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2023/12/06 08:35
【モーニングFINTOS!】米国株横ばい圏 中国景気への懸念が重石(12/06)
海外市場の振り返り 5日の米国株式市場では、NYダウ、S&P500は小幅安となった一方、ナスダックは小幅高となりました。やや軟調な経済指標を受け、米国景気への懸念が強まった一方、金利低下が株価を下支えしました。米大手格付け会社が中国の信用格付け見通しを引き下げました。世界最大の商品消費国である中国景気への懸念が強まり、銅価格などが下落する中、エネルギーや素材セクターが軟調でした。 相場の注目点 目先の市場の注目イベントは、8日に発表される米国の11月雇用統計です。5日に発表された11月非製造業景気指数は市場予想を上回ったものの、雇用DIは50.7と市場予想(51.4)を下回りました。また10月のJOLTS求人数は2021年3月以来の低水準となり、雇用統計に向けて期待値を低下させています。野村證券は米国時間5日、FRBの利下げ開始予想時期を従来の2024年9月から同年6月へと前倒ししました。最近の物価及び雇用関連指標の弱さに加え、FRB高官発言のハト派化から、インフレ減速に対応した予防的な利下げの可能性が高まったと判断しています。米国の雇用情勢、金融政策に引き続き注目が集まります。 本日のイベント 本日は雇用統計の前哨戦となる11月ADP全米雇用レポートの結果に注目です。 (投資情報部 大坂 隼矢) (注)データは日本時間2023年12月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(12/5) 【野村の投資判断】海外投資家が注目する日本株「3大トピック」 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/05 19:00
【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(12/5)
デンソーとさくらインターネットが急浮上 デンソー(6902)は、前週の24位から4位に順位を大きく上げました。トヨタ自動車(7203)、豊田自動織機(6201)、アイシン(7259)の3社は11月29日、デンソーの株式を売り出すと発表しました。売り出しの規模は、3社合計で約6,700億円(29日終値ベース)に達します。同日、デンソーは株式市場への影響を抑えるため、上限2,000億円の自社株買いを行うと発表しました。事前の観測報道があったことも影響し、発表の翌日である30日のデンソー株は前日比0.70%高で取引を終えました。 さくらインターネット(3778)は、前週のランキング圏外から6位に急上昇しました。デジタル庁は11月28日、政府や地方自治体のシステム共同基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」の提供事業者としてさくらインターネットを追加することを発表しました。国内企業が選ばれるのは初めてのことです。発表日である28日のさくらインターネット株は前日比25.0%高と制限値幅の上限(ストップ高)で取引を終えました。 神戸製鋼所(5406)は、前週の11位から9位に上昇しました。同社は11月28日、ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行し、約500億円を調達すると発表しました。この資金のうち、約300億円は借入金の返済に、残りの約200億円は鉄鋼事業や電力事業の脱炭素化への投資に充てられる予定です。発表の翌日である29日、神戸製鋼所株は前日比4.29%安で取引を終えました。 (野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年12月4日時点。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/05 15:30
【新産業紹介】食品の保存期間を延ばすコーティング技術
