米国株
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2022/12/13 17:00
【チャート分析】マイクロソフト、52週線奪回なるか注目
このたび、米国ナスダック市場の時価総額上位銘柄をチャート分析しました。 ナスダック市場: 時価総額上位銘柄ランキング (注)データは2022年11月30日時点。 (出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成 本日は第2位のマイクロソフト(A2218/MSFT)を取り上げました。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 52週線奪回なれば調整相場終了の可能性 当社は、売上高で世界トップクラスのソフトウェア企業です。 (図1)当社の株価は、今年8月から11月にかけて約80ドル下落しましたが、その後反発し、26週線(12月2日:254.29ドル)の水準まで値を戻しました。 この先同線を突破し、8月に上値を押さえられた52週線(同:275.13ドル)も奪回となれば、2021年11月以降の調整相場が終了した可能性が高まり、戻しを試す動きに弾みがつく可能性が考えられます。 200ドル台前後では下げ渋りの動きに期待 (図2)一方仮に調整継続となり、今年11月安値(213.43ドル)を割り込んだ場合は、さらなる下値メドとして2020年3月以降の上昇幅に対する2/3押し(204.90ドル)や2020年9月安値(196.25ドル)などが挙げられます。200ドル前後の水準は2020年~21年にかけて保ち合い相場を形成しており、下げ渋りの動きが期待できます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2022年12月2日。図中の「〇週線」 とは移動平均線を指します。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがあります。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。 (出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成 この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ・【チャート分析】アップル、この先52週線を奪回なるか注目 ご投資にあたっての注意点
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2022/12/12 20:00
【今週の米国株】天王山のFOMC、命運握るは13日(火)のCPI(12/12)
①先週の振り返り:「サービスのインフレ」が懸念された 30日(水)の講演会でパウエルFRB議長は、コアインフレ率を財(モノ)・家賃・家賃以外のサービスの3つに分類した上で、「家賃以外のサービスが、今後にとって最も重要」とコメントしていました。先週は、まさに「家賃以外のサービス」のインフレがマーケットに影響した一週間でした。5日(月)に発表された11月ISM非製造業景気指数が市場予想平均を上回り、サービス業は堅調…つまり、インフレが起きやすい環境が継続しているとの見方が広がりました。 一方で、モノのインフレは減速が意識されています。11月PPI(米生産者物価指数)は前月比+0.3%と市場予想の同+0.2%を上回ったものの、国内製造業における投入コストの上昇は鈍化し続け、製造業の原材料・部品価格の減速が続いています。同様の傾向は、ISM製造業景況指数でも示されていました。 9日に発表された12月ミシガン大学消費者期待インフレ率調査の速報値は、1年先については4.9%から4.6%に低下したものの、5年先は11月23日に発表された11月確報値の3.0%から横ばいでした。消費者のインフレ見通しは根強いとみられます。サービス価格のインフレ高止まり、それと表裏一体にあるサービス業の堅調な雇用環境がある限り、FRB(米連邦準備理事会)はハト派に急旋回することなく、慎重な金融政策を続けると見込まれます。 ②今週の気になる指標:FOMC結果を左右する13日(火)のCPI マーケットの最注目は13日(火)-14日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)です。インフレ減速が意識される中での金融政策のメッセージであることに加え、3ヶ月に一度の経済見通しや政策金利の長期的な見通し(いわゆる「ドットチャート」)が発表される機会でもあり、注目が集まっています。ただ、13日に発表される11月CPI(米消費者物価指数)は、FOMCの議論に大きな影響を与えると見込まれるため、FOMCと同等に市場の関心の高いイベントとなりそうです。 