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06/09 16:27
【野村の夕解説】米株高と円安進行を受けて、日経平均は346円高(6/9)
(注)画像はイメージです。 本日の動き トランプ政権による関税政策の経済への影響が懸念される中、6日に発表された米国の5月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を上回り、失業率は4月から横ばいとなりました。これを受けて米国株は上昇し、円安米ドル高が進みました。9日寄り前に発表された日本の2025年1-3月期GDP2次速報値は、個人消費や民間在庫の上振れを背景に1次速報値から上方修正されました。米国株高と円安進行、および経済指標の改善を受けて、9日の日経平均株価は寄り付きから上昇しました。日本時間10:30頃に中国で5月消費者物価指数と生産者物価指数が発表され、ともに前年同月比マイナスとなりました。しかし、9日に英国で開かれる米中通商協議の協議進展への期待が高く、中国株式市場は上昇したことから、日本株市場への影響は見られませんでした。14:00頃、日本の5月景気ウォッチャー調査で、景気の先行きについて物価上昇や米国の通商政策の影響が懸念されるとの見方が示され、日経平均株価は一時上げ幅を縮める場面があったものの、終値は前日比346円高の38,088円と底堅く推移しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 9日に英国で開かれる予定の米中通商協議では、今回もレアアースの輸出規制について議論される見通しで、結果に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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06/09 08:00
【野村の朝解説】景気減速懸念後退で米国株は反発(6/9)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 6日の米国株式市場では主要3指数が揃って、前日から1.0%以上反発して引けました。この日発表された5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比13.9万人増と市場予想(同12.6万人増)を上回ったものの、過去2ヶ月分で9.5万人下方修正され、労働参加率も低下するなど満点とは呼べない内容でしたが、今月9日に米中の通商協議が再開とのニュースと併せて、市場の景気減速懸念の後退につながったと見受けられます。先物金利で見た市場の利下げ観測は25年中に2回を下回り、米国債は利回り曲線全域にわたって0.1%ポイント程度上昇しました。為替市場では米ドルが主要通貨に対して全面高となり、対円では144円台後半まで米ドル高が進行しています。 相場の注目点 6月は日米ともに金融政策会合が予定されていますが、いずれも政策金利は据え置きが予想されます。注目されるのは、今回のFOMCで公表されるFRBの政策金利見通しです。前回(25年3月)時点では、1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとした場合、25年、26年ともに2回との見方が19名の参加者の中央値でした。ただし、25年に関しては8名が1回以下との見通しを示しました。FRB内では政策金利は当面据え置きとの見方がコンセンサスになっていますが、このことが政策金利見通しにどの程度影響を与えるのか、26年の見通しを含めて注目されます。また、6日にはトランプ大統領がSNSを使用してパウエル議長に対して1%ポイントの利下げを要求するなど、利下げ圧力を高めています。4月にも同様にFRBに対して利下げを要求し、パウエル議長の解任を示唆した際には、S&P500が一時3%以上下落するなど、米国市場はトリプル安(米株、米国債、米ドルの同時安)に見舞われ、慌てて撤回した経緯もあり注意が必要です。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年6月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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06/08 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅤ:第6回 ラインの引き方は1つとは限らない
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、同じチャートにおけるトレンドラインの様々な引き方について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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06/07 12:00
【注目トピック】2026年、半導体需要の牽引役に変化か 世界半導体市場統計を読み解く
