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11/27 16:26
【野村の夕解説】急速な円高進行を受けて、日経平均は続落 307円安(11/27)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米国時間25日のトランプ氏による関税強化発言への警戒が根強い中で、外国為替市場では円高米ドル安が進みました。前日16時時点の1米ドル=154.0円台から、今朝8時時点では153.0円台となりました。さらに国内市場でも円高進行は止まらず、本日15時時点で152.3円台となりました。寄り付きから下落して始まった本日の日経平均株価は、円高が進むにつれて下げ幅を拡大していきました。また、米国時間26日夜に、トランプ氏が米USTR(通商代表部)の代表にジェイミーソン・グリア氏を指名する見通しであると報じられたことも、株価の下押し圧力となりました。同氏は、トランプ氏の前政権下でUSTR代表だったロバート・ライトハイザー氏の首席補佐官を務めた人物です。保護主義的な通商政策への警戒感の強まりから、輸出関連株が下落し、日経平均株価は反発のきっかけをつかめないまま、前日比307円安の38,134円で取引を終了しました。個別銘柄では、EV生産開始時期を延期すると報じられたトヨタ自動車が前日比-3.61%と大きく下落しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国では10月のPCE(個人消費支出)が発表されます。米国の消費動向は、FRBによる今後の金融政策を見通す上で重要であり、結果に注目が集まります。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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11/27 08:25
【野村の朝解説】NYダウとS&P500は史上最高値を更新(11/27)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 26日の米国株式市場で、NYダウは5営業日続伸となり、連日で過去最高値を更新しました。S&P500指数とナスダック総合指数も揃って続伸しました。S&P500指数は7営業日続伸で11月11日以来約2週間ぶりに史上最高値を更新しました。トランプ次期米大統領による関税強化発言は株式市場の重石となったものの、米国経済の強さが示された11月消費者信頼感指数の発表を受け、主要3指数は揃って上昇しました。 相場の注目点 トランプ次期政権の政策や日米金融政策判断など、様々な変化が予想されますが、実体経済が堅調であれば、日米で企業業績の最高益更新が続き、株価もその動きに沿って推移するでしょう。 米国大統領・上下院議会選挙の結果、2016年11月の選挙時同様、全てを共和党が支配する「トリプルレッド」となりました。2017年1月以降の第1期トランプ政権時は、2018年の中間選挙でトリプルレッドが崩れる前に、議会の承認が必要な大規模減税を成立させました。その後、国境の壁を巡る予算での対立から2018年12月に政府閉鎖が起きると、経済や株式市場は混乱しました。第2期トランプ政権も、減税は経済や株価の押し上げに寄与しますが、関税強化によるインフレ懸念が進む場合や、政治リスクが浮上する場合は、注意が必要でしょう。 投資戦略については、トランプ次期政権の政策決定過程で政治リスクが浮上する場合は、経済や株式市場に悪影響が及ぶとみられます。しかし、選挙で選ばれる統治者は、経済成長を重視するため、景気支援策も相応に見込まれます。結果的に、景気失速が無ければ企業業績は日米ともに堅調で、株価の下支えとなるでしょう。 (野村證券 投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2024年11月27日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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11/26 16:24
