米国株
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03/03 12:41
【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):半導体関連が好調、株価は+0.43%
3月2日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ブロードコム(AVGO) 決算概要 調整後EPSは市場予想を上回った 米国時間3月2日引け後に、通信向けを中心とした半導体・インフラストラクチャーソフトウェアの設計、開発、販売を行うブロードコム(AVGO US)が2022年11月-2023年1月期(2023.10期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.2%上回り、調整後EPSは市場予想を2.3%上回りました。 株価は時間外取引で終値比+0.43%と上昇しています。 会社の2023年2-4月期売上高見通しは市場予想を上回る 2023年2-4月期(第2四半期)について会社は、売上高は87億ドルとの見通しを示し、市場予想(85.90億ドル)を1.3%上回りました。 データセンター向けの需要の高まりは当社に追い風 会社はAIブームなどでのデータセンター向けの需要は高まると予想しており、ネットワーク収益を前年比で約20%増加すると見込んでいます。AIに使用されるイーサネットスイッチの出荷は、2023年には8億ドル以上に増加すると見込んでいます。 売上高とEPSの推移 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年3月2日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2022年11月-2023年1月期(2023/1)。売上高推移の2023年2-4月期の白丸は会社見通し。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年2-4月期以降の予想は2023年3月1日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・岩崎 晴弥) 【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):株価は+3.20%、需要は堅調 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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02/27 18:00
【今週の米国株】ソフトウェア決算は金利の重圧を振り払えるか?(2/27)
①2月17日~2月24日の振り返り:利上げ継続懸念が重石に S&P500 -2.67% 3,970.04 NYダウ -2.99% 32,816.92 ナスダック総合 -3.33% 11,394.94 米国時間の22日(水)取引時間中に1月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨が公開されました。ほとんどの参加者が利上げペースの鈍化に賛同していた一方で、多くの参加者から「不十分な金融引き締めはインフレ抑制を阻害する」との意見が表明されたことで、利上げ長期化への懸念が再燃しました。24日(金)に発表されたコアPCE(個人消費支出)デフレーターも市場予想を上回るなど、インフレ高止まりのリスクを意識させる結果でした。 米長期金利(10年国債利回り)は17日(金)の3.8%台から24日(金)には3.9%台へ上昇しました。グロース株は一般に長期金利上昇の悪影響を受けやすく、グロース株比率の高いナスダック総合指数の対NYダウのアンダーパフォームは3週連続となりました。米長期金利上昇が株安に波及した様子がうかがわれます。 ②今週の気になる経済指標:ISM指数(製造業1日、非製造業3日) 野村の利上げ予想をタカ派寄りに変更 野村の米国拠点では、FRBの利上げ予想を修正しました。 3月:+0.50%ポイント(従来+0.25%ポイント) 5月:+0.25%ポイント(従来利上げなし) 6月:+0.25%ポイント(従来利上げなし) 結果として、政策金利の到達点を5.50~5.75%へ予想を引き上げました(従来予想の到達点は4.75~5.00%)。従来予想・市場予想(足元で5.4%前後)比でタカ派寄りとなっています。 背景にある考え方 米国拠点の雨宮エコノミストは修正の背景として、足元の指標がインフレ再加速を示唆していることを挙げています。具体的には 1)財主導のディスインフレ(インフレ減速)は一時的なものとなり得るため、FRBがこれに依拠する公算は小さい 2)基調的なインフレ傾向が再加速するかもしれず、よって引き締め不足のリスクが高まる 3)金融環境を引き締めるには積極的な政策措置が必要とみられる 以上の3点を理由としています。 雇用を最注視 財(モノ)主導のインフレ減速に期待ができないとするならば、住居費を除くコアサービス・インフレの動向が重要となります。