新着
919件
-
2023/12/12 15:30
【アグリ産業の視座】畜産業における「乳肉一貫経営」の広まり
畜産業で「乳肉一貫経営」が広まりつつあり、業界をけん引するモデルになる可能性を秘めている。乳肉一貫経営とは、畜産業の経営形態のひとつであり、酪農事業と牛肥育事業を同時に運営する事業モデルで、それぞれの事業リスクを補い合うことで、効率・効果的な経営が可能となる。 酪農事業では基本的に毎日搾乳・出荷するため日々の売上が立つが、肉用牛ほどの大きな収益は見込みにくい。一方、牛肥育事業では出荷時の収益率は高いが、18~24カ月の肥育期間中は費用のみが先行し、資金繰りに窮するリスクがある。乳肉一貫経営では、それらを補うだけでなく、乳牛(ホルスタイン)に和牛(黒毛和牛)の受精卵を移植することで、子牛を内製化でき、収益性をより高めることができる。 例えば、北海道のノベルズグループでは、3万頭を超える乳牛と肉用牛を大規模に飼育する乳肉一貫経営を実践している。乳牛における日々の収益、自社ブランド化した肉用牛の高収益な販売により、双方のリスクヘッジを可能とし、2006年の創業から9年で売上高は100億円を突破している。また、神奈川県の小野ファームでは乳牛と肉用牛を約400頭飼育する乳肉一貫経営を実践している。子牛の内製化で収益性を高めただけでなく、乳製品の製造販売や焼肉店経営などの川下にも事業を展開するなど、多角的な経営にも取り組んでいる。 乳肉一貫経営には課題もある。肉用牛の場合、体重の増加が販売に直結し、その多くを輸入原料の飼料に頼っているため生産コストが高い。一方、酪農は早朝や夜遅くの業務も発生することから人材確保が困難である。実際に酪農現場では外国人労働者を採用している事業者も多い。 そのような中、肉用牛の飼料においては、地域農家と輪作体系を活用した耕畜連携を図る方法や、コメを飼料に活用することで、輸入飼料の割合を抑えコスト削減に取り組む事業者も増加傾向にある。また、人材確保においては、センサーやロボットなどの自動化設備の導入により作業負担を軽減する取り組みも進み始めている。 日本の畜産業は事業承継や人材不足、コスト高などの影響により生産力が低下しているが、「和牛」を筆頭に海外からの需要は急増している。乳肉一貫経営による畜産業の持続的な発展に期待したい。 (野村アグリプランニング・アンド・アドバイザリー 谷 和希) ※野村週報 2023年12月11日号「アグリ産業の視座」より <お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/12 09:30
【チャート分析】NTT、13週線を早期回復となるか注目(12/12)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2023年11月分)。ただし直近上場銘柄は除く。 今回は2023年11月に新規登録された銘柄第2位の日本電信電話(9432)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 11月に入り13週線を下回る展開続く 当社は、東西地域会社やドコモを傘下に持つ日本最大手の通信事業持ち株会社です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、2020年10月以降上昇トレンドとなっています。 ただ今年9月に高値形成後は押しを入れる展開となり、11月に入り13週移動平均線を下回る動きが続いています。 まずは同線(12月1日:175円)を早期回復し、今年9月高値(183.4円)などを目指す展開に復帰となるか注目です。 下値模索が続く場合は、26週線や52週線に注目 (図2)一方下値模索が続いた場合は、まず11月に下支えとなった26週線(同:169円)が最初の下値メドとして挙げられます。同線を割り込む展開となった場合は今年8月安値形成時に反発した上向きの52週線(同:163円)が下値サポート線として期待されます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年12月1日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/12 08:27
【モーニングFINTOS!】12月FOMCを控え、米株は小幅続伸(12/12)
