野村のオピニオン
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11/24 12:00
【今週のチャート分析】日経平均、取引時間中ベースで年初来高値更新(11/24)
※2023年11月22日(水)引け後の情報に基づき作成しています。 中段保ち合いを完全に上放れできるか注目 今週の日経平均株価は、急速な円高・ドル安を背景に、週前半は下落しましたが、その後は日米長期金利の低下などを受け、底堅く推移しました。 日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、11月に入り75日移動平均線(11月22日:32,196円)を上抜けたことに加え、10月13日高値(32,533円)を超え10月4日・30日安値でのダブルボトムが完成となったことから、本格的な上昇トレンド入りとなっています(図1)。 20日にはザラバベースで6月19日高値(33,772円)を一時上回り年初来高値を更新しました。その後押しを入れましたが、それら急騰の反動をこなしつつ、11月20日高値(33,853円)を超え中段保ち合いを完全に上放れできるか注目されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2023年11月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 また週足チャートで見ると、今回の中段保ち合い上限への接近は、下落率や調整期間の点で2020年6月~10月末の中段保ち合い時と比較して調整十分となった後の上限接近です(図2)。上限突破となる可能性も十分考えられ、次の上値メドとして心理的フシの35,000円の水準が挙げられます。 (注1)直近値は2023年11月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、上値が重く一旦調整を入れる動きとなった場合は、11月6日上抜け後に下値支持線として機能した75日移動平均線(11月22日:32,196円)や、上向きに転じた25日線(同:32,125円)が下支えとなると期待されます(図1)。 米長期金利・日米株、中期トレンドに変化やその兆し 10月にかけては米国長期金利の上昇が、株価の下落につながっていましたが、一転11月は長期金利が低下し、株価は上昇しました。チャートで見れば、その動きは揺り戻しの範疇を超え、複数の指数で中期トレンド(数ヶ月単位の方向性)に変化や、その兆しがみられています。 ①米国10年債利回りは、今年4月ボトムから続いてきた上昇トレンドラインを割り込み(図3)、②NYダウは今年8月以降の下降トレンドラインを完全に上抜けました(図4)。 (注1)直近値は2023年11月20日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (注1)直近値は2023年11月21日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成 そして③日経平均株価も大幅上昇し、11月20日に取引時間中ベースでの年初来高値(33,853円)をつけました(図1)。その後は押しを入れていますが、10月安値は下落率や下落期間の面でみて調整十分と捉えられ、同安値で大底を形成した可能性が高いと考えられます(図2)。そのため、この先、急上昇の反動をこなしつつ、中段保ち合いの明確な上放れに向けた動きとなることが期待されます。11月に生まれた相場の新たなトレンド(方向性)が2024年にかけて継続となるか注目されます。 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/23 13:00
【市場展望】イスラエルとハマスの紛争と金融市場
中東の地政学リスク 10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエル南部にテロ攻撃を行った。その後、イスラエル軍が反撃のためにガザ地区に侵攻し、戦闘が続いている。 イスラエルに関しては、1947年の建国以降、73年まで、パレスチナ人を支援する周辺のアラブ諸国(エジプト、ヨルダン、シリア)との間で4回に渡り、大規模な戦争(第1~4次中東戦争)が発生している。特に、73年の第4次中東戦争では、サウジアラビアなど湾岸諸国がアラブ諸国を支援した。イスラエルを支援する西側諸国を制裁するため、原油価格を引き上げた結果、第1次石油ショックが発生し、世界の経済や金融市場に多大な影響が生じた。 ハマスの攻撃が発生した直後の金融市場で、イスラエルでの株安、通貨安、米国債利回りの低下、円高といった安全への逃避の動きや、一時的な原油高が見られたのは、そうした過去の反応が思い起こされたためだろう。 戦闘はまだ続いており、犠牲者が増えている。