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02/10 08:12
【野村の朝解説】ダウ続落、インフレ再燃と貿易摩擦を警戒(2/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 7日の米国株式市場で主要3指数は下落しました。1月の米雇用統計は強弱混在の結果となりましたが、2月のミシガン大学消費者調査(速報値)で1年先の期待インフレが23年11月以来の高水準に上昇したことから、インフレ再燃への懸念が高まりました。FRBの利下げが一段と遠のくとの見方が強まるなか、米国株は終日軟調に推移し、貿易摩擦の深刻化懸念から終盤にかけて下げ幅を拡大する展開となりました。投資家心理を示唆するVIX指数は上昇し、16ポイント台で推移、為替市場ではリスク回避の動きからドル高以上に円高の動きが強まり、ドル円相場は一時151円割れとなる場面もみられました。 相場の注目点 7日発表の経済指標は全体としては米国経済の堅調さとインフレ再燃リスクを示唆する内容だったとみられます。1月の雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比14.3万人増と市場予想(同17.5万人増)を下回りましたが、24年12月分は同25.6万人増から同30.7万人増に、11月分は同21.2万人増から同26.1万人増に、それぞれ大幅に上方修正されました。また、平均時給が市場予想を上回る伸びとなったことに加え、2月のミシガン大学消費者調査では関税引き上げ懸念などから消費者の期待インフレ上昇が示され、米金利は上昇、市場が織り込むFRBの25年3月の政策金利据え置き予想は9割を超えました。今週は11日(火)のパウエルFRB議長の議会証言、12日(水)の1月消費者物価、14日(金)の1月小売売上高が注目されます。また、中国の対米関税発動期日を10日に迎え、今後米国が一段の報復に出るのか、トランプ政権の動向にも関心が集まります。トランプ大統領は多くの国に対する相互関税の計画を週初にも発表する意向を明らかにしており、株式市場では引き続き、貿易摩擦問題とその経済への影響を見極める神経質な展開が続くことが予想されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年2月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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02/09 16:00
【特集】平均的な投資家は、なぜ市場平均よりもパフォーマンスが劣るのか
(注)画像はイメージです。 パフォーマンスの劣化は投資家の合理的でない行動が引き起こす 平均的な投資家は、市場の変動に直面すると損失回避を求めて売買を行う傾向があり、パフォーマンスが市場平均に負けてしまうことがあります。米ダルバー社の調査によれば、過去30年間(1984年~2013年)に個人投資家が実際に得たリターンは、市場平均よりもかなり劣っていたという結果になっています。この投資家の合理的でない行動が引き起こすパフォーマンスの劣化を「行動ギャップ」と言い、このギャップのことを「ダルバー効果」と言います。 過去30年間(1984年~2013年)に個人投資家が実際に得たリターン (注)ダルバー社のQAIB2014調査に基づく。データは1984年から2013年末までの30年間。投資信託の投資家の平均リターンは米国のデータを対象に分析している。市場インデックスのリターンは、株式はS&P500指数、債券はブルームバーグ米国総合債券インデックス(旧バークレイズ・アグリゲート・ボンド・インデックス)をもとに計算。(出所)ダルバー社「QAIB2014」、チャック・ウィジャー&ダニエル・クロスビー「ゴールベース資産管理入門」(2016年日本経済新聞社)より野村證券投資情報部作成 パフォーマンスの改善に行動ファイナンスの知見を活かす 合理的でない投資行動を避けるには、行動ファイナンスの知見を活かすと良いでしょう。行動ファイナンスとは、投資家の心理面などの動きに注目して、なぜ投資家は時として非合理的な投資行動をとってしまうのかを説明する投資理論です。それによれば、市場の変動に動揺して感情的な投資行動が想定される場合には、情報に制限をかけるなどそういった要因をできるだけ排除するような工夫があるでしょうし、資産運用の目的と必要性をはっきりとさせて、分散したポートフォリオによる運用で個々の資産の値動きに惑わされないようにする工夫なども考えられるでしょう。 (野村證券投資情報部 井上 政則) ご投資にあたっての注意点
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02/09 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅢ:第8回 これも知っておきたい 比率の定番
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は主に、比率に注目したメドの探り方について、説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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02/08 19:00
