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02/13 16:49
【速報・解説】日経平均は終値で37,900円台を突破、上げ幅は1,000円超える(2/13)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前週末比350円高の37,248円と続伸して取引を開始しました。東京エレクトロンやリクルートホールディングスなどが、前週末引け後に発表した好決算を受けて大幅に上昇しました。また、ソフトバンクグループは、子会社の英半導体設計大手アームの大幅高を受けて上昇し、これら主力銘柄の上昇が日経平均株価の追い風となりました。さらに、金融庁が損害保険大手4社に政策保有株の売却を加速するよう求めたとの観測が前週末報じられた事を受けて、資本効率改善への期待から保険株が軒並み大幅上昇となりました。好材料に恵まれた日経平均株価は、一日を通して上げ幅を拡大し、大引け直前に38,000円を上回り38,010円まで上げ幅を拡大しました。引けにかけてはわずかに上げ幅を縮小し、前週末比1,066円高の37,963円と3営業日続伸し、34年1ヶ月ぶりの高値を更新して取引を終えました。 個別銘柄では、東京エレクトロンが前週末比+13.32%、ソフトバンクグループは前週末比+6.26%となり、2銘柄で日経平均株価を約496円押し上げました。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 日経平均株価が38,000円のタイミングで投資すると? 過去20年間(2001年から2020年の間)、日経平均株価を月末に投資し、3年間保有した場合の勝率は約8割(185勝55敗)、平均リターンは23.2%となりました。ただし、投資を行うタイミングによって、そのパフォーマンスは異なります。日経平均株価の投資タイミングにおけるPERとPBRの水準別の投資結果は、以下の通りです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 仮に日経平均が38,000円となった場合の予想PERは16.1倍です(予想EPSは2024年2月9日時点)。過去20年間で、日経平均が予想PER15倍以上20倍未満の時に投資した場合、3年間の騰落の勝率は52勝26敗で、平均リターンは16.1%となっています。一方、予想PER20倍以上の場合は、勝率が約4割(16勝20敗)、平均リターンは-2.7%となっています。 仮に日経平均が38,000円となった場合の実績PBRは1.68倍です(実績BPSは2024年2月9日時点)。過去20年間、日経平均が実績PBR1.5倍以上.2.0倍未満の時に投資した場合、その勝率は約6割(38勝21敗)、平均リターンは10.2%となっています。一方、実績PBR2倍以上の場合、勝率は0%でした。仮にPBR2倍以上でも、日本株が投資対象になりえることがあるとするならば、国内企業の収益力(ROE)が欧米並みまで高まる必要があるでしょう。少なくともこの20年間は、安い時に投資し時間を味方につけるという投資手法が、日本株式市場において有効でした。 (野村證券投資情報部) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/13 09:30
【チャート分析】三菱UFJ、2023年9月高値を奪回(2/13)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2024年1月分)。ただし直近上場銘柄は除く。 今回は2024年1月に新規登録された銘柄第2位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 13週線が再び上向きに 当社は、国内最大の金融グループで、国際展開に強みがあります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、2023年9月から12月にかけて上値の重い展開となりましたが、12月に同年3月~9月にかけての上昇幅に対する1/3押し水準(1,164円)を達成した後反発に転じ、その後2023年9月高値(1,344円)を奪回、今年2月1日には1,399円まで上昇しました。 13週移動平均線が再び上向きに転じており、この先2023年9月~12月の下落幅を上に倍返ししたV計算値(1,524円)等を目指す展開が考えられます。 押しを入れる展開となった場合は、26週線に注目 (図2)ただ直近の上昇は急ピッチなものとなりました。この先押しを入れる展開となった場合は、昨年12月安値形成時に下支えとなった26週線(2月2日:1,245円)などが下値メドとして注目されます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2024年2月2日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/13 08:37
【モーニングFINTOS!】ナスダックは最高値目前、米CPIに注目(2/13)
海外市場の振り返り 9日金曜日の米国株式市場では、ナスダック総合とS&P500は上昇、NYダウは小幅安でした。バイデン政権が、半導体開発を進める官民の枠組みで新たに50億ドル超を投資すると発表したことなどで、半導体関連がテクノロジー株をけん引しました。一方で、エネルギー株や、決算を受けたペプシコの下落などで生活必需品株が軟調でした。 12日月曜日の米国株式市場では、NYダウは小幅高、ナスダック総合とS&P500は小幅安でした。ナスダック総合は、一時2021年11月の終値ベースの最高値を上回りましたが、1月消費者物価指数(CPI)の発表を控え上値が重く、引けにかけて反落しました。 相場の注目点 米国では、本日発表の1月CPIが注目されます。コアCPI(変動の大きい食品・エネルギーを除いたCPI)の市場予想は、前年同月比+3.7%と、12月の同+3.9%から減速するとみられています。また今週は、インフレ率に関連した金融政策についてのコメントが注目されます。14日にシカゴ連銀グールズビー総裁(ややハト派)、15日にアトランタ連銀ボスティック総裁(中立)、16日にサンフランシスコ連銀デイリー総裁(中立)の講演が予定されています。 15日に発表される2月NY連銀製造業景気指数とフィラデルフィア製造業景気指数は、1月から改善するとみられています。1月30日にIMF(国際通貨基金)が、また、2月5日にOECD(経済協力開発機構)が、それぞれ米国の2024年の経済成長率見通しを上方修正したことで、市場の米国の景気後退懸念が一段と和らぎました。景気指数がこれらの上方修正と整合的な経済の堅調さを示す内容となるかが注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2024年2月13日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/12 12:00
【投資と税金】医薬品購入で所得税の控除が受けられる?セルフメディケーション税制
