新着
467件
-
04/01 08:22
【野村の朝解説】トランプ関税への警戒続く中、NYダウ反発(4/1)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り トランプ政権による相互関税の内容の公表が予定される4月2日を控え、3月31日の米国株主要3指数は引き続き揃って下落して取引を開始しました。NYダウは、一時435ドル安となる場面もありましたが、26日以降28日までわずか3営業日で1,000ドル超下落していることから、急速な下落に対する自律反発ともみられる動きとなり、上昇に転じて取引を終了しました。S&P500、ナスダック総合の両指数も大引けにかけて下げ幅を縮小しましたが、小幅安となりました。 相場の注目点 日経平均株価は、3月27日以降前日までの3営業日で2,400円超下落しており、米国株高を受けて戻りを試す展開が期待されます。これまで、トランプ政策の関税政策がもたらす悪影響が嫌気された自動車株や、半導体関連株、電線株などデータセンター投資の縮小見通しなどにより成長期待が後退した銘柄群の動向が注目されます。 本日のイベント 本日、日本では8:50に日銀短観(3月調査)が発表されます。非製造業の業況判断DIは改善する一方で、トランプ政権の関税引き上げなどを受けて製造業の業況判断DIの悪化が見込まれています。他、今回から調査対象となる2025年度の設備投資計画が2024年度同様の伸び率(前年度比+3.3%)を維持できるか注目されています。米国では3月ISM製造業景況感指数の発表が予定されています。 (野村證券 投資情報部 神谷 和男) (注)データは日本時間2025年4月1日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
03/31 16:20
【野村の夕解説】日経平均1,502円安 米国のスタグフレーション懸念で(3/31)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 28日の米国株市場では、個人消費減速とインフレ再加速を示す経済指標の発表が相次ぎ、スタグフレーションへの懸念が高まったことから、主要3指数は揃って大幅下落しました。米国株安の流れを受けて、31日の日本株市場では、東証33業種すべてが下落する全面安の展開となりました。寄り前に日本の2月鉱工業生産が発表され、前月比+2.5%と4ヶ月ぶりに上昇したほか、日本時間10:30頃に発表された中国の3月政府版PMI(購買担当者景況感指数)は50.5と2ヶ月連続の上昇となったものの、材料視されませんでした。日経平均株価は寄り付き後間もなく36,000円を割り込み、その後は引けにかけて35,000円台後半で推移しました。米国の消費減速懸念から米国長期金利が大幅に低下したことで、米ドル円は日本時間28日15:30時点の1米ドル=150円70銭台から、31日の取引時間中には一時148円70銭台まで円高が進みました。このことも、日本株市場を下押ししたとみられます。日経平均株価は反発のきっかけを掴めないまま、一時下げ幅は前営業日比1,578円まで拡大する場面もあり、終値は同1,502円安の35,617円となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 4月1日、日本では寄り前に日銀短観(3月調査)が公表されます。トランプ政権の関税政策を受けて、企業の景況感の悪化が見込まれることから、注意が必要です。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
-
03/31 08:27
【野村の朝解説】米国株、大幅続落 インフレ懸念が重石に(3/31)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 28日の米国株式市場で、主要3指数は揃って続落しました。寄り前に発表された2月の個人消費支出(PCE)統計では、インフレ調整後の実質個人消費支出は前月比+0.1%と、市場予想の同+0.3%を下回りました。食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は、前月比+0.4%と市場予想の同+0.3%を上回りました。支出の伸びが前月に続き、市場予想に届かなかった一方で、FRBがインフレ指標として重視するコア価格指数は市場予想を上回る伸びを示しました。支出抑制とインフレ高進により、景気が低迷する中で物価が上昇する、スタグフレーションへの懸念が高まりました。加えて、取引時間中に発表された3月のミシガン大学消費者マインド指数確報値は57.0(速報値57.9)と、市場予想の57.9および、前月の64.7を下回りました。1年先の期待インフレ率は5.0%となり、市場予想の4.9%および前月の4.3%を上回りました。5-10年先の期待インフレ率は4.1%と、市場予想の3.9%および前月の3.5%を上回り、1993年以来の高水準となりました。これらの経済指標の結果を受け、消費の低迷と、関税政策がインフレを加速させるとの懸念が再燃し、株式市場の重石となりました。 相場の注目点 今週は米関税政策を巡る出来事が注目されます。2日(水)に相互関税が発動される予定です。トランプ米大統領は「相互的よりは寛大なものになる」と発言しており、どの程度の税率になるかや対象国の範囲などについて不透明感が強くなっています。また、同日には自動車向け関税および、対カナダ、メキシコ向け関税についての対応も注目されます。経済指標では、4日(金)の3月雇用統計が注目されます。新規失業保険申請件数などからは、労働市場の大きな変調は確認されておらず、株式市場などへの影響は限定的だと考えられます。 (野村證券 投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2025年3月31日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