主な構成項目である「外食・宿泊サービス」など賃金動向の影響が大きい項目が多く含まれます。2月にサプライズとなった雇用統計は次回(2月)分が3月10日(金)に発表されます。しばらくは、インフレ高止まりを示唆する指標やFRB高官発言に神経質な展開が予想されます。 今週はISM景気指数を要チェック 今週注目の指標としては、1日(水)に発表される2月ISM製造業指数、3日(金)に発表される2月ISM非製造業指数が挙げられます。いずれも経済の先行指標と見なされており、強弱がインフレ予想を左右するため要チェックです。 ③今週の気になる決算:1日(水)のセールスフォース ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 決算振り返り①:半導体 ロジック半導体大手のエヌビディア(NVDA)の株価は、決算発表翌日の23日(木)に前日比14%超上昇しました。2022年11月-2023年1月期実績の売上高・EPS(一株当たり利益)はともに市場予想を上回ったうえ、2023年2-4月期の売上高見通しも市場予想を上回ったことが市場で好感されたと見られます。この見通しは前年同期比-21%ですが、前四半期比では+7%と業績に底打ち感が見えたことも上昇の一因とみられます。 ChatGPTを運営するOpenAIへ出資したマイクロソフト(MSFT)やアルファベット(GOOGL)傘下のグーグルがAI(人工知能)分野で熾烈な競争を繰り広げており、半導体業界の中でも演算を担うロジック分野は高成長軌道へ回帰するとの市場の期待が裏付けられたと言えます。 同分野では、競合メーカーにアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)やインテル(INTC)があり、製造受託の面では TSMC(TSM)、製造装置ではアプライド・マテリアルズ(AMAT)やラム・リサーチ(LMRC)、ASML(ASML)が挙げられます。 決算振り返り②:小売 小売業はまちまちな決算でした。 ウォルマート(WMT)は、売上高見通しは慎重だったものの、実績は売上高・EPSともに市場予想を上回りました。値引き販売や食料雑貨へのシフトが利益率を下押ししましたが、食料雑貨での対競合でのシェア(数量)を拡大させることに成功しています。業界全体で見れば、日常支出における低価格志向の消費行動がうかがえます。 一方、ホーム・デポ(HD)は市場予想を下回る決算となりました。供給逼迫の続くプロ向け(配管や浴室関連)は堅調でしたが、床材(どちらかといえばDIYのカテゴリー)は軟調でした。消費者は住宅関連の支出を手控えている可能性が示唆されます。 なお、当社は決算と同時に、時間給で働く現場スタッフに年間10億ドルの追加報酬を支払うとも発表しています。賃金インフレが小売業に与える利益の下押し影響には今後も注意が必要です。 ソフトウェア業界の雄、セールスフォース 今週は、ソフトウェア・小売ともに2022年11月-2023年1月期決算のピークを迎えますが、今回はセールスフォースを確認したいと考えます。 同社に注目する理由は、BtoB(法人向け)のソフトウェア需要をみられる点にあります。顧客企業が幅広く、どのセクターがソフトウェア投資を続け、どのセクターが支出を抑制したかを確認するのに有用な決算と言えます。前回決算までは大規模M&Aの影響や、(競合他社が人員削減を発表する中での)人件費などのコスト高止まりがノイズとなっていましたが、年明けに人員削減を発表済みで、今回は売上高やEPS成長の行方に注目が集まる決算となることが期待されます。 NYダウ採用銘柄では数少ないソフトウェア企業 NYダウ30指数構成銘柄で数少ないソフトウェア銘柄です。セグメントとしてソフトウェアを持つNYダウ採用銘柄としては、マイクロソフト(MSFT)、IBM(IBM)、シスコ・システムズ(CSCO)が挙げられ、いずれもひと月前に実績ベースでは堅調な決算を発表しています。当社の実績・見通しが注目されます。 金利上昇をはねのける「グロース」はあるか 情報技術セクター(米国では主に、半導体とソフトウェアで構成される)の株価は、足元のインフレ再燃懸念に伴う金利上昇で伸び悩んでいます。ただし、当節冒頭のエヌビディアのように、再度成長回帰への道筋を見せることができれば、長期金利高止まりの中でも株価上昇が期待できます。週を通して個別企業の決算から得られる情報を、セクター選びに活かしていきたいと考えます。 決算発表はピークへ 今週は、主要企業だけでも下記の通り毎日決算発表が予定されています。 27日(月) 人事ソフトウェアのワークデイ(WDAY) ウェブ会議ソフトウェアのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM) 28日(火) ウォルマート競合のターゲット(TGT) 1日(水) 1ドルショップのダラー・ツリーDLTR) 百貨店のコールズ(KSS) ホーム・デポ競合のロウズ(LOW) セキュリティソフトウェアのオクタ(OKTA) 2日(木) 家電小売のベストバイ(BBY) ディスカウント小売のコストコ・ホールセール(COST) セキュリティソフトウェアのゼットスケーラー(ZS) ご投資にあたっての注意点
