新着
534件
-
09/07 19:00
【来週の米国株】アップル新製品発表会と大統領候補者討論会に注目(9/7)
※執筆時点 日本時間5日(金)12:00 今週:景気懸念が引き続き焦点に ※8月30日(金)-9月4日(木)4営業日の騰落 重要なマクロ指標が下振れ、株価は下落 軟調な経済指標の発表が相次ぎ、今週の米国株主要3指数は揃って下落しました。3日(火)に発表された8月ISM製造業景気指数は、総合指数が47.2と市場予想(47.5)を下回りました。また、5日(木)に発表された8月ADP雇用統計の民間部門雇用者数は前月比+9.9万人と市場予想(同+14.5万人)を下回りました。生産活動や雇用への懸念が広がり株価の下押し圧力となりました(執筆時点は6日(金)の8月雇用統計発表前)。 もっとも、5日(木)に発表されたISMサービス業景気指数は総合指数が51.5と市場予想(51.4)を上回り、米景気は全体で見れば依然として底堅いとの見方もできます。 市場の関心は「金利より景気」 米長期金利(10年国債利回り)が先週末の3.9%台から3.7%台に低下しましたが、金利低下は株価の追い風とはなりませんでした。米国株の主要3指数を比較しても、金利低下の恩恵を受けやすいとされるナスダック総合指数が他の2指標より大きな下落率となっています。引き続き、市場はインフレ鈍化(利下げ期待)より景気の方向感や企業業績を重視していると考えられます。 来週の注目イベントは3点です。 来週:アップル新製品発表会や大統領候補者討論会 ①9日(月)にアップル新製品発表会 FRB(米連邦準備理事会)は7日(土)よりブラックアウト期間(金融政策に関する発言の自粛期間)に入るため、今週はFRB高官の講演等は予定されていません。また、FOMC(米連邦公開市場委員会)1日目となる17日に発表される8月小売売上高まで雇用・消費関連の重要指標の公表もありません。こうした中、9日(月)のアップル(AAPL)による新製品発表会へ関心が集まる可能性は高く、スペックや販売見通しなどが注目されます。 オンデバイスAIの普及が次の視点に 今回の発表会は、単にアップルの業績や株価を動かすだけでなく、オンデバイスAIの未来を考える上で市場の関心を集めています。オンデバイスAIとは、大規模言語モデル(LLM)を簡易化した言語モデルであるSLM(Small Language Model)をOSに搭載し、スマホやタブレット、PCなどデバイス側でAI処理を実行する技術を指します。SLMは、AIエージェントとして音声アシスタントや画像・映像処理、会話・文章の要約、アプリの実行などを担います。Chat GPTのような第1世代のLLMは、質問に対する回答を文章を通じて得る仕組みでしたが、オンデバイスAIに用いられるエージェント型の言語モデルは、アプリやユーザーデータに対する知識・検索能力を有し、アプリを駆使して回答を実行する点が進化のポイントです。また、高度な演算はクラウド側のLLMに橋渡しもできるようになるとみられます。 AI市場の成長性に加え、5日(木)に決算を発表したブロードコム(AVGO、5日の時間外取引で終値比6.73%下落。5日20:00時点)など、アップルを顧客とする部品メーカーへの業績寄与への影響が大きいため、注目の機会となりそうです。 ②10日(火)に大統領候補者討論会 今週のもう一つの注目点は、10日(火)に予定されている大統領候補者討論会です。6月に開かれた討論会で精彩を欠いたことが、バイデン大統領が大統領選から撤退する契機となりました。民主党の大統領候補に指名されたハリス副大統領の支持率は、主要な激戦州でもトランプ前大統領を上回っている模様です。この討論会を経て、更に差を広げることができるのか、あるいはトランプ前大統領が巻き返すのか、注目されます。 ③6-8月期決算スタート その他、11日(水)には8月消費者物価指数と10年物国債入札も予定されています。前述の通り、景気に比べて物価指標の注目度は下がっていますが、沈黙期間中でもあり市場予想と大きく乖離する内容だった場合には、市場が動揺する可能性もあり目配りが必要です。また、9日(月)にオラクル(ORCL)、12日(木)にアドビ(ADBE)の2024年6-8月期決算発表が始まります。多くの主要企業が控える7-9月期決算の前哨戦として注目が集まります。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
-
09/07 12:00
【特集】米国株式と米ドル建て債券 リスク・リターンの比較 野村證券投資情報部が解説