海外市場の振り返り 11日の米国市場では、11月CPIや12月FOMCなどの重要イベントを控えて、債券・株式市場ともに小動きとなりました。8日発表の11月雇用統計の堅調な結果を受けて米国経済が軟着陸するとの期待が続き、米国株は主要3指数が揃って続伸し、2022年前半以来の高値で引けました。個別では、マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手テクノロジー企業7社の株価が軟調だった一方、半導体株、生活必需品、ヘルスケア、小型株などが堅調でした。為替市場では、日銀が12月会合で政策変更を行うことに否定的な報道を受け、円が売られる展開となり、一時は1ドル=146円半ばまで円安ドル高が進みました。 相場の注目点 米国では来年の相場を占う上で重要な2日間を迎えます。12日に11月CPIが発表され、12~13日には12月FOMCが開催されます。市場では今会合では金利据え置き、2024年中に4~5回の利下げの織り込みが進み、米金利の低下と、円高ドル安や株高をもたらす要因となっています。しかし、FRBの政策金利見通しが市場が期待するほどの利下げ幅を示さなかった場合などは、一時的に市場のかく乱要因となる可能性もあり、相場の楽観論が試されます。他方、日本では、13日に12月調査・日銀短観が発表されます。2024年前半に日銀がマイナス金利政策を解除するとの観測が市場では強まりつつあり、短観で景況感や企業のインフレ期待が改善すれば、政策修正への警戒感がさらに強まる可能性があります。12月FOMCと合わせて相場が大きく変動する要因となり得るため、注目です。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2023年12月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】6週連騰のS&P500、FOMCが天王山/なぜアドビ・オラクル決算が重要か?(12/11) 【銘柄紹介】メドレー/東洋インキ/資生堂 ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/11 20:00
【今週の米国株】6週連騰のS&P500、FOMCが天王山/なぜアドビ・オラクル決算が重要か?(12/11)
先週:小幅ながら上昇、これで6週連騰 前週の米国株は、前半は高値警戒感や雇用統計発表を前に上値が重い展開が続きましたが、週末に主要3指数であるNYダウ、S&P500、ナスダック総合は年初来高値を更新しました。 雇用統計の不安を”インフレ鈍化”統計が和らげる 7日(木)までに発表されていた雇用関連指標は米国における労働需要の低下傾向を示していたため、8日(金)に発表された11月雇用統計の非農業部門雇用者数増加幅が市場予想を上回ったことは株式市場にとってはサプライズとなり、政策金利高止まり長期化への懸念から株価は下落しました。ただし、平均時給の伸び率が横這いだったことや、同日10時発表の12月ミシガン大学調査による消費者期待インフレ率が11月確報値から低下したことからインフレ懸念は後退しました。最終的に市場では「FRBが追加利上げをするほどの状況ではない」と受け止められ、8日の株価は上昇して引けています。 Point1:13日(水)、24年の利下げを探るFOMC 12月FOMC(米連邦公開市場委員会)が12日(火)から開催され、13日(水)に結果が発表されます。12月FOMCは、FRB(米連邦準備理事会)の経済予測や、いわゆるドットチャートと呼ばれるFOMC参加者の今後の政策金利見通しが公表される会合です。 今回のFOMCでは政策金利据え置きがコンセンサスとなっていることから、市場の関心は2024年以降の金融政策に移っています。市場では、既に2024年に4~5回程度の利下げを織り込んでおり、米長期金利も4.2%まで低下しています。野村では、 ドットチャートで2024年中に「2~3回の利下げ」が示されるとみています。FRBが市場予想ほどの利下げ見通しを示さなかった場合、米長期金利は上昇し、株式市場も下落する可能性があります。 Point2: 12日(火)発表のCPIには目配りが必要 FOMC会期中の12日(火)には11月CPI(消費者物価指数)が発表されます。先週の株式市場でもインフレ指標が高い関心を集めたことから、予想と大きく乖離することがあれば市場のボラティリティが高まることも想定されます。市場予想では、食料品・エネルギーを除くコアCPIは前年同月比+4.0%と、前月から横ばいを想定しています。 野村でも同水準を予想しており、自動車ローンの与信条件の厳格化により新車価格が下落したり、雇用指標の軟化を受けた家賃関連のインフレ率が低下したりすることがコアCPIを下押しする状況が続くと判断しています。 そのほか、今週発表が予定される主要経済指標としては、13日(水)の11月PPI(生産者物価指数)、14日(木)発表の11月小売売上高、15日(金)の12月S&PグローバルPMI速報値などが挙げられます。 Point3:アドビ、オラクル…実は重要な9-11月期決算発表 米国は早くも9-11月期決算発表が本格化します。9-11月期決算企業数はS&P500企業ベースで全体の4%にすぎませんが、最も企業決算が集中する10-12月期決算(同、全体の89%)と2か月分の重なりがあることから、米国株を見通す先行指標として重要な決算期となります。 今週は、11日(月)引け後にオラクル(ORCL)、13日(水)引け後にアドビ(ADBE)の決算発表が予定されています。オラクルは主力のクラウド事業であるOCI(オラクル・クラウド・インフラストラクチャー)で、マイクロソフト(MSFT)やエヌビディア(NVDA)との協業を進めており、顧客企業が利用するクラウドサービスにAI(人工知能)を活用することで付加価値を高めています。アドビは、Adbe Fireflyという生成AIを活用した画像生成機能を編集ソフトのユーザーに提供し、機能強化を図っています。両企業ともAIを製品販売、業績拡大に積極的に活用していることから、1ヶ月後の大手ハイテク決算の事業環境を考える上でも示唆が多いと想定されます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/11 15:50