確定申告のシーズンが始まります。所得税の控除が受けられる「セルフメディケーション税制」はご存じでしょうか。平成29年1月1日以降、令和3年12月末までの制度が、令和4年1月1日から5年延長されています。また、延長に伴い、税制対象医薬品の範囲も拡充されています。どのような制度か、大手町トラストの税理士にお話を伺いました。 セルフメディケーション制度の概要 健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている個人が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年中に12,000円※を超える対象医薬品を購入をした場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。 ※ その金額が88,000円を超える場合には、88,000円 セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択となります。どちらか片方のみの申告となります。 ※ (アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 対象医薬品の範囲 対象医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、薬局やドラッグストア等で購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品※)及び令和5年以降に購入された医薬品でスイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する一定の医薬品とされています。 ※ 要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことをいいます。 具体的な対象医薬費品の一覧は、厚生労働省ホームページ(外部リンク)をご確認ください。 ※ セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入費用であるもののうち、それが治療や療養に必要な医薬品の購入の対価であるものについては、通常の医療費控除を受けることを選択した場合の控除の対象となる医療費にも該当します。 ドラッグストア、薬局での購入時 一部の商品は、パッケージに記載されている以下の共通識別マークでも対象商品の確認ができます。 また、購入時のレシートにはセルフメディケーション税制対象商品であることが分かるよう、記載されています。セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、レシートの内容を確認しセルフメディケーション税制対象商品が含まれていた場合は、保管しましょう。 適用を受けられる方 セルフメディケーション税制の適用を受けようとする申告対象となる年に「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている居住者が対象となります。 <「一定の取組」とは> 保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】市区町村が健康増進事業として行う健康診査予防接種【定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種】勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導市区町村が健康増進事業として実施するがん検診 ※ 申告される方が一定の取組を行っている必要があります(申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が「一定の取組」を行っている必要はありません。)。※「一定の取組」に要した費用は控除の対象となりません。 手続・必要な書類 適用を受けるためには、確定申告書に次の書類を添えて提出します。 セルフメディケーション税制の明細書適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類 ※ 対象医薬品を購入した際の領収書及び一定の取組を行ったことを明らかにする書類は、自宅で5年間保管する必要があります。 <一定の取組を行ったことを明らかにする書類の具体例> インフルエンザの予防接種又は定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)の領収書又は予防接種済証市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表職場で受けた定期健康診断の結果通知表「定期健康診断」という名称又は「勤務先(会社等)名称」が記載されている通知表特定健康診査の領収書又は結果通知表「特定健康診査」という名称又は「保険者名(ご加入の健保組合等の名称)」が記載されている通知表人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書又は結果通知表「勤務先(会社等)名称」「保険者名(ご加入の健保組合等の名称)」が記載されている通知表 セルフメディテーション税制の対象となる医薬品の範囲も拡大しています。今年の確定申告の前に、今一度レシートを確認して準備をされるとよいでしょう。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この資料は提供されたお客様限りでご使用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点
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02/12 09:00
【チャート分析】NTT、大台の200円台乗せが視野に(2/12)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2024年1月分)。ただし直近上場銘柄は除く。 今回は2024年1月に新規登録された銘柄第1位の日本電信電話(9432)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 1月に26週線を下支えに大幅反発 当社は、東西地域会社やドコモを傘下に持つ日本最大手の通信事業持ち株会社です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、2020年10月に安値(85.1円)を形成以降、上昇基調が続いています。 2023年9月から12月にかけて上値の重い展開となりましたが、今年1月初旬に26週移動平均線を下支えに反発に転じ、その後2023年9月高値(183.4円)を奪回しました。 主要移動平均線は上向きを維持しており、この先200円の大台乗せに向けた動きが期待されます。 押しを入れる展開の場合は、まず26週線に注目 (図2)ただ今年1月の上昇は急ピッチなものとなりました。この先押しを入れる展開となった場合は、昨年12月安値形成時に下支えとなった26週線(2月2日:174円)が最初の下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2024年2月2日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/11 12:00
【オピニオン】3月FOMCで「中立金利」は上方修正されるか?
