〇オピニオン
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05/29 16:25
【野村の夕解説】日経平均株価は710円高 関税措置に違法の判断(5/29)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 日本時間の29日早朝に発表されたエヌビディアの2025年2-4月期決算の内容は市場予想を上回りました。また、日本株市場の寄り付き前には、一部報道機関が、米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税措置は違法だと判断して差し止めを命じたと報じられました。世界景気に対する懸念が遠のいたとの見方から、本日の日経平均株価は前日比324円高の38,046円で始まったあと、1日を通し上げ幅を拡大させる値動きとなりました。外国為替市場では、28日15:30時点で1米ドル=144.30円前後の水準が、29日には一時146.17円前後と急速に円安へ進行しました。関税差し止め命令の報道を受け市場心理が改善したほか、エヌビディアの好決算を受け値がさの半導体関連株が上昇し、一時前日比731円高となりました。業種別では、円安を背景に輸送用機器や電気機器が上昇したほか、AIデータセンター関連とされる電線株の一角が上昇しました。終値では前日比710円高の38,432円となり、5月14日以来の38,000円台回復となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、ダラス連銀のローガン総裁の講演が予定されています。30日には、日本で5月東京都区部消費者物価 指数が発表され、日本のインフレ率の先行指標として注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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05/29 08:31
【野村の朝解説】エヌビディア決算を前に様子見姿勢が強まる(5/29)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 28日の米国株式市場で主要3指数は揃って反落しました。前日に米国株が大幅高となった反動に加え、引け後のエヌビディアの決算発表を前に、投資家が様子見姿勢を強めたことなどが相場の重石になったと考えられます。この日に公表された5月6~7日開催分のFOMC議事要旨には、特にサプライズな内容はありませんでした。FRBは議事要旨で、今後の金融政策の判断にあたり、トランプ政権の関税政策の影響が明らかになるまでは「注意深く取り組むのが適切」であると、利下げに慎重な姿勢を示しています。 相場の注目点 NY市場28日引け後にエヌビディアが発表した2025年2-4月期の売上高、調整後EPS(1株当たり利益)は、いずれも市場予想を上回りました。一方、25年5-7月期の売上高見通しは市場予想並みの水準でした。ジェンスン・フアンCEOは発表資料で「エヌビディアのAIインフラに対する世界的な需要は非常に強い」とコメントし、対中輸出規制の影響により中国市場の先行き懸念が強まる中でも、更なる需要拡大に自信を示しました。決算を受けて同社株は時間外取引で上昇していることから、本日の東京市場は、半導体関連株などを中心に上昇してスタートする展開が予想されます。 本日のイベント 日本では5月消費者態度指数が発表されます。市場予想は31.8と、前月(31.2)から上昇するとみられています。一方、米国では25年1-3月期実質GDPの改定値が発表されるほか、ダラス連銀のローガン総裁が講演を行う予定です。また、ギャップやデル・テクノロジーズなどが25年2-4月期決算、コストコ・ホールセールが25年3-5月期決算を発表します。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年5月29日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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05/28 16:40
【野村の夕解説】日経平均株価は横ばい圏、国内金利上昇が重石(5/28)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 27日の米国市場では、米国の5月消費者信頼感指数が市場予想を大幅に上回ったことや日本の債務計画見直しの観測に端を発する米国金利低下を受けて、米国株主要3指数が大幅高となりました。この流れを引き継ぎ、28日の日経平均株価は寄り付き後、一時前日比454円高の38,178円まで上昇しました。その後、植田日銀総裁が衆院財務金融委員会の答弁で、超長期国債金利の上昇が長期さらには短中期国債にも影響を及ぼす可能性に留意する必要があると発言しました。また、28日の40年国債の入札が低調で国債への需給悪化懸念が強まり、日本の長短金利が上昇しました。金利上昇を嫌気し、日経平均株価は終日上げ幅を縮小していき、終値は前日比1円安の37,722円となりました。個別銘柄では、エヌビディアの決算発表前に、21日に次世代AIデータセンター向け電力インフラ構想に参画していると会社SNSで発信していた半導体メーカーのロームが前日比+13.26%と大幅に上昇しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 28日の米国株市場引け後に、エヌビディアが2025年2-4月期決算を発表します。前回決算発表時に示された業績見通しに対し、実績がどのように出てくるか注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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05/28 08:22