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、反発 米国株上昇と円高一服が支え(12/11)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前週末比357円高の32,665円で取引を開始しました。前週末の米国株式市場で主要3指数が揃って上昇したことに加え、為替市場で円高進行が一服したことが好感されました。寄付き後早々に、上げ幅は一時、前週末比625円高となる場面もありましたが、買い一巡後はおよそ32,800円台でもみ合いとなりました。後場に入ると、アジア株式市場が軟調に推移したことから、やや上げ幅を縮小し、32,700円台でのもみ合いとなりました。その後は新たな材料がない中、一進一退となり、前週末比483円高の32,791円でこの日の取引を終えました。 業種別では、電気・ガス業が前週末比+4.83%と大きく上昇しました。東京電力ホールディングスが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を巡る思惑により、前週末比+14.63%となったことが寄与しました。 本日発表予定の海外経済指標等 特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/11 15:30
【資本市場の話題】中国のトランジション・ファイナンスの進展
鉄鋼や化石燃料等のエネルギー集約型・高炭素排出型産業を中心に高度成長を実現してきた中国は、世界最大の二酸化炭素排出国となり、環境問題が経済発展の足かせとなりつつある。そこで、中国政府は、2015年からグリーンファイナンス推進を重要施策として取り組み、60年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を実現するという目標を掲げた。目標達成に向けて、中国政府はグリーンボンド市場の育成に注力しており、22年時点の中国のグリーンボンド発行額は米国を超え、世界1位となっている。 そして、国際資本市場協会(ICMA)がクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(CTFH)を20年12月に公表したのをきっかけに、中国では脱炭素社会への移行に向けた金融(トランジション・ファイナンス)の活用も進んでいる。その背景として、トランジション・ファイナンスはグリーンボンドによる資金調達が難しい上記産業の移行支援に役立つことが挙げられる。 具体的な取り組みとして、中国銀行(BOC)が21年1月に、中国国外で世界初のCTFH に準拠したトランジションボンドを発行した事例が挙げられる。22年時点で、中国国内におけるトランジションボンドの発行額は1,319億元(196億米ドル相当)で、その規模は日本に次いで世界2位となっている。発行体は、石炭火力発電、化学等の産業が中心となっている。 一方で、中国のトランジション・ファイナンスは、CTFHや日本の「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」と比べて、「中長期的な科学的根拠のあるトランジション戦略」の要素が欠けているとされる。また、中国は23年11月末時点で、日本政府が策定している業種別のロードマップを策定していない。 ただ、中国のトランジション・ファイナンスの仕組みは、一部地域で試験運用を行い、その経験を生かして全国に適用していくことが想定される。この手法は、新制度の適用により生じ得るリスクが低減されるというメリットがあり、日本のトランジション・ファイナンスの発展の参考になり得よう。日本と共に中国のトランジション・ファイナンスが今後、どのような動きを見せるのか、注目に値しよう。 (野村資本市場研究所 宋 良也) ※野村週報 2023年12月11日号「資本市場の話題」より <お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/11 12:00
【銘柄紹介】メドレー/東洋インキ/資生堂
