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01/14 09:00
【基礎から学べる「行動ファイナンス」】 第3回 人の行く裏に道あり花の山
第1回、第2回で紹介した「心理バイアス」によって引き起こされる事象を、ある人の行動に例えて紹介したいと思います。 株式投資に興味を持ったが・・・ 45歳の誕生日を迎えたAさんは、仕事は順調で生活資金にも余裕がありました。株式や投資信託には全く興味を持っておらず、給与の全てを銀行預金に回す生活。生まれてこのかた投資をしたことはありませんでした。45歳になってからしばらくも、目立った経済ニュースはなく、株価もあまり動いてはいませんでした。 そうこうしているうちに、徐々に景気が上向き、株価も上昇し始め、Aさんも少し投資に興味がわいてきました。 しかし、慎重な性格のAさんは、しばらく様子を見ていました。すると、その後さらに株価は上昇。企業の画期的な新商品や、明るい業績の見通しについてのニュースをたびたび目にするようになりました。 「ダメ押し」で投資を始めたものの さらには、投資を勧める雑誌の特集記事や、投資の成功体験を語るYouTuberも急増。古くからの友人から「投資で成功した」という話を聞いたのが「ダメ押し」となり、ついにAさんも株式投資を始めました。 しかし、しばらくすると購入した株式の株価が下落し始めたのです。Aさんは少し不安になったものの、そのまま静観していました。何もしないでいると株価はさらに下落、暗い経済ニュースも増えました。YouTubeやSNSなどのメディアに登場する自称・経済専門家が「暴落が今後も続く三つの理由」などともっともらしく語るのを聞いていると、どんどん不安が募っていき、ついにAさんは保有株式を全て安値で「投げ売り」してしまいました。 Aさんが株式を売却した直後、なぜか株価は急回復。みるみるうちに景気も回復し、悪い経済予測を語る評論家もいなくなりました。ただ、「Aさんが大きな損失を出した」のは事実。Aさんは「二度と株式投資はしない」とこぼすようになりました。 失敗の原因は? この事実を冷静に分析してみましょう。Aさんの失敗は「投資をしたこと」ではなく、「最も悪いタイミングで株式を買い、最も悪いタイミングで株式を売ってしまったこと」なのです。本連載の第1回で取り上げた「12の心理バイアス」に照らして考えると、Aさんの一連の行動の裏にあるバイアスで最も目立つのは「群集心理」です。 群集心理とは〔図表〕に示したように、「市場の上昇トレンドを見ると、人は貪欲になって買いを増やし、その後、調整局面で下落すると不安になって、人は恐怖から逃れるために売りを増やす」という、市場で繰り返し見られる典型的な投資行動です。 現代にも通ずる「格言」 「群集心理」の他にも関係するバイアスは多く、貪欲になっている局面では「自信過剰」が、恐怖を感じている局面では「後悔回避」が働きます。本連載の第1回、第2回で紹介した「2重過程モデル」では、主に「直感システム」による「速い判断」と解釈できます。 統計的には「相場は上下を繰り返している」ことを考えると、こうした感情的な売買は保有したままよりも損をするケースが多いことも分かります。今回のタイトルでも示した「人の行く裏に道あり花の山」という古くから伝わる投資の格言は、群集心理の悪い効果を戒めるものですが、現代にも通ずるのは少し残念、といえそうです。 (KINZAI Financial Plan 2023年3月号掲載の記事を再編集したものです) 大庭 昭彦 野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 本稿は、野村證券株式会社社員の研究結果をまとめたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではございません。2023年2月掲載時点での情報に基づいております。 ご投資にあたっての注意点
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01/13 19:00
NISAで投資を始める人たちへ ビッグバンおじいさんが徹底解説
初めてNISAで投資をする際、どういった心構えで臨むべきなのでしょうか。45年間野村證券で企業のアナリストや資金調達などを担当し、近年は大学などで金融に関する講義を行っている野村ホールディングス ファイナンシャル・ウェルビーイング室SCO(シニア・コミュニケーションズ・オフィサー)の池上浩一が、NISAや投資に関する疑問にわかりやすくお答えします。 第1回 NISA拡充の理由とは 【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ 第1回 NISA拡充の理由とは 2024年からNISA(少額投資非課税制度)の改正などにより、投資を真剣に考えるようになった人も増えているのではないでしょうか。そもそもなぜNISAが拡充されるのでしょうか。初めて投資をする際、どういった心構えで臨むべきなのでしょうか。 第2回 日本政府の「本気度」は 【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ 第2回 日本政府の「本気度」は 「なぜ新NISAという制度がつくられたのか。国の狙いは何か」という疑問について、別の視点から説明します。 第3回 なぜ資産運用が必要なのか 【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ 第3回 なぜ資産運用が必要なのか 「投資するにはリスクがあって怖い。なぜ投資、資産運用が必要なのか」という疑問にお答えします。 第4回 ではNISAをどう使う? 【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ 第4回 ではNISAをどう使う? 「実際にどのような方法で投資をすべきなのか」「投資をする時の心構えを教えて欲しい」という2つの質問にお答えします。 ※2024年1月1日~1月7日に配信した「【新春特集】NISAで投資を始める人たちへ」のまとめページです。※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/13 13:00
【オピニオン】米国株2024:上昇継続のカギとなる「BTFP」とは?
BTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)は、2023年3月12日に米地銀のシリコンバレーバンクの破綻を受けFRB(米連邦準備理事会)が導入した銀行に対する融資プログラムで、主な内容は下記の通りです。 債券などの担保を額面価格で評価し同額を融資融資期限は2024年3月11日 下の左側の図表では、BTFPの残高と、米国の主要株価指数であるS&P500はある程度連動したようにみえます。また、下の右側の図表では、逆目盛で示したシカゴ連銀が発表する全米金融環境指数(低いほど融資が受けやすいなど金融環境が緩和的なことを意味します)とS&P500はおおむね連動しました。 FRBはインフレを抑制するために、地銀破綻以降も量的引き締め(QT)や利上げを継続し、これらにより本来であれば金融環境は引き締まるはずでした。しかし、BTFPによる金融機関への短期資金の供給が銀行の連鎖倒産を防ぐとともに金融環境を緩和的にしたことが、株価の下支えになったと推察します。 資産・負債マネジメント(ALM)の欠如が地銀破綻の原因でした。米長期金利の上昇により地銀が保有する債券などの資産価値が低下したことで、資本が棄損するとの思惑から、預金が引き出されました(注)。 BTFPにより債券などの資産が実質的に(下落した価格でなくより高い)額面で評価されたことで、連鎖倒産の懸念は和らぎました。ただし、長期金利(米10年国債利回り)は、2017年から2022年までの日次平均は約2.1%で、2024年1月6日現在は約4.0%であることから、地銀が保有する債券価格が取得価格に戻るには一段の利回り低下が必要となりそうです。 2023年9~12月の長期金利低下時に米国株の上昇をけん引したのは銀行株でした。銀行株は通常金利上昇時に、純金利収入の増加などを理由に上昇することが一般的です。金利低下で銀行株が上昇したのは、銀行のALM修正がまだ済んでおらず、金利低下による資産価値の上昇の方が、収入の増加よりも影響が大きいと市場はみているようです。 米民間銀行全体でみると、引き出された預金は戻っていません。また、銀行のクレジットカードローンなどの与信残高は増加しており、融資の増加分は債券などの売却や、BTFPなどによる融資でまかなわれていると考えられます。BTFPが2024年3月11日に終了した場合、地銀は担保に差し出した資産を売却するか、借り換えなどで資金を調達する必要があります。ただし、担保の価値が額面価値まで戻っていない場合は、債務超過懸念が再燃する可能性があります。 最高値を付けた米国株が2024年に上昇を継続するには、まずは①BTFPの延長かQT・リバースレポの見直しなど同等の措置、もしくは、②長期金利低下による債券型商品等の価格上昇、が必要と考えます。 (注)長期金利が上昇すると長期金利に連動する債券型商品の価格は下落する。貸借対照表(バランスシート)上は、資産価値が減少した際に負債価値も同額減少すれば(=ALMがうまく機能すれば)資本価値は不変だが、破綻した地銀は、短期金利がゼロの時期に短期で借り入れて、長期で運用する手法を取るなど、ALMがずさんだったため資本が棄損したと考えられる。 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/13 09:00
【投資と税金】1月1日から変わった!「暦年課税」と「相続時精算課税」の変更点
自分が保有する財産を早いタイミングで子どもや孫に譲る場合に利用される「生前贈与」。令和5年度の相続税法の改正により、令和6年1月1日以降に受けた贈与については、改正後の内容が適用されます。令和6年以降に贈与を考えられている方に、どのような見直しがあったのか大手町トラストの税理士に伺いました。 はじめに 高齢世代への資産偏在や、「老老相続」の増加により若年世代への資産移転が進みにくい我が国の現状を踏まえ、令和5年度税制改正で、暦年課税・相続時精算課税制度が見直されることとなりました。これにより、資産移転の時期の選択により中立的な税制が構築されるとともに、高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することにより、その有効活用を通じた経済の活性化が期待されます。 令和6年1月1日からの変更点 令和6年1月1日以後に受けた贈与について適用される改正点について説明します。 暦年課税と相続時精算課税の改正内容の比較 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ※特定贈与者とは ー 「相続時精算課税選択届出書」に係る贈与者(父母または祖父母)のことをいいます。 「暦年課税」の主な改正内容 相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への贈与額全額を相続財産に加算して相続税が課税される制度について、相続時の加算期間が相続開始前3年から7年に段階的に延長されることとなりました。なお、延長した4年間に受けた贈与については、総額100万円まで加算されません。 ※令和9年1月以降、加算期間が順次延長され、7年以内となるのは令和13年1月1日以後となります。 「相続時精算課税」制度の改正内容 暦年課税の基礎控除とは別に、相続時精算課税の基礎控除(110万円)が創設され、相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与を受けた場合の当該年分の贈与税について課税価格から控除できるとともに、特定贈与者からの贈与額から基礎控除を控除した後の残額が、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されることとなります。 