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2024/12/14 16:00
国内の薬用植物の現状と生産拡大に向けた方策
執筆:野村證券株式会社フード&アグリビジネスビジネス・コンサルティング部 シニア・コンサルタント 髙田 健(2024年12月10日) はじめに 薬用植物(生薬)は、古来、漢方薬や医薬品の原料として用いられ、近年は、漢方製剤市場の拡大に伴い、その需要が増加している。しかし、国内で使用される生薬の80%以上は中国から輸入されており、輸入価格の高騰や供給の安定性が課題となっているため、国内での安定供給を求める声が高まっている。農林水産省や関連団体も支援を行い、薬用植物の国内生産拡大に向けた取組を進めているが、未だ生産拡大や安定供給には至っていない状況にある。 本稿では、一般的に知られていない国内の薬用植物の現状と課題について一連の情報を提供しながら、薬用植物の国内生産拡大に向けた方策を考察することを目的とする。 1.薬用植物の定義 日本で使用される医薬品の品質や規格を定める厚生労働省監修の「日本薬局方」では、生薬を「動植物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物または鉱物など」と定義している。 生薬は植物由来のものが大部分を占めるため、平易な言葉で表すと、薬用植物の全部または一部に乾燥や加工を施したものが生薬となる。また、複数の生薬を組合わせたものが漢方製剤等になる。 生薬は医薬品に該当するため、薬用植物の全部または一部を乾燥・加工する際は、日本薬局方の規格に基づかなければならない。一方、薬用植物は、医薬品以外にも健康食品や化粧品などの原料にも用いられるが、その利用は薬用植物の部位毎に区分されており、厚生労働省ではこれを「食薬区分」としてリスト化している。 具体的には、①専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リストと、②医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リストの2つがあり、リスト①には約270種類の植物が含まれ、リスト②には約800種類の植物が納められている。つまり、リスト①に該当する薬用植物等の部位は医薬品として扱われるため、健康食品等の原料としては使用できない。一方、②に該当する薬用植物等の部位は、医薬品的な効能や効果を標ぼうしない限り、健康食品等の医薬品以外に活用できる。 なお、本稿で表記する薬用植物は、上記リスト①の医薬品(生薬)の原料となる薬用植物のことを指し、生薬の原料以外に用いる薬用植物について説明する場合は、その旨を別途記載する。 2.国内の薬用植物の現状 (1)国内の薬用植物の栽培状況 国内では、東京と神奈川を除く全ての道府県で薬用植物が栽培されている。農林水産省の資料によると、図表1に示すように、薬用植物の生産者の戸数は2010年に1,791戸だったが、2015年には2,065戸に増加した。しかし、その後は生産者の高齢化などの影響により、2022年には1,306戸にまで減少している。 一方、栽培面積は多少の変動はあるものの、ほぼ横ばいで推移している。2022年の薬用植物の栽培面積は494haであるが、そのうち北海道の栽培面積は224haとなっており、国内全体の約45%を北海道での栽培が占めている状況にある。背景には、大手製薬会社の生薬の生産・加工・保管施設が北海道に多く存在することが影響している。 薬用植物の特徴の一つに、栽培期間が比較的長いことが挙げられる。しかし、国内で栽培されている薬用植物の栽培面積上位10品目を見ると、ミシマサイコ、センキュウ、トウキなど、栽培期間が1~2年と比較的短い品目が多く栽培されている(図表2参照)。また、一戸当たりの栽培面積は1ha以下の生産者が多いという特徴もある。これは、薬用植物が野菜などに比べて栽培期間が長く、収益が上がるまでに時間がかかるため、生産者の多くは、薬用植物を複合栽培経営の一品目として栽培しているためと推察される。 図表 1 薬用植物の栽培面積・生産者戸数推移 (出所)農林水産省「薬用作物(生薬)をめぐる情勢」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 図表 2 薬用植物の栽培面積上位10品目 (出所)農林水産省「薬用作物(生薬)をめぐる情勢」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 (2)薬用植物の国内需要 近年、漢方製剤等の生産金額は増加傾向にある。厚生労働省の「薬事工業生産動態統計調査」によると、2015年の漢方製剤等の生産金額は1,671億円であったが、その後も増加が続き、2022年には2,332億円に達した(図表3参照)。この傾向は、漢方製剤等への需要が高まっている証拠であり、健康志向や自然療法への注目が影響していると考えられる。