【野村の朝解説】EUへの追加関税延期でNYダウ大幅反発(5/28)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 5月27日の米国株式市場では、主要3指数が上昇しました。NYダウやS&P500が上昇するのは5営業日ぶりです。トランプ大統領が欧州連合(EU)に対する追加関税の発動延期(6月1日の発動予定を7月9日に延期)を表明したことが好感されました。また、5月米消費者信頼感指数が98.0と市場予想の87.1を大きく上回ったことも相場の支援材料となりました。外国為替市場では、米国の消費者心理の改善や日本の超長期金利の急低下を受けて一時1ドル=144円台半ばまで円安ドル高が進みました。 相場の注目点 本日の日本株は、前日の米国株の上昇と、円安ドル高の進展が支援材料になると見られます。足元の円安の背景には、財務省が国債発行計画の見直しを検討すると報じられ、超長期債の発行額を減らすとの見方から超長期の日本国債利回りが急低下したことがあります。本日は日本国債40年物の入札が予定されており、注目が集まります。報道を受けて需要が集まりやすいと見られていますが、仮に弱めの結果となった場合でも財務省が発行減額を促すとの思惑がはたらく可能性があります。また、本日(日本時間29日早朝)は米国でエヌビディアが2025年2~4月期決算を発表します。同社は米政府による対中輸出規制強化が業績を下押しする見込みであることをすでに公表していますが、AI向けの需要の底堅さと、市場予想を上回る業績見通しが示されれば、半導体関連株を中心に相場の支援材料になると考えられます。他方、前日の米国株を押し上げたEUに対する追加関税の発動延期は約1ヶ月の暫定措置です。5月12日発表の米中の関税引き下げ合意も暫定的なもので、主要国と米国との通商協議は目が離せない状況が続きそうです。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年5月28日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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05/27 16:23
【野村の夕解説】日経平均株価は一転し3連騰 円安進行が追い風(5/27)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比8円安の37,523円で寄り付き、その後は値がさ株の一部が下落したことで下げ幅を拡大させました。また寄り付き後まもなく、日銀の植田総裁が「経済・物価情勢の改善に応じて政策金利を引き上げる」と述べたと伝わりました。日銀による利上げの思惑が広がり、外国為替市場では朝9時ごろ1米ドル=142.50円前後の水準から、午前中には142.13円と円高に進行し、相場をさらに押し下げました。 午後に入ると、一部報道機関が、財務省が国債発行計画の見直しを検討すると報じ、この報道を受け債券の需給の改善期待が広がりました。日本の超長期国債利回りは急低下し、10年国債利回りは14時前後には1.455%に低下(価格は上昇)し、金利低下を受け米ドル円は一転して円安へと進行し一時1米ドル=143.30円となりました。円安と足並みを揃え日経平均株価も上げに転じました。結局、大引けは前日比192円高の37,724円となり、3営業日続伸し取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国では5月の消費者信頼感指数が発表されます。足元で英国と中国が、米国に対して関税で一定の合意に達していますが、これらを受けて、消費者心理に変化がみられるかについては注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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05/27 08:20
【野村の朝解説】米英休場でドル円は小動き、欧州株は反発(5/27)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 26日の海外市場は米国がメモリアルデー、英国がスプリング・バンク・ホリデーで休場でした。為替市場では、一段のドル売りの動きは一服しているものの、米国の対EU関税延期の報道を受けてもドルの反発力は弱く、ドル円相場は1米ドル=142円台を中心とした推移にとどまりました。 相場の注目点 トランプ大統領が5月23日に欧州連合(EU)からの輸入品に6月1日から50%の関税を賦課する考えを示したことを受け、前週末のNY市場ではリスクオフの動きが強まりました。しかし、25日のフォンデアライエン欧州委員長との電話協議を受け、発動期限を6月1日から7月9日に延期すると表明するなど、通商政策を巡るトランプ大統領の発言に一喜一憂する展開が続いています。 前週末に軒並み下落した欧州株は、週明けは堅調な推移となりました。