メドレー(4480) 情報・通信 医療ヘルスケアの課題解決を目指す 2009年に医療ヘルスケア領域に特化したインターネット企業として設立。「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションを掲げ、事業を通じた社会課題の解決および事業を支える基盤作りを推進する。 ヘルスケア職種の人材紹介を行う人材プラットフォーム事業(人材PF)と、医療機関の業務効率化や患者の医療アクセス向上等を実現する医療プラットフォーム事業(医療PF)が2本の柱である。人材PFは人手不足を背景に契約事業所数を拡大しており、キャッシュカウかつ成長事業である。医療PF は23.12期に損益分岐点到達を予想、収益性の向上が見込まれる。両輪の成長が中長期の業容拡大を牽引しよう。 国策の流れに沿い、追い風とする 人材PFは看護師、介護職を始めリハビリ、歯科関連等多彩な職種を対象とし、オンライン完結・低手数料率を特徴に求人数、求職者を獲得している。米国進出も準備中である。医療PF では日本最大級のオンライン診療・服薬指導システムである「CLINICS」や、電子カルテ等の医療情報システムを展開している。 医師と患者がITを使いこなす基盤を創る当社の事業は、政府が推進する医療DX(デジタルトランスフォーメーション)工程表を後押しするものである。24年より実施の医師の働き方改革では、DX による業務効率化と多職種連携ニーズが高まり、当社に追い風となろう。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 繁村 京一郎) 東洋インキSCホールディングス(4634) 化学 EV材料が成長ドライバーの中堅化学企業 印刷インキを創業とするスペシャリティケミカル企業。ディスプレイ向けレジストインキや接着剤、パッケージインキなどが主力製品。EV(電気自動車)電池向け導電助剤のCNT(カーボンナノチューブ)分散体は高い競争力を誇る。 2023年7~9月期はポリマー・塗加工や印刷・情報を中心に価格転嫁が進み、高水準の利益となった。24.12期は、大型ディスプレイ向けのレジストインキの販売数量は最終需要の弱さにより低調と見込む一方、①台湾の中小型ディスプレイ向けレジストインキの数量回復、②CNT分散体の数量増による赤字縮小、③ポリマー・塗加工などの価格転嫁が打ち返し、増益を見込む。 EV材料のCNT分散体は売上増加が続こう 25.12期以降の当社利益をけん引するEV材料のCNT 分散体はEV の航続距離の増加に寄与するため、バッテリー各社で採用が進んでいる。当社の販売はSK on 向けが主流であるが、23年7~9月期からはCATL向けの販売も始まり、同事業の売上増加を加速させよう。 当社製品は競合に比べてCNT の分散能力が高いため、効率的にバッテリーに導電性を付与することができる。その結果、SK on向けの市場シェアは80%程度と高いと推定している。今後は高い商品性能を生かしてLG Energy Solutionなどにも販売先を広げ、売上を伸ばせる可能性は十分にあるだろう。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 吉武 祐翔) 資生堂(4911) 化学 日本最大の化粧品企業。海外展開も進む 1872年創業の日本最大の化粧品メーカー。SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、エリクシールなど中高価格帯のブランドを中心に展開する。2022.12期の海外売上高比率は71%。中国を中心に欧州、米州などグローバルで事業展開している。 コロナ禍以降は内需低迷やインバウンド売上の減少もあり、コロナ禍前比で業績の回復は鈍い。当社は事業の注力領域をプレステージのスキンケアと定め、パーソナルケア等の低価格帯や一部のメイクアップ、フレグランスブランドを売却。分散していたマーケティング費用等を主力ブランドへ集中することで投資効率化が進み、ROI(投資利益率)は改善傾向にある。 業績改善へ追加的な構造改革を実施 23年7~9月期コア営業利益は前年同期比53%減の88億円。ALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出に伴う日本への風評影響、トラベルリテールでの規制強化等による在庫調整影響を受け、中国中心に販売が減少し、通期会社計画も下方修正された。会社は追加の構造改革を公表。日本、中国等で品目数や人員等の固定費を削減し、25.12期に400億円の利益創出を計画(22.12期比)。また、中国依存度の高さから脱却を目指し、欧米、アジア太平洋へ収益分散を進める。構造改革の進捗に留意は必要ながら、業績はインバウンド売上回復等もあり23.12期を底に24.12期は回復に向かうと野村ではみている。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 大花 裕司) ※野村週報 2023年12月11日号「銘柄研究」より <お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/11 08:39
【モーニングFINTOS!】1月マイナス金利解除なら日本株は(12/11)
