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10/04 12:00
【注目トピック】資産バブル 生成と崩壊の物語~過度な楽観論を避け、分散投資を~
※画像はイメージです。 FRBは再び利下げ局面へ 米国では2025年7月、8月の雇用統計が雇用増加ペースの大幅な鈍化を示したことから、FRBは利下げを再開しました。ただし、現時点では、米国の景気後退が懸念されている訳ではありません。米国株式市場では主要3指数がそろって史上最高値を更新しています。このため、今回の利下げ局面は予防的利下げの色彩が色濃いものになると予想されます(図表参照)。 図表:米国の政策金利とS&P500株価指数の騰落率 (注)データは月次で、直近値は2025年9月。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の上限。□は予防的利下げとみなすことができる局面で、背景にあったイベントとして①はメキシコ通貨危機(テキーラショック)、②はヘッジファンドのLTCM破綻、➂は米中貿易摩擦の先鋭化と米国株の急落が挙げられる。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 一方、トランプ大統領はFRB内の人事に積極的に関与し、FRBに対する利下げ圧力を高めています。景気が底堅く推移する中でFRBが大幅な金融緩和を講じれば、いずれは資産バブルにつながる可能性があります。本稿では、過去の経験に基づいて、資産バブルとは何なのか、どのように誕生するのかに加え、資産バブルに対する心構えを確認したいと思います。 バブルの定義とは? 有名な相場の格言の一つに「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」というものがあります。これは「逆張り投資」で名を馳せたジョン・テンプルトン氏の言葉ですが、資産バブルの生成から崩壊までの過程を言い表したものと解釈することができます。 何をもってバブルと呼ぶのか、バブルの定義は必ずしも明確ではありません。かつては、「資産価格が長期かつ大幅に上昇し、信用膨張や財務レバレッジの拡大を伴いながら景気が過熱する現象」をバブルと呼んでいました。最近では、期間の長短や景気過熱の有無にかかわらず、特定の資産価格の急上昇と急落を含めてバブルと呼ばれることが多いようです。この点を踏まえると、バブルとは「持続不可能なペースでの資産価格の急上昇」と定義できそうです。 過度な金融緩和はバブル発生の必要条件 バブル発生の要件として、一般的に「過度な金融緩和」が挙げられます。1980年代初頭の米国では、インフレを抑制するためにボルカーFRB議長(当時)の下で強力な金融引き締め(利上げ)が行われました。その後の展開をたどってみると、政策金利がピークアウトし、利下げが継続した後にバブル(ブーム)が発生し、利上げに伴ってバブルが崩壊するパターンを繰り返したどってきたことが分かります(図表参照)。このため、過度な金融緩和はバブル発生の必要条件であると考えられています。 図表:1980年代以降の資産バブルの系譜 (注)資産バブル発生時期はおおよその目安。日本(1986~1991年)、新興国(中南米:1992~1994年、東南アジア:1993~1997年)、ITバブル(1999~2000年)、住宅バブル(2003~2006年)、資源バブル(2004~2008年)、中国株バブル(2014~2015年)。政策金利は米国がFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の上限。日本は主要政策金利で1998年9月以前は公定歩合、その後は無担保コール翌日物金利、ただし2016年2月~24年2月は政策金利残高適用金利。データは月次で直近値は2025年9月。(出所)FRB、日本銀行、LSEGより野村證券投資情報部作成 バブル生成と崩壊の背景は… 問題は、バブルの発生はいつでも同じ資産や市場ではなく、発生するたびに異なる市場で生じている点でしょう。つまり、「このような金融緩和を続ければバブルが生じるのではないか」との疑問は沸くものの、では「どこでバブルが生じるのか」、あるいは「既に生じているのか」を特定するのは困難であると言えます。実際、日本では2013年の黒田日銀総裁(当時)の就任後、長期間にわたって異例の金融緩和策が講じられてきましたが、バブルと呼べるような特定の資産価格の上昇は見受けられませんでした。近年の日本の経験は、金融緩和はバブルが発生する必要条件ではあっても、十分条件とは言えないことを示唆しています。 