新着
458件
-
05/10 09:00
【オピニオン】米金融株決算、トランプ政権の政策による影響を総合的に評価へ
※画像はイメージです。 米国大手金融5社の2025年1-3月期決算は、各社とも純収益や収益、1株当たり利益が前年同期比で増加し、市場予想を上回りました。このため、決算発表当日の各社の株価は上昇しました。 以下は実績のポイントです。 ① 株式トレーディングは堅調、株式引受は軟調② 運用堅調(手数料、資金流入の増加) ③ 純金利収益の会社見通しは堅調 市場の値動きが大きかったことを受けて顧客アクティビティが活発で、株式トレーディング収益が高水準でした。一方で、事業会社が意思決定を延期した影響で株式引受は軟調でした。顧客が投資内容を見直したことから資産運用も概ね堅調でした。 純金利収益については、JPモルガン・チェースが25年12月期通期の見通しを引き上げました。また、バンク・オブ・アメリカは、ローンや運用資産の残高増加と利回り上昇の恩恵が、利下げの悪影響を上回ると分析し、同社の25年10-12月期純金利収益見通しは市場予想を上回りました。シティ・グループを加えた米大手3行合計の純金利収益の市場予想は24年末時点から上方修正されています。 (注)米大手銀行3行は、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティ・グループ。純金利収益実績のデータは四半期毎で、直近値は2025年1-3月期時点、また、2025年4-6月期以降はLSEG集計による市場予想平均。米10年国債利回りのデータは日次で、直近値は2025年5月6日時点。(出所) LSEGより野村證券投資情報部作成 以下は各社の経営陣によるトランプ政権の政策に関するコメントの共通点です。 ①トランプ関税によるマイナス面は大きい②税制改革や規制緩和のプラス面と、関税を併せて評価する 各社は、トランプ関税が、景気への不透明性、市場の混乱、企業の資金調達を含む意思決定の先送りなどのマイナスの影響を与えたと認識した上で、大統領選挙時の公約で今後実施が予想される税制改革(トランプ減税延長、法人税減税など)や規制緩和などのプラスの影響と併せて評価する姿勢を示しました。 金融規制緩和については、補完的レバレッジ比率(SLR=Supplementary Leverage Ratio)算定からの米国債の除外が検討されています(注)。実施された場合、貸出や米国債需要の増加が期待されます。 下図のように、各社の株価はトランプ関税を受け25年に入り一旦は下落しました。今後は、純金利収益の増加や、政策のプラス面が注目されます。 (注)データは日次で、直近値は2025年5月6日時点。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 (注)SLRは、自己資本規制の一つ。中核的自己資本(ティア1)を有価証券保有額で割った数値で、最低基準は5%。有価証券を追加で保有する際にその5%の自己資本の増額が必要となる。FRBはコロナ禍に対応して、20年4月にSLRを1年間の期間限定で緩和し、比率の分母から米国債と準備預金を外すことを認めた。2025年4月15日にフォルケンダー米財務副長官が米国債の除外措置を検討中とコメントした。 ご投資にあたっての注意点
-
05/10 07:00
【来週の予定】FRB高官の講演に注目 政策運営の新たな手がかりは得られるか
来週の注目点:米経済指標、FRB高官発言、日欧1-3月期実質GDP トランプ関税の先行きや景気への影響を巡る不確実性が高まっていることから、直近の金融政策会合で、日米ともに中央銀行は政策変更に対して慎重な姿勢を示しました。このため、市場の関心はトランプ政権と各国の通商交渉の行方や品目別関税へ移行すると見込まれます。特に関心が高いのは米中通商交渉ですが、トランプ大統領が中国に対する厳しい姿勢を示しているため、交渉は難航することが予想されています。 米国では今週も多くのFRB高官の講演が予定されていることから、今後の政策運営を巡るFRB内のコンセンサスについて新たな手掛かりが示されるかが注目されます。また、経済指標では15日(木)に5月NY連銀製造業景気指数、5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数といった先行性の高いソフトデータ(サーベイ調査)に加え、4月小売売上高、4月鉱工業生産といったハードデータ(実際の経済活動を示す指標)が発表されます。更に、13日(火)に4月消費者物価指数、15日(木)に4月生産者物価指数などの物価データが発表されます。関税の影響は既に駆け込み輸入として顕在化していますが、今後は価格転嫁、消費抑制として発現する可能性があるため注意が必要です。 日本では12日(月)に4月景気ウォッチャー調査、13日(火)に5月日銀金融政策決定会合における「主な意見」に続き、16日(金)に2025年1-3月期の実質GDP(1次速報値)が発表されます。実質GDPについては野村證券では前期比年率-1.8%と比較的大きく落ち込むと予想していますが、主因は輸入の増加であり、民間内需は堅調な推移となる見通しです。 欧州では13日(火)にドイツの5月ZEW景況感調査、15日(木)にユーロ圏の25年1-3月期実質GDP改定値、3月鉱工業生産が注目されます。特にユーロ圏のGDP改定値では需要項目の内訳が明らかになることから、今後の経済状況を予想する上で重要な手掛かりが得られる可能性があります。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年5月9日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