各国で人道的な停戦が協議されてはいるものの、ハマスの再攻撃のリスクを排除したことが確認されるまで、イスラエルがガザ地区への攻撃を停止する可能性は低く、現時点では、大規模戦闘停止の目途は立っていないと考えられる。さらに、大規模戦闘終了後のガザ地区の統治を巡り協議が行われると見られるが、イスラエル、パレスチナ自治政府、欧米諸国、中東のイスラム教国の意見の対立は不可避だろう。 もっとも、現在のガザにおける紛争が、今後、金融市場や経済に与える影響は限定的と見られる。 中東地域における大規模な戦争だったイラン・イラク戦争(80~88年)、湾岸戦争(90~91年)、イラク戦争(2003年)では欧米が紛争に参戦したため、株から債券といった安全資産への逃避が起こり、円高や金価格上昇が見られた。 特に、イラン・イラク戦争では、タンカー攻撃の報復として1987年10月に、米軍がペルシャ湾のイランの石油施設を爆撃したことが、ブラック・マンデーの一因になった。このため、中東の有事は、欧米の投資家の警戒を呼びやすい面がある。 国家間紛争ではなく、産油地帯から遠い もっとも、ハマスは国家ではない。背後にイランが関係しているとはいえ、国家間の紛争ではなく、米国が安全保障協定を理由に介入する可能性は低い。そして、イスラエルの正規軍と比べ、ハマスは圧倒的に劣勢である。欧米が加勢するまでもないと言える。2006、08、14、21年に発生したイスラエルとハマスの衝突は、イスラエル軍の圧勝に終わった。今回の紛争もイスラエルの単独攻撃になろう。また、イスラエルは事実上の核保有国である。ハマスへの核攻撃を示唆したイスラエルの閣僚の発言が物議を醸している。核による報復のリスクを踏まえると、イランなどのイスラム教国が前面に立ち、正規軍を軍事介入させる可能性は低い。金融市場において、イスラエルや中東の周辺諸国以外の通貨や資産については、安全への逃避が生じる可能性は低いだろう。 原油高の材料にもなりにくいだろう。ガザ地区は、産油地帯ではなく、原油の輸送ルートからも離れている。産油地帯、輸送路にあたるペルシャ湾、ホルムズ海峡で発生したイラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争とは異なっている。産油地帯、輸送路における紛争だからこそ、欧米は軍事介入を行うのであり、そうではない地域では、介入を敢えて行わないと言える。 一方、イランの目論見通り、サウジアラビアなどの湾岸諸国は、ハマスの攻撃以降、イスラエルを批判し始めた。そして、直前まで進めていたイスラエルとの国交樹立交渉などは当面見送るだろう。しかし、1973年の第4次中東戦争の時のように、イスラエルを支援する西側諸国への制裁目的に原油価格を引き上げる可能性は低い。エジプトやヨルダンがハマスを支援している訳ではない。ハマスのテロ攻撃を支持すれば、イランの軍事・外交方針に従わざるを得なくなり、欧米との関係が悪化する。湾岸諸国の対応は平和的で、早期の停戦を呼び掛けたり、カタールのように人質の解放の仲介をしたりと、欧米との関係に配慮した対応に終始すると見られる。 ハマスの背後にいるイランへの制裁強化を原油高の理由に挙げる向きもある。しかし、トランプ前米政権時代に米国は核合意から離脱し、現在も復帰していない。バイデン現政権もイランに対して金融制裁を行っている。この制裁によって各国がイランから正規に原油を輸入することは、既に困難な状態だという点に留意したい。今後の追加制裁が世界の原油供給に影響を与える余地は少ないだろう。 (野村證券経済調査部 吉本 元) ※野村週報 2023年11月20日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/23 09:00
【業界展望】化粧品・トイレタリー:直近決算と24年の見方
化粧品:2024年は中国消費の回復がカギ 化粧品企業の23年7~9月期決算は、国内販売は好調だった。コロナ禍からのリオープンによる内需回復、訪日外客数増加によるインバウンド売上回復が背景にある。一方、海外販売は欧米では堅調であったが、中国本土で減速した。①中国海南島や韓国の免税市場での代購業者への転売規制、②福島原発からのALPS(多核種除去設備)処理水放出に伴う風評影響があったためで、全体的には厳しい決算と言える。 国内はこれまで高価格帯と低価格帯が回復の中心であったが、ボリュームゾーンである中価格帯にも回復の兆しが見られ、市場全体が良化している。10月までの百貨店やドラッグストアでの販売動向も良好な状況が継続しており、23年中は国内消費者の活発な購買活動が期待出来よう。24年以降はリオープン効果が一巡することで内需の成長率はコロナ禍前の1桁前半程度に減速すると考える。ただし、航空便数増加等により訪日中国人数が回復すると見込まれ、インバウンド売上を牽引すると考える。コロナ禍前は化粧品の免税販売の約9割を中国人が占めたとされる。足元の訪日中国人数はコロナ禍前の約3割に留まり、百貨店の消耗品の免税販売も同3割と、一定の連動性があろう。