食品の保存期間を延ばす新たな手法として、食品自体をコーティングする技術の実用化が進んでいる。 食品の表面に食品コーティング剤を直接塗布すると、薄い保護膜が形成される。コーティング剤の活用が想定される食品は、ロス率の高い青果、水産物、畜産物といった生鮮食品である。コーティング剤によって違いがあるものの、主に対象物からの水分蒸発を抑えつつ、酸素や雑菌等の侵入を防ぐ効果がある。コーティング剤の主な成分は食品添加物や天然由来成分であり、人体への影響や環境への負荷を抑えることも意識されている。現在、米国を中心に各国の企業が技術の開発、実用化に取り組んでおり、注目が高まっている。 NanoSuitは、自社開発溶液とプラズマ照射によって食品を殺菌しつつ水分蒸発を抑制する技術を開発する、浜松医科大学発ベンチャー企業である。神戸市と実施した実証実験では、同社技術による処理を加えたマスカットをドライコンテナ(常温輸送の一般的なコンテナ)で香港へ輸出し、11日間鮮度が保持されたことを確認した。 Akorn Technology は非遺伝子組換のとうもろこしを主原料とした、100%植物由来のコーティング技術を開発する米国のスタートアップ企業である。同社のコーティング剤は、りんごやアボカド、洋ナシ等7種類の作物に使用可能で、重量減少や腐敗、カビの軽減等の効果が確認されている。 食品コーティング技術は、包装や冷蔵・冷凍といった既存の食品保存技術では難しかった、環境負荷の低減が期待されている。例えば、食品の鮮度維持に使われてきた各種包装資材を食品コーティングに置き換えると、包装資材の廃棄時に発生するプラスチック等のゴミを削減できる。また、輸送手段を航空機やリーファーコンテナ(温度管理機能を持つコンテナ)から鉄道やドライコンテナへ置き換えられるため、輸送時のCO2排出量の削減も期待される。 現状、食品コーティング技術には、専用設備の導入やコーティング剤のランニングコスト等、費用面での課題が残る。今後は、事業のサステナビリティ(持続可能性)の観点から、食品の保存期間のみならず環境への負荷も強く意識されよう。各種課題が解決され、食品コーティング技術が汎用化される日が待たれる。 (野村證券フロンティア・リサーチ部 内田 雄己) ※野村週報 2023年12月4日号「新産業の潮流」より ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/05 09:30
【業界展望】働き方改革の建設業界への影響と対応
24年4月から働き方改革の適用が始まる 建設業界では、2024年4月から残業時間の規制が始まる。他の産業に遅れて始まるかたちではあるが、これまで特別条項を結べば残業の上限規制がなかったところ残業時間の上限が設けられ、守らなければ罰則を受けることとなる。具体的な残業時間の制限は月45時間、年360時間となり、臨時的な特別な事情がある場合でも、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内に収めなければならない。建設現場では土日や深夜作業の稼働により残業時間が多いため、現場の稼働日の削減や交代勤務の推進などが必要な状況である。 官公庁工事における足元の発注案件では4週8閉所(週休2日)が義務付けられており、土木では4週8閉所以上の工事が22年度において55%に達し、労働時間の削減が進められている。一方、民間向けが中心である建築では4週8閉所以上の案件は31%に留まっており、働き方改革が遅れている。発注者の理解が進んでいないことや、既に契約済みの案件での工期の延伸は難しいケースが多いことが背景にある。 生産性の改善や受注抑制が必要な状況 既に契約済みの案件では、発注者側がテナントの募集等を始めていることなどもあり、工期の延伸は難しい。今後ゼネコン各社は生産性の改善や受注する案件の受注量の調整等が必要な状況であると言える。例えば、ゼネコンでは生産性の改善に向け、BIM / CIMを用いた図面のデジタル化や各種資料のデータ化とクラウド上での管理・共有、iPadやスマートフォンを用いた写真撮影と図面などの各種データとの紐づけ、測量や管理業務でのドローンの活用などを進めている。設備工事の会社では、標準化された部材の組み立てを工場で行い現場施工の削減を目指すオフサイト工法を推進している。 足元のゼネコン各社の繰越工事高は大手ゼネコンを中心に再開発案件や工場、物流倉庫案件などで高水準であり、施工キャパシティも上限に近いだろう。昨今では品質面での問題が発覚する事案も散見される。ゼネコン各社は品質と工程管理の徹底に向け、受注量の調整と余裕を持った人員配置が求められよう。 競争緩和に寄与も短期はコスト上昇が懸念 現場の施工を行う技能労働者は若年入職者の減少と高齢化が進展し、総数が減少傾向にある。残業時間の規制に伴い技能労働者の労働時間が制限されることになれば、労働需給はもう一段タイト化すると見込まれる。