〇オピニオン
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02/16 12:00
【注目トピック】米国株決算レビュー:先行きの見方には慎重さも窺えるが…
※画像はイメージです。 米国:2024年10-12月期決算レビュー 24年10-12月期は前年同期比+13.2% 2月7日までに、S&P 500 指数構成企業のうち308社が、2024年10-12月期決算を発表しました。LSEGの集計では、同期のEPS(1株当たり利益)は前年同期比+13.2%の64.71ドルと推定されています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)推定・予想は2025年2月7日時点のLSEG集計。[ ]内は2024年10-12月期決算発表が本格化する直前の2025年1月3日時点の集計。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 (注)推定・予想は2025年2月7日時点のLSEG集計。[ ]内は2024年10-12月期決算発表が本格化する直前の2025年1月3日時点の集計。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 今回の決算発表シーズンが始まる直前の1月3日時点の集計では、前年同期比+8.1%の61.78ドルと予想されていました。2024年10-12月期は、決算実績がアナリスト予想を上回る企業の比率(ポジティブサプライズ比率)が引き続き多数を占めており、実績は上振れています。 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2024年10-12月期には、2024年9-11月期決算、2024年11月-2025年1月期決算企業も含む。(注2)直近4四半期平均とは2023年10-12月期~2024年7-9月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。(注3)LSEGによる2025年2月7日時点(売上高について307社、純利益について308社)の集計。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 一方で、2025年1-3月期の予想については、直近の集計では、1月3日時点よりも下方修正されています。 (注)S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2025年2月5日時点。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2024年12月期)、FY2は予想2期目(12月決算企業の場合、2025年12月期)。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 年度EPSは引き続き拡大傾向を予想 次に、年度ベースでのEPS予想について、1月3日時点の集計と比較すると、2024年度については上方修正されている一方、2025年度は下方修正され、2026年度も小幅に下方修正となっています。 トランプ政権による関税政策で、米国内におけるサプライチェーンに影響が及ぶ可能性があります。このような環境下、追加関税の全体像が見えるようになるまでは、米国内における事業環境に慎重な見方をする企業も相応におり、業種によっては業績予想を慎重に見直しているアナリストもいるとみられます。 (注)予想はLSEGによる2025年2月7日時点の集計。[ ]内は2024年10-12月期決算発表が本格化する直前の2025年1月3日時点の集計。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 今後の留意点 業績予想は下方修正されている一方で、2025年度以降も業績拡大が続く見通しについては、変わりありません。 要因の一つには、AIの社会実装があると推察されます。関連する分野で事業を展開する企業群は、提供する新製品やサービスが世の中に普及することで、景気変動の影響を乗り越えて、業績を拡大していくと予想されていると推察されます。加えて、AIを活用する企業は、業務効率化や業容の拡大が期待されます。 今後、2024年11月-2025年1月期を決算期とする小売企業や、ソフトウエアなどの情報技術企業の決算発表が本格化します。これらの決算が発表された際には、決算実績に加え、会社業績見通しや経営陣のコメントなどを通して、情報技術業界の状況や、企業業績の動向を把握していきたいと考えます。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ご投資にあたっての注意点
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02/15 09:00
【オピニオン】長期金利が本格上昇、節目の2%越えを目指すか