【来週の米国株】”条件付”で上昇した株価、CPIや議長証言を乗り越えられるか(2/8)
※執筆時点 日本時間2月7日(金)12:00 ■今週:米長期金利の低下が追い風に ※1月31日(金)- 2月7日(木)4営業日 今週発表された2024年10-12月期の企業決算では市場予想を下回るものも散見されました。一方で、トランプ大統領による対カナダ・対メキシコの関税発動が延期されたことなどによるインフレ再加速の懸念後退から米長期金利(米10年国債利回り)が低下したことが支えとなり、米国株の主要3指数は前週比で上昇しました。 決算発表が重石 アマゾン・ドットコム(AMZN)のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やアルファべット(GOOGL)のクラウド部門の2024年10-12月実績が市場予想を下回りました。先週発表されたマイクロソフト(MSFT)のクラウドサービスであるアジュールも実績が市場予想を下回ったことも踏まえると、主要なクラウドサービスベンダーが市場予想比では低調だったことは懸念材料です。一方で、これらの会社が発表した2025年通期の設備投資額見通しは市場予想を大きく上回り、先週のディープシークショックの時にあった「大手ITのデータセンターへの投資意欲が低下する」といった懸念は一旦払しょくされたと言えます。 「関税ショック~揺り戻し」の経緯 3日(月)には、予定されていたカナダ・メキシコへの関税発動が1ヶ月延期されました。大統領令の署名時点では米国株式市場は大幅に下落したものの、関税発動直前に撤回されたことで落ち着きを取り戻しました。 その後も4日(火)には米国による対中追加関税が発動され、中国は対抗措置として10日(月)に対米での報復関税を実施するとしました。ただ、市場はカナダ・メキシコへの関税発動を巡って揺れた3日(月)に比べ大きく反応していません。「米国は中国に対しても、カナダやメキシコと同様に何らかの通商上の合意を成立させ、追加関税をエスカレートさせない」との期待が市場に生じていると推察されます。 長期的なリスクは残存 長期的には関税の掛け合いがエスカレートしていくリスクがあります。第1期トランプ政権時に成立した貿易合意第1弾では、中国が米国の農産品・製品を輸入することとされましたが、その額が達成困難なほど巨額であり、実際に目標は達成されませんでした。このため、今回合意が成立したとしても、トランプ大統領が折に触れ中国に再交渉を迫るリスクが燻り続けるでしょう。 関税と市場の反応には今後も注視 足元のリスクは、関税に関する報道やトランプ大統領の発言があったとしても「当該国との交渉を有利に進めるための発言であり、関税発動は実現されない」との憶測が市場に広がり、市場でリスクが軽視される可能性があることです。こうした環境下で実際に関税が発動された場合にはボラティリティ(変動性)が高まることも想定され、引き続き関税と市場の反応には注視が必要です。 ■来週①12日(水)のCPIに注目 今週、米長期金利の低下が株価の追い風となったことから、来週もインフレ鈍化の継続性を注意してみていきたいと考えます。経済指標では12日(水)に発表される1月CPI(消費者物価指数)が注目されます。 加速が予想されるCPI 1月分の食料・エネルギーを除くコアCPI(消費者物価指数)の市場予想は前月比+0.3%(12月同+0.2%)と、加速が予想されています。前回12月分は前月比+0.2%(11月同+0.3%、市場予想同+0.3%)と、市場予想を下回り減速しました。家賃を除くサービスの一部の品目において、単月としては極端に大きめの減速が生じていました。このため今回1月分で反動が生じ、加速しても不思議ではありません。 季節調整の歪みが影響する可能性も コアCPIにおいては、雇用統計と同様に新型コロナ危機以降に季節調整の歪みが発生しているため、コアCPIについては12月分・1月分では実態よりも低めの数字が出やすい一方、2~4月分では実態よりも高めの数字が出やすいと考えられます。季節調整の歪みが大きく反映されれば、今回1月分は市場予想を下回り前回12月分と同様に低い伸びを示すこととなるでしょう。 ■来週②11日(火)-12日(水)のパウエル議長議会証言 パウエルFRB議長の半期議会証言が11日(火)・12日(水)に上・下院で予定され、発言内容が注目されます。 1月FOMCでの”タカ派”発言に変化はあるか 1月FOMCでパウエル議長は中期的には利下げ方向であることを示唆しつつ、目先での利下げに慎重な姿勢を示しました。雇用統計・CPIといった重要指標の公表や、追加関税の動向を踏まえ、3月FOMCに向け姿勢に変化が生じるか注目されます。なお、市場の政策金利(FFレート)の予想を示すCMEのFedWacthによれば、3月FOMCでの据え置きの確率は85.5%となっています(2月6日時点)。 (投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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02/08 09:00
【オピニオン】超速報!10‐12月期決算の第一印象は?
