新着
466件
-
03/12 08:19
【野村の朝解説】貿易摩擦激化懸念で続落(3/12)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 12日の米国株式市場で主要3指数は揃って続落しました。貿易摩擦の激化懸念からNYダウは軟調推移が続き、一時700ドル超下落しました。取引終盤にかけて下げ幅を縮小する場面もありましたが、結局大幅続落となり、2日間で約1,300ドルの下落となりました。米国は12日に鉄鋼・アルミニウム製品への25%の追加関税を発動予定ですが、トランプ大統領がカナダに対しては税率を50%まで引き上げるよう指示したと伝わり、貿易摩擦激化が不安視されました。一方、トランプ大統領がその後、カナダに対する関税引き上げを見直す可能性を示唆したことに加え、ウクライナが30日間の停戦を受け入れる意向を示したことは、リスク心理悪化の一服につながりました。 相場の注目点 野村證券では、米国経済は2025年半ばから26年年初にかけて鈍化し、米国の実質GDP成長率は年率+1.8%程度とみられる潜在成長率を下回ると予想しています。景気後退を回避し、ソフトランディングするという見通しは維持していますが、景気押し上げ寄与が期待される財政政策は議会での審議が必要であり、当面は通商政策が焦点となるなか景気下振れリスクが意識されやすい局面が続きそうです。トランプ大統領の発言や米国の景気後退懸念が引き続き相場の波乱要因となるなか、来週18~19日開催予定のFOMCが注目されます。市場では利下げの織り込みが進み、FRBによる景気下支えに期待が集まりやすい状況となっています。 本日のイベント 米国は12日(水)に鉄鋼・アルミニウム関税の発動を示唆しています。欧州ではラガルドECB総裁の講演が予定されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年3月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
03/11 12:00
【#航空機】AI抽出15銘柄/兼松、伊藤忠、三菱マテリアルなど
ANA、航空機77機を発注 総投資額は約2兆1580億円 ANAホールディングス(9202)は2月25日、新型航空機77機を発注すると発表しました。この発注は同社史上最大規模で、総投資額は約2兆1580億円(カタログ価格ベース)に上ります。ANAは2030年度までに国際線の運航規模を2023年度の1.5倍に拡大する計画を掲げており、これにより競争力を強化し、サービスの向上を図る方針です。AI「xenoBrain」は、「日本航空機需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ※ xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)母集団はTOPIX500採用銘柄。xenoBrainのデータは2025年3月4日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
03/11 09:30
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(3月第1週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2025年3月第1週(2025年2月28日~3月7日) 2025年2月月間(2025年1月31日~2月28日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年3月7日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年3月7日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2025年3月第1週(2025年2月28日~3月7日) 2025年2月月間(2025年1月31日~2月28日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年3月7日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年3月7日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2025年3月7日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
03/11 08:08
