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06/22 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅤ:第8回 テクニカル分析が難しい局面は?
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、テクニカル分析が難しい局面について、主に3つの場面を説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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06/21 15:00
生物多様性と今後の企業の在り方(前編)
執筆:野村證券株式会社フード&アグリビジネスビジネス・コンサルティング部 シニアコンサルタント 遠藤 暁(2025年6月18日) 1.はじめに 2023年9月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が正式なフレームワークを公表したことを受けて、上場企業における非財務情報の開示に、生物多様性が盛り込まれるようになってきた。今後、この動きは、投資家はもとより、社会全体からの要請により、加速していくと考えられる。 生物多様性と言ったときに大前提となるのは、企業活動は自然資本(Natural Capital)の上に成り立っているという考え方である。これは、図表1のハーマン・デイリーのピラミッドの通り、水や空気、土壌などの自然を利活用してビジネスが成り立っており、それら全体を自然資本として尊重していかなければならないということである。現代社会に欠かせない電気ひとつをとって見ても、発電に自然資本が使われていることは明白である。公害などは言うまでもなく、自然資本をないがしろにする企業経営は、自社のレピュテーション低下や利用できる社会資本を傷つけ、回りまわって業績が悪化し、自社の企業価値を毀損することになり、逆に、自然資本を尊重し、利活用する企業は自社の企業価値を持続的に上げていくことができるのである。 その考えを自社の経営においてどのように落とし込んでいくのか、あるいは何を開示すべきなのか、についてTNFDでは、LEAPアプローチという手法で、自然関連の課題を特定して評価することを推奨している。LEAPは、Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の各ステップを表している。自社のサプライチェーン/バリューチェーンの全てを一気にということではなく、まずは少数の重要性の高いプロダクトやサービスに限定してLEAPアプローチを取ることが可能であり、また、LEAPの一部を取り上げて開示することも可能である。例えば、キリンホールディングスのTNFD報告では、自然関連への事業の依存度と事業が自然に与えるインパクトから、コーヒー豆、ホップ、紅茶葉、大豆が優先対象として選ばれ、その中で具体的な活動が行えるスリランカの紅茶葉農園にフォーカスし、2023年度はLocate(発見)とEvaluate(診断)について、2024年度はAssess(評価)とPrepare(準備)について開示を行っている。 なお、TNFDは、2015年に設置され既に多くの企業が対応している気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の4つの柱(ガバナンス、戦略、リスクとインパクトの管理、測定指標とターゲット)と11個の開示提言に自然特有の3つの開示提言を追加(ガバナンス、戦略、リスクとインパクトの管理の各々に1つずつ)したものとなっている。TCFDからTNFDへ拡張していく、という考え方で開示内容を検討すると、実務的に取り組みやすく、且つ投資家にとっても分かりやすいだろう。 図表1 ハーマン・デイリーのピラミッド (出所)2014年6月18日旭硝子財団「2014年(第23回)ブループラネット賞受賞者」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 2.生物多様性に関する歴史 15世紀以降、大交易時代(大航海時代)を迎え、世界各地の交易が盛んになると、新たな土地への外来種の侵入や珍しい動植物の乱獲も同時に進み、多くの種が絶滅した。これは、生態系内で行われる生存競争や災害などによって起こる自然由来の種の絶滅とは根本的に異なる人為的なもので、そのスピードは早い。最も有名な例の一つとして、乱獲によって絶滅したドードーが挙げられる。ロンドンの自然史博物館に全身骨格のレプリカがあるが、既に全身標本は失われており、わずかに頭部と左脚のみ標本がオックスフォード大学に残されている。ニホンオオカミも、1905年に絶滅したと言われており、これが現在のシカによる農作物等の食害の拡大につながっているとも言われている。人為的な自然破壊は、回りまわって自らに跳ね返ってくるのである。 1892年に米国でシエラクラブ、1895年にイギリスでナショナル・トラストが設立され、産業革命によって引き起こされた自然破壊に対する保護運動が始まった。また、1872年には、米国のイエローストーンが世界初の国立公園として指定され、その保護が開始されている。二度の世界大戦を挟み、1948年には、国際NGOとして、スイスのグランに本部を置く国際自然保護連合(IUCN)が立ち上がり、さらに1961年にIUCNの資金調達部門として世界自然保護基金(WWF)が設立された。その後、1962年にレイチェル・カーソンによる「沈黙の春」が著され、環境問題は市民の間でも広く知られるようになる。