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01/22 08:21
【野村の朝解説】トランプ関税への懸念緩和でNYダウは続伸(1/22)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り トランプ氏の大統領就任を受けた休場明けの21日の米国株式市場は主要3指数が揃って上昇と、大きな波乱は見られませんでした。警戒されていた就任初日の関税発動が回避されたことからインフレ再燃への懸念が和らぎ、米長期金利は低下、NYダウは500ドル超の続伸となりました。為替市場では一時ドルが主要通貨に対してほぼ全面安となりましたが、就任式後のトランプ大統領の追加関税を巡る発言を受け買い戻しも進み、ドル円は現在155円台半ばで落ち着いています。 相場の注目点 1月20日にトランプ政権2期目が正式に発足しました。初日の関税発動こそ回避されたものの、トランプ大統領が就任演説後、カナダ及びメキシコに対する追加関税を2月1日に発動する可能性に言及したことを踏まえると、不透明感は払しょくされていません。23日にもトランプ大統領の講演(ダボス会議)が予定されますが、関税政策に絡んだ発言を受けて市場の値動きが荒くなる可能性もあり、引き続きトランプ大統領の発言が焦点になるとみられます。また、今週は23-24日に日銀金融政策決定会合が開催されます。先週の氷見野副総裁や植田総裁の発言に加えて、トランプ大統領就任を受けた21日の金融市場で大きな波乱がみられなかったことから、市場の1月利上げの織り込み度合いはすでに9割程度まで上昇しています。もっとも、24年7月の利上げ後に市場が急落したこと、12月会合で株価を配慮する姿勢が窺えたことを踏まえれば、日銀は政策姿勢がタカ派化したと市場に受け取られないよう、注意深くコミュニケーションをとるものと見込まれます。植田総裁は慎重姿勢を維持するとみられ、記者会見がハト派的とみなされた場合は利上げ実施でも株価が持ち直しの動きを強める可能性もあると考えられます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年1月22日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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01/21 08:25
【野村の朝解説】トランプ氏が大統領に就任、ドルは全面安(1/21)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 20日の米国では、キング牧師生誕記念日の祝日でNY株式及び債券市場が休場、主要な米経済指標や決算発表はありませんでした。主要市場が休場となる中、NY為替市場でも取引は通常より低調となりました。トランプ氏の大統領就任演説では、関税により海外からの収入を増やす方針が述べられましたが、具体的な関税措置には言及されませんでした。また、大統領就任初日の関税引き上げを見送る方針が報道で伝わったことで、関税引き上げに対する市場の警戒感が和らぎました。ドルは主要通貨に対してほぼ全面安となり、1ドル=155円台半ばまで円高ドル安が進みました。 相場の注目点 1月20日正午(米国時間)、第47代米国大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任しました。就任式での演説では事前に報道されていたように幅広い分野の政策方針が示されました。不法移民の取り締まりなどを優先課題に挙げ、国境の問題に関して国家非常事態を宣言する意向です。また、バイデン政権の政策を痛烈に批判し、パリ協定から離脱を表明しました。最も注目されていた関税については、「貿易制度を見直す」、「他国に関税を課す」、「外国歳入庁を創設」するなどの大きな方針が示されるにとどまりました。報道では、中国、メキシコ、カナダなどを対象に、米国の貿易赤字の調査や、不当な貿易・通貨政策への対処を政府機関に指示する模様です。第2次トランプ政権は、インフレ再燃や株式市場への影響を重視していると推察されます。追加関税によるインフレ懸念が和らぐことは、米国債利回りの低下と、米国株の支援材料になりそうです。また、米大統領就任式前後の金融市場の不安定化が避けられたことにより、23-24日の日銀金融政策決定会合では利上げへのハードルが低下したと見られます。日銀の利上げ観測は円高材料になると見られます。