新着
961件
-
2023/10/18 16:18
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、前日比横ばい。米長期金利上昇が重石(10/18)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比6円安の32,033円で取引を開始しました。寄り付き後は、前日の米国株式市場で、FRBによる年内追加利上げに対する警戒感から米長期金利が上昇したことに加え、米国が対中半導体輸出規制を強化したことなどが重石となり、下げ幅を前日比173円安の31,866円に広げるなど、軟調となりました。一方、11時に発表された中国の7-9月期実質GDP成長率など中国主要経済統計は、市場予想を上回る結果が多く、株価は小幅に上昇へと切り返す場面もありました。 後場に入り、半導体設計を手掛けるソシオネクストが、2ナノの半導体開発において、アームやTSMCと協業すると発表すると、当社の株価が大きく上昇し、他の半導体関連銘柄にも上昇の流れが波及しました。日経平均株価への影響の大きい東京エレクトロンなどの値嵩株が前日比上昇に転じたことが寄与し、一時、前日比59円高の32,101円を付けましたが、終値は前日比1円高の32,042円と前日比横ばいで取引を終えました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・9月住宅着工・建設許可件数(年率) (着工)前月:128.3万件 予想:139.3万件 (許可)前月:154.1万件 予想:145.0万件・ウォラーFRB理事講演(19日1:00)・NY連銀ウィリアムズ総裁が討議に参加(19日1:30)・地区連銀経済報告(ベージュブック)(19日3:00)・フィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演(19日4:15) (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 15:30
【株式需給解説】海外投資家は9月に6カ月ぶりの売り越し
2023年9月(9月4~29日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、個人投資家や証券自己、事業法人、信託銀行などが買い越し、海外投資家などが売り越した。 海外投資家は現物と先物の合計で3兆704億円を売り越した。9月第3、4週の売り越し額がそれぞれ1兆2,533億円、1兆6,377億円と大きかった。同時期に進行した米長期金利の上昇とそれによる景気悪化懸念が悪材料になったと見られる。四半期末ということも相まって、投資家のポジション調整が生じやすかったという可能性も否定できない。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 個人投資家は1 兆2,792億円を買い越した。株価が下落した第3、4週の買い越し額がそれぞれ9,223億円、6,209億円と大きかった。個人投資家が押し目買いを行ったと見られる。 証券自己は9,943億円を買い越した。海外投資家の売り越しに相対する形で買い越したと見られる。 事業法人は3,675億円を買い越した。引き続き、企業が自社株買いを積極的に行っている。なお、第4週には96億円の売り越しに転じたが、決算期末日以前の5営業日は取引所が相場操縦の有無を注視する期間であり、自社株買いが控えられる傾向がある。 信託銀行は2,408億円を買い越した。配当権利落ちにかかるパッシブファンドによる先物買いを背景に、第4週の先物の買い越し額が9,795億円と大きかった。 (野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也) ※野村週報 2023年10月16日号「株式需給」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 12:00
【#全固体電池】AI抽出15銘柄/GSユアサ、東洋インキ、リコー…
次世代電池の本命、全固体電池の量産化へ トヨタ自動車(7203)と出光興産(5019)は、10月12日にBEV(バッテリー式電気自動車)向けの全固体電池の量産を目指した協業を開始することを発表しました。全固体電池は、充電時間の短縮や航続距離の延長が可能とされ、BEV向けの次世代電池として注目されています。仮に全固体電池への需要が増加した場合、日本企業にどのような影響を与えるのでしょうか。AI「xenoBrain」は、「全固体電池需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ニューストピック:全固体電池需要増加 「xenoBrain」は全固体電池の開発に携わる企業や関連材料を扱う企業から、15銘柄をリストアップしました。 ・ジーエス・ユアサ コーポレーション・東洋インキSCホールディングス・リコー・ENEOSホールディングス・東邦チタニウム・日揮ホールディングス・フェローテックホールディングス・レゾナック・ホールディングス・TOTO・AGC・アイダエンジニアリング・フルサト・マルカホールディングス・アマダ・住友金属鉱山・東海カーボン ※xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)時価総額500億円以上の銘柄を表示している。xenoBrainのデータは2023年10月16日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 09:48
