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昨日 09:00
【オピニオン】米国長期金利、3%台半ばへ低下の可能性
※画像はイメージです。 2025年8月1日に公表された米国の7月雇用統計の下振れと5、6月分データの大幅下方修正は、株式市場が期待先行で織り込んできた9月FOMCでの利下げ観測をメインシナリオへと押し上げる格好となりました。さらに9月5日に公表された8月雇用統計の内容も事前の市場予想を下回る弱い結果となり、FRBが次回FOMC(9月16~17日開催)で利下げに踏み切ることは、市場でほぼ100%確実視されています。米国10年国債利回り(以下、米国長期金利)は低下基調を強めており、足元で24年10月以来の4%割れの可能性が視野に入ってきました。 チャート面から見ても、米国長期金利は非常に重要な局面を迎えていると考えられます。下図は2020年以降の米国長期金利の週足チャートです。米国長期金利は、新型コロナショック時の2020年3月に歴史的ボトムを形成後に上昇に転じましたが、2023年10月に5%超えのピークを付けて以降は緩やかな低下トレンドを形成しています(下図の右肩下がりの赤実線の上下レンジ)。しかし、2024年9月以降はピークとボトムをそれぞれ切り下げ/切り上げる形での三角保ち合いのパターンを新たに形成してきたことが分かります(下図の赤点線の上下レンジ)。この三角保ち合いは徐々に煮詰まってきており、保ち合いを放れた方向に新たなトレンドが形成されやすい状況になっていました。 こうした中、ここ数ヶ月間の攻防ラインとなっていた52週移動平均線を9月上旬に明確に下放れたことで米国長期金利の低下が加速し、三角保ち合いの下限ライン(約4.11%)を割り込んできました。今後、同ラインを早期に回復できない場合は、2023年10月ピーク以降の下降トレンドの下限(約3.45%)まで低下する可能性も考えられます。それまでのフシとして、心理的フシの4%を割り込むと、2025年4月ボトム(3.856%)や2024年9月ボトム(3.595%)などが挙げられます。 (注1)直近値は2025年9月8日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 米国長期金利の低下は、株式市場にとって短期的に追い風となりそうです。ただ、市場予想通りに利下げが続くかどうかはインフレ動向がカギを握ります。トランプ関税の影響は軽微にとどまっていますが、今後インフレが再燃する場合には注意が必要でしょう。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 07:00
【来週の予定】日本・米国に加え、新興国の金融政策会合
今週は16日(火)-17日(水)に米国でFOMCが、続く18日(木)-19日(金)に日銀の金融政策決定会合が開催されます。先物金利を見ると、米国の2025年中の金融政策に関して、市場では、9月FOMCでの0.25%ポイントの利下げを含め、3会合連続での利下げがほぼ織り込まれています。26年末までみれば、6回の利下げが概ね織り込まれています。今回はFOMCメンバーの政策金利見通しが併せて公表されます。6月FOMC時点の利下げ見通しは25年中に2回、26年中に1回でした。仮に9月会合で利下げが行われた場合でも、FRBが先々の利下げに消極的な姿勢を示せば、米国株等にとってはネガティブに作用することが予想されます。 日銀に関しては金融政策は据え置きが広く予想されており、今回は展望レポートが公表される会合でもないことから、市場の関心は会合後の植田総裁会見に集まりそうです。トランプ関税の日本経済への影響に関する評価、追加利上げのタイミングに関する示唆の有無といった点が注目ポイントです。 今週は日米以外の多くの国でも、金融政策会合が予定されています。17日(水)にはインドネシア、カナダ、ブラジル、18日(木)には英国、南アフリカで金融政策会合が開催されます。米国の利下げ再開は、自国からの資金流出を懸念してきた新興国にとっては利下げのハードルを下げる要因となることから、各中央銀行の政策スタンスに変化が生じるかが注目されます。 欧州では17日(水)、18日(木)にラガルドECB総裁の講演が予定されています。ECBは25年6月の利下げを最後に金利据え置きへと転じています。政策スタンスに変化がないかが注目点です。 中国では15日(月)に、8月小売売上高と鉱工業生産、1-8月の固定資産投資、不動産投資と重要統計が発表されます。消費刺激策の持続力に加え、不動産投資の底入れといった変化が確認できるかが注目されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年9月12日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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09/12 16:30