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年1月21日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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01/20 18:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(1月第3週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2025年1月第3週(2025年1月10日~1月17日) 2025年1月月間(2024年12月31日~1月17日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年12月31日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年1月17日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2025年1月第3週(2025年1月10日~1月17日) 2025年1月月間(2024年12月31日~1月17日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年12月31日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年1月17日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2025年1月17日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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01/20 16:28
【野村の夕解説】米大統領就任式を控えた日経平均株価は反発 451円高(1/20)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 17日(金)に米国において良好な経済指標が発表され、前週末の米国市場で長期金利と主要3指数は上昇しました。本日朝9時ごろの外国為替市場は1米ドル=156.20円台後半と、17日15:30時点の155.60円台から円安となりました。また、本日寄付き前に日本の11月機械受注統計が発表され、基調判断は「持ち直しの動きがみられる」と8ヶ月ぶりに上方修正されました。本日の日経平均株価は前週末比220円高の38,671円で始まり、前週末の米国株高と円安を追い風に一時前週末比581円高となりました。業種別では、自動車株を含む輸送用機器が上昇しました。また23(木)~24日(金)に行われる日銀金融政策決定会合を控え利上げ観測が強まるなか、金利上昇による利ざやの改善が業績の追い風となる銀行株も上昇しました。大引けは前週末比451円高の38,902円となり反発し取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日の米国株式市場は、キング牧師誕生日の祝日により休場となります。また、日本時間21日(火)未明に、トランプ新大統領の就任式が行われます。就任演説では、貿易政策や移民政策を巡る発言に注目が集まります。また一部報道機関は、トランプ氏が就任初日に100本以上の大統領令に署名すると報じており、移民政策や関税などの政策が先行することが予想され、市場は波乱含みの展開となる可能性があります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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01/20 08:30
【野村の朝解説】米国株は米中対立激化懸念の後退を好感(1/20)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 17日の米国株式市場では主要3指数が揃って反発しました。トランプ次期大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行ったとの報道から、トランプ氏の大統領就任に伴って米中間の対立が更に激化するのではとの懸念が若干後退したことが株高に寄与したと見られます。米国債市場では主要指標が良好だったことを受けて短期債中心に金利が上昇、米ドルは主要通貨に対して全面高となりました。トランプ次期政権の通商政策では、日本への悪影響が相対的に小さいとの見方からクロス円(対ドル以外の円相場)が上昇基調にあった反動から、円は主要通貨に対してほぼ全面安の展開となりました。 