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2023/11/04 09:00
【市場展望】「真の」歴史的円安
1ドル=150円は歴史的か? ドル円レートが2022年秋に続いて再び1ドル=150円に接近し、「歴史的円安水準」との評価が定着しつつある。このレベルの円安は、1987年前半以来の水準という点で、「歴史的」との形容は必ずしも間違いではない。しかし、足元で既に70年初頭の固定為替相場時代の水準を下回っている円の実質実効為替レートの水準こそ「歴史的円安」と呼ぶにふさわしい。 ドル円を含む名目為替レートと実質為替レートの差異は、後者が日本と海外との相対物価を用いて実質化されている点にある。前者が対象となる外貨購入に必要な円の価額を表しているのに対し、後者は、海外での生計費支払に必要な円価額を表していると言え、日本円の真の購買力を表現しているのは後者であるとも言えるだろう。 一般に、自国通貨の下落に対応して、家計が購買力を保全する上で有効な手段は金融資産を外貨に転換することであろう。ハイパーインフレに見舞われた地域で、資本逃避が発生したり自国内で自国通貨の通用力が低下し経済の「米ドル化」が生じたりするのは、その極端な事例と言える。 実質為替レートでみた歴史的円安という円の購買力低下に見舞われている日本では、今のところ、こうした動きが目立っていない。2023年4~6月期末にかけての1年間累計で家計金融資産総額は18.9兆円増加した(資産評価額の変動を除外)が、同時期に(円貨の)現預金保有額は15.0兆円増加している。 実質為替レートの歴史的下落の渦中での日本の家計のこうした金融資産選択は、不合理なものだろうか。実質為替レートの別の側面に注目すると、必ずしも不合理ではないことが分かる。 実質為替レートの歴史的下落は、名目為替レートの円安化と同時に、海外との比較で見た日本の相対物価の下落(日本の物価の割安化、あるいは、日本のインフレ率が海外に比して相対的に低いこと)によってもたらされている。 このとき、日本と海外とで同質の製品・サービスが提供されているのであれば、日本の相対物価の下落は、日本に留まっている限り海外に比べて割安に生計を維持できることを意味する。 実質為替レートの「二面性」 実質為替レートの下落が、通貨の購買力低下と同時に外国と比べた生計費の相対的な安さを表す、という「二面性」が比較的平易に理解できるのは、〇〇指数(〇〇内に入るのはグローバル展開する外食チェーンが世界共通に販売する品目)の考え方である。〇〇指数は、いわば、品目を一つに限定した実質為替レートと解釈することもできる。〇〇指数でみると本来は1ドル=75円である、といった形で現実の為替レートの割安、割高感を表現する用いられ方をされることもある。 一方で、〇〇指数でみた(実質)円為替レートが市場実勢よりも割安になっているのは、日本国内での〇〇の販売価格が、海外での販売価格の円建て額よりも低く抑えられている状態に相当する。日本に留まっている限り海外に比べて割安に〇〇が購入できるのであれば、円の購買力低下に対応して金融資産を外貨に転換する必要性は必ずしも高くないばかりか、相応に合理的な行動ということにもなる。 しかし、仮に、件の外食チェーンが日本国内での〇〇の販売を止めてしまったらどうだろうか。グローバルにみて〇〇の販売に関わるコストが均質であるならば、日本において海外より相対的に割安な販売価格で商品を提供することは、相対的に低い利益率でのビジネスを展開していることでもあり、長期的には販売体制が維持できなくなる恐れも皆無ではない。 ここに実質為替レートの「二面性」が持つ落とし穴も潜んでいる。日本円の購買力低下が極限まで進んだ場合には、実質為替レートの計算に用いられる日本と海外の物価指数の同質性が保てなくなるほど、日本国内での事業採算の悪化やビジネスからの撤退が生じる恐れがある。実質為替レートの「歴史的」円安化は、まだその臨界点を超えないレベルに留まっているに過ぎない、ということでもある。 (野村證券経済調査部 美和 卓) ※野村週報 2023年10月30日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/03 13:00
【オピニオン】騰落レシオが70%台に 日本株底入れ反発へ
10月中旬以降、米国株を中心に世界の株式市場が再び調整色を強めています。インフレ高止まりを受けてFRB(米連邦準備理事会)の金融引き締めが長期化するリスクへの警戒感から、米国長期金利(財務省証券10年国債利回り)が2007年以来16年ぶりに一時5%台へ上昇したことに加え、イスラエルを巡る中東情勢の緊迫化も相まって、市場参加者のセンチメントは悪化しています。 日本株にもその影響は表れています。日経平均株価も10月初めに終値で30,500円台まで下げた後、一旦(同)32,400円台まで反発していましたが、10月中旬以降の米国株安を受けて、足元にかけて再度(同)30,600円台まで売り直される展開となりました(10月30日時点)。日経平均株価はこのままなすすべなく3万円の大台を割り込んでしまうのでしょうか? 今のところ、チャート面からはその可能性は低いと考えます。大局的に見て、現在の株価下落は、今年1月から7月までの株価上昇に対する調整局面、すなわち、中段保ち合い局面と判断され、10月末の株価はその下限に位置しています。この30,500円前後の水準は、①2023年1~7月上昇幅の38.2%押し(30,682円)のほか、②2021年2月高値((終値)30,467円)や2021年9月高値((同)30,670円)など、2021年に上値抵抗となった水準でもあり、この水準を上抜けて以降は逆に強固な下値サポートとして機能しやすい水準となります(下図上段)。