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昨日 12:00
【オピニオン】日経平均5万円乗せに向けて「休むも相場」か
※画像はイメージです。 日本の政治が風雲急を告げています。石破首相の辞任表明を受けて2025年10月4日(土)に実施された自民党総裁選では、大方の予想を覆して高市早苗氏が当選し、第29代自民党総裁に就任しました。日本憲政史上初の女性首相の誕生の可能性、高市氏が掲げる財政拡張的な主張や日銀の利上げに消極的なスタンスなどから、為替市場では1米ドル=150円を超えて円安が進行し、株式市場では日経平均株価が史上最高値を更新して一時4万8,000円台半ばまで急伸しました。 しかし、少数与党として野党との政策協調や新たな連立の可能性を模索する中、10月10日(金)引け後に「公明党が連立与党から離脱」とのサプライズニュースが飛び込んできました。さらには同日、トランプ大統領が中国に追加関税を課すことを表明したことで米中対立激化への懸念が再燃、いわゆる「高市トレード」は一旦はしごを外される形となりました。 各種報道によれば、10月21日(火)に臨時国会が召集され、首相指名選挙を実施することが決まった模様です(10月17日前引け時点)。次期首相が誰になるのか、新たな政権与党がどのような形でまとまるのか、予断を許しませんが、少数与党のままではその後の政権運営は困難なものとなるでしょう。株式市場は伝統的に政治の不安定化を嫌います。日本株市場が新たな不安要素を抱えることになるのか、重要な局面を迎えています。 政局の混沌や外部環境が不透明な時こそ、チャート面からの示唆は有用でしょう。下図は、リーマンショック以降の主要な上昇局面と今回のトランプ関税懸念後の上昇局面を比較した指数化チャートです。今回の上昇局面は、ここまで①アベノミクス相場や、③コロナショック後の急上昇局面と似通った動きをしてきたことが分かります。これらのケースに倣えば、この先の上昇余地はさらに大きいと言えそうです。 日経平均株価:過去の主な上昇局面と今回(基準日~500営業日) (注1)直近値は2025年10月16日時点。日数は営業日ベース。(注2)主要な上昇局面は全てを網羅している訳ではない。(注3)起点はそれぞれ以下の安値とした。①当時の野田首相による衆議院解散(2012年11月16日)前の安値、 ②英国の国民投票でEU離脱が多数を占めたブレクジット時の安値、 ③コロナショック時の安値、④2023年3月の東証要請前の安値、今回は2025年4月のトランプ相互関税発表後の安値。(注4)東証要請は、東証が上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営を要請したことを示す。企業ガバナンス改革への期待感が株価を押し上げた。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、安値(基準日)からの上昇期間に着目すると、今回はすでに営業日ベースで100日を超えています。前述の①③の局面では、急騰後のスピード調整を入れたり、上昇ペースが鈍って上値が重い時期に入っています。日経平均は5万円大台乗せを前に一旦足踏みする可能性が示唆されています。政局の行方を見守りながら「休むも相場」でしょうか。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 09:00
【注目トピック】長期的な投資対象として連続増配銘柄も選択肢に
※画像はイメージです。 連続増配企業で構成される「配当貴族指数」 下図は、S&P500配当貴族指数と呼ばれる株価指数と、S&P500指数の推移を、2000年1月3日の値を100とする指数で示したものです。 連続増配企業は長期的には株式市場をアウトパフォームする傾向に (注)データは日次で、直近値は2025年10月10日。価格指数での推移。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 S&P500配当貴族指数とは、S&P500指数を構成する500社の中から過去25年以上、毎年増配を続けている企業を抽出して、算出されている株価指数です。 2000年以降、S&P500配当貴族指数の株価パフォーマンスの方が、S&P500指数を概ね上回って推移していることがみてとれます。 連続増配企業がアウトパフォームする要因は S&P500配当貴族指数が、長期的に元の母集団であるS&P500指数をアウトパフォームする要因としては、以下のように考えられます。 一般的に、企業は内部留保を取り崩せば、配当を増やすことは可能です。しかし、25年以上という長期にわたって企業が毎年増配を続けるには、内部留保の払い出しだけでは困難で、そもそもの配当原資となる、利益の成長が必要になります。 この点を踏まえると、連続増配している企業を選ぶということは、利益が着実に成長している企業を選ぶことになります。S&P500配当貴族指数は、着実に利益が成長している銘柄で構成されているため、母集団であるS&P500指数に対し、パフォーマンスが相対的に良好になる傾向があると推察されます。 連続増配企業は「成長企業」 配当に注目した銘柄選択というと、安定性に注目しているように見受けられるかもしれませんが、上記の観点からは、連続増配銘柄は「成長株」とも言えます。 近年は配当貴族指数がアンダーパフォーム 長期的にはS&P500配当貴族指数はS&P500 指数をアウトパフォームしてきましたが、直近はやや状況が異なります。 