相場の注目点 米国では20日11時半(日本時間21日午前1時半)に正副大統領の就任式が開催されます。市場ではトランプ次期大統領の就任演説と大統領令の発令に関心が集まっています。先週、日銀の植田総裁、氷見野副総裁はそれぞれ、トランプ次期大統領就任後に市場が混乱するようなことがなければ、1月23-24日の金融政策決定会合で利上げを行う可能性があることを示唆しました。米国市場ではトランプ政権の発足を控えて、長期債を保有することに対するリスクを表す長期国債のタームプレミアムが上昇してきました。仮に就任式でのトランプ氏の発言が市場の懸念後退につながるならば、米国では長期金利低下と株高につながり、日銀の利上げ期待から17日とは異なり米ドル円市場は円高の反応を示す可能性があります。ただし、AP通信は「就任初日に100件を超える大統領令を準備している」と報じたことを受けて、市場の警戒感が高まっています。20日の米国市場はキング牧師生誕記念日の休場のため、21日の日本市場が世界で最も早く大統領令の影響を織り込むことになる可能性があります。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年1月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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01/19 18:00
【特集】トランプ政権の追加関税、中国経済への影響は 現地のストラテジストが解説
2024年に行われた米大統領選で、中国からの輸入への追加関税を主張するドナルド・トランプ氏が再選を果たしました。幅広い品目の関税が引き上げられる可能性があり、中国の対米輸出だけでなく、経済にも影響を与えそうです。中国国内で経済や市場を分析する野村東方国際証券の高挺(ガオ・ティン)チーフ・ストラテジストに、追加関税による影響とその対策や、中国経済の見通しなどについて聞きました。 関税の引き上げ対象品目はスマホやパソコンか ――トランプ氏は就任後に対中関税を60%まで引き上げると宣言しています。実際に関税が引き上げられると、中国経済にどのような影響を与えると思いますか。 高挺氏(以下、同)引き上げはどういったプロセスで、何回に分けて引き上げられるか、さらにどの品目が引き上げ対象になるかなどは現在も不透明です。 次期トランプ政権が関税を引き上げるのは、中国に対してだけではないと考えていますが、中国が最初の引き上げ対象になる可能性は十分あります。我々の見通しでは、基本シナリオとして実施は2025年第2四半期(4-6月)以降に始まって、その後、段階的に行われ2026年末まで続くと予想しています。2026年末に平均で約30%の引き上げになる可能性があります。 ――例えば、どういった品目で関税が引き上げられると考えますか。 品目も確定してはいませんが、前回のトランプ政権時も、様々な品目の関税を異なるタイミングで引き上げました。追加税率も品目によって違いました。次期トランプ政権は、前回のトランプ政権時より幅広い品目で、関税を引き上げる可能性が大きいと見ています。 ただ、米国はインフレに苦しんでいます。短期間内に大幅な関税の引き上げによって消費者の負担を増やさないよう、最初は日常的に利用する生活必需品の追加税率を小さくしたり、引き上げるタイミングを遅らせたりするのではないでしょうか。逆に消費者に直接販売されないもの、例えば部品などの中間製品や機械設備などの投資財は引き上げの対象になりやすいでしょう。 さらに、中国以外の他国でも生産していて、グローバル市場で代替品を調達しやすいものも対象になる可能性が高いと考えています。現在、中国の対米輸出品はスマートフォンやパソコン、Wi-Fiルーターなどといったエレクトロニクス関連製品や通信機器が大半となっています。これらの製品に対して高い関税がかけられても驚くべきことではないでしょう。 野村東方国際証券チーフ・ストラテジスト 高挺氏 追加関税で中国のGDP押し下げも ――関税の引き上げが中国の経済にどんな影響を与えると見ていますか。 中国の2024年1-11月の輸出額は、前年同期と比べ5.4%増となり、好調な輸出が経済成長に寄与しました。米国への輸出は中国の輸出全体の15%前後を占めているので、関税引き上げはかなり大きな影響になると考えています。 2025年に本格的な影響が表れ始めるでしょう。私たちの基本シナリオでは、米国の関税引き上げにより、中国の輸出総額は2024年とほぼ同水準になると予想しています。つまり、ゼロ成長です。 1月17日に発表された2024年の中国GDPは、実質で前年比5.0%増でした。