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02/24 10:26
<米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):AI用半導体への期待高まる、株価は+14.02%
2月22日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 エヌビディア(NVDA) 決算概要 実績・見通しは予想以上 米国時間2月22日引け後に、グラフィックスや、AI、データセンター向けなどの半導体の設計・販売を行うエヌビディア(NVDA US)が2022年11月-2023年1月期(2023.1期第4四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.7%上回り、調整後EPSは市場予想を8.8%上回りました。会社はゲーム用の新型GPU好調をコメントしました。また、2023年2-4月期売上高見通しは市場予想を上回りました。 AI用チップビジネスへの期待が一段と高まる またCEOは、データに意味を持たせる生成系AIや言語AIへの関心が高まり、また、ゲーム向けの画像処理AIチップの需要が強いことをコメントしました。会社は、スーパーコンピューターを組み合わせたAIクラウドサービスついて、大手顧客ではオラクルが既に導入しており、マイクロソフト・アジュールとグーグル・クラウドでも提供される予定であることを報告し、追加情報を2023年3月20-23日開催の開発者会議で発表する予定です。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 エヌビディアの株価は、翌2月23日の取引で前日比14.02%高となりました。AIビジネスの詳細を発表したことで、マイクロソフトと「ChatGPT」を運営するOpenAIとの提携強化の発表以来高まっていた、当社のAI向けビジネスへの市場の期待値がさらに高まったためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足 (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年2月23日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2022年11月-2023年1月期(2023/1)。売上高推移の2023年2-4月期の白丸は会社見通し中間値。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年2-4月期以降の予想は2023年2月21日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱) <米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):株価は+2.20%、データセンター向けは堅調維持 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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02/22 14:00
<米国株決算速報>ウォルマート(WMT):食料品が好調、株価は+0.61%
2月21日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ウォルマート(WMT) 決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間2月21日寄り前に、店舗小売、Eコマース事業を運営するウォルマート(WMT US)が2022年11月-2023年1月期(2023.1期第4四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を2.7%上回り、調整後EPSは市場予想を13.1%上回りました。 会社の2023年2-4月期売上高見通しは市場予想を上回る 2023年2-4月期(第1四半期)について会社は、主にインフレの影響により、売上高が増加する見通しを発表しました。また、2024年1月期通期の売上高の伸びは上半期に最も大きく、下半期には緩やかになると予想しており、見通しはマクロ経済への慎重な見方を反映している、とコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 ウォルマートの株価は、前日比0.61%高で引けました。 既存店売上高とEコマースが好調で、コスト削減や食料品部門がシェアを伸ばしたことが成長を後押ししました。また、会員制スーパーのサムズクラブの会員数が過去最高となりました。売上高・調整後EPS共に市場予想を上回ったことや、2024年2-4月期の売上高について市場予想を上回る見通しを発表したことが株価の上昇要因となったと考えられます。 株価推移(6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の調整後希薄化後一株当たり利益。見通しの売上高は為替一定の前提。