特に、2020年以降の伸びは、新型コロナウイルスの影響により、健康への意識がより一層高まったことが要因である。 図表3 漢方製剤等の生産金額の推移 (出所)厚生労働省「薬事工業生産動態調査」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 漢方製剤等の生産金額の増加は、そのまま生薬の需要の増加につながる。日本漢方生薬製剤協会の調査によると、当協会の会員(漢方製剤・生薬製剤・生薬の製造業者/製造販売業者等)62社が漢方製剤等に使用した生薬の種類と総使用量は、2019年度は273品目で27,240tであったものが、2020年度には276品目で27,997tとなり、品目、使用量ともに増加している。 図表4に、2020年度の276品目の内、使用量上位30品目における使用量と原料供給国を示している。それによると、国内での使用量が最も多い生薬はカンゾウである。カンゾウは、グリチルリチンという成分を含み、その甘さは砂糖の約150倍で、喉の炎症を和らげる効果がある。これにより、風邪や咳の症状を緩和するための主要な成分として幅広く使用されている。また、他の生薬との相性が良く、苦みが強い生薬を甘くして飲みやすくする役割も持つ。こうした特性により、カンゾウは漢方製剤等の原料として多く使用されるが、寒冷かつ乾燥した地域を原産とするため、高温多湿な日本の気候では栽培が難しい。そのため、使用量2,019tのうち、国産供給量はわずか0.1tで、多くが中国からの輸入に頼っている。 次に国内での使用量が多いブクリョウは、利尿作用に優れ、体内の余分な水分を排出するため、むくみの解消に効果がある。また、消化器系の働きを助ける作用を持ち、食欲不振や消費不良の改善などに活用されるが、ブクリョウもカンゾウ同様に国内ではほとんど栽培されていない。数値で見た場合、国内使用量1,950tのうち、約100%にあたる1,949tを中国からの輸入に依存している。 特異な存在としては使用量5位のコウイがある。コウイは主成分がマルトースで、その他にグルコースやマルトトリオースを含み、滋養効果や止痛・止咳効果がある。コウイは水分を好むため、日本の湿潤な気候がコウイの水分要求に合致し、国内で多く栽培されている。そのため、2020年度の使用量1,031tの全てを国産で賄っている。 しかし、コウイのように国内供給が可能な生薬がある一方で、多くの生薬は中国からの輸入に依存している。具体的には、上位30品目の生薬の総使用量21,685tのうち、国内供給量はわずか9.0%であり、80%以上が中国からの輸入に頼っている状況にある。 図表4 2020年度 上位30品目の生薬使用量と生産国 (使用量単位:t) (出所)日本漢方製剤協会「日本における原料生薬の使用量に関する調査報告」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 図表5 カンゾウ・ブクリョウ・コウイの特徴 (出所)公益社団法人 東京生薬協会「新常用和漢薬集」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 (3)生薬の中国への依存リスク 財務省の貿易統計データで、過去10年間の中国からの生薬の輸入状況を見ると、2014年の輸入量は13,733tであった。その後、輸入量は増加し、2020年には17,013tに達した。2021年には一時的に16,535tに減少したが、翌年から回復し、2023年には18,697tに達している(図表6参照)。 一方、輸入額の推移を見ると、直近の数年間は、輸入量の増加率を上回るペースで輸入額が増加している。これは円安の影響もあるが、中国国内では乱獲により自生の薬用植物が減少していること、そして、経済発展に伴って自国での生薬需要が増加し、価格が上昇していることが要因である。 さらに、中国では環境保全を目的に、一部の野生薬用植物について採取規制や輸出規制等を行っている。特に高い需要を持つカンゾウについては、輸出総量枠が定められている。2008年~2012年の輸出総量枠は毎年3,600tの枠が設定されたが、それが2013年~2014年には4,000t台へと緩和された。しかし、2021年にはこの枠が2,900tに引き締められ、その後、2022年は3,400t、2023年は3,800tと再度緩和されたものの、依然として規制は継続されている。こうした輸出総量枠によっても輸入価格が影響を受け、中国からの生薬の安定的確保が難しくなることが懸念されている。 このため、生薬の原料となる薬用植物の国内での栽培拡大の重要性が高まっている。国内栽培を推進することで、輸入依存度を減らし、供給の安定性を確保することが必要である。 図表6 中国産の生薬・カンゾウの輸入状況 (出所)財務省 貿易統計より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 3.