2025年の輸出額が前年比で5%の成長を失うと、GDP成長率を0.8-0.9%程度押し下げることになります。このため、他の要因を考慮せず、輸出の減速だけで2025年のGDP成長率は4%程度に押し下げられる可能性があります。 ――今後米国が関税を引き上げた場合、中国はどのような対抗措置や対策を取ることが考えられますか。 前回のトランプ政権時と同様に、対抗措置として関税で抵抗していくのではないかと思います。米国の保護主義的な動きに対する抵抗であり、米国も経済的代償を負うことになるという「意思表示」です。 一方で、輸出の成長率がゼロになるので、中国政府は内需を拡大する施策を講じるでしょう。これには大きく2つの分野の施策があると考えています。 1つは個人消費です。これは経済成長の促進に向けた2025年の重点政策の1つに挙げられています。中国は昨年から、消費者に対し補助金を支給し、テレビ、冷蔵庫などの古い家電や自動車などの買い替えを促しました。今年からは、買い替えを促す補助金の対象範囲が拡大し、電子レンジや食器洗い機なども対象になるようです。リーマンショックの後にも同様の補助を行った実績があり、当時は政府の事前予測より大きな効果が表れました。 そしてもう1つは住宅関連です。例えば住宅ローンの頭金比率や住宅ローン金利の引き下げなどはすでに行われており、効果は表れているものの、それを持続的なものとするため、今後の成り行きを注視する必要があります。このような政策の強化・拡充も検討される可能性があります。 また、内需拡大策とは別に、国内企業が関税をある程度回避するため、生産拠点を海外に設置したり、米国以外の海外市場を開拓したりすることを政府が積極的に後押しするのではないでしょうか。 ――追加関税によって米中の経済関係が悪化すると、両国以外の経済にも影響を及ぼしますか。 はい。影響を及ぼすと考えています。私たちは、大きく4つの影響を想定しています。 1つ目は中国の輸入減による影響です。中国のGDPが減少すると、海外からの輸入も減る可能性があります。これは、中国向けの輸出が多い日本や韓国、欧州や東南アジアの一部の国の輸出額を押し下げる要因になり得ます。 2つ目は、米国の代替品購入の影響です。対中関税の引き上げで、米国は代替品を他国の企業に求めるようになると考えられます。東南アジアの一部の国、特に対米中関係で中立的な立場をとっているベトナムやカンボジア、さらにはインドの対米輸出額は増える可能性があります。日本や韓国の輸出額の押し上げにもつながるかもしれません。 3つ目は、中国企業の戦略見直しの影響です。中国企業は対米輸出の関税が上がると、米国以外の国への販売強化を検討するでしょう。その際中国企業は、南米や東南アジアの他の重要な貿易パートナーの開拓により一層力を入れるのではないでしょうか。 そして4つ目は生産拠点の海外移転の影響です。対米輸出の関税引き上げの影響を避けようと、すでに一部の中国企業は生産拠点を海外に移す動きを見せています。もちろん、工場を作れば労働者の雇用や、不動産や設備への投資が必要になりますので、移転対象となる国にとってはプラスになるでしょう。 中国株の乱高下、その要因は ――2024年は中国株が乱高下しました。何が要因だと見ていますか。 2024年1-9月、中国の不動産不況や消費低迷が投資家の経済への懸念を高めて、株価は弱含んでいました。実際にPPI(生産者物価指数)はマイナス成長が続き、非金融の上場企業の利益も減少しました。 9月24日に、中国人民銀行(中央銀行)と金融規制当局の共同記者会見があり、その内容は我々の予想を超えました。会見で金融政策や不動産支援策など多岐にわたる取り組みが発表されましたが、それ以上に、人民銀行が経済の先行きを強く案じて、踏み込んだ対策を行おうとしている姿勢が見て取れたのが印象的でした。それが、株価が大きく上昇させる要因となりました。 しかし、このような政策が発表されても、すぐに経済が好調になるわけではありません。実際に企業の収益改善や内需の拡大につながるのかを見極めるにはそれなりに時間を要するため、投資家も慎重姿勢に転じました。さらに、11月の米大統領選では中国に対して強硬姿勢をとるトランプ氏が再選したことで投資家心理を冷やし、株価の乱高下につながりました。今後の財政政策のスタンスと内容が明らかになるのは、3月の全人代(全国人民代表大会)の予算案公表の後とみられます。それまでは、人民銀行の政策の効果や今後の政策動向を注視する必要があり、米国の通商政策の行方や影響も不透明なため、株価はボックス圏での推移が続くと見ています。 ――では、中国経済の先行きについてどう考えていますか。 先ほどお話ししたように、人民銀行の政策スタンスが大きく変化しました。