この点に関して2013年にノーベル経済学賞を受賞し、米国でのITバブル崩壊や住宅バブルの発生を事前に予測してきたとして名を馳せた米エール大学のロバート・シラー教授は、バブルの発生・崩壊の過程では「ナラティブ(物語)」が作用していると指摘しています。例えば、「新しい時代が到来する」といった物語が流布し、経済を刺激、株価を押し上げ、「何らかのショックによって物語の力が失われ、バブルが崩壊する」としています。 振り返ってみると、1980年代に発生した日本のバブルでは、「国土が狭小な日本では土地の価格は値下がりしない」と言う「土地神話」が、まん延していたことが知られています。地価の上昇を前提に、土地を担保に財務レバレッジを拡大することが常態化していきました。 同じく、1990年代後半から2000年代初頭のITバブル時には「ニューエコノミー論」が興隆し、情報が瞬時に共有される社会では「在庫循環に基づく景気循環はなくなる」といった言説や「商社不要論」など、今から振り返れば突飛な見解が飛び交っていました。 いずれも、「物語」に基づき、過剰な値上がり期待や過剰な成長期待が、いわゆる『ユーフォリア』とも呼ばれるような状況を生み出したと言えます。これらの経験に基づけば、シラー教授の主張には一定の説得力があります。 バブルに対する心構え 資産価格の上昇が合理的な収益期待等に裏付けされた持続可能なものなのか、ユーフォリアに侵された持続不可能なバブルなのかを見極めることは容易ではありません。なにより、資産価格の上昇が最初からバブルとして生じる訳ではないと考えられます。 1987年から2006年までFRB議長を務め、その手腕から「マエストロ(名指揮者)」と呼ばれたグリーンスパンFRB議長(当時)が「バブルは、はじけて初めてバブルとわかる」と発言したことは有名です。 17世紀のオランダではチューリップの球根が、明治時代の日本ではウサギがバブルとなったように、どのような資産でバブルが生じるかを事前に予想することも困難を極めるようです。 海千山千の市場参加者の中には「バブルが一番儲かる」と、そう述べる方もいます。また、「FOMO(Fear Of Missing Out:取り残されることへの恐怖)」といった言葉に代表されるように、バブルは自己増殖的に拡大していく面があります。 このような点を踏まえると、積極的に資産運用を行っている投資家がバブルと無縁でいることは、むしろ難しいのかもしれません。それでもなおバブル崩壊による深刻な影響を回避するためには、資産価格の上昇や市場のナラティブ(物語)が数字によって合理的に説明可能かを常に点検する、過度な楽観論には与しない、多様な資産に分散投資する、といった心構えが肝要と言えそうです。 図表:S&P500株価指数・PER(株価収益率)とEPS(1株当たり利益) (注1)年度は1-12月期。株価は日次で、直近値は2025年9月15日時点。2025年度以降の予想EPSは2025年9月12日時点のLSEGによる市場予想。(注2)破線は、向こう1年の予想EPSに、表示の株価収益率(15倍、17.5倍、20倍)を掛けて算出した株価指数値。 (出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト尾畑 秀一 1997年に野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。入社後、一貫してエコノミストとして日本、米国、欧州のマクロ経済や国際資本フローの調査・分析に従事、6年間にわたり為替市場分析にも携わった。これらの経験を活かし、国内外の景気動向や政策分析、国際資本フローを踏まえ、グローバルな投資戦略に関する情報を発信している。 ご投資にあたっての注意点
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10/04 09:00
【オピニオン】日銀利上げ「いつから」よりも「どこまで」が重要
※画像はイメージです。 日本銀行は2025年9月18~19日に金融政策決定会合を開催し、事前予想通り政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%程度で据え置くことを決定しました。日銀による政策金利据え置きは5会合連続となります。今回の決定に対しては、高田委員、田村委員が0.75%程度への利上げを提案し、反対しました。 また、日銀は保有するETF(上場投資信託)とJ-REIT(不動産投資信託)を、市場価格で売却することを決定しました。売却開始時期は「所要の準備が整い次第」という事で、現時点では未定です。 これらの結果を受けて市場では、「従来以上に日銀が利上げに対して前向きになっているのではないか」との見方が高まっています。