引き続き今後の通商交渉の進捗を慎重に見極める必要はありますが、ストックス欧州600は4営業日ぶりに、ドイツのDAX指数は3営業日ぶりに反発し、年初来ではそれぞれ約8%、約20%の上昇と日米を上回る上昇を維持しています。米ドル一辺倒からのシフトがみられる中で、欧州株やユーロが、米ドルからの資金の逃避先として引き続き選好されていることがうかがえます。 米国では本日、4月の耐久財受注や5月の消費者信頼感指数の発表が予定されています。また、来週以降は雇用統計や小売売上、消費者物価指数など、5月のハードデータの発表が続きます。足元では4月の相互関税発表時のようなパニック的な動きは落ち着いていますが、関税引き上げによるファンダメンタルズの悪化を確認しても反発基調を維持できるのか注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年5月27日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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05/26 16:22
【野村の夕解説】値がさの半導体関連株がけん引し、日経平均は371円高(5/26)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 24日、一部報道により米エヌビディアが中国向けに新たなAI半導体の発売を計画していることが伝わりました。また、米トランプ大統領が日本時間26日寄り前に、6月1日を予定していたEUに対する50%の関税賦課を7月9日まで延期すると表明したことも、株価を押し上げました。これらを受けて、26日の日本株市場で、日経平均株価は前営業日比48円高の37,209円で寄り付いた後、値がさの半導体関連株を中心とした幅広い銘柄の上昇により、上げ幅を広げました。米国の財政悪化に対する根強い警戒感を背景に円高が進んだことで、一時上げ幅を縮小する場面はあったものの、10年国債利回りが低下し、円高が一服するとともに、日経平均株価は引けにかけて再度上げ幅を広げる展開となりました。終値はこの日の高値となる前営業日比371円高の37,531円となりました。日本時間23日、日本製鉄によるUSスチールとの提携と投資について、米トランプ大統領が支持を表明したと報道されたことを受け、同社の株価は寄り付き後一時前営業日終値から7%超上昇しましたが、終値では同+2.12%にとどまりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 足元で米国議会の予算審議が活発化しています。共和党内でも意見の対立がみられる中、法人税減税や、個人所得税減税の延長等の財政政策が実現に向かうのか、今後の動向が注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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05/26 08:18
【野村の朝解説】関税懸念再燃で米国市場はリスクオフ(5/26)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 23日の米国市場では関税懸念が再燃し、リスクオフの展開となりました。S&P500は4営業日連続で下落、米ドルはG10通貨に対して全面安となり、対円でも1円以上下落し、142円台半ばまで低下しました。トランプ大統領はEUからの輸入品に6月1日から50%の関税を課す考えを示し、スマートフォンへの25%の関税賦課案についても、全ての海外製デバイスに適用すると述べました。米国の通商政策を巡っては、トランプ大統領が日本製鉄とUSスチールの提携を発表、ベッセント財務長官が貿易面で「複数の大型合意」が数週間以内に発表される可能性があると発言するなど、好材料もありました。ただし、市場では関税政策を巡る事態の改善期待が高まっていたことから、ネガティブなニュースにより強く反応したようです。 相場の注目点 23日には、米国のベッセント財務長官が、今夏にも補完的レバレッジ比率(SLR)から国債を除外する可能性があると述べたことが市場の注目を集めました。米国債がSLRから除外されれば、銀行の国債購入余力が高まり、長期金利の低下につながることが期待されます。主要先進国の債券市場では、超長期国債の利回り上昇が続いています。この点に対して各国の政策当局は、自国固有の状況ではなく、財政の持続性に対する市場の懸念を反映したものではない、と説明しています。日銀の野口審議委員も22日の講演で足元の超長期金利の上昇は異常な動きではないとし、日銀が何らかの対応に動くような状況ではないとの見解を示しました。一方、19日には米国最大手の金融機関のCEO(最高経営責任者)が、市場はインフレや信用リスク、地政学リスクを十分織り込まず、「慢心している」と警告を発しました。当面の間は、トランプ政権の通商政策と並んで、超長期金利など債券市場の動向と、株式市場への影響も注視する必要がありそうです。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年5月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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05/24 12:00
【注目トピック】トランプ関税は2025年度業績に織り込まれたのか?
