〇オピニオン
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2024/12/25 08:21
【野村の朝解説】S&P500指数が6,000ポイント台回復(12/25)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 24日の米国株式市場は、短縮取引でした。目新しい材料が無い薄商いの中で、VIX指数も12月13日以来の水準に低下し、テクノロジー株を中心に株価上昇となりました。 相場の注目点 2025年の日本株を考える上では、当面は来年1月に発足する米国トランプ次期政権を見定めする局面となりそうですが、関税等の影響に関しては様々なシナリオがあり、幅をもって見る必要があります。関税対象が絞られるのであれば、減税・規制緩和メリットが意識されやすいと考えられます。2017~2019年の関税発動は日本の経済や業績に特段大きな影響を与えるものではなかったため、米国の同盟国を中心に先進国株が新興国株よりも優位との見方があります。日本企業の業績は、2020年度以降、連続増益が続いています。2025年度にかけては、値上げ効果に加えて数量効果が円高に伴う収益押し下げ効果を相殺し、増益が達成可能と予想しています。2024年は日本の鉱工業生産が災害や自動車の不正問題で低迷しましたが、2025年は正常化するだけで高い伸び率となると試算されます。自社株買いに伴うEPS押し上げも継続する見込みです。4~5月頃に会社が発表する2025年度の期初計画は保守的なものが見込まれます。その後、四半期決算で期を追うごとに1ケタ台後半の増益への確信度が高まる展開を想定し、年後半の株高を見込んでいます。 本日のイベント 日本で12:50頃に日銀の植田総裁が経団連で講演します。米国株式市場はクリスマス休場で、主要海外市場もお休みです。 (野村證券 投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2024年12月25日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/24 16:17
【野村の夕解説】日経平均反落、東証プライム市場の売買代金は今年最低(12/24)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日寄り前に公表された10月の日銀金融政策決定会合議事要旨で、金利引き上げの判断は慎重に行う必要があるとの意見がみられました。追加利上げに慎重な姿勢が示されたことによるとみられる円安米ドル高進行を受けて、本日の日経平均株価は前日比48円高の39,210円で寄り付いた後、上げ幅を一時同84円高まで拡げました。しかし、クリスマス休暇で市場参加者が減少する中、円高米ドル安が進むのに伴って、日経平均株価は徐々に上げ幅を縮小し、下落に転じました。39,000円前後では底堅く推移したものの、薄商いの中、上昇に転じるだけの勢いはなく、大引けは前日比124円安の39,036円となりました。東証プライム市場の売買代金は3兆943億円と、今年最低の水準に留まりました。個別銘柄では、前日引け後に上限1兆1,000億円の大規模な自社株買いを発表した本田技研工業が前日比+12.22%となり、1銘柄で日経平均を約30円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国で11月の新築住宅販売件数が発表されます。米国の住宅市場に回復がみられるか注目されます。尚、本日、米国株式市場はクリスマス・イブのため、13時までの短縮取引となります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/24 08:20
【野村の朝解説】米国株は薄商いの中半導体中心に上昇(12/24)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 23日の米国株式市場は、クリスマスを前に取引量が少なくなる中で、半導体株を中心に上昇し、主要3指数はそろって2営業日上昇しました。米国で発表された経済指標は、11月の耐久財受注は前月比-1.1%と、10月の同+0.8%から悪化したものの、設備投資の先行指標である資本財のうち非国防・除く航空機の受注は前月比+0.7%と10月の同-0.1%から拡大しました。また、11月の新築住宅販売件数は前月比+5.9%の66.4万件と、10月の同-14.8%の62.7万件から一部回復しました。一方、12月の消費者信頼感指数は104.7と11月の112.8から低下しました。トランプ新政権への移行を前に、景況感統計に悪化が見られたものの、設備投資や住宅投資のような実体経済の実績は悪くないようです。良し悪し交錯する経済指標を受けて、米国主要株価指数は前日比マイナスに転じる場面もありましたが、21日に暫定予算が成立して政府閉鎖が回避されたことなどから市場リスクの低下とともに復調に転じ、「サンタクロース・ラリー」という声も市場で聞かれたようです。 相場の注目点 23日引け後にホンダが日産との経営統合協議入りを発表し、1.1兆円の自社株買いを発表しました。23日終値時点のホンダの時価総額は6.74兆円です。23日15:30時点の為替は1米ドル=156円台半ばで、足元は157円台と円安が進んでいます。CMEの日経平均先物も上昇しており、24日の日本株市場の寄り付きは米国株高も下支えになるとみられます。 本日のイベント 8:50に10月30-31日に開催された日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表されます。髙島屋が3-11月期の決算を発表します。臨時国会が閉会となります。米国債券・株式市場はクリスマス休暇を前に短縮取引となります。 (野村證券 投資情報部 小髙 貴久) (注)データは日本時間2024年12月24日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/23 16:21