【野村の朝解説】ハイテク株主導でナスダック指数が大幅安(3/11)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場では主要3指数が揃って大きく下落しました。ハイテク株安が相場全体の重石となっており、とりわけナスダック指数の下落率の大きさが目立ちました。週末に放送された米テレビの取材で、トランプ大統領が各種政策によって米景気が後退する可能性を明確に否定しなかったことなどが下落の要因とされています。債券市場では、米景気の後退懸念の強まりを受けて債券買いが優勢となり、米10年国債利回りが低下しました。また、為替市場では円が一時1ドル=146円台半ばと、2024年10月以来の円高・ドル安水準を付ける場面がありました。 相場の注目点 トランプ政権の通商政策、米景気減速懸念を背景とした円高などが日本株の重荷となっています。昨晩の米国株は大幅安となっており、本日の東京市場も軟調な展開が予想されます。このように相場の先行きが見通しづらい局面では、成長株への投資でキャピタルゲインを狙うよりも、配当利回りの高い高配当銘柄に着目してインカムゲインを狙うことが有効になることがあります。加えて、3月期決算企業の配当権利付き最終日(3月27日)が近づいていることも高配当銘柄の追い風です。月後半に向けて高配当銘柄には投資資金が流入しやすく、相対的に堅調な株価推移が期待できるかもしれません。 本日のイベント 本日は、寄り付き前に24年10-12月期GDP(2次速報)が発表されます。10-12月期法人企業統計で発表された設備投資の結果を受け、野村證券では実質GDP成長率が下方修正されると予想しています。一方、米国では労働需要を測る指標として、労働省が発表する雇用統計と同様に注目される1月雇用動態調査(JOLTS)が発表されます。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) (注)データは日本時間2025年3月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
03/10 16:21
【野村の夕解説】半導体関連株の上昇に支えられ、日経平均は141円高(3/10)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 6日(木)引け後に発表された米ブロードコムの好決算を受けて、7日(金)の米国株市場で半導体関連株が大幅上昇しました。この流れを引き継ぎ、本日の日本株市場も半導体関連株が相場を押し上げる展開となりました。本日寄り前に発表された1月の毎月勤労統計調査で、パートタイムを除く一般労働者の基本給に相当する所定内給与が前年同月比+3.1%と前月から加速しました。賃金と物価の好循環が続いていくとした日銀の見通しに沿う結果となったことで、早期追加利上げ観測が強まり、新発10年物国債利回りは2008年10月以来、16年5ヶ月ぶりの水準となる1.575%まで上昇しました。国内金利の上昇により、外国為替市場では一時147.0円台へと円高米ドル安が進みました。日経平均株価は円高進行を受けて寄り付き後に前営業日比182円安の36,705円まで下落する場面もありましたが、その後は半導体関連株の上昇が下支えとなって反発し、前営業日比141円高の37,028円で本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 12日(水)に米国で2月の消費者物価指数が発表されます。3月FOMC(18-19日)を前にFRBがブラックアウト(FRB高官が金融政策に関する発言を控える)期間に入っており、結果によっては、金融政策への思惑から市場の反応が大きくなることが予想されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
-
03/10 08:44
【野村の朝解説】半導体株上昇とFRB議長発言で米株反発(3/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 7日の米国株式市場ではNY主要3指数が上昇しました。朝方発表の2月雇用統計が市場予想を下回り、米景気の減速懸念から主要3指数は揃って下落して寄り付きました。FRBのパウエル議長の講演では、トランプ政権の政策が経済に与える影響が明確になるまで利下げを急がないと発言し、従来同様の見解を示しましたが、景気は「良い状態にある」との認識を示したことが好感されました。また、6日引け後発表のブロードコムの2024年11月-25年1月期決算が好調であったことが半導体関連株の下支えとなり、午後にかけて株式相場は反発しました。為替市場では、午前は一時146円94銭と2024年10月以来の円高ドル安となりましたが、その後は1ドル=148円前後で推移しています。 相場の注目点 本日の日本株は、前週末の米国株の上昇が材料視されそうです。また日本では本日1月毎月勤労統計や2月景気ウォッチャー調査の発表が予定されています。トランプ政権の動向に揺さぶられる相場展開が続いていますが、3月14日には米国の財政資金を手当てする「つなぎ予算」の期限、4月2日には「相互関税」の発動を控えるなど、しばらくは不透明感が継続しそうです。株式市場の支えになってきた堅調な米国景気には、足元で消費や雇用に関する統計が下振れするなど減速感が見え始めており、景気悪化への警戒感が相場の上値を抑えています。トランプ政権の関税引き上げが企業のサプライチェーンの混乱やインフレ再燃につながるリスクには注意が必要ですが、米国の実体経済は堅調さを維持しています。また、トランプ政権の政策には減税など景気を押し上げる政策が控えており、市場の警戒にはやや過剰な面があると見ています。また、来週には日米の金融政策決定会合が控えています。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年3月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