【米国株決算速報】ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ):医薬品堅調も医療機器がやや予想を下回る、株価は-0.91%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月17日寄り前に、医薬品、医療機器の製造を行うジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.5%上回り、EPSは市場予想を5.7%上回りました。 医薬品堅調も医療機器がやや予想を下回った 部門別売上高実績は、医薬品は主力の膠原病薬を中心に市場予想を上回った一方、医療機器は手術用機器などが市場予想を下回りました。会社は、GLP-1抗肥満薬によって肥満手術の需要が低下した可能性がある、とコメントしました。 会社は、2023年12月期通期の売上高(買収・売却、為替変動、新型コロナワクチンを除く)とEPSの見通しを上方修正しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ジョンソン・エンド・ジョンソンの株価は、前日比0.91%安で引けました。 医療機器部門の売上高が市場予想を下回り、前述の抗肥満薬の悪影響や、コロナ禍中手控えられた手術の正常化が不透明と市場参加者が受け止めたことが要因と考えます。今後については、上方修正された業績見通しを達成し不透明感を払拭できるかが注目されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月17日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月16日時点。消費者部門の分離後の初の四半期決算のため、過去の比較可能の実績・予想は2022年7-9月期の会社発表値のみ。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ):医薬品部門が好調、株価は+6.07% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 08:36
【モーニングFINTOS!】不透明感漂う中、米国株、まちまちの展開(10/18)
海外市場の振り返り 17日に発表された米国経済指標は概ね良好でした。9月の小売売上高は前月比+0.7%と市場予想の同+0.3%を上回りました。自動車やレストラン・バーでの消費が増えたことが押し上げ要因となりました。オンライン売上高は同+1.1%と好調でしたが、因みに10月はアマゾンの有料会員向けセール「プライムデー」などを受けオンライン売上高が増加する傾向があります。加えて、9月の鉱工業生産指数は前月比+0.3%と市場予想の同+0.0%を上回りましたが、製造業が同+0.4%と上昇し、けん引しました。全米自動車労組(UAW) のストライキにより自動車生産が抑制されたものの、総じて堅調な結果となりました。こうした良好な経済指標を受け、米国長期金利(10年国債利回り)は一時、4.85%へ上昇し、株価の頭を押さえる展開となりました。NYダウが前日比+0.03%、S&P500指数が同0.0%、ナスダック総合指数が同-0.25%とまちまちな展開となりました。 相場の注目点 一方、この日は米国商務省が中国に対する人工知能(AI)用半導体輸出制限の強化を盛り込んだ新たな規制措置を公表する見通しであると報じられ、エヌビディア(NVDA)への影響が懸念される中で、半導体関連銘柄が大きく売られ、情報技術が下げを主導する局面もありました。また、18日からバイデン大統領がイスラエルを訪問する予定ですが、事態は混迷の様相を呈しています。更に、米下院が同日実施した次期下院議長の選出は、1回目の投票で共和党の議長候補ジョーダン下院司法委員長が過半数を獲得できず、2回目以降の投票に持ち越されることになりました。米主要企業の7-9月期決算発表が始まり、総じて堅調な結果となっていますが、相場自体は神経質な展開が続くものと思われます。 (投資情報部 佐々木 文之) (注)データは日本時間2023年10月18日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(10/17) 【野村の投資判断】中東情勢の金融市場へのリスクを考える ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/17 19:00
【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(10/17)
小売各社の決算発表が本格化し、関連銘柄が浮上 トヨタ自動車(7203、以下トヨタ)は前週の4位から3位に順位を上げました。トヨタは、10月12日に出光興産(5019)とBEV(バッテリー式電気自動車)用の全固体電池の量産実現に向けた協業の開始を発表しました。今回の発表について野村證券は、以前よりトヨタと出光興産とは全固体電池に関する複数の共同特許を保有する関係があったため、意外感はないとみています。 前週は小売各社の決算発表が本格化しており、関連する複数の銘柄がランクインしています。イオン(8267)は前週の24位から5位に大きく順位を上げました。イオンは10月11日に2023年3-8月期決算を発表しています。Q2(同年6-8月期)の営業利益は前年同期比27%増益の662億円となり、野村予想の588億円を上回りました。GMS(総合スーパー)事業やSM(食品スーパー)事業など小売関連事業の利益進捗が野村予想と比べて良好でした。 前週はランキング圏外だったファーストリテイリング(9983、以下ファストリ)が10位にランクインしています。ファストリは10月12日に2023年8月期決算を発表しています。同期の事業利益は前期比25%増益の 3,820億円となり、野村予想の3,709億円を上回りました。Q4(同年6-8月期)では野村予想と比べて国内ユニクロ事業の売上高総利益率(粗利益率)が良好であったほか、欧米を中心に海外ユニクロ事業の売上も良好でした。会社は2024年8月期の事業利益を前期比18%増益の4,500億円と計画しています。野村予想は4,275億円であり、会社計画はやや意欲的な印象も受けますが、海外ユニクロ事業を軸に利益拡大を目指す方向性に違和感はありません。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月16日時点。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/17 15:59