加えて、コロナ禍前と比べて為替が20~30%程度円安水準にあるため日中価格差が拡大し、割安感から日本で購買するメリットが増していよう。 海外は主要販路である中国で先述の2点の影響を受けるが、両課題とも改善に向かっていると判断している。①5月に転売規制が強化されてから海南省で在庫調整が継続しているが、統計等を踏まえると製品消化が進捗している。②化粧品等の販促では、当初はEC(電子商取引)等のKOL(Key Opinion Leader、影響力を持つ専門家)が日本ブランドの販促を断る事案も発生したが、処理水報道の沈静化に伴い回復傾向にある。実際、化粧品各社は両影響の終息を24年1~3月期とコメントしており、一つの目安と言える。国内化粧品企業の海外事業は中国人消費への依存度が高く、短期的には他地域でのカバーは難しい。24年度は中国人消費獲得がカギと野村ではみており、現地で注力ブランドの育成が進む資生堂の業況に注目している。 トイレタリー:値上げと海外展開力に注目 トイレタリー企業の7~9月期決算は、国内業績の改善が進んだ一方で、海外は中国の減速を背景に前四半期比で減速した企業が多かった。トイレタリー全体の方向感は化粧品同様に厳しいものであったが、国内を中心に業況に変化がみられたと言える。 国内業績の改善は各社が取り組んできた値上げが浸透してきたことが要因である。国内は商習慣の違い等から、海外と比較して値上げの進捗が遅れてきたが、既存品の値上げやリベートの抑制、新製品による単価引き上げ等が寄与した。原材料高影響のピークアウトも業績改善に寄与した。現状では24年上期にかけて値上げ効果、原材料安メリットは継続すると考え、国内は堅調な業績推移を野村では予想している。 今後の注目ポイントとしては、各社の24年の値上げ方針と考える。コスト面では中東情勢の悪化等を背景に原油価格が再び上昇基調にあるうえに、円安による輸入物価の上昇が見込まれる。23年度の原材料価格の前提となる原油価格は約90ドル/バレル(1~6月期が約100ドル/バレル、7~12月期が約80ドル/バレル)とみており、足元の原油価格の水準が継続すると24年下期は再び原料高となり、業績の下押し要因となる可能性が高い。現状で各社が取り組む値上げ効果が一巡するのは24年上期と考える為、それ以降の価格施策に注目する。 一方、国内市場は中期的に人口減少等で大きな成長は見込みにくい。そのため、高い市場成長率が見込める海外での事業拡大がトイレタリー企業にとって当面の課題となろう。日本ブランドは品質や技術力の面で、グローバル企業に勝るものがあると野村では考えている。しかし、P&G やUnilever といったグローバル大手企業と比較して事業展開は後発であり、かつ事業規模の面でも経営リソースは限られる。競争に勝ち残っていくには、注力する地域やカテゴリーの選別等が必要と考えている。 この観点ではユニ・チャームの業況に注目している。同社は国内やアジアを中心とした海外で高いシェアを獲得し、海外売上高比率は22.12期で約7割を占めるなど、トイレタリーセクターの国内他社以上に海外展開が進んでいる。紙おむつや生理用品等の不織布・吸収体製品に経営リソースを集中投下していることが国内やアジアを中心とした海外での高いシェアの獲得につながっており、価格決定力の高さから国内外で値上げの恩恵を享受してきた。今後原材料高となった場合でも業績の耐久力は高いと野村では考えている。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 大花 裕司) ※野村週報 2023年11月20日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/22 12:00
【野村の投資判断】ドル円見通しを修正:2024年12月末は135円と予想
日米の金融政策見通しの変更を反映 野村證券は、日本と米国の経済見通しを改定しました。従来は米国が2023年10-12月期に景気後退に入ると予想していましたが、これを2024年7-9月期に変更しました。金融政策に関しては、FRB(米連邦準備制度理事会)が量的引き締めの停止と共に、2024年9月に利下げを開始すると見込んでいます。従来は2024年3月に利下げが始まると予想していました。 一方、日本では2023年7-9月期に実質GDP(国内総生産)が前期比でマイナス成長を記録しましたが、これは一時的な減速にとどまると見ています。金融政策のメインシナリオ(確率60%)について、従来は日本銀行によるYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)の撤廃を2024年10-12月期、マイナス金利の撤廃を2025年以降と予想していました。新しいメインシナリオでは、YCCの撤廃を2024年4-6月期、マイナス金利の撤廃を2024年7-9月期以降に前倒ししました。 