その中で労務費上昇による採算悪化や売上の伸び悩みが建設各社の業績面でのダウンサイドリスクとなろう。 特に都市部では工事量が多く労働需給が既にひっ迫しており、労働需給のタイト化が一段と進めば技能労働者の確保が難しくなるリスクがある。手持ちに大型の再開発案件を数多く抱える大手ゼネコンでは工程遅延が発生すれば追加の労務費が拡大するリスクに留意したい。 中期的にはゼネコン各社の受注抑制により競争環境が緩和し、受注時利益率が一段と上昇する可能性もある。14年度や15年度では発注量が増加傾向にある中で施工キャパシティ以上の発注があり、値上げが進みゼネコン各社の業績は17年度まで上向き基調となった。今後発注が見込まれる大型案件のパイプラインは再開発案件や工場案件等により豊富であり、労務費の上昇の価格転嫁も含めて、値上げを進めることができる状況であろう。 人手不足解消に向けた処遇改善も必要 慢性的に建設業界の賃金は製造業などに比べ低く、技能労働者の減少傾向に歯止めをかけるには長時間労働の是正と同時に処遇の改善が必要であろう。これまで、ゼネコン各社では厳しい価格競争が発生し、協力会社の労務単価の引き上げは進まなかったと見られる。足元では労働需給のひっ迫と豊富な発注案件をうけて競争は緩和に向かっている。環境の変化を追い風として慢性的な人手不足を解消するには、中長期的に技能労働者の処遇や働く環境の改善を継続させて進める必要があると言える。 技能労働者の賃金が低い水準にとどまっている背景として、重層下請構造の問題も一因となっていよう。その中で、大手ゼネコンの鹿島は21年より、重層下請構造の改革に取り組んでいる。具体的には実質的な関与の少ない仲介業者の排除や、一次会社の従業員の能力向上や多能工化の取り組みに支援を進めている。同社では、23年2月時点で二次下請け以内の施工現場の比率は74%まで上昇し、重層下請構造の施工は減少している。重層下請構造は安全や品質面で管理が不十分となるリスクも抱えており、働き方改革と合わせて各社で早急な対応が求められよう。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 濱川 友吾) ※野村週報 2023年12月4日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/05 08:22
【モーニングFINTOS!】短期的な過熱感が重石となり、米国株反落(12/05)
海外市場の振り返り 4日の米国株式市場で、主要3指数は揃って下落しました。この日は、主要な経済統計の発表もない中、前週末にNYダウとS&P500指数が年初来高値を更新したことで、短期的な過熱感への警戒が広がりました。 相場の注目点 FRB(米連邦準備理事会)は12月12-13日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて、12月2日からブラックアウト期間(金融政策に対する公的な発言を自粛する期間)に入っており、今週は講演等は予定されていません。ただし、今週は重要統計の発表が予定されているため、金融政策を巡る手掛かり難から膠着相場となる可能性は低いと思われます。 米国では6日(水)にADP全米雇用レポート、7日(木)に新規失業保険申請件数と続き、8日(金)には11月の雇用統計が発表されます。米金融市場では、11月FOMC以降、米国景気の軟着陸と長期金利の低下のいいとこ取りを織り込むような相場展開が続いています。このため、雇用統計が市場予想に対して上下どちらの方向に振れた場合でも、市場の反応が注目されます。 本日のイベント 米国では11月ISMサービス業景気指数が発表されます。サービス業の堅調が続くか、注目されます。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2023年12月5日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】米国株投資家の悩みの種、「円高」をどう考えるか(12/4) 【野村の投資判断】日本株では半導体関連に好材料が多い ご投資にあたっての注意点
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2023/12/04 20:00
【今週の米国株】米国株投資家の悩みの種、「円高」をどう考えるか(12/4)
