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06/12 08:21
【野村の朝解説】米国株堅調、米金利低下でも円安が継続(6/12)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 11日の米国株式市場では、NYダウが反落しましたが、S&P500やナスダック総合は上昇し、史上最高値を更新しました。5月消費者物価指数やFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表を翌日に控えて様子見姿勢が強まり、朝方は軟調に推移しました。しかし、基本ソフト(OS)への生成AI(人工知能)の導入を前日に発表し、買い替え需要が高まると見られたアップル(AAPL)が上昇し、情報技術セクターの株価を押し上げました。また、午後1時発表の米10年国債の堅調な入札結果を受けて米10年国債利回りが低下する中、情報技術など金利敏感セクターが上昇し、全体をけん引しました。 相場の注目点 為替相場では、米国金利が低下する中でも円安ドル高が継続しています。11日の米国市場でも、米10年国債利回りが一時4.39%と、前日比0.08%程度低下する場面もありましたが、円は1ドル=157円前後の水準を維持しました。米景気の軟着陸期待が根強く、景気減速を示唆する経済指標が相次いでも、景気が大幅に失速し、米金利の大幅低下及び米株安となるリスクは小さいと見られています。米国の株価上昇が続く中、低金利の円を借りて高金利資産に投資する円キャリートレードも円安要因となっており、しばらくは円安ドル高傾向が継続しやすいと見ています。足元では短期金利の金利差がドル円相場のドライバーになっており、日米の金融政策の方向性が引き続き注目されます。日本では13日~14日に日銀金融政策決定会合が開催されます。今会合では、政策金利の据え置きが見込まれる中、国債買入れ減額が焦点となっています。国債買い入れ減額や追加利上げを同時に進めた場合には、債券市場のボラティリティ(変動性)を高める可能性が指摘されています。日銀がどのような方針を示すのか、注目です。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年6月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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06/11 16:26
【野村の夕解説】米国のFOMCを前に、日経平均株価は小幅高に留まる (6/11)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比137円高の39,175円で取引を開始しました。前日、米国で5月NY連銀消費者調査で1年先インフレ期待が3.2%と前月から0.1%ポイント低下したことが市場の安心感を誘い、目先のインフレ鈍化への期待から、相対的に高PERの半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体株指数が上昇しました。この流れを受けて、国内市場でも値がさ株の東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体株が市場をけん引し、一時は前日比298円高の39,336円まで上げ幅を広げる場面もありました。 しかし、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合を前に、結果を見極めたいとの思惑が強まったことから積極的に上値を追う展開とはならず、高値を付けた後は徐々に上げ幅を縮小し、日経平均株価は前日比96円高の39,134円で本日の取引を終了しました。東証プライムの売買代金は3兆5,423億円で、前日から増加はしたものの引き続き低水準でした。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日から米国にてFOMCが開催されます。今回はメンバーの政策金利見通しを示すドットチャートも公表されることから、今後の見通しに変化があるのか、日本時間で13日未明の結果公表が注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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06/11 09:30
【銘柄特集】2024年5月IPO銘柄のパフォーマンスと6月IPO銘柄の紹介