【野村の夕解説】日経平均は連日の最高値更新、米株高と円安を好感(9/12)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 12日の日経平均株価は、労働市場の弱さを受けたFRBによる利下げ期待の高まりを背景に米国株が上昇した流れを引き継ぎ、上昇しました。11日の米国株市場では半導体関連株の動きが堅調で、12日の日本株市場でも、東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体関連株が、日経平均株価の上昇をけん引しました。寄り付き後に、日米財務相が、為替レートは市場で決定されるべきで、為替市場への介入は為替レートの過度な変動や無秩序な動きに対処するためのものにとどめるとの共同声明を発表しました。これを受けて、米トランプ政権による円安ドル高是正要求への懸念が後退したことから、米ドル円は147円20銭台から147円50銭台への小幅ながら円安方向に進みました。11日のニューヨーク為替市場から続いていた円高進行に歯止めがかかったことも市場の安心感につながり、日本株の支援材料となりました。日経平均株価は寄り付きからの上昇一巡後に上げ幅を縮小する場面もありましたが、円安進行に支えられて上げ幅を取り戻し、終値は前日比395円高の44,768円となり、3日連続で史上最高値を更新しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 12日、米国で9月ミシガン大学消費者マインド速報値が発表されます。米国では労働市場の弱さに市場の関心が集まっていますが、将来の期待インフレ率は物価の見通しを確認するうえで重要です。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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09/12 12:00
【今週のチャート分析】日経平均史上最高値更新、45,000円が視野に
※画像はイメージです。 ※2025年9月11日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 25日線を下支えに上昇続く、史上最高値更新へ 今週の日経平均株価は、石破首相退陣表明を受け、次期政権の経済政策などに対する期待が高まったことなどから大幅上昇となりました。半導体やAI関連銘柄を中心に上昇し、約1ヶ月ぶりに史上最高値を更新しました。 チャート分析の視点から見てみましょう。9月1日安値(41,835円)形成後に反発上昇となり、9月9日の取引時間中に8月19日高値(図1-①:43,876円)を突破して史上最高値を更新しました。この先、まずは心理的フシの45,000円(図1-②)を超えることが出来るか注目されます。その場合、さらなる上値メドとして、8月19日高値から9月1日安値までの下落幅の倍返し水準(図1-③:45,917円)が挙げられます。 (注1)直近値は2025年9月11日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、上昇一巡後に調整となった場合、まずは、今年6月以降何度も下支えとなっている上向きの25日移動平均線(図2-④:9月11日時点42,836円)前後の水準で下げ止まるか注目されます。ただし、今年4月の安値から約半年で1万3千円超の急上昇(終値ベース)となっているため、先行きはこの25日移動平均線を割り込む調整が起こる可能性にも注意が必要です。 (注1)直近値は2025年9月11日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 米国10年債利回り:3%台半ばへ低下の可能性 今週の特集は、米利下げ期待の高まりを受けて低下した米長期金利です。2025年9月5日に発表された8月米雇用統計を受けて、景気減速懸念が強まり、米10年債利回りが大幅に低下しました。 まず、週足チャートで見ると、今年5月以降にサポートラインとなってきた52週移動平均線を明確に下放れし、三角保ち合いの下限(赤点線:約4.11%)も割り込みました。 (注1)直近値は2025年9月8日。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 今後この下限を早期に回復できない場合、2023年10月ピーク以降の下降トレンドの下限(約3.45%)まで低下することも考えられます。 途中のフシとしては、心理的フシの4%や、25年4月ボトム(3.856%)、24年9月ボトム(3.595%)が挙げられます。 次に月足チャートで2023年10月ピークから2024年9月ボトムまでの利回り低下局面を過去4回の利回り低下局面(図4中①~④)と比較してみましょう。 (注1)直近値は2025年9月8日。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 過去局面と比べて今回は低下期間や幅がやや不足しており、さらなる低下の余地があることが分かります。この点から考えても、2024年9月のボトムへ向けたさらなる低下に注意が必要です。 米長期金利の低下は、株式市場にとって短期的な追い風要因となってきました。今後も市場予想通りに利下げが続くかどうかはインフレ動向がカギを握ります。トランプ関税の影響は軽微にとどまっていますが、今後インフレが再燃する場合には注意が必要でしょう。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎 ) ご投資にあたっての注意点