見通しのEPSの市場予想比は、会計(LIFO)の影響を除いて比較。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年2月21日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2022年11月-2023年1月期(2023/1)。2023年2-4月期の白丸は会社見通し中間値。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年2-4月期以降の予想は2023年2月21日時点。 (出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・ 岩崎晴弥 ) <米国株決算速報>ウォルマート(WMT):株価は+6.54%、食料品が好調、通期見通し上方修正 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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02/22 10:30
<米国株決算速報>ホーム・デポ(HD):リフォーム見通し慎重、株価は-7.06%
2月21日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ホーム・デポ(HD) 決算概要 ※ 下記(注)をご参照ください。 調整後EPSは市場予想を上回った 米国時間2月21日寄り前に、消費者、業者向けのホームセンター事業を行うホーム・デポ(HD US)が2022年11月-2023年1月期(2023.1期第4四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.4%下回り、調整後EPSは市場予想を0.7%上回りました。会社は、顧客の支払い単価は前年同期比で5.8%増加したものの、材木の販売価格が同50%以上下落したことが、売上高に0.7%の悪影響を与えたことコメントしました。業者の受注残は未だ高水準で、配管や浴室関連などの販売は堅調な一方、床材など(どちらかといえばDIYのカテゴリー)は軟調でした。 売上高とEPSの推移 ※ 下記(注)をご参照ください。 リフォーム需要は軟化へ 会社は2023年について、住宅リフォームの需要が緩やかになり、ホームセンター市場は一桁台前半の減少となると予想している、とコメントしました。また、会社は時間給で働く現場スタッフに年間10億ドルの追加報酬を支払うことを発表しました。 株価は下落:材木デフレと賃金インフレ 決算を受け株価は下落しました。住宅リフォームの軟調や、その影響もあり材木価格が急落し売上高が悪影響を受ける中、必要な措置とはいえ10億ドルの追加の賃金インフレにより利益率が低下するとの見通しを示したことが重石となったと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年2月21日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2022年11月-2023年1月期(2023/1)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年2-4月期以降の予想は2023年2月21日時点。(注4)通期EPS見通しには、10億ドルの追加報酬が含まれ、予想税率0.245%を用いると純利益への悪影響は2023.1期の純利益の4.4%にあたる。2024.1期EPSの市場予想は2023.1期比+0.2%のため、追加報酬の影響を除けば会社の見通し(-4~-6%)の範囲内とみられる。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱) <米国株決算速報>ホーム・デポ(HD):株価は+1.63%、業者向けが堅調 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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02/20 18:00
【2周年特集】野村の年末予想はS&P500で「4500」(2/20)【今週の米国株】
①2月10日~2月17日の振り返り:一進一退 20日(月)はワシントン生誕記念(プレシデンツ・デー)のため、米国株式市場は休場です。 1月CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価)やFRB(米連邦準備理事会)高官発言を受けて利上げ継続への警戒感が強まりましたが、米国景気は堅調との見方から一進一退でした。 ②今週の気になる経済指標:21日(火)の2月PMI速報値 堅調な経済が市場の基本シナリオだとするならば、先行指標である21日(火)発表の2月S&PグローバルPMI速報値がまず注目されます。400以上の企業への受注や雇用などにアンケート結果に基づいて景況感を判断するもので、類似のISMデータより早く公表されることがメリットです。 一方で、1月の雇用統計やCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)の上振れを踏まえれば、引き続きインフレ指標と金融政策への影響にも目くばせが必要です。