05/09 16:36
【野村の夕解説】日経平均株価は37,000円台回復 3月28日以来(5/9)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 8日の米国株取引時間中に米英の貿易協定が正式に成立し、市場では安心感が広がりました。また、寄り付き前には日本の3月毎月勤労統計が発表され、実質賃金は前年比で3ヶ月連続でマイナスとなりましたが、市場への影響は限定的でした。外国為替市場は前日のNY市場でリスクオンのムードが高まり、日本時間の朝9時台には1米ドル=145.90円前後と、昨日15:30時点の143.80円前後から大幅に円安が進行しました。本日の日経平均株価は前日比403円高の37,332円で始まり、その後は1日を通し、米関税政策への懸念が薄れたことや、円安進行が追い風となり堅調な推移が続きました。また、7日までに発表された企業決算や株主還元策などが好感された個別企業が上昇し、午後には一時前日比628円高となりました。大引けは前日比574円高の37,503円と続伸し、3月28日以来の3万7000円台を終値で回復しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 週末にベッセント財務長官などと中国高官側との米中会談が予定されており、本格交渉開始に移行できるかが焦点です。トランプ大統領は協議が順調に行われれば、対中関税引き下げもあるとしていますが、中国側は交渉開始前の関税撤廃を要求しています。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
05/09 12:01
【今週のチャート分析】NYダウ連騰記録が示す超長期上昇トレンド
※画像はイメージです。 ※2025年5月8日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価:37000円に迫る、過去の保ち合いレンジ下限が視野に 5月7・8日の日経平均株価は、5月2日までの7連騰で大幅上昇していたこともあり、短期的な過熱感が意識され、上値の重い展開となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう。4月7日に一時30,792円まで下落しましたが、米国の関税政策の一部修正を受けて大幅反発となりました。①4月25日に昨年12月高値から今年4月安値までの下落幅に対する半値戻し(35,595円)に到達し、②5月2日には同61.8%戻し(36,728円)を達成しました(図1)。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年5月8日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 この先の上値メドとして、図2の③75日線(5月8日:37,109円)や、④200日線(同:37,960円)の水準が挙げられます。また、⑤昨年10月から今年2月にかけて長期間保ち合ったレンジ(37,700~40,300円)の下限が視野に入ってきました。同レンジでは、累積売買代金が多いとみられ、戻り待ちの売り圧力が強まり上値が抑えられやすいとみられます。 (注1)直近値は2025年5月8日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 一方で、25日線からの乖離率やRSIは短期的な過熱感を示唆しています。上昇一巡後に再度調整となった場合は、図3中の⑥横ばいに転じた25日線(5月8日:34,727円)や、⑦4月中旬に保ち合った34,000円台の水準が下支えとなるかどうかが注目です。 (注1)直近値は2025年5月8日時点。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 NYダウ連騰記録が示す超長期上昇トレンド NYダウは、関税交渉進展への期待から値を戻し、5月2日にかけて9連騰となりました。しかし、戻しは5月7日時点で上値抵抗線である75・200日移動平均線以下の水準に留まっています。今後、関税引き上げによる経済の悪化が鮮明になってきた場合、再度調整に入る可能性を考慮しておくべきだと言えます。 ただ、過去の連騰記録と超長期トレンドの関係からみれば、10年超の超長期上昇トレンドが一時的な調整を吸収する可能性が高いとみられます(図4)。 (注1)直近値は2025年5月7日。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 では連騰記録はどのような局面で多く見られるのでしょうか(図5)。2009年以降の上昇局面では、今回を含めて8回みられましたが、 2000~09年の長期株価低迷期をみると、一時的に株価が上昇する局面はあったものの、一度も9連騰は達成できませんでした。 