〇オピニオン
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04/15 08:12
【野村の朝解説】関税を巡る警戒が後退し、米国株は続伸(4/15)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 14日の米国株式市場では主要3指数が揃って続伸しました。トランプ政権が11日に相互関税の対象からスマートフォンや半導体製造装置などを除外したことに加え、14日にはトランプ大統領が自動車関税について救済措置を検討する旨を発言したことで、関税を巡る過度な警戒が後退し、投資家のリスク回避姿勢が和らぎました。一方、ラトニック米商務長官は13日、相互関税の対象から除外した製品については今後詳細が発表される半導体関税に組み入れると表明しています。トランプ政権の関税政策は二転三転しており、先行き不透明感はなお強い状態にあると言えます。 相場の注目点 15日はバンク・オブ・アメリカ、シティグループといった米大手金融機関が2025年1-3月期決算を発表します。今決算シーズンは好スタートを切っていますが、一方で経営トップは米国経済や金融市場の見通しに警戒感を示しています。例えば、11日に決算を発表したJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、トランプ政権の関税政策が「インフレと成長鈍化を招く」、「経済は大きな混乱に直面している」とコメントしました。また、14日にはゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOが「今年初めとは大きく異なる事業環境の中で4-6月期を迎える」と、今後の事業環境の厳しさを示す発言をしています。トランプ政権の関税政策は依然読めない部分が大きく、本格化する決算発表で示される各社の見通しも先行きの相場のかく乱要因となりえます。株式市場が落ち着きを取り戻すには時間がかかる可能性がありそうです。 米国では本日、4月NY連銀製造業景気指数が発表されます。NY連銀の管轄する地域限定の指数ではありますが、4月2日の相互関税の詳細発表後に急速に強まった米国経済の減速懸念が反映されるデータであり、注目しています。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年4月15日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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04/14 16:48
【野村の夕解説】米関税のスマホ除外報道を受け 日経平均は396円高(4/14)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 11日(金)の米国主要3指数は揃って反発し、またトランプ米政権は同日夜に、スマートフォンや電子関連製品などを上乗せ関税の対象から除外すると発表しました。これらを好感し、本日の日経平均株価は前営業日比420円高の34,006円で始まり、一時前日比740円高となる場面もありました。ハイテク製品に対する高関税が当面は回避されるとの期待感から値がさの半導体関連株が上昇し、個別企業では村田製作所が一時前日比+4.83%、TDKは同+6.48%、日東電工が同+5.81%となりました。午前中には日本銀行の植田和男総裁が衆院予算委員会において、米関税措置を受けた金融政策運営について、2%物価目標の実現に向けて適切に政策を運営していく考えを示したものの、発言による市場の反応は限定的なものとなりました。後場に入ると関税政策への不透明感が依然として意識され上値は重く、引けにかけて上げ幅は縮小しましたが、終値は前営業日比396円高の33,982円と反発し取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日引け後、J.フロント リテイリング、高島屋などの小売企業の決算発表が予定され、国内の消費の力強さを確かめるうえで注目が集まります。また、米国企業は本日ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、シティグループなどが決算発表予定です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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04/14 08:14
【野村の朝解説】米国株は反発も先行き懸念は残存(4/14)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 11日の米国株市場では、主要3指数が揃って反発しました。コリンズ・ボストン連銀総裁が「金融市場が無秩序な状況になれば、FRBは安定化に向けて支援する要因がある」と発言したことが好感されました。ただし、この日発表された4月ミシガン大学消費者信頼感指数は約3年ぶりの水準に低下した一方、期待インフレ率は短期・長期共に数十年ぶりの水準に上昇しました。恐怖指数と言われるVIX指数は37.56と相互関税発表前(21.51)を上回っています。特に市場参加者が警戒しているのは、通常は安全資産と位置付けられる米国債がボラティリティ(変動率)の上昇と共に売られている点です。米国債版の恐怖指数であるMOVE指数も、コリンズ総裁の発言を受けてなお上昇しています。米国債市場の不安定化が、米国経済やドル建て資産への信認低下を示しているのだとすれば、米国株にとっても厳しい相場環境が続くことが予想されます。 