22日(水)の1-2月FOMC議事録、24日(金)の1月個人消費支出・所得統計におけるPCE(個人消費支出)デフレーターに関心が集まります。 米国株のEPSは23年踊り場、24年に2ケタ増へ 今号では、株価の位置を中長期的な目線で確認してみたいと思います。下記はS&P500構成企業のEPS(一株当たり利益)です。2023年はともに踊り場(前年比1桁増益)となっており、2024年に10%増益への回帰が見込まれています。 (注)予想はリフィニティブ集計による2023年2月17日時点の市場予想平均。(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成 野村の2023年末S&P500予想は4500ポイント 野村の2023年末S&P500予想は4500ポイントです。(2月13日時点、2024年以降は未開示) 「S&P500=4500」の場合のPER 各年の予想EPSを基準に、S&P500が4500ポイントとなるPER(株価収益率)を計算してみると 2023年予想EPSベース…20.08倍 2024年予想EPSベース…18.04倍 となります。 2016年以降の平均PERは18.2倍ですから、2023年の予想EPSが実現しても、やや高めのPERが正当化される環境(インフレが落ち着き、長期金利が明確に低下する環境)でなければ、「4500」達成のハードルは高いと言えます。一方で、2023年後半にかけ、株式市場が2024年の予想EPSを織り込む時期になれば「4500」が現実味を帯びてきます。 予想EPSは下方修正優位であることに注意 注意点もあります。足元の S&P500指数構成企業のリビジョン・インデックス(RI、直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正をした銘柄数÷ 下方修正をした銘柄数)は1を割り込み、前述の予想EPS自体が低下傾向にあります。 1四半期前・2四半期前に比べて下方修正の谷は浅くなっているようにも見受けられますが、2024年の再成長を見込んで米国株に投資するのであればRIも要注視と言えます。 セクターではどこが有望か? 以下に、2024年のセクターごと(産業グループ24分類)のEPSの前年比変化率を掲示しました。 2024年は、半導体・半導体製造装置が再度成長シナリオに戻る他、小売やメディア・娯楽なども20%近い成長を遂げる見込みです。「小売」には、アマゾン・ドットコムやブッキング・ホールディングス、「メディア・娯楽」にはアルファベットやネットフリックスが、「消費者サービス」には、外食、ホテル、クルーズ船運航企業などが含まれます。 2025年予想は 今年2023年が不透明だからこそ、敢えて2年先を考える意義もあると考えます。中長期的な成長を見込めるセクターと株式を探すヒントにしていただければ幸いです。 (注)2023年2月17日時点のリフィニティブ集計による市場予想平均。産業グループ名に付されている( )内の番号は、識別のために野村證券投資情報部で付与している番号。*は景気敏感業種。(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成 ③今週の気になる決算:21日(火)のウォルマート ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 米国最大の実店舗小売企業、ウォルマート 21日(火)には、全米で5000以上の実店舗を経営する全米最大の小売りチェーン、ウォルマートが決算を発表します。Everyday Low Price (EDLP) を戦略として掲げており、景気後退・鈍化懸念の中で同社の低価格戦略が注目されています。 前回の決算は堅調 2022年8-10月期決算(以降「前回決算」)では、既存店増収率が市場予想を 4%ポイント以上も上回る好決算となり(来店客数、客単価とも増加)、売上高の2023年1月期のガイダンスは上方修正されました。業界全体で在庫消化のための値引き販売の多さや、利益率の低い食料雑貨の売上構成比拡大の影響が懸念されていました。しかし、当社に関しては食料雑貨でシェアを拡大したことで、米国事業の営業利益率は予想ほど落ち込みませんでした。当社の価格戦略がプラスに働いた決算だったと言えます。 Eコマースも着実に増加 当社は、2021年にはTikTokの米国事業の買収に名乗りを上げるなど、Eコマースに積極的なことでも知られています。当社の前回決算における米国Eコマース売上高は前年同期比+16%となり、 過去3期分でみたEコマースの売上構成比は12.2%まで高まっています。 年末商戦と、景気後退への備えが注目される 前回決算では、年末商戦に備え在庫を積み増し、通期見通しも保守的でした。ただ、その後に発表された小売売上高などのマクロ指標は堅調な米国消費を示唆しています。 当社は1月決算企業のため、2024年1月期通期の見通しも注目されます。景気後退局面(2008~2009 年)において、当社傘下の米国ウォルマートとサムズクラブの既存店増収率は1桁台前半でした。今回予想される景気後退局面においても競合との価格差が有利に働き、より高価格帯の商品を扱う小売事業者からシェアを奪うことができる可能性があります。米国の生活必需品小売業界を見る上で、見通しや戦略に関するコメントに市場の関心が集まります。 成長セクターを見通すチャンスの週 今週は、小売では23日(水)にブッキング・ホールディングス、半導体では22日(火)にエヌビディアが決算を発表します。両セクターとも足元の決算は景気後退の逆風を受けた内容になりそうですが、長期的には成長軌道への回帰が期待される企業群です。実績・見通しに明るい兆しはあるか、よく確認したいと考えます。 (FINTOS!米国株/小野﨑通昭) ご投資にあたっての注意点