まず、12月FOMCでの利上げ幅は、CPIが市場予想(前月比+0.3%)を大幅に上振れない限り0.50%ポイントとなる可能性が高いと見込まれます。最も注目される点はFOMC参加者が予想する政策金利の到達点(今後、どこまで利上げが続くか)でしょう。野村の米国のマクロチームでは「仮にCPIが予想を下振れた場合、FOMC参加者による政策金利予想の到達点の中央値は5%を下回る可能性がある」としています。FOMC参加者は13日のCPI発表を受けて提出した予想を修正できるとみられ、このことが今回のFOMC会合の不確実性をもたらします。 野村の米国のマクロチームは、賃金並びにサービス価格がFOMCや市場の予想ほどには伸びが鈍化せず、12月のFOMC以降も継続した利上げが行われると予想しています。2023年2月、3月のFOMCでそれぞれ0.50%ポイントの利上げ、5月には0.25%ポイントと利上げが継続され、政策金利が最終的に5.50~5.75%に到達するとしています。その後しばらく同じ政策金利が維持されたあと、2023年9月には利下げが開始されるとの見通しです。 ③今週の気になる決算:15日(木)のアドビ、ソフトウェア業界の道標 ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 サブスク×デジタル・マーケティングの企業、アドビ アドビ(ADBE)が15日(木)に9-11月期決算を発表します。アドビは2つの企業変革を遂げた会社として知られています。一つは売り切りモデルからサブスクリプション・モデルへの、販売方法の変革です。元々、パッケージで画像編集ソフト等を販売していましたが、「年払い」への移行をソフトウェア業界でもいち早く進め、足元では売上高の8割前後が年間定期収益(ARR)で占められています。 もう一つは、画像編集ソフトからデジタル・マーケティングツールへの、製品ラインアップの変革です。動画編集ソフトの「プレミア」や画像編集ソフトの「フォトショップ」「イラストレーター」などを中心に展開してきましたが、直近では買収なども通じEコマース・サイトの構築や電子署名サービスなど、マーケティングやビジネスフロー全体に関わる製品のラインナップを広げています。足元では、売上高の2割超がこうした製品*です。 *当社の事業セグメントのうち「デジタル・エクスペリエンス」の売上高に占める比率 ソフトウェアセクターを見る上で、アドビに注目すべき理由の一つは、ソフトウェア製品の需要動向を9-11月という期間で見られることにあります。ほとんどのソフトウェア企業は、7-9月期あるいは8-10月期に決算を終えており、これらよりさらに1-2ヶ月進んだ当社の四半期の需要動向をみることで、年明けに来たる10-12月期決算発表を予想する上での材料にすることができます。 もう一つは、異なるソフトウェア領域の需要動向をセグメント単位で見られるというところです。前四半期となる6-8月期決算では、編集ソフトが中心となる「デジタル・メディア」事業の売上高が市場予想を下回った一方、マーケティング製品が中心となる「デジタル・エクスペリエンス」事業は市場予想を上回りました。前者は、個人や個人事業主の利用者も多く、コロナ禍における需要の反動が出ていると見られます。一方、同四半期では法人需要の多いマーケティング系ツールは需要が堅調だったということを示唆しています。 もっとも、法人向け(BtoB)ソフトウェア業界も、7-9月期決算以降は企業により明暗が分かれています。全体観としては、製品のカテゴリによる差異に加え、顧客層による差異も大きくなっていると見られます。当社が強いとみられる小売業のソフトウェア投資動向を探る上でも、参考になるでしょう。 (FINTOS!米国株/小野﨑通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/12/12 17:00
【チャート分析】アップル、この先52週線を奪回なるか注目
このたび、米国ナスダック市場の時価総額上位銘柄をチャート分析しました。 ナスダック市場:時価総額上位銘柄ランキング (注)データは2022年11月30日時点。 (出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成 本日は第1位のアップル(A0030/AAPL)を取り上げました。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 52週線の次は下降トレンドラインが戻しメド 当社は、ソフトウェア、オンラインサービスなどを提供する世界トップクラスのテクノロジー企業です。 (図1)当社の株価は、今年8月に高値形成後調整となり、主要移動平均線を割り込みました。