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、朝方600円超上昇も上値重く、381円高(10/17)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比404円高の32,063円と反発して取引を開始しました。各国首脳による外交を背景に中東情勢への過度な警戒は和らぎ、幅広い銘柄の上昇が相場を押し上げました。また、前日の米国株式市場はハイテク株中心に上昇しており、その流れを引き継ぎ東京エレクトロンなどの主力ハイテク株の上昇が目立ちました。寄付き後の日経平均株価は一時601円高の32,260円まで上げ幅を広げる場面もありました。しかし、32,000円台では上値は重く、日経平均株価は上げ幅を縮小し、32,000円を挟んで一進一退を続けました。長期金利の上昇やトヨタ自動車の6工場で一部稼働停止となっているとの報道も株価の重石となりました。日経平均株価は膠着したまま、前日比381円高の32,040円と心理的節目の32,000円を回復して取引を終えました。 東証プライム市場では、寄り付き直後の値上がり銘柄数は1,700を上回り全体の9割超でしたが、大引けの値上がり銘柄数は全体の7割超にあたる1,362銘柄となりました。 本日発表予定の海外経済指標等 【ドイツ】・10月ZEW景況感調査(期待) 前月:-11.4 予想:-9.0 【米国】 ・9月小売売上高(前月比) 前月:+0.6% 予想:+0.3%・9月鉱工業生産(前月比) 前月:+0.4% 予想:0.0% (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/17 08:26
【モーニングFINTOS!】政策金利据え置き期待で米国株上昇(10/17)
海外市場の振り返り 16日の米国株式市場は、主要3指数が揃って上昇となりました。シカゴ連銀グールズビー総裁が「インフレ低下は一時的現象でなく、トレンドであることは疑いようがない」と述べたと伝わるなど、足元でFRB高官が政策金利の据え置きを示唆する発言が増加しており、次回FOMCで政策金利を据え置くとの見方が相場の支えとなりました。また、前週に始まった決算発表において市場予想を上回る内容が多く、期待感から株式市場に買いが入りました。 相場の注目点 米国の金融政策や中東の地政学リスクが引き続き相場で材料視されると見ています。今週は、18日にフィラデルフィア連銀ハーカー総裁、19日にはパウエルFRB議長に加えて地区連銀総裁の講演が複数予定されており、注目を集めます。 中東情勢については、米国を中心に情勢悪化を食い止めるための外交が継続されており、過度な懸念は和らいでいますが、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻のリスクは依然として高く、注意が必要です。もっとも、過去におけるハマスによるイスラエルへの攻撃とイスラエルのガザ地区への報復攻撃は、イスラエルの優勢で短期に終了し、他国の介入も無く、産油地帯や石油の輸送路から離れていることにより、金融市場への影響は限定的でした(野村證券吉本シニアエコノミスト)。 本日のイベント 米国では、9月小売売上高、9月鉱工業生産が発表されます。また、バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスなどの金融セクター、医薬品・医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソンなどが決算発表を予定しています。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2023年10月17日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか?ネットフリックスやテスラが決算発表 (10/16) 【野村の投資判断】日本株は「グロース株×内需株」の好環境に ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/16 20:00
【今週の米国株】ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか?ネットフリックスやテスラが決算発表 (10/16)