2024年8月初めには日経平均株価の歴史的な乱高下がありました。ダウ平均株価も大きく下げ、個別株に投資している方、米国株式の代表的指数であるS&P500や世界株式インデックスに連動する投資信託に投資している方などにとっては、資産の変動が激しかった期間となりました。 新しいNISAでそうしたアセットへの投資を始めたという人は、初めて大きな下落を経験したということで、不安を感じているかもしれません。株式市場が下落する局面で、資産が大きく減るのを避けるためには、どのような投資を心がけるといいでしょうか。 株式と併せて、値動きの異なる債券を持つことは資産運用のリスクを低減させる一つの方法だとされています。過去の米国株式と米ドル建て債券のリスクとリターンを比較しながら、資産ポートフォリオの考え方を野村證券投資情報部が解説します。 債券と株式は収益の源泉が異なる ――債券と株式の収益を比べたとき、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。 野村證券投資情報部・坪川一浩(以下同)まず、リターン(利益)の源泉の内訳が大きく異なります。債券では金利収入がリターンの多くを占めています。一方で、株式のリターンの源泉は配当収入によるものと、価格変動によるもの、つまり株価の値上がりによるものに分かれます。 (注)データは月次で、2000年1月~2024年7月。米国債券は投資適格の米ドル建て固定利付債券で、The Bloomberg US Aggregate Bond Index。米国株式はS&P500指数。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 この図は2000年1月~2024年7月、米国債券(国債、投資適格社債などの動きを表す指数)と米国株式(S&P500指数)のトータルリターンとその内訳を比較したものです。2000年1月を100としたときに、米国債券は2~3倍に、米国株式は6~7倍程度までトータルリターンが伸びていますが、そのうちインカムゲインと呼ばれる金利・配当の収益と、キャピタルゲインと呼ばれる売却差益で得られる利益の割合は大きく異なります。 この期間は米国株式が上昇したのでキャピタルゲインが膨らむ形になっているのに対し、債券市場はそれほど値動きがなく金利収入によるリターンが積み上がりました。 米国での社債と株式のリスクとリターンは ――そもそも、金融商品のリスクとリターンとは、何を意味するのでしょうか。 リターンとは資産運用で得られる収益を指します。年率のリターンとは、その金融商品で1年間運用した場合に期待できる投資利回りのことです。リスクとは直訳すれば「危険性」ですが、金融の用語では「リターンの変動(振れ幅)の大きさ」を意味します。言い換えれば、期待している収益に対するブレ、不確実性を指します。リスクが高いということは、期待リターンが得られない可能性がより高まるということです。 ――株式と債券、それぞれのリスクとリターンはどんな特徴がありますか。 下のグラフは、米国国債、米国社債(投資適格債)、米国株式を5年間継続保有した場合の年率のトータルリターンとリスクを示したものです。トータルリターンは米国債券が一番低く、4%でした。米国社債のうち、投資適格債と呼ばれる格付けの高いものを中心としたものは6%、米国株式は10%です。一方でリスクは米国国債、米国社債ともに3%、米国株式が9%でした。 比較すると、米国の株式の方が米国国債、米国社債に対してリスクが大きいことが分かります。株式は期待リターンが大きい反面、価格変動リスクが大きく、ハイリスク・ハイリターンの資産で、社債はミドルリスク・ミドルリターンの商品と言うことができます。 (注)データは月次で、1996年12月~2024年7月。米国国債はブルームバーグ米国債指数、米国社債はブルームバーグ社債指数(適格社債)、米国株式はS&P500指数。指数はいずれも米ドル建、トータルリターン指数。リスクはトータルリターン指数の標準偏差。上記は将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではない。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 米国国債と米国社債の違い ――株式は、特にS&P500指数などのような様々な企業に分散されていれば、リスクが分散されていると思いがちですが、ハイリスク・ハイリターンなのですね。債券、特に米国社債は、リスクは小さめでリターンもある程度確保できるということですね。 はい、そうです。たくさんの銘柄に分散して投資したとしても、株式は総じてマーケットの動きに大きく左右され、相対的にハイリスク・ハイリターンです。株式資産は大きく値上がりする時期もあれば、元本を下回る時期もあります。 一方で債券は、満期まで持つと元本が償還される、購入した時点で満期まで得られる利率が決まっているという性質から、ミドルリスク・ミドルリターンとされます。