※画像はイメージです。 日銀は2025年1月23~24日開催の金融政策決定会合で、事前の市場予想通り政策金利の引き上げを決定しました。24年3月に17年ぶりの利上げに踏み切って以降、24年7月会合に続き今回で3回目の利上げ決定となります。政策金利の引き上げとともに長期金利(10年国債利回り)も上昇基調を続けており、足元では1.3%台半ばまで上昇ピッチが加速しています(2月12日時点)。市場参加者の一部では、長期金利の1.2%超えは株価上昇の重石、と警戒する声も散見されます。チャート面から今後の長期金利の動向について考えてみましょう。 下図は2004年1月以降の日本の10年国債利回りの月足チャートです。10年国債利回りは、16年7月ボトム(-0.300%)と19年8月ボトム(-0.290%)によるダブルボトムを形成し、その後は本格的な利回り上昇トレンドに入りました。22年以降は12ヶ月移動平均線(2月12日:1.012%)を下支えとする上昇となっているのがわかります。24年夏場に株価が急落し利回りが急低下した際でも概ね12ヶ月移動平均線が下支えとなっており、日銀が追加利上げを模索するスタンスを崩さない以上、今後も同線を下支えとしながらの上昇基調が継続すると考えられます。 (注1)直近値は2025年2月12日。チャートは新発10年国債利回りの単利・日次終値を基に月足に変換している。新発10年国債利回りは日本相互証券公表の引値で、毎月、新発国債の入札日に銘柄の入れ替えを行っている。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)日本相互証券より野村證券投資情報部作成 中長期的な観点からは、2025年1月に06年5月ピーク(1.990%)から16年7月ボトム(-0.300%)までの利回り低下幅の2/3戻し(1.226%)水準を突破した点も重要です。チャート上の次の大きな節目は、同全値戻し(1.990%)を含む06~08年につけた複数のピークや心理的フシがある1.9~2.0%水準まで見当たりません。今回の19年8月以降の利回り上昇ペース(約5年半で1.630%ポイント)をベースにすれば、今後12ヶ月移動平均線を意識する一時的な利回り低下をこなしつつ、先行き2~3年かけて2%超えを視野に入れる利回り上昇となる可能性も十分考えられます。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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02/15 07:00
【来週の予定】ドイツ総選挙へ、極右勢力台頭の可能性
来週の注目点:トランプ政権の関税政策、ウクライナ情勢、ドイツ総選挙 引き続き、米国トランプ政権の動向が市場のボラティリティー(変動性)の大きな要因になっています。2月初旬に155円付近にあった円の対米ドルレートは、2月7日には一時150円台まで円高が進行しましたが、その後、154円台まで揺り戻しました(2月13日時点)。トランプ関税による日本経済への悪影響が相対的に小さくなるとの思惑や、日銀の利上げ継続期待が円高要因です。しかし、足元では、ウクライナ紛争の停戦・終結への期待が高まったことや、1月の米国の消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回り、インフレ懸念と米金利の先高観が強まったことを受けて、米ドルやユーロに対して円は弱含んでいます。 米国では、19日(水)に1月FOMC議事要旨が発表されます。政策金利とインフレ見通しに加えて、トランプ政権の政策に対する議論が注目されます。経済指標では、18日(火)発表の2月NY連銀製造業景気指数、20日(木)の2月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、21日(金)発表の2月PMI速報値など、景気指数の発表が続きます。 日本では、17日(月)に10-12月期実質GDP(1次速報値)が発表されます。野村では、前期比+0.8%(年率+3.2%)と大幅なプラス成長になったと予想します。ただし、輸入の減少が主因で、内需はやや伸び悩んだとみています。19日(水)には12月機械受注と1-3月期の受注見通し、21日(金)には1月全国CPI、2月PMI速報値が発表されます。1月全国コアCPIは前年同月比+3.2%と、12月(同+3.0%)から伸び率が加速したと野村では、予想します。こちらは日銀の政策判断にも影響するため、重要です。 ユーロ圏では、18日(火)にドイツの2月ZEW景況感調査、21日(金)には2月PMI速報値と、景気指数の発表が続きます。また、23日(日)にはドイツで総選挙が実施されます。連立政権の組み方によって、政策の方向性が大きく変わる可能性があるだけに、注目です。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年2月14日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/14 16:29
【野村の夕解説】日経平均株価反落312円安 円高進行が重石(2/14)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 昨日トランプ米大統領が「相互関税」の即時発動を見送ったことから米国のインフレ再加速の懸念はいったん後退しました。これを受け外国為替市場は朝9時ごろ1米ドル=152.90円台後半と、昨日の17:00時点の1米ドル=154円台前半から急速に円高へと進行しました。円高が重石となり本日の日経平均株価は前日比42円安の39,419円で始まり、1日を通して軟調な推移となりましたが、個別銘柄では、前日までに発表した決算内容が好感されたソニーグループやソフトバンクグループなどが上昇し、相場を下支えしました。また、昨日経営統合の協議を打ち切ると正式に発表した本田技研工業、日産自動車も上昇しました。来週17日(月)は米国市場が休場となり、トランプ米大統領の発言を警戒した利益確定の売りもみられ、引けにかけては下げ幅が拡大しました。大引けは前日比312円安の39,149円と、反落して取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 17日(月)ではワシントン生誕記念日で米国市場は休場となります。日本では24年10-12月期実質GDP(1次速報値)が発表されます。また19日(水)に米国では1月FOMC議事要旨が発表され、トランプ政権の政策に対する議論が注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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02/14 08:24
