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05/08 16:12
【野村の夕解説】日経平均株価、反落。トヨタは1兆円の自社株買い発表 (5/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比157円安の38,677円で取引を開始しました。前日に599円上昇していた反動や、前日の米国市場で上昇につながる目立った材料が無かったことから、ファーストリテイリングやソフトバンクグループなどの主力株や、東京エレクトロンなどの半導体関連の一角に下落が目立ちました。加えて、ハンセンH株指数など、アジア株式市場が軟調に推移したことも相場の重石となり、後場に入ってからも流れは変わらず、下げ幅を前日比675円に広げる場面も見られました。終値は前日比632円安の38,202円と本日の安値圏で取引を終えました。 今週は日本企業の2024年1-3月期決算発表がピークを迎え、企業決算を材料にした売買も目立ちました。前日引け後に、好決算を発表した横河電機が一時上場来高値を付けた他、本日の取引時間中に決算と最大1,000億円の自社株買いを発表した日本郵船は前日比4.06%上昇となりました。また、同じく取引時間中に決算を発表したトヨタ自動車の2025年3月期の営業利益見通しは、前期比減益予想となり、発表直後に一時、下げ幅を広げる場面も見られましたが、最大で1兆円の自社株買いを同時に発表していたことから下げ渋りました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日の引け後にはオムロンやロームなど100を超える企業の決算が発表されています。2025年3月期見通しに加え、自社株買いなど資本政策に対する市場の反応が注目されます。 (野村證券投資情報部 岩崎 裕美) ご投資にあたっての注意点
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05/08 08:18
【野村の朝解説】NYダウは小幅ながら5日続伸(5/8)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 7日の米主要3指数は小幅な値動きでした。4月雇用統計の発表以降、労働市場の過熱感が薄れつつあるとの見方からFRBによる利下げ開始時期先送り観測が後退する中、米10年国債利回りが低下し、株式市場を下支えました。NYダウは小幅ながら5日続伸となりました。一方、足元の株価上昇をけん引したハイテク株の一角が値を崩し、ナスダック総合指数は4営業日ぶりに反落しました。個別では、決算が嫌気されたウォルト・ディズニーが前日比-9.51%と大幅安となりました。 相場の注目点 米ドル円相場は、4月29日に一時1米ドル=160円台を付けた後、足元では1米ドル=154円台まで円高が進行しています。5月1日・3日に発表された4月のISM製造業・サービス業景気指数がそれぞれ市場予想を下回り、景況感の境目となる50を割り込みました。また、3日に発表された4月雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比+17.5万人と、市場予想(同+24.0万人)を大きく下回り、2023年11月以来の低水準となりました。米金利の再上昇や米ドル高などによる金融環境の引き締まりが影響し、年明け以降に見られた米国景況感の改善には一服感が見られ始めています。今後、小売売上高や鉱工業生産指数など雇用統計以外のハードデータでも弱さが確認されれば、米ドル高の勢いが緩みやすくなる可能性があります。 本日のイベント 今週は日本企業の決算発表がピークを迎えます。本日は、場中に三菱重工業やトヨタ自動車、伊藤忠商事など、引け後にはオムロンやローム、オリックスなど100社を超える企業決算発表が予定されています。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年5月8日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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05/07 19:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(4月第5週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年4月第5週(2024年4月26日~5月2日) 2024年4月月間(2024年3月29日~4月30日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年5月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年5月2日。月間のみ4月30日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年4月第5週(2024年4月26日~5月2日) 2024年4月月間(2024年3月29日~4月30日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年5月2日) (注)対象はTOPIX500、 直近値は2024年5月2日。月間のみ4月30日。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年5月2日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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05/07 15:52
