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2023/11/06 20:00
【今週の米国株】株価上昇は持続的か?業績と長期金利から確認(11/6)
米国では5日(日)に夏時間が終了しました。本日以降の米国株式市場の取引開始は日本時間で23時30分、取引終了は日本時間の朝6時です。ご注意ください。 先週:米長期金利と企業業績が好転 前週の米国株は米長期金利(10年国債利回り)の急低下と、7-9月期決算発表のポジティブサプライズ比率の回復が重なり、前々週末から大きく反発しました。 企業業績は市場予想を上回り推移 S&P500指数を構成する企業のポジティブサプライズ比率(注1)は、10月27日時点(244社発表)時点での純利益ベースで、77.6%と7-9月期決算発表が本格化する前の10月13日時点(32社発表)の87.5%から低下し、10月後半、株価への下押し圧力となっていました。 しかし、11月3日時点(403社発表)までの間に、ポジティブサプライズ比率は81.6%まで回復しました。 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2023年7-9月期には、2023年6-8月期決算、2023年8-10月期決算企業も含む。 (注2)直近4四半期平均とは2022年7-9月期~2023年4-6月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。 (注3)LSEG(旧リフィニティブ)による2023年10月27日時点(売上高について402社、純利益について403社)の集計。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 株価は予想EPS(一株当たり利益)、 × PER(株価収益率、長期金利と関係)で表現されます。 これまで市場のセンチメント悪化につながっていたとみられる企業業績が堅調さが確認されたことが、米国株の追い風となったと見られます。 長期金利が急低下 先週は、EPS以上にPERの上昇が株価にプラスとなったと考えられます。PERを大きく押し上げたのは、米長期金利の低下です。11月FOMC(米連邦公開市場委員会)を無風で通過したことに加えて、米国債の借り換え(リファンディング)において増発ペースが前回から鈍化したことや、10月雇用統計やISMサービス業景気指数が市場の想定以上に弱い内容であり、利上げの必要性が薄れたことが長期金利低下の背景にあるとみられます。 Point1. 7-9月期決算企業は予想修正の局面へ リビジョン・インデックスの推移 (注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2023年11月1日時点。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2023年12月期)、FY2は予想2期目(12月決算企業の場合、2024年12月期) 。 (出所) LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 S&P500構成企業の8割超の企業が7-9月期決算発表を終えているため、今週はアナリストの業績予想が注目されそうです。上図の通り、決算発表前~決算発表期間中には業績を慎重にみて下方修正するアナリストが多い傾向にありましたが、今後上方修正が進むと予想されます。 セクター別の前年比増益率(2024年) 投資家の注目度が高い2024年のS&P500指数の前年比増益率を、11月3日時点と10月13日時点とで比較すると以下の通りになります。 10月13日時点の予想 11月3日時点の予想 (注)2023年10月13日時点のLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。セクター名に付されている( )内の番号は、識別のために野村證券投資情報部で付与している番号。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 S&P500指数全体は、前年比+11.6%→同+11.7%と大きな変化はありません。セクター別では、ヘルスケアセクターは 同+12.7%→ 同+17.6%と比較的大きな上方修正が、不動産セクターは 同+4.3%→ 同+2.2%と下方修正がなされていることが確認できます。当然ながら、決算実績が良好であった企業やセクターは市場予想も上方修正される傾向にあります。これまでの決算内容を精査し、投資に活かす局面と考えられます。 ご参考:マグニフィセント7の決算振り返り アップル(AAPL):中国でのiPhone販売は堅調・見通しは比較対象期間と新製品のタイミングが重石、株価は-0.52% アマゾン・ドットコム(AMZN):生成AIは数百億ドルの売上高をもたらす、株価は+5.14%(時間外取引) メタ・プラットフォームズ(META):AIビジネスへのシフト順調・中東情勢が広告収入に悪影響、株価は-1.91%(時間外取引) アルファベット(GOOGL):ネット広告堅調もクラウド部門が市場予想を下回る、株価は-6.33%(時間外取引) マイクロソフト(MSFT):コパイロットのリリースを前にクラウド事業堅調、株価は+3.47%(時間外取引) テスラ(TSLA):サイバートラックの出荷や年間生産台数の目標を維持、株価は-2.13%(時間外取引) ※エヌビディア(NVDA)は8-10月期決算企業のため今後発表を予定 Point2.