【野村の朝解説】相互関税の即時発動見送りで安心感(2/14)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 13日の米国株式市場では主要3指数がそろって上昇しました。朝方に発表された1月生産者物価指数は前月比+0.4%となり、市場予想(同+0.3%)を上回りました。しかし、FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数の算出に利用される項目は全般的に弱含んだことから、米10年債利回りが低下し、ハイテク株を多く含むナスダック指数が大きく上昇しました。一方、トランプ大統領が13日に相互関税の導入を指示する覚書に署名しましたが、即時発動は見送られました。インフレ等に対する過度な警戒感が後退し、安心感が広がったとみられます。 相場の注目点 日本は本日(2月14日)で3月期決算企業の2024年4-12月期の決算発表シーズンが概ね終了します。円安の追い風が吹いた製造業、利上げの恩恵を受けた金融などが業績を伸ばし、総じて好調な9ヶ月間となった模様です。また、一足先に10-12月期の決算発表シーズンを終えた米国では、S&P500採用企業のEPS(1株当たり純利益)がシーズン開始前の予想を上回る結果となっています(LSEG集計、2月7日時点)。 株式市場に目を向けると、足元では日米ともに一進一退の展開となっています。1月20日のトランプ大統領の就任後、通商政策に関して予測不能な発言が相次いでおり、不透明感が強まっていることなどが日米株価の上値を抑える一因になっている可能性が指摘できます。しかし、株価の先行きに過度な警戒は不要であると考えています。株価はEPSとPER(株価収益率)の掛け算ですが、今後も日米株式はトランプ大統領の発言に一喜一憂する(PERが変動する)公算が大きいとみられます。一方で株価が下落する局面では拡大を続けるEPS(企業業績)が下支え役になると予想されます。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年2月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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02/13 16:15
【野村の夕解説】円安を追い風に日経平均株価3日続伸、497円高(2/13)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比261円高の39,225円と続伸して取引を開始しました。前日の米国株式市場でナスダック総合指数が上昇したことや、1米ドル=154円台へと進行する円安が追い風となりました。東証プライム市場上場銘柄の約7割にあたる1,260銘柄が上昇し、投資家心理を和らげました。日経平均株価は上げ幅を広げ、一時前日比617円高の39,581円となる場面もありました。しかし、米国でインフレ再燃懸念が燻る中では上値も重く、高値圏で一進一退となり、前日比497円高の39,461円と3日続伸して取引を終えました。日経平均株価の構成比上位銘柄では、前日引け後の決算発表が悪材料視されたソフトバンクグループが前日比ー3.57%、リクルートホールディングスが同ー4.59%と下落し、2銘柄で日経平均株価を約118円押し下げました。一方で、ファーストリテイリングが同+2.92%、アドバンテストは同+3.13%と上昇し、2銘柄で日経平均株価を約201円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本では、明日700社超の企業が決算発表を予定しています。昨年12月までの企業業績動向が注目されます。他には、本日米国では1月の生産者物価指数が発表されます。今後のFRBの金融政策への影響が注目されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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02/13 08:31