金融政策の基調が「穏健」から「適度に緩和」へと転換したのです。これは実に14年ぶりです。人民銀行の政策によって、政府が取り得る経済対策の選択肢も増えると考えています。 不動産市場も、不動産開発大手「恒大集団」の経営危機が明るみになって以降は不調が続いていましたが、人民銀行の会見以降、不動産販売はプラス成長に転じました。PMI(購買担当者景気指数)も3か月連続で50を超え、景気も拡大しています。政府の具体的な政策は3月の全人代で発表されますが、それ以降は景気回復がより鮮明になると考えています。 一方、中国はGDPに占める消費の割合が米国や日本と比べると依然、低水準にあります。国民の教育や医療、老後に対する不安も強く、お金があっても貯蓄に回してしまう人が多いためです。こういった状況を打開し、再び成長軌道に乗せるため、政府はお金に対する不安の強い低所得者に対する補助金を手厚くしたり、社会保障政策を充実させたりする可能性があります。 野村東方国際証券 チーフ・ストラテジスト高挺(ガオ・ティン) 米ミズーリ州立大学助教授を経て、中国国際金融股份有限公司(CICC)でエコノミスト及びA株チーフ・ストラテジストを歴任。2010年にUBSアセットマネジメントに入社し、リサーチ部門ヘッド兼中国投資チーフ・ストラテジスト、UBSグループの香港アセットマネジメント・アジア太平洋地域のマクロ経済ヘッド、UBS証券リサーチ部門中国戦略ヘッドを務めた後、2019年8月より現職。主に中国市場のアセットアロケーション戦略、市場展望、A株市場戦略などのリサーチを担当。 ※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。 ご投資にあたっての注意点
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01/19 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅢ:第5回 変化率も有効な算出方法に
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は主に、変化率に注目したメドの探り方について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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01/18 19:00
【来週の米国株】いよいよトランプ新大統領就任式、何に警戒すべきか(1/18)
※執筆時点 日本時間1月17日(金)12:00 今週の振り返り ※1月10日(金)- 1月16日(木)4営業日の騰落 15日(水)に発表された12月CPI(消費者物価指数)でコア指数が前月比+0.2%と市場予想の同+0.3%を下回ったことから、インフレ懸念が後退して利下げ幅縮小懸念が弱まり、今週の米国株主要3指数は揃って上昇しました。しかし、20日(月)のトランプ氏の大統領就任日を控える中、トランプ氏や政府高官の新たな発言に対する様子見姿勢が強まり、株価の上値は限定的でした。 安心感広がるも、インフレ鈍化は一時的か 12月CPIのコアインフレ率は前月比+0.225%となり、2024年7月以来初めて同+0.25%を下回りました。野村の予想(0.27%)に対する下振れは、家電製品やパーソナルケア製品の急落、住居費の伸び悩み、ホテル宿泊料金の下落が要因でした。中古車価格の高止まりや航空運賃の回復が見られたものの、全体としてはインフレ鈍化を印象付ける内容でした。ただ、足元では消費支出が底堅いことからインフレ鈍化は一時的となる可能性もあります。また、ロサンゼルス周辺で続く大規模な山火事が家賃や宿泊費、中古車価格等を短中期的に押し上げる可能性もあります。野村ではトランプ氏が掲げる関税政策の影響で、2025年度を通じてインフレ傾向が上振れしやすいとの見方を維持しています。 金融セクター決算も好材料 2024年10-12月期決算発表の幕開けとなる金融株は総じて好調なスタートを切りました。15日(水)に発表されたJPモルガン・チェース(JPM)、ゴールドマン・サックス(GS)、シティグループ(C)、ウェルズファーゴ(WFC)の一株当たり利益(EPS、調整後)は全て市場予想を上回りました。純金利収入やトレーディング収入が各社の業績を牽引しました。 半導体セクターにも一旦安堵感 16日(木)に台湾のTSMC(米国預託証券(ADR)を上場しており、ティッカーはTSM)の2024年10-12月期決算が発表されました。当社は半導体受託生産の世界最大手であり、近年ではエヌビディア(NVDA)などから最先端のAI関連の半導体を受託していることで高い関心を集めています。