※画像はイメージです。 2025年1月最終週より、3月決算企業の2024年10-12月期決算発表が本格的にスタートしました。足元(2/4)時点では、40%弱の企業が発表を行ったにすぎませんが、今回は10-12月期決算の第一印象についてみてみることにしましょう。 【10-12月期 サプライズ比率】‥事前の市場コンセンサスに対して6割超の企業が上振れて着地しています。売上高/営業利益の上振れ比率が、経常/税引利益のそれに比べてやや低位に留まっていますが、10-12月期は前年同期比では、鉱工業生産、米ドル円レートともに業績に対してほとんど追い風とならなかったためと考えられます。一方、10-12月期は前四半期末に比べ13円/米ドル程度円安で終了したため、一部企業で為替に起因する差損・減損の戻し入れが発生しているようです。 10-12月期 サプライズ比率(図表1) ※注記は図表4に集約 【10-12月期 増収・増益率】‥売上高~税引利益にいたるすべての利益段階で市場コンセンサスを上回る増収/増益率となっています。サプライズ比率の水準に比べ、増益率の上振れ率がやや高い印象ですが、これは為替に起因する差損・減損の戻し入れの発生が、海外に積極的に展開している企業規模(=利益規模)の大きい企業ほど多い、といった要因が考えられます。 10-12月期 増収・増益率(図表2) ※注記は図表4に集約 【通期 会社見通し変更状況】‥2025年1月に(自らの)通期経常利益見通しを変更した企業は9%とほぼ平年並みでした。10-12月期は業績を取り巻く環境が厳しかったことから、見通しの変更を躊躇する企業が例年に比べ多くなることが心配されましたが杞憂でした。2025年1-3月期の業績に企業側が自信を持っていることがうかがえます。なお、見通しを変更した企業のうち3社に2社が上方修正となっています。 通期 会社見通し変更状況(図表3) 【通期ベース リビジョン・インデックス】‥今期経常利益基準のリビジョン・インデックス(RI)は、中間決算終了後の2024年11月末ごろに一旦大きくマイナス圏に沈みましたが、足元ではプラス圏に復帰しています。これまでに明らかになった10-12月期実績の状況や、2025年1-3月期に想定される生産活動の活発化などから、再度のRI悪化の可能性は低そうです。 ※注記は図表4に集約 通期ベース リビジョン・インデックス(図表4) (注1)サプライズ比率は、ラッセル野村Large Cap構成企業のうち2025年1月6日時点で市場コンセンサス予想が存在し、2025年2月4日までに決算発表を終えた企業を対象に、実績が市場コンセンサスを上回った企業数の比率。 RNLはラッセル野村Large Capの略。(注2)増収・増益率の表中の値は、実績値で2025年2月4日までに決算発表を終えた企業のみで集計。カッコ囲みの数値は2025年1月6日時点の市場コンセンサスで、市場コンセンサス予想が存在した企業のみでの集計。(注3)会社見通し変更状況の母集団は、東証プライム上場企業。期初(6月)からの東証プライム市場構成企業(2~3月決算企業)の会社側経常利益見通しの修正動向(累計)。赤色の線は2012~2023年度の平均値。期中に複数回見通しを変更する企業が存在するため、累計社数構成比が100%を超えることがある。直近値は2025年2月4日時点。(注4)リビジョン・インデックスは、ラッセル野村Large Capベース。0を上回ると上方修正優位、0を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2025年1月30日。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成 なお、今回紹介した内容は、発表社数が増えるにつれて異なった傾向となる可能性があります。最終的な着地動向については近日中にお伝えする予定です。 ご投資にあたっての注意点
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02/08 07:00
【来週の予定】パウエル議長をはじめ、FRB高官の発言に注目