米長期金利低下は持続的か? 先週の株価上昇の一因と考えられる米長期金利の低下は持続的でしょうか。 現在、市場が織り込んでいる2024年中の利下げ幅は1.0%ポイントです。今年に入って市場でも最も大きく利下げを織り込んだのは、3月にシリコンバレー銀行(SVB)が破綻した直後の1.5%ポイントでした。今後、仮に市場が同程度の利下げ幅を織り込んだ場合、FF(フェデラル・ファンド)先物金利と10年国債利回りの関係が変わらないと仮定すれば、10年国債の居所は3.9%程度と試算されます。 一方、国債増発ペースはスローダウンしたとはいえ、タームプレミアム(長期の国債に上乗せされる金利)の高い水準が続いています。当社の小清水ストラテジストは、「現在の上乗せ幅を前提とするならば、当面の米長期金利の低下は4.3%程度で留まる」と予想しています。 足元で住宅ローンの上昇や株価下落(による”逆”資産効果)による景気下押し圧力がかかっていることから、10-12月期の景気鈍化の可能性は高まっているとはいえ、3月のような悲観的な見通しがコンセンサスとなるかは未知数です。今週は9日(木)発表の新規失業保険申請者数(11/4の週)や、10日(金)発表の11月消費者マインド速報値(ミシガン大学調査)など、景況感を示唆する速報指標に注目したいとと考えます。 Point3.FOMC後の参加者発言に注目 11月FOMCを終え、市場の目線は12月FOMCに移っています。今週からはFOMC参加者の発言も増えます。9日(木)のパウエル議長講演や、10日(金)のダラス連銀のローガン総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁などの講演内容に12月FOMCに向けたヒントがないか確認したいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 17:00
【決算銘柄】日本郵船、通期の経常利益予想を上方修正 自動車船が堅調
日本郵船(9101)/ 2024年3月期 第2四半期 2023年4-9月期の営業利益は988億円で前年同期比39.5%減益となりました。QUICKコンセンサス予想の1,002億円をやや下回る水準でした。なお、同期の経常利益は1,593億円で同79.2%減益となりました。定期船セグメントは、コンテナ船(国内海運大手3社が共同出資するオーシャン・ネットワーク・エクスプレス)が貨物需要の低迷や新造船の竣工による船腹供給量の増加などで苦戦し、経常減益となりました。一方で、不定期船セグメントも経常減益となりましたが、自動車船は需給がひっ迫している中でも船舶の稼働率を向上させたことで、輸送台数が前年同期比で増加するなど堅調な結果となりました。 会社は、2024年3月期通期の営業利益見通しを1,460億円から1,650億円に上方修正しました。QUICKコンセンサス予想の1,632億円をやや上回る水準でした。また、同期の経常利益見通しは2,220億円から2,350億円に上方修正されました。セグメント別の経常利益では、定期船や航空輸送を含むライナー&ロジスティクス事業が下方修正されましたが、自動車船を含む不定期専用船事業は上方修正されました。 2024年3月期の年間1株当たり配当予想は130円と従来予想から据え置かれました。 (注)本日15:00までに決算を発表した企業の内、2023年7月1日~2023年9月30日の期間で、野村證券の個人口座で買い付けられた上位1銘柄(約定件数ベース)を掲載している。(出所)会社資料、日本経済新聞社、xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ※本記事は、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 15:57
【イブニングFINTOS!】日経平均株価は4営業日続伸 日米長期金利低下が支え(11/6)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前週末比500円高の32,450円で取引を開始しました。日本が連休中の米国で、複数の経済統計からインフレ圧力が弱まったことが示唆され、米長期金利が低下し、米主要株価指数が上昇したことが好感されました。寄付き後は、買い気配で始まった銘柄の値が付くにつれ、日経平均株価は上げ幅を拡大する展開となりました。国内長期金利が低下したことで、日経平均株価はじわじわと上げ幅を拡大し、上げ幅は一時816円高となる場面がありました。もっとも、前営業日までの3日間で1,250円超上昇していることへの、短期的な過熱感もあり、その後は伸び悩み、後場は高値圏で一進一退となりました。結局、この日の日経平均株価は、今年一番の上げ幅となる前週末比758円高の、32,708円と4営業日続伸して、取引を終えました。 個別では、住友電工が前週末比+11.41%、ミネベアミツミが同+9.82%となった一方で、川崎汽船が同-11.37%、ニッスイが同-7.65%となるなど、先週末および、場中に決算発表をした企業の値動きが目立ちました。 本日発表予定の海外経済指標等 特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 15:30