※画像はイメージです。 日本:2025年1-3月期決算レビュー 2025年度期初会社側見通しまとまる 2024年度の決算実績がほぼ出揃いました。2024年度はほぼ事前予想通りの着地となりましたが、市場の関心はトランプ政権の関税政策の影響が年度を通して表れる可能性が高い2025年度見通しに向けられていたと思われます。 また、不透明な先行きを理由に期初会社側見通しを非開示とする企業が多数にのぼることも危惧されていました。実際、東日本大震災の際には25%、コロナ禍の際には実に64%の会社が期初の見通しを非開示としたため、株式市場ではボラティリティーが顕著に上昇しました。今回は、結果的に非開示とした企業は、歴史的な平均よりもむしろ低い4%にとどまり、株式市場に安心感をもたらしたと見られます。 さて、2025年度の現時点での会社側見通しは前年度比-8.5%の経常減益となっています。トランプ政権の関税政策の影響がどの程度織り込まれているのか気になるところです。過去においては、リーマンショック、コロナ禍など期初時点では想定外の事象が起きた場合には実績値が期初見通しを下回っていますが、逆に期初時点で想定されていた事象についてはある程度織り込まれている、と考えてよいでしょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)赤線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の期初時点(各年5月末)での会社側経常増減益率見通し。会社側見通しが未発表/非公表の企業は、野村予想、あるいは東洋経済予想で補完している。直近値は2025年度で2025年5月19日時点。(注2)灰色線は各年度の実績経常増益率。2024年度以降の数値は2025年5月19日時点での野村證券市場戦略リサーチ部による推定・予想値。(出所)野村證券投資情報部作成 アナリスト予想は大幅下方修正 期初会社側見通しが減益予想だったこともあり、アナリストによる予想利益の下方修正が本格化しました。 下方修正の主な要因は、業績予想に際しての為替前提の変更(従来150円/米ドル⇒現在140円/米ドル)、および一部業種でのトランプ政権による関税政策の影響の織り込み、などが挙げられます。その結果、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2025~2026年度予想経常利益は2025年3月時点の予想に比べて5兆円前後のかなり大きな下方修正となっています。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の予想経常利益額の推移。直近は2025年5月19日。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 一部でトランプ関税の織り込み始まる 2025年3月以降、アナリストによる2025年度予想経常利益は大きく下方修正されています。このうち、際立って下方修正額が大きい業種が、自動車、電機・精密です。いずれもトランプ政権による関税政策の影響を主に織り込んだ結果です。 一方、そのほかの業種の修正額は僅少です。トランプ政権の関税政策の直接的な影響は主に自動車、電機・精密など限定的な業種・企業にまず及びますが、その他の業種・企業への間接的な影響については現時点で業績予想に織り込む難易度が極めて高いため、修正額がわずかとなった、と考えられます。 仮に、今後、トランプ政権の関税政策が、(高い関税率の状態で)長期間に及んだ場合、影響は自動車、電機・精密に留まらず、鉄鋼や化学、海運などに間接的な影響となって顕在化する可能性があります。さらに、直接・間接的な影響が積み重なって、実体経済の減速にまでつながると現在は無関係と思われている、内需・非製造業の業種に影響が及ぶ可能性もないとはいえません。今後も、自動車、電機・精密以外の業種に影響が拡がることがないか、注視する必要があるでしょう。 (注)ラッセル野村Large Capを構成する19業種の、2025年3月3日~2025年5月19日の間の、2025年度予想経常利益修正額。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 RIが加速度的に悪化する可能性は低い 2025年3月以降、トランプ政権の関税政策の業績予想への織り込みが始まった結果、リビジョン・インデックス(RI)も急激に悪化しています。2025年5月19日の段階で、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のRIは-44%と極めて大きなマイナスとなっています。2025年3月時点の+3.2%から劇的と言ってもよい悪化です。 少なくとも2012年度以降、RIがプラス圏から、いきなり-30%以下となったことはありません。なお、一旦、RIが-30%を下回ると、それ以上マイナス幅が拡がることはありませんでした。RIがプラスに復帰するには時間がかかる可能性がありますが、経験則上は更なる悪化の可能性は低いでしょう。 (注)赤線はラッセル野村Large Cap(除く金融)のリビジョン・インデックス(四半期)。灰色線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の予想経常増益率(前年度比)。2024年度および2025年度は2025年5月19日時点の集計値。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点