国内の薬用植物の課題 中国からの生薬の安定的な調達が難しくなることが懸念される中、国内での薬用植物の栽培拡大が重要となるが、その実現には多くの課題が存在する。ここでは、薬用植物の課題を生産面と流通面から考察する。 (1)薬用植物の生産面の課題 ①栽培期間の長さとその影響 薬用植物の栽培では、栽培期間が大きな課題となる。例えば、シソのように5ヵ月程度で収穫が可能な植物もあるが、多くはセンキュウやサイコのように1年以上の期間を要する。国内で最も使用されているカンゾウに至っては、栽培期間が3~5年にも及ぶ。これは、カンゾウの根に含まれる有効成分(グリチルリチン酸)の含量を高めるためである。日本薬局方では、カンゾウのグリチルリチン酸の含量が2.0%以上であることが基準となっており、その含量を満たすために根を十分に成長させる必要があり、栽培に長い期間が必要になる。長期間の栽培は、生産者が収益を得るまでに長い期間を要することを意味し、資金繰りや労働力の確保を含む経営リスクを高めることになる。 ②作業の効率性に関する課題 薬用植物は地上部の茎や葉ではなく、主に根や地下茎を収穫するため、特定の機械が必要となる。しかし、現状では薬用植物専用の農業機械がほとんど存在しない。これは、薬用植物が一般的な農作物と比べて市場が限定されているため、農業機械メーカーが専用機械を販売していないことが要因である。そのため、生産者は既存の農業機械を使用し、工夫しながら作業を行っている。専用機械の欠如は収穫作業の効率を低下させ、作業時間が増えることで生産コストが上がる要因となる。また、薬用植物を生薬として出荷するには、収穫後に根や地下茎を洗浄・乾燥し、ひげ根の除去などを行う調整作業が必要となり、これにも手間がかかる。 (2)薬用植物の流通面の課題 ①流通の限定とその影響 生薬は一般の農作物のような流通市場が存在しない。そのため、多くが特定の製薬会社との契約に基づいて取引される。この契約栽培の形式は、生産者にとっては販売先が確保されている利点がある一方で、日本薬局方の基準に加え、製薬会社が独自に設定する厳格な出荷基準を満たさなければならず、常に高い品質を維持するための生産・管理技術が求められる。 ②産地化の必要性 製薬会社との契約栽培においては、製薬会社は一定の数量を求めるため、単独での生産や少量出荷の生産者とは契約が行われないことが多い。このため、薬用植物の栽培には生産者や自治体、企業などが連携し、生産性や流通効率を向上させる産地化が必要になる。産地化は共同で事業を行う手間を伴うが、その一方で、知識や技術の共有、作業プロセスの標準化、資源の最適化、問題の早期発見・対応などを通じて、品質の向上やコスト削減が可能となる。 なお、薬用植物の産地化事例として、高知県超知町と岡山県高梁市の例を以下紹介する(図表7)。 図表7 薬用植物の産地化事例 (出所)農林水産省「薬用作物の産地化事例集」より、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 4.薬用植物の国内生産拡大に向けた方策 薬用植物の栽培を拡大するため、国内では様々な取り組みが進められている。農林水産省や関連団体は、薬用植物の産地化を推進している。千葉大学と富士通株式会社はICTを活用して薬用植物や機能性植物の栽培技術を確立するための実証実験を実施しており、国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所と株式会社プランテックス、ロート製薬株式会社は、3社で薬用植物の植物工場栽培に関する共同研究を行っている。これらの研究や取り組みを通じて、生産拡大や路地以外での栽培方法、栽培期間の短縮化等が模索されている。一方、市場環境を見た場合、これら以外の視点として、高需要品目に着目した薬用植物の栽培拡大と、医薬品以外の薬用植物の活用についての可能性が高まると筆者は考える (1) 高需要品目に着目した薬用植物の栽培量の拡大 国内の薬用植物の栽培を拡大するための一つの戦略としては、高需要の生薬の栽培を増加させることが挙げられる。具体的には、図表5で示した、漢方製剤等の原料としての使用量が多い生薬をターゲットにする。つまり、カンゾウ、ブクリョウ等に注力して栽培の拡大を図ることが考えられる。 カンゾウは寒冷で乾燥した地域を好み、ブクリョウは高温で乾燥した地域での栽培が適している。そのため、高温多湿な日本の気候では上手く育たず、国内ではあまり栽培が行われていない。しかし、過去に寒冷地での栽培が適し、日本の気候では育てるのが難しかったケールが品種改良を経て国内で栽培が可能になった例や、気温や日照時間に敏感で栽培管理が難しいとされたパプリカが、温室栽培や栽培管理技術の向上によって国内でも栽培が行われるようになった例もある。カンゾウやブクリョウも、生産者と行政や研究機関が協力して栽培方法の確立や技術の向上に努めれば、国内栽培の可能性も高まると考えられる。 安定した供給体制が整えば、製薬会社との契約栽培が可能になる。