近年、超大型の情報技術関連銘柄が株式市場で選好された結果、S&P500配当貴族指数がS&P500指数をアンダーパフォームする場面が見られます。 下図は、S&P500指数とS&P500配当貴族指数に加え、NYSE FANG+(プラス)指数という株価指数の推移を、2019年末の値を100とする指数で推移を示したものです。 NYSE FANG+指数とは、ICE(インターコンチネンタル取引所)が算出している超大型の情報技術関連の10銘柄の株価動向を示す株価指数です。 2020年春から2021年末にかけての期間と、2023年から2024年末にかけての期間、S&P500配当貴族指数はS&P500指数をアンダーパフォームしていたことがみてとれます。 NYSE FANG+(プラス)指数とS&P500配当貴族指数 (注)データは日次で、直近値は2025年10月10日。NYSE FANG+(プラス)指数とは、フェイスブック(2021年10月よりメタ・プラットフォームズに社名変更)、アマゾン・ドットコム、ネットフリックス、グーグル(親会社アルファベット)の頭文字をつないだ「FANG」に、大手情報技術関連6銘柄を加えた10銘柄に等金額投資する株価指数。価格指数の推移。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 近年では大手情報技術銘柄が相場をけん引 NYSE FANG+指数の構成企業は、S&P500指数構成銘柄でもあります。一方、S&P500配当貴族指数には、これら超大型の情報技術銘柄が含まれておりません。 株式市場で超大型の情報技術銘柄が選好された局面においては、NYSE FANG+指数の構成銘柄の株価上昇は、S&P500指数をけん引しました。 一方で、S&P500配当貴族指数にはこれら超大型の情報技術銘柄が含まれていないことから、S&P500配当貴族指数の方は置いていかれる形で、S&P500指数をアンダーパフォームしました。 大手情報技術企業に投資資金が集中 近年、米国株式市場では、NYSE FANG+指数に含まれるような、一部の大手情報技術企業に投資資金が集中していることが指摘されています。 下図は、S&P500指数の時価総額のうち、上位10社が占める比率の推移を示したものです。2020年以降、その比率が歴史的に見て高まったことがみてとれます。 S&P500指数~時価総額上位10社比率 (注)各年末時点における時価総額上位10社の、S&P500指数全体の時価総額に占める比率。直近値は2025年10月10日時点。同一企業が発行する種類株2銘柄がS&P500指数に採用されている場合、その2銘柄を1社として扱っている。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 大手情報技術銘柄への資金集中は続くか 大手情報技術企業に投資資金が集中しているという状態は、今後の株式投資を考える上では、非常に悩ましい点でもあります。 一極集中ともいえる状態となっている背景としては、米国の大手情報技術企業がAIの開発や普及をけん引し、 収益力を伴いながら、今後も業績を拡大していくことが予想されているためと推察されます。 AIは今後、世界的に普及が本格化していくと予想されることから、関連企業の業績は、今後も拡大が予想されます。このため、当面は大手情報技術企業に投資資金が集中した状態が続く可能性は考えられます。 一方で、前述の通り、大手情報技術企業への資金の集中度合は、歴史的にみると異例ともいえる高さにあります。今後、何らかの事象をきっかけに、巻き戻しのようなことが起こる可能性も考えられます。 情報技術に加え連続増配銘柄を選択肢に 以上を踏まえると、引き続き情報技術銘柄を投資の中心に据える場合でも、リスク分散のために連続増配銘柄も投資対象として加えることは有益と考えます。 前述の通り、連続増配企業は利益が着実に成長している点が株式市場で評価され、長期的に株式市場をアウトパフォームする傾向にありました。 しかしながら直近では、大手情報技術銘柄に資金が集中したことで、多くの銘柄の株価は出遅れた状態となっています。 近年続いている、大手情報技術銘柄への一極集中が解消されるような局面では、連続増配企業の株価は従前のように、株式市場をアウトパフォームする傾向に戻ることが期待されます。 連続増配企業の例 S&P500配当貴族指数の構成銘柄は、2025年8月29日時点では69銘柄です。下表は、S&P500配当貴族指数に組み入れられていて、かつ米国を代表する企業30社で構成されるダウ指数の構成銘柄である企業を、事例として列挙しました。 S&P500配当貴族指数に組み入れられているダウ指数構成銘柄の例 (注)FY1は予想1期目。一株当たり予想配当金は、各期の年間一株当たり配当金総額。予想配当利回りは、各期の一株当たり予想配当金を2025年10月10日時点の株価で除したもの。配当予想は2025年10月10日時点のLSEG集計によるアナリスト予想平均で、その後変更となっている可能性には留意。連続増配年数は、直近決算期(FY1が2025年12月期の企業の場合は2024年12月期)までの年数。全てを網羅しているわけではない。2025年10月10日時点のS&P500指数の12ヶ月先予想配当利回り(今後4四半期の予想配当金合計額を基にした配当利回り)は1.19%。(出所)会社資料、LSEGより野村證券投資情報部作成 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト村山 誠 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 07:00
【来週の予定】米国の企業決算、日本の政局、中国の重要指標
