テーマ銘柄
873件
-
10/15 09:00
【業界展望】業績安定性と成長性を兼ね備える総合電機
事業ポートフォリオ改革が進む 電機業界を取り巻く事業環境が大きく変化している。インフレ傾向による消費低迷、サプライチェーンの混乱、地政学リスクの高まり、マクロ景気の先行き不透明感の増大がみられる。とはいえ、総合電機や日系半導体各社の業績は比較的安定している。主要8社の営業利益は2023年度に前期比1%増益の2兆2,990億円を予想する。事業ポートフォリオの再構築が進み業績変動の大きい事業が減り、需要の強い分野のウエイトが高まっているためである。 00年からの10年間はIT バブル崩壊やリーマンショックまで総合電機の国際競争力が低下した時代だった。不採算事業や低収益事業から撤退し、自社の強みが生かせる分野に経営資源を集中させた。再編が進むと同時に収益力の強化と安定化が進んだ。 事業ポートフォリオを大きく入れ替えた代表例として日立製作所が挙げられる。かつて20社以上あった上場子会社は22年度にゼロとなり、日立Astemoも23年中に非連結化させる。コア事業である社会イノベーション事業にポートフォリオを集中し、グリーン、デジタル、コネクティブの3つの社会潮流に対応して資産獲得もした。 コロナ禍でも最高益を更新し続けた企業に富士電機がある。事業ドメインをエネルギー・環境と明確化し、利益の源泉である工場の体質改善に向け「ものつくり」を強化した。内製化・自動化の推進、グローバル調達、集中購買体制の成果を発揮した。 半導体業界の再編を経て誕生したルネサスエレクトロニクスはマイコン、アナログ、パワー、ソシオネクストはカスタム・ロジックと強みが発揮できる分野に注力することで収益性が高まっている。 デジタルとグリーンの成長領域に注力 中長期的な成長テーマとしてデジタルとグリーンは健在で、24年度以降の利益成長を牽引しよう。 デジタル領域では、海外でIT(情報技術)投資に抑制傾向があるものの生成AI(人工知能)やデジタルエンジニアリングの需要は依然強い。国内のIT投資意欲は旺盛で、以前は企業業績が悪化するとIT 投資が抑制されていたが、昨今のDX(デジタル変革)投資は企業の競争力に直結するため、予算削減対象にならない場合が多くなった。投資内容もコロナ禍において非接触や非対面対応のフロントシステム構築が優先されていたが、いよいよ基幹系システムの刷新需要が本格的に立ち上がってきた。 IT 企業各社は、請負主体の人月単価型事業モデルから、社会や顧客の課題を解決するソリューション型事業に転換を図っている。タイトな人的資源に対応して生産性を改善するため、開発成果の再利用、開発プロセスの標準化によるオフショアへのシフトを積極的に進めている。最近では生成AI の活用も模索している。このようにソリューションによる提供価値に見合う価格体系への変更と生産性の改善により、主要な大手IT 部門の収益性が向上している。 グリーン領域では、カーボンニュートラル(温室効果ガス純排出ゼロ)の流れからエネルギーインフラ投資が活発化し、創エネルギー、省エネルギー、エネルギー需給管理の全分野で事業機会が拡がっている。 創エネルギー分野では太陽光発電や風力発電の普及率上昇へ取り組みが進んでいる。実現のためには発電できる立地条件や電力系統につなぐための技術ハードルが上昇する。高圧直流送電技術、直流電源の整流化や交流化、直流電源への蓄電装置導入といった技術変化がエネルギー需給管理に不可欠となる。エネルギーネットワーク分野への投資は年間6,000億ドルに上る。こうした追い風もあり日立製作所のパワーグリッドの受注残高は23年6月末時点で3.6兆円に積み上がっている。 省エネルギー分野では、自動車の電動化をはじめ様々なエネルギー効率向上が図られており、キーデバイスとしてパワー半導体が注目される。グローバルに競争力を維持できている分野であり、各社積極投資を続けている。生産能力拡大とコスト競争力の強化のため、現在主流のSi(珪素)では12インチの製造ラインが24年から3社で本格離陸し、SiC(炭化珪素)でも24年から25年にかけて2社の新ラインの本格量産が始まる見通しである。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山崎 雅也) ※野村週報 2023年10月9日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
10/14 19:00
【特集】会社四季報を読破してわかった「秋号」の注目点