【野村の夕解説】米国株上昇を受け、日経平均株価は599円高 (5/7)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日の米国では、3日発表の雇用統計で雇用の緩和が示され、長期金利の低下を受けてハイテク株が大きく上昇しました。この流れを引き継いで、連休明けの日経平均株価は前営業日比400円高の38,636円で取引を開始しました。東京エレクトロンなどの半導体関連株や、2日引け後に、ユニクロの4月国内売上高が好調だったことを発表したファーストリテイリングの上昇が目立ちました。日経平均株価は寄り付き後も上げ幅を広げ、一時前営業日比627円高の38,863円まで上昇しました。しかし、心理的節目の39,000円に接近すると上値は重く、38,000円台後半での推移を続けました。大引けでは前営業日比599円高の38,835円と3営業日ぶりに反発し、本日の高値圏で取引を終えました。日経平均株価の指数計算上、大きな影響を及ぼすファーストリテイリングは前営業日比+3.16%、東京エレクトロンは同+5.22%と大幅高となり、2銘柄で日経平均株価を約306円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 今週後半から来週にかけて、日本企業の2024年1-3月期決算発表がピークを迎えます。外為市場で米ドル円レートが乱高下する中、トヨタ自動車の決算発表が明日の午後予定されています。2024年3月期の実績に合わせて2025年3月期(今期)の見通しや今期の想定為替レートについて、とりわけ注目されています。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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05/07 09:30
【今週の注目決算】トヨタ自動車、JT、NTTなど(2024年5月第2週)
日本企業の2024年1-3月期決算の発表が山場を迎えます。代表的な銘柄では、お気に入り登録数で2位のトヨタ自動車(7203)と6位の三菱重工業(7011)が5月8日、4位の日本たばこ産業(2914)と7位の日本製鉄(5401)が5月9日、3位の日本電信電話(9432)と9位の本田技研工業(7267)が5月10日に決算発表を予定しています。 (野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点
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05/07 08:37
【野村の朝解説】米国株主要3指数は上昇(5/7)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 日本の休日中の米国株式主要3指数の騰落は、NYダウは5月1日比+2.50%、S&P500は同+3.24% 、ナスダック総合は同+4.77%でした。米国で発表された4月の米雇用統計では平均時給の伸びや雇用者数が市場予想を下回りました。FRBの利下げが後ずれする事への警戒が和らぎ、米国長期金利は低下しました。金利低下の追い風に加えて、注目されていたアップルの決算も株式市場では好感され、米国株式相場は強含みの展開となりました。米ドル円レートは日本時間2日15時時点の1米ドル=155円50銭台から、3日には一時1米ドル=151円台まで円高が進みました。その後はやや円安に転じ、153円80銭前後(日本時間7日7時時点)で推移しています。 相場の注目点 米国株式市場の上昇を受けた東京株式市場では、心理的節目の39,000円に向けた上昇が期待されています。ナスダック総合の上昇を受けた主力ハイテク株の動向や、2日比で約2円、米ドル安円高が進んだことから、輸出関連株とりわけ明日決算発表を予定しているトヨタ自動車など自動車関連株の動向が注目されます。 本日のイベント 本日国内では、JFEホールディングスや任天堂、川崎汽船などの決算発表が予定されています。米国ではウォルト・ディズニー・カンパニーなどの決算発表が予定されています。 (投資情報部 神谷和男) (注)データは日本時間2024年5月7日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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05/06 19:00
【特集】セル・イン・メイ-「株は5月に売り逃げろ」は有効か? 長期日米株価から検証
「セル・イン・メイ」という相場の格言をご存じでしょうか。「5月にいったん売り逃げろ」という米国などで言い伝えられてきた先人の教えです。これには「ただし9月にはマーケットに戻ってこい」という続きの言葉があります。昔からあるアノマリー(経験則)に沿って株価変動を分析してみると、どんな結果が見えてくるでしょうか。野村證券で個人投資家向けに株式投資の情報を提供している投資情報部に、過去の株価変動の検証を踏まえて話を聞きました。 月間平均騰落率は10月以降堅調、勝率でも差あり ――これまでのNYダウと日経平均株価の動向から見て、セル・イン・メイは有効な戦略と言えるのでしょうか。 セル・イン・メイの格言について、1940年代から2024年3月までのNYダウと日経平均株価の株価動向を検証してみましょう。まずは各株価指数の月間平均騰落率です。