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07/28 09:00
【8月の投資戦略】短期的な調整局面があっても、業績拡大で乗り越えると予想
目次・史上最高値更新は業績拡大への期待が背景・FRBは9月に利下げへ・米国企業業績の拡大は様々な業種に広がる・中国を取り巻く通商問題に注意・賃金と物価の好循環への信頼が強まれば利上げへ・金利上昇局面ではPERの切上りも一般的 史上最高値更新は業績拡大への期待が背景 2024年2月の日経平均株価に続き、7月にTOPIXは約34年半ぶりに資産バブル期以来となる史上最高値を更新しました。米国では景気に配慮した利下げが近づきつつあります。我々は、米国株式市場は金融相場から業績相場に、日本株市場も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみてきました。米中通商問題や米国大統領選挙など、政治的に不透明な問題はありますが、株式市場を見る上での基本観は企業業績との見方は変わりません。 FRBは9月に利下げへ 主要先進国・地域の経済成長率は、巡航速度に落ち着くとみられます。米国では雇用情勢の緩和とインフレの減速が進んでおり、FRB高官の一部からは、雇用の悪化リスクに配慮すべきとの意見がみられます。FRBの利下げ開始は9月からとの見方が強まっており、金融市場は年内2回以上の政策金利引き下げを織り込んだ状態にあります。 米国企業業績の拡大は様々な業種に広がる 米国大統領選挙については、共和党のトランプ候補の支持率が上昇しています。米国第一主義を掲げ、エネルギー産業への支援を打ち出す一方、輸入関税の引き上げや、特に中国に対する強硬姿勢を示しています。他方、バイデン大統領はハリス副大統領候補を後任候補に推薦しました。企業業績は、2024年末に向けて二桁増益への加速が見込まれています。AI関連の製品・サービスを手掛ける大手テクノロジー企業の業績が伸長してきましたが、その他の企業群もいよいよ増益に転じることで、米国企業全体の利益成長は加速するとみられます。 中国を取り巻く通商問題に注意 ユーロ圏はフランスや英国で議会選挙が実施されました。フランスでは極右勢力の躍進に歯止めがかかり、その後、金融市場は概ね落ち着いています。ユーロ圏では緩やかなペースでの利下げが続くとみられます。中国は不動産市況の不振による内需の停滞が続く中で、輸出を推進する動きが強まっています。米国や欧州と、中国との通商問題の高まりには注意が必要でしょう。 賃金と物価の好循環への信頼が強まれば利上げへ 日本では品質不正問題などから自動車産業の不振が続いているものの、電子部品をはじめその他の製造業の業況は好転入りが示唆されます。設備投資にも持ち直しがみられます。賃金上昇が明確化し、賃金と物価の好循環への信頼が強まれば、日本銀行による追加利上げが視野に入ります。2024年7月の金融政策決定会合では、国債買い入れの具体的な減額計画が発表されます。その後、野村證券は10月に利上げが行われると予想します。 金利上昇局面ではPERの切上りも一般的 円安の加速に歯止めをかけるため、政府は為替介入を実施しました。ただし、米ドル円相場の反転には、米国政策金利の引き下げが大きな鍵を握ります。日本の2024年度の企業業績は、円安の追い風もあって、4-6月期決算発表時に、年度当初の保守的な会社予想を上回る業績が示される可能性があります。また、企業の自社株買いは今後増加してゆくとみられます。景気拡大を起点とした金利上昇の中で、PER(株価収益率)の切上りは一般的です。野村證券は、2024年末の日経平均株価は42,000円、年内のレンジ上限は46,000円と予想します。 投資戦略については、短期的な調整局面があったとしても、基本観として、日米株式市場は企業業績の拡大に沿って推移するとみます。米国では政策金利の引き下げが株価の支援材料となり、日本の利上げは予想される幅では景気や企業業績の失速要因にはならないとみます。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 8月号」(発行日:2024年7月22日)「投資戦略の概要」より※掲載している画像はイメージです。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点
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07/27 19:00
【来週の米国株】一時1ドル=151円台、先行きはFOMC&日銀会合に訊け(7/27)
※執筆時点 日本時間26日(金)12:00 今週:ハイテク決算は「欠点凝視」で下落 ※7月19日(金)-7月26日(木)4営業日の騰落 政治・金融政策への不透明感増し株安・ドル安 前週末21日(日)にバイデン大統領が次期大統領選からの撤退を発表しました。後任の候補としてハリス副大統領が確実視されています。各種調査では依然トランプ氏が優勢ですが、銃撃事件直後からはやや支持率が低下していると見られ、今週米国株が大きく下落した一因に大統領選の先行きに不透明感が増したことがあったとみられます。 また、30日(火)-31日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀政策決定会合が控える中、金融政策への不透明感が増していることも下落の背景にあるとみられます。