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09/12 08:27
【野村の朝解説】CPIを通過しNYダウが史上最高値を更新(9/12)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 11日の米国株式市場では、米8月CPI(消費者物価指数)が市場予想とほぼ一致したことを受け、NYダウ、ナスダック総合、S&P500ともに史上最高値を更新しました。 米8月CPIは前月比+0.4%と予想を上回った一方、前年比では+2.9%と予想に一致しました。また、コア指数は前月比+0.3%、前年比+3.1%といずれも予想に一致しました。CPIの前月比の内訳では、FRBが重視するコアPCEデフレーター(個人消費支出物価指数)への影響が小さい航空運賃や中古車などの価格が上昇し、影響が大きい家庭用リネン、医薬品、コンピューターソフト、新聞・雑誌などが下落しました。これによりコアPCEデフレーター関連の内容は総じて弱含みでした。 相場の注目点 来週9月16-17日のFOMCが注目されます。金利先物市場では、9月に0.25%ポイント、2025年末までに追加で0.50%ポイント程度の利下げが行われ、政策金利は25年末に3.6%台、26年末は2.8%台、27年末は3.0%台と予想されています(25年9月11日時点)。25年6月時点のFOMC参加者による経済見通しでの政策金利の中間値は25年末に3.9%、26年末の3.6%、27年末は3.4%です。 軟調な雇用関連の指標などを背景に、市場は25年6月FOMCの経済見通しに比べて早期かつ大幅な利下げを見込んでいるといえます。市場の見方は、予防的な利下げから、政策金利の長期・高水準の維持により景気後退を招き、後追いで金利を急なペースで引き下げる、いわゆるビハインド・ザ・カーブが懸念される状況にやや変化したと考えられます。来週の9月FOMCでの経済見通しや、パウエルFRB議長の会見でこの懸念が払しょくされるかが注目されます。 (野村證券 投資情報部 竹綱 宏行) 注)データは日本時間2025年9月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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09/11 16:20
【野村の夕解説】日経平均株価は最高値更新 AI関連株が上昇をけん引(9/11)
(注)画像はイメージです。 本日の動き AI需要による業績拡大への期待の高まりから、11日の日経平均株価はAI・半導体関連銘柄が主導し上昇しました。9日引け後に発表された米オラクルの決算でAIサービスへの強い需要が確認され、10日の米国株市場で同社の株価は急騰し、エヌビディアなどの半導体銘柄も上昇しました。11日の日本株市場寄り前に日銀が発表した8月の企業物価指数は前年同月比+2.7%と前月から伸びが加速しました。一方、北米向け自動車輸出価格は前年同月比-20.9%と大幅に低下しました。物価の伸びの加速が確認され、国内金利が上昇したことで株式市場の重石となったほか、自動車輸出価格の低下により自動車株は下落しました。ただ、米国株市場でAI・半導体関連株が上昇した流れを引き継ぎ、ソフトバンクグループやアドバンテストなど値がさ株の一角が大幅高となり、2銘柄で日経平均株価を484円押し上げました。結局、日経平均株価は引けにかけて堅調に推移し、終値は前日比534円高の44,372円と、連日で史上最高値を更新しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 11日、米国で8月CPI(消費者物価指数)が公表されます。市場でFRBによる利下げへの期待が高まっている中、結果によっては株式市場の反応が大きくなる可能性もあることから、注意が必要です。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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09/11 08:03
【野村の朝解説】S&P500は連日で過去最高値を更新(9/11)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場では、高値警戒感が意識される中、NYダウが下落する一方、S&P500指数とナスダック指数は続伸し、ともに連日で過去最高値を更新しました。前日に2025年6-8月期決算を発表したオラクルが大幅高となり、ハイテク株が相場をけん引しました。また、この日に発表された8月米生産者物価指数が前月から上昇するとの市場予想に反して、前月比でマイナスとなり、米10年国債利回りが一時5ヶ月ぶりの水準に低下したこともハイテク株の追い風となりました。 相場の注目点 9月FOMCでの0.25%ポイント(pt)の利下げが確実視されていますが、8月米雇用統計の結果を受けて、0.50%ptの大幅利下げや10月FOMCでの連続利下げなども意識され始めています。そうした中、FRBの金融政策を左右しうる8月米消費者物価指数(CPI)が本日発表されます。