NYダウと日経平均株価ではともに、5月から9月までに比べ、10月から4月にかけては堅調な月が多い様子がうかがえます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)NYダウの動向は1945年1月からの月末値を基に算出、日経平均株価の動向は1949年6月からの月末値を基に算出。ともに直近値は2024年3月末。(出所)NYダウの動向はS&Pダウジョーンズ・インデックス社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成。日経平均株価の動向は日本経済新聞社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 次に、セル・イン・メイについて、株価指数の月末値を使った期間別平均騰落率を試算して検証してみたいと思います。セル・イン・メイ(5月に売る)とすると、時期の近い月末値は4月末もしくは5月末になりますが、今回の試算では、この時期を4月末と置きました。格言に則った「前年9月末に各株価指数を買い、4月末に売った場合」と、格言の反対の投資行動といえる「4月末に買い、9月末に売った場合」とで比べてみましょう。 「前年9月末に買い、4月末に売った場合」は、NYダウと日経平均株価のいずれも+8.1%と高いパフォーマンスになりました。一方で反対の「4月末に買い、9月末に売った場合」は、NYダウは+0.2%、日経平均株価は+1.5%と冴えない結果となっています。 (注)NYダウの動向は1944年9月からの月末値を基に算出、日経平均株価の動向は1949年6月からの月末値を基に算出。ともに直近値は2024年3月末。(出所)NYダウの動向はS&Pダウジョーンズ・インデックス社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成。日経平均株価の動向は日本経済新聞社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 「上昇した回数が占める割合」を表す勝率はどうでしょうか。格言に則った「前年9月末に買い、4月末に売った場合」は、NYダウと日経平均株価はともに約7割の確率で上昇しています。一方で、逆に「4月末に買い、9月末に売った場合」はNYダウも日経平均株価も5~6割程度でした。 (注)NYダウの動向は1944年9月からの月末値を基に算出、日経平均株価の動向は1949年6月からの月末値を基に算出。ともに直近値は2024年3月末。(出所)NYダウの動向はS&Pダウジョーンズ・インデックス社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成。日経平均株価の動向は日本経済新聞社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 このようにNYダウと日経平均株価における長期株価動向によると、アノマリーもあながちただの言い伝えとは言えなさそうです。 ――5月から9月にかけて株価パフォーマンスが鈍化傾向にあった要因として、どんなことが考えられるのでしょうか。 まず米国では、個人の確定申告の税還付の資金流入が一巡することや、夏季休暇前のポジション調整などがその理由として挙げられます。日本でも、夏場はお盆休みなどで市場参加者が減り、株式市場の取引高が減少して相場があまり動かなくなる、いわゆる「夏枯れ相場」などがあります。いずれにしても明確な根拠はなく、セル・イン・メイはあくまでも一つのアノマリーとして考えた方がいいでしょう。 2024年の今後の注目ポイントは? ――話は変わるのですが、最後に、2024年の足下までの市場動向とこれからの株式市場を見ていく上で、注目すべきポイントを教えてください。 2024年はNYダウも日経平均株価も1月から3月にかけて大きく上昇し、3月末までに、ともに史上最高値を更新しています。その一方で4月から6月にかけては、その反動が出やすいと見込まれます。特に日本市場に関しては、この先、1ドル=140円を割り込むなど円安修正の動きが急激に進行した場合は、株価はもう一段下がる可能性もあるかもしれません。 下期に入ると、11月5日の米国大統領選が、米国だけではなく日本の株式市場も含めた変動要因になることも考えられます。民主党・共和党のどちらの候補者が勝利するかで政策の方向性が変わるため、企業はその状況を見極めようと選挙後まで経営の意思決定や設備投資などを後ずれさせる可能性があるためです。 変動要因の見極めが難しい時期の投資はリスクが大きい一方で、リターンの期待値も大きくなります。今回の大統領選挙の前後で株価の動向がどうなるかはわかりませんが、中長期的な投資をする上でも、米国大統領選の行方は視野に入れておく必要がありそうです。 ※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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05/06 12:00
【特集】“インデックス以上”を期待できるアクティブ・ファンド選び プロの5つの視点
