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2023/10/20 09:30
【業界展望】商社:堅調な業績や積極的な株主還元に注目
底堅い業績動向が続いている 商社の事業環境を振り返りたい。資源分野ではウクライナ紛争を背景とした供給逼迫懸念から2023.3期は原油やガス、鉄鉱石や石炭など幅広い資源の価格が大きく上昇したが、24.3期に入ると米国の金融引き締めによる需要鈍化懸念もあり資源価格は調整局面となっていた。一方で、7月以降はOPEC(石油輸出国機構)の減産で原油に底打ち感が出ている他、原料炭市況もインドの需要の強さを背景に上昇基調となるなど、事業環境は改善傾向にある。 非資源分野については、野村では当初、新型コロナ影響を背景とした供給抑制で幅広い分野のトレード事業でマージンが拡大した状況が落ち着いていくと想定していた。しかし、24.3期4~6月期決算では、一過性の損益を除くと、機械や自動車、小売事業など幅広い分野が好調な推移となるなど減速感が予想以上に出ていないことが確認された。中国の不動産需要の低迷など、鉄鋼製品の需要減退リスクはあるが、資源価格の堅調さもあって、商社セクターの業況は底堅く推移すると考えている。また、各社の4~6月期の親会社株主利益は通期計画に対する進捗率が高めとなったこともあり、今後は業績計画の上方修正や追加の株主還元に対する期待が高まりやすい状況にあると言える。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 業績モメンタムや株主還元に注目 野村では24.3期の大手7商社合計の親会社株主利益を前期比14%減益と予想している。各社の4~6月期決算は好調だったが、資源価格が前期対比で調整すると見込むためである。セクター全体で減益傾向となる中では、相対的な業績動向の差が注目点になると考えている。特に、豊田通商については24.3期の親会社株主利益を同10%増益と予想しており、同業他社比で見通しが良好だと判断している。資源分野の利益構成比の低さもあるが、半導体不足の解消による自動車の生産回復で、鋼板や自動車部品のトレード事業といった生産関連分野の業績が改善していることが背景にある。さらに、アフリカなど新興国では経済成長を背景に自動車需要が伸長しており、同社が新興諸国で展開するディーラー事業が好調な推移となっている。 また、株主還元余力の面からは、三菱商事の業況に注目している。4~6月期の調整後FCF(営業収益CF-投資CF)が4,074億円の黒字と同業他社比で高い水準となった。さらに、同社が財務レバレッジとして注目している投融資レバレッジは6月末で26.9%と、同社が適正値と定める40~50%を大きく下回っている。現在の中期経営計画では投融資レバレッジを適正水準まで戻すことを目標として掲げており、株主還元余力は相対的に大きいと言える。中期的な注目点としては、将来の成長に向けた新規投資がテーマとなろう。既に伊藤忠商事や三井物産などが24.3期は大型の投資案件の発表を行っているが、新規投資案件の積み上げで利益成長期待を高められるかには注目したい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 成田 康浩) ※野村週報 2023年10月16日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/20 08:23
【モーニングFINTOS!】パウエルFRB議長の発言を受け、続落(10/20)
海外市場の振り返り 19日の米国株式市場は、米主要株価3指数とも前日終値近辺で取引を開始しました。寄り前発表の10月14日の週の新規失業保険申請件数は市場予想を下回り、雇用の堅調さが示唆されました。一方で、10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、市場予想を下回りました。経済指標がまちまちとなったことに加え、朝方に米10年国債利回りが2007年以来の高水準を付けたことなどから、前日終値を挟んだ動きとなりました。正午から行われたパウエルFRB議長の講演では、FRBによる金融引締めが長期化することが改めて意識され、引けにかけて主要株価3指数は下落幅を拡大し、取引を終えました。 相場の注目点 10月31日-11月1日に開催されるFOMCを控えて、FRBは来週から公式に金融政策に関する発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。このため市場の関心は、緊迫化する中東情勢に加えて、本格化している米国の2023年7-9月期決算発表に向かうと見られます。S&P500指数EPSは、2023年4-6月期の決算発表を終えた後も一部企業で業績予想の改善が進み、2023年7-9月期から前年同期比で増益に転換すると予想されています。