「会社四季報」編集長・冨岡耕氏×野村證券「四季報の会」代表・大坂隼矢氏対談(前編) 野村證券で「会社四季報」(東洋経済新報社刊)を読破し、相場観を掴む独特の企業文化がある。今回は、会社四季報の編集トップである編集長の冨岡耕氏と、野村證券投資情報部ストラテジストで、「四季報の会」代表でもある大坂隼矢氏が対談した。 「業績改善」が鮮明に ――まず秋号を読破した感想を聞かせてください。 大坂 総じて企業の業績がかなりよくなってきている印象を受けました。巻頭の「見出しランキング」などを見ていても、総じて好況が反映されていた印象です。 前回もすごく良かったなっていう感じはあったんですけども、さらに良くなってたという印象です。そして、前号を読んで少し懸念していた点も解決された印象です。 前号は電力会社の値上げがこれから始まるので、高熱費が懸念材料だという記述が目立っていました。特にサービス業で目立っていたので、秋号はどうなるのかという点をすごく気にしていました。しかし、秋号ではコストの増加を値上げで吸収できている企業が多かったなという印象を受けました。 予想営業利益が「増額」されていた企業が、特に外食業で目立ちました。外食に限らず内需に関連するセクターが強かったと思います。コロナ禍で取り組んでいたコスト改革が進展したうえで、値上げの浸透やリオープンの需要が加わったことが要因であると感じました。 外需の方は中国関連や、一部の業種で弱含んでいるものもあります。ただ、自動車だけは相変わらず強いですね。毎号、前回号と比較して、業績やコメントが改善していたり、悪化していたりする銘柄に付箋を貼るのですが、今回は改善を示す色の付箋ばかり貼っていました(笑)。 冨岡 私も第一印象は多くの企業の業績がよくなっているという点でした。各企業のページの端に載っている矢印が上を向いていると、四季報の予想が前号発行時から上方修正されていることを示しています。 編集作業中も上向きの矢印が多いなと感じていました。上場企業の約6割が 3月期決算企業ですが、2023年度の第1四半期決算発表後に各記者が取材して、早くも期初計画から上方修正するケースが増えています。記者が取材をする中で変化を感じることが多かったようです。 私たちの独自予想が会社予想より相当強気な場合、記事に「独自増額」という見出しをつけるのですが、それも非常に増えています。 私は製造業、非製造業で分けてチェックすることがあります。製造業は自動車を中心に、サプライチェーンや供給サイドが正常化し、業績が拡大しています。自動車に関連し、素材系の企業の業績も回復していますね。 さらに、懸念されていた原材料高は値上げが浸透して経営への影響が落ち着いてきています。期初から円安に振れていることもあり、追い風にもなっていると思います。非製造業の方はコロナ禍が終わり、経済再開、いわゆるリオープンが他国より遅れていたこともあって、宿泊業や空運業などの業績拡大が目立っていました。 一方で、資源相場が前期まで高騰していたので、その恩恵を受けていた石油関連や海運業、商社などの卸売業は業績が一服してきた印象がありますが、総じて悪くはなかったですね。 企業は第1四半期の決算で業績修正はあまりしませんが、四季報では先んじて修正しているケースが目立っています。そうした企業は今後修正発表する可能性もあるため、秋号は「お宝銘柄」を探しやすく、お買い得ですね(笑)。 冨岡 耕 氏(とみおか こう)早稲田大学理工学部卒業。全国紙の経済部記者を経て、2007年に東洋経済新報社入社。第一編集局に配属、『会社四季報』編集を担当後、企業情報部チームリーダー、『週刊東洋経済』副編集長を歴任。2021年4月に『会社四季報』副編集長となり、同年10月に編集局会社四季報センター会社四季報編集部担当部長兼『会社四季報』編集長に就任。 「飛躍」の見出しが示す意味 ――前号では「ChatGPT」やAIに関する記述が増えました。秋号では変化がありましたか。 大坂 前号からやや増えている印象です。そして、AIの導入が具体的な戦略や足元の業績などの形で表れ始めている企業もありました。例えば、コールセンターやIRの資料作成でこういった使い方をしていると具体的に言及されている企業が、すごく増えた印象があります。 冨岡 そうですね。AIに関する記述は少し前から増えていましたが、 今年になって急増しました。企業の人手不足といった状況もあり、DXやAIへの投資が増えています。業種を問わず企業の社内での利用が増えているケースのほか、特にIT企業では、新しいサービスを商用化しているケースの両方があると思います。 大坂 ブレインパッド(3655)の欄では生成AIの引き合いの増加に言及されています。同じように、AI活用したり、AI活用のコンサルティングを手掛けたりする企業が目立ちました。GMOリサーチ(3695)、アドバンスト・メディア(3773)、テラスカイ(3915)など、具体的な事業に触れている企業も増えました。 ――原材料価格や燃料価格の上昇についてはいかがでしたか。 大坂 冒頭でも話したように、値上げが進んでいるという強い印象を受けました。例えば伊藤忠食品(2692)などは見出しが「一転増益」となっています。