前週の金融市場では、米国の2025年7-9月期決算発表、米中関税紛争の再燃、日本では公明党の連立与党離脱と新たな連立の枠組みと言った政局が関心を集めました。今週の米国では幅広い産業で決算発表が予定されていることから、マクロ指標に代わって景気動向を見極めるために材料視されそうです。 各種報道によれば、日本では21日(火)に臨時国会が召集され、首相指名選挙を実施することが決まった模様です。注目点は衆参両院で過半数を占める安定的な連立の枠組みが構築されるか否かという点です。 米国では政府機関の一部閉鎖の影響が続いています。延期されていた9月CPIが24日(金)に発表されますが、通常と比べてデータが欠落しており、割り引いてみる必要があります。また、FRBが10月30日(木)までブラックアウト期間に入っていることもあり、景気動向や金融政策の行方を探るうえでは材料難の週になりそうです。 日本では20日(月)に高田日銀審議委員、21日(火)に氷見野日銀副総裁の講演が予定されています。高田委員は9月の金融政策決定会合で0.75%程度への利上げを主張しました。日本の政局流動化や米中の関税紛争の再燃等をどのように評価するのかを含め、10月会合に向けた政策スタンスが注目されます。 経済指標では22日(水)に9月貿易統計、24日(金)に9月全国CPIと10月S&Pグローバル日本PMI速報値が発表されます。景気の堅調な推移が確認できれば、年内中にも利上げとの市場の見方を後押しする材料になりそうです。 中国では20日(月)に7-9月期実質GDP、9月小売売上高と鉱工業生産、1-9月固定資産投資と不動産投資など、注目度の高い経済指標が発表されます。中国経済には夏場まで駆け込み輸出や財政補助金などの効果が集中的に生じていたとみられることから、9月の指標において反動が確認されるかが注目点です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年10月17日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。なお、米国で2025年10月1日から実施された連邦政府機関の一部閉鎖の影響で、米国の経済指標の一部で発表が延期または中止されるものがありますのでご注意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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10/17 16:32
【野村の夕解説】日経平均は695円安 米国地銀の信用不安が重石(10/17)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 17日の日経平均株価は幅広い銘柄が下落し、3営業日ぶりの反落となりました。16日に明らかとなった米国地銀の信用不安問題を受け、日経平均株価は寄り付きから幅広い銘柄が下落し、反落して始まりました。その後、半導体関連株や防衛関連株の一角が上昇し急速に下げ幅を縮小させる場面もあったものの、午後には一時前日比783円安と、下げが加速する動きとなりました。来週の首相指名選挙の不透明感に加え、外国為替市場では円安米ドル高が進行したことも株価の重石となりました。日経平均株価の終値は前日比695円安の47,582円と3営業日ぶり反落となりました。業種別では、保険や銀行、証券など金融株が下落し、相場の重石となった一方、その他製品や食料、水産などの一部内需株は上昇し、相場を下支えしました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 市場では、米国の2025年7-9月期決算と、米中貿易摩擦に加え、日本の政局が注目されています。日本では本日、自民党と日本維新の会が、連立を視野に入れた2回目の政策協議を行う予定です。また、首相選挙が来週21日(火)に実施される運びとなり、政局への注目が続きます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花 ) ご投資にあたっての注意点
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10/17 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価は高値圏で振れ幅の大きい展開に
※画像はイメージです。※2025年10月16日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 政局・米中懸念で揺れる日経平均の上値・下値メドは 今週の日経平均株価は、米中対立激化への懸念や、自民党と公明党の連立解消による政局の不透明感を受けて、週明け14日は大幅に下落しました。ただ、その後は反発となり14日の下げを取り戻す展開となりました。 チャート分析の視点から振り返ってみましょう。日経平均は高市自民党新総裁誕生後初の取引日となった10月6日にマドを開けて急騰し、9日には48,500円台まで上昇しました。ただ、その後は国内政治不透明感や米中対立激化への懸念から一時的に大幅安となる等、高値圏で不安定な展開となっています。 この先、まずは10月9日につけた史上最高値(図1-①:48,597円)を突破できるか注目されます。同高値を突破した場合は、心理的フシである5万円(図1-②)や、10月9日高値から14日安値までの押し幅の倍返し水準(50,650円)が上値のメドとして挙げられます。 