【注目テーマ】変革期を迎える日本の防衛産業
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、国際政治の舞台において力による現状変更への警戒感が徐々に強まっている。日本周辺でも、22年8月のペロシ米下院議長(当時)による台湾訪問を契機に、台湾有事への懸念が台頭するなど、世界各国の防衛意識がより一層高まる局面を迎えている。23年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃をきっかけとした中東情勢の悪化も、この潮流を拡大させる要因となろう。 世界各国の国防費の推移をみると、米国や中国などが増加傾向にある中、日本は近年横ばいで推移してきた。しかし22年12月、政府は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の三つの文書を閣議決定し、27年度の防衛予算水準を22年度GDPの2%(約11兆円)に達するよう、所要の措置を実施すると明記した。 防衛上必要となる機能・能力として、「スタンド・オフ防衛能力」、「統合防空ミサイル防衛能力」など、7分野の防衛能力を抜本的に強化し、今後5年間(23年度~27年度)の予算規模は43.5兆円と前回計画(19年度~23年度)の17.2兆円を大幅に上回る計画となっている。実際に、防衛力抜本的強化の初年度となる23年度の防衛関係費は、前年度比+27.4%の6.6兆円(米軍再編や政府専用機、国土強靭化などを除いた予算規模)と大幅に増加した。 防衛装備庁が公表する契約情報では、国内重工大手からの調達額が上位となっているほか、米国の陸軍省や海軍省、空軍省からの調達額も大きい。防衛産業の市場規模が大きい米国では、防衛分野を主業とする企業が多く、同盟国の日本は米国産の装備をFMS(米国政府が防衛装備品等を有償で提供する制度)を通じて調達している。 日本の防衛装備品を手掛ける企業の収益性は、米国の防衛関連企業と比較すると低い。収益性の低さなどが要因となり、防衛事業から撤退した日本企業は直近20年で100社超に上る。防衛省は23年10月、防衛産業強化の基本方針を公表し、企業側の想定営業利益率を従来の目安8%から最高15%とする制度を23年度から製造・開発を発注した防衛装備機器に適用した。国内企業が適正利益を確保しやすくなれば、装備の調達網強化による継戦能力の向上が期待されよう。 (野村證券投資情報部 大坂 隼矢) ※野村週報 2023年11月6日号「投資の参考」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 09:30
【銘柄紹介】ショーボンド/ラサールロジポート/THK
ショーボンドホールディングス(1414) 建設 修繕工事を展開、高速道路向けで拡大 道路、鉄道、電力、港湾、建物等の社会インフラ分野を中心にコンクリート構造物の補修・補強等の事業を展開する。修繕工事に加えて、構造物の補修・補強で使う製品や部材の販売も行っている。工事では、公共向けの売上比率は90%以上を占め、近年は高速道路向け比率が拡大傾向である。 政府は高速道路の有料期間を2115年まで延長可能とする法案を2月に閣議決定した。NEXCO は有料期間延長により財源を確保し、1兆円の追加の老朽化対策計画を検討している。追加の更新計画を考慮し、野村ではNEXCO による修繕工事の発注高は28.3期に1兆円(23.3期は7,100億円と推定)程度まで拡大すると予想する。 10~12月期以降の受注回復を予想 10月上旬に発表された最新のNEXCOの発注見通しを考慮すると7~9月期をボトムに10~12月期以降にて発注量は回復に向かうだろう。7~9月期までの発注減は交通量の多い都市部での難易度の高い案件も増える中、設計が遅れていたことによる一時的な要因と考えており、今後設計を終えた案件の発注が徐々に進もう。 橋梁の劣化ペースを考慮すると、修繕工事のペースを加速させる必要があり、案件の大型化など効率的な発注も模索されながら発注量は増加に向かおう。また、難工事の増加は幅広い施工方法を有し、ノウハウが豊富な当社にとって追い風となると野村では考えている。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 濱川 友吾) ラサールロジポート投資法人(3466) 不動産投資信託 物件売却により売却益34億円を計上 スポンサーは米国、欧州及びアジア太平洋地域において不動産資産運用ビジネスを展開するラサール・グループ。2023.8期に増資を実施し、「ロジポート京都」等3物件(取得価格合計231億円)を取得、ポートフォリオ全体の取得価格合計は3,800億円超に。他方、23.8期決算発表と同時に、「ロジポート流山B棟(準共有持分37.5%)」を売却する一方、ブリッジファンドから「犬山物流センター」等を取得する物件入替取引を公表。過熱化する実物不動産市場を活用し「ロジポート流山B棟」の売却では売却益34億円を計上(投資主に還元)する予定。