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09:30

【投資と税金】配偶者の相続税はどれくらい軽減される?

配偶者にとって、長年連れ添ったパートナーを亡くすことは、精神的なショックだけでなく、今後の生活に対する経済的な不安も大きなものです。そのような配偶者が、残された遺産を少しでも多く受け取ることができれば、将来への不安を和らげることにつながります。配偶者は常に相続人となるため、税額軽減によって相続税が軽減されます。今回は、配偶者の税額軽減について、大手町トラストの税理士にお話を伺いました。 (注)画像はイメージです。 はじめに 配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産がある場合において、一定の金額までは配偶者に相続税がかからないという制度です。 適用要件 (1)法律上の配偶者であること死亡した人の配偶者は常に相続人となります。適用が受けられるのは、婚姻届を提出している「法的な夫婦」で、内縁関係の人は、相続人に含まれません。(2)相続税の申告書を提出すること配偶者の税額軽減の適用を受けるには、相続税の申告書又は更正の請求書に税額軽減の適用を受ける旨を記載し、提出する必要があります。 ※正味の遺産額のうち仮装又は隠蔽されていた部分は、配偶者の税額軽減の対象とはなりません。 (3)遺産分割が確定していることこの規定は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっているため、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。 ただし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内(※)に分割したときは、税額軽減の対象になります。(※)遺産分割に関する調停や訴訟など、3年以内に分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合は、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内 配偶者の税額軽減の適用額 次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。 (注)この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。 (1)1億6千万円(2)配偶者の法定相続分相当額 具体的な計算例 例:相続人(配偶者、子2人)遺産総額: 6億円(法定相続分相当額:配偶者 3億円、子A 1.5億円、子B 1.5億円)基礎控除額: 3,000万円+(600万円×3)=4,800万円相続税 課税対象額:5億5,200万円(相続税総額:1億7,360万円)相続税 納付税額:配偶者 0円、子ども1人あたり 4,340万円(※)(※)相続税総額1億7,360万円×1/4(子ども1人の財産取得割合)=4,340万円 ※【相続税の基礎控除額】3,000万円+600万円×法定相続人の数 配偶者が相続した財産が3億円の場合、1億6,000万円を超えていますが法定相続分である3億円以下となるため、配偶者の税額減税の適用により全額控除され、配偶者の相続税はかかりません。 手続き 配偶者の税額軽減の適用を受けるには、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書または更正の請求書に下記の書類を添付して確定申告をすることが必要です。 (1)被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本など(2)配偶者の取得した財産が分かる書類(遺言書の写しや遺産分割協議書の写し(※)など)  (※)遺産分割協議書の写しには相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)も添付(3)「申告期限後3年以内の分割見込書」(申告期限内に分割ができない場合に提出) 配偶者の税額軽減の活用 課税価格が1億6,000万円以下の場合には、配偶者が相続財産をすべて取得すれば、結果的に相続税の負担はゼロとなります。しかし、次に配偶者に万一のことがあった場合(二次相続と呼びます)、配偶者がこの相続した財産をそのまま残してお亡くなりになると、思わぬ相続税の負担が生じることがあります。一次相続発生後、期間の経過とともに相続税評価額が下がる財産(自宅建物など)や、二次相続発生までに相続税対策をしやすい財産(生前贈与しやすい現金など)を配偶者が相続することなどが二次相続対策となりえます。 終わりに 配偶者の方が固有の財産を多額に所有している場合は、一次相続・二次相続合計で考えると、配偶者が財産を法定相続分まで相続しない方が税金面で有利になるケースもあリます。一次相続において「配偶者の税額軽減制度」を最大限活用するかどうかは、一次、二次相続の合計税額および配偶者のその後の生活費等の費消、配偶者の希望などを考えて、総合的に判断する必要があります。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この情報は、ご覧いただいたお客様限りでご利用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点

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