★野村アプリ向け
852件
-
2023/10/01 13:00
【注目トピック】東証要請を検証、開示が進む企業/進まない企業の特徴は
東証要請 企業の取り組み状況を検証 3月以降の状況整理 2023年3月、東証は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表しました。 これを受け、株式市場では低PBR(株価純資産倍率)企業が多い状態が是正されるとの期待感が高まりました。その後、日経平均株価は2023年6月に33年ぶりとなる33,000円台を回復しましたが、PBRの上昇による部分は限定的です。更に2022年度決算では、増益となり、総還元性向が上昇したにも関わらずROE(自己資本利益率)は9.8%と、2021年度の10.1%から低下しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 東証要請を踏まえた企業の開示状況 2023年3月に発表された東証の要請を受けて、2022年度決算発表時には、多くの企業が増配や自社株買い枠を設定するなど、資本効率向上を意識した発表が相次ぎました。 今般の要請では、計画策定や開示の前提として十分な現状分析や検討が求められるため、開示時期に関して具体的な期限を定めていないものの、東証による2023年7月14日時点の集計では、プライム市場に上場する20%(242社)の企業が自社の取り組み等を開示、11%(137社)が検討中と開示しています。 取り組み等を開示している242社を見ると、開示を行っている主な書類は、中期経営計画が33%と最も多く、次いで決算説明資料が29%となっています。 PBRと時価総額水準別開示状況 PBRと時価総額水準別の開示状況を見ると、PBRが低く、かつ時価総額が大きい企業ほど開示が進展しています。プライム市場に上場しているPBR1倍未満、かつ時価総額1,000億円以上の企業では、45%の企業が取り組み等について、何らかの開示を行っています。一方で、PBRが高く、かつ時価総額が小さい企業では、相対的に開示が進んでいない状況です。 業種別の開示状況では、平均PBRが低い業種の方が開示が進展しており、銀行業では検討中と開示している企業を含め、約7割が開示を行っています。一方で、平均PBRが高い情報・通信業、サービス業、小売業などでは、相対的に開示が進んでいない状況です。 今後の東証フォローアップと想定される企業行動とは 東証によると、今般の要請および企業の対応状況について、投資者からは、要請を踏まえた企業の変化について、高い期待を寄せる声が多い一方で、依然として経営者が取り組みの意義・必要性を十分に理解していないケースや、危機感はあっても対応を進める知見やリソースが十分ではないケースが見られるとの指摘などが挙げられています。 東証は今後、既にPBRが高い企業も含めて、改めて適正な開示の取り組み等を求めるとともに、投資者の視点を踏まえた対応のポイントを周知する方向です。こうした動きを受けて、今後は資本効率向上を意識した経営を行う企業とそうでない企業とで、株式市場での評価の格差拡大が予想されます。 中間決算発表時には、持続的な資本効率向上に欠かせない適切な事業ポートフォリオの構築など、WACC(加重平均資本コスト)やROIC(投下資本利益率)を意識した経営を志向する旨を表明する企業が増えるとみられます。 (野村證券投資情報部 寺田 絢子) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/01 09:00
【業界展望】訪日外国人の購買力上昇と回復が進む航空業界
訪日外客数は回復、購買力が強い 日本政府観光局(JNTO)によると2023年7月の訪日外客数は232万人と19年の同月に比べ78%水準に回復している。19年時点で大きな比率を占めていた訪日中国人客数は同30%水準の31万人と少ないが、東南アジアや欧米からの訪日客がコロナ前を超える水準に伸びている。 訪日客が急増している背景には他の国に比べて日本の物価上昇が強くないうえに、コロナ前に比べて円安が進展しており、旅行先としての魅力が高まっていることがある。特に経済成長率の高いフィリピン、ベトナム、インドネシアなどの訪日客はコロナ前に比べて購買力が強くなっていることから、日本での旅行支出も拡大している。 野村では訪日外客数予想を23年が19年比70%水準の2,229万人(22年は383万人)、24年が同92%水準の2,923万人、25年が同103%水準の3,281万人としている。空港での人員不足や航空機の小型化によって運航能力をコロナ前に戻しにくいことから、訪日外客数はコロナ前の水準に向けて緩やかに回復していくとみている。 コロナ前の訪日客は、格安航空会社(LCC)や安価なホテルを活用する傾向や、団体旅行などで手ごろな価格で日本を訪れる傾向があった。だが、円安、訪問元の自国の経済成長により訪日客は購買力が高くなっており、支出では高額商品の購入や高価格帯のホテルの利用がみられるなど大きく傾向が変わってきている。 