【野村の朝解説】米中合意とインフレ懸念緩和でS&P500続伸 (5/14)
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
5月13日の米国株式市場は、ナスダック総合及びS&P500が続伸しました。前日に米中の両政府が追加関税の大幅引き下げで合意したことが、この日も相場を押し上げました。また、朝方発表された米国の4月CPI(消費者物価指数)の伸びが市場予想を下回ったことを受けて関税によるインフレ懸念が緩和し、相場を下支えしました。一方、CEOの辞任と合わせて医療費の増加を理由に2025年の見通しを一旦取り下げると発表したユナイテッドヘルス・グループが大幅安となった影響で、NYダウは反落しました。外国為替市場では、インフレ懸念の緩和に伴い1ドル=147円台半ばまで円高ドル安が進みました。
相場の注目点
米中間の関税の暫定引下げによる過度な景気下振れ懸念の後退は、短期的には株式市場の支援材料となります。関税適用除外品目の大幅拡大などのポジティブ・シナリオが実現すれば、2025年末に日経平均が40,500円を試す可能性があると野村では見ています。ただし、今回の合意は相互の関税率を90日間引き下げるもので、米中の協議は今後難航するとの見方もあります。また、中国以外の通商交渉や品目別関税もあるため、関税政策への警戒は引き続き必要となります。外国為替市場では、米中協議の進展で円安ドル高が進行し、しばらくは1米ドル=145-150円のレンジでの推移を見込みますが、ドル高圧力は次第に弱まり、再び140円台前半へ移行すると見ています。米中の関税引き下げを受けて日銀の利上げ期待が大幅に高まっていることは今後の円高圧力になると考えられます。決算発表は終盤戦ですが、本日は、鹿島建設、楽天グループ、ソニーグループ、SUBARU、三井住友FGなど数多くの発表が予定されており、株式市場では物色が広がりそうです。足元の業績に加え、関税の影響についてのコメントが注目されます。
(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)
(注)データは日本時間2025年5月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。
ご投資にあたっての注意点