先物金利に織り込まれた次回10月会合での利上げ確率を見ると、9月会合前には3割程度であったものが、足元(9月30日時点)では7割弱まで上昇し、26年1月会合までの利上げがほぼ織り込まれています。 9月会合で利上げの必要性を主張した高田、田村両委員はその根拠として「物価の上振れリスク」が高まっている点を挙げています。9月30日に公表された同会合の「主な意見」を確認すると、利上げの必要性に関して言及した委員は少なくとも4名おり、日銀内で利上げに向けた機運が高まっている様子が確認できます。 日銀内での利上げ機運の高まりに反応する形で、日本の10年国債利回りは1.6%台半ばまで上昇し、年初来のピーク水準を更新しました。日本の長期金利にどの程度の上振れ余地があるかを考える上で、次回利上げのタイミング以上に重要なのが、今回の利上げ局面におけるターミナルレート(政策金利の着地点)です。つまり、「いつから」ではなく「どこまで」を見極める必要があります。 下の図表はターミナルレートの代理変数として2年先1ヶ月物の先物金利を用いて、10年国債利回りとの関係を見たものです。市場では1.2%程度への利上げが織り込まれる中で、10年国債利回りが1.6%台まで上昇している様子が確認できます。両者の関係(金利差)が大きく変化しないと仮定すれば、政策金利が1.25%程度まで引き上げられれば、10年国債利回りは1.6%半ばから1.7%程度まで上昇する可能性があると読み解けます。 市場の利上げ観測と日本10年国債利回りの推移 (注)データは日次で、直近値は2025年9月29日。円スワップ金利は2年先1ヶ月先物金利で市場の政策金利見通しを示唆するものとして注目度の高い利回り。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 現在、日銀は景気に対して緩和的でも引き締め的でもない中立金利に向けて利上げを検討しています。日銀は中立金利を1.0~2.5%程度と相当幅広に想定していると見受けられることから、市場では当面の間、長期金利の上限を模索する展開が続きそうです。 ご投資にあたっての注意点
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10/04 07:00
【来週の予定】米国政府閉鎖の行方とFRB高官発言、植田総裁発言
米国では2025年9月末までに2025/26年度予算が成立せず、10月1日から政府閉鎖が実行されました。このため、経済指標の発表が延期・中止される事態になっています。短期間で収束すれば景気への影響は軽微にとどまる一方、長期化すれば企業・消費者センチメントの悪化も相まって、景気への悪影響が顕在化するとみられます。前週末のマーケットでは政府閉鎖に伴う公務員の大量解雇は民主党の造反を促す交渉材料との見方が広がり、市場は静観の構えを示しました。 米国では今週も多くのFRB高官の講演が予定されています。経済指標の発表延期が政策判断にどのような影響を与えるのか、各高官の発言が注目されます。 日本に関しては、政治面では自民党総裁選後の与野党協議の行方が注目されます。金融政策面での注目点としては、6日(月)の日銀支店長会議が挙げられます。10月の金融政策決定会合はライブ(政策変更もあり得る)だとの見方が高まっているうえ、直近の日銀短観(9月調査)は大企業製造業の景況感が2四半期連続で改善する結果になりました。地方の景気動向を踏まえた上で、植田総裁の発言が注目されます。経済指標では8日(水)の8月毎月勤労統計、9月景気ウォッチャー調査と今後の景気動向を見極める上で注目度の高い指標が発表されます。 欧州では6日(月)にユーロ圏の8月小売売上高、7日(火)にドイツの8月製造業受注が発表されるうえ、9日(木)には9月ECB政策理事会の議事録が発表されます。ECBは25年6月の利下げを最後に政策金利を据え置いています。先物金利を見ると、市場では26年半ばにかけて金利据え置きを予想しています。ドイツの製造業受注統計は国内およびユーロ圏内外からの財別の受注動向を把握することができます。トランプ関税が、ドイツおよびユーロ圏の消費、設備投資に与える影響を探るうえで重要な手掛かりとなることから、注目されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年10月3日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。なお、米国で2025年10月1日から実施された連邦政府機関の一部閉鎖の影響で、米国の経済指標の一部で発表が延期・または中止されるものがありますのでご注意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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10/03 16:00