先週:長期金利は3ヵ月ぶりの水準まで低下 前週の米国株は、米長期金利(10年国債利回り)が4.4%台から4.1%台に低下し、株価の追い風となりました。 ウォラー理事発言がきっかけ 先週、株価上昇のきっかけとなったのは、FOMC(米連邦公開市場委員会)内でもタカ派として知られるウォラー理事が28日(火)に行った講演でした。ウォラー理事からは「あと数カ月インフレ率が低下し続ければインフレ低下に対応した利下げを開始することが可能」というハト派姿勢への変化を示唆する発言があり、米長期金利は低下しました。 パウエル議長講演で金利低下が加速 1日(金)のパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の講演でも早期利下げ観測に対する強いトーンでのけん制はなく、米長期金利はさらに低下しました。FF(フェデラル・ファンド)金利先物から見て、2024年中の利下げ予想は1.30%ポイントまで拡大し、7割の確率で2024年3月までに利下げが開始されることが市場に織り込まれています。 Point1:8日(金)の雇用統計などに注目 野村の小清水ストラテジストは「景気指標が減速を示す間は金利が低下余地を試しやすい」と予想しています。1日(金)に発表された11月のISM製造業景気指数は46.7と市場予想(47.8)を下回るなど緩やかな景気減速を示しました。今週も、5日(火)の11月ISMサービス業景気指数と、8日(金)の11月雇用統計は注目が高まると考えられます。 なお野村では、カード取引額で見た個人支出は底堅く推移しており、急減速しているわけではなく、雇用統計は季節調整の歪みから12月分・1月分は実勢並み~上振れとなると予想されることから、年明け以降の経済指標は上振れする余地があると考えています。目先低下余地を試した後、13日(水)のFOMC結果発表や年明け以降に反動で一旦上昇すると想定しています。 Point2:「予防的利下げ」はあるか? 比較対象となる「1995年」利下げ 今後も底堅い景気指標が続くとすれば、現在の米長期金利の低下はやや行き過ぎと考えられます。それでも市場が2024年の利下げをさらに織り込むとすれば、通常の利下げとは異なり、先々の景気悪化を見越して行われる「予防的利下げ(insurance cuts)」を期待していると解釈されます。過去、「予防的利下げ」が行われた事例では1995年、1998年、2019年が挙げられます。 このうち1998年はアジア金融危機、2019年は米中間の関税引き上げ合戦によって金融市場・実体経済が打撃を受けるリスクが深刻化したことをきっかけとした利下げでした。一方、1995年は突発的なショックは無く、前年までの急激な利上げを受けて景気減速が強まったことによる利下げであり、現局面との比較対象として妥当と考えられます。 インフレ低下見込みなら利下げ発動も 1995年当時重視されたのは、景気減速の持続性や深刻度合いの判断でした。この点、1994年10-12月期には年率5%だった実質GDP成長率は、1995年1-3月期には同3%となり、その後の月次指標から4-6月期にはゼロ%成長との見込みが強まり利下げが実施されました。このことから、インフレ率が十分に低下していない段階でも、「景気減速が強まることでインフレ率が低下基調を辿るとの見込みが強まれば利下げが決定され得る」ことが考えられます。 発動された場合でも慎重に行われる 実際には、1995年の利下げ後は景気指標が改善し、利下げを行った7-9月期は年率4%の高成長となりました。このため、その後の景気減速期において利下げは小幅かつ時間をかけて慎重に行われることとなりました。このことは「利下げに際しては金融環境が過度に緩和的にならないよう配慮することが重要である」ことを示唆していると考えられます。 先週末からFOMC参加者は沈黙期間(金融政策に関する言及を控える期間)に入っています。FOMCメンバーによる発言はないため、想定以上の経済指標下振れなど、市場に1995年を想起させる事態には注意が必要です。 Point3:円高はどこまで進むか 米国株投資家にとっては、円高ドル安も気になる局面です。ドル円は一時146円台まで調整したことで、直近の円安時(151円台)から3-4%ほど米国株の円建てでのパフォーマンスが低下しています。野村の後藤ストラテジストは、足元の為替について「米指標の顕著な下振れがなければ、足元のドル円は146-150円程度でのレンジ相場感が強まる」と予想しています。前述の米経済指標に加え、4日(月)の日銀ワークショップや、5日(火)11月東京CPI(消費者物価指数)、8日(金)10月毎月勤労統計など日本の指標にも目配せが必要です。 なお、野村では2024年12月末に1ドル=135円を予想しており、現時点から7-8%の円高ドル安です。ただし、円高見通しの背景には、2024年後半の米金利低下(2024年末 米国10年国債利回り:3.65%、日本10年国債利回り1.10%)を前提としており、米国で企業のEPS(一株当たり利益)を大きく低下させるような景気後退を想定しない限り、米金利低下は株価にプラスの側面もあります。為替を理由に米国株投資から離脱すべき局面ではないと考えられます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/12/04 16:30