相場の注目点 トランプ政権の高関税政策を受けて、米国ではスタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)懸念が高まっています。市場では利下げ観測が高まる一方で、多くのFRB高官はインフレ再燃を懸念してむしろ利下げに慎重な姿勢を示しています。今週はパウエル議長を筆頭に、多くのFRB高官の講演などが予定されています。スタグフレーション懸念を踏まえた上での利下げに対するスタンスや市場不安定化リスクに対する評価、市場介入の是非など、各FRB高官の見解が改めて注目されます。利下げや市場介入に対して慎重な見解が繰り返されれば、市場の不安定性が高まることが懸念されます。また、米国では25年1-3月期の決算発表が本格化しています。過去の経験則では、先行き不透明感が高い状況下で、企業による業績予想の発表見送りは、市場では売り材料視されやすいようです。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年4月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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04/12 12:00
【注目トピック】米決算発表で関税政策の影響についての示唆は得られるか
※画像はイメージです。 米国:2025年1-3月期決算プレビュー 25年1-3月期は前年同期比+6.2%予想 4月中旬から、S&P 500 指数構成企業の2025年1-3月期の決算発表が本格化します。 2025年4月4日時点の調査会社LSEG集計による市場推定・予想平均では、同期の四半期EPS(1株当たり利益)は、前年同期比+6.2%と推定されています。2024年10-12月期の同+13.7%と比べ、増益率が鈍化する見込みとなっています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)推定・予想は2025年4月4日時点のLSEG集計による市場予想平均。2025年1-3月期には、2024年12月-2025年2月期決算、2025年2-4月期決算の企業も含む。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 (注)推定・予想は2025年4月4日時点のLSEG集計による市場予想平均。2025年1-3月期には、2024年12月-2025年2月期決算、2025年2-4月期決算の企業も含む。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 2024年10-12月期は、同期の決算発表が本格化する直前の2025年1月3日時点の集計では同+8.1%と予想されていました。しかし、決算実績が事前のアナリスト予想平均を上回るポジティブサプライズの比率が高かったことで、実際には前述の通り同+13.7%まで拡大しました。 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2024年10-12月期には、2024年9-11月期決算、2024年11月-2025年1月期決算企業も含む。(注2)直近4四半期平均とは2023年10-12月期~2024年7-9月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。(注3)LSEGによる2025年3月28日時点(売上高について499社、純利益について498社)の集計。 (出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 アナリスト達は慎重に見ている模様 アナリストの企業業績予想の修正動向を示すリビジョンインデックスは、概ね3ヶ月周期で循環的に動く傾向がみられます。アナリストは四半期決算が始まる直前に業績予想を慎重に見直す傾向があるためとみられます。 直近では、2024年10-12月期決算発表が始まる直前の2024年12月下旬に1を下回り始め、同期の決算発表が概ね一巡した後もリビジョンインデックスは回復せずに、2025年1-3月期決算発表シーズンを迎えました。 要因としては、トランプ政権による関税政策や、政府効率化省による連邦政府業務見直しの影響などの不透明要因から、アナリスト達は業績予想を慎重にみていると考えられます。 (注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。FY1は予想1期目、FY2は予想2期目。直近値は2025年4月9日時点で、12月決算企業の場合、FY1は2025年12月期、FY2は2026年12月期。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 (注)推定・予想はLSEG集計による2025年4月4日時点の市場予想平均。カッコ内の数値は2025年1月3日時点の市場予想平均。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 決算発表時の注目点 これから米主要企業の2025年1-3月期決算発表が本格化します。発表された際には、それぞれの企業の足元の業績動向に加えて、各社の業績予想や経営陣のコメント等から、トランプ政権による関税政策が、米国や海外経済に与える影響について示唆が得られるか、注意してみていきたいと考えます。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ご投資にあたっての注意点
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04/12 09:00
【オピニオン】トランプ大統領による高関税政策の勝者は誰だ?