図1:日経平均株価:日足 (注1)直近値は2025年10月16日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、10月9日高値前後で上昇の勢いが衰え、調整に入った場合は、10月14日安値(図2-③46,544円)やこれまで何度も下支えとなっている上向きの25日移動平均線(図2-④:10月16日時点45,881円)前後、10月3~6日のマド埋め水準(図2-⑤:45,778円)で下げ止まるかが注目されます。 図2:日経平均株価:日足 (注1)直近値は2025年10月16日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【特集】アノマリー 日経平均11月~翌年1月の結果は良好、今年はいかに 今週の特集は「日経平均の月別騰落率のアノマリー」です。株式市場には月別の値動きに関する経験則があり、概ね5月~10月はパフォーマンスが振るわず、11月~翌年4月は良好な月が多いとされています。 日経平均株価 月別騰落率 (1949年6月~2025年9月末) (注1)図中の平均は1-12月の月別騰落率の平均値。(注2)順位は平均月別騰落率の上位順。(注3)騰落率がプラスを勝ち、マイナスを負けとしてカウント。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 なぜ11月以降のパフォーマンスが良いのかは明確ではありませんが、考えられる要因としては、3月決算企業が上期を通過し、保守的に立てた業績予想の上方修正がされやすくなる時期に入ることが挙げられます。通期業績に対する期待感が広がりやすいことが上昇要因の一つになっているのかもしれません。また、1月は「新年のご祝儀相場」と呼ばれ、特に1990年以前は個人投資家の買いや新春ムードが相場を押し上げるケースが多く見られました。 特にパフォーマンスが良いのは11月から翌年1月で、10月末~翌年1月末の期間については、戦後の東証再開以降で56勝20敗と勝率は約7割に達します。 今年の日経平均は4月の安値から大幅に上昇しており、月別騰落率のアノマリーが今回も当てはまるかどうかは注意深く見守る必要があります。これまでの急上昇の反動をこなしながら、上昇基調継続となるか注目されます。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ご投資にあたっての注意点
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10/17 08:26
【野村の朝解説】米国株は金融セクター中心に小幅安(10/17)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 16日の米国株式市場では主要3指数が揃って前日比小幅安で引けました。地方銀行2行が不正の疑いがある融資の問題を明らかにしたことを受けた金融株の下落を契機に、これまでの株高に対する調整売りにつながったとみられ、S&P500を構成する11業種中10業種が下落して引けました。米国債には安全資産としての買いが膨らみ、10年国債利回りは4%を明確に下回って引け、年初来の最低水準を更新しました。為替市場でも同様に円、スイスフランが対ドルで上昇しました。植田日銀総裁は記者会見で、「経済・物価見通しが実現する確度が高まれば金融緩和の度合いを調整していく」と述べ、政局が流動化する中でも利上げに向けて変わらぬ姿勢を示しました。 相場の注目点 市場では米国の2025年7-9月期決算、米中貿易戦争の再燃に加え、日本の政局が注目されています。米中間の通商交渉に関しては、米国政府内の見解が一致しておらず、市場のかく乱材料になっています。トランプ大統領は10月31日~11月1日に韓国で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に合わせて、習近平国家主席との会談を模索しており、ベッセント財務長官を中心に中国側との協議が続くと見込まれます。日本では10月21日に臨時国会が召集される予定ですが、現時点で首相選挙の日程は確定していません。16日には自民党と日本維新の会が連立に向けた第1回の協議を行いました。両党が連立政権樹立で合意に達すれば衆議院で231議席(過半数233議席)、参議院で120議席(同125議席)となります。仮に衆参両院で過半数を占める連立政権が樹立されれば、日本の政局に対する不透明感の後退につながるだけではなく、各種政策の実現可能性が高まることから、日本株市場で好感されることが予想されます。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) 注)データは日本時間2025年10月17日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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10/16 16:22