日柄的にも、株価の上昇期間が両端数えで7ヶ月(日数ベースでは実質6ヶ月程度)に対して、下落期間は2023年10月安値までで同4ヶ月で十分と言えるでしょう。 テクニカル指標面から見ても、株価の底入れ反発のタイミングは近いと考えられます。相場の過熱感を測る指標の一つである「東証プライム騰落レシオ」は足元で70%台半ばまで低下し、売られ過ぎを示唆する70%の水準に接近しました。下図は、2021年7月以降の日経平均株価と騰落レシオを並べたチャートですが、騰落レシオが70~80%レベルまで低下した前後で株価も概ね底入れしてきたことが確認できます。日本株の底打ち反転にそろそろ備えたいところです。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2023年10月31日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)東証プライム騰落レシオは2022年4月4日以降は東証プライム市場の上昇及び下落銘柄数を使用、同日より前は東証一部ベース。 (注4)東証プライム騰落レシオの主なボトムと、その前後の日経平均株価を赤丸囲みで示した。 (注5)東証プライム騰落レシオが70~80%の箇所を赤色網掛けしている。 (注6)図表※の38.2%押しは黄金分割比率に基づく下値メド。 (出所)日本経済新聞社、東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/11/03 09:00
【マーケット解説動画】日経平均、ダブルボトム形成か(11月2日引け後収録)
テクニカル展望(11月2日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の山内シニア・ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、ダブルボトム形成か」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足3.日経平均株価と東証プライム騰落レシオ4. 来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部シニア・ストラテジスト 山内 正一郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/03 07:00
【来週の予定】重要統計の発表もなく、材料難な週になりそう
来週の注目点:米地区連銀総裁講演、米10年国債入札に注目 前週は主要な中央銀行の金融政策会合が集中する中銀ウィークとなりました。日本銀行は7月会合に続いてYCC(長短金利操作)の運用柔軟化を決定し、10年国債利回りがこれまで上限としてきた1.0%を上回ることを許容しました。 一方、FRB(米連邦準備理事会)は今回の利上げ局面では初めて2会合連続で政策金利の据え置きを決定しました。会合後、米10年国債利回りは大幅に低下、これを好感して米国株式市場では主要3指数が揃って上昇しました。ただし、パウエルFRB議長は追加利上げの可能性を否定しておらず、今後も経済データに基づいて判断する姿勢を重ねて強調したことから、当面の間は米長期金利の低下基調が定着するかが注目されます。 今週は重要統計の発表も予定されておらず、やや材料難な週になりそうです。米金融政策の先行きを判断する材料としては、7日(火)以降の地区連銀総裁や9日(木)のパウエルFRB議長の講演、米長期国債への需要を確認する上では8日(水)の10年国債入札が市場の関心を集めると想定されます。 欧州では6日(月)のドイツの9月製造業受注、8日(水)のユーロ圏の9月小売売上高が注目されます。特にドイツの製造業受注は、良い景気先行指標であるだけではなく、財別に国内・ユーロ圏・ユーロ圏外の受注動向を確認できることから、情報量の多い統計です。 中国では7日(火)の10月貿易統計、日本では同じく7日発表の9月毎月勤労統計、9日(木)の10月景気ウォッチャー調査が注目されます。日本において前者では実質賃金の上昇率、後者では地方におけるインバウンド需要の動向などが確認できます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年11月2日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/11/02 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (11月第1週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2023年11月第1週(2023年10月27日~11月1日) 2023年10月月間(2023年9月29日~10月31日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年11月1日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年11月1日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2023年11月第1週(2023年10月27日~11月1日) 2023年10月月間(2023年9月29日~10月31日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年11月1日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年11月1日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX︓東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2023年11月2日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/02 17:00