ただし、債券は債務不履行(デフォルト)リスクはあり、特に外国債券は為替リスクがあります。 また、債券と株式は異なる動きをする傾向があり、株価が下がると債券価格が上昇し、債券価格が下がると株価は上昇する、というように逆の値動きをする時期も少なくありません。 このような点を踏まえると、株式と債券の両方を持つことは、株式や株式指数に連動した投資信託のみを持つよりも、資産全体のリスク・リターンを安定させると言えるでしょう。 ――米国国債と米国社債を比べると、リターンは米国社債のほうが大きいのはわかりますが、リスクは同程度なのはなぜでしょうか。 比較している米国社債は、投資適格債と呼ばれるデフォルトリスクが相対的に小さい、格付けの高い社債です。米国が発行する債券である米国国債よりは、デフォルトリスクはあるため金利が高く設定されるのですが、実際に市場でデフォルトした経験が少ないことが一因です。また、相対的に高く安定した金利収入がクッションとなって債券単価の変動をカバーし、リターンを安定化させます。 米国では、投資家たちが好む伝統的なポートフォリオに「60・40ポートフォリオ」というものがあります。資産の60%を株式、40%を債券で持つという考え方で、上記のような理由から根強く支持されています。 実際の国際分散投資の例としては、日本の公的年金資産を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は国内債券、国内株式、外国債券、外国株式にそれぞれ25%ずつ投資するのを基本としています。 参考:ノーベル賞の主催財団に学ぶ資産運用の考え方 野村證券投資情報部が解説 また、米国の景気減速に伴って利下げ局面が到来すると考えるのであれば、債券優位の展開になることが期待されます。実際、米国の企業年金は、利下げ局面の到来を見据えて、株式を減らして債券などへの配分を増やす動きもあるようです。 株式のリスクを低減しながら、一定の収益を得たいという方は、債券、特に米国社債を合わせて持つことを検討するのがよいでしょう。 ※この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。 ご投資にあたっての注意点
-
09/07 09:00
【オピニオン】ナスダック総合指数、株価の上昇余地は十分残っている
※画像はイメージです。 2024年8月前半は日本株を中心に波乱の相場展開となりましたが、株式市場は徐々に平穏を取り戻しつつあります。月初に歴史的急落に見舞われた日経平均株価でさえ、月末にかけては巻き返し、8月月間の騰落率は1.2%安にとどまりました。こうした中、NYダウは8月26日に早くも7月に付けた史上最高値を更新し、さらに上値を試す展開を見せています。一方、ナスダック総合指数は7月の史上最高値まではまだ距離を残しており、相対的に戻りが弱い印象です。 ファンダメンタルズ的には、昨年来のナスダック総合指数の上昇を牽引した生成AI関連企業や関連セクターへの成長期待の高まりには、やや行き過ぎた部分があったと言えそうです。株価下落とその後の戻りのもたつきは、市場参加者の投資ポジションの偏りが修正を迫られた結果でしょう。とはいえ、チャート面から見て今回の株価下落はトレンド転換につながるような動きには発展しておらず、長期株価上昇時に何度かある短期調整との位置づけが妥当と判断されます。 前回の長期上昇局面(2020年3月~21年11月)との比較を中心に見てみましょう(下図)。第一に、今回の高値から安値までの株価下落率は13.1%にとどまっています。2020年以降の同様の短期調整時①~⑥の下落率レンジ(7.1~12.3%)をやや上回っていますが、ほぼ同等の規模の調整とみなせます。弱気相場入りの目安とされる20%を超えてはいません。第二に、今回の株価下落時では、株価上昇時に下値サポートとして機能していた26週移動平均線を一時的に下回りましたが、早期での奪回を果たしています。第三に、今回の株価下落時では、最重要の52週移動平均線を割り込みませんでした。前回の上昇局面では、2021年11月高値形成後に52週移動平均線を割り込んだことが下降相場入りのサインとなりました。 アノマリー的には鬼門の9月相場には注意が必要ですが、中長期トレンドを指し示す26週や52週移動平均線は上向きをキープしています。今回の株価上昇率はここまで83%ですが、前回上昇時の134%と比べれば、株価の上昇余地は十分残っていると言えそうです。ナスダック総合指数の出遅れ修正に期待します。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年9月4日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