【野村の夕解説】日経平均は最高値更新 AI関連株高を受け832円高(10/3)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 3日の日経平均株価は、AI関連株の上昇や円安が追い風となり、大幅に上昇し最高値を更新しました。2日の米国ハイテク株高を受け、本日の日経平均株価は前日比105円高の45,042円と続伸し始まり、その後1日を通し上昇基調の値動きが続きました。午前中に植田日銀総裁が、今後の金融政策について「予断を持たずに適切に政策を判断していく」旨の発言を行いました。この発言が追加利上げを示唆するものではないと受け止められたことで、外国為替市場では米ドル高円安が進行し株高の追い風となり、株価は一時前日比841円高となりました。値がさの半導体関連株のほか、業種別では、電気機器のほかに、電力会社を含む電気・ガス業や、繊維製品など、AI・データセンター関連銘柄を含む業種が上昇し、相場をけん引しました。終値は前日比832円高の45,769円と、最高値更新となりました。 個別株では、日立製作所の終値が前日比+10.25%となりました。ChatGPTを運営するOpenAI社と戦略的パートナシップを締結したことを受け、業績の拡大が期待されています。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日は9月の米雇用統計が公表予定でしたが、米政府機関の一部が閉鎖されており、今後の公表予定は流動的となっています。そのほか、9月ISM非製造業景気指数の公表が予定されています。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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10/03 12:00
【今週のチャート分析】調整後反発を狙う日経平均とトランプ政権がもたらす米株動向
※画像はイメージです。※2025年10月2日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均9月高値形成後に押しも、25日線で踏みとどまり反発へ 今週(9月29日~)の日経平均株価は、配当権利落ちによって約300円程度下押しされたことや、為替が円高・ドル安方向への動きとなったことから下落し、一時44,357円をつけました。 チャート分析の視点から振り返ってみましょう。9月9日に8月19日高値(43,876円)を超えて、9月16日の取引時間中に心理的フシの45,000円を突破しました。ただ、19日に45,852円まで上伸した後は、押しを入れる展開となっています。 この先、今年6月以降何度も下支えとなっている上向きの25日移動平均線(図1-①:10月2日時点44,077円)前後で下げ止まるかが注目されます。ただし、今年4月の安値から9月高値まで約半年で約1万5千円(取引時間中ベース)の急上昇となっているため、先行きはこの25日線を割り込む調整が起こる可能性にも注意が必要です。その場合のさらなる下値メドとして、9月1日安値(図1-②:41,835円)や75日線(図1-③:同41,767円)の水準が挙げられます。 図1:日経平均株価:日足 (注1)直近値は2025年10月2日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で調整一巡後に反発となれば、まずは9月19日高値(図2-④:45,852円)を更新することができるかが、注目点です。 図2:日経平均株価:日足 (注1)直近値は2025年10月2日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【特集】NYダウ:トランプ1.0と2.0の市場反応の違いは? あと1ヶ月で、トランプ大統領の当選から1年が経ちます。そこで今週の特集ではトランプ1期目と2期目の株価動向を振り返りたいと思います。 トランプ2期目は、関税が景気の下押し要因となり、減税が遅れた影響で株価は2025年4月まで下落しました。その後、関税リスクへの懸念が和らぎ、7月の大型減税法案成立や9月のFRB(連邦準備理事会)の利下げ再開を受けて株価は回復し、史上最高値を更新しました。しかし前回1期目と今回を比べると上昇ペースは依然出遅れています。 トランプ前政権時代と今回のNYダウの推移(大統領選挙投票日前日=100) (注)灰色グラフの表示期間はトランプ1.0の投票日前日2016/11/7~2020年末。赤色グラフはトランプ2.0の投票日前日2024/11/4~2025/9/30(直近値)。