先週:米長期金利の上昇一服が支えに 米長期金利(10年国債利回り)に、株価が左右される展開が続いています。10月6日(金)に4.8%台まで上昇していた米長期金利は、13日(金)には4.6%前後まで低下し、米国株主要3指数の下支えとなりました。FRB(米連邦準備理事会)高官が、相次ぎ「長期金利が上昇していることが金融引き締めの役割を果たし、追加利上げの必要性が低下している」とのコミュニケーションを取ったことが、長期金利の上昇が一服した背景にあります。 一方、イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で中東での地政学リスクが高まったことは株価の重石となり、株価は週を通して一進一退の展開でした。 今週のPoint1. ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか? 中東戦争と何が違うか 一般論として、大規模な戦争・紛争に発展すれば世界的な政治・経済の停滞リスクの高まりから株価は大きく下落すると考えられます。ただし、足元の株式市場は崩れることなく、比較的落ち着いた推移です。 この理由として、今回の衝突が第1次石油ショックを引き起こした1973年の第4次中東戦争と本質的に異なっていることが挙げられます。野村の吉本シニア・エコノミストは「軍事衝突の規模には差があるとはいえ、2006年、2008年、2014年、2021年に見られたイスラエル軍とハマスのガザ地区における戦闘に連なるものと見るのが妥当」と分析しています。 第4次中東戦争は、エジプト、シリアの両軍(アラブ側)がイスラエル軍を攻撃したことが契機であり、サウジアラビアなど多くのイスラム教国、アラブ民族国家が、アラブ側を支援・支持しましたが、今回はそうした宗教・民族の全面対立という構図を作り出すには至っていません。 それでも原油価格が重要な理由 こうした環境下で米国株に最も影響を与えるとすれば、原油価格の上昇→米長期金利の上昇→米国株の下落といった経路でしょう。リスクシナリオの位置づけでありますが、仮に紛争が激化し、湾岸諸国全体の原油生産・輸送体制にまで悪影響が及べば、原油価格の高騰によって米国のインフレ再燃リスクが高まりかねません。また、米国において国防支出増加への賛同を示す議員が増える可能性もあります。財政赤字拡大は米金利上昇材料となるため、紛争がエスカレートするか当面は注目する必要があります。 下記は、S&P500の株式益回り(A)と米長期金利(B)、両社の差である「イールドスプレッド」(B-A)を表示した図となります。 ※株式益回り…一株当たり純利益/株価(PERの逆数) イールドスプレッドが大きいほど(プラス幅が大きくなるほど)、債券に比べて株式が割高であること示し、逆に小さければ (マイナス幅が大きくほど) 債券に比べて株式が割安であることを示します。この図では、足元の株価には2000年のITバブル期ほどの割高感はないものの、ITバブル崩壊後~2008年のリーマンショック直前までの水準に上昇しています。 さらなる金利上昇を引き起こしかねないハマス・イスラエル問題には引き続き注視が必要です。 Point2. FRB高官発言に警戒 ネガティブ・サプライズとなった2指標 先週発表された2つのインフレ指標はいずれも、インフレ再加速を懸念させる内容でした。9月コアCPI(消費者物価指数)は、FRBが注視するサービス価格のインフレが継続し、市場予想を上回りました。また、10月ミシガン大学調査による消費者期待インフレ率(1年先)は9月確報値の前年比+3.2%から同+3.8%に再加速しました。 高官発言の重要性が高まる週 先週FRB高官からなされた「利上げの必要性が低下した」という発信とインフレ指標との関係は、ややちぐはぐな状態です。今週はFRB高官による講演が相次ぐため、発言内容に注目が集まります。 加えて、21日(土)からは10月31日(火)・11月1日(水)に行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)前の沈黙期間(FOMC参加者が金融政策に関する発言を控える期間)となるため、FOMC前の発言という観点でも注目が集まりそうです。パウエルFRB議長は、19日(木)に講演を予定しています。 景気指標としては、17日(火)の9月小売売上高に注目が集まります。市場では、コア指数ベースで前月比-0.1%と8月の+0.1%から低下すると予想されています。 Point3.7-9月期決算発表が本格化 以下の通り、主要企業の決算発表が相次ぎます。 金融:カテゴリごとの明暗を確認したい 今週、バンク・オブ・アメリカ(BAC)やゴールドマンサックス(GS)など大半の金融機関が決算発表を迎え、現在の金融環境を踏まえた各ビジネス部門の業績動向が判別されるようになると見込まれます。先週一足先に決算発表を終えた業界最大手のJPモルガン・チェース(JPM)は2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げました。その理由として、貸倒額が想定を下回ったこと、分母にあたるカードローン残高の増加を挙げました。一方、4-6月期決算では堅調であった株式市場部門の純収益は、前期比・前年同期比で減少しました。 決算詳細はこちら 半導体:反転見えるか? 半導体セクターにも注目です。銘柄としては、18日(水)寄り前にASMLホールディング(ADRのティッカーは「ASML」)、同日引け後にあるラムリサーチ(LRC)など半導体製造装置に始まり、19日(木)の世界最大のファウンドリー(製造受託企業)TSMC(台湾セミコンダクター,ADRのティッカーは「TSM」)が決算発表を予定しており、今後の半導体セクターの先行きを見通すうえで重要な示唆を得る機会となりそうです。先週いち早く決算速報を発表したサムスン電子(米国上場なし)は、売上高・営業利益ともに市場予想を上回りました。なお、野村では、半導体市況を左右するメモリー半導体の平均単価について、DRAMは7-9月期に、NANDは10-12月期から回復すると予想しています。半導体業界の業績反転の兆しが足元の決算発表で見えるか、確認したいと考えます。 他にも、各セクターを代表する企業が目白押し 上記の他、メディア・娯楽セクターではネットフリックス(NFLX)、自動車セクターのテスラ(TSLA)、生活必需品セクターのプロクター&ギャンブル(P&G、ティッカーは「PG」)など、各セクターを代表する銘柄が決算発表を迎えます。 企業業績がけん引し、株価が上昇する展開になるか、注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点