2025年1-3月期の売上高の会社計画は254億ドル(レンジの中間値)でと市場予想(244億ドル)を上回りました。特に「AIアクセラレーター関連売上高」は2024年に前年比3倍以上になったと見込まれ、全社売上901億ドルの10%半ばを占めることが示唆されました。設備投資計画も400億ドルと市場予想(351億ドル)を上回り、特に最先端半導体分野の製造装置株や素材株への安堵感が広がる内容でした。 来週①:トランプ新大統領就任式と追加関税の想定 トランプ新大統領の就任式関連のイベントは、米国東部時間で1月18日(土)から21日(火)にかけて行われ、就任式自体は20日(月)、宣誓が同日正午に行われる予定です。 第2次トランプ政権の政策には株式市場にプラスとなるもの(減税政策など)とマイナスとなるもの(関税政策など)が混在しています。ただし、スケジュールを考えると、議会を通さずに大統領令で実行可能な関税政策の影響が早く出やすいと考えられます。そのため、市場では就任式直後の「デイ1」から追加関税などを実施するリスクへの警戒が見られます。 追加関税を阻むものは? トランプ新大統領は引き続き追加関税の導入について前向きな発言を続けており、就任式を経て具体的な方針を発表または実施に踏み切る高い可能性があると考えられます。しかし、第2次トランプ政権は、大統領選前よりは追加関税に対して慎重になっている面もあります。大統領選の前には、トランプ新大統領は対中国で60%、その他全世界には10~20%の関税を課す意向を示していましたが、SNSでは対中国について10%にとどまり、従来の主張よりも小幅な追加関税率しか示されていませんでした。 トランプ新政権が大統領選の前に比べて追加関税に対して慎重化している背景には、①株式市場への影響が不透明であること、②最終解決を先送りし根強いインフレへの対応のような問題から国民の目を逸らさせ、米国内の支持率を維持しようとしていること、③関税対象国がある程度交渉に応じる姿勢を見せていることなどが挙げられます。 予想される選択肢 米国株の下落を回避する観点(①)からは追加関税を小規模なものにとどめることが望ましいと考えている模様です。一方、支持率を高止まりさせる観点(②)では、対外強硬姿勢を継続的に示すことが望ましいため、少なくとも即時には極端に大規模な追加関税を決定することについて慎重になると予想されます。それに加え、移民規制のうち大統領令で実施可能な施策を追加関税と合わせて決定すると考えられます。 特に追加関税については就任式後に、対中国では既に関税が実施されている品目について10%の追加関税を即日実施し、それ以外の品目については10%の追加関税を検討する可能性が高いでしょう。また、対メキシコ・カナダでは25%の関税を、その他全世界に対しては10%の追加関税を検討する考えられますが、追加関税については当初2~5%前後の段階的な引き上げも検討されるでしょう。 一方で、最終的な関税率が示されないまま、毎月2~5%の関税率引き上げ方針が示されることも考えられます。この場合、政権発足初期にはこれまでのトランプ氏による言及と比べて実際の追加関税が小幅との見方が生じますが、引き上げが繰り返されるにつれ、大規模していくとの懸念が高まりそうです。 市場の織り込みはあまり進んでいない インフレスワップ市場で取引されている1年先のCPI(消費者物価指数)は前年比+2.6%前後で、12月のCPI(前年同月比+2.9%)に近い水準が今後も継続と市場では想定しています。当社の米国拠点は、トランプ新大統領が大統領選前に主張していた対中で60%、その他全世界で10%の追加関税が課されることによるCPIへの影響を+1%ポイントと推計しており、2025年末のCPIは前年比で+3%台半ばに上昇すると予想しています。これに対し、同市場での織り込みは進んでいないと考えられます。また、株式市場でも、トランプ政権の1期目において追加関税を受け大きく下落した銘柄が、現在大幅下落しているわけではありません。 20日の就任式以降にトランプ新大統領が追加関税の方針を公表・実施すれば、市場が反応する余地が残されていると想定されます。なお、大統領選以降に対ドルで人民元安が急速に進むなど、対中関税の織り込みは相対的に進展していると考えられます。このため、対中関税よりも中国以外の国々への関税政策への警戒が必要です。 来週②:決算本格化、消費の先行きのヒントを探る FRB幹部は28日(火)から29日(水)にかけて開催される1月FOMCを前に沈黙期間に入り、講演などの予定はなく目立った経済指標もありません。こうした中、本格化する2024年10-12月期決算に注目が集まります。 