欧州で国立公園が設置されるのは、大半が第二次世界大戦後のことである。 また、国際的には、1971年に、湿地とその上に生息する動植物の保全等のために、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(いわゆる「ラムサール条約」)が採択された。ラムサール条約の対象となる日本国内の湿地数は徐々に増え、現在、53か所が指定されている。加えて、1972年には、米国政府とIUCNが主体となって、「絶滅のおそれがある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(いわゆる「ワシントン条約」)が採択されている。 日本国内では、1949年に尾瀬原ダムによる尾瀬の自然破壊を止めるために「尾瀬保存期成同盟」が立ち上がり、1951年に日本自然保護協会へ名前を変え、1960年に財団法人化しIUCNに加入、2011年に公益認定された。また、公害問題を機に1971年に環境庁(現 環境省)が発足し、環境行政と自然保護行政を担うこととなった。 これらの20世紀半ばから後半にかけての国内外の動きは、現在の生物多様性保護につながるが、どちらかというと公害や都市化などによる自然破壊を食い止める動きであった。一方で、20世紀末からの自然保護活動は、保護だけではなく、より積極的に生物多様性を増加させていこうという動きと捉えることができる。その先駆けとなるのが、1992年に採択された生物多様性条約(CBD)である。2025年3月現在、194か国と欧州連合、パレスチナが締結しているが、米国は遺伝情報の保護に関して不十分であることを理由に、未締結となっている。 CBDは、ワシントン条約とラムサール条約を補完する形の内容となっており、3つの大きな目的を定めている。一つ目が生物多様性の保全、二つ目が生物多様性の構成要素の持続可能な利用、三つ目が遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分である。この三つ目の目的に関連して、2010年に名古屋議定書が採択されている。また、CBD第8条(生息域内保全)及び第19条(バイオテクノロジーの取扱い及び利益の配分)第3項に関連して、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」が2001年に採択され、さらに世界目標として「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が2022年12月に採択されている。これらの条約等の関係は、図表2の通りである。 図表2 生物多様性条約と関連する条約等の関係 (出所)外務省および環境省HPの情報により、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 図表3 自然保護・生物多様性に関する国内外の主な出来事 (出所)公開情報により、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 3.生物多様性と森林・林業・木材産業 生物多様性を考える際に、分かりやすい例の一つが森林生態系である。森林は、様々な動植物が一定の生息域に存在し、相互作用によって成り立っている。生態系内のプレーヤーは、無機物から有機物をつくる植物を中心とした生産者、生産者が生産した有機物を取り入れる消費者、消費者のうち有機物を無機物に分解する過程に関与する分解者の大きく3つ分けられる。植物(生産者)が光合成によって生み出したエネルギーにより葉や枝が生長し、それらを食べる昆虫が集まり、さらに昆虫を食べる鳥類や小型哺乳類が集まり、それらを捕食する、より大型の哺乳類が生息域に存在する。昆虫や鳥類、哺乳類の死骸や落ち葉などは、微生物や細菌類によって分解された後に、植物が根から養分として吸収し、枝葉が生長するサイクルに戻る。生産者から消費者、分解者そして生産者へ戻るサイクルが健全に維持されることで、有機物生産が豊富な森林では自ずと生態系も豊かになる。 日本では、古くからこの森林生態系の豊かさに畏怖の念を抱き、山岳信仰が根付いてきた。今でも、マタギたちは、山に入る前に山の神に祈りを捧げ、山言葉を用いる。山は神聖な地であり、汚れた里の言葉を使わないためとされている。これらの信仰は、自然保護的な考え方に基づいており、むやみに獲物を獲らないことを徹底していることは、その考え方を端的に表している。山岳信仰は、北海道から沖縄まで日本全国に存在しており、アニミズム的信仰に基づいているため、起源は縄文時代初期までさかのぼると考えられている。氷河期に覆われた欧州では樹種が少ないことは言うまでもなく、動物種においても、日本と比較すると少ない。万物に神が宿ると考える日本人の精神性と自然保護あるいは生物多様性というのは、元来馴染みがあると言える。 生物多様性が木材の生産量にどう影響するのかを明らかにしたのは、カナダの森林生態学者のスザンヌ・シマード博士である。2023年に日本語版が出版され、ベストセラーとなった「マザーツリー―森に隠された「知性」をめぐる冒険」(ダイヤモンド社)の著者である。シマード博士は、様々な樹種の間で、根から土壌中の菌類を通じて生態系内にネットワークが張り巡らされており、様々な樹種間でコミュニケーションが行われていることを、放射性同位体を用いた実験により実証した。特に、森林生態系内に存在する高樹齢の「マザーツリー」が、幼木へ栄養分などを送ったり、食害に対する警告を送ったりしていることが分かっている。そして、様々な樹種が存在することで、このようなコミュニケーションが活発になり、最終的な樹木の生長にもプラスの影響があることを明らかにした。 