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29分前

【11月の投資戦略】日経平均株価、最高値更新が続く テクノロジー株が引き続き牽引

(注)画像はイメージです。 企業業績拡大への確度の高まりが株価上昇の基本 日経平均株価は史上最高値の更新を続けています。AIビジネスに関連する企業への業績拡大期待が、日米の株価上昇に大きく寄与しています。我々は、リスクの所在が明確化し、主要国・地域の経済や企業活動などへの悪影響は克服可能/限定的となれば、企業業績の復調や拡大と共に株式市場への信頼感は回復してゆくとみてきましたが、この見方は現在も不変です。2026年は、日米ともに主要企業が史上最高益を更新するとみます。 FRBは利下げを継続 米国の関税や政治リスクなどによる主要国の景気減速懸念から、原油や穀物などの商品市況が軟調です。一方、金などの相対的に安全とみられる資産は、価格が急騰しています。米国の関税政策は、主要国・地域向けが概ね出そろうものの、戦略上の重要品目に対する関税発表は続く可能性があります。米国議会では、与野党の対立から政府閉鎖が長期化しています。経済への影響は限定的とみますが、経済指標の公表の遅れは、政策判断の支障となります。FRBは、雇用などの景気下振れリスクに対応するため、利下げを続けるとみます。 AI関連ビジネスを中心に業績拡大への期待 米国では、自動車関連企業の破たんで、地域金融機関を中心に貸し手の潜在的な損失リスクが高まりました。一方、大手金融機関の業績は良好で、金融市場における信用リスクは現時点で限定的です。5,000億米ドルもの巨額のAIインフラ整備に関するスターゲート計画は、早くも年内のコミットメントを達成し、投資は実行段階へと進んでいます。また、AI関連ビジネスはすそ野が広がり、テクノロジー企業を中心に業績や株価の上昇期待が高まっています。 中国は内需を中心に経済の自立を目指す ユーロ圏では、ECBの金融政策が据え置き局面に入っています。フランスで政治が混迷しており、財政規律が損なわれるリスクが意識され、10年国債利回りはイタリアと拮抗する程の上昇圧力を受けています。中国は、不動産市況を中心に国内経済が弱含んでいます。米国との通商交渉が不透明な中、国内需要を喚起して経済の自立を図る方針が示されました。 日本の企業業績は2026年度に増益転換と史上最高益更新へ 日本では高市政権が発足し、早速、物価高対策を含む経済対策の策定に着手しました。日本維新の会との政策協調が続く限り、連立政権は衆参両院で過半数に近い議席となり、政治の安定性は一定程度確保されるとみられます。関税の影響で米国向け輸出が落ち込むものの、企業の景況感は良好な水準にあります。企業はコスト上昇や人手不足が続く中で、生産性向上に向けた投資の必要性に迫られています。AIはその処方箋の一つかもしれません。インフレ率は2%を上回る水準が続き、日本銀行は経済や物価の改善に応じて利上げを行う姿勢を維持しています。市場では、政府との調整が必要と見つつも、年内の利上げの可能性も意識されています。その結果、国債利回りの上昇が続いています。米ドル円相場は、日米金利差の縮小にもかかわらず円安・米ドル高が進んでいます。米国の関税政策の織り込みが進み、足元では業績が上方修正軌道に復帰しています。2026年度は増益転換と史上最高益の更新が見込まれます。野村證券は、2025年末の日経平均株価の予想レンジ上限を52,000円とみます。 投資戦略については、米国トランプ政権の不規則な政策実施や、国内外で金利上昇が加速する場合、株式市場のボラティリティー(変動率)が高まる場面はあるとみます。PER(株価収益率)などのバリュエーションが高まっているとの見方もありますが、企業業績への信頼感が増し、利益成長が実現すれば、こうした評価は正当化されるとみます。成長が続くテクノロジー分野を基軸とする見方は変えません。 ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 11月号」(発行日:2025年10月27日)「投資戦略の概要」より 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト 小髙 貴久 1999年野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。日本の経済・財政・金融動向、内外資本フローなどの経済・為替に関する調査を経て、2009年より投資情報部で各国経済や為替、金利などをオール・ラウンドに調査。現在は日本株に軸足を置いた分析を行う。2013年よりNomura21Global編集長を務める。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点

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