実際、日本百貨店業界の免税売上高をみると、消耗品売上高はコロナ前よりもまだ低いが、高価格商品が含まれる一般物品売上高はコロナ前の水準に回復している。なお、消耗品売上高にはコロナ前に中国人が多く買っていた化粧品などが含まれる。 鉄道会社が運営するホテルの動向をみると、4~6月期時点で高価格帯のホテルは客室稼働率の回復ペースが速く、客室単価はコロナ前を上回っている。 ホテルでは清掃などサービススタッフの人員が不足しており、稼働率をコロナ前の水準以上に高めることは難しい。その一方で訪日客の増加がけん引し、客室単価が上昇しているため、収入はコロナ前並みに回復している。購買力の高まった訪日客が日本の高額消費を支える傾向は当面続こう。 航空会社の業績が急激に改善 23年4~6月期のANAホールディングス、日本航空の営業利益はそれぞれ438億円、309億円と19年や18年の同期の水準を上回り、利益回復が急速に進んだ。 業績回復をけん引したのは国際線旅客のイールド(旅客キロ当たりの単価)の上昇である。ANAホールディングスの資料によると4~6月期の国際線旅客のイールドはコロナ前の19年に比べ約1.4倍と高く、旅客数がコロナ前に回復していない状況ながらも国際線旅客収入はコロナ前を上回った。 コロナ禍で航空機の小型化、退役が進んだことで国際線貨物もスペースに余裕がなく、単価がコロナ前よりも高止まりしている。コロナ禍での物流混乱が収束したことから、航空機を使った貨物輸送は大きく落ち込んでいるが、収入はコロナ前を上回って推移している。 また、航空会社はコロナ禍による旅客の急減に対応するために新規採用の凍結、運航機材数の削減など構造的なコスト削減に取り組んできたことから、損益分岐点がコロナ前に比べて低下している。特にANAホールディングスは規模よりも収益性、イールドを重視した経営に転換したことで利益の回復力が強い。 株式市場では今後の世界的な運航量の回復が進むことで、国際線旅客のイールドが低下してくるリスクが懸念されている。これに対して、野村では高いイールドが今後も持続するとみている。訪日外国人に加えて日本人の出国もビジネス中心に回復傾向にあるが、空港での人員不足などで運航量を戻しにくい傾向が当面続くためである。 ドルベースの料金にも注目したい。国際線旅客のイールドはドルベースでは19年比で1.2倍程度の上昇にとどまり、米国などの物価上昇率の高さを踏まえると、日本のエアラインの単価は他の航空会社よりも相対的に手ごろな印象と考えられる。 また、日本のエアラインのサービス競争力は世界の中でも高く、訪日外国人から手ごろで高サービスを受けられる航空会社として選ばれ続けていくと考えている。 海外の航空会社はコロナ禍で大規模な人員整理をした会社が多く、十分に運航量を戻せない。日系のシェアはコロナ前に比べ上昇しており、今後も定着しよう。 野村では24年3月期の営業利益をANAホールディングスが1,639億円、日本航空が1,380億円と予想する。国際線旅客の回復の継続で、25年3月期の増益の確度も高い。野村ではそれぞれ1,828億円、1,620億円と予想する。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 広兼 賢治) ※野村週報 2023年9月25日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/30 19:00
【知って得する株主優待】 テーマ別の優待ランキング ~総集編~(9/30)
本記事は『知って得する株主優待 2023年版』より作成しました。「知って得する株主優待」は優待実施企業の情報を網羅している「元祖」株主優待専門誌として投資家に愛読されています。 ※ご投資に際しては株主優待以外の要素についてもご確認ください。また、保有期間中に優待内容の変更や廃止等が発表されることがあります。各企業のリリース等最新情報をご確認ください。 マイベスト総合ランキング ~マイベスト総合ランキング~の4位から20位はこちらをご覧ください。 家族みんなで楽しめる株主優待ランキング ~家族みんなで楽しめる株主優待ランキング~の4位から20位はこちらをご覧ください。 女性にうれしい“美と健康”株主優待ランキング ~女性にうれしい“美と健康”株主優待ランキング~の4位から20位はこちらをご覧ください。 株を長く保有したい株主優待ランキング ~株を長く保有したい株主優待ランキング~の4位から20位はこちらをご覧ください。 (注)・データ取得並び株価の数値は2023年9月1日。 ・(★) 株主優待の権利を取得できる最低株数と最低売買単位が異なりますので、株主優待に必要な株数を必ずご確認ください。・実施されている株主優待が変更、廃止される場合もあります。保有株数、保有期間などにより、株主優待内容や割当基準日が異なる場合があります。・ご投資に際しては、株主優待内容の詳細及び最新の情報を各企業のホームページなどでご確認ください。・諸般の事情により特定の銘柄をランキングから除外させて頂いている場合があり、順位が変わることがあります。・本資料の株主優待ランキングの著作権は野村インベスター・リレーションズ株式会社に属します。