来週の注目点:パウエルFRB議長の議会証言、米消費者物価 2025年初めてとなる1月の金融政策会合では、主要中央銀行間の政策スタンスの乖離が改めて浮き彫りになりました。日本銀行は0.25%ポイントの利上げを実施し、中立金利に向けて利上げを継続する意向を示しました。FRBは金融政策を据え置いた上で、トランプ政権の政策不透明感が残存する中で、景気が堅調に推移していることから様子見を続けることが可能であるとの判断を示しました。一方、ECBは景気下振れ懸念を背景に利下げを継続する意向です。主要中銀間の政策スタンスの違いは株式市場では変動率を高める方向に作用すると見られる一方で、為替市場では米ドル高、円高、ユーロ安圧力となる事が予想されます。 今週、米国では11日(火)のパウエルFRB議長の上院での半期議会証言を筆頭に、FRB高官の講演が複数予定されています。25年1月のFOMCでは声明が従来よりもタカ派的(利下げに消極的)なトーンを強めた一方で、記者会見でのパウエル議長の発言にはこのタカ派色を中和するものが目立ちました。議会証言ではよりFRB内のコンセンサスに即した見解が示されると想定されるため、改めて市場の関心を集めそうです。 米経済指標では、金融政策面では12日(水)の1月消費者物価指数、実際の景気動向を確認する上では14日(金)の1月小売売上高、1月鉱工業生産が注目されます。特に先月に続きインフレが穏当な結果を示せば、金利低下・株高を促すことが予想されます。 日本では10日(月)発表の1月景気ウォッチャー調査が注目されます。市場では景況感の動向と並んでその変動の背景にある個別のコメントにも関心が集まる指標です。企業の人手不足感やインバウンド動向、賃上げ機運などが注目されます。 欧州では14日(金)にユーロ圏の24年10-12月期実質GDP改定値が発表されます。各需要項目の動向が明らかになることから、欧州景気の下振れリスクを点検する上で市場の関心を集めそうです。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年2月7日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/07 16:23
【野村の夕解説】急速な円高進行が重石となり、日経平均は279円安(2/7)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日、米国で発表された2月1日の週の週間新規失業保険申請件数、継続受給者数がともに市場予想を上回り、労働市場の軟化が示されました。前日の日銀の田村審議委員によるタカ派的とも言える発言もあり、日米金利差縮小の見方が強まったことから、外国為替市場では一時150.90円台まで円高米ドル安が進みました。これを受けて、本日の日経平均株価は寄り付き直後から下落し、下げ幅は一時前日比300円を超えました。円高進行の一服とともに下げ幅を縮める場面もあったものの、前日引けの決算発表を受けて、業績見通しに不透明が残るとの見方から東京エレクトロンが前日比-4.06%と大幅安となり重石となったほか、本日米国で発表される1月雇用統計を前に投資家の様子見姿勢が強まる中、日経平均株価は再度下げ幅を広げました。終値は前日比279円安の38,787円となりました。個別銘柄では、前日引け後に好決算を発表したメルカリが前日比+20.97%でストップ高となり、上昇が目立ちました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日発表される米国の1月雇用統計で労働市場の良好さが確認されれば、3月の追加利下げ見送りの織り込みが一段と進展するとみられます。ただし、1月の雇用統計には労働省による人口統計の年次改定が反映され、失業率と労働参加率が一時的に急上昇するリスクがあることから、注意が必要です。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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02/07 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、超長期上昇トレンドの背景を読み解く