03/09 12:00
【銘柄特集】2025年2月IPO銘柄のパフォーマンスと3月IPO銘柄の紹介
2025年2月のIPO銘柄のパフォーマンスと、今後のIPOの予定を紹介します。 2月IPO銘柄のパフォーマンス 2月3日 上場バルコス(7790)市場区分:ネクスト事業内容:バッグ等の皮革商品の販売、WEBメディアの運営等 2月5日 上場技術承継機構(319A)市場区分:グロース事業内容:製造業の譲受、譲受企業の経営支援 2月20日 上場フライヤー(323A)市場区分:グロース事業内容:ビジネス書の要約サービス「flier」・「flier business」の開発・運営 2月21日 上場ブッキングリゾート(324A)市場区分:グロース事業内容:旅行者の予約獲得を目的とした、宿泊施設の集客支援事業及び直営宿泊事業 2月28日 上場TENTIAL(325A)市場区分:グロース事業内容:リカバリーウェア「BAKUNE」をはじめとしたコンディショニングブランド「TENTIAL」の運営 (注1)初値及び直近月末終値が公開価格に対して上回っているものは赤、下回っているものは青で表示。(注2)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注3)全てを網羅しているわけではない。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報を基に野村證券作成 3月IPO銘柄の紹介 3月18日 上場TalentX(330A)市場区分:グロース事業内容:クラウドベースのタレント・アクイジション(人材獲得)ソフトウェア・プラットフォーム「My シリーズ」の開発及び提供、その他関連事業 3月19日 上場メディックス(331A)市場区分:スタンダード事業内容:クリエイティブ設計・制作、データ解析・分析、インターネット広告代理などのデジタルマーケティング支援事業 3月19日 上場JX金属(5016)市場区分:プライム事業内容:半導体材料、情報通信材料の製造及び販売、資源開発、金属の製錬、リサイクル 3月21日 上場ミーク(332A)市場区分:グロース事業内容:モバイルIoT支援事業 3月21日 上場パパネッツ(9388)市場区分:Q-Board事業内容:物件定期巡回サービス等の不動産管理サポート事業、全国ツーマン配送ネットワークサービス等のインテリア・トータルサポート事業 3月24日 上場ミライロ(335A)市場区分:グロース事業内容:①デジタル障害者手帳「ミライロID」の企画、設計、開発、提供 ②ユニバーサルデザインに関する研修、リサーチ&コンサルティング ③手話通訳派遣、遠隔通訳など情報保障及び手話講座の提供 3月25日 上場ビジュアル・プロセッシング・ジャパン(334A)市場区分:グロース事業内容:DAM(デジタル資産管理)を中核に、企業の事業活動における媒体(WEB、EC、SNS、カタログ、映像、出版)そしてコンテンツの制作・管理・配信を支援するDX事業 3月27日 上場ダイナミックマッププラットフォーム(336A)市場区分:グロース事業内容:自動運転・先進運転支援システム等に利用される高精度3次元地図データ(HDマップ)の生成・販売及び、HDマップ関連技術を用いた(自動運転以外の)多用途での高精度位置情報・ソリューションの提供 3月27日 上場ZenmuTech(338A)市場区分:グロース事業内容:暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティソリューションおよび秘密計算ソリューションの開発・販売 3月28日 上場プログレス・テクノロジーズ グループ(339A)市場区分:グロース事業内容:大手製造業向けデジタルソリューション・デジタルエンジニアリングサービスの提供 3月28日 上場トヨコー(341A)市場区分:グロース事業内容:3層の樹脂をスプレーコーティングして強靭な屋根に蘇らせる「SOSEI」の施工及び老朽化したインフラのサビや塗膜等をレーザーで除去する「CoolLaser」の製造・販売 3月31日 上場ジグザグ(340A)市場区分:グロース事業内容:海外カスタマー向け購入支援サービス「WorldShopping」及び国内ECサイト向け越境EC支援サービス「WorldShoppingBIZ」の提供 (注1)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注2)全てを網羅しているわけではない。(注3)新規IPO銘柄は、前月末時点での予定。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報をもとに野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
03/09 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅣ:第2回 かいり率(1) 移動平均線との放れ具合を見る
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、もっとも代表的なオシレーター系指標である、移動平均線からのかいり率について説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