2024年には2桁増益に達する見通しです。来週は、アルファベットやビザ、メタ・プラットフォームズなど主要企業が決算発表を予定しています。決算では、決算実績に加え、会社側の今後の業績見通しや経営陣のコメント等が注目されます。 本日のイベント 本日は、日本で9月全国消費者物価指数が発表される予定です。10月30-31日の日銀金融政策決定会合でインフレ見通しの修正が検討される可能性があるとの報道もあり、物価動向に注目が集まります。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2023年10月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【野村の動画】投資家に買われた「配当利回り3%以上」銘柄ランキング(2023年7-9月分) 【米国野村證券エコノミストが語る】米国の景気後退を予想するポイント “持てる層”と“持たざる層”の綱引き ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 19:00
【野村の動画】投資家に買われた「配当利回り3%以上」銘柄ランキング(2023年7-9月分)
2023年7月1日~2023年9月30日の期間で、野村證券の個人口座で買い付けられた銘柄の中から、今期予想配当利回りが2023年10月2日時点で3%以上だった銘柄を抽出しました。約定件数順に上位20銘柄を紹介いたします。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 15:58
【イブニングFINTOS!】日経平均株価は3営業日ぶりに反落 日米長期金利上昇が重石(10/19)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前日比462円安の31,579円で取引を開始しました。前日の米国株式市場で、米長期金利が2007年以来、約16年ぶりに4.9%台へ上昇し、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数の下落が目立ったことが下押し要因となりました。セクター別では、前日に引き続き、半導体関連銘柄の下落が目立ち、なかでも指数寄与度の高い値がさ株である東京エレクトロンやアドバンテストなどは寄り付き後も上値が重く推移しました。 中国などアジア株式市場も軟調だったことに加え、日本の長期金利が午後にかけて0.84%まで上昇したことが、国内株式市場への重石となりました。日経平均株価は一時31,399円まで下げる場面もありましたが、ドル円が1ドル=149円80銭付近と前日に比べ円安ドル高となったことが下支えになりました。午後の取引時間中には31,544円まで値を戻す場面もあったものの、引けにかけては再び上値が重い展開となり、前日比611円安の31,430円で本日の取引を終了しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数 前月:-13.5 予想:-7.0・9月中古住宅販売件数(年率) 前月:404万件 予想:389万件 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 15:30
【新産業紹介】ガソリンスタンドの新たな可能性に期待
ガソリンスタンドと、付随する各種サービス業務を手掛けるSS(サービスステーション)業界は、ガソリン需要の減少や後継者不足等により市場が年々縮小している。生き残りをかけ、新たな可能性を模索する動きが見られ始めている。 国内のSS は2019年度末に3万件を下回り、25年間で半数以下になった。SS 市場の縮小は、経営者の高齢化や自動車の燃費向上が要因と見られる。国土交通省の統計では、ガソリン乗用車の燃費は21年度に24.6km /ℓと25年間で約2倍に向上した。 一般社団法人全国石油協会の22年度の調査によると、経営店舗数5店舗以下のSS事業者の30%以上が営業赤字であり、6店舗以上の事業者でも20%近くが営業赤字と厳しい事業環境である。また、同調査によると、全体の14.5%のSS 事業者は廃業または事業縮小を検討しており、事業拡大を目指すSS 事業者はわずか1.3%に留まる。 SS 事業者の多くは現状維持の方針のようだが、ガソリン需要の減少が続く中では現状維持すら難しくなる可能性も考えられる。今後は、事業の継続が困難となったSS事業者と事業の維持・拡大を目指すSS 事業者が、M&A(合併・買収)の買い手と売り手に分かれる可能性もあろう。 足元では、年300社ペースでSS事業者が廃業している。将来的に廃業を検討する事業者も少なくないことから、M&Aの対象先になり得るSS 事業者は一定数存在すると言えよう。