(出所)野村インベスター・リレーションズ株式会社『知って得する株主優待 2023年版』より野村證券投資情報部作成 ※ランキングは、「知って得する株主優待」2022年版で実施した読者アンケートの結果(有効回答数1,631件)に基づいています。4つのテーマ(「マイベスト」「家族みんなで楽しめる」「女性にうれしい“美と健康”」「株を長く保有したい」)に該当すると思う株主優待実施銘柄を、同誌掲載の1,456社を対象に1つ以上3つまで選択する方式で実施(ただし、その後上場を廃止した銘柄、株主優待を廃止した銘柄は除く)、項目ごとに集計しています。 (野村證券投資情報部 山口 菜穂) ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/30 13:00
【オピニオン】株式市場に立ちはだかる原油高の壁、「100ドル」の大台はあるか?
原油価格の上昇に対する懸念が広がっています。代表的な指標であるWTI原油先物価格(NYMEX・期近物、以下の文中では原油価格と表記)は、今年5~6月には1バレル=70ドル前後で一進一退の小動きとなっていましたが、その後上昇に転じると、今月に入って90ドルを超え、昨年7月以来の100ドル大台回復も視野に入ってきました。 原油高に歩調を合わせる形で米国長期金利(財務省証券10年国債利回り)も上昇基調を強めています。今月に入って昨年10月のピーク水準を超え、約16年ぶりの高水準となる4.6%台まで切り上がってきています。「インフレのピークアウト」→「利上げ打ち止め」→「利下げ転換」の楽観シナリオを描いていた株式市場にとって、「インフレ高止まり」→「利上げ継続」のリスクシナリオの顕在化に警戒が強まっています。 原油価格の上昇は一体どこまで続くのでしょうか?今回はサウジアラビアの供給削減策による需給逼迫懸念などが背景にあると考えられますが、原油価格は需要と供給のバランスだけでなく、産油国の政治動向や地政学的なリスクに対する不透明感の有無に加え、投機的な売買などにも影響を受けやすく、非常に予測が難しい一面があります。そういう意味では、チャート面から見た分析の方が、シンプルに原油価格の今後の展望を見通すことができるかもしれません。 過去のパターンを参考に、今後の値動きを予測してみましょう。まず最初に、今回の上昇局面(今年3月~)は、2022年3月高値(123.70ドル)から2023年3月安値(66.74ドル)までの下落に対する反発局面と捉えることができます。足元9月高値(91.48ドル)までの戻し率は43.4%と計算されます。 今回の局面との比較対象としては、①2018年12月安値から2019年4月高値にかけての反発局面、②2011年10月安値から2012年2月にかけての反発局面が、注目されます。いずれも歴史的な急落後の中期上昇局面に対して1/3~50%押しの調整をこなした後の最初の反発局面と位置付けられます。 ①の戻し率は70.2%、②の戻し率は89.1%でしたので、今回も同様の展開ならば、先行き半値戻し(95.22ドル)や2/3戻し(104.71ドル)を超え、2011~2014年の上値抵抗水準となった110ドル前後まで戻してもおかしくない計算となります。株式市場にとっては悩ましい相場環境が続きそうです。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/30 07:00
【来週の予定】焦点の米景気を確認する1週間、雇用統計やISM発表
来週の注目点:米国雇用統計・ISM景気指数、日銀短観に注目 前週は日米の金融政策に関して、米国では利上げ期待が高まる一方、日本では政策修正が先送りになったことから、ドル円が1ドル=149円台へと一段と円安ドル高が進行しました。 米国では、10月2日(月)に9月ISM製造業景気指数、4日(水)9月ADP全米雇用レポート、9月ISMサービス業景気指数、6日(金)に9月雇用統計が発表されます。9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では現行政策金利水準の長期化が示されましたが、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長はデータ次第との姿勢を崩しておらず、労働市場の状況に注目です。また、家計の超過貯蓄の減少、大手自動車メーカーのストライキなどから経済指標が悪化する可能性には注意が必要です。また、米国の政府機関閉鎖の可能性が高まっており、今後の景気減速のリスクを高めると考えられます。 日本では、10月2日(月)に9月調査・日銀短観、6日(金)に8月毎月勤労統計が発表されます。世界的な財需要の減少や、エネルギー価格の上昇などから製造業の業況判断の回復が一服すると見込まれます。また、円安による輸入インフレの上昇などから家計消費の悪化によるサービス業の業況判断悪化の可能性にも注意が必要です。 中国では、9月30日(土)に9月政府版・製造業及び非製造業PMIが発表されます。底冷えする不動産市況や外需悪化が景況感を下押しする中、不動産刺激策や金融緩和策の効果がどの程度現れるか注目です。 