日銀の利上げ観測もくすぶる中、為替市場は円高方向に大きく揺り戻し、一時1ドル=151円台まで円高ドル安が進行しました。 決算後、主要企業の株価は下落 19日(金)には、クラウドストライク・ホールディングのシステムアップデートの不具合によりマイクロソフト社の製品などが一時使用不可となる障害が発生しました。これを受けて情報技術セクターが下落する場面もありましたが、市場全体への影響は限定的とみられます。 より市場の注目度が高かったのは、本格化する4-6月期決算発表です。マグニフィセント7と称される銘柄の中ではテスラとアルファベットが決算を発表し、いずれも発表後に株価は下落しました。テスラでは市場予想を下回った1株当たり利益(EPS)、アルファベットではyoutube広告の不調などネガティブな点に市場は反応したとみられます。ただし冷静に業績を見れば良い点も多く、例えばアルファベットでは、グーグルのクラウド事業売上高は前年同期比で高い伸びとなり、市場予想も上回りました。短期的には利益確定売りが下落要因になっている側面もあり、中長期では決算内容を見極めて投資を考える局面と考えます。 テスラ決算概要 アルファベット決算概要 来週①:1ドル=150-155円レンジを予想 日本の米国株投資家にとっては、為替が気になる局面です。足元は、株式市場の急落が市場心理を悪化したことによる、リスク回避的な動きから円高・ドル安が進んでいると考えられます。為替にとっても、目先の焦点は世界的な株安が一巡し、市場心理が安定するかどうかです。 31日(水)日銀金融政策決定会合では国債購入ペースの減額計画に加え、追加利上げの必要性も議論される見込みです。これまでの観測報道を見ると、追加利上げ実施への機運は高まっている様子ですが、家計消費の弱さへの警戒もあると想定されます。7月に利上げが見送られた場合でも、1-2名の政策委員が利上げを支持して反対票を投じるなど、9月会合に向けた利上げ期待を維持するコミュニケーションが見られそうです。仮に利上げが決定されれば、短期的に150円を目指す円高が意識されると想定されます。31日(水)のFOMCは政策変更なしとみられ、今後の政策金利見通しが発表される会合でもないため、日銀政策決定に比べると影響は限定的と想定されますが、声明文やパウエルFRB議長の会見から、9月以降の金融政策について示唆が得られないか、確認したいと思います。 野村證券では、2024年末に1ドル=148円、2025年末に1ドル=140円と円高傾向を予想しています。 来週②:月初の主要経済指標も重要 足元ではインフレ鈍化継続と景気のソフトランディングがコンセンサスになっている中で、1日(木)ISM製造業景気指数や2日(金)雇用統計などの主要指標で景気失速やインフレ再燃の兆候が見られた場合は、株安のきっかけになり得ます。 来週③:ハイテク大手3社決算に注目 短期的にはマクロ要因が株価や為替を動かしやすい局面ですが、中長期の投資を考えるうえではピークを迎える4-6月期決算発表に注目が集まります。30日(火)にマイクロソフト、1日(木)にアップル、アマゾン・ドットコムが発表を予定しています。各社の業績に対する市場の期待は高まっており、市場期待を上回る業績改善のハードルは相当高いと言わざるを得ません。このため、仮に決算発表後に株価が下落するようなことがあっても、内容を見極め冷静に投資判断をしていく局面と考えます。 以下に前回決算の振り返りを掲載いたします。ご参考にしてください。 マイクロソフト前回決算概要 マイクロソフト の前回(1-3月期)の実績は、AI需要がけん引し各セグメントの売上高で市場予想を上回る堅調な内容でした。ただし、4-6月期の売上高見通しではクラウド以外の2部門で市場予想を下回りました。ビジネス需要やハードウェア需要を慎重に見ていたことが分かります。足元でハードウェアも緩やかながら復調傾向にあり、市場予想を上回れることができるかに注目が集まります。 アップル前回決算概要 アップルの前回(1-3月期)決算では、iPhoneが大幅減収となった一方、サービス部門の売上高は好調でした。PCやスマートフォン市場全体を見ると、力強さに欠けるものの緩やかな回復局面が継続しています。野村證券では、今後PCの買い替えサイクル入りやAI機能搭載等の需要押上げ効果が期待されると予想しており、当社についてもiPhone部門で市場予想を上回ることができるかが注目されます。 アマゾン・ドットコム前回決算概要 アマゾン・ドットコムの前回(1-3月期)決算は、北米小売・AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の主要2部門で市場予想を上回りました。 小売事業ではブランド衣料品や抗肥満薬などの医薬品といった品揃えの拡大やコスト削減が奏功しました。米景気の失速懸念はありますが、7月に行われたアマゾン・プライムデーでは前年を超える売上高があったと発表され、消費の選別投資先として当社が選ばれている可能性もあります。また、AWSはクラウド事業の売上高で世界一であり、今週発表のあったアルファベットのグーグル・クラウド(世界3位、2位はマイクロソフトのAzure)同様、市場予想を上回ることができるかが注目されます。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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07/27 06:30
【特集】パリ五輪開幕!メダル獲得数が増えると株価も上昇する?