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02/13 20:00
【今週の米国株】ナスダック優位に変化?半導体株の注目決算は(2/13)
①2月3日~2月10日の振り返り:インフレ懸念再燃でナスダックが比較的大きな下落 米国株の主要3指数を週次ベースでみると、ナスダック総合指数が今年に入り初めて下落しました。3日(金)発表の1月の強い雇用統計の余波が広がり金利が上昇したため、インフレピークアウト期待を背景としたグロース(成長)株優位の展開が一服した形です。NYダウ、S&P500指数も揃って下落しました。 パウエル議長「タカ派化」回避…でもインフレ懸念再燃 先週市場の関心を集めた7日(火)のパウエルFRB(米連邦準備理事会)講演は、事前に警戒されていたほどタカ派的でなかったと市場で受け止められました。しかし週後半には、10日(金)発表の2月のミシガン大学調査による1年先消費者期待インフレ率が前月の3.9%から4.2%に上昇するなど市場のインフレ懸念が再燃しました。 米国10年債利回り(米長期金利)は3日終値の3.5%台から10日終値の3.7%台へ上昇し、金利上昇の影響を受けやすいグロースセクターを中心に、株価に下押し圧力がかかりました。 ②今週の気になる経済指標: 14日(火)の米CPI 先週の動きを踏まえれば、米長期金利の低下とPER(株価収益率)の上昇を起因として米国株が復調するかはインフレ指標次第となりそうです。注目は、14日(火)の1月米消費者物価指数(CPI)でしょう。 米CPI、野村では前年同月比+6.3%を予想 野村では、1月総合CPIの前年同月比を+6.3%と予想しており(市場予想は同+6.2%)、前月の同+6.5%から高止まりが予想されます。財部門では中古車価格などを中心にディスインフレが進む一方で、航空運賃などサービス部門が物価上昇をけん引すると予想しています。 FRBのスタンスに「微妙な軸足のシフト」? CPIを米金融政策当局がどう解釈するかも争点となりそうです。米国野村拠点の雨宮エコノミストはFRBのスタンスに「微妙な軸足のシフト」があった、と分析しています。これまで米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の多くは、住居費を除くコアサービス・インフレ率を重視してきました。しかし先週、FRB高官が相次いで、食料品、エネルギー、家賃といった必需品項目の重要性を強調する主旨の講演を行っています。 FRBに「ハト派化」の兆し 雨宮氏はこれを受け「2つの理由からハト派的な変化を示す」と分析しています。第1に、最近の労働市場の堅調さからみて、住居費を除くコアサービス・インフレ率が低下するまでに長い時間を要する可能性があります。広範なインフレに目を向けることで、見通しをよりハト派的に捉えることが可能になるという変化が期待されます。第2に、FRBは短期的な変動を重視せず、中期的な視点から特定のインフレ要因ではなく、インフレの基調的な傾向に焦点を当てることもできるようになります。 今週はFRB高官による講演も相次ぎます。インフレに対するスタンスの変化があるか、確認したいと考えます。 ③今週の気になる決算:16日(木)のアプライド・マテリアルズ ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 まずは、決算発表を受けたS&P500指数構成企業のリビジョン・インデックス(直近4週間にアナリストが業績上方修正をした銘柄数÷ 下方修正をした銘柄数)について確認しておきましょう。先週、FY1(予想1期目)が1.0に反発したということをお伝えしましたが、今週再度0.6に低下しています。FY2(予想2期目も)も0.7と下方修正優位が続いており、決算を受けた市場の予想EPS(1株当たり利益)は低下傾向です。10-12月期決算発表も一巡したことから、ここから大きく上方修正に転換するということは期待しづらい環境と言えます。。 世界最大手の半導体製造装置メーカー、アプライド・マテリアルズ 今週は、16日(木)のアプライド・マテリアルズ(AMAT)の決算発表に注目したいと考えます。同社を米国経済やセクター全体を見通す上で示唆が多いと判断する理由は以下の3点です。1点目は、同社が2022年11月-2023年1月期という、先週まで決算発表が集中した2022年10-12月期企業から1か月先行した四半期の決算であるため、より早く変化を確認するのに有用であるという点です。