燃料価格も同様に、会社の業績の進捗率の高さにも現れていると考えています。 会社がコストをある程度想定し、上手に吸収していますね。イオン九州(2653)に代表される小売も同様に「一転増益」になっています。読み進めていくと、上向きの矢印が次から次に出てきた印象です。 冨岡 特に食品関連は値上げが続いている印象があるのですが、かなりそれが浸透してきています。極洋(1301)やニッスイ(1332)など、純利益ベースで過去最高水準に到達する勢いがありますね。 大坂 ニッスイは見出しも「飛躍」でしたよね。これは最高評価ともいえる見出しです。 冨岡 水産業に限らず、日本経済がよい循環に入ってきているという感覚はありますね。ちなみに「飛躍」のような見出しは、記者が取材した際の印象や感覚を反映し、読者の方にお伝えするためにあえて使用しています。 会社四季報編集長の注目ポイントは ――中国の景気や経済政策が日本の企業に何らかの影響を及ぼしているような印象は秋号から感じ取れましたか。 大坂 中国の市況悪化の影響は4000番台から6000番台、素材や化学、機械関連の企業から見て取れたと思います。先ほど、自動車は勢いがあるとお話ししましたが、中国の自動車販売はやや低迷しています。日本の自動車メーカーの業績は、主戦場である日本と米国がけん引していますが、自動車関連でも、中国の売り上げが大きい企業では影響が多少表れていた印象です。 また、短期的なものではなく、政治リスクなどから長期の経営計画を変更している企業もありました。例えばテラプローブ(6627)が中国で半導体関連の小会社設立を計画していたのを取りやめるなど、中国を取り巻く情勢の変化が、経営判断に影響を及ぼし始めている印象です。また、中国政府の政策の影響で、中国での環境や水質系の案件が急減した企業もありましたね。 冨岡 中国についてはやはり影響は出ていて、マイナスの影響について触れた企業は多いです。以前は中長期的に、中国への投資を進めるなど、中国事業の今後について比較的前向きなキーワードが多かった。 しかし、秋号では中国で何かを始めるなどといった記述が少なくなっていました。中国に代わってインドやベトナムでの事業に関する言及がより増えたのではないかと思います。中国の今後の不透明感、景気の影響は当面変わらないと考えています。 ――今までお聞きした値上げや生産性の向上、インバウンドの影響については野村證券でもアナリストが注視しているテーマです。会社四季報の編集者や記者の方はいかがですか 冨岡 もちろん注視しています。そういったテーマは業績などに相当影響しますし、今最も動きが激しいので、四季報にもたびたび登場します。 秋号で私が編集したり、チェックしたりしている中で注目したのは、日本の財政に絡む話です。防衛予算増額による、製品の受注増加のような話題ですね。また、産業関連の政府の補助金に関する話題も増えています。例えば蓄電池や半導体などの業種では、前号よりかなり目立っていると思いますね。 大坂 防衛関連では重工各社は恩恵を受けていると思います。三菱重工業(7011)などは「受注大幅拡大」とありますね。これまで、防衛はある程度決まった予算内での発注しかないという認識が固定観念としてあったんで「こんなに良くなるんだ」と驚きました。 冨岡 (侵攻する相手方の艦艇などに対して、脅威圏外の離れた位置から対処を行える)「スタンド・オフ・ミサイル」など、あまり見慣れない言葉も出てきました。 (後編「【特集】会社四季報編集長と「四季報の会」代表が語り尽くす日本企業の動向」はこちら) ご投資にあたっての注意点
-
10/13 09:30
【チャート分析】JT、2016年以降の2/3戻しを目指す動きに(10/13)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2023年9月分) 今回は2023年9月に新規登録された銘柄第5位の日本たばこ産業(2914)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 主要移動平均線は上向き維持 当社は、たばこ事業を核に置き、食品や医薬品も展開している企業です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、今年に入り角度のついた上昇トレンドを描いています。今年3月には2020年2月高値(728円)を、5月には2018年5月高値(760円)を奪回し、9月には史上初めて1,000円の大台に乗せました。 今年6月に高値形成後は一旦押しを入れる展開となりましたが、7月に上向きの13週移動平均線を下支えに反発し、再び上値追いの展開となりました。主要移動平均線は上向きを維持しており、この先2016年2月高値以降の下落幅に対する2/3戻し(3,832円)水準を目指す展開が期待されます。 