また、九州大学の榎木勉准教授の「長期間にわたる下層植生の除去が森林生態系の機能に及ぼす影響の評価」においても、下層植生の除去がカラマツ人工林の成長量減少につながる結果を示している。さらに、ミズナラ二次林とカラマツ人工林を比較した影響調査では、下層植生の変化に対する生態系機能への影響は、ミズナラ二次林よりもカラマツ人工林において大きいことが分かり、人工林における下層植生の重要さを示唆している。さらに、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、地方独立行政法人北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場、アメリカ地質調査所の研究グループは、北海道のトドマツの人工林の中で、少量の広葉樹をトドマツ伐採時に残すことで、鳥類の個体数が増加することを実証した。haあたりわずか20~30本の広葉樹を維持することで、皆伐よりも鳥類の個体数が統計的に優位に維持できるとしており、経済性を少しだけ犠牲にすることで、生態系が保全できることが分かっている。カーボンクレジットのように、この生態系保全による得られる様々な効果を証書化して経済価値として見える化し、木材価格に折り込む、あるいは証書だけを取引できるようになれば、この経済性の犠牲に関しても外部化して、コスト負担をサプライチェーンの下流側でも負ってもらうことが考えられる。 具体的な生物多様性を保全した森林の構想として、愛媛県久万高原町の「黄金の森プロジェクト」を前編の最後に紹介したい。プロジェクトをリードする久万造林は、創業1873年の150年以上に亘って、久万高原町で林業を営んできた。創業者である井部栄範がスギの苗木を植樹したのが、この地の林業の始まりとされている。今では、久万高原町はスギの名産地として知られ、愛媛県の林業研究センターが設置されるなど、県内の林業の中心地の一つとなっている。 黄金の森プロジェクトでは、皆伐した見晴らしの良い南向き斜面に、100年後を見据えた多様性を確保した森づくりを行っている。特徴的なのは、植樹する樹種の選定や植え付け場所などに、庭師の考えを取り入れていることである。日本庭園は、自然の美を狭い範囲に再現することを目的としており、元々は、自然の山の植生から何をどこに植えるかなどの技術が生まれている。その庭師の技術を逆輸入する形で、山に適用したのが、黄金の森プロジェクトである。スギやヒノキといった造林樹種だけではなく、広葉樹を含めた幅広い樹種を植栽している。 また、80年生を超えるスギが生えている林分(樹種や樹齢などが同じ森林を指し、森林管理の最小単位)では、下層植生の生育を促す間伐を定期的に行い、森林セラピーやキャンプ場として利用する計画、間伐や施業を直接見ることが出来るエリアを設ける計画など、林業関係者以外の人々が森に親しみを持ってもらうことも考えられており、オープンイノベーションが生まれる場を提供しようと考えられている。黄金の森プロジェクトが実施されているエリアは、全てドローンによるレーザー計測が終わっており、山全体の3Dデータや施業実績が整備されていることから、どのような施業を行うとどういった状態になるのか、というバックデータがあることも強みである。 後編では前編の内容を踏まえた企業の社会的責任と生物多様性に配慮した今後の企業の在り方について、まずはメセナ、ESG、SDGsといった企業の社会的責任の変遷を追う。そしてプロジェクトファイナンスにおける国際的なコンセンサスであるエクエーター原則や世界銀行EHS(環境・衛生・安全)ガイドラインなどを取り上げ、生物多様性保全の考え方を解説した上で、投資家の間で関心が高まっている非財務情報の開示にも触れて、今後の企業経営における生物多様性の重要性を強調したい。 以上 ディスクレイマー 本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。 国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。 外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
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06/21 09:00
【オピニオン】FRBはタカ派的金利据え置きを決定
※画像はイメージです。 FRBは2025年6月17-18日にFOMCを開催し、市場予想通り全会一致で政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を4.25-4.50%に据え置きました。政策金利の据え置きは4会合連続です。注目された政策金利見通し(中央値)では、2025年中の利下げ幅を0.5%ポイントと据え置いた一方で、26年の利下げ幅は前回(25年3月)時点の0.5%ポイントから0.25%ポイントへと修正、27年に関しては0.25%ポイントの利下げ見通しを据え置きました。25年の政策金利見通しの内訳を確認すると、年内利下げなしとの見通しが前回の4人から7人に増加しています。 また、25年10-12月期と26年10-12月期の経済見通し(中央値)は、実質GDP成長率(前年同期比)を下方修正した一方で、失業率、並びにFRBがインフレ指標として重視しているコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーター(前年同期比)の見通しを共に上方修正しています。