2点目は、同社が世界最大の半導体製造装置メーカーである点です。半導体セクターは自動車セクターと並び2023年年明けからの米国株の上昇をけん引していることから、当社の実績やガイダンスがグローバルな経済や業績を考える上でも重要だと考えています。3点目は、半導体市場の内訳を見る上で、同社の発表するセグメント情報に示唆があると考えられるからです。 前四半期決算ではメモリーに暗雲…しかしその他は堅調 前回の2022年8-10月期決算では、売上高で見て前年同期比+10%と堅調でした。しかし、内訳をみてみるとDRAM(メモリー)向けでは同-8%となっています。10-12月期決算の他の半導体企業を見てみても、メモリーの売上高は不調でした。メモリー生産世界最大手のサムスン電子では、同四半期の売上高が同-8%と市場予想を下回る実績となったほか、生産調整も緩慢であることが示され、DRAM単価の下落は続く公算です。 一方で、アプライド・マテリアルズの売上高全体では堅調に伸びていることは、その他のカテゴリ(演算を行うロジック半導体や、生産を請け負うファウンドリー、通信や車載用のアナログ半導体)向けの需要は良好であることを意味しています。世界最大手のアナログ半導体メーカー、テキサス・インストゥルメンツ(TI)の決算では設備投資の増額が発表されました。また、世界最大手のファウンドリーであるTSMC(台湾セミコンダクター、TSM)では設備投資減額が発表されたものの、高い水準が維持されています。こうした傾向に変化がないかは当社決算の重要な確認事項でしょう。 コメントで注視すべき点としては、半導体業界を巡る米国の対中輸出規制が挙げられます。当社では、前四半期決算時点での通期ガイダンスには輸出規制の影響を最大限織り込んでいるとコメントしており、さらなる引き下げがないかには市場の関心が集まります。 2022年11月期-2023年1月期決算には半導体やソフトウェアなどの企業決算が多く予定されています。マクロ環境が不透明な中でも、同セクターには独自の成長要因をもつ企業も多く、引き続き米企業決算から目が離せません。 (FINTOS!米国株/小野﨑通昭) ご投資にあたっての注意点
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02/11 12:00
【特集】2023年最大の注目点は「金融政策の転換」! (尾畑秀一のマクロの視点)
この動画では、野村證券の尾畑秀一シニアストラテジストが市場の注目するテーマに着目し、マクロ・トップダウンの観点から金融市場の先行きや、投資戦略を考える上でのポイントを解説いたします。 ご投資にあたっての注意点
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02/10 22:00
【チャート分析】エヌビディア、1年強の調整相場が終了
このたび、米国ナスダック市場の時価総額上位銘柄をチャート分析しました。 ナスダック市場: 時価総額上位銘柄ランキング (注)データは2023年1月20日時点。 (出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成 本日は第5位のエヌビディア(A2369/NVDA)を取り上げました。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 下降トレンドラインや52週線を突破 当社は、世界トップクラスの半導体メーカーです。 (図1)当社の株価は、2021年11月に高値形成以降大幅調整となりましたが、2022年10月に2021年3月安値を下回る水準まで下落した後、反発に転じました。 今年に入り、2021年以降の下降トレンドラインや52週移動平均線(1月27日:178.13ドル)を上にブレイクしました。1年強に亘る調整相場が終了した可能性が高まり、2021年以降の下落幅に対する50%戻し(227.30ドル)などに向けて戻しを試す動きに弾みがつくと考えられます。 押しを入れた場合は13週線や26週線が下値メド (図2)一方仮に再び調整となった場合は、まずは上向きの13週線(1月27日:163.37ドル)や、26週線(同:153.72ドル)が下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年1月27日。図中の「〇週線」 とは移動平均線を指します。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがあります。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。 (出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成 この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ・【チャート分析】アマゾン、1月に入り13週線を回復 ・【チャート分析】アルファベット、26週線奪回なら基調変化へ ・【チャート分析】マイクロソフト、52週線奪回なるか注目 ・【チャート分析】アップル、この先52週線を奪回なるか注目 ご投資にあたっての注意点