押しを入れる場合は、13週線が最初の下値メド (図2)一方7月以降の上昇で、2022年3月安値を起点とした角度のついた上昇トレンドの上限に達しました。仮にこの先上昇一服し、押しを入れる展開となった場合は、上向きの13週線(9月29日:3,183円)が最初の下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月29日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ・【チャート分析】トヨタ、3,000円の大台乗せが視野に(10/12) ・【チャート分析】三菱HCキャ、9月に1,000円の大台乗せ(10/11) ・【チャート分析】三菱UFJ、1,400円台を目指す展開へ(10/10) ・【チャート分析】NTT、主要移動平均線は上向き(10/9) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
10/12 19:00
【銘柄ランキング】投資家に買われた「配当利回り3%以上」銘柄は?トップ20を紹介(2023年7-9月分)
銀行株や鉄鋼株が上位にランクイン 1位が三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、7位がみずほフィナンシャルグループ(8411)、9位が三井住友フィナンシャルグループ(8316)となり、メガバンク3社がいずれもトップ20位内にランクインしました。9月9日付け読売新聞による日銀の植田和男総裁へのインタビューで、マイナス金利解除のタイミング前倒しへの期待感などが高まり、銀行株が上昇しました。9月の日銀金融政策決定会合では特段のサプライズはありませんでしたが、野村證券では引き続き日銀は金融政策の正常化を志向していると考えています。 鉄鋼株が上位にランクインしており、3位が日本製鉄(5401)、4位が神戸製鋼所(5406)、16位がJFEホールディングス(5411)となりました。9月上旬にトヨタ自動車(7203)が集中購買制度をベースに、系列部品会社に支給する際の鋼材価格について、2024年3月期下期は上期から据え置かれると報じられました。トヨタ以外の完成車メーカーや自動車以外の「ひも付き」取引も同様の価格交渉結果に至った場合、鉄鋼各社の利益に貢献する可能性があるため、株式市場ではポジティブに受け止められました。 海運大手3社はいずれもトップ20位内にランクインしており、5位が商船三井(9104)、10位が川崎汽船(9107)、15位が日本郵船(9101)となりました。9月下旬にかけて海運株はやや軟調に推移しました。足もとで、海運の代表指標であるコンテナ船のスポット運賃(SCFI、上海輸出コンテナ運賃指数)が低迷しており、懸念材料となっています。 IHI(7013)が12位にランクインしました。米航空防衛大手RTXは9月中旬、傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が製造した航空エンジン「PW1100G」の不具合に関して、補償金なども含めて今後数年間で30億~35億ドルの費用負担が生じるとの見通しを示しました。発表を受けて共同開発に参画した重工大手3社の株価は大きく下落しました。「PW1100G」の参画比率は、IHIが15%と3社の中では高く、株式市場で注目されました。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月2日時点。 ご投資にあたっての注意点
-
10/12 09:30
【チャート分析】トヨタ、3,000円の大台乗せが視野に(10/12)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2023年9月分) 今回は2023年9月に新規登録された銘柄第4位のトヨタ自動車(7203)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 7月に26週、52週線がゴールデン・クロス 当社は、販売台数、利益ともに世界トップクラスの自動車メーカーです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、今年3月安値形成後反発に転じました。6月に52週移動平均線を上にブレイクした後は大幅上昇となり、8月には2022年1月高値(2,475円)を奪回し、史上最高値を更新しました。 今年7月には26週線と52週線がゴールデン・クロスし、強気シグナルが現れました。この先2020年3月~2022年1月の上昇幅を今年3月安値に当てはめたN計算値(3,084円)などがある、3,000円の大台に向けた動きが期待されます。 最初の下値メドは2,500円処 (図2)ただ9月に2020年3月以降の上昇トレンド上限に達した後、上ヒゲのローソク足が現れました。