【イブニングFINTOS!】日経平均株価 続落 円高進行が重石(12/4)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前週末比113円安の33,318円で取引を開始しました。為替市場でドル円レートが円高ドル安に振れたことが嫌気されました。寄付き後は下げ幅を拡大し、一時前週末比408円安となる場面もありました。もっとも、足元で急速に円高が進み、朝方には約3ヶ月ぶりの高値をつけていたことから、円高ドル安が一服すると、日経平均株価も下げ渋りを見せました。午後に入っても新たな材料がない中、33,200円近辺で一進一退となり、前日比200円安の33,231円と、続落してこの日の取引を終えました。一方で、東証グロース市場250指数は反発しました。 業種別では、バルチック海運指数の上昇を背景に、海運業が上昇した一方で、円高進行が重石となり、輸送用機器の下落が目立ちました。個別では、幅広い銘柄が下落し、中でもマツダやバンダイナムコホールディングス、三菱自動車などの下落が目立ちました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・10月製造業受注(前月比:%) 前月:2.8 予想:-2.6 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/04 15:30
【経済データの読み方】インフレの基調を捉えるためのツール
日本銀行は「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」として、加重中央値、刈込平均値、最頻値の3指標を公表している。このうち加重中央値は、品目別価格上昇率の高い順にウエイトを累積して50%近傍にある価格変化率を指す。CPI(消費者物価指数)総合やコアCPI(生鮮食品を除く総合)のような加重平均値と異なり、加重中央値は極端な価格変動を伴う品目による影響を受けにくいことになる。 加重中央値の実績を確認すると、最新データが得られる2023年10月時点で前年同月比+2.2%まで加速した(図表)。数字上は、日本銀行が物価安定目標として掲げる2%のインフレ率に到達したことになる。 ただ、為替レートや原油価格といった一時的な外的要因が、加重中央値から完全に除外されているわけではない点に留意する必要がある。足元のインフレ加速局面においては、多くの品目が外的要因による影響を受けている点を踏まえると、加重中央値の数字と日銀の物価安定目標が一対一対応する訳ではない点に注意が必要だ。 外的要因による影響を極力除去するため、野村では「サービス版加重中央値」(持家の帰属家賃を除く)を用意した。サービス産業は、①費用全体に占める人件費のウエイトが比較的大きい、②人件費は光熱費や原材料費と比較して硬直的である、等の特徴がある。 「サービス版加重中央値」の実績をみると、23年10月時点で前年同月比+1.0%となった。全体版の加重中央値と比較すると、伸び率は依然低い一方、足元では緩やかに加速していることがわかる。サービス品目におけるインフレの基調が少しずつ高まっているとみられる。先行きにおいても、インフレの基調が高まっているか判断する上で、サービス版加重中央値の動きは一つのツールになると考えられる。 (野村證券経済調査部 伊藤 勇輝) ※野村週報 2023年12月4日号「経済データを読む」より ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/04 09:30
【銘柄紹介】信越化学/三浦工業/東京エレクトロン