※画像はイメージです。 前回予測から上方修正、2026年も拡大を見込む 米国時間6月3日に、主要半導体メーカー50社で構成される業界団体、WSTS(世界半導体市場統計)が、2025年春季の半導体市場の見通しを発表しました。今回の予測会議は2025年5月20~22日に開催され、2025年3月までの実績値を基に作成したとのことです。 半導体市場全体は、2024年実績が前回発表時点(2024年12月)の予測を上回り、2025年予測も前回予測よりも上方修正となっています。2023年は前年比で減少しましたが、2024年については拡大に転じ、これまでの過去最高だった2022年の5,741億ドルを超えました。そして2025年も拡大が続き、今回新たに示された2026年も拡大が続くと予測されています。 世界半導体市場の推移・予測 (注)灰色は実績、薄い赤色は2024年12月時点、赤色は2025年6月時点の予測。予測はWSTS(世界半導体市場統計)。(出所)WSTS、LSEGより野村證券投資情報部作成 AIがけん引、2026年にはエッジAIも WSTSは、2024年はAI需要を見越したデータセンター投資に連動する形でメモリー製品やGPUなどのロジック製品が半導体市場の成長をけん引した反面、AI関連以外の領域では自動車用途も含めて低調に終わるなど、用途による二極化が顕著であったとしています。 2025年については、引き続きデータセンター投資の恩恵を受けるメモリー製品やロジック製品については高成長を予測したとしています。AI関連以外では、足元はスマートフォンや家電向けなどで、中国の補助金政策などの押し上げ要因が見られるものの、関税問題や輸出規制を含む地政学リスクの高まりなど不透明要素が多いことから、通年では弱含んだ予測となったとしています。 2026年については、けん引役は引き続きAI関連で、エッジAI(データセンターにおいてではなく、端末でAI処理を行う)など応用領域が拡がることも、電子機器への半導体搭載金額の増加に繋がることが期待されるとしています。そして、引き続き地政学的な不透明要素は多いものの、経済が安定していることを前提に、全ての製品群でプラス成長を予測したとしています。 地域別では引き続き米国の成長率が高い 地域別では、米州が2024年の前年比+45.2%から2025年には同+18.0%と、伸び率は鈍化するものの、引き続き2桁成長となり、地域別では最も伸び率が高く予測されています。 アジア太平洋は、2024年の前年比+16.4%から2025年は同+9.8%と、伸び率の鈍化が予測されています。 欧州は、2024年の前年比-8.1%から、2025年は同+3.4%とプラス成長が予測されています。 日本は、2024年の前年比微減から、2025年には若干のプラス成長になると予測されています。 2025年もデータセンター向けがけん引 製品別についてみると、データセンター投資の恩恵を受けると予測される、集積回路のうちのロジックとメモリー(HBM、広帯域幅メモリーやDRAM、フラッシュメモリーなど)が、2024年に続き、2025年も前年比二桁成長が予測されています。 それ以外は、一部については回復が予測されているものの、全般には低調と見込んでいる模様です。ディスクリート(一素子一機能の単一機能製品)とオプトエレクトロニクス(カメラなど光学関連用)は、2024年に続き、2025年もマイナス成長が予測されています。集積回路のうちのマイクロ(自動車のエンジン・コントロール・ユニットなど)は、2024年には小幅ながらもプラス成長となったものの、2025年には再び小幅ながらもマイナス成長が予測されています。 センサー・アクチュエーターと、集積回路のうちのアナログ(アナログ信号処理用)については、2024年のマイナス成長から、2025年には小幅ながらもプラス成長が予測されています。 2026年は各製品とも前年比プラスに 2026年には、各製品とも前年比プラス成長が予測されています。 製品別動向で目を引くのがロジックとメモリーです。共にプラス成長が見込まれていますが、ロジックは2025年の前年比+23.9%から2026年には同+7.3%へと伸び率の鈍化が予測されている一方、メモリーについては2025年の前年比+11.7%から2026年には同+16.2%へと伸び率加速が予測されています。WSTSのコメントからは、データセンターで用いられる半導体の伸び率が鈍化する一方、スマートフォンやパソコン、その他の電子機器に搭載されるメモリーの需要の増加を予測していると推察されます。 世界半導体市場の内訳 (注)予測は2025年6月時点のWSTS(世界半導体市場統計)による予測。(出所)WSTS、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 2026年にかけてのけん引役への示唆が興味深い 前回、2024年12月の予測では、2025年はすべての製品で前年比プラス成長が予測されていましたが、今回の予測では、AI関連以外については、全般的に下方修正されています。 半導体製品は、AI以外では自動車や産業機器、家電などが大きなユーザーです。米政権による関税・貿易政策に伴う経済の不透明感から、全般的に設備投資が先送りされたり、足元では駆け込み需要で米国で販売台数が増えている自動車や家電等についても、その反動が懸念されることなどが、反映されていると推察されます。 AI分野については、けん引役交代の可能性を予測していることがうかがえたことが目を引きました。AI向けは、データセンター投資関連も引き続き拡大が予測されていますが、2026年にかけては、エッジAIなどAI機能を搭載した端末関連の需要がけん引するとしています。 なお、半導体需要はAI関連がけん引していて、自動車や産業機器向けの需要が弱含んでいることは、直近の半導体産業に関する各種報道や、半導体メーカー各社の決算動向と整合的な内容で、その意味では大きなサプライズはありませんでした。とはいえ、半導体市場全体の予測が引き上げられ、今回新たに示された2026年は拡大が継続するという点は、ポジティブと受け止めてよいと判断します。 <執筆者紹介> 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト村山 誠 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。 ご投資にあたっての注意点
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06/07 09:00
【オピニオン】トランプ関税の影響は?韓国の貿易統計から紐解く