ただ10月安値は今年6月安値を上回る水準で下げ止まりました。 この先52週線(12月2日:157.37ドル)を奪回となれば、今年1月以降の下降トレンドラインに向けてさらなる戻しを試す動きとなることが期待されます。 120ドル台では下値サポート期待 (図2)一方、この先調整継続となった場合は、最初の下値メドして今年6月安値(129.04ドル) が挙げられます。120ドル前後の水準はフシが集まっているほか、2021年前半に保ち合いを形成した価格帯でもあり、下げ渋りの動きとなることが考えられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2022年12月2日。図中の「〇週線」 とは移動平均線を指します。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがあります。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。 (出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成 この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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2022/12/09 11:00
【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):株価は+3.20%、需要は堅調
12月8日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ブロードコム(AVGO) 需要は堅調 ※ 会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成※ 実績は2022年8-10月期※ EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益※ 12月8日引け後決算発表。発表後の株価は、8日の時間外取引における8日終値比での騰落率(米国東部時間19時59分現在) 半導体やインフラストラクチャソフトウェアの設計、開発、販売を行うブロードコムの2022年8-10月期決算は、クラウド大手、プロバイダー、企業からの堅調な需要などを背景に市場予想を上回りました。2023年10月期通期に堅調な需要が終始継続するかは不透明とコメントしながらも、2022年11月-2023年1月期の売上高見通しは市場予想を上回り、自社株買いの再開や増配など株主還元の強化を発表しました。 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <野村の米国株決算速報>ブロードコム(AVGO):株価は+2.03%、堅調な需要を見込む 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2022/12/05 20:00
【今週の米国株】「FOMC待ち」の一週間、投資家ができることは(12/5)
①先週の振り返り:強い雇用…株価はなぜ上昇? 先週最も市場の関心を集めた指標は、2日(金)発表の「11月雇用統計」でした。平常時であれば、雇用統計が”強い”と株価は上昇すると考えられます。一方、足元ではインフレの高止まりとそれに伴うFRB(米連邦準備理事会)の金融引き締めがテーマとなっており、インフレの一因となり得る雇用が”強い”と株価下落に繋がりやすいことは、先週の本シリーズでもお伝えした通りです。 結果として11月雇用統計における非農業部門雇用者数は前月比+26.3万人と市場予想(同+20.0万人)を大きく上回りました。また、失業率は3.7%と低水準で横ばい、平均時給は前月比+0.6%と、いずれも”強い”雇用環境を示す統計であったと言えます。 このように雇用が”強”かったにも関わらず、2日(金)のNYダウは(一旦下落したものの)小幅ながら前日比上昇で終えました。背景には2つの要因が考えられます。 1つは、30日(水)時点でパウエルFRB議長が、12月FOMC(米公開市場委員会)で利上げぺース減速となる0.50%ポイント利上げなどタカ派的な姿勢を緩める発言をしていたことが挙げられます。もともとFRBは「データ次第」、「単月のデータでは判断できない」というメッセージを繰り返しています。先週発表された雇用統計以外の指標(PCE(個人消費支出)デフレ―ターなど)はインフレ鈍化を示唆する中で、雇用統計のみでインフレを判断すべきでない、との見方が広がった可能性が考えられます。 もう1つは、より詳細に見れば、雇用統計自体も過度にインフレを警戒する内容ではなかったという点です。