(注)画像はイメージ。 7月26日に「パリ2024オリンピック」が開幕し、8月11日まで開催される予定です。そこで今回、過去の五輪開催前後2週間ずつの日経平均株価のパフォーマンスを検証しました。 その結果、2つの傾向が見られました。 1点目は、大会開幕に向けては相場が軟調に推移することが多い点です。2つのチャートを見ると、いずれも中央に引かれた点線の開会式前日にかけて、株価が下落した年が多い様子がわかります。 2点目は、メダルの数によって、開催中の株価の推移の仕方に特徴がみられたことです。 1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックから、2021年に開催された東京オリンピックまでの10回の大会を、日本が獲得した金・銀・銅メダルの獲得総数とともに検証したところ、獲得メダル数が30個以上だったのが5大会、30個未満だったのも同じく5大会ありました。 そこでメダルの数が30個以上と30個未満だった2つのケースに分けて分析しました。その結果、メダルを30個以上獲得した大会では、下図の通り、約2週間にわたる開催期間中、日経平均株価は堅調な推移をする傾向が見られました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)1984年以降の夏季大会を対象。獲得メダル数とは、日本が獲得した金、銀、銅メダルの総数。(注2)株価は日次ベース。五輪開会式の前営業日を起点日として、前後15営業日分の推移を掲載。(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成 一方、メダル獲得数が30個に届かなかった大会では、下図の通り、期間中の日経平均株価は上値の重い展開が続いた様子がわかります。 (注1)1984年以降の夏季大会を対象。獲得メダル数とは、日本が獲得した金、銀、銅メダルの総数。(注2)株価は日次ベース。五輪開会式の前営業日を起点日として、前後15営業日分の推移を掲載。(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成 夏場の株式市場は、過去の経験則に基づくと元々軟調な地合いになりやすい傾向にありますが、オリンピックの盛り上がり具合によってはこの先日本株の買い場が訪れるかもしれません。 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) ご投資にあたっての注意点
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07/27 06:00
【来週の予定】7月日銀会合とFOMC開催、サプライズはあるか?
来週の注目点:日米金融政策会合と米中の重要統計 7月30日(火)~31日(水)には日本、米国で金融政策会合が開催されます。米国の金融政策は据え置きが予想されています。市場では次回9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ期待が高まっていることから、利下げ開始時期やその後の利下げペースに関して、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長から何らかのヒントが得られるかが注目点です。 日本銀行の金融政策決定会合では、展望レポートに加えて、国債買い入れ減額に関する具体的な計画が発表されます。事前に開催された「債券市場参加者会合」では減額幅や減額ペースについて参加者間の見解の相違が目立ちました。このため、日銀は予見可能性と柔軟性の両立という難しい選択を迫られそうです。同会合では円安懸念を背景に利上げ観測も根強く、日銀の判断が注目されます。 注目度の高い経済指標として米国では、7月31日(水)の4-6月期の雇用コスト指数、7月ADP全米雇用レポート、8月1日(木)の7月ISM製造業景気指数、2日(金)の7月雇用統計が挙げられます。 欧州では30日(火)にユーロ圏、ドイツの4-6月期実質GDP速報値が発表されます。今回は速報値のため需要項目は発表されませんが、ユーロ圏景気の回復ペースを確認する上で、市場の注目度は高いと見られます。 中国では31日(水)に7月政府版PMI、8月1日(木)に同じく7月財新版製造業PMIが発表されます。中国経済は不動産市況の低迷が重石となっているため、中央政府は様々な経済対策を講じていますが、5%の成長目標を達成するには未だ力不足だとみられます。 中国では例年この時期に中国共産党の現指導部と、長老や有識者の会合である「北戴河会議」が開催されます。原則として秘密会議であり、習近平1強体制の下で同会合が重要な転機になる可能性は低いと見られます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年7月26日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/26 16:28