市場では、総合指数は前月比+0.3%、前年同月比+2.9%と、前月からインフレ率が加速すると予想されています。市場予想を上振れた場合、雇用情勢の悪化とインフレ圧力の強まりにより、スタグフレーション懸念が高まる可能性があります。結果としてFRBは積極的な金融緩和に動きづらくなり、利下げ期待を背景に上昇してきた米国株にとって逆風となる展開も想定されます。 本日は、東京市場寄付き前に7-9月期法人企業景気予測調査、8月国内企業物価指数、米国では上記の8月CPIのほか、週間新規失業保険申請件数(9月6日の週)が発表されます。ユーロ圏では、ECBが金融政策理事会を開催します。今会合では政策金利の据え置きがほぼ確実視されており、市場の関心は米国との通商協議を踏まえた景気・物価見通しや、記者会見でのラガルド総裁の発言に向かっています。 (野村證券 投資情報部 岡本 佳佑) 注)データは日本時間2025年9月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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09/10 16:27
【野村の夕解説】日経平均株価は最高値更新 AI関連株が上昇をけん引(9/10)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 10日の日経平均株価は、AI関連株の上昇が相場全体をけん引し、終値で最高値を更新しました。日本時間10日早朝に米ハイテク大手オラクルの決算が発表され、その中でAI関連のクラウド事業の急成長が示されました。これを受け、日経平均株価は前日比53円高の43,513円ではじまり、ソフトバンクグループやアドバンテスト、電線株の一角など、AI関連株とされる銘柄群が上昇しました。そのほか、一部の報道機関が、首相退陣による政治情勢が流動化する中でも、日本銀行が年内利上げの可能性を排除しない姿勢だと報じ、業種別では金利上昇への思惑から銀行株が上昇しました。日経平均株価は、43,500円~43,800円のレンジ内での推移が続いたものの引け間際に上昇し、終値は前日比378円高の43,837円と反発し、2025年8月18日の最高値(43,714円)を上回りました。個別株では、ソフトバンクグループの終値が前日比+7.28%、フジクラが同+5.61%、アドバンテストが同+3.26%となりました。3銘柄で日経平均株価を360円強押し上げ、アドバンテストは最高値を更新しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では8月のPPI(生産者物価指数)が発表されます。FRBによる金利政策への関心が高まる中、企業間の物価は関税の影響が色濃く出るため、結果に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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09/10 08:09
【野村の朝解説】雇用減速が改めて確認され、米株続伸(9/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9月9日の米国株式市場では、主要3指数が揃って続伸しました。米労働省が朝方発表した雇用統計の年次改定値(速報値)で2025年3月までの1年間の雇用者数が下方修正され、国内雇用の創出が従来の推計より91.1万人少なかったことがわかりました。雇用の減速が改めて確認されたことで、FRBが来週16-17日の会合で利下げを再開するとの市場の期待が継続しました。外国為替市場では、米雇用統計の年次改定値発表の前後で値動きが大きくなり、一時1米ドル=146円台前半まで円高方向に振れた後、147円台を回復しました。 相場の注目点 米国株は堅調に推移していますが、一方でバリュエーション面から割高感が指摘されています。今後の米国株の動向は、FRBによる利下げ期待や、景気動向、堅調な企業決算、AIによる成長期待が継続するかがカギになりそうです。市場では9月FOMCでの利下げに加え、年内に3回の利下げをかなりの程度織り込んでいます。米国では10日に8月生産者物価指数、11日に8月消費者物価指数が発表され、市場の強気な見方を試す展開となりそうです。利下げが市場の期待を満たさずに市場のボラティリティが高まるリスクは相応にあり、注意が必要です。また、金融政策は景気動向とあわせて考える必要があります。景気が底堅い中でのFRBの利下げ(予防的利下げ)の再開は株高となりやすいのですが、景気後退下での利下げは株安になりやすい傾向があります。引き続き米国の経済指標を丁寧に確認する必要がありそうです。他方、足元の日本株は、拡張的な財政や日銀の利上げ先送り期待、企業業績の改善、割高感のある米国株からの分散ニーズ、自社株買いなどが株価を押し上げています。足元では10月4日開催の自民党総裁選に向けた動向が相場を左右しそうです。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) 注)データは日本時間2025年9月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点