※画像はイメージです。 2025年4月2日、トランプ大統領が相互関税の詳細を公表しました。一律で10%の関税に加え、約60の国・地域に対しては高率の追加関税を課す方針が示されました。トランプ大統領は相手国が米国に賦課している関税について通貨操作や非関税障壁を考慮して算出したと説明しましたが、実際には非常に杜撰な計算によるもののようです。 個別の状況を見ると、中国が34%、EUが20%、日本は24%と高率の関税が賦課されます。特に中国は既存の20%追加関税に上乗せし、54%の関税率となります。一方、カナダ及びメキシコに関しては、中国と同様に別途賦課された関税はあるものの、相互関税については現時点では対象外となりました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)米国から見た貿易赤字上位20ヶ国。ただし、対象外となったカナダ、メキシコを除く。10%の最低課税は4月5日発効、個別の高率関税は4月9日に一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると発表。対米輸出額は米国の各国からの輸入額で代替。対米輸出額対名目GDP比は2024年時点。(出所)ホワイトハウス、米商務省、IMF(国際通貨基金)資料より野村證券投資情報部作成 米国の高関税政策は、経済活動に占める米国への輸出依存度の高い国ほど悪影響を被ることが見込まれます。この点では、ベトナムやカンボジア、台湾、タイなどへの悪影響が懸念されます。ただし、新興国の中には自国産業保護を目的に米国からの輸入品に高い関税を賦課している国も多く、その分だけ米国と交渉の余地があると言えます。この点からは、「自由貿易に貢献してきた国ほど損をする」そんな構図も見えてきます。 米国もまたこの高関税政策の悪影響から免れることはできません。今回の相互関税は野村證券、および市場の想定を大幅に上回るものでした。野村では米国の平均実効関税率は2.5%程度から10~15%程度に上昇すると想定していましたが、今回発表された措置を踏まえると20~25%となる見込みです。 米国の関税率が従来の想定を大幅に上回ると試算されることから、野村では米国の実質GDP成長率見通しを、25年は前年比+1.4%(修正前同+2.0%)、26年は同+1.0%(同1.8%)へ下方修正しました。下方修正の主因は、個人消費や設備投資など、民間内需の落ち込みです。一方で、消費者物価の前年比見通しは25年+3.8%(同+3.0%)、26年+3.1%(同+2.9%)へ上方修正しています。 高関税政策によるスタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)リスクの高まりに対して、多くのFRB高官はインフレ再燃を懸念し、利下げに慎重な姿勢を示しています。ただし、景気減速はインフレ鎮静化に寄与することが予想されることから、野村では米国の利下げ開始時期に対する見通しを前倒し、25年12月から3会合連続での利下げを予想しています(利下げ幅はいずれも0.25%ポイント)。 トランプ大統領による高関税政策の勝者はいったい誰なのでしょうか。 ご投資にあたっての注意点
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04/12 07:00
【来週の予定】不透明感が続くトランプ政権の政策の行方
来週の注目点:関税の行方、米中の主力経済指標、日本のインフレ トランプ大統領は9日、「相互関税」の上乗せ分を中国を除いて90日間停止すると発表しました。それを受けて世界の主要株価指数は大幅に反発しました。トランプ政権の関税に関する姿勢の軟化は相場の支援材料となりますが、一律10%の関税率や自動車への25%の関税は維持されたままです。今後は米国との二国間交渉の行方が注目されます。トランプ大統領が次に、いかなる手段に出るかは予想が難しく、不透明感が続く可能性があります。 景気減速の兆候が散見される米国では、15日(火)に4月NY連銀製造業景気指数、16日(水)に3月小売売上高、3月鉱工業生産、17日(木)に4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、3月住宅着工・建設許可件数など注目度の高い経済指標が発表されます。景気の減速感が強まった場合は、トランプ政権の関税政策やFRBの金融政策にも影響を与えるとみられます。 日本では、16日(水)に2月機械受注が発表されます。トランプ政権による政策の不確実性の高まりが、内外企業の設備投資の前倒しの動きとなっているかを確認したいと思います。16日(水)には3月訪日外国人客数が発表されますが、円高がどの程度影響を与えているか注目されます。18日(金)には3月全国消費者物価指数(CPI)が発表されます。野村では、生鮮食品を除く食品価格の伸びを主因に、コアCPI(生鮮食品を除く総合)の前年同月比での伸びが加速すると予想します。 中国では、14日(月)に3月貿易統計、16日(水)に25年1-3月期実質GDP、3月小売売上高と鉱工業生産、1-3月固定資産投資と不動産投資と、重要統計の発表が予定されています。内需喚起策など政策支援が景気の下支えになったとみられます。 ユーロ圏では、17日(木)にECB金融政策理事会が行われます。今会合では0.25%ポイントの利下げが市場コンセンサスです。米国による関税引き上げの景気への影響が懸念される中、利下げへのハードルは低くなっています。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年4月11日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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04/11 16:34
