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18分前

【投資と税金】生前贈与に関する留意点

皆さんの中には、親から子に贈与で資産を渡している、またはその準備をしている方も少なくないのではないでしょうか。生前贈与は、早めに計画的に始めることで相続税の負担を軽減できるといわれます。今回は、生前贈与について、大手町トラストの税理士に伺いました。 (注)画像はイメージです。 はじめに 贈与税は、個人から贈与により財産を取得した個人に対して、その財産の取得の時における時価を課税価格として課される税金です。その課税方法として「暦年課税」と「相続時精算課税」があり、一定の要件に該当する場合に相続時精算課税を選択することができます。 令和5年度税制改正において、暦年課税による生前贈与の加算対象期間が見直され、相続時精算課税に係る基礎控除の創設が行われました。そこで、今回は、生前贈与に関する基本的な事項と留意点について説明します。 暦年課税と相続時精算課税の比較 ※2027年1月1日以後に開始する相続等について加算期間が順次延⾧され、7年以内となるのは2031年1月1日以後開始分から。 「暦年課税」の基礎控除を活用した生前贈与 相続対策の一つに、子どもや孫に対する生前贈与があります。贈与税には受贈者において年間110万円の基礎控除額が認められており、その範囲内であれば贈与税負担ゼロで財産を移転することができます。 下記のケースでは、生前にコツコツと贈与することで、将来の相続税額が300万円分軽減されます。 【相続人が子ども2人(配偶者なし)、純財産(財産-債務)が1億円の場合の計算例】 ケース1:生前贈与を行わなかった場合ケース2:子ども2人に年間100万円ずつ10年間、合計2,000万円を現金贈与した場合  ※ 贈与時から相続発生時まで評価額の変動はないものとします。 ※ 生前贈与加算、贈与税額控除は考慮していません。 ※ 相続時精算課税制度は選択していないものとします。 暦年贈与の場合には、相続開始前7年(※1)以内に生前贈与がある場合には、110万円の基礎控除額以下の生前贈与でも、相続財産に加算することになります(※2)。  ※1 2024年1月1日以後の贈与から暦年課税贈与の加算期間は3年から7年に順次延長されます。 ※2 3年から7年に延長された4年間に暦年課税により取得した生前贈与については、総額100万円まで加算されません。 生前贈与に関する留意点 生前贈与の代表例の暦年贈与ですが、適正に贈与を実行しないと「名義預金(相続財産)」や「定期贈与」として扱われ、課税上不利になります。 「名義預金」とは、名義人と実質的な所有者が異なることをいい、名義財産と認定されると贈与者の財産として扱われます。 「定期贈与」とは、例えば、今後毎年100万円を10年間にわたり贈与することを事前に取り決めて贈与することをいいます。定期贈与に認定されてしまうと、1回の贈与契約で10年間毎年100万円を贈与するという契約内容として、贈与金額の総額1,000万円に対して、初年度に贈与税が課税されます。 また、贈与は、諾成契約(当事者の合意だけで成立する契約)であるため、口頭でも成立しますが、書面によらない場合は、贈与であることを証明することが難しいため、以下の点に注意する必要があります。 (1)贈与の都度、贈与契約書を作成し、贈与者と受贈者の間で贈与の事実があった証拠を保存するようにしておく。(2)振込により証拠を記録する(通帳間の移動でお金の動きを追うことができるようにする)。(3)受贈者が通帳や印鑑を管理し、受贈者が自由に資金を使える状態にしておき贈与者は関与しない。 「相続時精算課税」の基礎控除を活用した生前贈与 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の贈与について、相続時精算課税制度に新たに110万円の基礎控除が創設されました。 相続時精算課税を選択した場合には、特定贈与者からの生前贈与のうち、相続時精算課税の基礎控除額を適用した部分については、相続財産に加算されません。 相続時精算課税のイメージ なお、この制度は贈与者ごとに選択できますが、一度選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできませんので注意が必要です。 むすびに 以上のように、生前贈与は相続税の節税にも役立ちますが、適正に実施しないと思わぬ税負担が生じます。また、住宅、教育、結婚、子育てのための贈与税の特例を利用することもできます。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この情報は、ご覧いただいたお客様限りでご利用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点

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