【決算銘柄】川崎汽船、自動車船事業が改善
川崎汽船(9107)/ 2024年3月期 第2四半期 2023年4-9月期の営業利益は447億円で前年同期比15.7%減益となりました。QUICKコンセンサス予想の466億円をやや下回る水準でした。なお、同期の経常利益は853億円で同85.0%減益でした。自動車船事業は、輸送台数の増加によって改善しました。一方、ドライバルク(ばら積み)船の市況については、コロナ禍で生じた港の滞船が和らいだこともあり、軟化しました。また、持ち分法適用のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が運営するコンテナ船事業は、市況の平常化の過程にあり、荷動きに力強さは見られないとしています。 会社は、2024年3月期通期の営業利益見通しを890億円から920億円に上方修正しました。QUICKコンセンサス予想の915億円をやや上回る水準でした。また、同期の経常利益見通しは1,350億円で据え置かれました。ドライバルク船の市況軟化による影響などがあるものの、自動車船事業が堅調に推移する予想となっています。 2024年3月期の年間1株当たり配当予想は200円と従来予想から据え置かれました。 (注)本日引け後から15:30までに決算を発表した企業の内、2023年7月1日~2023年9月30日の期間で、野村證券の個人口座で買い付けられた上位1銘柄(約定件数ベース)を掲載している。(出所)会社資料、日本経済新聞社、xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ※本記事は、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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2023/11/02 16:34
【イブニングFINTOS!】日経平均株価は3日続伸385円高 米長期金利低下を好感(11/2)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前日比385円高の31,987円で取引を開始しました。前日の米国株式市場では、FOMCで市場予想通り利上げが見送られたことに加え、米10年国債利回りが4.7%台まで低下したことで、主要3指数が上昇したことが押し上げ要因となりました。特にハイテク株が多いナスダックの上昇が目立ったことから、国内市場でもアドバンテストや東京エレクトロン、SCREENホールディングスなどの半導体関連株が大幅高し、上昇に寄与しました。 また、香港ハンセン指数などのアジア株式市場が堅調な展開となったことも国内株式市場を下支えしました。日経平均株価は、終日、32,000円を挟んだレンジでの推移となり、前日比348円の31,949円で本日の取引を終了しました。 個別では、前日引け後に決算発表を行った銘柄のうち、京セラやサイバーエージェントなどが前日に比べ大幅高となりました。 本日発表予定の海外経済指標等 〈11月2日〉【英国】・金融政策会合・結果発表 (政策金利) 前回:5.25% 予想:5.25% 〈11月3日〉【米国】・10月雇用統計(非農業部門) (雇用者数・前月差) 前月:+33.6万人 予想:+18.0万人 (失業率) 前月:3.8% 予想:3.8% (平均時給・前年比) 前月:+4.2% 予想:+4.0%・10月ISMサービス業景気指数 前月:53.6 予想:53.0 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/02 12:00
【今週のチャート分析】日経平均、中段保ち合いとして調整十分に 本格上昇傾向なるか(11/2)
※2023年11月1日(水)引け後の情報に基づき作成しています。 騰落レシオが低水準の中、株価は反発 今週の日経平均株価は、日銀金融政策決定会合を無難に通過したことに加え、決算発表を受けた個別物色の動きが寄与し、大幅上昇となりました。 日経平均株価の日足チャートで動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、10月24・26・30・31日の4日間共に一時30,500円台をつける等、10月4日安値(30,487円)に対する二番底固めに向けた動きとなっていました。ただ、東証プライム騰落レシオが70-80%台と低水準となる中で、日銀金融政策決定会合を事前の観測報道通りの内容で無難に通過したことから、株価は反発となりました(図1)。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2023年11月1日時点。 (注2)東証プライム騰落レシオは2022年4月4日以降はプライム市場の上昇及び下落銘柄数を使用、同日より前は東証一部ベース。(注3)東証プライム騰落レシオの主なボトムと、その前後の日経平均株価を赤丸囲みで示した。(注4)東証プライム騰落レシオが70~80%の箇所を赤色網掛けしている。