ユーロ圏では、10月6日(金)にドイツの8月製造業受注が発表されます。ドイツでは再び製造業の落ち込みが顕著となっており、世界経済低迷とエネルギー価格上昇を背景に低調な推移が見込まれます。 (野村證券投資情報部 岩崎 晴弥) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年9月29日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/29 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (9月第5週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2023年9月第5週(2023年9月22日~9月28日) 2023年9月月間(2023年8月31日~9月28日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年9月28日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年9月28日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2023年9月第5週(2023年9月22日~9月28日) 2023年9月月間(2023年8月31日~9月28日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年9月28日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年9月28日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX︓東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2023年9月29日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/29 16:12
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、小幅に続落 半導体株は上昇(9/29)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前日比146円高の32,018円で取引を開始しました。前日の米国株式市場で、米長期金利の上昇が一服したことにより、主要3指数が揃って上昇したことが好感されました。もっとも、米長期金利が依然として高水準にあることに対する警戒感は強く、寄付き後早々に下落に転じました。 昼前後には上昇に転じる場面もあったものの、米政府機関閉鎖への懸念や米国経済の先行きへの不透明感が払拭されていないことに加え、期末ということもあり勢いは弱く、終日を通して軟調に推移しました。引けにかけてやや下げ幅を縮小するなど、方向感に欠けた一日となり、日経平均株価は前日比14円安の31,857円と小幅に続落して取引を終えました。 個別ではデンソーや本田技研工業などが下落した一方で、前日にフィラデルフィア半導体株指数が上昇していたことから、東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体関連株が上昇し、2銘柄で日経平均株価を約85円押し上げました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・8月個人消費支出(前月比:%) 前月:0.8 予想:0.4・8月個人所得(前月比:%) 前月:0.2 予想:0.5・8月コア個人消費支出価格指数(前年比:%) 前月:4.2 予想:3.9 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/29 12:00
【今週の日経平均チャート分析】25日、75日線を下回る水準で軟調に推移
※2023年9月28日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 今週の日経平均株価は、米国長期金利の上昇が止まらず、グロース株を中心とした米国株安の流れを受けて、軟調に推移しました。9月末の配当落ち日と重なった9月28日は前日比で499円の下落となりました。 調整継続の場合は31,000円台前半が下値メド チャート面として、まずは日経平均株価の日足チャートを振り返りましょう(図1)。日経平均株価は、9月15日高値(33,634円)形成後に大幅安となり、28日には一時31,674円まで下落しました。さらなる調整となった場合、8月18日安値(31,275円)や、今年1月安値から6月高値にかけての上昇幅に対する1/3押し(31,068円)の水準が下値メドとして挙げられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2023年9月28日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、これまでの下落を受けてRSI(9月28日:36.21%)は30%台まで低下しています。