【野村の夕解説】日経平均株価反落 米国関税強化に警戒感広がる(11/26)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 日本時間の本日朝、トランプ米次期大統領が自身のSNSに、中国、カナダ、メキシコに対して関税を強化するという旨を投稿し、各国への関税強化策による企業業績悪化への警戒感が広がりました。本日の日経平均株価は前日比183円安の38,596円で始まり、機械などの輸出関連企業や、半導体関連株が下落し、下げ幅は一時前日比760円となりました。後場にかけても軟調な動きは続きましたが、企業業績へ与える外部要因の影響が比較的少ない内需関連の株が上昇し、個別企業ではファーストリテイリング、花王などが堅調に推移し相場を下支えしました。大引けは前日比338円安の38,442円と反落となりました。 本日寄り付き前には、日本の10月の企業向けサービス価格指数が発表されました。人件費などのコスト上昇を価格に転嫁する動きが続いたことから前年同月比で2.9%上昇し、伸び率は9月から加速しました。市場では12月の金融政策決定会合での追加利上げ観測が強まっているなか、今回の結果はそうした見方を後押しする内容と言えそうです。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では、 11月の消費者信頼感指数、10月新築住宅販売件数が発表されます。また11月のFOMCにおける議事要旨が発表され、今後の金融政策への議論の内容が注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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11/26 09:30
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(11月第4週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年11月第4週(2024年11月15日~11月22日) 2024年11月月間(2024年10月31日~11月22日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年11月22日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年11月22日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年11月第4週(2024年11月15日~11月22日) 2024年11月月間(2024年10月31日~11月22日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年11月22日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年11月22日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年11月22日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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11/26 08:28
【野村の朝解説】次期財務長官人事の安心感から米株高(11/26)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り イスラエルが、26日に開く閣議で戦闘を続けるイスラム教シーア派組織のヒズボラとの停戦合意に向けた閣議を開くと報じられ、中東地政学リスクの低下への期待が浮上しました。また、週末にトランプ次期大統領が財務長官に投資ファンド経営者のベッセント氏を指名し、同氏が財政赤字の対名目GDP比を3%に削減、日量300万バレルの原油増産、規制緩和による実質GDP3%成長を提言したと報じられ、経済政策に対する安心感が広がりました。原油価格や長期金利が低下し、市場のボラティリティー(変動率)を示すVIX指数も低下しました。また、S&P500指数は6営業日続伸となり、NYダウは4営業日続伸の上、史上最高値を2営業日連続で更新しました。 相場の注目点 米国株は上昇しましたが、CMEの日経平均先物は25日終値とほぼ同水準です。米国経済への信頼感に対し、米国関税政策への懸念など、日本にとっては良し悪し入り交じる状況で、特に材料の無い中では方向感を見出しづらい状況です。 本日のイベント 日本では10月企業向けサービス価格指数が8:50に発表されます。米国では、11月の消費者信頼感指数、10月新築住宅販売件数など、比較的重要な経済指標が発表されます。また、11月のFOMCにおける議事要旨が発表されます。FRB高官からは、足元のインフレ指標が比較的に強いことを受けて、利下げを急ぐ必要が低下しているとの見方もみられます。今後の金融政策への議論の内容が注目されます。また、米国企業では、クラウドストライク・ホールディングス、デル・テクノロジーズ、HP、ワークデイなど、複数のIT関連企業の決算発表もあります。 (野村證券 投資情報部 小髙 貴久) (注)データは日本時間2024年11月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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11/25 08:46