(出所)ブルームバーグ、各種資料より野村證券投資情報部作成 政権はFRB人事を通じて利下げ圧力を強めています。トランプ寄りとされるミラン新理事が2025年9月に就任し、直後のFOMCで大幅利下げを主張しました。尚、パウエル議長のFRB議長としての任期は2026年5月に満了となります。FRB議長は理事の中から大統領が指名し、上院の承認を経て就任します。利下げ継続の可能性を考える上で、今後の人事に注目が集まります。 加えて、AIや暗号資産分野での規制緩和の進展も市場にとって重要です。 2026年の中間選挙を控え、トランプ政権はこれまで以上に経済重視の政策運営を進める可能性が高いといえ、政策・人事・規制動向に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ご投資にあたっての注意点
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10/03 08:05
【野村の朝解説】米政府閉鎖継続もS&P500は最高値更新(10/3)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 2日の米国株式市場では主要3指数はそろって続伸し、ナスダック総合とS&P500は史上最高値を更新、NYダウも終値ベースでの最高値を更新しました。米国では連邦政府予算が失効しており、1日から政府機関の一部が閉鎖される状況が継続していますが、株式市場への悪影響は限定的でした。 バークシャー・ハサウェイによるオキシデンタル・ペトロリアムの化学部門買収など、M&A活動が好感され、S&P500の11業種では素材株が上昇を牽引したほか、情報技術株やコミュニケーション・サービス株も上昇し、また、中小型株指数のラッセル2000も堅調でした。一方で、原油価格の下落を受け、エネルギー株は軟調でした。 相場の注目点 米国では1日からの政府機関の一部閉鎖により、一部の経済指標の発表が延期されるとみられます。本来は3日に発表される予定の9月雇用統計については、現時点では米労働省のウェブサイトの更新が停止されており、発表は来週以降になる可能性が高いと考えられます。政府機関の一部閉鎖は過去にも起こっており、2018年12月22日から2019年1月25日の閉鎖の際にS&P500は閉鎖前の1週間に7.1%下落した一方で、閉鎖中は10.3%上昇しました。株式市場は政府閉鎖を一時的なイベントとして捉えているとみられます。また、経済統計の発表は遅れるものの、現状では裁判所や連邦住宅局、郵便、交通機関などに影響が及んでおらず実体経済への影響は限定的とみられることも一因と考えられます。 政府機関以外が発表する経済指標では本日、9月ISM非製造業景況感指数の発表が予定されています。市場予想は8月と同水準の52.0で、景気拡大・縮小の分水嶺である50を超えた推移となるとみられています。 (野村證券 投資情報部 竹綱 宏行) 注)データは日本時間2025年10月3日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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10/02 16:17
【野村の夕解説】日経平均は5営業日ぶり反発 半導体関連株がけん引(10/2)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 2日の日経平均株価は、米国の半導体関連株の上昇を受け、終日堅調な推移となりました。1日の米主要3指数は、米国の追加利下げ期待が高まり揃って続伸となりました。これを受け日経平均株価は前日比185円高の44,736円で始まり、一時前日比575円高となりました。値がさの半導体関連株や、業種別では医薬品のほか非鉄金属が上昇し相場をけん引しました。その後は上値の重い値動きが続きましたが、後場に入ると押し目買いのような動きも見られ、終値は前日比385円高の44,936円となり、5営業日ぶりの反発となりました。一方、東証プライム市場の値下がり数は6割以上となり、TOPIXの終値は前日比7.34ポイント安の3,087ポイントとなりました。個別銘柄では、ソフトバンクグループと東京エレクトロン、アドバンテストの終値がそれぞれ前日比+5.78%、同+7.88%、同+2.52%となり、3銘柄で日経平均株価を約518円押し上げました。また、半導体メモリーを手掛けるキオクシアホールディングスは一時ストップ高となり、終値は前日比+14.98%と上場来高値を更新しました。1日にエヌビディアが、AI向けのデータセンター用半導体メモリーを調達すると発表したことで、業績の拡大が期待できるとの見方が広がったことが背景とみられます。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日銀の内田副総裁が講演を行います。追加利上げのタイミングに関する示唆があるか注目です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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10/02 08:03