基礎控除 暦年課税の基礎控除とは別に、相続時精算課税の基礎控除(110万円)が創設されました。 なお、相続時精算課税適用者が同一年中に複数の特定贈与者から贈与を受けた場合には、それぞれの贈与を受けた財産の価額に応じて基礎控除の額を按分します。 贈与税額の計算 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格(基礎控除の額を控除した残額)から特別控除額(限度額:2,500万円)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。 ※特別控除額については、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。 相続税額の計算 相続時精算課税制度に係る特定贈与者が亡くなったときの相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(基礎控除の額を控除した残額)を加算して相続税額を計算します。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この資料は提供されたお客様限りでご使用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点
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01/13 08:00
【マーケット解説動画】日経平均、35,000円台へ一段高(1月12日引け後収録)
テクニカル展望(1月12日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の山内シニア・ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、35,000円台へ一段高」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足・週足・月足・長期月足3.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部シニア・ストラテジスト 山内 正一郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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01/13 07:00
【来週の予定】米共和党候補指名の初戦となるアイオワ州党員集会が開催
来週の注目点:米国や台湾の国政選挙、主要国の経済指標に注目 2024年は多くの国で国政選挙が予定されており、相場を動かす要因になりそうです。13日(土)に台湾総統・立法院議員選挙が実施されます。選挙を前に中国政府は主に通商面で台湾に対する圧力を強めており、台湾の為替や金融市場への影響が懸念されます。15日(月)には、米国で共和党の大統領候補者選びの初戦である中西部アイオワ州で党員集会が開催されます。その結果は今後の候補者選びの行方を占うものと考えられます。トランプ前大統領が世論調査で首位を独走し、最有力候補と見られています。 米国では、16日(火)に1月NY連銀製造業景気指数、17日(水)に地区連銀経済報告(ベージュブック)、12月小売売上高、12月鉱工業生産、18日(木)に1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、12月住宅着工・建設許可件数、19日(金)に12月中古住宅販売件数、1月ミシガン大学消費者マインド速報値など、主要統計の発表が相次ぎます。 中国では17日(水)に2023年10-12月期実質GDP、12月小売売上高、鉱工業生産、23年1-12月の固定資産・不動産投資が発表されます。中国の景気は足元で減速感が強まっていますが、10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.2%と、7-9月期の同+4.9%から上向くと野村證券では予想しています。比較対象となる前年同期が低水準だったことが一因です。 日本では、18日(木)に11月機械受注、19日(金)に12月全国消費者物価指数が発表されます。日銀の金融政策修正は2024年4月と野村證券では予想しますが、足元で市場の期待は後ずれしつつあり、特にコアインフレが市場予想と大きく乖離する場合には市場の思惑に影響する可能性もあります。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年1月12日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/12 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (1月第2週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年1月第2週(2024年1月5日~1月11日) 2024年1月月間(2023年12月29日~2024年1月11日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年12月29日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年1月11日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年1月第2週(2024年1月5日~1月11日) 2023年1月月間(2023年12月29日~1月11日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年12月29日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年1月11日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年1月12日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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01/12 16:22