M&A したSS を閉店し、跡地を複合レジデンスや飲食店、ゴルフショップ等に活用する動きも見られる。 また、登場までには時間を要すると見られるが、次世代のSS の事業形態を模索する動きもある。石油元売り最大手のENEOSホールディングスは、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)等の次世代自動車や、水素等の次世代エネルギーを軸とした、次世代のSS を構想している。 既に一部のSS 事業者は、積極的なM&A等による既存事業の強化や業容拡大に取り組んでいる。また、住民拠点SS(自家発電設備を備え災害時に地域の燃料供給拠点となるSS)の整備等で、SS の役割は再認識されつつある。SS事業者自身の取り組みや、次世代のSS に向けた自動車やエネルギー等関連業界の動向に注目したい。 (野村證券フロンティア・リサーチ部 草間 亮佑) ※野村週報 2023年10月16日号「新産業の潮流」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 12:00
【米国野村證券エコノミストが語る】米国の景気後退を予想するポイント “持てる層”と“持たざる層”の綱引き
野村では、2023年10月6日時点で米国の景気後退を予測している。その理由と来年の大統領選挙に向けてのポイントについて、米国野村證券の雨宮愛知エコノミストに詳しく聞いた。 ※インタビューは2023年10月6日に実施しています。本記事の情報は2023年10月6日時点のものであり、その後変更されている可能性があります。 不況入りとは、雇用を失う人が出てくること ――米国景気、インフレ動向をふまえて、金融政策の見通しについて教えてください。 野村では、米国経済が近いうちに不況入りすると考えています。具体的には、今年の第4四半期の終わりから不況色が強くなり、2四半期連続のマイナス成長となることを見込んでいます。 ――市場のコンセンサスは、「米国経済はマイナス成長を免れる」という見方が多いです。「ソフトランディングまたはノーランディングとなる」と見越している金融機関も多い中で、マイナス成長を見越すのは野村證券の特徴ともいえます。そのポイントはどこにあるのでしょうか。 まず、不況入りとは何を指すか、定義を明確にしておきましょう。一言でいうと、雇用を失う人が出てくるということです。雇用者数の伸びがマイナスになり、失業率が上がるという状態が起きると予想しています。GDPがマイナスになることは不況でなくても一時的にはありますが、そうではなく、雇用がポイントなのです。 なぜそのような予想をしているのか。理由を語るには、なぜこれまで米国の金融政策が効かなかったのか、という理由から話を始めたほうがいいですね。 2019年末から始まった新型コロナウイルスの流行を機に、米国はじめ多くの主要国で大胆な金融緩和を行いました。その結果、米国ではインフレが深刻な問題となり、これをいかに抑制するかが課題となっています。 こうした状況のなか、インフレを抑制する目的で、米国の金利は大幅に引き上げられています。またバイデン政権は2022年8月、米国内の半導体産業を支援する「CHIPSおよび科学法」と、大企業への課税を強化して気候変動や医療費負担軽減に資金を投じる「インフレ抑制法」を成立させました。 しかしこうした政策によるインフレ抑制の成果は芳しくありません。その理由は、「持てる層」と「持たざる層」の綱引きにあると考えています。 富裕層は金利が高止まりしても困らない 「持てる層」、つまり金融資産を十分に持っている富裕層は、2021~2022年の金融緩和の際に、住宅ローンなどの長期債務を、低金利なものに借り換えが終わっています。また、設備投資をする大企業も、この時期に償還までの期間が長い社債を発行するなどして、資金調達が済んでいます。 彼らはいくら利上げしても、困らないわけです。それどころか、金利が高止まりしていると預金収入が増え、更に株高によってもますます資産が増えていくという循環があり、彼らが景気を下支えする強い層となっています。 一方、「持たざる層」はどうでしょうか。彼らは金融資産がないため金利上昇や株高の恩恵を受け難い一方で、高金利のローンを組まなければならず苦しんでいます。その証左として、クレジットカードの延滞率や自動車ローンの延滞率などはじわじわと上がっているのです。 コロナ禍の特例で約3年半の間猶予されてきた学生ローンの支払いも始まります。マクロでみると300億ドルから400億ドルと大きな額ではないのですが、学生ローンを抱えるのは「持たざる層」に多く、彼らの経済的な苦しさを表す象徴的なイベントとなる可能性があります。 そうはいっても、「持てる層」もどこかではローンの借り換えが行われるわけで、高金利によって資金力が削られるタイミングが来るはずです。問題はそれがいつなのか、ということなのです。 ――つまり景気の冷え込みがじわじわと起きているものの、利上げの効果は、セオリー通りに出ていないということですね。これから利上げの効果が出てくるとしたら、まずどこから顕在化してきますか。 過去を振り返ると、実は消費から始まる不況はあまり存在しないのです。やはり金利に敏感なセクターから経済がスローダウンすることが多い。まず企業の設備投資に影響し、次に自動車や住宅などの耐久財に影響が及んできます。それが企業収益の悪化を招き、雇用へと波及していきます。そして、人々の所得が落ち込むことによって、その後消費全体に景気悪化の波がくるという経路を想定しています。 雇用は不況入りの直前まで変わらない ――よく不況に至る経路として、過剰貯蓄など消費が落ち込む経路が議論されることがあると思いますが、雨宮さんの指摘はそうではなくて、企業の設備投資から出てくるという点が面白いです。雇用に不況が影響するのは遅いという理解で正しいですか。 はい。雇用は景気に関しては遅行指数なんですね。よく、「これだけ労働市場が強いのだから不況にならないのでは?」と質問を受けるのですが、労働市場は、不況入りする直前まで良い状態に見えるというのが通例です。今も毎月発表されている雇用統計では、非農業分野の雇用者数に15万人以上の伸びがありますし、失業率も上がっていませんよね。 ところが、労働市場を細かく見ていくと、一人当たりの労働時間のトレンド、人材派遣業の雇用者数、転職を目的とした自己退職数、企業の総採用数などの指標でいずれも悪化のサインがあり、雇用だけが変わっていないという状況です。 つまり労働市場のクールダウンは確実に起きている。あとは時間の問題です。レイオフ(解雇)がどこかのタイミングで増えていき、それが不況入りとなると考えています。 もともと野村では2023年7~9月にもマイナス成長が始まると予想していましたが、それは起きませんでした。「持てる層」が景気を下支えする力が、野村が予想していたよりも強かったため不況入りが遅れているのですが、どこかのタイミングでいずれ不況入りすると見ています。 ――そもそも、不況入りを免れることはできないと考えるべきでしょうか。 FRB(連邦準備理事会・米国の中央銀行を意味する)の立場でみると、好景気が続くということはインフレ再燃リスクがなくならないことを意味しています。今、FRBは長期金利の上昇は許容していますよね。株価のバリュエーションが圧力を受け、株価が下がって富裕層の消費力が減ることにつながることを期待しているのでしょう。 それで十分効果があればいいですが、効果がない場合、次は量的引き締め(QT)が議論の俎上にのるかもしれません。なんとかして富裕層の体力を奪わないと、インフレ再燃リスクがなくならない。そのために、不況をもたらさなければならないとも解釈できます。 ――来年は、大統領選挙を控えています。もし不況入りしたら現職にとっては向かい風となりませんか。 過去の大統領選挙では、夏場の失業率と株価で、11月の大統領選挙の行方がわかると言われてきました。ところが、インフレがその状況を変えてきていると思います。 2022年11月の中間選挙では、景気が強いにもかかわらず、民主党は連邦議会下院の議席を失いました。インフレがある以上、好景気の恩恵を感じられない有権者が多かったということでしょう。 つまり来年の選挙に向けては、これまでのように景気減速を防ぐための拡張的な財政政策が打たれるという法則は成り立ちません。「ちょっとやそっとの景気の減速が起きても、助け船を出すのを我慢する年になる」と考えています。 もしトランプ氏が当選したらどうなるか ――米国民の所得格差をついて下馬評を覆し大統領に就任したトランプ元大統領が、共和党候補として出てくるだろうと言われています。 前回、トランプ氏が大統領に当選したときは、上下両院で共和党が過半数議席を取ったため、財政対策を打ちやすかったんですね。議会の選挙がどうなるかによっても市場の反応は大きく変わるでしょう。 トランプ氏が大統領となり共和党が上下両院で過半数議席を取り返すと仮定すると、トランプ減税の第2弾が始まると思います。今回は財政赤字やインフレが問題となっていますので、減税のために社会保障を削るなどの政策が出ると予想されます。 一方、上下両院での過半数議席が取れずにねじれ議会になると仮定すると、ホワイトハウスだけでできる外交、安全保障、規制改革などでトランプ色が出てくることになります。 例えば、バイデン政権が進めている電気自動車へのシフトなどのエネルギー対策についても規制緩和をし、シェールオイル(地下深くの地層に含まれる原油)の増産を認めるなど、自国でのエネルギー生産を増やし、OPEC(石油輸出国機構)への依存を減らすでしょう。 また、バイデン政権では、大企業に対して独占禁止法違反の訴えを起こすなどの動きがありますが、これも取り下げになるでしょう。移民政策も停滞し、労働市場がタイト化すると予想できます。