【野村の朝解説】NYダウ、終値ベースの最高値更新(11/25)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 前週末の米国株式市場では、エヌビディアなど半導体株の下落が重石となりましたが、主要3指数は揃って上昇となりました。前週半ば以降、物色の対象はトランプ次期政権の政策を睨み、グロース(成長)株からバリュー(割安)株へと重点を変える流れが見られます。米ドル円レートや米国金利が落ち着いた動きを続けている中、海外主要市場はひとまず落ち着きを取り戻しています。本日は、緊迫化するウクライナ情勢に関するニュースフローに注意しながらも、様子見ムードの高い一日が想定されます。 相場の注目点 日経平均株価は9月20日以降約2ヶ月の間、37,651円から40,257円のレンジでの推移を続けました。前週末の米国株上昇の影響を受け、本日は上昇してのスタートが見込まれます。当面、レンジの下限37,651円を下回ることなくレンジ内での推移を続けるのか、更なる下値を模索する動きとなるか注目されます。 本日のイベント 本日、ドイツで11月Ifo企業景況感指数が発表されます。連立政権の崩壊やトランプ次期政権による関税引き上げへの懸念がドイツの景況感に影響するか注視されます。 (野村證券 投資情報部 神谷和男) (注)データは日本時間2024年11月25日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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11/24 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅡ:第6回 「傾き」と「並び」にも注目
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 今回は、移動平均線の「傾き」と「並び」について説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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11/23 19:00
【来週の米国株】25年末S&P500の野村予想は6300/エヌビディア決算で半導体明暗が交錯(11/23)
※執筆時点 日本時間11月22日(金)12:00 今週:注目度の高い2社の決算に安心感 ※11月15日(金)- 11月21日(木)4営業日の騰落 今週の米国株式市場では、主要株価3指数が上昇しました。週の前半はウクライナによるロシア領内への長距離ミサイル攻撃の影響などで上値の重い展開でしたが、週の後半はウォルマート(WMT)やエヌビディア(NVDA)の好決算を受けて上昇しました。 エヌビディア“好決算”の内訳 エヌビディアの決算では、2024年8-10月期実績と2025年11月-1月の売上高見通しがともに市場予想を上回りました。8-10月期売上高では主要セグメントのデータセンター部門は前年同月比+112%と大きく成長し、市場予想比でも+6%と高い期待に応えました。半導体市場では、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(米国預託証券のティッカーコードはASML)や半導体メーカ大手のインテル(INTC)など、決算発表で売上高などの主要項目が市場予想を下振れた企業もあっただけに、エヌビディア決算は市場に安心感を与えるものだったと言えます。出荷遅延が報じられていたデータセンター向け新製品のブラックウェルに関して2024年11月-2025年1月期に出荷が開始されるとの見通しが示されたことも市場に好感されました。 半導体決算の振り返り①:カテゴリで明暗 主要企業の発表が集中した7-9月期決算から最近発表されている8-10月期決算までを振り返ってみましょう。TSMC(米国預託証券のティッカーコードはTSM)による2024年の半導体市場見通し(メモリを除く)は前年比10%増と変わらず、設備投資計画も300億ドル強と従来のレンジ内に留まりました。先端ロジック半導体は生成AIを中心に2025年から2026年にかけて需要拡大が続く見通しです。一方、アナログ半導体・パワー半導体・MCU(いわゆる「マイコン」を指し、複数の半導体を集めた集積回路のこと)などの成熟プロセスで製造する製品群は需要低迷が継続しており、10-12月期には在庫調整が一段と深まる見通しです。パワー半導体最大手のインフィニオン(ドイツ、米国上場なし)は、2025年9月期ガイダンスで前期比若干の減収を計画し、24年10-12月期には前四半期比で18%の減収を見込んでいますが、その後は徐々に回復していくと想定されています。 半導体決算の振り返り②:中国向けの不透明感続く セグメント別に加え、地域別の影響も半導体市場に影を落としています。野村では半導体製造装置の業績予想を中国向け売上を慎重な見通しに見直したことから下方修正しています。