09/07 07:00
【来週の予定】米大統領候補者討論会、自民党総裁選告示など
来週の注目点:米大統領候補者の討論会、自民党総裁選とECB会合 2024年8月のジャクソンホール会合でパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は事実上、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げをアナウンスしました。このため市場の関心は利下げ幅とその後の利下げペースへと移っているようです。シカゴ商品先物市場の試算では0.5%ポイントの利下げが4割程度織り込まれています。なお、FRBは7日よりブラックアウト期間(金融政策に関する発言の自粛期間)に入るため、今週はFRB高官の講演等は予定されていません。 今週の米国における最大の注目点は、10日(火)に予定されている大統領候補者討論会です。6月に開かれた討論会で精彩を欠いたことが、バイデン大統領が大統領選から撤退する契機となりました。民主党の大統領候補に指名されたハリス副大統領の支持率は、主要な激戦州でもトランプ前大統領を上回っている模様です。この討論会を経て、更に差を広げることができるのか、あるいはトランプ前大統領が巻き返すのか、注目されます。その他、11日(水)の8月消費者物価指数と10年物国債入札も市場の注目を集めると見られます。 日本では11日(水)に日銀の中川審議委員、12日(木)に田村審議委員が公の場で発言します。両委員は共に7月の利上げに賛成するなど、正副総裁と投票行動を共にしていますが、金融機関出身者として8月以降の市場動向に対する独自の見解が聞かれるかが注目されます。12日(木)には自民党総裁選が告示されます。戦後例を見ない混戦となっていること、総裁選後に解散総選挙が実施される可能性があることから、新総裁とその勝ち方も含めて注目されます。 欧州では12日(木)にECB(欧州中央銀行)の金融政策理事会が開催されます。市場では0.25%ポイントの利下げが予想されており、一部には10月の連続利下げを予想する向きもあるようですが、ラガルド総裁は連続利下げに慎重な姿勢を示すことが予想されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年9月6日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
09/06 15:59
【野村の夕解説】米国景気悪化懸念高まり、日経平均株価265円安(9/6)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比157円高で取引を開始すると、直後には同241円高の36,898円まで上げ幅を拡大しました。前日の米国株は、強弱まちまちとなった経済指標を受け、方向感に欠く展開でしたが、日経平均株価は前日までの3営業日で2,000円超下落していたことから、朝方は自律反発のような動きとなりました。しかし、まもなく日経平均株価は上げ幅を失い下落に転じました。米半導体製品大手ブロードコムが前日引け後に発表した決算が嫌気され、時間外取引で下落したことが悪材料視され、東京エレクトロン等の半導体関連株は逆行安し、重石となりました。午後に入ると米国10年物国債利回り低下が進んだことを受け、1米ドル=142円台へと約1ヶ月ぶりの水準へと進行する円高米ドル安が、輸出関連株の株価を押し下げました。本日米国で発表される8月雇用統計への警戒も徐々に高まり、日経平均株価は前日比265円安の36,391円と4営業日続落して本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日の8月雇用統計をはじめ、来週11日(水)の8月CPI(消費者物価指数)など、米国の経済指標が注目されています。弱い経済指標が米国金利を押し下げ、日米金利差縮小、円高米ドル安の進行、日本株下落の連鎖となった8月月初の再来となるか、市場では警戒されています。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
-
09/06 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、再び不安定な動き、200日線を早期回復なるか注目