【野村の夕解説】日経平均株価1,023円安 米国の対中関税強化が重石(4/11)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 10日、トランプ政権は中国に対する輸入関税率が145%になると公表し、米中対立が更に深刻化するとの懸念から、米国主要株価指数は大幅反落、為替も日本時間10日15:30の1米ドル=146円台から11日朝方は一時142円台へと円高が進みました。11日の日経平均株価は寄り付きから大幅反落し、9:45に本日の最安値となる前日比1,982円安の32,626円を記録しました。ベトナム政府が中国製品の米国向け迂回輸出を取り締まるとの報道から、米中対立の根深さが示され、株式市場の重石となりました。一方、市場の不安心理が強い中で下げ過ぎとの見方もあり、日中の最安値を記録した後は徐々に下げ幅を日通しで縮め、日経平均株価の終値は前日比1,023円安の33,585円となりました。他方、東証グロース250指数が2営業日続伸となるなど、トランプ関税と距離のある内需や小型株の一角は堅調さを示し、個別では、10日に好調な決算を発表したベイカレントが前日比+12.49%の大幅上昇となりました。ウエルシアHDとツルハHDが統合を2年前倒しで進めるとの報道をきっかけに、株価は各前日比+7.38%、同+4.80%となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 11日は米国で3月生産者物価指数、4月ミシガン大学消費者マインド指数が発表されます。また、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど、大手米銀の決算発表があり、米国決算シーズンが開始となります。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ご投資にあたっての注意点
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04/11 08:18
【野村の朝解説】米国株は反落、米政権への不信感も重石(4/11)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場で主要3指数は揃って大幅反落となりました。NYダウは再び4万ドルを割り込み、前日終値からの下げ幅は一時2,100ドルを超えました。「相互関税」発動を巡る混乱がトランプ政権への不信感につながっているとみられます。また、米中貿易戦争の激化が引き続き警戒される中、米国経済への悪影響に対する懸念も根強いことがうかがえます。為替市場では米ドルが主要通貨に対して概ね下落し、米ドル円は再び1米ドル=145円を割り込んでいます。 相場の注目点 引き続きトランプ大統領の発言が注目されます。前日はトランプ大統領が、発動したばかりの「相互関税」を一部停止すると発表し、リスクオフの巻き戻しが急速に進みました。NYダウは終値で3,000ドル近く急騰し、過去最大の上げ幅を記録しました。もっとも、一律10%の基本税率は維持されるほか、米国外で作られた自動車や鉄鋼・アルミニウムに対する25%の追加関税も継続しています。加えて、中国に対する関税率は、合成麻薬フェンタニルの流入を理由に課している20%を含めると合計145%になる模様です。先々の不透明感が完全に払しょくされたとは言えず、なによりトランプ大統領の朝令暮改の発言で相場が乱高下する動きが続くだけに、投資家心理もなかなか安定せず、不安定な相場展開が続くことが予想されます。 本日のイベント 米国では、4月ミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。4月以降の一段の関税引き上げの影響から景況感が悪化し、スタグフレーション懸念が高まるリスクが警戒されます。また11日の米大手銀行を皮切りに、1-3月期決算シーズンに突入します。多くの企業が業績ガイダンスを下方修正した場合、市場の動揺が続く可能性も想定されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年4月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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04/10 08:24
【野村の朝解説】上乗せ関税の一時停止で米国株は急反発(4/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9日の米国株式市場では主要3指数が揃って急反発しました。NYダウは前日比2,962ドル上昇し、上げ幅は指数算出開始以来、最大となりました。この日の米国株は下落して取引を開始したものの、トランプ大統領がSNSで、中国に対しては関税率を即座に125%まで引き上げる一方、報復措置を取っていない国に対しては前日に発動した相互関税の上乗せ部分を90日間停止し、関税率を10%とする措置を即座に発効する、と示したことを機に急騰しました。為替市場では一時、1ドル=144円を割り込む場面もありましたが、市場のリスクオフムードが和らいだことでドルを買い戻す動きが優勢となりました。 相場の注目点 今週末からいよいよ米企業の決算発表が本格化します。LSEGによれば、S&P500採用企業の2025年1-3月期のEPS(1株当たり利益)増益率は前年同期比+7.8%と予想されています(4月4日時点)。もっとも、多くの投資家の関心は相互関税が企業業績に与える影響に向かっているとみられます。したがって、今決算シーズンは終わった期の実績以上に先行きに関する会社側のコメント・見通しが注目されることになりそうです。なお、パンデミック時のように先行きの見通しが不透明なことを理由に業績見通しを撤回・非開示とする企業が相次ぐ場合、株式市場はネガティブな反応を示す展開も想定されます。 本日、米国で3月消費者物価指数が発表されます。市場予想(コア指数:前年比+3.0%)を下回れば、利下げ期待が高まる可能性があります。しかし、3月の指数は一律10%の相互関税が発動される前のものです。インフレ鎮静化を示す結果であったとしても、”過去のデータ“と捉えられれば相場への影響は軽微となるかもしれません。そのほか、ダラス・シカゴ・フィラデルフィアの各連銀総裁が講演を行います。各総裁の相互関税の発動が米国景気に与える影響などに関する発言に注目です。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年4月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点