この先押しを入れる展開が続く場合は、今年3月以降の上昇幅に対する1/3押し(2,529円)や上向きの13週線(9月29日:2,471円)の水準がある2,500円前後の水準が最初の下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月29日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ・【チャート分析】三菱HCキャ、9月に1,000円の大台乗せ(10/11) ・【チャート分析】三菱UFJ、1,400円台を目指す展開へ(10/10) ・【チャート分析】NTT、主要移動平均線は上向き(10/9) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
10/11 19:00
【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(10/11)
原油価格の乱高下もあり、ENEOSやINPEXがランクイン 足もとで、原油価格が乱高下しています。原油価格は、石油元売セクターや鉱業セクターの業績に影響を与えます。例えば、原油価格が上昇すると石油元売セクターでは、石油・天然ガスの開発事業にプラス影響となり、在庫評価益の拡大も見込まれます。同様に、鉱業セクターでは、天然ガスの販売価格も原油価格に連動して決定されることが多いため、業績にプラスに働きます。 石油元売セクターではENEOSホールディングス(5020)が5位に、鉱業セクターではINPEX(1605)が6位にそれぞれランクインしています。両銘柄は10月第1週に原油価格が下落したことで、それに伴い株価も急落しました。ただし、10月7日に、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、ガザ地区に隣接するイスラエル南部に大規模攻撃を行ったことで、中東情勢に対する懸念が強まっています。原油価格が再び上昇したことで、3連休明け10日の両銘柄は大幅上昇となりました。 2023年10月1日付で株式分割を行った本田技研工業(7267)が9位にランクインしています。ホンダは、2023年10月1日付で1株を3株に分割しています。株式分割は、個人投資家からの新規資金流入への期待を高め、多くの場合ポジティブに評価されますが、権利落ち日が材料出尽くしのタイミングとなりやすい点には、注意が必要です。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月10日時点。 ご投資にあたっての注意点
-
10/11 09:30
【チャート分析】三菱HCキャ、9月に1,000円の大台乗せ(10/11)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2023年9月分) 今回は2023年9月に新規登録された銘柄第3位の三菱HCキャピタル(8593)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 主要移動平均線は上向き 当社は情報関連機器や産業機械などに強みを持つ、日本有数の大手総合リース会社です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、今年に入り角度のついた上昇トレンドを描いています。今年3月には2020年2月高値(728円)を、5月には2018年5月高値(760円)を奪回し、9月には史上初めて1,000円の大台に乗せました。 主要移動平均線はいずれも上を向いており、この先13週移動平均線などを下支えとしながら、2023年3月安値~同年8月高値の上昇幅を同年8月安値に当てはめたN計算値(1,139円)などを目指す動きが期待できます。 下値メドとしてはまず13週線が挙げられる (図2)ただ9月に高値(1,088円)を形成した後は上昇一服となりました。この先押しを入れる展開が続いた場合は、上向きの13週線(9月29日:941円)や今年8月安値(865円)が下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月29日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ・【チャート分析】三菱UFJ、1,400円台を目指す展開へ(10/10) ・【チャート分析】NTT、主要移動平均線は上向き(10/9) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
10/10 19:00
【銘柄ランキング】日本株の急落局面(9/28-10/4)で個人投資家に買われた銘柄は?