【野村の夕解説】リスクオフ継続で日経平均株価は8営業日続落(7/26)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比76円安の37,792円と続落して取引を開始しました。前日の米国株式市場でハイテク株の下落が続いており、東京エレクトロンなどのハイテク株の多くは下落して寄り付いた後も下げ幅を拡大しました。日経平均株価は前日まで7営業日続落でこの間約3,400円下落しており、自律反発のような動きで上昇に転じる場面もありました。しかし、新規の買い材料に欠き、日経平均株価は再度下げに転じ、大引けは202円安の37,667円で本日の取引を終えました。日経平均株価は2021年10月以来2年9ヶ月ぶりの8営業日連続の下落となりました。 個別銘柄では、決算内容が材料視され動意付く銘柄が目立ちました。前日引け後の決算が好感されたキヤノンが前日比+6.66%、富士通は同+10.86%と上昇しました。一方で東京エレクトロン同ー4.77%、アドバンテスト同ー3.55%、ソフトバンクグループ同ー2.03%となるなど主要ハイテク株の下落が重石となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では本日6月PCE(個人消費支出)コアデフレーターが発表されます。30ー31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて、同指標が市場の予想通り減速となるか注目されています。 (野村證券投資情報部 神谷和男) ご投資にあたっての注意点
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07/26 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価38,000円割れ、指標面は短期的な売られすぎを示唆
※画像はイメージです。 ※2024年7月25日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、下落率は過去の一時的調整局面のレンジ内に 今週の日経平均株価は、米ハイテク株安や円高進行を嫌気して大幅安となりました。25日まで7営業日続落し、約3ヶ月ぶりに3万8,000円台を割り込みました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、7月11日高値42,400円台まで上値を切り上げましたが、その後は、「三川宵の明星」の天井形成を示唆するパターンが示現し大幅安となりました。 22日に4万円の心理的フシを割り込み、25日には75日線(7月25日:39,083円)の水準を大きく下回り一時37,825円をつける等、次々とフシを抜けて下落しました。 この先、さらに調整が続く場合は、5月30日安値(37,617円)や、4月19日安値(36,733円)、200日移動平均線(7月25日:36,656円)が下値のメドとして挙げられます。 一方で、これまでの大幅安を受けて、25日移動平均線からの乖離率はマイナス5%を超え、RSIは20%台まで低下しており、短期的な売られすぎを示唆しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年7月25日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 また、今年7月高値からの下落率(7月25日時点 終値ベース:10.3%、P5)は、既に過去の中長期上昇局面内の一時的調整時(図2中:①~④)における下落率(7.1~11.3%)のレンジ内に入っており、この先底入れ反発に向けた動きとなることが期待されます。 (注1)直近値は2024年7月25日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 ナスダック総合指数は調整進展、底入れ反発となるか 世界の株式市場は7月中旬から大幅安となっています。その中でも、ハイテク株のウェイトが高いナスダック総合指数は、米国の対中半導体規制強化の報道や、大手テクノロジー企業の失望的な決算等から、大きく値を切り下げました。そこで、今回は同指数についてチャート面からみてみましょう。 ナスダック総合指数は7月11日高値(ザラバベース:18,671pt)形成後に調整局面入りし、25日移動平均線を割り込んでおり、この先の下値メドとして、75日移動平均線(7月24日:16,992pt)や、今年3月高値(16,538pt)の水準が挙げられます(図3)。 (注1)直近値は2024年7月24日。(注2)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成 ただ、今回の下落は、中長期上昇局面内の一時的な調整であると考えられます(図4)。今年7月高値にかけての中長期上昇局面(22/12~24/7)と、前回の同上昇局面(20/3~21/11)を比較した場合、上昇幅や上昇率の点で今後も上昇余地が残っていると考えられ、調整一巡後は再び上昇トレンドに回帰すると考えられます。 7月24日時点で7月高値からの下落率は7.0%(終値ベース)となっています。過去の中長期上昇局面内の一時的調整局面(P17:①~⑥)における下落率のレンジ(7.1~12.3%)に接近しており、調整が進展している様子が窺えます。 これまでの急落を受けて、25日線からの乖離率等の各種テクニカル指標は低水準となっており、調整一巡後に底入れ反発へ向けた動きとなることが期待されます。 (注1)直近値は2024年7月24日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎 ) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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07/26 08:15