2024年5月のIPO銘柄のパフォーマンスと、今後のIPOの予定を紹介します。 5月IPO銘柄のパフォーマンス 5月28日 上場学びエイド(184A)市場区分:グロース市場事業内容:インターネットによる教育サービスの企画開発・提供 (注)初値及び直近月末終値が公開価格に対して上回っているものは赤、下回っているものは青で表示。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報を基に野村證券作成 6月IPO銘柄の紹介 6月5日 上場アストロスケールホールディングス(186A)市場区分:グロース市場事業内容:スペースデブリ除去や人工衛星寿命延長、点検・観測等の軌道上サービス事業 6月11日 上場D&Mカンパニー(189A)市場区分:グロース市場事業内容:医療機関等に対する経営サポート事業 6月14日 上場Chordia Therapeutics(190A)市場区分:グロース市場事業内容:RNA制御ストレスを標的とするがん治療薬の開発等 6月18日 上場インテグループ(192A)市場区分:グロース市場事業内容:M&A仲介業 6月19日 上場ライスカレー(195A)市場区分:グロース市場事業内容:自社のSNSデータ分析ツールを駆使した企業のマーケティング支援および自社のブランド販売事業 6月20日 上場PostPrime(198A)市場区分:グロース市場事業内容:PostPrimeの運営 6月20日 上場タウンズ(197A)市場区分:スタンダード事業内容:体外診断用医薬品、研究用試薬等の開発、製造及び販売事業 6月20日 上場WOLVES HAND(194A)市場区分:グロース市場事業内容:一次診療から高度医療まで対応可能な動物病院運営、その他周辺事業(トリミングサロン運営、動物病院向けシステム開発、獣医療関係者向け教育コンテンツ配信等) 6月21日 上場MFS(196A)市場区分:グロース市場事業内容:オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」の開発・提供、不動産投資の総合プラットフォーム「INVASE」の開発・提供 6月27日 上場豆蔵デジタルホールディングス(202A)市場区分:グロース市場事業内容:企業のデジタルシフトを実現し、顧客とともにデジタル競争力を高めるためのクラウドコンサルティングサービス、AI コンサルティングサービス、AI ロボティクス・エンジニアリングサービス、モビリティ・オートメーションサービス 6月28日 上場ロゴスホールディングス(205A)市場区分:グロース市場事業内容:デジタルマーケティング集客およびDXによる効率的なオペレーションを活用した注文住宅事業 (注1)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注2)全てを網羅しているわけではない。(注3)6月のIPO銘柄は、6月7日時点での予定。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報をもとに野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/11 08:15
【野村の朝解説】S&P500とナスダックが史上最高値を更新 (6/11)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場で主要3指数は揃って反発し、S&P500とナスダック総合は終値で史上最高値を更新しました。12日に米国の5月消費者物価(CPI)やFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表を控えるなか、金利上昇を嫌気して米国株は続落して始まりましたが、売り一巡後は底堅い推移となりました。先週の米雇用統計が想定以上に強い内容となったことが利下げ期待の後退につながった一方、景気軟着陸期待が相場を支えました。 相場の注目点 6月11~12日に開催されるFOMCでは政策金利は据え置かれる公算が大きく、参加者による政策金利見通し(ドットチャート)の変化が焦点となります。2024年3月会合で示された2024年中の想定利下げ回数は「3回」でしたが、6月会合では3回から2回に減少と、ややタカ派方向へのシフトが予想されています。また、米雇用統計の上振れを受けて米金利は上昇し、市場では年内の利下げが1回に留まるとの見方も増えています。野村證券では2024年は9、12月と2度の利下げを予想していますが、利下げ開始時期やその後の利下げペースを占う上で、年内2回、または1回以下の利下げを支持する参加者がどの程度いるのか注目です。 本日のイベント 今晩よりFOMCが開催されるほか、新興国では、ブラジルで5月拡大消費者物価(IPCA)が発表されます。前年同月比の上昇率は4月までで7ヶ月連続、前月の水準を下回っていますが、依然としてインフレ圧力は強く、市場ではブラジル中銀が2023年8月以降の利下げサイクルを休止させるとの観測が強まりつつあります。 (投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年6月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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06/10 19:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(6月第1週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年6月第1週(2024年5月31日~6月7日) 2024年5月月間(2024年4月30日~5月31日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年6月7日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年6月7日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年6月第1週(2024年5月31日~6月7日) 2024年5月月間(2024年4月30日~5月31日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年6月7日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年6月7日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年6月7日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/10 15:54
【野村の夕解説】日経平均株価、反発 円安背景に39,000円台を回復(6/10)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前週末に発表された米国雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+27.2万人と市場予想を大幅に上回りました。市場では米国利下げ時期が先送りされるとの見方が強まり、米国国債利回りの上昇を受け、米ドル円相場は一時1米ドル=157円を付けるまで円安が進みました。円安・米ドル高を背景に、本日の日経平均株価は前週末比5円高の38,689円で取引を開始しました。寄り付き後は輸出関連株の一角の上昇を足掛かりに上げ幅を広げ、39,000円台に乗せる場面もありました。後場に入ると利益確定のような動きがみられ、上値はやや重くなり日経平均株価は38,000円台後半での推移を続けました。その後、新たな買いの材料は見られないものの、値がさ株であるファーストリテイリングやソフトバンクグループが上げ幅を広げ、前週末比390円ほど高く39,000円付近を推移しました。大引けは前週末比354円高の39,038円となり本日の取引を終えました。終値では5月23日以来の39,000円台を回復しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、今週11日(火)~12日(水)に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。2024年の利下げ回数や、2025年や2026年の政策金利見通しの水準が注目されます。また12日(水)には5月米CPI(消費者物価指数)が発表され、CPIに対するパウエルFRB議長のコメントにも注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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06/10 09:30
今期、大幅増配が予想される連続増配銘柄の「増配率」ランキング(2024年5月29日時点)
日本企業の決算では、2024年度のガイダンス(業績見通し)の保守性が想定以上に目立ちましたが、一方株主還元の拡充も想定以上でした。2024年の年初来の自社株買い設定額は全上場企業ベースで9.0兆円に達しました(2024年5月21日時点)。配当性向の引き上げやDOE(株主資本配当比率)の導入、累進配当の導入など、株主還元の強化も目立ちます。東京証券取引所が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営」を求めたことを受け、各社の資本効率への意識が高まり始めたことを示唆しているとも言えます。 今回は、今期の1株当たり年間配当金予想を前期比で増配とした銘柄の中から、前期までに3期以上連続で増配している大型銘柄(TOPIX100構成銘柄)について、配当金(今期予想)が前期からどのぐらいの割合増えるかを示す「増配率」の順にランキングしました。 〈スクリーニング条件〉①銘柄母集団:TOPIX100構成銘柄②今期の1株当たり配当金の会社予想が前期比で増配③前期までに3期以上の連続増配の実績がある (注1)年間1株当たり配当金予想は会社予想。(注2)株価含む各種データは2024年5月28日時点。(注3)MS&ADインシュアランスホールディングスは2024年4月1日を効力発生日として1:3の株式分割を行っている。前期1株当たり年間配当金は株式分割調整後の数値。(注4)三菱商事は2024年1月1日を効力発生日として1:3の株式分割を行っている。前期1株当たり年間配当金は株式分割調整後の数値。(注5)三井住友トラスト・ホールディングスは2024年1月1日を効力発生日として1:2の株式分割を行っている。前期1株当たり年間配当金は株式分割調整後の数値。(注6)三井住友フィナンシャルグループは2024年10月1日を効力発生日として1:3の株式分割を予定している。今期予想1株当たり年間配当金は株式分割調整後の数値。