トランプ氏が、ロシアのプーチン大統領と個人的に懇意にしていたことも踏まえると、対ロシア・ウクライナとの関係がどうなるかも不透明です。 バイデン政権がはらむ矛盾 一方、バイデン政権が継続となる場合も、問題含みです。今のバイデン政権は政策と支持層の矛盾があちこちにあり、身動きが取れない状態となっています。 自動車業界のストライキをとってもそうです。バイデン政権はグリーンエネルギーの普及を推進していますが、自動車業界の労働組合を支持母体としています。組合から見ると、自動車のエンジンがモーターに置き換わると雇用が減ってしまうという矛盾をはらんでいるのです。 また、環境団体が支持母体にいるので、原油生産を進めたくてもできず、OPECに増産をお願いすることになるというジレンマもあります。 移民政策についても、バイデン政権は有色人種の支持層が厚いので、移民に厳しい政策は取れません。しかし、不法移民が大量に入ってきており、ニューヨークなどの都市では不法移民のシェルターが財政を圧迫しています。 いずれにせよ、来年の大統領選挙から金融市場をみると、不確実性が高まるのは確かです。来年は選挙に向けて市場のボラティリティが上がることに注意が必要です。そのときに利下げがあると安心材料にはなりそうです。 ――2023年10月、米国史上初めて、米連邦議会下院議長が解任されるという騒動が起きました。今は政府閉鎖こそ免れているものの、正式な予算案は成立していません。格付け会社大手3社のうち2社が米国債券をAAAからAAプラスへと格下げしており、今後も格下げが進むのではないかという見方もありますが、どう考えますか。 格付け会社大手3社が、米国債をAAAからAAプラスに格下げした場合に、売らざるを得ない投資家がいるのか、というところから考えましょう。結論から言うと、私の考えでは「いない」です。 今回議論になっているのは、米国債の長期債の格付けのため、短期債の運用をしている人には影響がありません。長期債で運用している年金基金や保険会社の機関投資家からすると、気にしなくてはならないのは格付けではなくインベストメントグレードです。投資適格か不適格かが投資対象から外す見分けどころであり、格付けがAAプラスになったからといって機械的に売る投資家は出てこないでしょう。 しかし格下げのインパクトは、心理的なものとして出てきます。 米国の好景気が長期で保たれる場合、長期金利も高止まりする公算が大きいです。連邦政府の利払い負担はどんどん膨らんでいき財政赤字は深刻化します。そのため、長期債に投資する投資家が利回りの上乗せを要求する「財政プレミアム」の議論になります。格付けの件が加わり、やはり米国の信用力がおかしいのではないか、財政の持続性がないのではないかと議論になるわけです。 そしてまた長期金利が上がる、利払い負担が増えるという悪循環に陥ってしまいます。この循環が、不況入りするまでは続いてしまうのです。 不況入りはこの状況を変えるためには必要であり、不況入りまでの期間が長ければ長いほど、反動が大きくなるのです。 ――不況入りというとネガティブなイメージがある人も多いと思いますが、今の米国にとっては単純に悪い現象ではない、ということですね。ありがとうございました。 無登録格付けに関する説明書 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 10:00
【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る、株価は+2.58%
決算概要:2023年7-9月期(2024.6期第1四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月18日寄り前に、ブランド化された消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(PG US)が2023年7-9月期(2024.6期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.4%上回り、EPSは市場予想を6.4%上回りました。 2024年6月期通期の売上高見通しは+2%~+4%と、為替の不確実性を理由に従来の+3%~+4%から下限を引き下げました。 値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る状況が継続 前年同期比での売上高成長率(+6%)の要因は、値上げが+7%、数量が-1%、為替が-1%、製品構成が+1%と、値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る状況が継続していることが確認されました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 プロクター・アンド・ギャンブルの株価は、前日比2.58%高で引けました。 高いブランド価値により、インフレで消費者の購買力が低下する中でも当社が市場予想を上回る実績を残したことに株価は反応したと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。 (出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):販売数量減を値上げが補う、株価は+2.83% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 09:45