FRBの利下げ開始の後ずれと日銀の金融政策正常化の前倒しは、ドル円相場に相反する影響を及ぼします。今回は、特に米国景気の想定以上の底堅さを反映し、2024年に向けたドル円見通しを見直しました。 2024年3月末の見通しは、従来の1ドル=140円から148円に、そして2024年12月末の見通しは1ドル=130円から135円にそれぞれ円安・ドル高方向に修正しました。ただし、2024年にドル円相場のトレンドが円高・ドル安方向に転換するという見方自体には変わりはありません。 (FINTOS!編集部) 要約編集元アナリストレポート「国際金融為替フラッシュ – ドル円:24年に向けた見通しを修正(2023年11月20日配信)」(プレミアムプラン限定) (注1)画像はイメージ。(注2)各種見通しは2023年11月20日時点。 要約編集元アナリストレポートについて ご投資にあたっての注意点
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11/22 09:30
【野村の投資判断】中国関連銘柄の持ち直しと欧州関連銘柄の低迷
欧州関連銘柄のレーティングの引き下げリスクに注意 日本の株式市場が持ち直しています。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から見ると、世界的な金利上昇の圧力が緩和されたことや、第2四半期の決算で利益率が拡大したことが好材料とみなされた模様です。 需給面では、海外の先物投資家の影響が大きいと見られます。具体的には、CTA(商品投資顧問)によるロングポジション(買い持ち)の拡大が目立っています。現在のロングポジションは約8,000億円にまで増加しており、今年6月には約2.5兆円に達したことを考えると、まだ拡大の余地があると言えます。 個別銘柄の物色動向については、中国関連銘柄の反発が目立っています。景気指標と比べて売られ過ぎだった状態から、景気指標とおおむね整合的な水準にまで持ち直しています。中国関連銘柄は、グロース株の色彩が強いため金利低下が好感されたほか、中国景気が緩やかに回復していることも追い風となった可能性があります。 一方で、欧州関連銘柄は低迷を続けています。日本だけでなく、米国の株式市場でも、欧州関連銘柄はパフォーマンスが低迷しており、欧州景気の弱さが影響していると考えられます。しかし、アナリストは欧州関連銘柄に対して総じて強気の見方を続けており、現在の景気低迷が完全に反映されているとは言い難い状況です。決算シーズンの直後であるため、レーティングの引き下げリスクに注意が必要です。ただし、アナリスト予想の下方修正がセリング・クライマックス(売りの最終局面)と見なされる可能性も否定できません。 (FINTOS!編集部) 要約編集元アナリストレポート「野村クオンツ・インサイト – CTAの日本株ロング拡大とドル円ロング縮小リスク(2023年11月20日配信)」(プレミアムプラン限定) (注)画像はイメージ。 要約編集元アナリストレポートについて ご投資にあたっての注意点
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11/21 09:30
【野村の投資判断】半導体製造装置を推奨セクターに追加
円高耐性、金利低下メリットに優れる半導体製造装置 2024年に向けたマクロ経済環境の想定としては、海外ではインフレの鎮静化が見込まれる一方で、日本国内ではデフレ脱却の動きが続くと見ています。一見矛盾しているように思えるこの想定ですが、輸入物価がピークアウトしても国内企業物価が上昇し続けるという異例の「ワニの口」現象が実際に発生しています。 この環境下で優先すべきファクター(要因)として、バリュー株よりもグロース株、景気敏感株よりもディフェンシブ株を重視しています。今回セクター推奨として、半導体製造装置を追加しました。 半導体製造装置は、輸出業種の中でもグローバルな景気循環や為替変動に対する耐性が高い点を評価しています。加えて、米国の金利低下によるドル安・円高の際には、金利低下によるバリュエーション上昇の効果を通じて株価が上昇しやすいグロース株の特性を持つ点も魅力的です。TOPIX17業種を比較した際、半導体製造装置を含む電機・精密業種は、円高耐性と金利低下メリットの観点で機械や自動車業種より優位にあります。加えて、電子部品・デバイスの在庫水準が2017年の底付近まで低下していることも、半導体関連の回復シナリオを支えています。 その他の推奨セクターとしては、値上げ効果が顕在化するシステム・アプリケーション、デフレ脱却によるメリットがある不動産、長期的な値上げポテンシャルがある食品を継続して推奨します。 (FINTOS!編集部) 要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年11月16日配信)」(プレミアムプラン限定) (注)画像はイメージ。 要約編集元アナリストレポートについて ご投資にあたっての注意点