撮影/竹井俊晴 数多くのファンドのなかから、自分の資産形成に適したファンドを選ぶために、どのような視点を持てばよいでしょうか。 例えば、インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの違いや、インデックス・ファンドを上回るパフォーマンスが期待できるアクティブ・ファンドの選び方などについても理解しておくと、銘柄選びの手助けとなるでしょう。 ファンド評価会社の野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングの今村信博は、上記のようなファンドを選ぶ視点は5つあると言います。詳しく解説してもらいます。 インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの違い ――「全世界株に投資するインデックス・ファンド1本でいい」といった意見を聞くことがありますが、インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの違いとは何でしょうか。 野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング(以下、NFRC) 今村信博(以下同)インデックス・ファンドは、特定の指数と連動することを目指して運用されるファンドです。例外もありますが、主要な国や地域、全世界などの指数を対象とするファンドがほとんどです。 それに対し、アクティブ・ファンドは特定の地域・国・業種・テーマなど、様々な投資対象のバリエーションがあります。小型株やハイ・イールド債といった、ニッチな資産クラスを対象としたものもあり、個人投資家の運用目的や関心を持っているテーマ、投資哲学に合わせた投資ができます。ただし、インデックス・ファンドに比べると相対的にコストは高めです。 例えば「日本株が今好調なので投資比率を高めたい」と思ったとします。インデックス・ファンドの場合、日本株市場の全体に投資することになりますが、アクティブ・ファンドの場合は「これから成長が見込める中小型株に投資したい」「配当を多く出している企業に投資したい」など様々なテーマや哲学で選ぶことができるわけです。選択肢が広がるのがアクティブ・ファンドの特徴とも言えます。 ――「アクティブ・ファンドはコストが高く、コストも加味したパフォーマンスではインデックス・ファンドに勝てない」という意見をよく聞きますが、本当でしょうか。 比較する期間や対象によって違いますが、インデックス・ファンドのパフォーマンスを上回った、言い換えれば、“勝った”アクティブ・ファンドはあります。 しかし、特に今の米国株市場は、時価総額の高いマグニフィセント・セブンと呼ばれる企業が指数の構成比で上位を占めています。それら特定の銘柄が指数のパフォーマンスをけん引している側面があり、アクティブ・ファンドがリスク管理の観点などから、それらの銘柄を十分に保有できていない場合などに、インデックス・ファンドのほうが有利になる可能性があります。 一方、NFRCでは、日本株市場を対象に、インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドでどちらの平均リターンが高いのか比較を行ったことがあります。すると、調査対象の期間によって結果は変わることがわかりました。 ※野村総合研究所Fundmarkの国内株式/一般/フリーに分類されるファンド(2023年12月末時点で、10年以上の運用実績があるアクティブ・ファンド131本)を対象とした調査。勝率はファンド数ベースで算出。期間は過去3年(2021年1月~2023年12月)、過去5年(2018年1月~2023年12月)、過去10年(2014年1月~2023年12月)で比較 過去3年間は、インデックス・ファンドが強いのですが、5年間、10年の期間で見てみると半分くらいのアクティブ・ファンドが勝っており、平均リターンもわずかにアクティブ・ファンドが上回っていました。 直近の3年間は、日本株市場全体が上昇する局面にありました。つまり、業績のいい企業も悪い企業も総じて上がる市場環境ではインデックス・ファンドが強いのですが、市場のいい時も悪い時も含めた長期投資の視点では、個別銘柄を目利きして選んでいるアクティブ・ファンドが有利になる可能性があります。 ファンドは“生もの” 良い実績がこの先も続くとは限らない ただし、長期投資をすればどのアクティブ・ファンドも勝てるというわけではありません。同じ資産カテゴリーのファンド間でも大きなリターン格差が生じることがあります。こちらをご覧ください。 日本株全般を投資対象とするアクティブ・ファンドに関して、過去10年間の累積リターンを示しています。最も結果の良かったファンドは約+284%であった一方で、最も結果の悪かったファンドは約-25%と、実に300%以上もの差があります。 アクティブ・ファンドおよびインデックス・ファンド平均は単純平均出所: 野村総合研究所Fundmarkで「国内株式・一般・フリー」に分類された全投資信託の税引き前分配金再投資後リターンを基にNFRC作成 ――大きな差ですね。パフォーマンスの悪いアクティブ・ファンドを選ばないようにするためには、過去のパフォーマンスのいいものを選ぶと良いのでしょうか。 過去の運用実績が良いからと言って、将来の運用実績が高いとは言えません。こちらは、日本株へ投資するアクティブ・ファンドについて、2020年12月までの3年間のリターンと2023年12月までの3年間のリターンを比較したチャートです。 前半の3年間でパフォーマンスがいいものが、後半ではぐっと下がっている、その逆もあることがわかると思います。 Fundmark 「国内株式:一般:フリー」に分類され、過去6年間の運用実績を有するファンドについて、累積リターン・ランクの変化を表示している。なお、累積リターン・ランクは、3年前と直近月のそれぞれの時点において、過去3年間の運用実績を有した全ファンドの中での相対的な順位を表している。出所:NFRC その理由のひとつは市場の変化です。