また、新製品・治療法の研究・開発も進展することが期待され、更なる需要が見込まれる。2020年でカンゾウは2,019t、ブクリョウは1,949tも国内で使用されているが、国内からの供給はどちらも0.1%にとどまっている。このことから、拡大の余地は非常に大きいと言える。 (2)医薬品以外での薬用植物の活用 これまでは漢方製剤等の原料を中心とした生薬や薬用植物について述べてきたが、もう一つ重要な展望として、医薬品以外での薬用植物の活用を拡大させていくことが考えられる。国内には多くの薬用植物が存在し、これらの多様な利用方法を探ることは重要である。特に、サプリメントを含む健康食品の市場は、近年拡大している。健康産業新聞によると、2021年の国内の健康食品市場は1兆2,700億円、2022年は1兆2,900億円(前年比1.6%増)、2023年は1兆3,150億円(同1.9%増)と推計されており、これらの分野での更なる活用が期待される。例えば、薬用植物をベースとした新しい製品の開発や、地方の特産品と組み合わせた商品化が進めば、地域経済の発展にも寄与する。 また、薬用植物を活用した健康・美容イベントやワークショップを実施することで、その知識や価値を広める手段となる。観光業との連携を図れば、地域の活性化にも貢献する。 こうした取り組みから始め、生産者同士の連携を強化し、量の確保を図ることができれば、健康食品会社等との契約栽培の可能性も生まれる。国内での薬用植物の拡大については、生産体制の強化だけでなく、薬用植物の活用にも目を向け、需要を喚起していくことが重要になる。 おわりに 薬用植物(生薬)は、漢方薬や医薬品の原料として重要な役割を果たしており、健康志向が高まる現代において注目されている。しかし、多くの生薬が中国から輸入されており、輸入価格の高騰や供給の安定性が課題となっている。 国内の薬用植物生産者が直面している課題は多岐にわたり、その詳細については本稿では触れなかったが、今後は新しい栽培方法や技術の進展により、国内栽培が拡大することが期待されている。また、高い需要の薬用植物を国内で栽培できるようになれば、国産の原料を使った医薬品や健康食品等の開発も促進される。 新しい市場が開かれることで地域経済の活性化が進み、若い世代が農業に参入するきっかけになる可能性もある。日本の農業は高齢化や担い手不足に悩まされているが、薬用植物が農業の発展を促す一因となることを期待したい。 ディスクレイマー 本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。 国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。 外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
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2024/12/14 12:00
【注目トピック】半導体製造装置市場は2026年にかけて拡大へ、業界団体が市場予測を発表
※画像はイメージです。 SEMIの2024年末世界半導体市場予測 2024年・2025年とも上方修正 米国時間12月9日にSEMI(国際半導体製造装置材料協会)は、半導体製造装置の2024年末市場予測を発表しました。 2024年7月時点の予測と比較すると、2024年は上方修正されていますが、2025年については、下方修正されています。ただし、前年比マイナス成長となった2023年に対し、2024年には拡大に転じ、2025年も拡大が続くという方向に変わりはありません。また、今回新たに示された2026年予測については、一段の拡大が予想されています。 中国とAI関連需要がけん引 発表資料の中でSEMIは、2024年7月の予測以来、2024年の半導体製造装置販売額の見通しは明るくなっており、特に中国およびAI関連分野からの投資が予想を上回っていると述べています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)灰色は実績、薄い赤色は2024年7月時点、赤色は2024年12月時点のSEMI(国際半導体製造装置材料協会)による予測。(出所)SEMI、LSEGより野村證券投資情報部作成 半導体製造装置販売額の内訳で一番大きな前工程(半導体材料であるシリコンウエハー等を処理する工程)のウエハーファブ装置について、2024年の上方修正は、AIコンピューティングからの需要にけん引されたDRAMおよびHBM(広帯域メモリー)への好調な設備投資の継続を主に反映しているとしています。加えて、中国の投資も引き続き、ウエハーファブ装置市場の拡大に大きく貢献しているとしています。そして、先端ロジックとメモリー・アプリケーションの需要増加により、2025年、2026年と拡大が続くとしています。 