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【今週の米国株】20日のFOMCは米国株の脅威か好機か(3/18)

先週:インフレ懸念じわり、米金利上昇が株価の重石に 先週の米国株式市場は、米長期金利(10年国債利回り)の上昇が株価の重石となりました。米10年国債利回り8日終値の4.076%に対し、15日終値は4.309%と大幅に上昇しています。12日(火)発表の2月消費者物価指数(CPI)や、14日(木)発表の2月生産者物価指数(PPI)がいずれも市場予想を上回る伸びとなり、市場が織り込む2024年中の利下げ幅が縮小しました。 今週のポイントは2点です。 ポイント1:20日(水)のFOMC結果発表 足元の米国株は市場の金融政策の見通しを背景とした長期金利の動きに反応していると捉えられます。 今後の金融政策を予想するうえでは、19・20日に開催される3月FOMC(米連邦公開市場委員会)が最も重要です。20日(水)14:00(日本時間21日3:00)に結果が公表され、14:30からパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の会見が予定されています。今回のFOMCは、FRBの経済予測や、ドットチャートと呼ばれるFOMC参加者の今後の政策金利見通しが公表される会合です。 2023年12月のFOMCでは以下のドットチャートが示されました。 (注)図中の●はFOMC参加者が予想するその年の年末の政策金利(FF(フェデラル・ファンド)金利翌日物)のレンジの中央値。引き出し線で示されている数値は、参加者の予想中央値。政策金利のレンジ幅は0.25%であるため、例えば5.25%~5.50%のレンジを予想している参加者は中央値が5.375%となる。2023年12月の見通し時点の2023年末は実績。長期は長期先の着地点(Longer run)。見通しは3の倍数月のFOMCの開催後に発表される見通しで、それぞれのFOMCの日程は2023年9月は9月19-20日、2023年12月は12月12-13日。(出所)FRBより野村證券投資情報部作成 上記ドットチャートでは、2024年中に0.75%ポイントの利下げが示唆されています。1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントと仮定した場合、3回の利下げが想定されていることになります。FRBの見通しに対して、市場は概ね2024年中に4回以上の利下げ期待を織り込み続けてきましたが、足元の金利スワップ市場では3回未満とFRB見通しに近い予想となっています。 もっとも、足元の景気・インフレ指標は市場予想を上振れることが多くなっています。FOMC参加者からは景気が堅調である間は利下げを急ぐ必要がないとの声も大きく、2024年末の政策金利見通しは引き上げられる可能性があります。その場合、当初は長期金利上昇・株価下落圧力になると想定されます。ただし、金融引き締め継続の結果、先々ではインフレが前年同月比2%程度へと減速する可能性が高まることから、米国株押し目買いの機会となることも考えられます。 一方で、24年末の政策金利見通しが据え置きとなれば、FOMCが足元の景気・インフレがある程度堅調な中でも6月に利下げを開始することを示唆していることになります。一時的には金利低下・株価上昇材料となりやすいですが、先々でインフレ再燃のリスクが高まりうることには注意が必要です。 野村證券では、FRBの政策金利見通しは上方修正されると予想しています。野村證券では、FRBは2024年は7月と12月の計2回、各0.25%ポイントの利下げを行い、2024年末の政策金利は4.75-5.00%と予想しています(従来は同年6月、9月、12月に利下げを実施、同年末の政策金利は4.50‐4.75%と予想)。 ポイント2:20日(水)のマイクロン・テクノロジー決算発表 米企業の1-3月期決算発表は4月中旬からスタートします。その前哨戦となる2023年12月-2024年2月期決算の動向にも目配りが必要でしょう。 20日(水)には半導体メモリーのマイクロン・テクノロジー(MU)が、21日(木)にはコンサルティング及びシステムインテグレーターのアクセンチュア(ACN)とスポーツ用品のナイキ(NKE)が、2023年12月-2024年2月決算を発表する予定です。 先週決算を発表をした企業では、オラクル(ORCL)はクラウド事業の好調に加えエヌビディアとの提携が好感され株価は上昇、アドビ(ADBE)はChatGPTを手掛けるオープンAIが発表したSora(動画生成AI)との競争激化懸念に加え、決算発表で保守的な見通しを示したことを受け株価は下落しました。市場では、生成AIや半導体への関心が高い状況が続きそうです、今週はまずマイクロン・テクノロジーの決算発表に注目したいと考えます。 マイクロンはAI向けサーバーにも多く使われるDRAMと呼ばれるメモリー半導体を手掛ける大手メーカーです。野村のテクノロジーチームでは、DRAM全般の傾向として、引き続きAI向け需要の好調が継続しており、プロダクトミックスの改善に伴う平均単価上昇効果に加え、汎用DRAMでもHBMへの生産キャパシティの移行を通じた減産効果で、今後も着実に価格上昇が進むと予想しています。野村の予想通り同業界の堅調さが続くのか、マイクロンの決算発表やコメントを通じて確認したいと思います。また、同社とサムスン電子が技術的なリーダーとなっている3D構造の半導体に関するコメントは、アプライド・マテリアルズなど半導体製造装置メーカーの業績にも影響を与えます。設備投資の方向性・金額にも注目が集まります。 その他、アクセンチュアは顧客業界別のIT投資動向、ナイキは中国消費動向を考える上での参考に、それぞれ注目したいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点 野村オリジナル記事の配信スケジュール

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