【野村の夕解説】米国株高を受け日経平均株価は7営業日ぶり反発(12/23)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 先週末発表された米国のインフレ指標は低い伸びとなり、利下げ期待が高まりました。本日の日経平均株価は前週末比338円高の39,040円で始まり、先週の米国ハイテク株高を受け、値がさの半導体株が上昇し相場をけん引しました。また、先週末までで日銀の植田総裁が利上げに慎重な姿勢を示したことで、外国為替市場では米ドル高円安の傾向が続いており、業種別では自動車株などを含む輸送用機器が上昇しました。大引けは前週末比459円高の39,161円となり、7営業日ぶりの反発となりました。 日本時間の21日(土)には一部報道機関が、「トランプ次期米大統領がNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対して、国防費をGDPの5%に引き上げるよう求める方針」と報じました。日本はNATO加盟国ではありませんが、トランプ氏が日本に対しても防衛費の増額を求める可能性があるとの思惑が広がりました。防衛関連株の一角が上昇し、川崎重工業は前週末比4.09%高、IHIは同4.33%高となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 24日(火)からはクリスマスのため、欧米など多くの市場が短縮取引や休場となります。27日(金)には、日銀金融政策決定会合における主な意見が発表されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/23 08:29
【野村の朝解説】インフレ鈍化期待で米国株上昇(12/23)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 前週末の米国株式市場では、インフレ鈍化を示す経済統計を受けて主要3指数は揃って上昇となりました。11月個人所得は前月比+0.3%と市場予想(同+0.4%)を下回り、個人支出も前月比+0.4%とこちらも市場予想(同+0.5%)を下回り、前月分も下方修正されました。11月のPCEデフレータは前月比+0.1%と市場予想(同+0.2%)を下回り、前年同月比においても+2.4%と市場予想(同+2.5%)以下となりました。これらの経済指標の発表を受けて、10年債利回りが低下したことも株式市場の追い風となりました。 相場の注目点 前週末の株式市場取引終了後、連邦政府の2025年3月14日までのつなぎ予算は、下院、上院の可決を経てバイデン大統領の署名により成立しました。これにより、政府機関が一時的に閉鎖される事態はひとまず回避されました。今週は、クリスマスや年末年始の休暇を控え材料不足となりやすく、市場参加者が消極的になり、例年商いが細る傾向が見られます。足元では為替、株価ともに落ち着いた推移が見込まれますが、薄商いの下で一時的に大きな値動きとなることもあり、投機的な動きへの警戒も燻っています。 本日のイベント 本日、米国では12月コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表されます。また、25日(水)はクリスマスのため欧米の多くの市場が休場となります。 (野村證券 投資情報部 神谷和男) (注)データは日本時間2024年12月23日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/20 16:48
【野村の夕解説】日経平均株価は6営業日続落 (12/20)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 昨日、日銀の植田総裁は記者会見で「利上げ判断に至るには、もう1ノッチ(段階)ほしい」と述べ、日銀が追加利上げに慎重であるとの見方が強まりました。また、本日寄り付き前には11月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)が発表され、コアCPIは前年同月比で+2.7%と39ヶ月連続の上昇となりました。 日経平均株価は前日比136円高の38,950円と反発して始まりました。業種別では、金利の先高観が後退したことで不動産株が上昇し、一方で銀行株は下落しました。前場から昼ごろにかけ加藤財務相や三村財務官から円安のけん制ととられる発言が相次ぎました。外国為替市場では、本日朝9時ごろに1米ドル=157.70円台まで円安米ドル高が加速していましたが、発言を受け円高へと推移し、取引時間中には一時156.90円前後となりました。円高進行や銀行株の下落が重石となり、日経平均株価は下げに転じ、大引けは前日比111円の38,701円と6営業日続落となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では、11月個人消費支出・所得統計が発表されます。FRBがインフレ指標として参照しているPCE(個人消費支出)コアデフレーターも発表され、インフレの減速が確認されるかが注目されます。また、来週は25日(水)に植田総裁が講演を予定するほか、27日(金)には12月金融政策決定会合の「主な意見」が公表されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/20 08:39