当社米国拠点は、今回の調査回答時期が感謝祭と重複したことで回答率が歴史的な低水準となったことを指摘しています。景況悪化の影響を受けやすい小企業の回答が遅れて提出される結果、確報の段階で下方修正されうるとみています。また、平均時給の高い伸びには、週労働時間が34.5時間→34.4時間と減少したことで、算出される平均時給が+0.3%ポイント程度押し上げられた側面も指摘しています。もっとも、上記の指摘はあるものの、現時点ではヘッドラインの「前月比+26.3万人」を少し割り引く必要がある、という程度に捉えてよいでしょう。 サービス業、特に娯楽・宿泊・外食が雇用のけん引役になっている(サービス業全体で+18.4万人、娯楽・宿泊・外食が8.8万人)ことは事実で、総じて雇用は堅調でした。 ②今週の気になる指標:5日(月)のISM非製造業景況指数 今週からFRBはFOMC前の沈黙期間(金融政策に関する発言を自粛期間)に入っており、金融政策の見通しについてはFOMC参加者から言及がありません。大きなニュースがなければ、全体としては13日のCPI(消費者物価指数)あるいは、13日・14日のFOMCに視線が移っていく週となりますが、今週だからこそ注目したい2指標を紹介いたします。 第1は11月ISM非製造業景況指数 第1はISM非製造業景況指数です。ISMには「製造業」と「非製造業」2つの景況指数があり、いずれも注目度が高い指標です。景況感を見る上で、(速報性もあるため)話題に上りやすいのは「製造業」の方ですが、現在はサービス業が米国のインフレをけん引しています。30日(水)のパウエルFRB議長講演でも、コアインフレ率を財・家賃・家賃以外のサービスの3つに分類した上で、「家賃以外のサービスが、今後にとって最も重要」と言及していることもあり、注目指標として11月ISMサービス業景況指数を取り上げたいと思います。 ブルームバーグの調査によれば、市場では10月の54.4から53.3へ低下が予想されています。 野村予想は51.4と市場予想よりさらに低く、このように減速が進めば、インフレ懸念が和らぎ株価には上昇材料となるでしょう。 第2はミシガン大学消費者信頼感指数 第2は9日(金)に発表されるミシガン大学の消費者信頼感指数です。同指数自体も重要ですが、同時に発表される消費者の1年先や5-10年先の予想インフレ率は、インフレを別の角度から見る指標として注目が集まります。将来インフレになると予測する消費者が多い場合、自己実現的に足元のインフレを助長しうるため、上振れには注意が必要です。 ③今週の気になる決算:8日(木)のブロードコム ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 半導体×ソフトウェアの企業、ブロードコム ブロードコム(AVGO)が8日(木)に8-10月期決算を発表します。ティッカーコードが「AVGO」となっているのは、旧アバゴ・テクノロジーズが母体となっているからで、買収したブロードコムの社名を採用し現在に至ります。iPhoneなどスマートフォン向けの通信半導体が有名で、旧ブロードコムが扱っていたネットワーク関連半導体など多種の製品・サービスを提供しています。特徴的なのは、売上高のうち20%強がソフトウェアとなっていることです。直近ではセキュリティソフトウェアのシマンテックの法人向け事業の買収などでソフトウェア分野を強化しました。また、仮想化ソフトウェアのVMウェアも買収予定です。 当社が米国経済の見通しにとって重要な理由の一つに、半導体企業であるということが挙げられます。先週発表された2022年秋季の半導体市場予測(WSTS)では、春季に前年比プラス予測だった2023年の半導体市場が、マイナス成長見通しに転じています。ただし、同予測では2023年後半には回復に向かうとの見通しも示されています。当社の2023年10月期に向けた見通しには注目したいと考えます。 次に、顧客セクターに対するインプリケーションが重要で、スマホ向けに注目が集まります。コロナ禍の反動で、消費の矛先が財→サービスに移る中でスマホ全体は厳しい需給環境にさらされてきました。スマホはPC等に比べて需給が改善してきたとの調査もある中、当社の受注から需給環境に関する情報を得ることができそうです。また、ネットワーク半導体の主力顧客はデータセンター向けです。11月21日号でも触れた通り、半導体セクターの重要な需要先がデータセンターを持つ大手IT企業であり、受注動向が参考になります。 最後に、ソフトウェア事業に関する情報が得られる点も肝要です。先週、多くのソフトウェア企業が8-10月期決算を発表しました。セールスフォース・ドットコム(CRM)は、8-10月の業績で市場予想を下回るなど、堅調だったBtoBソフトウェアの世界にもEPS(一株当たり利益)減速の足音が聞こえてきます。