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【テーマ銘柄】サプライチェーンのすそ野が広い洋上風力発電

※画像はイメージです。 再生可能エネルギーの導入が加速 カーボンニュートラルの実現に向けて、世界的に再生可能エネルギーの導入が加速しています。中でも、風力発電、中国や欧州、米国などで普及しています。風力発電は、陸上において導入が進んだ結果、適地が減少しつつあることから、海域を利用した洋上風力発電が注目されています。洋上風力発電は、海底に直接基礎を設置する着床式と、浮体を基礎として風車を設置し、係留などで固定する浮体式に分類され、日本のように沖合の海底が急に深くなる地形では、浮体式が適しています。 ポテンシャルの高い日本の洋上風力発電 領土を海に囲まれている日本では、洋上風力発電の潜在能力が高いと言えますが、設置場所の制約や発電コストの高さなどが障壁となり、これまで導入が進みませんでした。2020年に政府目標として2030~40年までの洋上風力発電の導入を30~45GW、2040年までに国内での部品調達比率を60%とする方針が示され、その後洋上風力発電の促進区域の整備などが行われてきました。2023年12月には秋田、新潟、長崎の3海域で開発する洋上風力発電の事業者が決定し、2024年中には青森、山形の2海域でも事業者が決定される予定です。今後、送電線の計画策定や資金調達の環境整備が行われるとみられ、政府の支援を受けて洋上風力発電の開発加速が期待されます。 洋上風力発電はサプライチェーンのすそ野が広い 洋上風力発電は、調査開始から風車製造、設置、運用とサプライチェーンのすそ野が広くなっています。また、建設には、出力制御や基軸など数万点に及ぶ部品が必要になる他、専門の建設船や海底ケーブルなど関連する業種は多岐にわたり、幅広い産業へ経済効果が波及することが見込まれます。野村證券では、投資決定から運用開始までは時間を要するものの、風車製造や設置、また、生産地から消費地への送電網の整備に関連する分野は、比較的早期に収益化するとみています。 ご参考:洋上風力発電関連銘柄の一例 鹿島建設(1812)2013年に国内初となる沖合の着床式洋上風力発電設備を完成させたほか、国内初の商用洋上風力発電の施工も行った。また、秋田県能代市沖や千葉県銚子市沖などの洋上風力発電の優先交渉権者となっている。五洋建設(1893)洋上風力発電の施工に使用するSEP船(自己昇降式作業台船)を複数保有し、現在は2025年度の運転開始を目指す北九州の洋上風力発電の建設で稼働している。東レ(3402)風力発電のブレード(回転翼)に使用される炭素繊維(ラージトウ)で世界シェア約5割を有している。日本碍子(5333)変動のある風力発電の出力を一定に保つことができる大容量の蓄電池システムNAS電池を供給している。古河電気工業(5801)風力発電設備を電力系統に接続する送電ケーブルの生産・工事を手掛けている。国内最大級の石狩湾新港洋上風力発電事業へ海底電力ケーブルシステムを納入した。住友電気工業(5802)欧州を中心に拡大する洋上風力の長距離送電需要に対応するため、2023年4月、英国、スコットランドに電力ケーブル製造・販売会社を設立すると発表した。日本精工(6471)風車用の大型軸受を製造している。増速機用に強みを持つ。NTN(6472)風力発電の主軸用大型軸受を生産している。風力発電装置用のCMS(状態監視システム)サービスも展開しており、国内を中心に導入が進んでいる。富士電機(6504)風力発電で主に使われるIGBTパワー半導体に強みを持つ。発電機で発電した電気を送電線に流すための電力変換を担っている。東北電力(9506)洋上風力をはじめとした再生可能エネルギーの開発に注力している。「能代港洋上風力」や「秋田港洋上風力」に参画している。 (注)全てを網羅しているわけではない。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 澤田 麻希) ご投資にあたっての注意点

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