【野村の朝解説】NYダウは11日ぶり反発も、終盤にかけ失速(12/20)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 19日の米国株式市場でNYダウは11営業日ぶりに小反発、S&P500とナスダック総合は続落しました。NYダウは前日に1,100ドル超と大幅下落した反動から反発して始まりましたが、その後は伸び悩み、取引終盤にかけて失速する展開となりました。米経済の底堅さは引き続きサポート材料になるものの、先々の利下げ期待低下に米10年国債利回りが約7ヶ月ぶりの高水準である4.57%へ上昇したことが株価の重石となりました。また、日銀会合の利上げ見送りおよび植田総裁の利上げに慎重な姿勢を受けて為替市場では円安圧力が強まり、現在は1ドル=157円台半ばで推移しています。経済指標では、新規失業保険申請件数(12月14日までの1週間)が市場予想以上に減少し、11月中古住宅販売件数は市場予想を上振れ、24年7-9月期の実質GDP成長率(確報値)は上方修正されました。 相場の注目点 FOMC(17-18日)では市場予想通り0.25%ポイントの利下げが決定されたものの、同時にFOMC参加者の政策金利見通し(ドット・チャート)が引き上げられ、25年と26年の利下げ回数はそれぞれ2回に留まる見通しとなりました。また、全般的に利下げ期待が更に後退し金利上昇・株安・ドル高が進むなか、12月18日に恐怖指数であるVIX指数は27.62に急騰しました。利下げ期待の調整が大きく進展したことで、米金利上昇が一旦落ち着く可能性はありますが、記者会見でパウエルFRB議長は、トランプ次期政権の政策の影響を見通しに反映させた参加者は「一部」に留まる旨を明らかにしており、今後、政策金利見通しがさらに引き上げられる、ないしは利下げ予想そのものが消失することも十分考えられます。パウエル議長はFRBの懸念が景気下振れからインフレ高止まりへ再びシフトしている可能性も示唆していることから、本日発表予定の11月コアPCEデフレータでインフレの減速が確認されるか注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年12月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/19 17:10
【速報】FOMC「タカ派利下げ」・日銀「利上げ見送り」で円安・株安が進む 野村證券ストラテジストが解説
日米の金融政策決定会合の結果が発表されました。FRB(米連邦準備理事会)が0.25ポイントの利下げを実施した一方で、日本銀行は政策金利を据え置きました。この会合の結果を踏まえた日米の金融政策の見方について、野村證券ストラテジストが解説します。 FOMC「タカ派的利下げ」でNYダウ1100ドル超安 FRBは12月17-18日に開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)で市場予想通り政策金利であるFF金利の誘導目標を0.25ポイント(pt)引き下げ、4.25-4.50%とすることを決定しました。利下げは9月(利下げ幅0.50pt)、11月(同0.25pt)に続く3会合連続で、累計の利下げ幅は1.0ptとなりました。同時に発表された経済見通しを見ると、2025年中の利下げ幅は0.5ptと、1回当たりの利下げ幅を0.25ptとした場合、前回9月見通しの4回から2回に修正されました。26年の利下げは2回で据え置き、27年は1回の利下げが追加されています。25年10-12月期の実質GDP成長率見通しは前年比+2.1%(前回同+2.0%)へ、FRBがインフレ指標として注目しているコアPCEデフレーターも同+2.5%(同+2.2%)と上方修正されましたが、いずれもトランプ次期政権の掲げる政策を完全には織り込んでいないと見られます。 FOMCの経済見通し(2024年12月) (注)FOMCは2024年12月17-18日に開催。予想の中央値。実質GDP成長率及び2つの物価指標は各年10-12月期の前年同期比。失業率は民間部門の各年10-12月期平均の失業率。コアPCEデフレーターは価格変動の激しい食品とエネルギーを省いたもの。政策金利はFFレート(フェデラル・ファンドレート)のレンジの中央値で、各年末値。(出所)FRBより野村證券投資情報部作成 会合後の記者会見でパウエル議長は「金利調整プロセスの新たな段階に入った」と利下げペース減速を示唆、インフレ目標達成に1-2年を要する可能性に言及するなど、FRBの懸念が景気下振れからインフレ高止まりへ再びシフトしている可能性も示唆しました。また、トランプ次期政権の政策の影響を見通しに反映させた参加者は「一部」に留まる旨を明らかにしています。 FOMCの結果を受けて市場では、金利上昇・株安・ドル高で反応しました。今回の0.25ptの利下げは予想通りでしたが、次期政権の掲げる関税引き上げや移民規制の強化はスタグフレーション(景気下押しとインフレ押上げ)的な方向に作用することが予想されます。FRBはこれらの影響をフルに織り込んでいない段階で利下げペースの減速、利下げ時期の後ずれ、政策金利の着地点の上方修正を示したことが、市場ではタカ派的(インフレ抑制を優先)とみなされ、更に利下げ幅が縮小する事への警戒感が高まったようです。 日銀利上げ見送りでさらに円安・ドル高が進む 日本銀行は12月18-19日に金融政策決定会合を開催し、市場予想通り金融政策の据え置きを発表しました。植田日銀総裁はこれまで、「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていく」との意向を示してきました。前回(10月30-31日)会合後に発表された経済指標は日銀の予測の範囲内の動きであったと見られるものの、今回の会合を前に日銀が「利上げを急いでいない」との報道が相次いだことから、先物金利における直前の利上げ織り込みは1割強に留まっていました。