一方で、1982年からの超長期上昇局面では5回みられています。連騰記録からみれば、現在超長期上昇トレンドを形成中だと考えられます(図6)。 (注1)直近値は2025年5月7日。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 (注1)近値は2025年5月7日。(注2)トレンドラインには主観が含まれていますのでご留意下さい。(注3)日柄は両橋含む。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 一つ前の超長期上昇局面である、1982年半ばから2000年にかけての上昇は、上昇期間が約17年半となり、上昇倍率は15倍を超えました。今回は15年半で約7倍の上昇倍率に留まっています(図7)。 今後も様々なショックを乗り越えて、さらなる上昇となる可能性が高いと考えられます。 (注1)直近値は2025年5月7日。(注2)トレンドラインには主観が含まれていますのでご留意下さい。(注3)日柄は両橋含む。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
05/09 08:19
【野村の朝解説】貿易協議進展期待から米株は続伸(5/9)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 8日の米国市場では貿易協議進展への期待から市場のリスクセンチメントが改善し、株式市場では主要3指数が揃って続伸、米ドルは円やスイスフランを中心に主要通貨に対して上昇しました。米ドル円相場は146円前後まで円安が進行しています。トランプ大統領は英国との貿易協定で合意したことを発表、米国は英国からの輸入品に対する10%の基本税率を維持するものの、品目別の追加関税を引き下げる一方、英国は米製品に対する関税率を5.1%から1.8%に引き下げる模様です。トランプ大統領は、中国に対しても交渉が順調に進めば関税を引き下げることを検討し得ると述べました。 相場の注目点 目先最大の注目点は、今週スイスで予定されている米中貿易交渉です。トランプ大統領はこれまで中国に対する厳しい姿勢を維持してきたことから交渉は難航するとの見方が有力でしたが、現在145%の対中関税を50%程度まで引き下げることを検討しているとの報道もあり、市場の期待が高まっています。今週はEUとも協議が予定されています。EUは8日、米国との交渉に失敗した場合、追加関税を950億ユーロ規模に拡大する計画を明らかにしました。 金融政策面では、FRBは5月FOMCで予想通り3会合連続で政策金利を据え置き、パウエルFRB議長は予防的利下げには慎重な姿勢を示しました。今後も、金融政策運営は経済指標を見極めながら判断する状況が続きます。 本日のイベント 本日はウィリアムズNY連銀総裁はじめ、複数のFRB高官の講演が予定されています。今後の政策運営を巡って、FRB内のコンセンサスを探る上で良い機会になりそうです。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年5月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
05/08 16:21
【野村の夕解説】日経平均反発も、貿易交渉を巡って方向感を欠く展開に(5/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き トランプ米政権が7日、バイデン前政権によるAI半導体輸出規制強化の撤回を発表したことを受けて、米半導体株が上昇しました。この流れを引き継いで、国内半導体関連株がけん引役となり、日経平均株価は寄り付き直後に前日比178円高の36,957円まで上昇しました。しかし、米中対立長期化への懸念が市場の重石となり、間もなく下落に転じました。ただ、10時過ぎに、トランプ米大統領が自身のSNSで、日本時間8日23時に「大国との主要な貿易合意」の発表を予告したことが報じられると、日経平均株価は再度上昇に転じるなど、方向感に欠ける展開となりました。午後に入り、時間外取引での米国10年債利回りの上昇を背景とした円安進行を追い風に、日経平均株価は徐々に上げ幅を拡大し、終値は前日比148円高の36,928円となりました。個別銘柄では、NTT(日本電信電話)による完全子会社化が報じられたNTTデータグループが前日比+16.73%でストップ高となり、1銘柄で日経平均株価を83円押し上げました。取引時間中に決算を発表したトヨタ自動車は、2026.3期の営業減益見通しが嫌気され、前日比-1.27%となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 一部報道で、日本時間8日23時、トランプ米政権が英国との貿易合意を発表すると報じられています。今後の各国の貿易交渉の動向を探る上で、発表内容に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
-