(注7)富士フイルムホールディングスは2024年4月1日を効力発生日として1:3の株式分割を行っている。前期1株当たり年間配当金は株式分割調整後の数値。(出所)野村證券投資情報部作成 損保や商社、大手銀行などが上位にランクイン 1位にはMS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)、4位には東京海上ホールディングス(8766)と大手損保2社がランクインしました。金融庁は今年、「株式の持ち合い」が保険会社と顧客企業との間の不適切な依存関係の根幹にあると判断し、損保大手4社に政策保有株の売却を要請しました。これを受けて各社は、2030年頃を目途に政策保有株をゼロにする方針を示しており、政策保有株の売却が株主還元の拡充にも繋がっています。 また、2位には三菱商事(8058)、7位には伊藤忠商事(8001)と大手商社2社が入りました。大手商社では、好調な業績動向による営業キャッシュフローの改善に加え、資産売却による資金回収がフリーキャッシュフローを下支えする状況が続いています。財務体質の改善により、株主還元も拡充する動きが続きました。 3位には三井住友トラスト・ホールディングス(8309)、8位には三井住友フィナンシャルグループ(8316)、9位には三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)と、メガバンクを含む大手銀行グループ3社がランクインしました。主要銀行の財務の健全性を示す普通株式等Tier1(CET1)比率は、利益の蓄積と有価証券評価損益の改善を主因に総じて上昇傾向にあります。利益環境の好転に加え、こうした資本基盤の充実を背景に、大手5社すべてが2025.3期の1株当たり年間配当金の増額予想を示すなど、株主還元の拡充が継続しています。 (野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点
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06/10 08:09
【野村の朝解説】米賃金インフレを受け、米国株は小幅安(6/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 7日の米国株式市場で、NYダウ、S&P500、ナスダック総合の主要3指数は揃って反落しました。5月米雇用統計は、時間当たり平均賃金の上昇率が前年同月比+4.1%と市場予想の同+3.9%や、4月の同+4.0%を上回りました。また、事業所調査による5月非農業部門雇用者数の伸びは前月比+27.2万人と、市場予想の同+18.0万人を上回った一方で、家計調査による就業者数は同-40.8万人となり、家計調査により算出される失業率は4.1%と、市場予想の3.9%や4月の4.0%を上回りました。賃金インフレが低下せず雇用者数の状況判断に時間を要する内容だったことから、早期利下げ観測が後退し、米10年国債利回りは上昇し、ドル円は円安となり、米国株は上値の重い展開でした。 相場の注目点 6月11~12日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)が注目されます。政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標は5.25~5.50%に据え置かれ、参加者による政策金利見通し(ドットチャート)の中央値は2024年は利下げ回数が3月会合の3回から2回に減少すると市場では予想されています。利下げは開始タイミングが後ずれしたものの、開始後も継続されると市場はみており、利下げのペースを確認する意味で2025年や2026年の政策金利見通しの水準も注目されます。6月12日には5月米CPI(消費者物価指数)が発表されるため、CPIに対するパウエルFRB議長のコメントも注目されます。 6月10~14日にアップルの開発者会議「WWDC(Worldwide Developers Conference)」が開催されます。AI関連のアップデートが予定されており、株式市場では関連株への影響が注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2024年6月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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06/09 12:00
【投資と税金】 亡くなってからでは遅い?相続対策の考え方