バリュー株や株式分割を実施した銘柄が買われる 2023年9月28日から10月4日にかけて、日経平均株価は5営業日連続で下落し、この期間の下落幅は終値ベースで約1,845円に上りました。同じ期間における野村證券の個人口座における購入銘柄を見ると、上位20銘柄の大半は、銀行や自動車などを含むバリュー株となっています。バリュー株は年初から日本株の上昇を牽引していましたが、直近の下落局面では相対的に下落率が高くなっています。そのため、押し目買いが行われた可能性があります。 また、2023年10月1日付で株式分割を行った銘柄も多くランキングに名を連ねています。具体的には、4位の本田技研工業(7267)は1株を3株に、5位のデンソー(6902)は1株を4株に、9位の東海旅客鉄道(9022)は1株を5株に、19位のアドバンテスト(6857)は1株を4株に、それぞれ分割しています。株式分割は、個人投資家からの新規資金流入への期待もあり、ポジティブに評価されることが多いです。ただし、権利落ち日がいったんの材料出尽くしのタイミングとなりやすい点には注意が必要です。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月6日時点。 ご投資にあたっての注意点
-
10/10 12:00
【銘柄紹介】エス・エム・エス/東京応化工業/日産自動車
エス・エム・エス(2175) サービス 人材紹介や経営支援で医療介護を支える 看護師・介護職等の人材紹介(キャリア分野)、介護事業所支援プラットフォーム(カイポケ)、海外事業を3本柱として事業を展開。コロナ禍で拡大した世界的な看護師不足への対応や、高齢化が進む日本での介護事業者の経営支援など、「縁の下の力持ち」として医療介護業界を支えている。 創業時から医療介護分野に特化している点が当社の強みであり、求人情報数、求職者登録数は業界最大と見られる。キャリア分野は新型コロナ感染の波が来る度に面接の遅れや採用停滞の影響を受けたが、ウイズコロナ環境への移行による医療機関及び介護事業者の採用意欲の回復により、2022.3期以降は復調し、拡大傾向にある。 グローバルな医療の質の向上に貢献 介護事業者向けに業務効率化や財務改善などのサービスをワンストップで提供するカイポケ(サブスクリプション型クラウドサービス)は、会員数が46,300事業所(7月時点)と順調に増加している。タブレット等の有料オプションサービス利用も拡大し、月額単価の上昇に繋がっている。 現在18の国・地域で事業を展開し、二国間および国内の双方で医療機関と医療従事者をマッチングさせている。当社のサービスは世界的な看護師不足と偏在に対応可能な人材供給プラットフォームとなりつつあり、グローバルな医療の質の向上に貢献している。3つの事業による成長の好循環が業容拡大に貢献しよう。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 繁村 京一郎) 東京応化工業(4186) 化学 半導体用フォトレジストの大手 半導体向けフォトレジスト(感光性樹脂)で世界トップクラスのシェアを持つメーカー。付属薬品や高密度実装向け再配線用の後工程材料なども手掛け、EUV(極端紫外線)用などで高い競争力を誇る。 営業利益は2023年1~3月期まで厳しかったが、4~6月期から半導体の在庫調整が進展しており、今後もDRAM やロジックなどで半導体需要の回復が見込まれる。 将来的には生成AI(人工知能)向け材料の拡大が期待できる。具体的には4ナノ向けEUV レジスト、韓国等のHBM(HighBandwidth Memory)向けフォトレジスト、マイクロバンプ(突起電極)やRDL(再配線層)向けパッケージ材料がある。 世界シェア上昇が続こう 顧客である半導体メーカーの事業継続計画の観点による受注や、韓国、台湾、中国などでのマーケティングや開発強化策が奏功し、当社の世界シェアが上昇している。 当社へのヒアリングや業界調査によると、EUV レジストでは台湾ロジック2ナノ向けライン&スペースの複数工程で当社製品の採用が決定した模様である。3ナノではシェアを落としたが、2ナノでは5、4ナノ並みにシェアを取り返せると野村では考えている。また、韓国ロジック向けEUVでは、4、5ナノのライン&スペース向けに一部採用された模様である。こうした市場シェア拡大もあり、24.12期の営業利益は前期比48%増を予想している。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 岡嵜 茂樹) 日産自動車(7201) 輸送用機器 欧米の好調と円安で業績はV字回復へ 2021.3期までの2年間で実施した構造改革で注力する地域や商品を明確化し、固定費の削減も進めたことで、商品力が向上し、損益分岐点売上高も低下した。22.3期、23.3期は国内外の自動車需要は堅調だったが、新型コロナに伴うサプライチェーンの混乱や半導体不足により十分な供給ができなかった。そのような環境下でも、値引きの縮小や円安効果により一定の業績改善を実現した。24.3期は、欧米の小売販売が好調で、半導体の供給も改善し、円安も進んだことから業績の大幅改善を見込む。1ドル135円の前提でも24.3期の営業利益は5,841億円と前期比55%増加し、25.3期も北米が牽引し業績拡大が続くと予想する。 中国では苦戦も過度な懸念は不要 中国では、ガソリン車、電気自動車ともに過去1年で価格競争が激化しており、当社を含め外資ブランドは軒並み苦戦している。当社の世界小売販売台数に占める中国比率は23.3期で32%と高かったが、中国事業は出資比率が50%にとどまり、他地域の利益も拡大していることから、24.3期の親会社株主利益に占める中国比率は10%未満に低下するとみる。中国は苦戦が続くが、他地域は好調で過度な懸念は不要だろう。 北米や欧州では順調な販売増が続く見通しで、日本やメキシコで生産する車両のコスト競争力も高いことから、収益改善が続く可能性が高い。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 桾本 将隆) ※野村週報 2023年10月9日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点