-
03/30 12:00
【4月の投資戦略】関税政策の波はあれど、株価の基本はファンダメンタルズ
目次・株価の基本はファンダメンタルズ・トランプ政権による関税政策への懸念が強まる・米国はテクノロジー分野を中心に企業業績の拡大が続く・ドイツでは拡張的な財政出動への機運が高まる・日本企業の業績拡大は続く 株価の基本はファンダメンタルズ 米国トランプ政権による矢継ぎ早な関税政策の発表を受け、日米の株式市場は神経質な動きとなっています。今後も、関税を巡るトランプ大統領の発言によって、株式市場のボラティリティー(変動率)が高まる局面があるとみられます。しかし、米国と日本では2025年も経済成長が続き、企業業績も堅調とみます。我々の基本観は、株式市場は最終的に、実体経済や企業業績などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿って推移するとみています。 トランプ政権による関税政策への懸念が強まる 米国トランプ政権は、有利な条件を引き出す交渉材料として、様々な国・地域や品目に対する関税政策を実施しています。一方、関税を課せられた国・地域も、中国、カナダ、EUのように、報復関税を実施する国や、メキシコのように報復を抑制する国もあります。米国経済は雇用を中心に堅調ですが、関税や移民制限などもあり、実際のインフレやインフレ期待が下がりにくくなっています。インフレが順調に減速する道筋に不透明さが生じていることから、FRBは2025年入り後に、利下げを一時停止しました。一方、3月18-19日のFOMCでは、FRBが保有する国債の償還によるバランスシートの縮小ペースを減速させ、需給面からの金利上昇圧力を軽減する措置を取りました。 米国はテクノロジー分野を中心に企業業績の拡大が続く 米国企業業績は、2024年10-12月期の決算発表が進み、関税政策への不透明さや金利上昇で悪影響を受けやすい業種では下方修正が顕著です。一方、テクノロジー分野や金融は堅調で、AIインフラを中心に投資の急拡大が見込まれており、関連ビジネスの成長も期待されます。米国産業のけん引役である先端テクノロジー分野を中心に、企業業績の拡大が続くでしょう。 ドイツでは拡張的な財政出動への機運が高まる 長らく緊縮財政を維持してきたドイツでは、拡張的な財政出動への機運が高まっており、DAX指数は堅調で、ユーロ圏の長期金利も上昇しています。ただし、実際の財政出動には時間を要するため、極端な金利上昇にはならないとみます。中国で開催された全人代では、内需拡大を最重要視し、財政出動を拡大して消費を喚起する意向が示されました。財政出動の拡大は短期的な景気浮上のきっかけとなりますが、供給過剰によるデフレには注意が必要です。 日本企業の業績拡大は続く 日本にとって、米国の関税政策はリスクです。復調が見込まれる生産でも、関税政策によるサプライチェーンの混乱には注意が必要です。賃上げは、経済の好循環の起点となります。2025年の春闘は、第1回回答時点で5.46%と1991年以来の高い伸び率となっており、国内消費を下支えするとみられます。一方、インフレは日銀の物価目標を上回る推移が続き、追加利上げの機運が高まっています。長期金利にも上昇圧力が強まっており、円安・米ドル高の修正が進んでいます。ただし、企業業績を大きく損なうような円高ではありません。主要企業の業績は連続増益が続くとみられ、生産活動の正常化や在庫調整の進展が、業績拡大に寄与するとみられます。歴史的な自社株買いも、株価の下支え要因です。野村證券は、2025年末の日経平均株価を42,000円と予想しています。 投資戦略については、トランプ政権の政策決定過程では、経済や株式市場に悪影響が及ぶとみられます。インフレ圧力の強まりによる金利上昇には注意が必要ですが、日米ともに経済や企業業績の拡大基調は続くとみます。株価変動が大きくなる局面があったとしても、最終的に株価は企業業績の拡大に沿った推移になるとみます。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 4月号」(発行日:2025年3月24日)「投資戦略の概要」より※掲載している画像はイメージです。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点
-
03/30 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅣ:第5回 RSI(2) チャートで検証してみよう
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回はRSIについて、サンプルチャートを使って説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
-
03/29 12:00
【注目トピック】日本企業、6期連続増益を達成できるか?