後工程(処理されたシリコンウエハー等を半導体製品として組み立てる工程)装置分野は、過去2年連続して減少したものの、2024年は特に下半期において力強く回復したとしています。2025年以降の後工程分野の成長を支えるのは、ハイパフォーマンス・コンピューティング用半導体デバイスの複雑化、モバイル、車載、産業用の需要が増加するためとしています。 地域別動向 地域別では、中国、台湾、韓国が、2026年まで装置購入額のトップ3を維持し、中国は景気減速が予測されているにもかかわらず、装置購入が引き続き底堅いことから、今回の予測期間中はトップの座を維持する見込みと予想しています。中国への装置出荷額は、2024年に過去最高の490億米ドルに達するとのことです。 なお、ほとんどの地域で設備投資額は2024年に減少し、中国以外の地域では2025年に回復することが予想されるものの、中国は2022~2024年の3年間の大規模投資を受けて、2025年は縮小する見込みとのことです。2026年には、すべての地域で増加することが予測されるとしています。 今後の注目点 半導体製造装置メーカーであるアプライド・マテリアルズ、KLA、ラムリサーチ、ASMLホールディングなどの株価は、2024年夏以降、軟調に推移しています。半導体製造装置の需要が、AI向けは好調なものの、自動車など他の分野の需要が弱いことなどが各社の決算発表などの機会で示され、株価の重石となっていました。 (注)データは日時で2024年初=100とする指数。直近値は2024年12月10日。ASMLホールディングはADR(米国預託証券)の価格の推移。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 このような状況を踏まえると、今回のSEMIの予測は、概ね想定の範囲内と考えます。 とはいえ、2025年の予想は下方修正されたものの、2024年には拡大に転じて2025年も拡大が続くという方向に変わりはなく、今回新たに示された2026年には一段の拡大が予想されているという点は、ポジティブに受け止めてよいと判断します。 今後も、半導体業界に関する報道や、半導体製造装置メーカー及び半導体メーカーの決算発表などの機会を通し、半導体製造装置市場の動向を確認していきたいと考えます。 12月18日には、半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーが、2024年9-11月期(2025年8月期・第1四半期)決算を発表する予定です。マイクロン・テクノロジーは、自社で半導体を製造する垂直統合型の半導体メーカーで、半導体製造装置を購入する企業であり、同社の設備投資計画などを確認したいと思います。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/14 09:00
【オピニオン】日本経済の鍵を握る「春闘」3つのポイント
※画像はイメージです。 日本の2024年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は前期比年率+1.2%と、2四半期連続のプラス成長を記録しました。成長に最も寄与した個人消費(民間最終消費支出)は前期比+0.7%と、23年1-3月期以来の高い伸びとなりました。主体別にみると、非居住者による支出(いわゆるインバウンド消費:個人消費ではなくサービス輸出に含まれる)が減り、居住者による支出(個人消費に含まれる)が増えた点が特徴的でした。 野村證券では、日本経済は今後も年率+0.5%程度と見られる潜在成長率を上回るペースで回復すると予想しています。また、日銀は賃金と物価の好循環が継続するとの見立てを基に利上げを継続する意向です。今後の景気動向や金融政策判断の鍵を握っているのは賃金上昇ペースとその持続性だと考えられます。 日本では毎年2月頃から行われる春闘において労使間で賃金交渉が行われます。今回は、この春闘でチェックすべき3つのポイントをご紹介します。 第1はベア(ベースアップ)率です。連合は25年春闘も「5%以上の賃上げ」を目指すと掲げていますが、このうち特に重要なのは定期昇給分を除いたベア、いわゆる基本給のベースアップ部分です。定期昇給分は毎年大きな変化がないため、前年と比較した給与の増加分は主にベアの部分になります。 第2はベアがインフレを上回ったか否かです。23年春闘では平均で前年比+2.12%のベアが達成されましたが、23年度の消費者物価=インフレ率(同+3.0%)を下回ったことから、実質賃金は目減りしました。この結果、個人消費は減少してしまいました。 第3は、春闘での賃上げ率が日本全国のベンチマークになっているかです。春闘での結果はあくまで連合に加盟しており、かつ賃上げを獲得した組合の平均に過ぎません。日本全体で見たベアに相当する給与は、毎月勤労統計の一般労働者(正社員に相当)の所定内給与(基本給に相当する部分)です。24年10月の所定内給与(速報)は前年比+2.8%、同月の消費者物価が同+2.3%ですから、実質賃金は同+0.5%上昇しました。 