ブロードコムが得意とし、ソフトウェアの中でも「必需品」とも指摘されるセキュリティの分野も、盤石ではありません。先週クラウド・ストライク・ホールディングス(CRWD)、 ゼットスケーラー(ZS)ともに、足元の売上高・EPSは市場予想を上回った一方、通期では会社見通しの中央値が市場予想を下回り、株価は下落しました。きたる景気減速/後退局面に向けて、見通しも市場予想を上回らない限りは市場は評価しづらいというのが、現状のようです。 年明けの決算発表ラッシュに向けて、着実に情報を集めていきたいと考えます。その他、気になる企業決算としては自動車部品販売のオートゾーン(AZO)や、コストコ・ホールセール(COST)が挙げられます。これら企業決算の対象は9-11月期となるため、8-10月期決算企業よりも1か月進んだインプリケーションが得られます。特にコストコの年末商戦見通しには注目したいと考えます。 (FINTOS!米国株/小野﨑通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/12/02 20:00
【尾畑秀一のマクロの視点】米国株復調の条件を再点検
この動画では、野村證券の尾畑秀一シニアストラテジストが市場の注目するテーマに着目し、マクロ・トップダウンの観点から金融市場の先行きや、投資戦略を考える上でのポイントを解説いたします。 ご投資にあたっての注意点
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2022/11/28 20:00
【今週の米国株】年末商戦は小売株投資のチャンスか?(11/28)
11月18日~11月25日の騰落:中国コロナ感染拡大が重石も、米金利低下受け上昇 中国本土で新型コロナウイルスの新規感染者数が増加し、一部主要都市で都市封鎖(ロックダウン)を実施したと伝わったことで、中国の経済活動鈍化への懸念が広がりました。一方で、23日(水)に公表された11月FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨で、「かなり多数」の参加者が「利上げペースの減速が間もなく適切になる」と判断していたことが示され、金融引締めに対する警戒感が和らぎ、米長期金利が低下傾向となったことが株価を支えました。米長期金利(10年国債利回り)は18日終値の3.825%に対し、25日は3.686%まで低下しています。 米長期金利が3.6%台を付けたのは10月初旬以来であり、当時のS&P 500は3700ポイント台でした。同じ長期金利水準でも現在の株価(S&P500 で4000ポイント超)と当時より高水準で推移しています。10年国債利回りが低下した主因は市場のインフレ期待の低下ですが、株式市場はインフレの減速が利上げペースの鈍化を通じて米国株の支援材料になるとみているようです。インフレ減速が”本物か”が12月FOMC(13-14日開催)までの焦点となりそうです。 ①経済指標・金融政策:2日(金)、インフレの鍵握る雇用統計 雇用統計、なぜ注目される? 2日(金)に11月雇用統計が発表されます。労働需給がひっ迫した状況(就業希望者より、企業の求人数が多い状態)だと、賃金が上昇しやすくなります。賃金が上昇すると人々の購買力が上がり、モノ(財)・サービスのインフレが進みやすくなります。モノ・サービスのインフレが続くと企業活動は活発化し、求人数はさらに増加、賃金は上昇しやすくなります。これを「賃金・物価スパイラル」と言い、インフレの過熱が懸念される現在、金融市場から警戒されるメカニズムです。これが、雇用統計に注目が集まる一因です。 今の雇用はインフレを助長?抑制? 非農業部門雇用者数(以下、「雇用者数」)の市場予想は前月比+20.0万人(10月は同+26.1万人)と、減速するとはいえ依然として堅調です。野村の小清水ストラテジストの試算によれば、インフレを加速させない雇用者数は同+15万人程度です。市場予想通りかそれ以上の雇用者増となればインフレを助長する可能性が高いため、12月FOMCの議論のタカ派化に注意が必要となります。 注目指標目白押し、FRB高官発言にも注視 13日(火)・14日(水)開催の12月FOMCに向けて、3日(土)からは沈黙期間(FOMCの投票権を持つメンバーが金融政策に関して発言を自粛する期間)に入るため、今週のFOMC関係者の発言には注目でしょう。11月30日(水)に予定されているパウエル議長講演のテーマは「経済見通しと労働市場」です。労働市場が堅調である限りインフレ鎮静化が見込み難い旨が強調される可能性があります。 注目指標の発表が集中しますが、特に1日(木)の10月個人消費支出・所得統計で発表される、コアPCE(個人消費支出)デフレーター(市場予想は前年比+5.0%、9月:+5.1%)はFRBがインフレの基準とする指標でもあり、注目されます。 ②決算:28日(月)サイバーマンデー、年末商戦は小売株投資のチャンスか? 感謝祭の週末、小売に注目集まる 先週25日(金)はブラックフライデー、28日(月)はサイバーマンデー(感謝祭明けの大規模なオンラインショッピング上でのセール)です。これらを踏まえ、29日には、NRF(全米小売業協会)が感謝祭週末の小売売上の状況について会見を行う予定です。一部報道によれば、ブラックフライデーのインターネット通販の消費額は前年比+2%となったとされています。小売セクターにとっては、年末商戦は追い風となるでしょうか? まず、小売の推計やデータは、売上高(単価×数量)の数字であることに留意が必要です。前述の通り「前年比プラス」であっても、インフレ(価格転嫁)がけん引しているケースと、値引き(単価寄与はマイナス)であるものの数量が値引き以上に増加しているケース、いずれの可能性も考えられます。ただ、米最大手小売りのウォルマート(WMT)はじめ各企業が在庫増加とその消化見通しについて多くコメントをしていることを踏まえれば、後者の可能性が高いでしょう。 企業決算を振り返る 企業決算から見るとどうでしょうか。先週は、家電大手のベストバイ(BBY)、”1ドルショップ”のダラーツリー(DLTR)、高級百貨店のノードストローム(JWN)が発表を終えています。 家電大手のベストバイの株価は決算発表後上昇しました。EPS(一株当たり利益)が市場予想を上回ったことに加え、通期の予想を引き上げたことが好感されました。 一方、”1ドルショップ”のダラーツリーの株価は決算発表後下落しました。通期見通しのレンジを前回の会社予想から引き下げました。 また、高級百貨店のノードストロームも、通期見通しを据え置いたことが株価下落に繋がりました。先々週に決算発表を終えたメイシーズ(M)は通期予想を引き上げた一方、コールズ(KSS)は通期ガイダンスを撤回と、百貨店業界内でも見通しはまちまちです。 EPS”見通し”と在庫管理が重要、消費者の目線は「必需品」か このように見ていくと、まず一株当たり利益(EPS)の見通しで市場予想を上回ることができるかが市場に重視されていることが分かります。次に、顧客層に関しては高/低価格帯向けのいずれかが良いとは一概に言えず、「個別企業ごとの在庫管理の巧拙」が影響しているようです。最後に商材別では、ウォルマートが食品事業で好調であることや、ベストバイで家電が復調ということを鑑みれば、消費者が実質的に必需品に近い品目に絞って年末商戦に臨んでいる可能性が考えられます。 上記の仮定が年明けまで継続するとすれば、年末商戦をきっかけに小売セクター全体が上昇する、というストーリーは描きにくそうです。あくまで、EPSと在庫消化に関する見通しと商品構成を確認しながらの選別投資が主力となりそうです。今週1日(木)には、前述のダラーツリーの競合ダラーゼネラル(DG)や、大手スーパーのクローガー(KR)、化粧品のアルタ・ビューティー(ULTA)が決算を発表します。 年末商戦が金融政策にも影響? 株価全体への影響について、堅調な年末商戦が株価の下押し材料となるとの指摘もあります。野村證券の池田チーフ・エクイティ・ストラテジストは、「FRBは年末商戦にブレーキがかかることを確認するまでハト派転換しない」と予想しています。現在の株価は「FRBのハト派転換」を再度織り込んだ結果反発していると言えます。「堅調な年末商戦」がコンセンサスとなった場合、FRBが市場をけん制する目的で「タカ派姿勢をアピールし、株価調整を促す」行動をし得る点には注意が必要です。 (FINTOS!米国株/小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/11/21 20:00
【今週の米国株】”PER主導”の株価上昇は続くか?/半導体株復調の背景を考える(11/21)
今週24日(木)は、米国では感謝祭の祝日です。米国株式市場は当日休場、翌25日(金)には短縮取引となります。取引にご注意ください。 11月11日~11月18日の騰落:減速するインフレ指標とタカ派的なFRB発言の綱引き 先週の米国株式市場は、一進一退となりました。 15日(火)に発表された10月PPI(生産者物価指数)は、前月比+0.2%と市場予想の同+0.4%を下回りました。先週発表された10月CPI(消費者物価指数)に続き、主要な米国のインフレ指標が市場予想を下回ったことから、インフレのピークアウト期待が高まりました。 一方、FRB(米連邦準備理事会)は、金融市場がインフレのピークアウト観測を先取りしすぎることを警戒しています。