これにより24.2期の会社予想1口当たり配当金は前期比21%増の3,750円。 CPI連動条項の導入等によりインフレ耐性 23.8期末時点のポートフォリオ全体(倉庫区画)の期中平均稼働率は99.0%となり高位安定を維持。他方、堅調なテナント需要とスポンサーの強固なリーシング力を背景に、当社では、過去3年(21.2期~23.8期)の平均賃料増額率は+5.5%(定借物件)である。足元、日本でもインフレの兆候が垣間見られる環境下、保有物件の「ロジポート大阪ベイ」では、賃貸借契約更改時に期間20年の長期契約を締結する一方、将来の物価上昇に備え、5年毎にCPI(消費者物価指数)に連動した賃料増額改定の条項を導入。当社では、賃貸借契約期間の短期化やCPI 連動条項の導入等によりインフレ環境に備える方針。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 大村 恒平) THK(6481) 機械 2024.12期は産業機器が回復局面入りへ 当社は産業機器と輸送機器の2つの事業を持つ。産業機器では世界で初めて直線運動の転がり化を実現したリニアガイド(直動軸受)が主力製品で、世界シェア5割と推定される。輸送機器では自動車の足回り部品を中心に製造する。売上構成比は産業機器が72%、輸送機器が28%だが、産業機器が全社の営業利益を稼ぐ(22.12期)。 23.12期は設備投資需要の減少および顧客の在庫調整により、産業機器の受注が低水準で推移し、大幅減益が予想される。一方、下期の受注が大底圏で、24.12期からは半導体製造装置をはじめとした設備投資需要が回復し、当社収益も回復局面入りすると予想する。 産機は需要回復、輸送機器は損益改善へ 産業機器の顧客業種比率は半導体製造装置を含む電機が35%、工作機械が25%、多種の産業機械などが40%と推定される。相対的に需要の回復が早いと予想される電機向けの売上構成比が高い。また、限界利益率が4~5割程度と高く、需要回復局面では増収が増益へ繋がろう。 輸送機器事業では自動車の生産正常化に加え、損益の改善が進んでいる。当社は収益構造の改革としてコストの削減、新製品の開発に取り組む。特に、自動ブレーキ(EV 向け部品)は直動部品(ボールねじ)の技術を転用するため強みが生かされており、利益率が従来の自動車部品より高いと見られる。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 小笠原 れい) ※野村週報 2023年11月6日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 08:33
【モーニングFINTOS!】米金利低下を受け米株連騰(11/6)
海外市場の振り返り 2日、3日に米国株式市場は連騰しました。雇用インフレの鈍化が示唆されたことなどで、米10年債利回りが低下したことが好感され、2日間でNYダウは2.36%、ナスダック総合は3.19%、S&P500は2.84%、それぞれ上昇しました。2日に発表された7-9月期の単位労働コストは予想に反し前年同期比マイナスとなり、週間新規失業保険申請件数は予想を上回りました。3日に発表された10月雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加が市場予想を下回るとともに過去2ヶ月分も下方修正され、平均受給上昇率も市場予想を下回りました。市場は雇用の鈍化と労働コストの低下をインフレ緩和の兆しと受け止め、米10年国債利回りは2日続けて低下しました。 相場の注目点 景気がソフトランディングできるかが注目されます。3日発表された米10月雇用統計では失業率が3.9%と、4月の3.4%から0.5%ポイント、3ヶ月平均では0.33%ポイント上昇しました。歴史的には、失業率が過去12ヶ月の最低値から3ヶ月平均で0.5%ポイント上昇すると景気後退の始まりと一致する「サームの法則」 として知られています。 一方、先週FRB(米連邦準備理事会)は、2022年3月の利上げ開始後初めて2会合連続で利上げの見送りを決定しました。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で追加利上げの可能性を否定せず、今後の政策判断は経済データ次第との姿勢を重ねて強調しました。インフレの低下が継続し、FRBによる金融引き締め姿勢が変化することで景気後退を回避できるかが焦点です。今週は9日のパウエル議長講演のほか、複数のFRB高官の講演が予定されており、注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2023年11月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【野村の動画】インフレが続くと、将来の1000万円の価値はどうなる? 【野村の解説】中東情勢の緊迫化で高騰した金・原油、今後の投資判断基準は何か? ご投資にあたっての注意点
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2023/11/06 08:03
【米国株決算】アップル(AAPL):中国でのiPhone販売は堅調・見通しは比較対象期間と新製品のタイミングが重石、株価は-0.52%