このことから、FRBが利下げに慎重化している背景には、景気見通しの改善ではなく、インフレ高止まりへの警戒感があると解釈できます。以上のように、今回の決定はタカ派(インフレ抑制重視)的な金利据え置きであったと言えそうです。 FRBは声明文で「経済見通しに関する不確実性は一時よりやや低下したものの依然として高水準にある」との見方を示しました。パウエルFRB議長も記者会見で物価の押上げ圧力が長期化するリスクを強調したうえで、FRBの責務の一つである完全雇用を達成するうえでは物価の安定が不可欠であると、スタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)リスクが高まる中で、インフレ抑制を重視する姿勢を示しました。 FRBの金融政策判断は「データ次第」との状況が続くと想定されます。パウエルFRB議長はインフレの鎮静化を待って利下げを実施する意向ですが、失業率の急上昇など雇用環境の悪化に対しては柔軟に対応する姿勢です。 野村證券ではFRBは当面の間様子見を続け、25年12月以降、3会合連続でそれぞれ0.25%の利下げ実施との見通しを据え置きました。一方、市場では、早ければ9月会合を皮切りに、25年中に2回の利下げが概ね織り込まれています。 政策判断を巡るノイズとしては、トランプ大統領による利下げ要請が挙げられます。今後、FRB議長の後任人事を巡って市場の政策金利見通しに影響を与える可能性があり、注意が必要です。 FRBは2025年の2回の利下げ見通しを維持 (注)FOMCは2025年6月17-18日に開催。予想の中央値。実質GDP成長率及び2つの物価指標は各年10-12月期の前年同期比。失業率は民間部門の各年10-12月期平均の失業率。コアPCEデフレーターは価格変動の激しい食品とエネルギーを省いたもの。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利のレンジの中央値で、各年末値。(出所)FRBより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/21 07:00
【来週の予定】中東情勢と関税交渉の行方に注目集まる
来週の注目点:中東情勢、日米の関税協議、主要国の企業景況感 イスラエルがイランへの攻撃を13日(金)に開始してから、中東情勢を巡る緊張が株価の上値を抑えています。今後のポイントは、米国が軍事行動に出るか、イランとイスラエルが停戦合意に応じるか、イランがホルムズ海峡を封鎖するかなどです。その可能性は低いと見られますが、仮にホルムズ海峡が封鎖された場合には、原油価格の急騰や、株価への悪影響が懸念されます。 また、トランプ政権による相互関税の上乗せ分の停止期限の7月9日(水)が近づき、各国との協議が焦点となります。難航している日米交渉は、6月24日(火)~25日(水)のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で首脳協議が実施される可能性があり、注目されます。 日米の金融政策に関しては、24日(火)及び25日(水)にパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言、25日(水)に日銀田村審議委員の発言機会が予定されています。また、同日に6月日銀金融政策決定会合における主な意見が公表されます。今後の日米の金融政策を占う上で重要です。 米国の経済指標は、23日(月)発表の6月S&PグローバルPMI速報値、24日(火)に6月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、26日(木)に5月耐久財受注、27日(金)に5月個人消費支出(PCE)・所得統計が発表されます。 日本の経済指標は、23日(月)発表の6月auじぶん銀行PMI速報値、27日(金)に6月東京都区部消費者物価指数が発表されます。6月東京都区部(総務省版)コアコアCPI(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く)は前年同月比+2.2%と、前月の同+2.1%から加速したと野村證券では予想します。家賃の引き上げや、25年度の賃上げを受けた価格転嫁が反映されると見ています。 ユーロ圏では、23日(月)にドイツやユーロ圏の6月HCOB PMI速報値、24日(火)にドイツの6月Ifo企業景況感指数が発表されます。ドイツでは新政権が発表した財政政策とECBによる利下げが景況感の改善に寄与すると見ています。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年6月20日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/20 16:25