この先調整一巡後に反発となった場合、まずは25日線(同:32,636円)や75日線(同:32,655円)の水準を奪回となるか注目されます。 今年6月高値形成後、日柄調整が進展 次に中長期的な相場の流れについて確認してみましょう(図2)。6月以降は大きな上昇局面内の一旦の調整である「中段保ち合い」をこなしていると考えられます。9月中旬にかけての上昇で、中段保ち合い上限(33,500~33,700円)にトライしましたが打ち返され、再び保ち合いの範囲内に押し戻されました。 (注1)直近値は2023年9月28日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 ただ、今年6月に上値を抑えられてから9月まで既に約3ヶ月が経過し日柄調整が進展しており、この先調整一巡となれば中段保ち合い上限突破に向けた動きとなるか注目されます。 ドルは対円で昨年10月高値に接近、上放れた場合は ドルは対円で上昇し、150円の大台に迫っています。米FRB(米連邦準備制度理事会)が追加利上げを排除しない姿勢を示した一方、日銀は政策変更を見送ったことで、ドルは対円で高止まりが続いています。150円台に接近したことで、政府・日銀による今まで以上に強い表現での口先介入や、場合によっては実弾介入の可能性も否定できず、当局の介入姿勢に注目が集まります。 チャート上では9月26日に149.18円まで上昇し、昨年10月以来の円安・ドル高水準をつけました(図3)。心理的フシの150円や、昨年10月高値(日銀公表値ベース:150.48円)の水準に接近しており、同水準を上放れとなるか注目されます。 (注1)数値は日銀公表値で東京市場。直近値は2023年9月27日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)日本銀行、各種資料より野村證券投資情報部作成 上放れとなった場合、次の主なメドとして、1990年4月高値(160.35円)の水準が挙げられます。昨年10月高値超えの場合、日足チャート上はフシを超えたとの捉えられ、一時的に円安・ドル高の動きが加速する可能性が考えられます。一方で高値更新となれば当局が介入姿勢を今まで以上に強める可能性もあり、注意が必要です(図4)。 (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。図中のG7はいずれも財務相中央銀行総裁会議。2011年10月の1米ドル=75円38銭の戦後最高値については、ブルームバーグのデータに基づく。(注2)データは週次で、米ドル円レートは各週のレートの平均値であり、直近の値は2023年9月19日に始まる週。(出所)財務省、ブルームバーグ、各種報道資料より野村證券投資情報部作成 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/29 09:30
【チャート分析】丸紅、まずは6月高値奪回なるか注目
このたび、日本株の年初来騰落率上位銘柄をチャート分析しました。 【TOPIX100採用銘柄】年初来騰落率上位ランキング(2022年12月末~2023年8月末) (注)対象はTOPIX100採用銘柄。騰落率は、2022年12月末値と2023年8月末値の比較で算出。(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 今回は8月末時点で上昇率第5位の丸紅 (8002)を取り上げました。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 26、52週線は上向きを維持 当社は国内有数の大手総合商社で、穀物の他、重電、プラントに強みを発揮しています。 (図1)当社の株価は、2022年7月に安値を形成以降、13週移動平均線を下支えに上昇相場を形成し、今年5月には2,000円の大台に乗せました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 6月に高値を形成した後は長い上ヒゲが現れ、上昇一服の展開となっていますが、26週線や52週線はいずれも上向きを維持しています。この先急騰の反動を挟みつつ、今年6月高値(2,705円)奪回や、心理的フシメである3,000円を目指す展開が期待されます。 最初の下値メドは2,200円処 (図2)一方、この先13週移動平均線(9月15日:2,430円)を割り込んで押しを入れる展開となった場合は、26週線(同:2,202円)や、2022年7月安値以降の上昇幅に対する1/3押し(2,184円)水準がある2,200円処が最初の下値メドとしてあげられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月15日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点