資産形成をしていく上で、将来訪れる相続のことも考えておくことが大切です。生前から準備をすることで、相続税の支払い額を抑え、相続人間での円滑な遺産分割につながります。生前の相続対策としてどのようなことができるのか、大手町トラストの税理士に伺いました。 (注)画像はイメージです。 はじめに 相続対策を生前に行うことで、遺産分割時のトラブルを回避することが可能です。被相続人も相続人も納得できる相続にするためには、「評価額対策」・「財産の移転対策」・「納税財源の確保対策」・「遺産分割対策」をバランスよく行うことが大切です。 評価額対策 不動産や未上場会社の株式などについては、生前に対策することで評価額を低くすることが可能なケースがあります。例えば、更地の土地に、賃貸建物を建て賃貸することで相続税評価額は下がります。 相続税の計算では相続財産の種類ごとに評価ルールが決まっており、「時価は同額でも相続税評価額が異なる」ことがあります。評価ルールを知って相続財産の中身を見直すことも相続税の軽減対策の1つです。不動産の場合は次の対策を行うことで評価を減額することができます。 ①土地の用途変更更地に賃貸建物を建築し賃貸している場合には土地評価額が下がります。具体的には、土地が「自用地」評価から「貸家建付地」評価に変わることにより2割前後、評価額が下がります。 ②賃貸建物の建築賃貸建物を建築することにより、財産の種類が現預金から建物に変わります。賃貸建物の評価額は建築価額の4割前後です。なお、建築資金は手持ちの現預金により捻出しても借入で賄っても、相続税に与える効果は同じです。 下表は、「現預金1億円の場合」と、「土地と建物を1億円で購入し、賃貸した場合」の相続税評価額を比較したものです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 【評価引下げ対策の留意点】相続税の評価引下げを目的としてアパート等を建築しようとする場合には、事前に「賃貸事業」として成功するか否かを慎重に検討することが重要です。アパート等を建築すれば相続税は軽減されますが、予定していた賃貸収入が入らないために余計な資金負担や心労が増えたのでは、相続対策として成功とはいえません。また、不動産の取得に伴う財産の分け方への影響についても注意が必要です。 財産の移転対策 生前に子や孫等に財産を贈与して相続財産を減らすこと、将来値上がりする財産・収益を生む財産を早めに贈与することは、相続税の軽減対策として有効です。 ①贈与税の基礎控除を活用した生前贈与贈与税には受贈者において年間110万円の基礎控除額が認められており、その範囲内であれば贈与税負担ゼロで財産を移転することができます。 ②贈与税を支払って行う生前贈与相続税が多額にかかると予想される人については、ある程度贈与税を支払って行う生前贈与も有効な相続対策になります。 【生前贈与の留意点】子どもや孫に生前贈与を行う際には、後々の相続税の税務調査でトラブルにならないように、贈与した証拠を残し、贈与した財産は子どもや孫自身がしっかり保管・管理することが重要です。また、贈与の証拠を残しておくという観点からは、贈与税の基礎控除(年間110万円)を上回る贈与を行い、贈与を受けた子ども等が贈与税の申告・納付を行うのも一つの方法です。名義を子ども等に変えるだけでは「贈与」になりませんので、ご注意ください。 納税財源の確保対策 相続人が相続した現預金または相続人自身の金融資産で将来相続税を納税できない場合には、どのように納税するのかについてあらかじめ目途をつけておくことが大切です。財産のうちに不動産の占める割合が高い方には特に重要な対策です。 ①納付方法の検討相続税の納付方法は、相続人ごとに事前に検討しておくのが良いでしょう。 ②死亡保険金(被保険者=被相続人)による納税財源づくり死亡保険金は、すぐに受取人に支払われるため、納税財源として有効です。 【相続税納付の留意点】相続税は、金銭一括納付が原則です。相続税の納付は、申告期限と同様に相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。なお、相続税の納付期限までに金銭一括納付が困難である場合に、一定の要件を満たすと、分割払いで納める「延納」や相続財産そのもので納める「物納」が認められます。ただし、例外的な納付方法である「延納」や「物納」による納付の場合には、一定の要件を満たす必要があるため、事前に十分な検討や対策が必要です。 遺産分割対策 相続が開始した場合、相続人が2人以上いるときは遺産分割が必要になります。将来の遺産分割に備えて財産を分けやすくしておくことや、円滑な分割ができるよう遺言を書くことなど、将来の遺産分割に向けた対策が大切です。 【遺産分割対策の留意点】遺産相続をめぐる紛争は俗に「争続」と言われますが、遺言がある場合には、原則として、遺言者の意思に従った遺産の分配がされるため、遺産分割を巡る争いを事前に防止することができます。ただし、被相続人が生前に自己の意思を相続人に伝えていたとしても、民法で定める形式の遺言として残されていなければ、法的拘束力はありません。遺言書を作成される場合には注意が必要です。 まとめ 例えば、「評価額対策として、不動産を購入・建築し相続税は安く抑えることができたが、納税ができない、または資金繰りに苦労する」、「生前贈与で子・孫に財産を早期に移転した結果、ご自身の生活財源が不足する」など、相続税が軽減されたとしても別の問題が生じては困ります。総合的に考えることが大切ですので、具体的な対策の立案や実行にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この資料は提供されたお客様限りでご使用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点