※画像はイメージです。 トランプ政権が発動した関税策は①2025年4月9日より一律10%の相互関税(上乗せ分は90日間停止。中国は除く)、②25年5月14日より中国に対しては30%の関税(24%の上乗せ分は90日間停止)、➂25年3月4日よりカナダ・メキシコに対しては25%の関税を賦課(USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に関わる特例措置は除く・25年4月2日より相互関税を不適用)、となっています。品目別では、Ⓐ25年3月12日に鉄鋼・アルミニウム製品、4月2日に自動車にそれぞれ25%の追加関税を賦課(6月4日から鉄鋼・アルミニウム製品に対して50%を適用)、Ⓑ自動車部品に関しては二重関税を回避するため軽減措置を導入、となっています。一方、銅製品、木材、医薬品と半導体については米商務省が国家安全保障への影響に関して調査中です。 米国の主要貿易パートナーの25年3-4月の輸出動向を見ると、3月は駆け込み需要で増加し、4月はその反動減の影響が出ている模様です。中国の対米輸出は25年3月に前年比+9.1%、4月は同-21.0%、日本の対米輸出はそれぞれ同+3.1%、同-1.8%となっています。このように、駆け込み需要のかく乱要因により25年3-4月の貿易統計から関税引き上げの影響を抽出することは難しいため、5月以降の統計が参考になるでしょう。主要国の中では韓国の統計発表のタイミングが早く、既に25年5月分の貿易統計が6月1日に発表されました。米国の対韓国の関税率は基本税率の10%が賦課されていますが、上乗せ分を含めた相互関税率は25%です。輸出総額は前年比-1.3%となり、25年1月以来4ヶ月ぶりのマイナスとなりました。対米輸出は同-8.1%、対中輸出は同-8.4%と大幅に落ち込んでいます。 足元の韓国の貿易統計 (注)MCPはMulti Chip Packageの略で2つ以上の半導体チップを積層して一つにパッケージしたもの。SSDはSolid State Driveの略で、集積回路を用いた補助記憶装置の一種。OLEDはOrganic Light Emitting Diodeの略で有機ELディスプレイ。ASEANはAssociation of South-East Asian Nationsの略で、東南アジア諸国連合。(出所)ノムラ・シンガポール・リミテッド (NSL)、LSEGより野村證券投資情報部作成 一方、台湾向けは25年4月の同+58.2%に続き、5月も同+49.6%と高い伸びが続いています。AIサーバー向けのHBM(High Bandwidth Memory)などの半導体需要が引き続き旺盛であることが、うかがわれます。前述の通り、米商務省は半導体、半導体製造装置、スマホに関して1962年通商拡大法232条に基づき調査中ですが、その結果が出る前の駆け込み需要の側面もあると考えられます。 米国に輸出している半導体関連企業は米商務省による調査に回答する形で、「半導体製造装置や半導体材料の多くは、品質面でも数量面でも米国内では現在入手不可能なものである。米国内での生産コストが大幅に上昇することになるだろう」と懸念を表明しています。AI、半導体関連産業は米国の屋台骨であるだけに、現実的な着地点を探る可能性も否定できないでしょう。 ご投資にあたっての注意点
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06/07 07:00
【来週の予定】米CPI発表、トランプ関税の影響に市場の関心集まる
来週の注目点:トランプ関税の帰趨と米CPI、米中貿易などへの影響 4月下旬以降、トランプ関税への懸念の一服、減税期待の高まりを背景とした過度な米景気後退懸念の緩和、米主要企業の概ね市場予想を上回る2025年1-3月期決算などが日米の株価を下支えしています。トランプ政権の支持率が低下する中、トランプ政権の対外政策は軟化したと見られていましたが、足元では強硬な姿勢に戻りつつあります。6月4日に鉄鋼・アルミニウム製品の追加関税を2倍の50%に引き上げる措置を発動しました。対中国ではハイテク製品の輸出規制を一段と強めるなど非関税障壁を強化しています。今後は、相互関税の上乗せ部分の発動延期の期限(7月9日)が近付くにつれ、米国と一部の国・地域では協議が大詰めを迎えると見られるため、要注目です。 景気に減速感が見えつつある米国では、6月17日(火)-18日(水)にFOMCが開催されます。FRBは7日(土)から金融政策に関する公式発言を自粛するブラックアウト期間入りするため、足元の米国景気や金融政策の方向性に関するヒントを得ようと経済指標に注目が集まります。11日(水)に5月消費者物価指数(CPI)、12日(木)に5月生産者物価指数、13日(金)に6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)が発表されます。最大の注目点はCPIです。関税引き上げによるコスト転嫁が次第に進み、向こう数ヶ月でインフレ率を押し上げると野村では見ています。 中国では、9日(月)に5月貿易統計が発表されます。5月12日に米中が合意した90日間の暫定的な関税引き下げが輸出の前倒しを促した可能性があります。 日本では、9日(月)に2025年1-3月期実質GDP(2次速報値)、5月景気ウォッチャー調査が発表されます。実質GDPについて野村では、前期比年率-1.1%と、1次速報の同-0.7%から下方修正されると予測します。主因は輸入の増加であり、民間内需は力強さを欠くものの、底堅い推移となる見通しです。他方、景気ウォッチャー調査では、2~3ヶ月先の見通しを示す先行き判断DIが、トランプ関税を受けてどのように変化するか確認したいと思います。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年6月6日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/06 16:24