※画像はイメージです。 日本:2025年度業績を占う 6期連続増益が見込まれる2025年度 現時点で、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2025年度の経常利益は前年度比2.6%の増益が見込まれています。これが実現すれば、2020年度以降6期連続増益で、歴代同率2位(注)の長期増益局面となります。なお蛇足ながら、これまでの最長連続増益記録は2012~2018年度までの7期連続で、2002~2007年度の6期連続がこれに続いていました。 また、2025年度に増益を達成すれば同時に5期連続の最高益更新となります。更に、売上高経常利益率も3期連続で過去最高を更新するとみられます。利益率の向上は、利益の増加、最終的には自己資本の増加スピード上昇につながることから、これまでにも増して企業の資本政策に対しての姿勢が問われることになるでしょう。 いずれにせよ日本企業の利益は、量、質ともに良好な状態にあるといえるでしょう。 (注)1970年度以降の連続増益記録。 (注1)グラフ上段はラッセル野村Large Cap(除く金融)の売上高経常利益率の推移。グラフ下段は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の経常利益(2019年度=100)の推移。ともに2023年度までが実績、2024年度以降は、野村證券市場戦略リサーチ部による2025年3月17日時点の予想。(注2)グラフ下段の、棒グラフ中の数字は2019年度の経常利益水準を100とした時の各年度の利益水準。棒グラフ上の赤い数字は予想経常増益率の前年度比。(出所)野村證券投資情報部作成 安定化する業績を取り巻く環境 2025年度は、業績を取り巻く環境も良好な推移が見込まれます。足元で日銀の追加利上げ観測などにより円高圧力が懸念されていますが、現状程度の米ドル円レートの推移であれば、業績への影響はほぼないと思われます。 生産も3期連続の前年度比減少から一転、2025年度には製造業の挽回生産により前年度比で増加に転じる見込みです。2024年度は、期初の段階では自動車を中心に挽回生産の本格化、中国経済の底打ちが見込まれていたものの、いずれも大きく後ずれしてしまい、現時点では多くのアナリストが2025年度の需要回復を積極的に業績予想に織り込んでいないとみられます。 2025年1-3月期以降の需要回復が確認されれば、アナリストによる業績予想の上方修正の活発化も期待できます。 (注1)左図は、米ドル円レートの年度平均値(赤線)と、月次平均レート(灰色線)の推移。2025年度の年度平均値は、2025年3月17日時点での業績予想前提値。月次平均レートの直近値は、2025年3月17日。(注2)右図は、年度ベースの鉱工業生産(赤線)と、四半期ベースの鉱工業生産(灰色線)。2024年10-12月期までが実績値、2025年1-3月期以降は2025年3月17日時点の野村證券経済調査部による予測値。(出所)野村證券投資情報部作成 期初会社見通しはどうなる? 例年4~5月にかけての決算発表シーズンでは、新年度の会社見通しに多くの投資家の関心が向かいます。 経験則では、東日本大震災やコロナ禍といったあらかじめ予測することが困難な突発的な事象が起きない限り、翌年に明らかになる実績値は期初の会社見通しを上回って着地しています。逆に言えば、期初時点の会社見通しは保守的であることは確かなようです。 ただ保守的と分かっていても、会社見通しはアナリスト予想に比べて株価へのインパクトが強いため、投資家や業績予想を行うアナリストの行動に大きな影響を及ぼします。 特に、会社見通しが公になる前のアナリストによる事前予想が、遅れて公表される会社見通しを上回っていた場合、少なからぬアナリストが会社見通しは保守的と分かっていても自らの予想を下方修正してしまう傾向には注意を要します。日本においては、こうした理由から本決算発表シーズンに、リビジョン・インデックスが悪化するという季節性がかなり強くみられます。なお、『保守的』になってしまったアナリスト予想が、本来の姿に修正されてゆくのは2025年4-6月期決算発表シーズン以降になる可能性が高いでしょう。 (注1)赤線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の期初時点(各年5月末)での会社経常増減益率見通し。会社見通しが未発表/非公表の企業は、野村予想、あるいは東洋経済予想で補完している。直近値は2024年度。(注2)細い灰色線は各年の日銀短観3月調査・大企業・経常利益見通し。直近値は2024年度。(注3)太い灰色線は各年度の実績経常増益率。