【野村の夕解説】中東情勢への懸念が重石、日経平均は一進一退 85円安(6/20)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 寄り前に発表された5月CPI(全国消費者物価指数)で、生鮮食品を除くコア指数は食料品価格の上昇などを受けて前年同月比+3.7%と、市場予想(同+3.6%)を上回りました。ただし、5月末に5月東京都区部コアCPIでも同様の結果がみられていたことから、株価への影響は限定的で、20日の日経平均株価は前日比16円安の38,472円と小幅安で寄り付きました。その後、半導体関連株の上昇を受けて、一時は前日比+157円まで上昇する場面がありました。しかし、米ホワイトハウスが19日、トランプ大統領が2週間以内にイランへの攻撃に関して決定を下すと述べたと発表し、中東情勢悪化への懸念が高まったことが重石となり、上げ幅を縮小しました。一方、20日に赤澤経済再生担当相が、相互関税上乗せ分の発動猶予期限である7月9日以降も、日米関税交渉継続を示唆する発言をしたことから、午後に入って米ドル円が145円40銭台半ばへと、やや円安方向に進み、日経平均株価の下支え要因となりました。前日終値を挟んで一進一退の動きとなった日経平均株価の終値は、前日比85円安の38,403円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 20日、米国では6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表されます。トランプ関税により経済の不透明な状況が続く中、企業の景気見通しに注目が集まります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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06/20 12:31
【今週のチャート分析】日経平均株価、18日に38,800円台も、地政学リスクの高まり受け反落
※画像はイメージです。 ※2025年6月19日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価の下値は徐々に切り上がりが見られる 今週の日経平均株価は、半導体関連株を中心に上昇し、18日まで3日続伸となった後、中東情勢を巡る不透明感などから、上値の重い展開となりました。 これまでの動きをチャートから振り返ってみましょう。日経平均は5月中旬以降、上昇ペースが緩やかになっているものの、下値は徐々に切り上がっています。 そして6月18日までの3日連続上昇により、6月11日の高値(ザラバベース:38,529円)など、戻りの節目が集中する38,500円処を突破し、38,800円台まで上昇しました。今後の上値メドとしては、心理的な節目である40,000円や、昨年12月の高値(40,398円)が挙げられます(図1)。 一方、6月19日は地政学リスクの高まりにより反落しました。今後さらに調整が進む場合、これまで下値を支えてきた25日移動平均線(6月19日:37,860円)や代表的な移動平均線である200日線(同:37,928円)がサポートとなるかがポイントです。もしこれらの水準を下回る調整となれば、5月22日安値の36,855円が次の下値メドとなります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年6月19日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 イスラエル×イラン 緊迫の攻防と株式市場の行方 2025年6月に入り、中東の地政学リスクが高まり、株価の上昇が抑えられています。6月12日、イスラエルは核施設や幹部を狙った先制攻撃を実施し、イランも反撃しました。その後、両国の応酬が続いています。 過去を振り返ると、2024年4月のイランとイスラエル間の史上初の直接交戦時や、24年10月交戦時のマーケットの反応は一時的なものにとどまりました(図2)。 両国は国境を接しておらず、イスラエル周辺の親イラン勢力が弱まる中、イラン側の報復は限定的です。米国によるイラン攻撃の可能性が報じられていますが、米国は紛争の長期化を望んでいないとみられます。今後、紛争が長期化しないとすれば、過去同様マーケットの反応は一時的と予想されます。 (注1)直近値は2025年6月18日時点。ただし原油先物価格は17日時点。出来事は全てを網羅している訳ではない。(出所)日本経済新聞社、S&P ダウジョーンズ・インデックス社、Financial Times社、野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成 一方紛争の拡大・長期化で原油価格が急騰すれば株価への影響は避けられませんが、数年単位の長期上昇トレンドへの影響は限定的と考えられます。NYダウはこれまで多くのショックや紛争を乗り越え、高値を更新してきました(図3)。 過去の超長期上昇トレンドは約22~24年続いており、今後も様々な出来事を乗り越えながら史上最高値を更新していくことが期待されます。 (注1)チャートの直近値は2025年6月13日。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(注4)全てを網羅している訳ではない。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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06/20 08:21