野村證券では、25年春闘でのベアは同+3.46%、同じく25年度のインフレ率は同+2.0%と予想しています。野村證券の見通し通りであれば、基本給の増加率が物価上昇率を上回ることで消費が堅調に推移するなか、企業には賃上げの一部を価格転嫁する余裕が生じると想定されます。日銀は賃金と物価の好循環を確認しながら、景気にとって中立的と見られる水準に向けて政策金利の引き上げに取り組むと予想されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)データは一般労働者の所定内給与が月次で、連合のベースアップ率、消費者物価上昇率が年次。直近値は、一般労働者の所定内給与が2024年9月、連合のベースアップ率は2024年、消費者物価上昇率は2023年度。2025年の連合のベースアップ率、2024年度、25年度の消費者物価上昇率は野村見通し(2024年12月9日時点)。(出所)厚生労働省資料、連合、野村證券経済調査部資料より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/14 07:00
【来週の予定】利下げ織り込みが進むFOMC、利上げ織り込みが低調な日銀会合
来週の注目点:日米金融政策会合、中国の経済対策効果の確認 今週は17日(火)~18日(水)に米国で、18日(水)~19日(木)には日本でも中央銀行の金融政策決定会合が開催されます。 FRBの政策判断を見極める上で注目された11月CPIは食品・エネルギーを除くコア指数の前月比上昇率が市場予想に一致したことから、市場では今回のFOMCにおける利下げをほぼ織り込んでいます。ただし、コアCPIは4ヶ月連続で前月比+0.3%と、年率換算でインフレ目標である2.0%を上回る上昇率を続けていること、トランプ次期政権が関税の引き上げを公言していることから、「FRBは早晩、様子見に転じるのではないか」との見方が高まっています。今回の会合では経済・政策金利見通しが公表されることから、FRBが次期政権の政策をどの程度経済見通しに織り込んでいるかを含めて、政策金利見通しが注目されます。 日銀に関する市場の利上げ織り込みは2割程度と低調です。ブルームバーグが「日本銀行は消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識している」と報じたこと等が影響しているようです。ただし、次回25年1月会合まで見れば75%程度織り込まれていることから、仮に今会合で利上げが行われても24年7月会合後のような混乱にはつながらないと見ています。 米国では重要指標の発表も複数予定されていますが、特に注目すべきは20日(金)の個人消費支出・所得統計です。米国経済の成長持続力を測る上では個人所得・消費動向が重要な上、FRBがインフレ指標として参照しているのは同時に公表されるPCE(個人消費支出)コアデフレーターです。 中国では16日(月)に11月の鉱工業生産と小売売上高、1-11月の固定資産投資、不動産投資が発表されます。24年9月以降講じられてきた経済対策の影響を確認する点から、小売売上高の増加が持続しているか、不動産投資や鉱工業生産にも経済対策の恩恵が及んでいるかといった点がチェックポイントです。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年12月13日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/13 16:32
【野村の夕解説】日経平均株価5営業日ぶりの反落378円安(12/13)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日の米国株式市場では、インフレ再燃への懸念が高まり、主要3指数は揃って下落しました。その流れを引き継ぎ本日の日経平均株価は前日比225円安の39,624円で取引を開始しました。前日に一時40,000円を上回る場面もありましたが、40,000円付近での上値は重く、前日の大引けに続いて本日も高値警戒感が重石となりました。しかし、11時過ぎに前日比601円安の39,247円まで下げ幅を広げると、自律反発のような動きとなり下げ幅を縮めました。さらに一時、1米ドル=153円台を付けるなど円安気味に推移したことも下支えとなり、39,400円台で一進一退となりました。その後は新規の材料に欠き、前日比378円安の39,470円と5営業日ぶりに反落して本日の取引を終えました。個別銘柄では、日経平均株価の構成比で上位銘柄の下落が目立ちました。中でも、ファーストリテイリングは前日比ー2.25%、東京エレクトロン同ー3.10%となり、2銘柄で約185円日経平均株価を押し下げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日は主要経済指標の発表はありませんが、来週は17~18日に米国で、18~19日に日本でも年内最後となる中央銀行の金融政策決定会合が開催されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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2024/12/13 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価一時4万円台回復、保ち合いレンジ上限突破なるか