米国の中国に対する輸出規制強化が報じられたのは7月頃ですが、現時点でも詳細が公表されることなく、不透明感は長く続いています。短期的には規制の公表や各社業績への影響を見極める必要があるでしょう。 残る「トランプリスク」は地政学と関税 ウクライナによるロシア領へのミサイル発射で地政学的リスクが意識されています。このようなイベントによって深刻な地政学的リスクイベントに発展するかは不透明ですが、1990年以降の地政学リスクイベントのケースを踏まえると、仮に深刻化する場合の主要株価指数は、直後は株安となり、その後1-2ヶ月以内に反発する傾向があり、反転タイミングもまちまちです。「地政学的リスクを警戒」と説明するのは簡単ですが、そのリスクを運用成果に結び付けるのは難しく、中長期投資の中では不可避と割り切り、リスク管理を行いながら運用方針を堅持することが重要と考えます。トランプ次期政権の政策も基本的にはランダムイベント(確実に予測できないイベント)として扱うのが良いでしょう。 米国株水準の考え方 2025年末までの米国株に関して、野村では上昇基調を想定しています。2024年春以降の米国株は、EPS改善を主因として「業績相場」に移行しました。S&P500の7-9月期EPS(一株当たり利益)は前年比+7.8%と5四半期連続増益で着地しています。決算発表が一巡してリビジョン・インデックスが上向いている要因は、9月後半から米国のマクロサプライズが上向き、アナリストの売上高見通しが好転していることが想定されます。S&P500のEPSは2024年通期で242.3(前年比+5.3%)、2025年通期で272.5(前年比+12.5%)、2026年通期で302.8(前年比+11.1%)と300が視野に入ることが予想されています(ブルームバーグ予想、11/7時点)。PER(株価収益率)が現状の21~22倍から一段と拡大することは考えにくいですが、PER20倍でもEPS300でS&P500が6000台に定着する展望が見込まれます。 野村は「25年末のS&P500=6300」 以上の前提に基づき、野村ではS&P500見通しについて、足元の水準の切り上がりを反映し、2024年末予想を6000(レンジは5400~6600)へ引き上げています。2025年は、年前半には関税発動や利下げ停止への懸念が多く見られますが、年後半には法人減税の確度が高まり、楽観論が優勢になると見込まれます。その結果、2025年末のS&P500予想を6300(レンジは5600~7000)、2026年末を6500(レンジは5500~7500)と引き上げています。ハイリスク・ハイリターン型の展開を想定し、レンジも広めに設定しています。中期的にはEPS拡大が期待リターン(配当込みで年率+6~7%)並みの株式パフォーマンスをもたらすと予想しています。 来週の注目点 28日(木)はサンクスギビング(感謝祭)で休場となります。28日(木)夜から29日(金)にかけて、小売店による「ブラックフライデー」セールが行われます。年末商戦の状況を知る上で、現地調査や決済データが注目されます。ウォルマートは2025年1月期の売上高見通しを引き上げ、年末商戦は新学期セールやハロウィーンと同様に好調を見込むとコメントしています。小売各社で状況は異なりますが、個人消費の動向が注目されます。 その他、米国では、26日(火)に11月FOMC議事要旨、11月コンファレンスボード消費者信頼感指数、27日(水)に10月個人消費支出・所得統計、10月耐久財受注、29日(金)に11月シカゴ購買部協会PMIが発表されます。 (編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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11/23 12:00
【注目トピック】トランプ2.0下での米国経済見通し:関税引き上げが焦点
※画像はイメージです。 トランプ2.0下での米国経済見通し 米大統領・議会選挙結果は「トリプルレッド」に 2024年の米国大統領選挙では共和党のトランプ氏が民主党のハリス副大統領を破り、再選を果たしました。議会選挙でも共和党は上院で過半数を奪還し、下院も過半数を確保する見込みです。大統領から上下両院まで共和党が制する「トリプルレッド」となったことで、トランプ氏が公約として掲げた拡張的な財政政策が実現する可能性は高くなりました。 トランプ氏が掲げている主要な政策としては、法人税減税や第1次トランプ政権時に導入した個人所得税減税の延長などの拡張的な財政政策、中国からの輸入品に対して60%、メキシコからの輸入品に対して25-100%、それ以外の輸入品に対して10-20%の関税を課す通商政策、不法移民の強制送還を中心とした移民規制の強化などを挙げることができます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)全てを網羅している訳ではない。