05/08 12:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(5月第1週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2025年5月第1週(2025年4月25日~5月2日) 2025年4月月間(2025年3月31日~4月30日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年5月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年5月2日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2025年5月第1週(2025年4月25日~5月2日) 2025年4月月間(2025年3月31日~4月30日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年5月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年5月2日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2025年5月2日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
05/07 16:38
【野村の夕解説】日経平均株価は8営業日ぶり反落 FOMC控え小動き(5/7)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 7日の日経平均株価は前営業日比72円高の36,903円で始まり、その後は1日を通し、前営業日の終値36,830円を挟み一進一退の動きが続きました。日本時間7日未明には、一部報道機関が米国と中国が今週中に通商問題を巡る協議を開くと発表したと報じたことで、米中通商摩擦が緩和に向かうとの期待から上昇する場面もありました。一方、外国為替市場では、2日の15時半時点の145.20円前後から、本日10時台には一時1米ドル=142.75円前後と円高に推移し、株価の重石となりました。東証33業種別では、OPECが原油増産を決定したことで原油価格が下落しており、これを追い風に空運業が上昇した一方、トランプ大統領が述べた医薬品の品目別関税が嫌気され医薬品が下落しました。日本時間8日未明にはFOMCの結果発表を控え様子見姿勢が続き、終値は前営業日比51円安の36,779円と、8営業日ぶり反落となりました。個別企業では、トランプ大統領が外国で制作した映画に100%の関税をかける方針を示したことで、映画事業を手掛けるソニーグループが前営業日比-4.04%となり下げが目立ちました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本時間8日未明に、米国ではFOMCの結果公表が行われます。会合後、パウエルFRB議長が記者会見で、関税の影響についてどのようなスタンスを示すのか、注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
05/07 08:22
【野村の朝解説】米株反落、映画・医薬への関税が重し(5/7)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 日本が連休中(5月2日、5~6日)の米国株式市場は、2日はNYダウ及びS&P500が9連騰となりましたが、5日の両指数は10営業日ぶりに反落し、6日は続落となりました。2日は米中貿易協議の進展への期待が高まり、相場を押し上げました。しかし、その後は、トランプ大統領が外国で制作した映画や医薬品の関税について言及した事や、中国との交渉に進展がみられなかったことを受け、関税政策への警戒感が強まりました。外国為替市場では、貿易摩擦緩和への期待から2日に1ドル=145円台後半まで円安ドル高が進みましたが、その後はリスク回避的な動きが強まり、142円台半ばまで押し戻されました。 相場の注目点 引き続きトランプ政権の動向が焦点となります。足元でトランプ大統領は、一時的に免除していた医薬品や、これまで言及の少なかった分野の関税についても言及するようになっており、セクターの投資判断に影響を与えそうです。また、今週は日米の金融政策にも注目です。米国で6~7日に開催されるFOMCでは、金融政策は据え置きが見込まれます。トランプ大統領が利下げへの要求を繰り返す中、会合後のパウエルFRB議長の記者会見で関税の影響についてどのようなスタンスを示すのか、注目を集めます。9日にはFRB高官の講演が数多く予定されており、こちらも金融市場で材料視される可能性があります。日本では、8日に3月日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表されます。米国の関税政策の影響に関する政策委員の議論を確認したいと思います。また、今週は国内で数多くの決算発表が予定されており、株式市場では物色が広がりそうです。8日にトヨタ自動車、IHI、任天堂、武田薬品工業、9日にはパナソニックHD、日本製鉄、三井不動産などの企業が決算を発表します。足元の業績に加え、関税の影響についてのコメントが注目されます。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年5月7日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点