1月30-31日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は事前の市場予想通り、4会合連続で政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%で据え置くことを決定しました。声明文では、従来の「追加で引き締めの場合には」の文言が、「政策調整の場合には」へと変更され、金融引き締めバイアスが大幅に後退しました。一方で、「インフレが2%へ持続的に向かっていることに確信を持てない限り、政策金利の引き下げは適切ではない」として、当面は政策金利を維持する方針が示されました。FOMC後の記者会見でパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は、「(利下げについて)3月までに確信を持つ可能性が高いとは思わない」と述べ、2024年3月からの利下げ開始に否定的な見解を示した一方、QT(バランスシート縮小)について、「3月により深い議論を開始する」と述べました。総じて市場の想定範囲内のFOMCであったと総括できます。 次回のFOMCは3月19-20日に開催されます。FOMC参加メンバーの経済見通し、政策金利見通し(いわゆるドッツ)がアップデートされます。その中で注目したいのが「中立金利」です。最近では、2024年2月5日にミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「中立金利が上昇している可能性がある」と述べています。中立金利=自然利子率+趨勢インフレ率、と定義されます。自然利子率は実質ベースであり、貯蓄と投資がバランスする金利水準を指します。労働力や生産性など潜在成長力を決定する要因が影響を及ぼします。趨勢インフレ率は、FRBの場合、2%のインフレターゲット、と言い換えることもできます。FOMCでは2012年から長期のFF金利予想を公表していますが、これは長期の中立金利に該当し、2019年6月以降、ほぼ2.5%で据え置かれています(下図)。中立金利は短期と長期で区別するべきであり、短期的には現在のマクロ経済環境を反映していますので、実際の政策金利との乖離を見て、引き締め的か緩和的かを判断する材料となります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 今回の利上げ局面において、FRBは急ピッチで政策金利を引き上げ、インフレはピークアウトしてきました。しかし、実質GDP成長率は(今後利上げの影響が顕在化する可能性はあるものの)総じて堅調に推移してきました。従って、実際の中立金利はもっと高いのではないか、との議論が学界も含めて活発化しています。 仮に、次回3月のFOMCでFRBの想定する長期的中立金利が上方修正された場合、相当程度の金利上昇圧力になる可能性があります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/11 09:00
【基礎から学べる「行動ファイナンス」】 第7回 「思い込み」の問題
分断本能とネガティブ本能 今回はまず、世界的なベストセラーとなった名著「ファクトフルネス」(※1)の「イントロダクション」の一節から、クイズを一つ紹介します。(※2) 【問題】全世界の1歳児のうち、なんらかの予防接種を受けている子どもは全体の何%程度いるでしょうか? 【回答(三択)】 A: 20% B: 50% C: 80% こちらの問題、答えを見る前に、まずは自分で答えを出してみることをお勧めします。 いかがでしょうか。 多くの人はAと答えます。「新聞や雑誌、TVやネットなどの各種メディアが取り上げるように、貧しい国や地域の子どもは多いはず。この子たちは当然、予防接種も受けられないのではないか」との考えに及ぶのでしょう。 しかし、この問題の正解はCです。誤ってAやBと答えてしまう人が多くなるのは主に、2つの「本能」の複合効果によるものと説明できます。 一つは、「世界は分断されている」と考えてしまう「分断本能」、もう一つは、世界は悪い方向に向かっている、あるいは良い方向には向かっていないと思ってしまう「ネガティブ本能」です。 分断本能が、まず「かわいそうな国」と「そうでない国」を分断します。次にネガティブ本能によって「かわいそうな国」に分類される国が実際よりも多いと感じてしまいます。メディアがそうした思い込みを後押ししている面もあるといえます。 しかし、現実の世界では、貧しい国から中間にある国、そして裕福な国まで多くの国が富裕度の軸で見て連続して存在しています。最も多いのは中間にある国です。本当に貧しく、子どもに予防接種さえできない国は2割だけです。 つまり、8割と答えた人は、「ファクト」(事実)に基づく判断ができなかったということになります。他にも、恐怖本能(危険でないことを危険だと誤解してしまう)や宿命本能(すべてはあらかじめ決まっていると考えてしまう)、犯人捜し本能(だれかを責めれば物事は解決すると考えてしまう)、焦り本能(いますぐ手を打たないと大変なことになると思ってしまう)など、データの平均や分布を無視した判断を誘発する「本能」は複数存在します。 (※1)2019年「ファクトフルネス」(ハンス・ロスリング他、日経BP社)(※2)文面を若干変更して引用しています。 人が抱える判断のバイアスとは 要するに、人は憐情や恐怖、不安を呼ぶようなドラマチックなことや、わかりやすいことを信じやすく、さまざまな判断にも使ってしまいがちです。逆に、ドラマチックでもない普通のことや、複雑なことは心に残りにくく、判断に用いることもあまりないのです。 本シリーズでは前回までに、投資の判断で起こりがちなバイアスの紹介とバイアスが起こるしくみ(デュアルプロセスモデル)や、具体的な失敗例を紹介しました。以降は「どうすれば失敗を逃れることができるのか」という重要な応用、行動コントロールの技術(※3)の説明に入ります。 「折り返し地点」となる今回、あえて「思い込み」について取り上げたのは、「心理バイアスによる失敗の話(エピソード)はドラマチックで心に残りやすいものの、それを解決する手段の話は心に残りにくい」ということを警告したかったからです。 