【野村の朝解説】CPIの上振れ受け、米金利が上昇(2/13)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 12日の米国金融市場では寄り前に発表された25年1月のCPIが前月比+0.5%、食品・エネルギーを除くコアCPIが同+0.4%と、それぞれ事前の市場予想を上回り、前月から加速したことを受けて市場の利下げ観測が後退、国債利回りが上昇しました。これを嫌気して、米国株式市場では主要3指数が前日終値から大きく下げて寄り付きましたが、取引終盤にかけて下げ幅を縮め、NYダウとS&P500は小幅安、ナスダック総合は小幅高で引けています。為替市場では円が主要通貨に対して下落し、対ドルでは一時前日比1.5%安の1ドル=154円80銭と、昨年12月19日以来の大幅な下げを記録しました。 相場の注目点 強い雇用統計と穏当なCPIの組み合わせとなった今年1月からは一転し、2月は弱めの雇用統計と強いCPIの組み合わせとなりました。景気下振れとインフレ高止まりが示唆される中、先物市場が織り込む25年中の利下げ観測は1回程度まで後退しましたが、主要株価指数は底堅さを見せ、株式市場が織り込む変動率を示すVIX指数が小幅低下して引けるなど、米国株は安定感を高めている様子がうかがえます。パウエルFRB議長は下院金融委員会の公聴会で、「当面は景気抑制的な政策を維持したい」と前日に続き予見可能な将来において高水準の金利が続くことを示唆しました。市場では米国の利下げペース鈍化を織り込みながらも、米国株の先行きに自信を高めている様子がうかがえます。 本日のイベント 米国では25年1月のPPIが発表されます。市場では小幅加速が織り込まれていますが、予想を上回った際には市場の反応が改めて注目されます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年2月13日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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02/12 16:20
【野村の夕解説】半導体関連株の上昇が支えとなり、日経平均は162円高(2/12)
(注)画像はイメージです。 本日の動き トランプ米大統領は10日、日本を含む全ての国や地域から輸入する鉄鋼・アルミニウム製品に対して、25%の関税賦課を発表するとともに、半導体や自動車、医薬品などへも適用を検討するとしました。このほか、11日には、パウエルFRB議長が上院銀行委員会の議会証言において追加利下げを急がない姿勢を改めて示したことで、米国長期金利が上昇し、円安米ドル高が進みました。11日祝日を挟み12日の日経平均株価の寄り付きは、円安進行から前日比247円高の39,049円でした。しかし、関税政策への不透明感から自動車株などが重石となり、一時は前営業日比で下落に転じました。その後、武藤経済産業相が米政権に対し、関税措置の対象から日本を除外するよう申し入れたと伝わり、日経平均株価は反発しました。また、10日に発表された半導体受託製造世界最大手TSMCの1月の月次売上高が前年同月比+35.9%と強かったことで、半導体への需要継続が確認されました。アドバンテストやソフトバンクグループといった値がさの半導体関連株の上昇が日経平均株価を押し上げ、終値は前営業日比162円高の38,963円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国で1月CPI(消費者物価指数)が発表されます。インフレ鈍化を示す結果となれば、金利低下・株高につながる可能性があり、注目が集まります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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02/12 08:35
【野村の朝解説】関税を巡る不透明感が続く中、NYダウ反発(2/12)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場では主要3指数が上昇、11日はS&P500及びNYダウが上昇し、ナスダック総合は下落しました。10日のアジア時間に半導体受託生産大手のTSMCが発表した1月売上が前年比+35.9%となったことを受けて、半導体など情報技術セクターが堅調に推移しました。週末にトランプ大統領が、鉄鋼とアルミニウム輸入に対して25%の関税を賦課すると発表しましたが、悪影響は限定的との見方から警戒感は強まりませんでした。トランプ政権の関税引き上げに関する不透明感が続く中、11日は朝方から株式市場は軟調に推移しましたが、10-12月期決算の業績が好感されたコカ・コーラ(KO)やデュポンドヌムール(DD)、アップル(AAPL)などの主力株が上昇し、相場を下支えしました。パウエルFRB議長による米上院の議会証言は、利下げを急ぐ必要は無いとの従来通りの姿勢を示したことから、相場に大きな影響を与えませんでした。 相場の注目点 トランプ政権の関税などの政策を巡る不透明感が継続する中でも、米経済の堅調さが米国株の支援材料となります。米景気拡大に伴う企業業績の伸びが、政策の不透明感やバリュエーション指標の割高感などのネガティブ要因を上回るとみています。日本株については、25年年初からの円高で円安効果が一部剥落していますが、企業による価格転嫁の浸透などを背景とした業績改善見通しが相場を下支えするとみています。為替市場では、日銀の利上げ継続路線が円の支えとなり、また、トランプ関税による日本経済への影響が相対的に軽微とみられる中で円は安全通貨としてみられ、1ドル=150-155円のレンジで膠着する展開を見込んでいます。本日米国では、1月米消費者物価指数が発表されます。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年2月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点