※画像はイメージです。 ※2024年12月12日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 10月15日高値(40,257円)を上放れとなれば、上昇に弾みも 今週(12月9日~)の日経平均株価は、円安進行などを好感し、堅調に推移しました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、9月下旬から、下限を3万7千円台半ばとし、上限を4万円前後とする保ち合いが継続しています。しかし、11月28日安値(37,801円)形成後、12月3日にかけての株価上昇で38,200~700円台(12月3日時点)のレンジに収れんする25日・75日・200日移動平均線を明確に上抜けし、さらに12日の取引時間中には11月7日戻り高値(39,884円)を超えて、一時4万円の大台を回復しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年12月12日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 この先、10月15日高値(40,257円)を上放れとなれば、9月下旬以降の保ち合いを上抜けしたこととなるため、上昇に弾みがつきやすいと考えられます。その場合、7月11日につけた史上最高値(ザラバベース:42,426円)を視野に入れる動きとなると考えられます(図1)。 一方で、目先の上値が重く、再度25日線(12月12日:38,831円)や200日線(同:38,698円)を下回る水準に押し戻される場合は、11月28日安値(37,801円)が下値のメドと考えられます(図1)。 他方、8月安値(31,156円)以降の上昇過程で底入れのパターンであるダブルボトムが完成しています。また、8月安値から、これまでに約4ヶ月が経過し、9月下旬以降の保ち合いについても既に約2ヶ月半が経過しており、日柄調整が十分となっています。この先、保ち合いを上抜けし、本格的な上昇相場再開となることが期待されます(図1)。 干支相場 2025年~巳年縁起~ 2024年も残り僅かとなりました。年末が近づくと、25年の干支「巳年」が話題に上がります。古来、蛇は「神の使い」として信仰の対象とされ、脱皮を繰り返し成長するさまは「生命力」「復活・再生」の象徴とされます。 戦前を含めた過去8回の「巳年」の日経平均株価の年間平均騰落率は+6.7%で、十二支の中で8位にとどまります(図2)。冴えない印象ですが、アベノミクス初期の2013年(+56.7%)や平成バブル末期の1989年(+29.0%)など、大幅上昇した年もあり、戦前の世界恐慌時の1929年(-33.1%)などを除いて戦後だけに限れば、年間平均騰落率は+13.4%まで改善します。 (注1)直近値は2024年11月末 (注2)1921年(大正10)~49年(昭和24)はフィッシャ-式株価指数(グレー表示)、1950年(昭和25)以降は日経平均株価。1945年の株価騰落率は9~12月の株価が発表されていないため、1946年1月の株価を使用して算出。 (出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 2025年の干支は、正確には『乙巳(きのと・み)』です。歴史を紐解くと、前回の「乙巳」は60年前の1965年です。前年の東京オリンピック開催の余韻が残る中、11月には戦後最長の57ヶ月間に及ぶ「いざなぎ景気」がスタートします。前年の東海道新幹線開業に続き、名神高速道路が全線開通、5年後の日本万国博覧会(大阪万博)開催が決定するなど、将来の経済大国へ向けて成長が加速していく年となりました(図2)。 また、十二支にまつわる兜町の相場格言には、『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』とあります。ここでの「天井」はネガティブな意味ではなく、「高値で推移する」ことを意味します。2025年、金運や幸運を招くとされるヘビにあやかりつつ、未来への強い一歩を踏み出したいものです。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2024/12/13 09:30
【#防災強化】AI抽出15銘柄/みずほ、セコム、MonotaROなど