信越化学工業(4063) 化学 塩ビと半導体ウエハの世界トップ企業 塩化ビニル樹脂(塩ビ)、半導体シリコンウエハで世界首位の大手化学メーカー。エコカーやロボット向けなどのレアアース・マグネット、半導体用フォトレジスト、光ファイバー用プリフォーム、化粧品用シリコーン、建材や塗料用セルロース等でも高い競争力を誇る。 米国では金利の高止まりが持続しており、住宅需要に強い回復感は見えていない。そうした中で当社は、塩ビの新プラント稼働による生産性の改善や強固な販売力を背景に、底堅い業績を維持できている。米国では人口増加が続いていることから、米金利がピークアウトすれば需要が一気に拡大に転じる可能性があるだろう。 半導体材料の先行きに明るさが見える 半導体の在庫調整の進展により、足元でメモリのビット成長は急回復しており、会社は先行きの半導体材料需要の回復に自信を深めている。300mm ウエハの当社売上は顧客在庫が多く、2024年1~6月に向けて強い回復は期待しがたいが、半導体メーカーの稼働改善に伴い、23年10~12月期から前四半期比で改善に向かうだろう。 当社は300mm ウエハの長期契約を28.3期分までほぼ結んでいる。グリーンフィールド投資(海外直接投資の一種)によるコスト増を補うために、25.3期以降の販売分については販売価格が上昇する形で顧客と契約を結んでいるが、こちらも顧客に遵守してもらうとしている。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 岡嵜 茂樹) 三浦工業(6005) 機械 営業利益の安定成長力を評価 当社は国内貫流ボイラ市場のシェア約6割を誇るトップメーカーである。当社はメンテナンス事業に注力しており、機器にセンサーを設置し、24時間のオンライン監視体制で事前に異常を検知し、故障停止を未然に防ぐ“ビフォアメンテナンスサービス”を強みとする。例えば更新期間が15年のボイラの場合、契約開始年から15年目にかけてメンテナンス料金が段階的に上昇していき、安定的なキャッシュフローが生み出される仕組みとなっている。国内メンテナンスは全社営業利益の約半分を占め、安定した収益基盤として業績を支える。海外でのメンテナンス契約数もボイラの新規販売に伴い拡大している。 海外は中国筆頭に拡大を図る 当社はこれまで中国を注力地域としてきており、足元でもその方向性に変わりはない。中国経済の減速感が強まる中、顧客の投資意欲の停滞といった逆風を受けるものの、非効率なガス焚きボイラを対象に無料診断を行い、当社ボイラへの入れ替え提案を行う。メンテナンス契約率は向上してきており、中国事業の収益は安定してきている。また、米州事業の売上は中国事業と同程度まで成長してきており、代理店との協力関係の強化が奏功しているとみる。 2024.3期は国内ランドリー企業の持分法適用の影響もあり、営業利益は前期比横ばいにとどまるが、25.3期以降は年率5~6%の安定した成長を予想する。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 王 博瓊) 東京エレクトロン(8035) 電気機器 日本一かつ世界有数のSPEメーカー 当社は半導体製造装置(以下、SPE)の製造を主に行っており、2022年の世界SPE市場におけるシェアは世界4位の12%程度と、世界有数のSPEメーカーである。装置ポートフォリオは幅広く、売上構成比が高い順にエッチング装置、コーター・デベロッパ、成膜装置、プローバなど。特に露光装置に付随する形でレジストの塗布や現像を行うコーター・デベロッパでは市場を独占するなど、ウエハのパターニングに使用される装置が主軸である。足元では生成AI(人工知能)用途向けにウエハボンダ出荷が増加するなど、ニッチ製品での競争力も有する。きめ細やかなカスタマーサポートも当社の強み。 短期的には業績は底打ち、回復局面へ SPE市場の底打ちにつれ、当社も23年7~9月期は前四半期比で増収と業績底打ち感が生じている。今後は生成AI用途による押上げもあるDRAM からSPE 市場の回復が始まると見るが、当社の装置・顧客ポートフォリオを勘案すると、当社はその好影響を十分に享受できると言えよう。 中長期的には各装置のシェア争いに注目する。特にエッチング装置は市場規模が大きく中期的な成長余地が大きいため、世界的に競争が最も激しい領域である。当社は23年6月に極低温でのエッチング技術を発表、3D NAND(3次元構造NAND型フラッシュメモリ)のメモリホールのエッチング工程の奪取を狙っている。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 吉岡 篤) ※野村週報 2023年12月4日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点