海外市場の振り返り 8日の米国市場では、11月米雇用統計が発表されました。雇用は総じて堅調な結果となったことで米長期金利は上昇し一時株価は下落しました。しかし、同日昼頃に発表されたミシガン大学調査による期待インフレ率が市場予想を下回ったことで株価は反発、米国株3指数は上昇して取引を終えました。 相場の注目点 野村證券では日銀の政策見通しを、2024年1月:マイナス金利解除、同4月:YCC撤廃、に変更しました。マイナス金利解除が前倒しされ、YCC撤廃に先行する予想となっています。今回の変更に合わせ、為替ストラテジストもドル円予想を2023年12月末:144円(従来:146円)、2024年3月末:142円(従来:145円)と修正しています。 株式ストラテジストは、日本株見通しは変更せず、日経平均は2024年6月末:37,000円、同12月末:38,000円を維持しています。理由としては、(1)マイナス金利解除そのものは、翌日物金利を0.10%引き上げることに過ぎない、(2)市場は10月までの0.25%への再利上げも既にフルに織り込んでいる、(3)期待インフレ率は1.3%と十分に高く、実質政策金利は1%前後の大幅マイナスが続く、(4)日銀の金融政策正常化はデフレ脱却達成のシグナリング効果をもつ、(5)ETF購入については、日銀内で副作用への懸念が高まっておらず当面継続が見込まれる、などが挙げられます。 本日のイベント 15時に11月工作機械受注(速報)が発表されます。各業種の動向を見る上で注目が集まります。 (投資情報部 デジタル・コンテンツ課) (注)データは日本時間2023年12月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【オピニオン】2024年・辰年縁起「昇竜」相場となるか 【今週のチャート分析】日経平均は12月に入り不安定な動き、25・75日線が下支えなるか (12/8) ご投資にあたっての注意点
-
2023/12/10 19:00
【オピニオン】2024年・辰年縁起「昇竜」相場となるか
2023年も残すところあと僅かです。今年は、前年からのインフレ加速がピークアウトする中、米国の金融引き締め終了と緩和への転換時期を巡って、株式だけでなく金利や為替など金融市場全体が一喜一憂する一年となりました。さて、毎年この時期に話題となる『干支』。2024年は「辰年」です。過去の辰年の金融・株式市場の動向を振り返ってみましょう。 2024年の干支は、正確には『甲辰(きのえ・たつ)』です。干支は「十干(じっかん)※」と「十二支」の組み合わせで成り立っています。「甲」は十干の1番目。亀の甲羅を形取った象形文字で、植物の循環では「硬い殻に覆われた草木の種子が成長の時を待つ状態」を意味しています。「辰」は十二支の5番目。「蜃(ハマグリ)」の原字で、二枚貝が足を出して動くさまを示しています。また、「辰」は「振(ふるう、ととのう)」に通じ、陽の気で万物が振動し「草木が成長して形が整っていく様子」を表しています。動物は空想上の生物「竜(龍)」が当てられ、古代中国では「皇帝、権力」の象徴です。総じて「甲辰」は、新たな出発や成長、活力に満ちた時期を意味すると捉えられます。2024年は殻を破って成長する「昇竜」の年となるでしょうか。 歴史を紐解くと、前回の「甲辰」は60年前の1964年です。アジア初の東京オリンピックが開催され、並行して世界初の高速鉄道「東海道新幹線」が開業するなど、目覚ましい経済発展で日本が名実ともに先進国の仲間入りをした記念すべき年となりました。 戦前を含めた過去8回の「辰年」の日経平均株価の年間騰落率を見てみると、上昇した年と下落した年の割合は4勝4敗(勝率50.0%)、勝率ランキングでは十二支の中で10位タイと下位に留まります。しかし、年間の平均騰落率は+16.9%で、子年(+39.8%)、卯年(+17.0%、2023年11月30日時点)に次ぐ3位と堅調です。2023年末の日経平均株価を33,000円と仮定して年間16.9%高となれば、24年末には38,000円台半ばまで上昇する計算になります。 十二支にまつわる兜町の相場格言には、『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』とあります。ここでの「天井」はネガティブな意味ではなく、「高値で推移する」ことを意味します。金融市場では、タカとハトの「竜虎相搏(あいうつ)」のせめぎ合いが続いています。国内では、日銀の異次元金融緩和からの脱却の成否が、日本株復活に向けた「登竜門」となりそうです。東証が一石を投じた企業改革加速への期待や新NISA(少額投資非課税制度)のスタートが「竜頭蛇尾」とならず、「竜の水を得るが如く」2024年の日本株に新たなムーブメントを起こすことに期待したいですね。 ※「十干」とは、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」。「十二支」と組み合わせた「干支」は60年周期で一回り(=還暦)する。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ご投資にあたっての注意点