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11/20 20:00
【今週の米国株】3週連騰の米国株、エヌビディア決算が握る命運(11/20)
先週:長期金利低下が後押し、株価3週連騰 前週の米国株は、米長期金利(10年国債利回り)が4.6%台から4.4%台に低下し、株価の追い風となりました。懸念されていた政府閉鎖が回避されたことも市場に好感されたと見られます。 10月コアCPIが下振れ 金利低下の主因として10月のコアCPI(消費者物価指数)が前月比+0.2%と市場予想(同+0.3%)を下回ったことが挙げられます。自動車価格や宿泊費など変動幅の大きい項目が予想を下回ったことに加えて、定額中継配信サービス価格の上昇が報告されたにもかかわらず、動画・音楽配信サービス価格も下落しました。追加利上げのリスクは低下したと考えられます。 Point1:更なる長期金利低下は限定的か 米長期金利の低下は持続的でしょうか。市場は既に2024年に計1.00%ポイント程度の利下げを見込んでおり、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)で示された計0.50%ポイントと比較すると、利下げ期待が先行しています。 11月FOMCでは追加利上げを見送りとした判断の根拠として、長期金利上昇による金融環境の引き締めが挙げられていました。長期金利の水準が更に低下した場合、今後FRBのタカ派的なバイアスを強める可能性があります。FRBは現行のFFレート水準を相当程度維持する、とのスタンスを改めて表明し、市場をけん制することが考えれます。野村は2023年12月末の長期金利は4.6%と予測します。その意味でも、21日(火)に発表される11月FOMC議事録は注目です。 Pont2:エヌビディア決算、予想EPSを方向性づけるか リビジョンインデックスの動向 (注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2023年11月17日時点。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2023年12月期)、FY2は予想2期目(12月決算企業の場合、2024年12月期) 。(出所) LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 上図から読み取れる通り、7-9月期決算本格化前~発表中に下方修正優位であった今期(FY1)のリビジョン・インデックス(RI)が1.0を超え、2週連続で上方修正優位となっています。アナリストの来期(FY2)見通しが、8-10月期決算発表などを通し上方修正に転じられるかが今後の焦点となります。 今週は、21日(火)引け後に予定されるエヌビディア(NVDA)など、情報技術セクターの決算発表が注目されます。 今年の5月頃には生成AI関連の銘柄に関心が集まり、関連企業の株価は大きく上昇しました。その後、株価は下落に転じたものの、一部の銘柄は堅調な推移に戻りつつあります(エヌビディアの株価は14日に496.56ドルと年初来高値を更新)。 背景には、7-9月期決算発表等を通じ、企業のIT投資拡大は進んでおり、生成AIが実用化~大きな収益源との証左が見られていることが挙げられます。マイクロソフトは、ChatGPTを活用した「Microsoft 365 コパイロット」(大手顧客向けに2023年11月1日から提供)の利用に向け、事業会社が幅広い分野でIT投資を拡大させたとコメントしています。また、アマゾン・ドットコムは、大規模なデータセンター投資は2024年以降と市場の一部の期待よりやや後ずれしていることを表明したものの「生成AIは今後数年間で数百億ドルの売上高を生む」とコメントし、生成AIの収益化に自信を示しています。 今後は、生成AIが実際に利益向上に貢献してるかが大きな銘柄選別のポイントと考えられます。まずは、半導体業界の動向を見る上で、エヌビディアの業績に高い関心が集まります。 Point3. サンクス・ギビングデー以降は年末商戦突入 今週、23日(木)は感謝祭の祝日で休場、翌24日(金)は短縮取引です。感謝祭翌日の金曜日は「ブラックフライデー」と呼ばれ、小売業界で年末商戦が本格化します。15日(水)に発表された10月小売売上高では、裁量的(生活必需品ではない)品目の比重が高い業種の多くで、前月比、前年同月比共に売上高が減少していました。10日(金)に発表されたミシガン大学消費者調査では、経済の先行きに対し消費者のマインドが低下している上、インフレへの警戒感が根強いことがうかがえました。 年末商戦については例年、メディアが売れ行きの状況などについて報じています。今週発表される小売関連企業の決算動向と併せ、感謝祭週末のセールの報道などを通じて、消費者の購買動向などを確認したいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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11/20 15:30