【米国株決算速報】ASML:受注急減・半導体市況好転はやや後ずれ、株価は-4.17%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月18日寄り前に、リソグラフィー(半導体の回路パターンを基盤に焼き付ける装置)などの半導体製造装置の製造を行う蘭ASML(ASML US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.6%下回り、EPSは市場予想を4.8%上回りました。 会社の2023年10-12月期売上高見通しは市場予想を上回りました。 受注急減、半導体市況好転は2025年 純受注額は26.02億ユーロと、2023年4-6月期の45.00億ユーロや、前年同期の89.20億ユーロから急減しました。 会社は、顧客である半導体メーカーは年内(2023年10-12月期)に半導体市況が底打ちすると予想している、とコメントしました。一方で、保守的な見方としながらも、当社の2024年12月期通期の売上高は2023年12月期通期に近い水準で、大幅な成長は2025年12月期通期とコメントし、半導体市況の回復に時間がかかることを示唆しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ASMLの株価(米国上場のドル建てADR価格)は、前日比4.17%安で引けました。 低調な受注額と、半導体市況の回復が後ずれするとの見通しに反応したと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:米国上場のADR価格(ドル建て)。データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。2023年10-12月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。 (出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ASML:EUV売上高見通しを引き下げ、株価は5.45%安 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/19 09:30
【米国株決算速報】テスラ(TSLA):サイバートラックの出荷や年間生産台数の目標を維持、株価は-2.13%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を下回った 米国時間10月18日引け後に、EVの製造販売や太陽光発電事業を行うテスラ(TSLA US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を3.1%下回り、EPSは市場予想を9.0%下回りました。 会社は、設備の刷新で一部の生産ラインが停止したことや、部品の供給拡大が間に合わず米テキサス州工場での電動SUVの「モデルY」の生産拡大のペースが緩やかになっているとコメントしました。 サイバートラックの出荷時期と年間生産目標を維持 会社は、電動ピックアップトラックの「サイバートラック」の出荷を2023年10-12月期に開始することや、EVの生産台数を年間50%増加させる長期目標に沿って2023年12月期通期に180万台を生産する見通しを改めて示しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 テスラの株価は、前日比4.78%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比2.13%安の237.52ドルで推移しています(NY時間18:00)。 株価は決算発表当初上昇したものの、決算説明会でサイバートラックの黒字化には1年半程度かかるとコメントしたことなどに反応して下落に転じたと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】テスラ(TSLA):自動運転技術を他社へ提供へ、株価は-4.11%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点