16日(木)に発表された12月の小売売上高(合計)の前年同月比は+3.9%となり、11月改定値の同+4.1%から伸び率が鈍化し、市場予想も下回りました。業種別に見ると、自動車・同部品が前年同月比+8.4%、家具が同+8.4%、無店舗販売が同+6.0%、電気製品が同+5.8%と好調でしたが、建設資材・ガーデニング用品が同-1.8%、百貨店が同-1.8%、ガソリンスタンドが同-1.2%と低調でした。 多くの業種で売上高が増加していることは好材料ですが、消費拡大の一つの要因として、トランプ次期政権が打ち出す政策に消費者が防衛的に反応している可能性には注意が必要です。例えば、海外からの商品に対する新たな関税による価格上昇を見越して、高額商品を今のうちに購入していることが考えられます。また、自動車・同部品の売上高が前年比で+8.4%となったのは、トランプ次期大統領がEV販売に対する税控除の廃止を掲げていることへの駆け込み需要によるものかもしれません。 こうした要因を確認するためにも、今週は個別企業の決算実績や見通し、コメントが重要となります。住宅大手のDRホートン(DHI、21日)、運輸業界では鉄道大手のCSX(CSX、23日)、航空大手のユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL、21日)、アメリカン・エアラインズ・グループ(AAL、23日)、クレジットカード大手のアメリカン・エクスプレス(AXP、24日)に消費動向を見通すヒントがないか、注目したいと思います。 (投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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01/18 09:00
【オピニオン】米ドル円レートは円高へ?「日米実質金利差縮小」シナリオの可能性
※画像はイメージです。 米国の10年国債利回りは25年1月14日に一時、4.806%まで上昇しました。23年10月下旬以来の高い水準です(なお、08年のリーマンショックの前年である07年8月以降の最も高い水準は23年10月23日の5.018%)。24年10-11月の米国の消費者物価が再加速したことや、次期トランプ政権による関税引き上げ、減税等の政策によりインフレが再加速するのではとの懸念等が背景にあります。25年1月のミシガン大学消費者期待インフレ率は5-10年先が24年12月の3.0%から3.3%に、同1年先は2.8%から3.3%にそれぞれ上昇しました。期待インフレも含めて全般的にインフレ再加速、金利上昇の可能性に市場は敏感になっています。 米ドル円レートは日米金利差の影響を大きく受けますが、米国インフレ上昇→米国名目金利上昇→日米名目金利差拡大→米ドル円上昇、とのプロセス自体は勿論、有効ですが、「名目」よりも「実質」と置き換えた方がより説明力が増すと思われます。 下図は米ドル円レートと日米名目、及び実質金利差をプロットしたものです。「名目」よりも「実質」の方が説明力が高いように思われます。この前提に従えば、米国のインフレ(期待も含む)上昇→米国名目金利上昇・米国の実質金利低下→日米実質金利差縮小→米ドル安・円高、との想定が成り立ちます。この場合、米国の名目金利の上昇幅がインフレ加速分以下にとどまるという前提ですが、こうしたケースは十分に考えられます。FRBはバランスシート縮小(QT)の終了時期については示していませんが、野村證券は25年6月末に終了すると予想していますし、そもそも米ドル建てである米国債には基軸通貨としてのプレミアムがあるという需給面での金利上昇抑制機能が市場で働くと判断されます。 (注)データは月次で、直近値は2025年1月(日米5年国債実質利回り差は24年11月)。実質利回りは5年国債利回り-消費者物価の前年比上昇率。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 勿論、日本サイドのインフレ加速→実質金利低下との要因も考慮すべきですが、緩やかなペースとは言え、日銀は金融政策の正常化に向かっており、既に国債も含めて市場金利は上昇基調に転じています。25年1月15日に、日本の10年国債利回りは1.255%まで上昇し、2011年4月以来、13年9ヶ月ぶりの高い水準となっています。とすれば、「日米実質金利差が拡大」とのシナリオよりも「日米実質金利差縮小」のシナリオの実現可能性の方が高い、と言えるでしょう。 目先は勢い、名目金利上昇で米ドル高で反応しやすい材料が多いですが、緩やかながらも米ドル円レートは円高方向へ向かうとの見方をメインシナリオとして良いのではないでしょうか。 ご投資にあたっての注意点