(出所)日本経済新聞社、東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 11月1日には25日移動平均線(11月1日:31,468円)を回復しており、この先、75日線(同:32,163円)超えとなるか、そして10月13日戻り高値(32,533円)を上抜けし、10月4日・30日安値でのダブルボトム完成となるか、注目されます。ダブルボトム完成となれば、自律反発の域を超え中長期的な上昇トレンド入りの確度が高まったと考えられます(図2)。一方、仮に再度調整となった場合は、10月30日安値(30,538円)や10月4日安値(30,487円)等のある30,500円前後の水準で再び下げ止まるか注目されます。 (注1)直近値は2023年11月1日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 中段保ち合いは調整十分と捉えられる さて中長期な点で見ると、今年7月高値から10月安値にかけての調整によって、下落率は9%を超え、日柄調整も進展しました(図3)。中段保ち合いとしては調整十分と捉えられる中での今回の反発であり、この先本格的な上昇トレンド入りへ向けた動きとなることが期待されます。 (注1)直近値は2023年11月1日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 ドル円相場、今後の天井が8年サイクル高値へ ドル円相場は日銀公表値ベース(夜間の高安を含まない)でみれば、昨年10月高値(150.48円)を今年10月に上回りました。そこで、今回はドル円相場の中長期的(1年~数年単位)及び超長期(10年単位)的な相場の方向性(トレンド)について考えてみたいと思います。 まずは、中長期トレンドの観点からみてみましょう。ドルは対円で1975年高値から約8年のサイクルで高値をつけています(図4)。 2015年6月につけた前回のサイクル高値から約7年半経過後につけた昨年10月高値(日銀公表値ベース:150.48円)を、これまでは8年サイクル高値とみていました。しかし、今年10月に昨年10月高値を超えたことで、この先つける天井を8年サイクル高値として捉え直す必要があります。過去の動きをみると8年サイクル高値形成後は、年単位の下落トレンドがみられていました。その点で先行き天井形成後は、注意が必要だと考えられます。 (注1)直近値は2023年10月31日時点。数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)日柄は両端含み。(注3)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成 一方で10年単位の超長期トレンドはどうでしょうか。8年サイクル高値は1975年から4回にわたり値を切り下げてきましたが、2015年(125.66円)にわずかに前回のサイクル高値を上回り、その後の今年10月高値(150.77円)では同サイクル高値を完全に上抜けています。よって超長期トレンドは上向きに転じてきたと考えられ、仮にこの先中長期的な下落トレンド入りとなった場合も、下値は限定的と考えられます。 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/11/02 09:00
【速報・解説】FRBは2会合連続で利上げを見送り 株式市場は金利低下を好感
パウエル議長はインフレ動向次第で追加利上げの可能性があるとの姿勢を堅持 FRB(米連邦準備理事会)は10月31日~11月1日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、大方の事前予想通り政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決定しました。FRBが2会合連続で利上げを見送るのは、2022年3月会合で利上げを開始して以降初めてです。ただし、声明文では「インフレ率を時間とともに2%に戻すために適切となり得る追加的な政策引き締めの程度を決定する上で」との表現を据え置くなど、追加利上げの可能性を残しました。 パウエルFRB議長は会合後の記者会見で長期金利の上昇やドル高・株安による利上げ代替効果を一部認めたものの、インフレ動向次第で追加利上げの可能性があるとの姿勢を堅持し、今後の政策判断は経済データ次第との姿勢を重ねて強調しました。 今回の決定を受けて米国債市場では長期国債を中心にイールドカーブ全域に渡って金利が大幅に低下し、一時5.0%を上回っていた10年国債利回りは4.73%に低下、金利低下を好感して米国株式市場では主要3指数が揃って上昇しました。ドル円レートは神田財務官の円安けん制発言もあり、150円台と昨日と比べてやや円高ドル安水準で推移しています。市場の政策金利見通しの代理変数として先物金利を見ると、年内は金利据え置き、2024年6月前後からの利下げ開始との見方が織り込まれています。 FRBが23年9月会合で示した政策金利見通し(中央値)では、1回当たりの政策金利の変更幅を0.25%ポイントとした場合、2024年中は2回の利下げ見通しが示されました。ただし、これは23年中に1回の利上げを前提とした場合であり、市場コンセンサス通り、政策金利は現行水準で据え置きとなった場合は24年の利下げは1回となる可能性があります。利下げ開始後、FRBが一定のペースでの政策変更を意図した場合、2回利下げの場合は早くて24年9月利下げ開始の可能性もありますが、1回ならば24年末近くまで後ずれする可能性もあります。早期利下げ開始への自信が持てない中では、米国株式市場では、当面の間、長期金利の低下基調が定着し得るかが焦点となりそうです。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点