【野村の朝解説】中東情勢を受け欧州株は軟調(6/20)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 19日の米国市場は奴隷解放記念日(ジューンティーンス)のため休場でした。欧州市場では、ドイツDAXは3日続落、イギリスFTSE100は反落しました。イランが発射したとされるミサイルがイスラエルの病院に着弾し、またイスラエルの攻撃によってイランの原子力施設が破壊されたと報じられるなど、中東情勢の緊迫化が引き続き市場に悪影響を及ぼしました。米トランプ大統領はイランに対する米国による攻撃について2週間以内に判断するとコメントしました。本日、国連安保理は緊急会合を開催し、中東情勢について討議を行います。ドル/円は日本時間の昨日夕刻時点とほぼ変わらない水準で推移しています。 19日にスイス国立銀行は政策金利を従来の0.25%から0%に引き下げると発表しました。2022年以来、約3年ぶりの低水準です。5月の消費者物価が前年同月比でマイナスとなるなど物価の下落が背景にあります。一方、英イングランド銀行は政策金利(中銀預金金利)を4.25%で据え置きました。 相場の注目点 来週は複数の米FRB高官による発言が予定されています。FRBは6月FOMCで、2025年10-12月期の実質GDP成長率見通しを引き下げる一方、物価見通しは引き上げました。パウエル議長は、経済見通しの不確実性が異例の高水準にあるとコメントしました。不確実性が高い中で、各高官の今後の利下げの時期などに対する考え方などが注目されます。 本日のイベント 米国では、6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表されます。市場予想は-1.7と、5月の-4.0、4月の-26.4からの回復基調が継続するとみられています(0が好況と不況の分水嶺)。 (野村證券 投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2025年6月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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06/19 16:16
【野村の夕解説】上昇に転じる材料に欠ける 日経平均株価は反落(6/19)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 日本時間19日未明に発表されたFOMCの結果に大きなサプライズはなく、米国主要3指数は揃ってほぼ横ばいで引けました。19日の日経平均株価は前日比26円安の38,858円で寄り付いた後は下げ幅を拡大させ、1日を通して軟調な推移が続きました。18日の日経平均株価の終値が4ヶ月ぶりの高値となったことで、一旦売りを出す動きもみられ、上昇のけん引役となっていた値がさの半導体関連株の下落が重石となりました。また、午前中には一部報道機関が、米国が数日以内にイランを攻撃する可能性に備えていると報じたことも重石となりました。後場に入ってからも上昇に転じる材料には欠け、終値は前日比396円安の38,488円の安値引けとなり、4営業日ぶり反落となりました。個別株では、18日に発表された日本の5月訪日外国人客数の推計が、5月としてこれまでで最多となったことで、インバウンド関連とされる百貨店や空運の一角などが逆行高となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 19日の米国株式市場は、ジューンティーンス(奴隷解放記念日)のため休場です。英国ではイングランド銀行(中央銀行)が金融政策決定会合の結果を発表予定です。市場では、今会合での政策金利は据え置きと予想されています。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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06/19 08:19
【野村の朝解説】FRBは4会合連続で金利据え置きを発表(6/19)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 18日の米国株式市場で主要3指数はまちまちの動きとなりました。中東情勢の緊迫化が投資家心理を悪化させた模様です。トランプ大統領は18日、イランへの攻撃について「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と発言する一方、イランの最高指導者であるハメネイ師は降伏しない姿勢を示しています。また、6月FOMCで、FRBのパウエル議長が「状況を見極めながらの現状維持が適切だ」と話すなど、改めて利下げを急がない考えを強調したことも株価の重石となりました。 相場の注目点 FOMCは、政策金利を4.25~4.50%に据え置きました。2025年末時点の政策金利の見通し(中央値)は3.875%と、3月時点から変更がありませんでした。ただし、26年末が3.625%(3月時点3.375%)、27年末が3.375%(同3.125%)へ引き上げられました。また、25年10-12月期の成長率見通しを引き下げる一方、物価見通しは引き上げており、米国経済にスタグフレーションリスクがあるとみていることを示しました。パウエル議長は、経済見通しの不確実性はトランプ政権が大規模な相互関税を発表した4月と比べると軽減されたものの、依然として「異例の高水準にある」とし、先行きの金融政策については今後のデータを見極める姿勢を改めて示しています。本日の東京市場は、中東情勢悪化への警戒感などが重石として意識される一方、FOMCを概ね無事に通過した安心感が株価を支える可能性があるとみています。 本日の東京市場では、相場を動かすような注目度の高い経済指標の発表やイベントは予定されていません。また、米国市場は奴隷解放記念日(ジューンティーンス)のため休場です。一方、英国ではイングランド銀行(中央銀行)が金融政策会合の結果を発表します。市場では、英中銀は今会合で政策金利を据え置くと予想されています。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年6月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点