決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間11月2日引け後に、モバイル端末の製造販売とクラウドサービス事業を行うアップル(AAPL US)が2023年7-9月期(2023.9期第4四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.2%上回り、EPSは市場予想を4.9%上回りました。サブスクリプションが増加したサービスなどが堅調でした。 中国でのiPhone販売は堅調、見通しは比較対象期間と新製品のタイミングが重石 中国が9月に政府機関職員の外国製通信端末の使用を禁じたことから当社への影響が市場では懸念されていましたが、中国本土でのiPhone販売実績は7-9月期として過去最高となり、また、新店舗をオープンさせるなど引き続き中国事業を重要視するとともに、見通しに楽観的と会社はコメントしました。 2023年10-12月期売上高見通しについて会社は、前年同期と同水準なものの、対象期間が13週間と昨年より1週間(売上高で約7%分)短いため、同じ日数換算ではプラス成長であると説明しました。一方で、iPadとウェアラブルは前年同期に新製品の販売が好調だったことから、前年同期比での成長率が7-9月期より低下し、iPhone15 Pro/Pro Maxの供給制約が12月まで残ることを反映しているとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は小幅安 アップルの株価は、翌3日の取引で前日比0.52%安となりました。株価は、決算発表直後の2日の時間外取引では売上高見通しが市場予想を下回ったことなどで一時3%を超えて下落しましたが、内容が再評価されたことで翌日に小幅安まで回復したと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年11月3日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。2023年10-12月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年11月1日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】アップル(AAPL):iPhone売上高が市場予想をやや下回る、株価は-2.25%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/05 19:00
【野村の動画】インフレが続くと、将来の1000万円の価値はどうなる?
日本の、2022年の消費者物価指数は、前年比で2.5%に達しました。今後、長く続いたデフレが終焉し、物価上昇の時代にはいるかどうかに注目が集まっています。物価が上昇すると、現金の持つ「モノやサービスを購入する力」である、購買力が下がります。つまり、現金の実質的価値が下がることを理解しておきましょう。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/05 13:00
【野村の解説】100年続くノーベル財団の資産運用
世界で最も権威ある賞のひとつと言われるノーベル賞は、スウェーデンの発明家アルフレッド・ノーベルの遺言により1901年から続いている賞で、既に100年以上の歴史があります。そのノーベルの遺産の管理と、ノーベル賞の運営を行っているのがノーベル財団です。 ノーベル財団の資産は、2022年末で約58億スウェーデンクローナ、日本円に換算すると、1スウェーデンクローナ12.5円計算で約725億円になります。ノーベル財団は、この資産を管理・運用しながら毎年のノーベル賞の運営費を捻出しているのです。 下のグラフは、2012年から2022年までのノーベル財団の運用結果を棒グラフで示しています。2022年の運用は、残念ながらマイナスとなっていますが、ノーベル賞の運営費から求められる事業費率を概ね上回る運用結果となっていて、財団の資産も増加傾向を続けています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 そのノーベル財団は、インフレ調整後で少なくとも年率3%のリターンを目指すという運用上の目標を掲げています。リターンがこのレベルであれば、将来の費用を賄うことができるとの見立てです。 運用の目標達成のための基本ポートフォリオは、株式が55%、債券が10%、不動産が10%、そしてオルタナティブが25%です。実際の運用においては、各資産の配分比率をずらしてもよい許容範囲が設けられていて、2022年末の実際のポートフォリオは、株式が53%、債券が17%、不動産が9%、オルタナティブとしてのヘッジファンドが22%となっています。 人類に最も貢献した人々を称える、というノーベルの遺志を継承していくためのノーベル財団の資産運用を真似ることは難しいかもしれませんが、その基本的な考え方は、長生きによる資産寿命の延命がテーマになりつつある個人の資産運用においても、大いに参考になるものではないでしょうか。 (野村證券投資情報部 井上 政則) ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点