FOMC(米連邦公開市場委員会、米国の政策金利を決定する機関)で投票権を持つセントルイス連銀のブラード総裁は17日に開かれた講演で、米政策金利について「今年はかなり大きく引き上げてきたが、まだ十分に制限的な水準に達していない」と述べ、金融緩和への期待が後退しました。 11月FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、次回12月、あるいはその次の会合で利上げ幅を0.50%ポイントに縮小する可能性があることを示唆した一方、政策金利の最終到達地点を上方修正する可能性に言及しました。市場の目線を目前のFOMCから最終的な政策金利の到達地点に変えることで、相場の転換期待に対して釘を刺す意図を持って行われた面があると考えられます。 インフレのピークアウト期待と、タカ派的なFRB高官発言の綱引きが続いています。 ①経済指標・金融政策:23日(水)、ミシガン大のインフレ期待調査 注目の経済指標はミシガン大のインフレ期待調査(確報値) 23日(水)に11月のミシガン大学消費者態度指数確報値が発表されます。先々週の米国株急騰のきっかけとなったCPIは足元かつ単月の数字ですが、同大調査で発表される期待インフレ率調査(今回は改定値)は、将来のインフレに対する人々の期待に関する調査です。消費者のインフレ期待が自己実現的にインフレを引き起こし得るため、金融政策当局が重視しており、市場参加者の注目度も高い統計です。 野村のストラテジスト予想「米株反発は息切れへ」 当シリーズでは何度か触れていますが、株価は基本的に 予想EPS × PER EPS…1株当たり利益 PER…株価収益率 で計算されます。この視点で改めて整理してみます。 PERを考える 11月の株価上昇は、概ねPERの上昇で説明ができます。PERは、米長期金利(10年債利回り)との逆相関が認められる指標です。つまり、長期金利が低下するとPERが上がり、PERが上がると株価が上がる、という関係になります。さらに、先週の解説でも見てきた通り、長期金利を方向付けているのは米政策金利(の到達点)であり、政策金利はインフレ動向に左右されます。 では、インフレがピークアウトしさえすれば、政策金利は低下に向かうのでしょうか?11月18日時点で米金利市場の織り込む政策金利期待は、FOMCコンセンサスの政策金利予想とほぼ一致しています。そして、FOMCコンセンサスでは年末から来年を通じてインフレ率が順調に低下することを予想したうえで、2023年末まで政策金利を据え置きとしています。このため、野村の宍戸ストラテジストは「FRBが予想する程度のインフレ低下ではこれ以上の金利低下材料にはなりづらい」と指摘しています。なお、”FRBが予想する程度のインフレ低下”とは、9月FOMC時点・コアPCE(個人消費支出)デフレーター基準で、2023年末:前年同期比+3.1%、2024年末:同+2.1%です。この数字を上回るペースでインフレが鈍化することが政策金利低下の条件、ということです。 予想EPSを考える もちろん、FOMCコンセンサスに比べ「早期のインフレ鈍化」が達成される可能性もあります。しかし、そのためには本格的な需要減少=景気後退が生じる必要があります。こうした環境はPERの低下が期待できる一方で、企業業績(EPS)の下押し圧力は高まります。宍戸ストラテジストは、こうしたPERの上昇とEPSの低下が同時に起こる状況では「差し引きで株価にプラスとは言いにくい」とコメントしています。 ②決算:エヌビディア、アプライド・マテリアルズ…半導体株上昇の背景は PERが上昇しているセクターは? では、個別セクターではどうでしょうか。前項と同じく「予想EPS×PER」の考え方に基づいて、PERが上昇しているセクターに注目してみたいと考えます。足元では、銀行、エネルギー、素材、資本財、半導体といったセクターでPERが上昇しています。銀行・エネルギー・素材のPER上昇はコロナ禍の巻き戻しとも捉えられますが、コロナで追い風を受けたはずの資本財・半導体で同様の現象が起きているのはなぜでしょうか。 これには、アナリストの予想が集中する1年先予想のEPSは低下し続けているものの、これをさらに先取りする形で株価が上昇しているという背景が考えられます。投資家が(予想)EPSの下げ止まりを先取りしようと試みること自体は、マーケットをアウトパフォームしようとするならば当然の行動と言え、予想EPSと株価の逆行自体は不自然な現象とは言えません。これが根拠のあるものなのかを見るために、半導体に関するいくつかの数字を確認してみたいと考えます。 (メモリー)半導体価格は 足元、主要な半導体製品であるメモリー市況は一層悪化しています。10月の大口価格はDRAM(電源を落とすとデータが消去されるメモリー半導体)で前月比22%下落、NAND (電源を落としてもデータが保存されるメモリー半導体) で同4%下落しました。