【野村の夕解説】日経平均株価は反発 米中関税交渉の進展期待(6/6)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 5日に行われたトランプ米大統領と中国の習近平国家主席による電話会談を受け、米中関税交渉の進展期待が高まりました。これを背景に、6日の日経平均株価は前日比35円の37,590円と反発して始まりました。また、5日に実施された日本の30年利付国債入札が低調だったことを受け、財務省が超長期債の発行を減額するとの期待が高まったことで、日本の10年債利回りは低下(価格は上昇)し、これを受けて外国為替市場では、1米ドル=143円台後半へと円安が進行しました。円安進行を追い風に、日経平均株価は一時前日比201円高となる場面もありましたが、6日夜に発表される米国雇用統計を控え、その後は動意に乏しい展開となりました。大引けは前日比187円高の37,741円と反発し取引を終えました。個別企業では、アドバンテストと東京エレクトロンが上昇し、2銘柄で日経平均株価を75円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、5月雇用統計が発表されます。4日発表のADP全米雇用レポートでは、米国労働市場の減速を示唆する結果となりましたが、雇用統計でも同様の結果となるか、注目されます。そのほか、6月17・18日に開催されるFOMCを前に、7日から19日まで、FRB高官や関係者が発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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06/06 08:21
【野村の朝解説】米中首脳会談実現も目立った進展なし(6/6)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 5日の米国市場は雇用統計の発表を控えて動意に欠ける中、米国株、債券、米ドルが下落するトリプル安で引けました。第2次トランプ政権発足後初めて、米中首脳による正式な電話会談が行われましたが、貿易問題に目立った進展はありませんでした。加えて、米国株市場ではトランプ大統領がEV補助金の削減を示唆したことが嫌気されました。為替市場では米ドルが軟調な中で、円が主要通貨に対して全面安となり、対米ドルでは一時144円目前まで下落しました。 相場の注目点 トランプ大統領は4日、鉄鋼・アルミニウムへの関税を25%から50%へ引き上げました。市場の一部では「TACO(Trump Always Chickens Out(トランプ氏はいつも尻込みする))」と、同氏の関税政策を揶揄する見方もありますが、品目別関税に関しては引き続き警戒が怠れません。米国では中国によるレアアース製品の輸出規制が自動車など主要産業のボトルネックとなっているとの見方が高まっています。今後、米中間の貿易協議の加速感が高まるならば、市場にとっては好材料となりそうです。一方で、米上院では個人所得税減税の延長、連邦債務上限の引き上げなどを含んだ「大きくて美しい法案」の審議が開始されています。個人所得税減税の延長は、見送られれば景気にとって大きな逆風となる一方で、実施されれば市場の財政悪化懸念がさらに高まるリスクがあるため、審議の行方とともに市場の反応が注目されます。 本日のイベント 米国では5月の雇用統計が発表されます。今週発表された雇用関連統計はいずれも労働需給の緩和を示唆したことから、市場では9月にも利下げ実施との見方が高まっています。雇用者数の下振れや失業率の上昇が確認されれば、市場の利下げ観測が一段と高まり、米ドル安材料視されることが予想されます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年6月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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06/05 16:42
【野村の夕解説】日経平均株価は反落 米国景気の先行き懸念が重石(6/5)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 4日に発表された米国の経済指標の結果を受け米国景気への懸念が強まり、FRBが利下げに動きやすくなるとの思惑から米国長期金利が低下しました。また5日寄り付き前には日本の4月毎月勤労統計が公表され、実質賃金は前年比-1.8%となったものの名目賃金は同+2.2%となったことで日銀による利上げの思惑が広がり、日本の長期金利の低下は小幅に留まりました。これらを受け外国為替市場では4日15:30時点の1米ドル=144円台から5日朝9時頃には143.20円前後と円高へ進行し、米国景気悪化懸念と円高進行が重石となり、日経平均株価は前日比157円安の37,590円で始まりました。前場では値がさの半導体関連株の上昇を追い風に底堅く推移したものの、後場に入ると、円高進行が嫌気された自動車関連株の下落が重石となり、再度下げ幅を拡大させました。その後は6日に発表される米国の5月雇用統計の発表を控え様子見姿勢が広がり、大引けは前日比192円安の37,554円と反落となりました。個別企業では、任天堂の「Nintendo Switch2」 が本日発売されましたが、株価の反応は限定的となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本時間5日夜にECBの政策委員会の会合が開かれます。トランプ米政権の関税政策によるインフレと景気の見通しが不透明な中、政策金利は7会合連続で0.25ポイント引き下げることが見込まれています。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点