ただし、日銀は声明文でインフレ率は「見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移する」との見通しを示し、利上げ姿勢の継続を示しました。また、今会合で日銀は「金融政策の多角的レビュー」を発表しました。 決定会合の結果を受け、直後の日本市場ではドル円相場が155円台前半まで円安・ドル高が進行しました。一方、日経平均先物は若干下げ幅を縮小する展開となりました。 日銀が今回利上げを見送った背景として市場では、円安を通じたインフレ圧力が落ち着いている、トランプ次期政権を巡る不透明感が強い、春闘での賃上げ機運を確認したい、と言った理由が取りざたされています。ただし、市場でも経済・物価情勢が日銀見通しの範囲内で推移するとの見方が優勢であることから、次回25年1月会合では6割、同3月会合まで見れば9割強の確率で利上げが織り込まれています。日銀は消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をコアインフレ率として重視しています。野村證券ではコアインフレ率は当面の間、日銀の物価安定目標である前年比+2%を上回って推移するものの、25年後半には同水準を下回ると予想しています。また、今回の「据え置き」という政策決定を踏まえて、日銀は25年3月、10月、そして26年3月に利上げを行うと予想しています(※2024年12月19日付で野村予想が変更)。日銀は現在の金融政策に関して「金融緩和策の調整」と位置づけていることから、先ずは景気にとって中立的な水準への政策金利引き上げを目指していると考えられます。従来、日銀が想定する中立金利の想定レンジの下限は1%程度と見られてきましたが、一部では、日銀内で「中立金利は1%に満たない」との意見もあると報じられていることから、政策金利の着地点は0.75%から1.0%程度になる可能性が高いと見られます。 日本のインフレ動向 (注)データは月次で直近の値は2024年10月。消費者物価指数は消費税率引き上げの影響を除いている。日本銀行政策委員の物価見通しは、消費者物価指数(除く生鮮食品)を対象にしたもの、政策委員見通しの中央値で、2024年10月31日時点。消費者物価指数の野村予想は2024年10-12月期から2027年1-3月期まで(2024年12月9日時点)。(出所)日本銀行、総務省、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/19 13:08
【速報】日銀利上げ見送りで円安・ドル高が進む 野村證券ストラテジストが解説
市場予想通り金融政策の据え置きを発表 日本銀行は12月18-19日に金融政策決定会合を開催し、市場予想通り金融政策の据え置きを発表しました。植田日銀総裁はこれまで、「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていく」との意向を示してきました。前回(10月30-31日)会合後に発表された経済指標は日銀の予測の範囲内の動きであったと見られるものの、今回の会合を前に日銀が「利上げを急いでいない」との報道が相次いだことから、先物金利における直前の利上げ織り込みは1割強に留まっていました。ただし、日銀は声明文でインフレ率は「見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移する」との見通しを示し、利上げ姿勢の継続を示しました。また、今会合で日銀は「金融政策の多角的レビュー」を発表しました。 決定会合の結果を受け、直後の日本市場ではドル円相場が155円台前半まで円安・ドル高が進行しました。一方、日経平均先物は若干下げ幅を縮小する展開となりました。 日銀が今回利上げを見送った背景として市場では、円安を通じたインフレ圧力が落ち着いている、トランプ次期政権を巡る不透明感が強い、春闘での賃上げ機運を確認したい、と言った理由が取りざたされています。ただし、市場でも経済・物価情勢が日銀見通しの範囲内で推移するとの見方が優勢であることから、次回25年1月会合では6割、同3月会合まで見れば9割強の確率で利上げが織り込まれています。日銀は消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をコアインフレ率として重視しています。野村證券ではコアインフレ率は当面の間、日銀の物価安定目標である前年比+2%を上回って推移するものの、25年後半には同水準を下回ると予想しています。このため、日銀は25年半ばにかけて利上げを検討するものの、同年後半には政策姿勢は据え置きに転じると予想しています。また、日銀は現在の金融政策に関して「金融緩和策の調整」と位置づけていることから、先ずは景気にとって中立的な水準への政策金利引き上げを目指していると考えられます。従来、日銀が想定する中立金利の想定レンジの下限は1%程度と見られてきましたが、一部では、日銀内で「中立金利は1%に満たない」との意見もあると報じられていることから、政策金利の着地点は0.75%から1.0%程度になる可能性が高いと見られます。 日本のインフレ動向 (注)データは月次で直近の値は2024年10月。消費者物価指数は消費税率引き上げの影響を除いている。日本銀行政策委員の物価見通しは、消費者物価指数(除く生鮮食品)を対象にしたもの、政策委員見通しの中央値で、2024年12月9日時点。消費者物価指数の野村予想は2024年10-12月期から2027年1-3月期まで(2024年12月9日時点)。(出所)日本銀行、総務省、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点