2024年度の数値は2025年3月17日時点での予想値。見やすさを優先して縦軸を制限している。(出所)野村證券投資情報部作成 生産回復と金利上昇が業績をけん引へ 2025年度は、生産活動の正常化や在庫調整の進展により、鉄鋼・非鉄や電機・精密などが増益率の上位に返り咲くとみられています。また、金利上昇の恩恵から2024年度に続いて金融の予想増益率が高めの予想となっています。さらに、持続的な物価上昇の定着が見込まれることから、内需・非製造業の業種の多くでラッセル野村Large Cap(RNL)を上回る増益率が見込まれています。 一方、2025年度は現時点ではエネルギー・コモディティー価格が低迷するとみられていることから、商社や運輸(海運)の減益が予想されています。 (注)ラッセル野村Large Capを構成する業種の、2024~2025年度の、予想経常増益率(前年度比)のランキング。2025年3月17日時点。RNLはラッセル野村Large Capの略。見やすさを優先して横軸の縮尺を左右の図表で変えている。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
-
03/29 09:00
【オピニオン】トランプ新政権の関税政策と金利上昇への警戒
※画像はイメージです。 2025年3月18-19日に開催されたFOMCは、大方の事前予想通り、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標を4.375%(レンジの中央値、以下同様)で据え置きました。ドッツ(FOMC政策金利見通し)も25年末3.875%、26年末3.375%、27年末3.125%、長期3.000%と、前回24年12月から据え置きとなりました。しかし、複数の参加者が25年末の政策金利予想を上方修正しました。25年末の政策金利予想中央値3.875%(1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとして2回の利下げ予想に相当)には引き続き最多のドットが集中しましたが、8名の参加者は25年の利下げ予想を1回または0回と予想しています(24年12月の4名から増加)。主として関税に関する先行きの不確実性によるものと推察され、全般的に利下げに慎重な姿勢が読み取れます。 トランプ政権はカナダとメキシコに対する関税の賦課、中国に対する追加関税、鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税を発動しました。25年3月26日、トランプ大統領は自動車に対する関税の詳細を発表し、半導体や医薬品の追加関税導入にも言及しています。関税引き上げの影響は既に、企業景況感に影響を及ぼしています。米地区連銀が調査する企業の設備投資計画サーベイは関税政策を巡る懸念から、足元で悪化を示しています。この状況が続けば、実際の企業の設備投資が低迷し、米国経済の下振れ要因となるでしょう。 (注)設備投資計画指数は、各地区連銀企業景況調査の指数を地区ごとのGDPで加重平均したもの。D.I.とは、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの。見やすさを優先して縦軸を制限している。データは月次で、直近値は2025年2月。(出所)ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)より野村證券投資情報部作成 下図はカナダとメキシコに対する25%、中国に対する10%の追加関税賦課を前提に実効税率(実質的な税負担率)がどの程度引き上がるか試算したものです。2025年の実効関税率は11.5%と試算され、1940年代初頭以来の水準となります。輸入物価の上昇を通じて、個人消費等への影響が懸念されます。また、一般的には「関税引き上げは米ドル高」と認識され、足元の市場の反応もその様に見られます。しかし、期待インフレ率、あるいは実際のインフレ率の加速による長期金利等の上昇は必ずしも米ドル高とはならないでしょう。 (注)図中の法律は米国の関税法。GATTは「関税および貿易に関する一般協定」(General Agreement on Tariffs and Trade)の略称。WTOは「世界貿易機関」(World Trade Organization)の略称。データは年次で、2025年はカナダとメキシコに対して25%、中国に対して10%の追加関税賦課を前提に試算。実効税率は実質的な税負担率。(出所)ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)より野村證券投資情報部作成 「トランプ2.0」における関税引き上げ発動のタイミングは、「トランプ1.0」のケースよりも前倒しで行われています。トランプ政権発足前の市場では「関税引き上げを示唆するも、実際にはその内容が緩和されたものになるのでは」との期待がありましたが、広範囲にわたる関税引き上げが現実的になってきました。 インフレ再加速、長期金利再上昇に十分、注意すべきでしょう。 ご投資にあたっての注意点