現在では(少なくとも米英では)、「バイアスのバイアス」による失敗の経験・データを踏まえ、データに基づく行動コントロールを政策にまで活用するようになりました。次回からはその技術の紹介、中でも特に重要なリフレームの話題から取り上げてみたいと思います。 (※3)2022年「金融業務能力検定・ポートフォリオ提案スキルアップ講座」(大庭・根岸、きんざい) (KINZAI Financial Plan 2023年7月号掲載の記事を再編集したものです) 大庭 昭彦 野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 本稿は、野村證券株式会社社員の研究結果をまとめたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではございません。2023年5月掲載時点での情報に基づいております。 ご投資にあたっての注意点
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02/10 12:00
【注目トピック】米国決算レビュー、企業業績は増益基調に移行したか?
米国:2023年10-12月期決算レビュー 23年10-12月期は前年同期比+4.2% 2月2日までに、S&P 500 指数構成企業のうち230社が、2023年10-12月期決算(2023年9-11月期決算企業も含む)を発表しました。 LSEG(旧リフィニティブ)の集計では、同期のEPS(1株当たり利益)は前年同期比+4.2%の55.36ドルと予想されています。 今回の決算発表シーズンが始まる直前の1月12日時点の集計では、前年同期比+2.1%の54.28ドルと予想されていました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 2023年10-12月期は、純利益の決算実績がアナリスト予想を上回る企業の比率(ポジティブサプライズ比率)が、直近4四半期平均、長期平均を上回っています。一方、売上高については同比率は直近4四半期平均を下回っており、この点は留意したいと思います。 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2023年10-12月期には、2023年9-11月期決算、2023年11月-2024年1月期決算企業も含む。(注2)直近4四半期平均とは2022年10-12月期~2023年7-9月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。(注3)LSEG(旧リフィニティブ)による2024年2月2日時点(売上高について230社、純利益について230社)の集計(出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 年度EPSは引き続き増益基調予想 年度ベースでのEPS予想についてみると、2023年は前年比微増益となっている一方、 2024年、2025年と増益が予想されています。 2023年については、2024年1月12日時点と比べ若干ながら上方修正されている一方、2024年、2025年については下方修正されています。 決算実績は事前予想を上回る企業が多かったため、2023年については集計値が引き上げられたとみられます。一方、2024年以降については、引き続き増益基調とみているものの、足元の経済環境や地政学リスクの高まりなどを受けて、慎重に見直しているアナリストも多いものとみられます。 (注)S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2024年2月2日時点。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2023年12月期)、FY2は予想2期目。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 今後の留意点 S&P 500 指数構成企業の四半期EPSは、2022年10-12月期から3四半期連続で前年同期比減益となっていましたが、2023年7-9月期に増益に転じ、2023年10-12月期も増益となる見通しとなっています。2024年1-3月期以降も増益が続く予想となっていて、米主要企業の業績は、増益基調に移行したと推察されます。 今後は、小売企業やソフトウエア企業などの2023年11月-2024年1月期決算の発表が始まります。これら企業の決算が発表された際には、実績に加え、今後の会社見通しなどを通じ、企業業績の動向を確認していきたいと考えます。 (注)推定・予想はLSEG(旧リフィニティブ)による2024年2月2日時点の集計。[ ]内は2023年10-12月期決算発表が本格化する直前の2024年1月12日時点の集計。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 村山 誠) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/10 09:00
日経平均、一時37,000円台【マーケット解説動画】(2月9日引け後収録)
テクニカル展望(2月9日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の山内シニア・ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、一時37,000円台」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足・週足3.日経平均株価 比較4.日経平均株価:月足 5.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部シニア・ストラテジスト 山内 正一郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点