※トランプ減税は2017年12月に成立し、2025年末に期限を迎える。(出所)各種報道より野村證券投資情報部作成 財政面で影響が大きいのは所得税減税の延長 超党派組織であるCRFB(責任ある連邦予算委員会)は、トランプ氏が公約として掲げた主要政策は2026~35年度の10年間で、財政赤字を7.5兆ドル程度拡大させる可能性があると試算しています。 拡張的な財政政策(財政悪化要因)のうち、約半分は個人所得税減税の延長によるものです。これは25年末に期限切れとなることに対応するものであることから、増税に伴う消費の悪化を回避する効果は期待できるものの、追加景気浮揚効果は限定的であると考えられます。 一方、関税の引き上げによる財政改善効果は10年間で2.7兆ドル程度、再生可能エネルギー向け税額控除の廃止は同じく0.7兆ドル程度にすぎず、減税延長等による財政悪化を吸収するには不十分であることが分かります。 共和党は上院では53議席と過半数を獲得、下院では少なくとも過半数の218議席を獲得した模様です(11月19日時点で未確定は5議席)。共和党内には財政赤字の拡大を容認しない財政タカ派が一定数存在することから、このグループが賛成できないような大規模減税の実施は困難であるとの見方もあります。 (注)試算はCRFB(責任ある連邦予算委員会)による。単位は兆ドル、▲は財政赤字要因。(出所)CRFB資料より野村證券投資情報部作成 関税引き上げが減税に先行する見込み トランプ氏の政策は拡張的な財政政策による需要の喚起と移民規制の強化による労働供給の抑制、関税引き上げが組み合わされていることから相当インフレ的な政策であると言えます。 また、これらの政策のうち、減税などの財政政策は議会での承認が必要である一方で、関税引き上げや不法移民の強制送還は議会の承認を必要としないため減税に先行して実施されることが予想されます。前項で示したように、関税引き上げによる財政面での影響は対名目GDPで年間1%程度と見られることから、景気を失速させるほどのインパクトはないと考えられる一方で、短期的に物価上昇率を押し上げることが想定されます。 野村證券では平均的な実効関税率は25年半ばから上昇し始め、26年にはピークの11~12%に達するとみています。また、今回は最終需要財の関税引き上げが含まれることから、インフレ率を押し上げる一方で成長率を押し下げると想定されます。野村證券では実質GDP成長率は25年7-9月期から26年1-3月期にかけて潜在成長率(年率1.8%程度)を下回る見通しに下方修正しました、一方で、25年6月以降、1年間のインフレ率見通しを1.0%ポイント程度上方修正しました。 (注)データは四半期で、直近実績値は2024年7-9月期速報値。2024年10-12月期以降はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)による予想。選挙前は2024年11月1日時点、選挙後は同年11月6日時点。(出所)米商務省より野村證券投資情報部作成 (注)コアPCEデフレーターは食品・エネルギーを除く個人消費支出デフレーター。データは月次で、直近実績値は2024年9月。2024年10月以降はノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)による予想。選挙前は2024年11月1日時点、選挙後は同年11月6日時点。(出所)米商務省より野村證券投資情報部作成 FRBは25年前半に2回の利下げ実施と予想 FRBは関税引き上げによるインフレショックが一巡するまでは政策金利を据え置くと想定しています。従来は24年は1回、25年中は4回の利下げを予想してきましたが、大統領選挙の結果を受けて、25年は3月に利下げを実施した後、様子見に転じるとの予想に変更しました。 堅調な経済指標を受けてパウエル議長は11月14日の講演で、「経済は利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」、「現在、われわれが目にしている経済の強さにより、慎重な決定を行うことが可能になっている」と、利下げに慎重な姿勢を示しました。この点を踏まえて、野村證券では金融政策見通しを見直し、24年中は据え置き、25年中は3月と6月に0.25%ポイントの利下げへと変更しました。 金利先物を見ると、24年9月FOMC直後(9月18日)には25年末までに8回の利下げを織り込んでいた市場の利下げ見通しは、11月18日時点では3回程度まで後退しています。 (注)データは日次で、直近の値は2024年11月18日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利翌日物のレンジの中央値。FF金先はFF(フェデラル・ファンド)金利先物。(出所)FRB、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点