-
03/29 07:00
【来週の予定】関税発動は2日(水)、市場の反応に注目
来週の注目点:トランプ関税、日米中の景況感調査・雇用指標 引き続き、トランプ大統領の言動に相場が揺さぶられる展開が見込まれます。4月2日には、貿易相手国と同水準の関税を課す相互関税の発動が見込まれています。また、4月3日(木)には、米国が輸入するすべての自動車に25%の関税が発動されます(現状の2.5%からスタート)。米国内の工場で組み立てた自動車は対象にならない見通しです。トランプ大統領は、相手国の出方次第では軽減措置があることを示唆しており、実際の関税措置がどのようなものになるか、注目が集まります。 米国の金融政策に関しては、3日(木)にジェファーソンFRB副議長、4日(金)にパウエルFRB議長の講演が予定されています。パウエルFRB議長は、3月FOMCで「利下げを急ぐ必要はない」との従来の姿勢を維持しながらも、トランプ政権の高関税政策を受けて「不確実性が異常なほどに高まっている」と指摘し、警戒感を示しました。高まる市場の利下げ期待に対して何らかの示唆を与えるか、注目です。 また、米国では月初の重要指標の発表が相次ぎます。1日(火)に3月ISM製造業景気指数、2日(水)に3月ADP全米雇用レポート、3日(木)に3月ISMサービス業景気指数、4日(金)に3月雇用統計が発表されます。足元で景気減速の兆しが見受けられることから、経済指標の結果が改めて注目されます。 日本では1日(火)に日銀短観(3月調査)が発表されます。同統計は調査対象、調査内容ともに広範囲に及び、政策判断にも影響力の大きい調査です。市場では、トランプ政権の関税引き上げや中国経済の低迷を受けて製造業の業況判断DIの悪化が見込まれています。 中国では、3月31日(月)に3月政府版PMIが発表されます。2月以降に発動された米国の追加関税の影響が懸念される一方、中国政府による内需喚起策が景気を下支えするとみられます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年3月28日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
03/28 16:28
【野村の夕解説】日経平均株価は679円安 関税懸念根強く(03/28)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日寄り付き前に発表された3月の東京都区部消費者物価指数では、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比+2.4%と事前予想を上回り、日銀の追加利上げ観測を後押しする結果となりました。一方、同時刻前後に日銀の金融政策決定会合(3月18-19日開催分)における主な意見が公表され、市場ではタカ派(金融引き締めに積極)的な驚きはなく、日本の10年債利回りは低下(価格は上昇)し一時1.545%となりました。本日の日経平均株価は前日比442円安の37,357円で始まり、根強い関税懸念に加え、米国のハイテク株安の流れを引き継ぎ、一時前日比935円安となる全面安の展開が続きました。業種別では輸送用機器や、日本の長期金利低下を受けた銀行株などが重石となりました。引けにかけてはやや下げ渋り、大引けは前日比679円安の37,120円と37,000円台を回復し取引を終えました。本日は3月末決算企業の配当落ち日となり、配当落ち分の約300円を考慮すると、実質の下落幅は約370円程度となります。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注) データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では本日、2月個人所得、個人消費支出、個人消費支出デフレーターが発表されます。また、来週4月2日(火)は米国において相互課税の発表、3日(水)は自動車関税の発動が予定されています。関税政策をめぐり株式市場のボラティリティ(変動性)が高い状態が続くことが予想され、注意が必要です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点