【野村の朝解説】NYダウは上昇も、一部ハイテク株安は続く(7/26)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 25日の米国株式市場で、NYダウは前日比+81.20ドル(+0.20%)の39,953.07ドルとなり、3営業日ぶりに反発しました。米国2024年4-6月期の実質GDP速報値が、前期比年率+2.8%と市場予想(同+2.0%)を上回る伸びとなり、米景気の底堅さが示されたことなどから、景気敏感株を中心に株価が上昇しました。NYダウの上げ幅は、一時600ドル近くまで拡大する場面もありましたが、FRBが物価統計として重要視する6月個人消費支出(PCE)デフレータ―の発表を翌日に控え、様子見姿勢が強まり、引けにかけては伸び悩みました。ハイテク株の一角が下落する流れが続いたことなどから、S&P500指数とナスダック総合指数は、3営業日続落しました。 相場の注目点 昨日の日経平均株価は、決算を嫌気した米国ハイテク株安や円高進行などを受けて7営業日続落し、約3ヶ月ぶりに3万8,000円台を割り込みました。昨日終値(37869.51円)時点で、予想PER(12ヶ月先予想EPS2,449円を前提とすると)は15.5倍と、史上最高値(42,224円)を付けた7月11日時点の17.2倍から低下し、株式の相対的な過熱感は薄れました。今週から主力企業の決算発表が本格化していますが、企業の増益基調に変化がないか、注目です。 本日のイベント 日米で発表される物価統計が注目されます。日本では、全国消費者物価の先行指標となる7月東京都区部消費者物価指数、米国では6月PCEコアデフレーターが発表されます。いずれの統計も各国金融政策の動向を見極める上で重要です。また、信越化学工業や日立建機、キーエンス、ミスミグループ本社などが決算発表を予定しています。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年7月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/25 08:27
【野村の朝解説】米国株大幅安 大型テック株の決算を嫌気(7/25)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 24日の米国株式市場で、主要3指数は揃って大幅安となりました。S&P500は2022年12月以来の下落率となり、ナスダック総合指数は2022年10月以来の下落率となりました。前日引け後に発表されたテスラやアルファベットなどの大型テクノロジー企業の決算が嫌気され、その他のハイテク株にも波及しました。なお、24日引け後に発表されたIBMやサービスナウの決算はいずれも売上高が市場予想を上回り、時間外で株価は上昇している模様です。 相場の注目点 為替市場では円高ドル安がさらに進行しています。ドル円相場は1ドル=155円の節目を割り込み調整し、一時153円11銭まで下落しました。24日、ロイター通信は事情に詳しい関係者の話として、日銀は7月の金融政策決定会合で、利上げを検討するとともに向こう数年間に債券購入額をほぼ半減させる計画を公表する可能性が高いと報じました。日銀としては、低水準の実質金利や円安に伴う物価上昇リスクが利上げを支持する材料となっている一方、個人消費の弱さへの懸念が利上げに向けた足かせとなっているようです。本日は、5月毎月勤労統計の確報値や6月企業向けサービス価格といった国内の物価・賃金指標の発表が予定されており、インフレ圧力の高まりが示唆されるか注目されます。 本日のイベント 本日国内では、野村総合研究所や富士電機、富士通、日産自動車、キヤノン、中外製薬など、業界大手の決算発表が多く予定されています。米国では、ダウやハネウェル・インターナショナルなどの決算発表に加え、2024年4-6月期実質GDP成長率(速報値)や6月耐久財受注といった経済指標の発表も予定されています。 (投資情報部 大坂 隼矢) (注)データは日本時間2024年7月25日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/24 16:13
【野村の夕解説】急速な円高・ドル安進行により、日経平均株価は続落(7/24)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日に米国で発表された7月のフィラデルフィア連銀非製造業指数が前月から悪化したほか、6月のリッチモンド連銀製造業指数と6月の中古住宅販売件数がともに市場予想を下回り、米国景気の減速を示唆する結果となりました。また、ここ数日の政府高官等の発言により、日銀による早期利上げへの意識が徐々に高まりつつあることから日米の金利差縮小が意識され、外国為替市場で1米ドル=155円台半ばまで円高・ドル安が進みました。これらを受けて、本日の日経平均株価は前日比257円安の39,336円で取引を開始しました。前日の米国半導体企業のテキサス・インスツルメンツの好決算を受けて、半導体株を中心に日本株市場は持ち直す場面がありました。ただ、午後に入って為替市場は1米ドル=155円を割り込む一段の円高進展となったことで、日経平均株価は引けにかけて下げ幅を拡大し、前日比439円安の39,154円で本日の取引を終了しました。個別銘柄では、前日引け後に2025.3期通期業績見通しの上方修正ならびに株式分割を発表したニデックが前日比+6.08%と、幅広い銘柄が下落した中で逆行高が目立ちました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国でボウマンFRB理事とダラス連銀ローガン総裁が講演を行います。FRBの利下げに関する市場の見方は9月開始が優勢ですが、その織り込み度合いが変化し得るため注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点