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、大幅に5日続伸 一部企業の好決算が押し上げ
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比551円高の35,601円で取引を開始しました。前日引け後に決算を発表したファーストリテイリングの大幅上昇や、半導体関連株が堅調となったことが指数を押し上げました。寄付き後早々に一時前日比789円高をつける場面もありましたが、日経平均株価は今週に入り、前日までで約1,672円上昇していることから、短期的な過熱感が重石となり、徐々に上げ幅を縮小する展開となりました。もっとも、日本株の先高観は強く、35,400円台を挟んで一進一退となりました。引けにかけてやや上げ幅を拡大し、前日比527円高の35,577円と大幅に5日続伸し、連日で昨年来高値を更新しました。 業種別では、中東情勢の緊迫化を受けて、原油価格が上昇したことを背景に、鉱業の上昇が目立ちました。個別では、前述のファーストリテイリングが前日引け後に発表した決算内容が市場予想を上回ったことが好感され、株価は前日比+6.33%と大幅に上昇し、1銘柄で日経平均株価を約231円押し上げました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】 12月生産者物価指数(前月比) (総合)前月:±0.0% 予想:+0.1% (コア) 前月:±0.0% 予想:+0.2% (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/12 12:00
【今週のチャート分析】日経平均、約半年の保ち合いを上放れて35,000円台に (1/12)
※2024年1月11日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 大幅続伸で、保ち合い上限を上にブレイク 今週の日本株は、米国のハイテク関連株の上昇を手掛かりに、大幅上昇となりました。 日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。2024年の大発会(1月4日)は、年末年始の米国株安を受けて一時700円超の下げとなったものの、大引けにかけては長い下ヒゲを引いて反発し、下値の底堅さが確認されました(図1)。その後は大幅上昇となり、10日に34,000円台にのせて、11日には心理的フシの35,000円台まで上伸しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年1月11日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 約半年続いた中段保ち合い上限(33,700円前後)の上放れが明確となっており、35,000円台定着となれば、まずは、昨年7月高値~10月安値の押し幅の倍返し水準(36,980円)に向けた動きとなると考えられます(図2)。一方で、上昇一巡後に5日移動平均線を割り込み押しを入れる動きとなった場合は、25日線(11日:33,278円)が下支えとなるかが注目されます(図1)。 (注1)直近値は2024年1月11日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 次に中長期的な動きを確認すると、2024年1月に中段保ち合い上限を突破したことで、2023年1月安値から始まった中長期上昇局面に回帰してきたと考えられます(図2)。前回の中長期上昇局面(2020年3月~2021年9月)の上昇幅を2023年1月安値に当てはめた場合、39,834円と試算され、先行きは史上最高値(1989年12月:38,915円)を視野に入れる上昇となると考えられます。 日本株は24年1月に大幅上昇、 好調なスタートを切る 2024年の日本株は1月11日にかけて大幅上昇となり、好調なスタートを切りました。日経平均株価は、大発会こそ一時700円安となったものの、その後は大幅上昇となりました。1月11日には35,000円台まで上伸し、昨年7月以降の中段保ち合い上放れが明確となっており、中長期上昇局面に回帰してきたと捉えられます(図3)。 2010年以降の中長期上昇局面(①~③)における上昇倍率は、1.6~2.6倍となりましたが、今回は1.4倍に留まっています。これらを参考とした場合、この先も上昇余地が大きいと捉えられ、急上昇の反動をこなしながらも中長期上昇局面は継続すると考えられます。 (注1)直近値は2024年1月11日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成 またTOPIXは、2023年に約30年続いた長期上値抵抗線を明確に上放れました(図4)。その後も上伸し、2024年1月には約34年ぶりの高値をつけました。さらに2012年以降の上昇トレンド上限も突破しており、この先史上最高値である1989年12月高値(2884.80pt)へ向けた上昇となると考えられます。 (注1) 直近値は2024年1月11日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点