※画像はイメージです。 ※2025年2月6日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、約4カ月続く保ち合い上限に抑えられる。再挑戦へ 今週の日経平均株価は、米トランプ大統領の追加関税発動決定を受け、大幅下落で始まりました。その後はメキシコ・カナダへの関税発動先送りを受けて反発したものの、円高・ドル安の進展もあり、上値の重い展開となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、1月24日高値(ザラバベース:40,279円)形成後、27~28日に中国の生成AI開発に関する報道を受けて下落し、昨年9月下旬以降の保ち合い上限である4万円超水準の壁の厚さが示されました。 その後、米トランプ関税に対する懸念から25日線(2月6日:39,282円)や75日線(同:39,004円)を割り込んでおり、目先は200日線(同:38,625円)の水準が下値のメドとして挙げられます。先行き同水準を割り込んで下げが続く場合は、1月17日安値(38,055円)や、昨年9月以降の保ち合い下限(37,700~800円前後)の水準がさらなる下値メドとして挙げられます。 一方で、各種テクニカル指標に過熱感はなく、保ち合い相場入りから既に4ヶ月が経過し日柄調整も十分となっています。2月3日安値(38,401円)形成後は反発となっており、この先まずは39,000円台を回復し、1月24日高値(40,279円)や、昨年12月27日高値(40,398円)突破へ向けた動きとなることが期待されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年2月6日時点。 (注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 日経平均株価、超長期上昇トレンドの背景 日経平均株価は、2010年代から強気シグナルが複数(図2中:①~②)みられ、昨年7月に史上最高値(終値ベース:42,224円)をつけました。足元で30年線をはじめとする主要な長期移動平均線は全て上向きであり、現在、超長期上昇トレンドを形成中だと考えられます(図2)。 この超長期上昇トレンド内では、これまで何度も大幅下落を経験していますが、それらの下落はコロナショック時を除き、概ね5年移動平均線によって下支えされています。2015年のチャイナショック時や昨年夏の急落時も、5年線を割れずに反発しました。今後も超長期上昇トレンドが様々なショックを吸収すると考えます。 さて、このように2010年代から超長期トレンドが上向きとなっている背景として、大きく3つの点が挙げられます。 1つ目が賃金と物価の好循環です。2025年の春闘における賃上げ目標は、24年と同等の5%以上を掲げています。今後も好循環が持続することで安定した経済成長が期待されます。 2つ目が企業のガバナンス(運営・統治)改革の進展です。2023年の東証によるPBR改善策要請を受けて各企業が対応を始める中で、物言う株主の活動が活発化しており、2025年は株主や投資家目線の経営が一層浸透すると考えられます。 3つ目が、投資家層の拡大です。2014年にNISA制度がスタートし、2024年には非課税投資額を大幅拡大した新NISA制度が始まりました。個人の投資への関心が高まっており、2025年は更なる利用拡大が期待されます。このような、日本経済の変化が今後も続くのであれば、株価の超長期的な上昇トレンドも継続すると考えられます。 (注1)直近値は2025年2月6日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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02/07 10:30
【#AI利用拡大】AI抽出15銘柄/ベイカレント、オービック、ペプチドなど
AIの進化が切り拓く未来のビジネス 近年、生成AIをはじめとするAIの活用が急速に広がっています。デジタル技術の進歩により、多様な分野で実用化が進み、AIは日常生活からビジネスまで幅広く利用されています。今後もAIは進化を続け、さらに多くの産業での応用が期待されています。AI「xenoBrain」は、「世界AI利用拡大」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ※ xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)母集団はTOPIX500採用銘柄。xenoBrainのデータは2025年1月22日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点