政府は「防災庁」の設置準備室を新設 政府は11月1日、内閣官房内に「防災庁設置準備室」を立ち上げました。2026年度中の防災庁発足を目指し、将来的な「防災省」への格上げも視野に入れています。この新組織では、災害への備えや復興支援の強化を目的とし、地域の防災計画の策定に取り組むことで、大規模災害への備えが一層強化されることが期待されています。AI「xenoBrain」は、「日本防災対策強化」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ※ xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)母集団はTOPIX500採用銘柄。xenoBrainのデータは2024年12月2日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2024/12/13 08:46
【野村の朝解説】NYダウは6日続落(12/13)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 12日の米国株式市場で主要3指数はそろって下落しました。この日発表された米経済指標は強弱入り混じる内容となりましたが、来週のFOMCに向けた利下げ観測は根強く、NYダウは前日比でプラス圏に浮上する場面もみられました。一方、前日に初めて2万ポイントの大台を突破したナスダックは、節目を超えたことで利益確定の動きが出やすく、終日マイナス圏での推移となりました。米国の10年国債利回りが4.3%台に上昇したことも株価の重石になったとみられます。 欧州では、ECBが市場予想通り0.25%ポイントの追加利下げを決定しました。25-26年の景気・物価見通しを下方修正したほか、ラガルドECB総裁は記者会見で0.50%ポイントの利下げを検討する意見もあったことを明らかにしました。ユーロドルは記者会見前後で乱高下となりましたが、ECBのハト派姿勢から、足下では1.05ドルを再び割り込んでいます。 相場の注目点 米国では来週17日(火)~18日(水)にFOMCを控え、7日(土)からFRBのブラックアウト期間入りしていますが、12日には新規失業保険申請件数(12月7日終了週)が予想外に前週から増加、雇用情勢の悪化が示され、市場ではすでに0.25%ポイントの追加利下げを9割程度織り込んでいます。野村證券では、24年12月と25年3月に0.25%ポイントの利下げを実施すると予想しています。一方、11月コア消費者物価が4ヶ月連続で前月比+0.3%となったことに加え、12日発表の11月卸売物価(PPI)が同+0.4%と市場予想を上回って加速するなどインフレの根強さを示す指標が続いていること、またトランプ次期政権が関税の引き上げを公言していることから、追加利下げ観測の後退が金利上昇・ドル高につながる可能性があり、今回の会合では経済・政策金利見通しの変化が注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年12月13日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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2024/12/12 16:30
【野村の夕解説】米ハイテク株の上昇を追い風に、日経平均は476円高(12/12)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日に発表された米国の11月CPI(消費者物価指数)の総合指数の前月比、および、食品・エネルギーを除くコア指数の前月比がともに市場予想と一致したことから、12月FOMCでの追加利下げの織り込みが進みました。また、生成AI開発の進展に関する個別企業の発表や報道が相次ぎ、株式市場ではハイテク株を中心に上昇しました。米国株高を追い風に、本日の日経平均株価は前日比477円高の39,849円で取引を開始しました。一部アナリストにより目標株価が引き上げられたアドバンテストや、ソフトバンクグループがけん引役となり、取引時間中に10月15日以来、約2ヶ月ぶりに40,000円を超える場面もありました。前日夜に一部報道で、日銀が追加利上げを急ぐ必要はないと認識していると伝わり、日銀による12月の追加利上げ観測が後退したことで、外国為替市場では1米ドル=152円台まで円安米ドル高が進んでいました。このことも、日経平均株価を押し上げたとみられます。40,000円前後では上値が重く伸び悩んだものの底堅く推移し、大引けは前日比476円高の39,849円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国で12月7日の週の新規失業保険申請件数が発表されます。12月FOMCを前に、労働市場の動向を見極める上で注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点