※画像はイメージです。 ※2024年9月5日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 8月安値に次ぐ二番底を固めにいく展開か 今週の日経平均株価は、米国株安と円高進行が嫌気され軟調でした。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、8月30日に今年7月以降の下落幅の2/3戻し水準(38,669円)を達成し、9月2日には一時39,000円を回復する水準まで値を戻しました。 しかし、米国株安を受けて9月4日に歴代5位の下落幅(1,638円安)となる大幅安となりました。200日線(9月5日:37,464円)や25日線(同:37,017円)を再度下回ってきており、さらに下げが続く場合は8月安値に次ぐ二番底を固めにいく展開に移行したと考えられます。その場合、8月以降の上昇幅に対する半値押し水準(35,118円)が下値メドとして意識されます。 一方、200日線(9月5日:37,464円)や25日線(同:37,017円)を早期に回復して反発に転じる場合は、先行き9月2日に付けた戻り高値(39,080円)を奪回できるか注目されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年9月5日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 今年8月安値にかけて歴史的下落を演じた株価ですが、2010年代から続く“超長期上昇トレンド”自体は継続中だと考えられ、今回の調整は一時的な調整だと考えられます(図2)。 この先、しばらくは、振れ幅の大きい展開が続くとみられますが、徐々に落ち着きを取り戻していくと考えられます。 (注1)直近値は2024年9月5日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成 日経平均株価 続・ブラックマンデー時と今回の比較 日経平均株価は9月に入り再び不安定な展開となっています。ただ、8月安値にかけて急落し、その後に急反発した後の動きとしては、想定の範囲内の動きと捉えることができます。 今回の相場の下落は、円キャリートレード(円で資金調達し世界中のリスク資産に投資する取引)の巻き戻し等、需給上の要因が大きかったとみられています。 同様に需給上の要因が大きかったとされるブラックマンデー時の動きと比較してみたいと思います(図3)。ブラックマンデー時は大底をつけてから、その後もしばらくは振れ幅の大きい展開が続きました。 具体的には大底から約1ヶ月半後(36営業日後)に二番底がありました。 今回の相場における8月5日ボトムに同様の日柄を当てはめると9月27日となるため、当面は振れ幅が大きい動きに注意が必要です。一方で、ブラックマンデー時は直前の高値から半年程度で、同水準を回復しています。 (注1)直近値は2024年9月5日時点。 (注2)下落局面はすべてを網羅しているわけではない。(注3)ブラックマンデーや、コロナショック時や今回の下落局面は、直前の高値を起点とした。リーマンショックは2008年9月15日であり、その前営業日を起点とした。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 今回の9月戻り高値までのリバウンドは、ブラックマンデー時と比較しても勢いのある反発となっていました。月間騰落率のアノマリーをみると、9月はパフォーマンスが良くない月として知られていますが、その後、年末・年始にかけてのパフォーマンスは良好となっています(図4)。 鬼門の9月相場を通過し、11月の米大統領選挙等を経て不透明感が払しょくされてくれば、年末・年始にかけて今年7月高値(42,224円)回復を視野に入れる本格上昇となる可能性も十分考えられるでしょう。 (注1)図中の平均は1-12月の月別騰落率の平均値。 (注2) 順位は平均月別騰落率の上位順。 (注3)矢印は最もパフォーマンスが悪い9月から翌年1月にかけての局面。 (注4)騰落率がプラスを勝ち、マイナスを負けとしてカウント。(出所)日本経済新聞社、S&Pダウ・ジョーンズ株式会社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
09/06 08:28
【野村の朝解説】雇用統計の発表を控え、米国株はまちまち(9/6)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9月5日の米主要3指数はまちまちの展開でした。8月ADP全米雇用レポートが前月比9.9万人増と、市場予想(同14.5万人増)を下振れ、2021年1月以来の低い伸びとなりました。一方、週間新規失業保険申請件数は、22.7万件と前週(23.2万件)から減少しました。6日の雇用統計の発表を前に、労働市場に関連する指標の結果がまちまちだったことから、S&P500指数は方向感に欠ける展開となりました。米10年国債利回りが前日から低下し、ハイテク株の一角に買いが入ったことから、ナスダック総合指数は小幅ながら3営業日ぶりに反発しました。 