本政府が海外旅行客の受け入れを再開してちょうど一年が経過した。23年9月の訪日外客数は218万人(19年同月の96%)となり、インバウンドはほぼコロナ前まで回復したと言える。 インバウンドが今後も増加を続けるかどうか、重要な要因の一つは中国人旅行者の動向だ。新型コロナ関連の水際対策の緩和の遅れから、中国人旅行者の回復は他国に比べて遅れていたが、団体旅行の解禁もあり、徐々に回復していくことが予想される。懸念材料となるのは、福島第一原子力発電所による処理水放出の影響だ。8月24日に処理水の放出が開始された後、中国人旅行者による日本への旅行のキャンセルが相次いでいるとの報道がされた。 しかし、23年9月時点においてその影響はそこまで大きくないようだ。中国からの訪日外客数は23年7月に31万人(19年同月の30%)、8月に36万人(同36%)、9月に33万人(同40%)となっており、回復ペースは鈍いが、観光客数が激減するような事態には至っていない。12年9月の尖閣諸島の国有化を契機に、中国からの訪日外客数が半分以下に急減した際と比べると影響は限定的といえよう。 中国人の日本への印象に関する世論調査(23年は処理水放出の前後に調査を実施)の結果を見ても、良くない印象を持つ人の割合は22年から横ばいであり、尖閣諸島国有化時の急激な悪化とは対照的である。中国人の対日感情の悪化という観点からも、訪日客の急減にまで至るとは想定しづらい。今後の動向を引き続き注視する必要があるものの、処理水放出の影響は中国人観光客の回復ペースをジワジワと下押しする程度に留まると推測される。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (野村證券経済調査部 野﨑 宇一朗) ※野村週報 2023年10月30日号「経済データを読む」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/04 19:00
【投資と税金】配偶者が相続するとよい財産
親から子、子から孫へと財産は引き継がれていきます。親は築いた財産をなるべく減らすことなく、子どもに引き継いてもらいたいと考えますが、遺産分割の仕方によっては相続する際に納める相続税の額が増減し、最終的に子どもが両親の財産を相続する際に遺産がほとんど残らないという事態も。どのように遺産分割をしていくといいか、大手町トラストの税理士に伺いました。 はじめに 夫婦と子という家族の相続において、一次相続(夫婦のどちらかが先に死去した場合の相続)と二次相続(夫婦のもう一方が死去した場合の相続)、二回の相続が発生することになります。夫婦の財産はこれら二回の相続を通じて子に承継されますが、一次相続時に配偶者がどれだけ財産を取得するかにより、一次相続・二次相続トータルの相続税額が増減します。今回は相続税額に影響を及ぼす「配偶者の税額の軽減」と、これを加味したバランスの良い分割方法について説明します。 配偶者の税額の軽減 配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割等により実際に取得した正味の財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度です。 (1) 1億6千万円 (2) 配偶者の法定相続分(※1) 相当額 ※1 民法第900条に定める、相続人が遺産の何割を相続できるかを表す法定割合のことであり、子と配偶者が相続人であるときは、配偶者の法定相続分は2分の1です。 つまり、一次相続において被相続人の配偶者が取得した財産額のうち少なくとも1億6千万円分については相続税がかからないことになります。ただし、一次相続において配偶者が被相続人の財産の多くを取得した場合、一次相続における相続税負担は軽減されますが、二次相続において、配偶者が相続した財産と配偶者の固有財産の合計額に対して相続税が課されるため、二次相続における相続税負担が重くなってしまいます。一次相続における遺産分割等の際は、二次相続における相続税負担を考慮して判断することが重要といえます。 二次相続を考慮した相続税額のシミュレーション 夫婦と子という家族の相続において、以下の前提のもとに一次・二次相続の相続税額シミュレーションを行いました。一次相続において夫の財産を妻が相続する割合を、ケース①:100%、ケース②:50%、ケース③:0%とした場合、トータルの税額は以下のとおりです。 【前提条件】 ① 夫の保有財産の課税価格:1億円 妻の固有財産の課税価格:1億5千万円(ともに老後の生活資金除く。) ② 一次相続の相続人:妻・子 ③ 二次相続の相続人:子 ④ 夫の死亡から15年後に妻が死亡すると仮定 ⑤ 一次相続後の財産の増減はないものと仮定 ⑥ 基礎控除と配偶者の税額軽減のみ考慮 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 一次相続における配偶者の相続割合が異なるだけで合計相続税額に差異が生じます。上記ケースでは妻固有の財産額が多額であるため、一次相続で妻が多く相続するとトータルの納付税額が高額となってしまいます。 ※2 あくまでも一つのシミュレーションのため、すべてのケースにおいてケース③が有利ということではありません。夫婦の財産状況に応じて有利不利の結果は異なりますので、ケースごとのシミュレーションが必要となります。 金融資産を手許に残して不要な土地を物納する場合 【前提条件】 ①相続人:配偶者と子 2人 ②相続財産:「現金」、「上場株式」、「未上場株式」、「手放してもよい土地」 ③相続人は現金を持っていない 子が現金を相続した場合、その現金で相続税を納付することになります。結果、子の手許に残るのは「手放してもよい土地」となります。 子が「未上場株式」と「手放してもよい土地」を相続した場合、現金納付が困難であると認められ、かつ「手放してもよい土地」が物納適格財産の要件を満たすならば、この不要な土地を物納に充てることができます。結果、子の手許には「未上場株式」という財産が残ります。また、配偶者が相続した現金や上場株式を生前贈与で子に渡していくことにより、より多くの金融資産を子の手許に残すことができます。 土地の物納を考える場合は、その土地が物納要件を満たすか(隣地との境界線は確定しているかなど)事前のチェック・準備が必要です。 バランスの良い相続財産の分割 一次相続で配偶者が取得する財産を決定する際、税金面の検討も重要ですが、被相続人や配偶者の希望を考慮して総合的にみてバランスの良い分割を検討するのが大切です。 分割時のポイント 一次相続時に必要な納税資金の確保。配偶者の老後の必要生活資金を考慮し、それを超える分は一次相続時に次世代に相続させる。一次相続では、期間の経過とともに相続税評価額が下がる財産(自宅建物等)や二次相続までに相続税対策しやすい財産(生前贈与しやすい現金等)を配偶者に相続させる。他の税額軽減措置(死亡保険金又は死亡退職金の非課税枠、小規模宅地等の特例等)を考慮する。合計の相続税額の負担のみを考慮するのではなく、誰にどの財産を残したいかという被相続人の希望、配偶者の将来の生活の安定等を考慮する。 本解説について:令和5年4月に施行されている法律等に基づき作成しております。情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。個別の税務の詳細については、所轄税務署や税理士等にご相談ください。 ご投資にあたっての注意点