野村では2023年前半までメモリー価格の大幅下落が続き、2023年後半は市況が回復すると予想しています。一方、アナログ半導体各社の決算発表ではこれまでの所、自動車のサプライチェーンの復旧に伴って需要が好転しているとのコメントが散見されます。 注目される需要先「クラウド・サービス・プロバイダー」の設備投資は堅調 データセンター向け(ロジック半導体や、前述のメモリー半導体も一部含まれる)では、クラウド・サービス・プロバイダー(CSP)大手5社(マイクロソフト、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、アップル、アルファベット)の動向が注目されます。CSP大手5社の7-9月期設備投資金額は前年同期比+19%となり、投資方針を維持しています。 サーバー向け半導体メーカーの環境は厳しいがCSP向けは相対的に底堅い サプライチェーン上流に目を向けると、サーバー向けCPUで寡占状態にある2社(インテル(INTC)とAMD(AMD))のデータセンターセグメント売上高合計は、それぞれ前四半期比5%減、前年同期比16%減となりました。ただし、AMDの決算発表時のコメントによれば、データセンター顧客の中ではクラウドサービスプロバイダーが最も堅調で、2023年も前年比プラス成長が見込まれるとコメントしています。 大手半導体企業の業績は 先週発表された半導体企業の業績は、半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズ(AMAT)、ロジック半導体大手のエヌビディア(NVDA)、いずれも8-10月の売上高が市場予想を上回り翌営業日の株価は上昇しました。一方、メモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)は、DRAMとNANDのウエハーの生産を2022年6-8月期比約20%削減すると発表し株価は下落しました。 根拠ある上昇だが、底打ちとなるかは今後に注視 まだ不確定要因が多い中で、半導体株が底打ちしたと見るのは時期尚早との声も聞こえます。しかし、製造装置大手やロジック半導体大手が低いハードルながら決算発表を「市場予想超え」で終えたことや、クラウドサービス向けや自動車向けなど特定製品への需要に限ってみれば良い材料も出ていることは事実です。今週は、サンクス・ギビング・デーでハイテク企業の決算発表は多くありませんが、22日(火)に決算を発表するアナログ半導体大手のアナログ・デバイセズ(ADI)などの業績を確認しながらの、投資先選定が求められます。 (FINTOS!米国株/小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/11/17 12:11
<米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):株価は+2.20%、データセンター向けは堅調維持
11月16日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 エヌビディア(NVDA) データセンター向けは堅調維持 ※ 会社発表、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成※ 実績は2022年8-10月期※ EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益※ 11月16日引け後決算発表。発表後の株価は、16日の時間外取引における16日終値比での騰落率(米国東部時間19時59分現在) データセンターやゲーム、AI、グラフィックス向けなどの半導体の設計・販売を行うエヌビディアの2022年8-10月期決算は、中国向け在庫の評価減などによりEPSは市場予想を下回りました。データセンター向け売上高は、前年同期比31%増で市場予想を上回りました。米国による中国向け半導体の輸出規制の売上高への影響について会社は、一部製品は悪影響を受けたもののほかの製品が相殺したことをコメントしました。また、売上高が前年同期比で51%減少したゲーム向け売上高は、会社は仮想通貨イーサリアムが計算量が少ない仕様へ変更したことで当社製品の必要性が低下したことをコメントしましたが、事前に引き下げられていた市場予想を上回りました。 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱) <野村の米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):株価は4.33%下落、マクロ経済や仮想通貨向けに不透明感 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点