相場の注目点 市場の焦点は、9月FOMCにおけるFRBの利下げ幅やその先の政策スタンスです。FRBは足元で雇用など景気悪化への警戒を強めており、インフレ動向よりも雇用など景気に関する指標を重視して政策判断にあたると考えられます。そのため、本日発表される米国の8月雇用統計は重要です。前回7月の雇用統計は、市場の米国景気先行きへの懸念を強める結果となり、主要国株価の大幅下落の一因となりました。ただし、7月分データの弱さには、ハリケーンによる影響があったとみられ、8月分では一段の雇用環境悪化が示される公算は小さいと、野村證券ではみています。 本日のイベント 米国では、NY連銀ウィリアムズ総裁やウォラーFRB理事の講演が予定されています。7日からは、9月FOMCのブラックアウト(金融政策に関する発言を自粛)期間に入るため、FRB高官の発言から政策動向を見極める最後の機会となります。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年9月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
09/05 16:15
【野村の夕解説】円高進行が重石となり、日経平均株価は続落(9/5)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日、米国で発表された7月のJOLTS(雇用動態調査)求人件数が前月及び市場予想をともに下回ったことで米国景気減速の懸念が強まりました。FRB(米連邦準備理事会)による利下げペースが加速するとの見方から米国金利は低下、外国為替市場で1米ドル=143円台前半まで円高米ドル安が進みました。この流れを受けて、本日の日経平均株価は前日比511円安の36,536円で取引を開始しました。寄り付き後、円高進行が一服したことで急速に下げ幅を縮め、一時は小幅ながら上昇に転じる場面もありました。しかし、日銀の高田審議委員が講演で、日銀の見通しに沿って物価が推移すれば今後も段階的に利上げを進める必要があるとの考えを示したことで、午後に入って為替が再び円高方向に進んだことで半導体関連株や値がさ株のファーストリテイリングが一段安となり、日経平均株価は下げ幅を拡大しました。上昇のきっかけとなる材料も無く、前日比390円安の36,657円で本日の取引を終了しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国で8月ISMサービス業景気指数、8月ADP全米雇用レポート、週間新規失業保険申請件数の発表が予定されています。FRBによる今後の利下げペースを見極める上で、注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
-
09/05 08:25
【野村の朝解説】米景気の減速を懸念、ドル円は143円台へ(9/5)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9月4日の米国株式市場では、NYダウは反発した一方、S&P500指数、ナスダック総合指数は続落となりました。米国労働市場の冷え込みを示す経済指標を受け、米国景気減速への懸念が高まりました。FRBによる利下げペースが加速するとの見方から米国金利は低下し、為替市場では1ドル=143円台半ばへと円高ドル安が進行しています。 相場の注目点 足元で市場の焦点となっているのは米国の景気動向です。4日に発表された7月JOLTS米求人件数は767.3万件と市場予想(810.0万件)を下振れ、2021年1月以来の水準に低下しました。レイオフ件数も176.2万件と2023年3月以来の高水準となっています。また、同日発表のベージュブックでは、経済活動が横ばいあるいは低下とした地区が9地区に上り、前回の5地区から増加しました。本日も8月ISMサービス業景気指数や8月ADP全米雇用レポート、週間新規失業保険申請件数といった米国経済指標の発表が予定されています。仮に、これらの結果が軟調なものとなれば、9月FOMCにおいて0.5%ポイントの利下げが実施されるとの見方が強まる可能性があり、さらに円高ドル安が進行するとみられます。 本日のイベント 日銀の高田審議委員が講演を行います。講演では、タカ派的な姿勢が示され、年内利上げへの期待が維持されるとみられていますが、為替動向を見極めるうえで注目されます。その他、EIA(米エネルギー情報局)が週間石油在庫統計を発表します。4日にはWTI原油先物価格が9ヶ月ぶりの安値を付ける中、注目されます。 (投資情報部 大坂 隼矢) (注)データは日本時間2024年9月5日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点