【野村の夕解説】日経平均48,000円台を回復 政局不透明感後退を好感(10/16)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 16日の日経平均株価は、国内の政局を巡る不透明感が後退したとの見方やハイテク関連株の上昇が寄与し、3営業日ぶりに48,000円台を回復しました。15日に自民党の高市総裁と日本維新の会の吉村代表が会談し、首相指名選挙での協力や連立政権の構築に向けて、16日に政策協議を始めることで一致しました。これを受けて日経平均株価は続伸して始まり、中でも高市氏が首相になる可能性が高まったと意識されたことで、防衛や原発関連、核融合関連など同氏の掲げる政策関連セクターが上昇をけん引しました。また、AI投資への拡大期待も継続し、半導体関連株やハイテク関連株の上昇も追い風となりました。14:33に半導体世界大手のTSMCの2025年7-9月期決算が発表され、AI向け先端半導体の好調ぶりが確認されたことも下支えとなり、日経平均株価は前日比605円高の48,277円で取引を終了しました。個別銘柄では、ソフトバンクグループが前日比+8.58%、東京エレクトロンが同+4.05%と上昇し、2銘柄で日経平均株価を500円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 16日、米国ではウォラーFRB理事、バーFRB理事などが講演する予定です。10月28-29日に行われるFOMCを前に、FRB高官は18日から沈黙期間に入るため、発言内容に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 松田 知紗) ご投資にあたっての注意点
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10/16 08:09
【野村の朝解説】好業績の期待から、S&P500は反発(10/16)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 15日の米国株式市場で、主要3指数はまちまちの動きとなりました。半導体製造装置大手や大手銀行が発表した2025年7-9月期決算が市場予想を上回り、企業業績への安心感が広がりました。また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、全体的な経済情勢が前回報告以降大きく変化していないことが示され、FRBが今月末のFOMCで追加利下げを実施するという見方が改めて意識されたことも支えとなりました。一方、FRBのミラン理事は「米中の緊張が再燃したのは深刻な問題」「1週間前よりも(経済の)下振れリスクがある」との考えを示しました。米中貿易摩擦への懸念は引き続き相場の重石になったようです。 相場の注目点 今週の日経平均は、週初に国内政局不安や米中貿易摩擦の悪化懸念を嫌気して急落したものの、昨日は大幅反発するなど乱高下しています。先行きが不透明な局面で日本株が再び高値を更新するには、新たなカタリストが必要でしょう。一方、10月下旬から日本企業の25年7-9月期決算発表が本格化します。日米通商交渉は市場想定よりも早期に、かつ他国よりも低い関税率で合意に至りました。円安・米ドル高の追い風も吹いています。良好な企業業績(実績及び見通し)が確認されれば、日本株の上昇を後押しする材料になると期待されます。 本日は日銀の田村審議委員が金融経済懇談会で挨拶します。田村氏は9月金融政策決定会合で利上げを主張しており、利上げに前向きなコメントをする可能性があります。米国ではウォラーFRB理事、バーFRB理事などが講演する予定です。経済指標では、日本では8月機械受注、8月第3次産業活動指数が発表されます。米国では9月小売売上高や9月生産者物価指数の発表が予定されていますが、政府閉鎖の影響で発表が延期される可能性があります。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) 注)データは日本時間2025年10月16日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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10/15 16:31
【野村の夕解説】日経平均株価は825円高 半導体関連株を中心に反発(10/15)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 15日の日経平均株価は、値がさの半導体関連株の上昇がけん引し、反発となりました。寄り付きは前日比154円高の47,002円で始まり、その後は1日を通して上げ幅を拡大させた値動きが続きました。14日に大きく下落した値がさ株を中心に自律反発のような動きがみられ、幅広い銘柄や業種が上昇しました。その後、アジア株も堅調な推移がみられたほか、14時過ぎにはオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングの決算が発表され、2025年7-9月期の受注額が市場予想を上回り、市場から好感されました。これらを受けて日本の半導体関連株は一段高となり、日経平均株価は前日比927円高となる場面もありました。米ドル円は円高進行となったものの、日経平均株価の終値は前日比825円高の47,672円となり、14日の下げ幅を半分以上戻し取引を終えました。個別株ではソフトバンクグループが前日比+5.10%となり、1銘柄で日経平均株価を215円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 国内では首相指名選挙に向けた与野党の協議が続いています。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党は、本日党首会談を開催する予定しているほか、自民党の高市早苗総裁も野党党首と個別会談すると報じられています。引き続き、政局の不透明さによる市場の不安定化に注意が必要です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点