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【特集】1年で株価が2倍の「バガー銘柄」その傾向とは 実際に2倍になった銘柄を分析

大きく値上がりしそうな銘柄を探して投資できるのも株式の魅力の一つです。しかし、実際に探すとなると難しいものです。1年間で株価が2倍以上になった「バガー銘柄」にはどんな傾向があるのでしょうか。野村證券投資情報部の大坂隼矢が過去の事例に照らし、銘柄探しのヒントについて解説します。 2023年は生成AIや半導体工場誘致が投資のテーマに ――昨年1年間で2倍以上になった「バガー銘柄」には、どんなものがありましたか。 大坂隼矢(以下、同)日本の株式市場に上場している4,000を超える銘柄のうち、2023年に2倍以上に値上がりしたのは計127銘柄でした。 (注)前年末から各年末までの年間騰落率が100%(2倍)以上となった銘柄数を算出。前年末の時価総額で算出。母集団は現在の全上場企業であり、上場廃止になった銘柄は含まない。(出所)東京証券取引所などより野村證券投資情報部作成 2023年は生成AIが市場の注目テーマとなりました。生成AI向けクラウドサービスを展開するさくらインターネット(3778)や、生成AI向け半導体の生産に用いられる独自の製造装置が注目されたTOWA(6315)などの株価が1年間で4倍以上の上昇となりました。 また、TSMCの熊本工場新設などを受け、国内の半導体関連企業にも注目が集まり、半導体製造に必要な「超純水」を展開する野村マイクロ・サイエンス(6254)や半導体テストの受託事業を展開するテラプローブ(6627)なども株価を3倍以上に伸ばしました。 1年間で株価が2倍になるバガー銘柄は、時価総額の小さな小型株に多く見られます。しかし、時価総額が比較的大きな企業でも株価が2倍になる銘柄は存在します。2023年の年初時点で時価総額が1,000億円を超えていた銘柄で、2023年の1年間で2倍以上になった銘柄は計15銘柄ありました。「生成AI」や「半導体工場誘致」が投資のテーマとなったこともあり、半導体関連企業が過半数を占めています。 また、神戸製鋼所(5406)や山崎製パン(2212)など、かつてPBRが1倍を大きく割れるほど市場の評価が低かった銘柄が、業績の大幅な改善をきっかけとして、評価が「一変」するといったケースもありました。 2023年に株価が2倍以上になった銘柄(2022年末時点の時価総額1,000億円以上の銘柄) (注)2022年末から2023年末までの年間騰落率が100%(2倍)以上となった銘柄のうち、2022年末時点で時価総額1000億円以上の銘柄を掲載している。母集団は現在の全上場企業であり、上場廃止になった銘柄は含まない。(出所)東京証券取引所などより野村證券投資情報部作成 ――過去にはどういった銘柄の株価が大きく上昇したのでしょうか。 2023年に半導体が投資のテーマとなったように、時代の変化によって、注目される銘柄も移り変わっています。 例えば、新型コロナウイルスの感染が拡大していた2020年は「医療のデジタル化」がテーマとなり、医療従事者向けプラットフォームを展開するエムスリー(2413)や医療データを提供するJMDC(4483)が2倍を超える上昇率を記録しました。 また、コロナ禍での「巣ごもり需要」もテーマとなり、コーエーテクモホールディングス(3635)やネクソン(3659)、カプコン(9697)といったゲーム関連株も大きく上昇しました。 (注)業種は東証33業種分類。(出所)東京証券取引所などより野村證券投資情報部作成 ――2倍以上に上昇する銘柄は将来的な成長が期待されている銘柄ですので、事業への先行投資などによって赤字になっている企業も多いようなイメージがあります。 1年で株価が2倍になった銘柄を業種別に分けると、「情報通信」や「サービス業」の比率が相対的に高い年が多いです。これらの業種は比較的、新しい企業が生まれやすいとされる業種です。 確かに、新興企業の中には、将来の成長のために積極的な投資を行っているため経常赤字を計上している企業もあり、バガー銘柄の中にも、経常赤字の企業は一定程度存在します。 ただし、その比率は決して高くありません。投資家にとっては、将来の成長を期待できる経常赤字の企業に投資するより、成長も期待でき、なおかつ現状も経常黒字となっている企業に投資をした方が投資リスクを抑えるといった点では有効だからではないでしょうか。 ――バガー銘柄を探すためのポイントを教えてください。 月並みではありますが、社会の動きを読むことが大切だと思います。株式市場は人気投票の場です。生成AIやコロナ禍など、時勢やトレンドを踏まえ、資金が集まりそうなセクターや企業を探してみましょう。 そして、自分なりに見つけ出した企業の売上高や利益が、足元で着実に伸びているかどうかを企業のIR情報などで確認してから投資をするかどうかを決めるのがよいと思います。 ご投資にあたっての注意点

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