【経済データの読み方】カナダで進む積極的な移民の受け入れ
カナダでは、人口増加が著しい。カナダ統計局が発表した2023年9月末の総人口(推計値)は4,010万人となり、同国として初めて総人口が4,000万人を突破した。また、23年7~9月期の人口増加率は前年同期比+3.0%となり、これは日本のベビーブーム期(1947~49年)の年平均2.6%を凌駕する。こうした著しい人口増加は、2021年以降トルドー政権が取り組んでいる積極的な移民受け入れに起因する。 カナダはコロナ禍前から年間約30万人前後のペースで永住移民を受け入れてきたが、21年には約41万人、22年には約44万人を受け入れるなどそのペースを加速させている。①コロナ禍により20年の移民受け入れが事前の想定を大幅に下回った、②コロナ禍後シニア層の離職により人手不足が顕在化した、③米英やオセアニア諸国対比で少子高齢化が急速に進んでいる、といった事情が積極的な移民受け入れ政策に繋がっているとみられる。 こうした移民受け入れは、短期的には労働需給の緩和に寄与、インフレ圧力の緩和につながる可能性がある。一方、中長期的には住宅価格の上昇を通じてインフレ圧力をもたらすとともに、労働ストックの増加を通じて潜在成長率を押し上げるとみられる。積極的な移民政策は将来的に金利上昇要因として作用する可能性があろう。 一方、隣国の米国に目を向けると、23年9月の人口増加率(米商務省経済分析局推計値)は前年同月比+0.5%に留まっており、カナダの伸びを大きく下回っている。 これまでのカナダは原油への依存度の高さが米国との経済構造面での大きな違いとして知られてきたが、直近では原油高にもかかわらず鉱業部門への設備投資が滞るなど徐々にその性格が弱まってきている。今後は、人口増加率の違いがカナダと米国の間で経済面での乖離をもたらし、金融政策や金利、為替などに影響を及ぼす可能性があろう。 (野村證券市場戦略リサーチ部 秀嶋 智輝) ※野村週報 2023年11月20日号「経済データを読む」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/19 13:00
【オピニオン】生成AIを主導する大手クラウド企業の優位性が高まる
米国企業の2023年7-9月期決算は良好だったと考えます。S&P500指数を構成する米大企業500社の7-9月期の純利益総額の前年同期比の成長率予想は、決算発表前の1%台半ばから、450社強が発表を済ませた時点で6%強に引きあがりました(注)。 決算でポジティブだった点は、IT関連の設備投資の増加です。PC向け半導体やネットワーク機器関連企業の業績が堅調でした。これは、生成AIの本格的な導入を前に事業会社がIT設備を増強し、PCサイクルの底打ちが従来の予想よりも早まったことを示唆していると推察されます。S&P500情報技術株指数は、コロナ禍中のテレワーク用のPCやスマートフォンの需要急増などを受けピーク時にはコロナ禍前(2019年11月)の約2倍に上昇し、その後需要の反動減を受け下落、今年に入り生成AIへの期待などを背景に再度反発しました。 生成AIに関して決算では、複数の大手クラウド企業が、「生成AI関連のクラウド事業の設備投資は2024年以降本格化する」「生成AIは今後数年間で数百億ドルの収入を生む」、などとコメントしました。 ITの世代は、従来はデータ・プライバシー保護や効率性の観点から、データを一元管理する(中央集権型の)クラウドから、ブロックチェーン技術を用いて端末などで管理・計算する(分散型の)Web3へ移行するとみられていました。しかし、生成AIは現状では事前にデータセンターで機械学習させたデータツールにアクセスするクラウドの仕組みを必須とします。ITの世代は、従来のクラウドから、生成AIの活用を前提とする「新しいクラウド」へ移行し、Web3や、EU(欧州連合)が提唱するWeb3にAIを組み込んだWeb4.0などと共存することになると考えます。 2023年10月30日にG7は、「広島AIプロセスに関するG7首脳声明」とその指針・行動規範を発表しました。声明は冒頭で「生成AIがもたらす革新的な機会と変革の可能性を強調する」と、生成AIを活用する方針を示しました。 G7首脳声明を受けた関係当局が制度や法令の整備に着手しており、生成AIの具体的な社会実装は早まりそうです。中でも、競争当局の調査が先んじて開始されたことは、生成AIを主導する大手クラウド企業の優位性が高まることが自明であることを示唆していると考えます。 (注)LSEG(旧リフィニティブ)による2023年11月10日時点の集計。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点