-
03/08 12:00
【注目トピック】社会の変化×消費の新化
※画像はイメージです。 賃金と物価の好循環による社会の変化と新たな消費構造 日本は人口減少局面に突入 日本の総人口は今後、減少ペースが加速すると予想されます。戦後の高度経済成長期には、医療の進歩や生活水準の向上、戦後のベビーブームによる出生率の上昇などを受けて人口が急増したものの、1990年代以降は出生率の低下や晩婚化、女性の社会進出で人口減少局面に入りました。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の総人口は2070年には8,700万人になるとしています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)2020年までの人口は総務省「国勢調査」「人口推計」、2025年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(出生中位(死亡中位)推計)。(出所)総務省、国立社会保障・人口問題研究所、厚生労働省より野村證券投資情報部作成 各種資産の価値が上昇している 日本では、長期的な時間軸でみて人口減少への転換による総需要の減少が根底にあり、長きにわたるデフレ傾向から経済成長の低迷が続きました。この間、日銀の低金利政策が重なり、金利や資産からのリターンは、低い状態が継続していました。しかし、賃金と物価の好循環を背景として、日本国内の金利は、コロナ禍が一巡した2022年頃より上昇に転じています。近年のマンション価格の高騰や、2024年に日経平均株価が約34年ぶりに過去最高値を更新するなど、金利上昇とともに、各種資産の価値も上昇し始めています。 マンション発売価格上昇ペースが加速 金利や株価の上昇は、金融資産だけでなく不動産価格や人々の消費行動にも影響しています。金融資産や土地などの資産価格が上昇(下落)すると、家計が自らの消費を増加(減少)させる「資産効果」が起こります。首都圏のマンション市場動向をみると、2010年代半ば以降、マンション需要の増加や資材高などの影響を受け、坪当たり発売価格は上昇傾向が鮮明になってきました。所得や資産価値の上昇による家計の消費意欲の高まりや、将来の資産価値上昇を見込むマンション需要などから、首都圏で百貨店の高額消費が増え、巡り巡ってマンション価格も上昇が起きているとみられます。 (注)データは月次で、直近値は2024年10月。年率中古契約戸数のデータは、2001年3月から。(出所)不動産経済研究所、公益財団法人 東日本不動産流通機構より野村證券投資情報部作成 富裕層の構造が多様化 資産効果に加えてパワーカップルと呼ばれる、共働きで高収入の夫婦や、パワーシングルと呼ばれる、高所得を得ている独身者の影響も大きくなっています。女性の社会進出が大きな要因です。 これまでの日本における富裕層は、一般的に年齢が高い層が多いとされてきました。しかし、近年の社会構造や経済の変化により、富裕層の構造が多様化しています。 女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合)は、結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描くことが知られています。しかし近年では、「男女雇用機会均等法」や「女性活躍推進法」などの施策もあり、M字の谷の部分が浅くなっています。 (出所)総務省より野村證券投資情報部作成 また、民間企業の階級別女性比率の推移では、女性の役職者の割合が、年々増加しています。 (注)民間企業の階級別女性比率の推移のカッコ内の数値は、2025年の政府目標。直近値は2023年。(出所)厚生労働省より野村證券投資情報部作成 百貨店の稼ぐ力が高まる 家計が保有する金融資産や不動産の価値上昇に伴う資産効果に加え、女性の社会進出によって増加するパワーカップルやパワーシングルの影響で、富裕層が増加しています。この結果、高額商品を扱う百貨店の売上が好調です。 日本百貨店協会によると、店舗の統廃合が進んだことで、百貨店の売り場面積は2014年からの10年間で2割以上縮小しています。しかし、その一方で、店舗面積1㎡当たりの売上高は足元で増加しています。2024年1-10月時点の店舗当たり売上高は1㎡当たり約122万円と、コロナ禍前の2019年の約109万円を超え、2008年以降で過去最高となっています。 (注)データは年次で、実績値は2023年。2024年の百貨店売上高は、2024年1-10月の累計の売上高を単純平均し年額に換算している。売り場面積は、2023年までは各年末時点、2024年は10月末時点のものを使用している。(出所)一般社団法人 日本百貨店協会より野村證券投資情報部作成 国内富裕層や外国人旅行者からの消費意欲を積極的に取り込むなどして、売り場面積を縮小しつつも、百貨店の稼ぐ力は高まっています。円安を背景とした免税売り上げや、足元の賃上げ、株高による資産効果を受けた消費意欲の高まりによる販売拡大により、百貨店の稼ぐ力が高まっています。 (野村證券投資情報部 寺田 絢子) ご投資にあたっての注意点