【野村の朝解説】利下げ観測を支えに、S&P500は最高値(10/2)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 1日の米国株式市場で主要3指数はそろって続伸し、NYダウとS&P500指数は過去最高値を更新しました。米9月ADP全米雇用レポートで、民間雇用者数が前月から増加するとの市場予想に反して減少したほか、米9月ISM製造業PMIが7ヶ月連続で好不況の境目とされる50を下回ったことを受け、10月FOMCでの追加利下げ観測が高まったことが相場を支えました。一方、米連邦政府予算が失効し、1日から政府機関の一部が閉鎖されましたが、現時点では閉鎖期間は短期間にとどまり、経済への影響はそれほど大きくないとの見方が強く、株式相場への影響は限定的でした。 相場の注目点 事実上、次の日本の首相を決める自民党総裁選(10月4日(土))が迫っています。各社の世論調査によると、小泉農林水産相と高市前経済安全保障担当相が支持率で上位にある一方、林官房長官が支持を伸ばしているとの報道もあります。いずれの候補が勝利するかは依然として予断を許しませんが、新政権が実施する経済政策によっては、日本株の先行きにとって追い風となる可能性が考えられます。本日の東京株式市場は、昨晩の米国株高に日経平均が前日まで4日続落していた反動なども加わり、堅調なスタートが予想されます。ただし、週末に自民党総裁選という一大イベントを控えており、買い一巡後は投資家が様子見姿勢を強める可能性もあります。 本日は日銀の内田副総裁が全国証券大会で挨拶をします。10月金融政策決定会合での利上げ観測が浮上する中、幹部のコメントに注目が集まっています。一方、米国ではダラス連銀のローガン総裁が講演します。また、週間新規失業保険申請件数(9月27日の週)が発表される予定ですが、政府閉鎖の影響で延期される可能性があります。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) 注)データは日本時間2025年10月2日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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10/01 16:18
【野村の夕解説】日経平均株価は4日続落 米政府機関閉鎖で全面安(10/1)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 1日の日経平均株価は、米国の連邦政府機関の閉鎖を背景に投資家心理が悪化し、終日軟調に推移しました。寄り前に9月調査の日銀短観が発表され、大企業製造業の景況感は2四半期連続で改善しました。トランプ米政権の関税政策を巡る日米合意など、不透明感の後退が企業の景況感に影響した可能性があり、市場で高まっていた日銀の早期利上げ観測は維持されました。日経平均株価は、前日比100円安の44,831円と続落して始まり、その後下げ幅を徐々に拡大させ、一時同575円安まで下落しました。外国為替市場では、日銀の早期利上げ観測を背景に円高ドル安が進行していましたが、それに加えて、米国で懸念されていた「つなぎ予算」が日本時間13:00までに成立せず、米政府機関の一部が閉鎖されると伝わったことも円高に拍車をかけ、株式相場の重石となりました。東証プライム市場では値下がり銘柄数が全体の約9割を占める全面安となり、東証33業種分類では、医薬品とその他製品の2業種のみ上昇し、31業種が下落しました。中でも銀行・証券など金融セクターや不動産セクターの下落が目立ちました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、1日に9月ADP全米雇用レポートが発表されます。米連邦政府機関閉鎖に伴い3日に予定されている9月雇用統計の発表を延期する可能性があるため、先んじて発表される同指標に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 松田 知紗) ご投資にあたっての注意点