バリュー株投資が優位な市場からグロース株投資が優位な市場に変化する、またはその逆もあります。他に、運用会社の買収・合併や運用者の交代、運用手法・プロセスの変更などにより過去のパフォーマンスの再現性がなくなってしまうことがあります。ファンドは“生もの”なのです。 強いファンドを見極める「定性評価」とは ――過去のパフォーマンスだけではファンドを選べないということがわかりました。では、何を見るのが良いのでしょうか。 NFRCは、ファンドを評価するために、過去の運用成績がどうだったかという定量評価ではなく、将来どうなるかを予測するための定性評価を重視しています。主に注目しているのは、運用体制・運用プロセス・情報開示の3つの観点です。 伝統的資産:株式や債券などを指す。出所:NFRC 優れた運用成績があるかどうかはもちろん、その運用体制が強固なものであるか、根底にある運用哲学にぶれがないかどうかを見ることにより、中長期の観点で運用を任せられるファンドなのかどうかを判断するのです。 評価項目は多岐にわたり、例えばファンドマネージャーやアナリストたちの人事評価の方針なども調べます。彼らが働くモチベーションを保てるかどうかは運用体制を判断するうえで大切だからです。 ――個人投資家が、定性評価の観点から、ファンドを判断することはできますか。 ファンドのホームページ等に載っている目論見書や運用報告書などを通じて、ある程度の情報を取ることができますが、特に5つの観点はチェックしてほしいと思います。 運用実績コスト水準ポートフォリオの状況投資哲学・運用方針資産規模 純資産 上の3つは、目論見書や運用報告書などでわかる部分も多いと思います。 4つめの「投資哲学・運用方針」については、運用担当者がインタビューに答えていたり、動画投稿サイトなどで発信したりしていると、投資哲学や運用方針がわかりやすいでしょう。それに共感できるかどうかは大切です。 例えば、社会貢献している優良な企業に投資する哲学を持つファンドがあったとして、投資家がそれに共感していれば、投資を通じて社会貢献している実感を持つことができるでしょう。その哲学が崩れなければ、市場が悪いときにも投資を続けるモチベーションになるかもしれません。 ――5つ目の資産規模をチェックする必要があるのはなぜですか。 急激に資産規模が縮小し、償還条項に近づいているようなファンドは、償還するリスクが相対的に高まっているため注意が必要です。 一方で、大きくなりすぎている場合も注意が必要なのです。例えば中小型株の投資でパフォーマンスがよかったファンドの資産規模が大きくなると、中小型株への投資だけではポートフォリオを保てなくなり、大型株を一部組み入れるなど方針が変わってしまう場合があります。すると、本来の強みを発揮できなくなることも考えられます。 大切なのは、こうした視点でファンドを継続的にみることなのですが、個人投資家にとっては情報収集が難しい点もあるでしょう。そこで、我々のようなファンド評価会社を活用してほしいと思います。例えば野村證券のオンラインサービスでは、主要なファンドについて「ファンド詳細レポート」を見ることができます。公開情報だけではとらえにくい定性面でのポイントなどを記載しており、過去と比較した継続性についてもまとめています。 ――こうした情報収集をしながら、自分の投資哲学に合うアクティブ・ファンドを見つけられると、投資リテラシーも上がりそうです。ありがとうございました。 野村の投資信託情報誌「Nomura Fund21」は、投資信託業界の潮流や変化、最近の投資戦略やトレンドなどが理解できる情報を掲載しています。Vol.162では、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングが解説する「良いファンドの見極め方」や、「運用会社に聞くアクティブ運用の裏側」を特集しています(偶数月第1営業日更新)。 こちらから読むことができます。Nomura Fund21|野村の投資情報|野村證券 野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング ファンド分析部長ファンド・リサーチ・ヘッド今村信博(いまむら・のぶひろ)1998年、中央大学経済学部卒業。同年、野村證券入社。広島支店等を経て、2003年、野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー(現野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング)ファンド分析部。一貫してファンド・アナリストとして従事し、外国株チームリーダー、ロンドン支店長等を歴任、2020年ファンド・リサーチ・ヘッド、2022年にファンド分析部長に就任、現在に至る。CFA協会認定証券アナリスト、CAIA協会認定オルタナティブ投資アナリスト、日本証券アナリスト協会認定アナリスト ※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングの見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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05/06 09:00
【野村の動画】建設費上昇、不動産業界への影響は?
近年の建築費の高騰とビル賃貸市況を鑑み、五反田TOCビルの建て替えが延期されることが発表されました。現在の不動産業界において、計画変更や遅延のリスクは高まっているのでしょうか?そして、各社の業績への悪影響についてはあまり考慮しなくても大丈夫なのでしょうか? ご投資にあたっての注意点